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男「変な奴に懐かれた」少女「変な奴とは失礼な」

1 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/07(土) 19:29:42.33 ID:OaRMqAH/O
男「あー、疲れた……」

男(あいつ、人出が足りないからってこき使いやがって……)

男「……あっちー」

男(冷蔵庫にビール、残ってたっけな?この暑さの中買いに行くのだけは……)

男「……ん」

「……」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1446892182


2 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/07(土) 19:36:43.97 ID:OaRMqAH/O
男(見たことない子だな……そういや、隣に誰か越してくるって大家が言ってたっけか)

「……」

男(さて、ビールビールっと)

「……はふぅ」

男(……)

「……」

3 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/07(土) 19:46:46.60 ID:OaRMqAH/O
男「おい、お前」

「……?」

男「俺とお前以外に誰もいねーよ」

「……それって、まさか」

男「あ?」

「叫んでも誰も来やしねーぞ、ってやつですか?」

男「んなわけあるか、アホ。大家が飛んでくるわ」

男(……多分)

4 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/07(土) 19:53:42.23 ID:OaRMqAH/O
「では、なぜ私に声を掛けたんですか?」

男「何故って……こんな時間に子供が玄関前でうずくまってたら、大抵の大人は声掛けるもんなんだよ」

「そんなもんですか?」

男「そんなもんです」

「そんなもんなら仕方無いですね……よいしょ」

男(立つと小ささが際立つな、何歳くらいだ?こいつ)

5 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/07(土) 20:00:53.46 ID:OaRMqAH/O
「どうぞ、なんでもお聞き下さい」

男「とりあえず、名前から聞いておこうか」

「私は少女と申します。あなたは?」

男「ん、ああ。俺は男、この部屋の住人だ」

少女「お隣さんでしたか、今後よろしくお願い致します」

男「こちらこそ……じゃなくてだ」

少女「??」

男(なんか調子狂う奴だな……)

12 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/08(日) 19:23:05.88 ID:9AIj8hpGo
少女「質問は以上ですか?」

男「なわけあるか。まだ自己紹介しあっただけだろ」

少女「……ふむ」

男「そこ、お前の家なんだろ?」

少女「えぇ、そりゃまぁ」

男「じゃあなんでこんな時間に玄関先で座り込んでるんだ」

少女「……そうですね、話すと長くなりますが」

男(長くなるのか……)

少女「……じー」

男(……うん、まぁ。話しかけちまったのは俺だしな)

13 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/08(日) 19:37:48.40 ID:9AIj8hpGo
男「ちょっと待ってろ」

少女「……?」

男「……あー、あちぃ」

男(クーラー入れとこ……よっと)

男(見事にビールとつまみしか入ってねぇな……流石にこれ飲ますわけにもいかねぇよな)


男「おう、待たしたな」

少女「いえ、特には」

男「ほれ、飲め」

少女「……」

男(ここまで警戒されると結構ショックだな……)

14 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/08(日) 19:54:43.89 ID:9AIj8hpGo
男「まぁ別に、無理に飲めとは言わん」

男(俺はビール飲むけど……嫌味みたいになってねぇかな)

少女「……ごく、ごく」

男「……んぐ、んぐ」

少女「……けぷ」

男(あー、美味い……)

少女「……おいしくないですね」

男「……そりゃ悪かった」

少女「いえ、お構いなく」

15 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/08(日) 20:15:37.82 ID:9AIj8hpGo
男「それで、さっきの話の続きは?」

少女「さっきの話……」

男「話が長くなるとか、なんとか」

少女「あぁ、そうでした」

男(おいおい)

少女「私はここに、母と二人で暮らしていまして」

少女「普段は秘密の隠し場所に鍵を置いてあるのですが、どうやら今日は忘れてしまったらしく」

少女「それで、こうして座って母の帰りを待ってるわけです」

男「……ぐび」

少女「……んぐ、んぐ」

男「え、終わり?」

少女「はい、終わりです」

男「……」

少女「……」

16 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/08(日) 20:21:04.84 ID:9AIj8hpGo
男「いつぐらいに帰ってくるんだ?母親は」

少女「いつぐらい、なんでしょうか。いつも特に気にした事なかったですし」

男「ふーん……」

男(ビールぬるくなってきたな……そろそろ俺はこの辺で……)

少女「……水道水」

男「ん」

少女「味はともかく、助かりました。ありがとうございます」

男「おう、お構いなく」

17 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/08(日) 20:42:13.01 ID:9AIj8hpGo
男「あー、さっぱりした」

男(……もう8時か、夏は夜もあちいな)

男「……」

男「……ちら」

少女「……はふぁ」

男(まだ外にいるのか……)

男「……おい」

少女「……?」

少女「まだ何か、ご用ですか」

男(……余計なお世話な気がしてきた)

少女「……じー」

18 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/08(日) 21:00:48.62 ID:9AIj8hpGo
男(見た感じ、汗一つかいてないし……暑さ感じないとかいう可能性も)

男(……んなわけないか、アホか俺は)

男「あー、その、なんだ」

男「そこに座ってたら暑いだろ?」

少女「……まぁ、多少は」

男「母親が帰ってくるまでの間、うちに来ないか?」

少女「……」

男「変な意味はないぞ。玄関のとこで座ってれば、俺は近寄らん」

少女「……そこまで言われると、逆に」

男(あーあー、やっぱ余計な……)

少女「冗談です、厚意で言ってくださってるんですよね」

少女「お言葉に甘えさせていただいて、いいですか?」

男「最初からそう言えばいいんだよ」

男(笑うと結構印象変わるな、こいつ)

21 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/09(月) 02:14:59.68 ID:v+EtuOPXo
少女「……おじゃま、します」

男「おう、適当にくつろいでくれ」

少女「……んしょ」

男「……」

少女「……きょろ、きょろ」

男(……落ち着かんな、まぁ当たり前か)

男(なんか会話でもしてみるか……)

男「なぁ」

少女「……はい、なんでしょうか」

男「いつもこんな時間なのか?母親が帰ってくるの」

少女「どうなんでしょうか、時計をあまり見ないもので」

少女「今日はいつもより遅い、ような気はします」

男「ふーん……」

22 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/09(月) 02:24:50.70 ID:v+EtuOPXo
男「なら、お前はいつも一人で待ってるのか」

少女「そうなりますね。あの部屋に私が感じられない何かがいる可能性も否定はできませんが」

男「……なんじゃそりゃ」

男(母子家庭、ってやつか……)

男「お前、寂しくは……」

少女「……あ」

男「あ?」

少女「音が、しました」

男「……あぁ」

23 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/09(月) 02:30:53.06 ID:v+EtuOPXo
「……ありがとうございます、どうしているかずっと心配だったんです」

男「勝手にやった事ですんで」

「ほら、あなたもお兄さんにお礼を言いなさい」

少女「……ありがとうございます」

男(……嫌そうな顔してんな)

「後日、引っ越しのご挨拶も兼ねてお礼をさせていただきますね」

男「あ……その、お構いなく」

「では、また……」

男「あ、はい。ほんとお礼とか……」

男(……行っちまった)

男(幸薄そうな顔してたな……ま、色々苦労してんだろうな)

男「……寝るか」

24 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/09(月) 02:49:27.02 ID:v+EtuOPXo
男「……ふわーぁ」

「随分と大欠伸ね」

男「……色々あってな、昨日」

「色々って何さ」

男「具体的に話しても特に面白い話でもないが」

「そう言われると聞きたくなるのが人間でしょ」

男「……仕方ねぇな」


「ふーん、そりゃ大変だったね」

男「だから特に面白い話でもないと言っただろ……」

「……どうだか?」

男「……?」

25 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/09(月) 04:12:10.99 ID:v+EtuOPXo
男「……あー」

男(相変わらずあっちぃな……政府はもっと温暖化対策に力を入れるべきだ)

男「……ん」

少女「……あ」

男「……よう」

少女「……こんばんは」

男「こんばんは……じゃなくて、なんで俺の家の前にいるんだ」

少女「母がお礼に、と」

男「母本人はどうした」

少女「今日のお仕事は夜勤だそうで、お礼だけを持ってお待ちしてました」

男(……てことは、こいつは今日一人ぼっちなわけか)

男「……」

男「一緒に、食うか?それ」

少女「……」

男「……」

少女「……そちらの都合がよろしければ」

男「都合が悪かったらこんな事言わねーよ」

少女「そう、ですか……では」

男(カレーか、自分じゃあんま作らんからな。久しぶりだ)
29 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/09(月) 18:17:02.80 ID:v+EtuOPXo
少女「……お邪魔します」

男(別にわざわざ言わんでもいいのに)

少女「お台所、借りますね」

男「ん……火は使った事あるのか?」

少女「……手伝いくらいなら、多少」

男「危なっかしいな、俺に任せてお前は座ってろ」

少女「……それではお礼になってないのでは」

男「俺がお礼されたと思ってりゃいいんだよ」

少女「……納得いきませんが、理解は出来ます」

男「ほれ、ジュースでも飲んでろ」

30 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/09(月) 18:36:15.69 ID:v+EtuOPXo
少女「……ごく、ごく」

男(おー、いい香りだ)

少女「……あなたは」

男「ん?」

少女「一人暮らし、されてるんですか」

男「誰かと暮らしているように見えるか、この部屋」

少女「……すいません」

男「別に謝る必要はないぞ……よし、このぐらいでいいか」

男(米は確か冷凍のがあったよな……)

男「待たした」

少女「いえ、そこまでは」

31 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/09(月) 18:55:45.92 ID:v+EtuOPXo
男「遠慮なく食えよ」

少女「……元々そこまで大食いではないのですが」

男「いや、無理して食わんでもいいが」

少女「……いただきます」

男「いたきだきます」

少女「……もぐ、もぐ」

男(……甘口、か。多分こいつの為に作ったカレーなんだろうな)

少女「……おいしい、ですか?」

男「おう、美味いぞ」

少女「……にこ」

男「……」

男「お前、普段からもう少し笑った方がいいと思うぞ。その方が、いい感じだ」

少女「……」


少女「…・・これはいわゆる、口説き文句と言うやつですか?」

男「アホ言え」

32 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/09(月) 19:27:36.02 ID:v+EtuOPXo
少女「……ご馳走様でした」

男「ふー、久々に腹一杯食べた」

少女「……後片付けくらいは、させてください」

男「おう、そこはお言葉に甘えようか」

男(ビールビールっと……)

少女「……ごし、ごし」

男(……つまみうめぇ)

少女「……終わりました」

男「おう、お疲れさん」

少女「……」

男「……」

男「おい」

少女「……?」

33 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/09(月) 20:01:52.60 ID:v+EtuOPXo
男「まだ何か用があるのか?」

少女「いえ、無いですが」

男「だったら、いつまでいる気なんだ」

男(男の一人暮らしだぞ、一応)

少女「……私がいると、迷惑ですか?」

男「いや、迷惑と言うか……なんと、言うか」

少女「……じー」

男(急に警戒心が減ったな、やっぱりよく分からん奴だ)

34 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/09(月) 20:56:25.07 ID:v+EtuOPXo
男「12時過ぎるまでだからな」

少女「……ふむ」

男(……理由は分からんでもないから、追い出しにくい)

少女「……あの」

男「ん、なんだ」

少女「……ありがとう、ございました」

男「改まって急になんだ」

少女「……」

男「……?」

少女「……ぐぅ」

男(寝言、だったのか今の。にしちゃ……)

男(じゃなくて、何寝てくれちゃってんだコイツ)

35 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/09(月) 21:29:25.73 ID:v+EtuOPXo
少女「……すぅ……すぅ」

男「おい、起きろ。おい……」

少女「……」

男(……ダメだ、完全に寝入ってる)

男(ちょいと確認してくるか)

男「……ふむ」

男(隣の部屋に行くだけでもちゃんと戸締りするんだな、感心だが……)

男「さて、どうしたものか」

36 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/09(月) 22:30:58.84 ID:v+EtuOPXo
男(とりあえず、ベッドまで運ぶか)

少女「……むにゃ」

男(……軽いな。事務所の荷物よりも、は言い過ぎか)

少女「……」

男「……よいしょっと」

男(さて、俺はどこで寝るかな……)

男「……?」

少女「……」

男(裾をギュッと握られては、動けんのだが)

少女「……ぐぅ」

男「……はぁ」

男(今から言い訳、考えておいた方がよさそうだな……)

39 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/10(火) 01:55:29.55 ID:T7r5zg40o
少女「……むにゃ、むにゃ」

少女「……くぁ」

少女(……私、寝ちゃってた?)

少女「……じー」

男「ぐがー……」

少女(……だらしない寝顔ですね)

男「すぴー……」

少女「……なで、なで」

男「むにゃ……」

少女「……ふふ」

40 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/10(火) 02:14:12.45 ID:T7r5zg40o
男「……ん」

男「ふわーぁ……」

男(いつの間にか寝ちまってたのか)

男(今何時だ……ん?)

『ありがとうございました。目が覚めたので帰ります』

男(……母親が帰ってくる前に帰れたんだろうか)

男「おっと、こんな時間か。急がんとな」

41 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/10(火) 02:33:46.33 ID:T7r5zg40o
「おっす、おはよう」

男「おっす」

「今日は面白い話、ないの?」

男「そう毎日何かあってたまるかよ」

「その反応は、何かあったんだね」

男「……まぁな」

「またお隣の少女関連かな?」

男「そうだが、何故そう思った」

「昨日の今日だし、なんとなくね。で、どんなことがあったの?」

男「……話さないといけないのか」

「暇だしね」

男「俺は暇じゃない」

「わくわく」

男「……チッ」

42 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/10(火) 02:45:15.50 ID:T7r5zg40o
「へー、そんなことが」

男「子供は何考えてるのか分からん」

「大人だからって分かるもんでもないんじゃない?」

男「子供よりは幾分かマシだ」

「へぇー」

男「んだよ」

「んーん、別にー」

男「お前も作業を手伝え。何が暇だ」

「はいはーいっと」

43 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/10(火) 02:54:43.98 ID:T7r5zg40o
男(今日は早く終わりそうだな……)

「ねぇ、今日さ」

男「ん、どうした」

「キミの家、行ってもいい?」

男「……なんだ、急に」

「話しを聞いてたら、その女の子の事が気になっちゃって」

男「お前、そういう趣味が……?」

「……バーカ」

男「??」

「とりあえず、分かったらさっさと作業終わらせなよ」

男(だったら手伝えっての……)

44 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/10(火) 03:18:04.87 ID:T7r5zg40o
「いやー、事務所を出るとあっちぃね。この時間でも」

男「一旦家に帰ったほうがいいんじゃないか」

「まぁ最悪、キミの家でシャワー借りるよ」

男(本気で言ってんのかこいつ……)

男「……ん」

「……んー?」

少女「……あ」

男「む」

「お?」

48 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/11(水) 01:13:57.29 ID:izQfL36co
男「なんだ、またなのか?」

少女「……の、ようです」

(ふーん、この子が噂のね)

「はじめまして、こんばんは」

少女「……じー」

(心なしか、睨まれているような?)

男「こいつは俺の職場の同僚だ。アホだがそこまで害はない」

「微妙にひどい紹介じゃない?」

男「全面的にひどく紹介したつもりだが」

少女「……お友達、ですか?」

男「まぁ、かなり好意的に解釈するとそんなとこか」

49 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/11(水) 01:27:13.72 ID:izQfL36co
少女「……失礼しました」

「いえいえ、お構いなく」

男「まぁ、知らない奴に対しての反応としちゃ間違った方じゃないから安心していい」

少女「……ぺこり」

(可愛いなぁ、こりゃもしかしなくても……)

男「じゃ、帰れ」

「へ?」

男「用は済んだだろ」

「まだシャワー借りてないよ」

男「本気で言ってたのかそれ……」

50 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/11(水) 01:31:18.05 ID:izQfL36co
男「着替えどうすんだよ」

「キミの借りちゃダメ?ちゃんと洗って返すよ」

男「そういう問題かよ……」

少女「……」

「……ダメ?」

男「ダメだ、さっさと帰れ」

「ちぇーっ、帰りますよっと……それじゃ、またねー」


男「……」

少女「……」

52 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/11(水) 02:07:50.09 ID:izQfL36co
男(まったく、何しに来たんだあいつ……)

少女「……おっきかった」

男「は?」

少女「なんでもありません」

男「……ならいいんだが」

少女「いや、なんでもないわけではないかも……?」

男(また訳の分からんことを言い始めやがって)

少女「……暑さで頭が回りません」

男「……」

少女「……暑い、です」

男「分かった分かった……」

53 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/11(水) 02:35:02.83 ID:izQfL36co [5/8]
少女「……はふ」

男(随分と遠慮がなくなったな、コイツ)

少女「今日はお酒、飲まないんですか?」

男「ん、あぁ」

男(余計な奴が引っ付いてきたせいで買い忘れただけだがな)

少女「……あの」

男「ん、どした」

少女「……」

男「……おい」

少女「……上手く言葉が出てこない、です」

男「なんじゃそら」

54 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/11(水) 02:44:45.01 ID:izQfL36co [6/8]
少女「ですから、その……ですね」

男(こいつ用にと思って買ってきたもんだったが)

少女「……あっと……ええと」

男(久々に飲むとオレンジジュースも悪くねぇな)

少女「……マジメに聞いてますか?」

男「なんも話してねぇだろ」

少女「ですから……」

男「……ん?」

男「わりぃ、来客だ。ちと待っててくれ」

少女「……むすー」

55 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/11(水) 02:52:20.30 ID:izQfL36co [7/8]
「こんばんは、お隣さん」

男「あ、どうも。こんばんは」

「あの子、こちらにいらしてませんか……?」

男「あぁ、来てますよ」

「よかった……いつもの場所に鍵が置きっぱなしだったから、心配しちゃって」

男(俺のとこにいたから安心、ってのもおかしい気もするがな)

男「……ん?」

「……この前のカレーどうでした?」

男「へ?あ、はい。美味しかったですよ」

少女「……とてとて」

「それはよかったです、あの子から話を聞いた時は心配で……」

少女「……お母さん、帰ろ」

「はいはい、今行きますよ……では、これで」

男「は、はぁ……」


男(なーんか、話がおかしかった気がするが……)

男(まぁいい、寝るか)

59 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/11(水) 16:08:32.63 ID:izQfL36co [9/11]
男「……ん」

男(朝……いや、もう昼か?どうも休みってのは時間の感覚が掴めんな)

男「とりあえず食いもん買ってくるか」

男「む?」

少女「……あ」

男「おつかいか、偉いじゃないか」

少女「今日はお仕事、お休みなんですか」

男「ま、そんなとこだな」

少女「……惣菜ばかりでは、体を壊しますよ」

男「この生活を続けてるが幸い俺は健康体だ」

少女「……むー」

男(な、なんで不機嫌になる)

60 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/11(水) 16:10:06.32 ID:izQfL36co [10/11]
少女「……では、ここで」

男「……」

少女「とてとて……」

少女「……っ?」

男「どうせ帰る方向一緒なんだ、持ってやるよ」

少女「……泥棒は犯罪です」

男「料理しねぇのに食材ばっか盗んでどうすんだ」

少女「……ありがとう、ございます」

男「うむ、それでよろしい」

61 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/11(水) 16:20:01.19 ID:izQfL36co [11/12]
少女「……重くないですか?」

男「この程度、慣れてるよ」

少女「……」

男「おい、歩きにくいだろ」

少女「我慢してください、これぐらい」

男「いや、なんでだよ」

少女「……」

男(……まったく、子供は分からん)

62 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/11(水) 16:35:27.45 ID:izQfL36co [12/12]
男「ほいよ、ここまでくればいいだろ」

少女「……こく」

男(この程度とは言ったものの肩が……歳か?なんて言いたかねぇな)

少女「ただいま、お母さん」

「あら、早かったわね……」


男「……さて、飯飯っと」


男「……おっと、もうこんな時間か」

男(一日中家でゲームだなんて、実に贅沢な休日の使い方だ)

男「ん?」

男(誰だ、こんな時間に……)

63 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/11(水) 16:38:27.01 ID:izQfL36co [13/13]
少女「……」

男「おう、どした。また親がいねぇのか」

少女「……親はいます。片親ですけど」

男「いや、そう言う意味の言葉じゃなくてだな……」

少女「お昼のお礼を、言ってなかったので」

男「ん、あぁ」

少女「ありがとう、ございました」

男「はい、どういたしまして」

少女「……それでは」

男(え、そんだけ?)

少女「……さようなら」

男「あ、おい……」


男「なんだったんだ、今の」

64 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/11(水) 16:45:07.63 ID:izQfL36co [14/15]
「やぁ、おはよう」

男「おう、おはよう」

「いつにも増して不景気なツラしてるね」

男「……ある程度は生まれつきだ」

「また件の少女関連?」

男「いや、あいつとはしばらく会ってない」

「しばらくってどのぐらい」

男「そこ重要か?」

「それなりに」

男「……」

男(あの謎のあいさつ以降、だなそういや)

65 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/11(水) 16:50:42.89 ID:izQfL36co [15/16]
「結構な期間音沙汰なしなんだね、また引っ越したとか?」

男「いや、母親の方を見かけるからそれはないだろうな」

「ってことは……」

男「ってことは、なんだよ」

「いや、なんでも」

男「なんだよそれ」

「キミが不景気ヅラしてる理由が分かって満足だし」

男「どこをどう聞いて理由が分かったんだ」

「さて、どこでしょう?」

男「……ケッ」

66 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/11(水) 17:07:05.14 ID:izQfL36co [16/17]
「あ、そういや聞いた?」

男「何をだよ」

「今日新しいバイトの子、入るらしいよ」

男「ほう、これでやっと俺の重労働も軽減されるのか」

「残念、女の子らしいです」

男「……はぁ」

「所長好みの女の子とかなんとか」

男(所長の趣味なんて知るか……)

67 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/11(水) 17:16:51.54 ID:izQfL36co [17/17]
「もうそろそろ来るって聞いてたんだけど……」

男「俺は作業に戻るぞ、お前が対応しろ」

「えー、めんどくさいなぁ……っと、噂をすれば」

「はいはい、今出ますよー」

男(というか、所長って普段何やってんだ?俺も面接の時一回会ったきりな気がするぞ)

「おーい、一応新人くんに挨拶ぐらいしときな」

男「へいへい……」

男「……」

少女「……」


少女「……初めまして?」

男「いや、なんでだよ」

68 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/11(水) 17:22:18.63 ID:izQfL36co [18/19]
「キミが子供子供言うから、完全に勘違いしちゃってたよ」

男(まさか高校生だったとは……)

「受験とかで大変だったんだよねー」

少女「……はい、まぁ」

(ま、それだけじゃないんだろうけど)

男「……」

男「まさか、新人がこいつだって知ってたんじゃあるまいな?」

「……まっさかー?」

少女「……まっさかー」

男「……お前らなぁ」


男「ったく、仕事をなんだと……」

少女「……あの」

男「あん?」

少女「……これから宜しくお願いします、先輩」

男「お、おう?」

「ニヤニヤ」

男「……まったく、変な奴に懐かれたもんだ」

少女「変な奴とは失礼な」

「変な奴はキミだろ?」

男(もう仲良しかよ、お前ら)

友「先輩と付き合ってるって言ってなかったっけ?」女「……うん」

1 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/10/31(土) 02:50:08.06 ID:KMJFxDFpo [1/7]
友「ならどうして、ここにいるわけ?」

女「……?」

友「いや、なんでこっちがおかしいみたいになってんの」

女「……いつも一緒に、食べてる」

友「いやまぁ、そうだけどさ……普通は付き合い始めって言ったらこう」

『先輩、あーん』『うん、おいしいよ。ありがとう』『キャッキャッ』

友「とかやるのが定番なんじゃ?」

女「……」

友「……」

女「……きゃっきゃっ」

友「悪かった、結構くるものがあるからやめてくれ」

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2 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/10/31(土) 02:53:25.46 ID:KMJFxDFpo [2/7]
女「……そういうもの、なのかな」

友「そういうもんなんじゃないかね」

友(よく知らんけど……)

女「……明日から頑張って、みる」

友「おう、その調子その調子」

女「……ありがと、ね」

友「いや、感謝されるほどの事は言ってないって」

女「……そう?」

友「そうそう」

女「……」

友(こんな調子で大丈夫なのかね……いや、それは言うまい)

3 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/10/31(土) 03:06:50.01 ID:KMJFxDFpo [3/7]
女「……先輩」

先輩「ん、どうかしましたか?」

女「……あーん」

先輩「あーん……?」

女「……」

先輩「……」

友「……オイ」

女「……?」

友「口を開けさせておいて、何をボーッと見てるんだ」

女「……どれをあげたらいいかなって、思って」

友「んなもんどれでもいいんだよ!」

女「……どれでも……どれ、でも……?」

友「……」

4 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/10/31(土) 03:18:11.60 ID:KMJFxDFpo [4/7]
先輩「……ぷっ、あははっ」

女「……せん、ぱい?」

先輩「おっと、失礼……あなた達の漫才が面白くて、つい」

友(この人、こんな感じで笑うんだな……)

先輩「改めて、いただいてもよろしいですか?」

女「……あ、えと」

先輩「その卵焼き、おいしそうですね」

女「……どうぞ」

先輩「もぐもぐ……うん、おいしい」

先輩「それでは、こちらからも……はい、あーん」

女「……?」

女「……あーん……ぱく」

先輩「どうですか?購買のカレーパンは」

女「もむもむ……おいしい、です」

女「……んぐ」

5 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/10/31(土) 03:23:46.93 ID:KMJFxDFpo [5/7]
女「……もう一口、いいですか?」

先輩「ふふ、もう一口と言わず全部どうぞ」

女「……そんな、悪いです」

先輩「それでは、もう二口ほどそちらのお弁当をいただいても?」

女「……もう二口と言わず、どうぞ」

先輩「それは少し私が得をし過ぎではないでしょうか?」

女「……元からその、つもりで」

先輩「後日お礼を考えておきます、楽しみにしておいてください」

女「……?」


友(……高校に上がってすぐに『恋がしてみたい』なんて突然言うからどうなるかと思ってたが)

友(心配することなんて全くなかったみたいだな)

友(……こうなる事は分かりきってたことだろ、何を今さらざわざわしてるんだ)

6 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/10/31(土) 03:27:44.01 ID:KMJFxDFpo [6/7]
女「……」

クイ クイ

友「ん、どした」

女「……だい、じょうぶ?」

友「大丈夫って……何が」

女「……顔色、よくない」

友「気のせいだっての」

女「……カレーパン、食べる?」

友「別に腹が減ってるわけじゃ……」

友「……貰うよ、ありがとう」

女「……にこ」

友「先輩、いただきます」

先輩「それは差し上げたものですので。どうぞどうぞ」

友(……うめぇ)

17 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/01(日) 01:57:59.28 ID:IQMUorgBo [1/14]
友(あー、疲れた……補欠なんだから、ここまで走らせんでも……)

友「……ん?」

女「……」

友「帰宅部がなにしてんだ、こんな所で」

女「……先輩を、待ってる」

友「……あぁ、生徒会だっけか」

女「……コク」

友(こんな時間までやってのか、生徒会って)

女「……」

友「一緒に帰ろうとか、約束してるのか?」

女「……あ」

友「おいおい……」

19 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/01(日) 02:15:04.83 ID:IQMUorgBo [2/14]
女「……」

友「……先輩の事、好きになってきたか?」

女「……?」

友「いや、こうして待ってるじゃん」

女「……まだ、よく分からない」

友「よく分からない?」

女「……うん」

女「……よく分からない、から」

女「……いつもと同じこと、してみようかと」

友「……ふぅん」

友(昨日みたいな事になるくらいなら、先に帰っちまおうかな……)

20 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/01(日) 02:22:30.77 ID:IQMUorgBo [3/14]
女「……あ」

友「む?」

先輩「……おやおや」

先輩「記憶違いでなければ、あなたは帰宅部だったはずですが」

女「……はい」

友(間が悪いな、言い出しづらくなった)

先輩「……ふむ少しお手を拝借」

女「……?」

友「……じー」

23 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/01(日) 02:36:56.58 ID:IQMUorgBo [5/14]
先輩「結構待っていたんですね、こんなに冷たくなって」

女「……ご、ごめんなさい」

先輩「謝って欲しかったわけでは無くて……」

先輩「……そうだ、毎日は難しいと思いますが」

女「……携帯?」

先輩「私のメールアドレスです。後でメールを送っておいてください。次から時間があるときはこちらからメールしますので」

女「……はい」

友(二人が話しているうちに……っ)

友「……っ」

女「……?」

友(ガッチリ袖がホールドされて……)

友「せ、折角の先輩と二人きりじゃないか。お邪魔虫は……」

先輩「ん、私は別に構いませんよ」

友「……」

24 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/01(日) 02:46:34.43 ID:IQMUorgBo [6/14]
女「……」

先輩「……」

友「……」

友(……な、何か喋ったりしないのか?)

女「……」ふらっ

友「あ、あぶ……」

先輩「おっと、危ないですよ」

女「……あ、ありがとうございます」

先輩「いえいえ」

友(……やっぱムリにでも帰ればよかったか)

25 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/01(日) 02:54:58.25 ID:IQMUorgBo [7/14]
女「……私は、ここで」

先輩「ほう、ここがあなたの家でしたか。覚えておきますね」

女「……また、明日」

友「おう、また明日」


友「……」

先輩「……」

友「先輩の家、こっちの方向なんですか」

先輩「いえ、完全に逆方向ですが」

友「ならなんで……」

先輩「そもそも最初から逆方向ですから、ご心配なく」

友「いや、そうじゃなくて……」

先輩「本音を言えば、少し二人でお話がしたかったんです」

友「……」

先輩「そう怖い顔しないでください、変な意味はないですから」

33 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/01(日) 20:09:55.19 ID:IQMUorgBo [9/14]
友「……」

先輩「……」

友「……話がしたいんじゃ、なかったんですか」

先輩「ん、あぁ。そうでしたね」

先輩「あの人、後輩さんの好きな食べ物をお聞きしてもよろしいですか?」

友「……へ?」

先輩「何か問題がありましたか?」

友「いえ、別に問題は……いちご大福、ですけど」

先輩「ほう、いちご大福ですか。覚えておきましょう」

友(……わざわざ二人きりにならないと聞けない事か?)

34 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/01(日) 20:31:33.06 ID:IQMUorgBo [10/14]
友「……今度はこちらから、いいですか」

先輩「はい、どうぞ」

友「あいつの方から、告白したんですよね」

先輩「そうですね、あの人から聞きましたか」

友(……あの人って言い方、なんだかな)

友「なんで承諾したんですか?初対面に等しかったと思うんですけど」

先輩「見た目で即決でした」

友「……じとー」

先輩「あの人の容姿ならそれでも変ではないと思いますが?」

友「……まぁ、そうですけど」

先輩「でしょう?ふふ」

友「……」

35 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/01(日) 20:39:44.27 ID:IQMUorgBo [11/14]
先輩「まぁ、冗談はここまでにしておいて」

友(冗談か本気か判別付かん人だ)

先輩「と言っても、半分は冗談じゃないんですが」

友「どっちだよ!」

友「……あ」

先輩「構いませんよ、普段の口調で。その方が話しやすいのでしたら」

友「そういうわけには……」

先輩「おや、残念。もっと親しみを持っていただいて結構ですけど」

友「……話の続き、してください」

先輩「はいはい」

36 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/01(日) 20:52:28.18 ID:IQMUorgBo [12/14]
先輩「あなた達から見れば、私の方は初対面だったと思いますが」

先輩「私の方は、よくあなた方を見かけていたんですよ」

友「そうなんですか?」

先輩「立ち入り禁止の屋上へ向かうための踊り場は、生徒会室のある階の踊り場でもありますから」

友(あそこ、下から見えてたのか)

先輩「最初は注意しようかと思っていたのですが、談笑しているお邪魔をしては悪いなと」

友(それでいいのか生徒会長)

先輩「まぁ、そういう訳でして。突然告白された時はもちろん驚きましたけど」

友「……」

先輩「まだ何か、ご不満が?」

友「……別に、元からご不満なんて」

友(あいつがご不満ないなら、口を挟む事でもないし)

37 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/01(日) 21:04:07.13 ID:IQMUorgBo [13/14]
友「先輩」

先輩「はい?」

友「家、ここなんで」

先輩「あぁ、ではここでお別れですね」

友「……先輩」

先輩「はい?」

友「あいつの事、好きですか?」

先輩「……あなたのご期待に添えるかは分かりませんが、好きですよ」

友「……」

先輩「では、また学校で」



友「……ご期待ってなんだよ、クソッ」

39 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/02(月) 01:30:05.55 ID:8tceBaYho [1/17]
友(……先輩もあいつが好きで、あいつも先輩が好きで)

友(それをあいつが望んだなら、それでいい……はずなのに)

友(なんでこんなにモヤモヤしてるんだろうか)

友「……ふぅ」

友(恋がしてみたい、なら……)

友(……バカみてぇ、さっさと寝ちまおう)

40 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/02(月) 01:42:49.03 ID:8tceBaYho [2/17]
友「……ふわーぁ」

友(結局、全然眠れなかった……)

女「……欠伸、おっきい」

友「ん、あぁ……少し、寝不足で」

女「……大丈夫?」

友(お前と先輩のせいだ、なんて言ったらどんな反応するんだろう?)

女「……?」

友(……なんて、バカな事考えてないで)

友「たまたま寝付きが悪かっただけだ、そんなに心配するな」

女「……そう?」

友「うむ」

女「……あ」

友「ん?」

女「……先輩、走ってる」

友(体育の時間被ってたのか)

41 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/02(月) 01:57:13.57 ID:8tceBaYho [3/17]
女「……先輩、足速い」

友「あぁ、ぶっちぎりだな……」

女「……じー」

友(あの横顔は誰が見てもかっこいいわな……)

女「……」

友「声援でも、送ってやれば?」

女「……んー」

友「『先輩がんばれー』とかさ」

女「……せんぱい、がんばれー」

友(そんな小さな声じゃ聞こえ……)


先輩「……――」


女「……先輩、手振ってる」

友「……振替してあげれば?」

女「……ん」

友(ほんと、完璧でヤになるね)

友(……こんな事考えてる自分は、もっとヤだけどさ)

42 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/02(月) 02:16:36.11 ID:8tceBaYho [4/17]
先輩「……おや」

女「……?」

先輩「どうも、先程ぶりですね」

女「……ぶりです」

先輩「今日は御一人ですか?」

女「……一緒が、よかったですか?」

先輩「いえ、そんなことはないですよ」

女「……そう、ですか?」

先輩「ただ、珍しい事もあるものだなと思いまして」

女「……」

先輩「……」

先輩(……少し嘘を付いて申し訳ありません。こういう時は一緒の方が助かります)

43 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/02(月) 02:35:05.27 ID:8tceBaYho [5/17]
女「……先輩」

先輩「はい、なんでしょう」

女「……難しいかお、してます」

先輩「そうですか?そうだとしたら、無意識です。気にしないでください」

女「……じー」

先輩(私の事よりも、気にすることがあると思うのですが)

女「……」

先輩(ふふ、しばらくはお付き合いしましょう)

友「……じー」

先輩(その方が面白そうですし)

46 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/02(月) 18:46:39.55 ID:8tceBaYho [7/17]
女「……あ、おかえり」

友「おう、ただいま」

先輩「おかえりなさい」

友「……どうも」

女「……大丈夫?」

友「だから大袈裟だって」

先輩「何があったか、お聞きしても?」

女「……急に、貧血で倒れちゃって」

先輩「おや、それは大変ですね」

友(誰のせいだと……って、完全に八つ当たりだなそれは)

女「……ほんとに、大丈夫?」

友「ガキじゃねーんだから、いちいちそんなに近寄らんでよろしい」

47 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/02(月) 18:53:51.87 ID:8tceBaYho [8/17]
先輩「……さて、それでは私はこの辺で」

友「え?」

女「……?」

先輩「どうもお邪魔虫なようですし」

女「……そんな事、ないですよ」

友「そうですよ、この場合むしろお邪魔虫なのは……」

女「……」

友「むっ……」

先輩「おや」

女「……虫なんて、ここにはいません」

友(久々に見たな、コイツが眉をひそめるところ)

先輩「……」

48 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/02(月) 18:56:19.57 ID:8tceBaYho [9/17]
先輩「すいません、語弊を生む言い方をしてしまいましたね」

女「……?」

先輩「そろそろメンバーも集まっている頃でしょうし、生徒会室へ向かおうかと思いまして」

女「……あ。す、すいません」

先輩「いえいえ、見たことの無い顔が見れて満足です」

女「……あぅ」

先輩「それでは、また」

女「……はい、また」

友「……」

49 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/02(月) 19:56:13.24 ID:8tceBaYho [10/17]
友「そろそろ離してくれないか?」

女「……だめ」

友「本当に大丈夫だって」

女「……ほんとに、ほんと?」

友「ほんとにほんと」

女「……そっか」

友(……そんな顔、するなよ)

友(そんな顔、されると……)

女「……い、いたいよ」

友「っと……わ、悪い」

女「……じー」

友「あはは、は」

52 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/02(月) 21:07:19.92 ID:8tceBaYho [12/17]
先輩「……おや」

友「あ、先輩」

先輩「これまた珍しいですね、お一人ですか?」

友「……別にいつも一緒にいるわけじゃ、ありませんし」

先輩「確かに、それもそうですね」

友「先輩こそ、なんでこんな所に一人でいるんですか」

先輩「その理由はあなたにも分かっているのでは?」

友(……そういや、居残りさせられるとかなんとか言ってたっけ)

友「そういう事なら、ごゆっくり……」

先輩「あぁ、暇だ。待ってる間、凄く暇だなぁ」

友「……」

先輩「……」

53 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/02(月) 21:19:59.27 ID:8tceBaYho [13/17]
先輩「いやぁ、助かりました。優しい後輩を持って嬉しいです」

友(適当に切り上げて帰ろ……出来ればあいつが来る前に)

先輩「難しい顔をしてますね、あの人が心配していましたよ」

友(……そんな話までしてるのか、あいつ)

友「まぁ、色々と」

先輩「……色々と、ですか?」

友「そりゃまぁ、色々と」

先輩「ふむ、なるほど……」

54 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/02(月) 21:35:13.74 ID:8tceBaYho [14/17]
友「……なんかやたらと突っかかって来ません?先輩」

先輩「そうですか?こちらからすると、逆の意見ですが」

友「……そりゃすいませんでした」

先輩「いえいえ、お構いなく。あなたの事も好きですから」

友「……は?」

先輩「おっと、また語弊を生みそうな言い方をしてしまいました。これは人として、みたいな方の意味です」

友「いやまぁ、そりゃ……そうでしょ」

先輩「いやー、しかし寒いなぁ」

友(な、何を考えてるんだこの人は……)

55 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/02(月) 21:52:41.62 ID:8tceBaYho [15/17]
友「……先輩は、本当にあいつの事が好きなんですか?」

先輩「そうじゃなきゃ、こうして寒空の待ち合わせなんてしないと思いますけど」

友「……」

先輩「そう言えばこの前もそんな事を聞かれましたね、どうしてそんなに気になさるのでしょうか?」

友「そ、それは……」

先輩「……じー」

友「……ぐ」

先輩「答えにくいようなら質問を変えましょうか。もし仮に好きじゃない、と答えたら……」

先輩「あなたはどうするつもりなんですか?」

友「……」

56 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/02(月) 22:08:09.97 ID:8tceBaYho [16/17]
友「……別れさせます」

先輩「親友のために、ですか?」

友「……」

友(親友の、ために……そうだ、そう。親友、のため)

先輩「そうですか、それなら心配いりませんよ」

友(親友の、ため?)


友「……先輩」

先輩「はい、なんでしょうか」

友「失礼を承知で、申し上げます」

先輩「もったいぶらずどうぞ?」


友「あいつと、別れてください」

60 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/03(火) 14:41:48.18 ID:1yysNqJeo [1/11]
先輩「……」

友「突然おかしい事を言っている事は分かっています、ですが……」

先輩「いいですよ」

友「……え」

先輩「そこまで言われてしまっては仕方ありません。どうやら私はあなたの御眼鏡にかなう人間ではなかったようだ」

友「そんな、あっさりと……」

先輩「別れてくださいと言ったのはどこのどなたですか?」

友「え、その……」

先輩「じゃあ、やっぱりこのままで行きましょうか」

友(今ならまだ……)

友「……だ、ダメです……わ、私の方があいつの事、好きですからっ!」

友「……あ」

61 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/03(火) 14:43:12.18 ID:1yysNqJeo [2/11]
先輩「……」

友「……――」

先輩「だ、そうですよ?」

友「え……」

女「……ひょこ」

友「な……あ……?」

友「お、お前……ずっとそこに、いたのか?」

女「……ぶるぶる」

先輩「正確に言うと、私が言って待ってもらっていたんですが」

友「なんでそんなことを……」

先輩「そりゃもう、可愛い彼女から相談を受けて協力しない人間はいないでしょ」

友「相談って……うおっと」

女「……ぎゅー」

62 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/03(火) 14:44:26.18 ID:1yysNqJeo [3/11]
先輩「まぁ要は、そういう事ですよ」

友「……お前、恋がしてみたいって言ってたじゃんか」

女「……うん」

友「だから先輩と、だったんじゃないのか?私じゃ、ダメだから……」

女「……違った、みたい」

先輩「情けない話ですが、どうやらあなただけでなく両方の御眼鏡にかなわなかったようで」

友「ほんとにいいのか、私で」

女「……あなたが、いい」

友(……こんな簡単な事を、ずっと悩んでたのか私は)

63 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/03(火) 14:45:13.77 ID:1yysNqJeo [4/11]
友「……先輩は納得してるんですか、それで」

先輩「納得するもなにも、最初からそういう話でしたし」

女「……ごめんなさい、先輩」

先輩「謝らないでください。十分楽しみましたよ、私は」

先輩「まぁ、強いて言うなら……心変わりしないうちにもう少し進んでおくべきでしたか」

女「……す、進んで……」

友「なんかヤな言い方しますね……」

先輩「ははは、負け惜しみだと思ってください……さて」

先輩「そろそろ本格的に身体が冷えてきましたので私はこの辺で」

友「先輩」

先輩「はい、なんでしょうか」

友「ありがとうございました」

女「……ありがとう、ございました」

先輩「ははは、どうも」

64 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/03(火) 14:45:45.76 ID:1yysNqJeo [5/11]
先輩(……ありがとう、ですか)

先輩(嘘でもキスぐらいはしたと言っていた方が、面白い反応が見れたかもしれません)

先輩(この気持ちも恋……の一種なのでしょうか)

先輩「ははは、笑うしかありませんねこれは」

「せ、先輩っ!」

先輩「……?」

「ず、ずっと前から好きでした!付き合ってくださいっ!」

先輩「……ふむ」

先輩「では、キスから始めましょうか」

「え、えぇっ!?」

65 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/03(火) 14:46:15.05 ID:1yysNqJeo [6/11]
友(……結局、本心がよく分からない人だった)

女「……寒い」

友「ん、あぁ。私達も急いで帰るか」

女「……ぴと」

友「お、おい……そんなに引っ付くと歩きにくいだろ?」

女「……これからはもっと、引っ付く」

友「しょうがねぇな……」

女「……」

友(結局いつもとほとんど変わらねぇな……)

女「……?」

友(……いや、大きな一歩か)

66 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/03(火) 14:48:05.29 ID:1yysNqJeo [7/11]
女「……ねぇ」

友「んあ?」

女「……少し先に、進んでおく?」

友「へ……な、何言ってんだ?」

女「……心変わり、しちゃうかも」

友「な、何言ってんだ!」

女「……じー」

友「……お前、先輩の性格少し移ったか?」

女「……そう?」

友(やれやれ……)

67 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/03(火) 14:48:35.96 ID:1yysNqJeo [8/11]
友「むー……」

女「ぁ……ん……」

友「……」

女「……」

友「……こ、これでいいか?」

女「……これが、恋?」

友「ちょ、ちょっと違う気もする……」

68 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/03(火) 14:49:03.99 ID:1yysNqJeo [9/11]
友(その後、先輩がやたらとモテているという話題を聞いた)

友(なんだか色んな子に手を出しているとかなんとか……その方向に楽しみとやらを見出したのだろうか)

友(やっぱりあの人は、なんというか苦手だ」

女「……じー」

友「ん、どうした?」

女「……また何か、悩んでる?」

友「んー、悩みってほどではないんだが」

友(もう流石に狙ってくることは無いだろ……ないよな?)

女「……?」

友「なんでもねぇよ、なんでも」

友(まぁ、何度来ても渡さないけど)

女「……ぼー」

友(……少し心配な気がしてきた)

69 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/03(火) 14:50:28.62 ID:1yysNqJeo [10/11]
友「な、なぁ……」

女「……?」

友「その……だな」

女「……」

友「……ん、んむ……」

女「……ぺろ」

友「や、やっぱり似てきてないか……?」

女「??」

友(だ、大分心配だ……)

後輩「先輩、そろそろ寝ませんか?」先輩「えー?まだ早いよ」

1 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/10/20(火) 10:35:31.02 ID:13Oon+IJo [1/14]
先輩「もしかして……このゲーム、つまらなかった?」

後輩「いえ、そうではなくて……明日も朝早いので」

先輩「あー、そっか。月曜日か」

後輩「ごめんなさい、先輩」

先輩「謝られると逆に困っちゃうなぁ」

先輩「しょうがない、寝よっか」

後輩「え?先輩はいいんですか」

先輩「二人でやんないとつまんないゲームだから」

後輩「そう、ですか」

先輩「そうなんです」

2 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/10/20(火) 10:39:00.86 ID:13Oon+IJo [2/14]
後輩「……ん」

後輩(もう、朝……時間は?)

後輩(うん、まだ平気)

後輩「んーぅ……」

先輩「すぅ……」

後輩「それじゃ、行ってきますね。先輩」

後輩「……」

後輩「……ちぅ」

3 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/10/20(火) 10:44:40.88 ID:13Oon+IJo [3/14]
先輩「んーぅ……っと」

先輩(今何時……ふむ)

先輩「どうりでお腹が空いてるわけだ」

先輩(後輩ちゃんもそろそろお昼食べてるかな?)

先輩「さて、今日は何味にしようかなっと……ん」


後輩『先輩、起きてましたか』

先輩「うん、どしたの」

後輩『またカップ麺で済ませようとしている予感がしましたので』

先輩「……」

後輩『材料は買ってあるんですから、自炊の練習ちゃんとしてください』

先輩「……ふぁーい」

後輩『ちゃんと食材減ってるかチェックしますからね。捨てたりしたら……』

先輩「わ、分かってるって。じゃぁね」

後輩『あっ、先輩?』

4 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/10/20(火) 10:50:11.70 ID:13Oon+IJo [4/14]
後輩「もう……」

後輩(やっぱりちゃんと作り置きして置いた方がいいのでしょうか)

後輩(こうしてコンビニ弁当を突いている手前、強く言えない気がしてなりません)

「さっきの電話、聞こえちゃった」

後輩「あ、どうも……」

「弟くん?大変だねぇ、お姉ちゃんは」

後輩「へ?えと……まぁ」

後輩(年上が相手なんですけど、とは言えないな)

5 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/10/20(火) 10:56:33.65 ID:13Oon+IJo [5/14]
「後輩ちゃん、飲んでる?」

後輩「あ、はい。頂いてます」

後輩(参ったな、早く帰りたいのに……)

「ねぇ、後輩ちゃんってさ」

後輩「はい、なんでしょうか?」

「今、彼氏っているの?」

後輩「……」

後輩「……います」

「え?何?今の沈黙。あっやしー」

後輩(めんどくさいな、もう……ん)

後輩(……ドクロの絵文字)

後輩「すいません、急用が出来たので帰らせていただきます」

「へ?あ、ちょっ……」

「おい、お前が調子に乗るからだぞー」

「あーあ、後輩ちゃん帰っちゃったの?」


後輩(駅前のシュークリーム屋さん、まだ開いてるかな?)

6 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage] 投稿日:2015/10/20(火) 10:56:56.36 ID:eWcB9S2qo
お?両方とも女性かな?期待

7 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/10/20(火) 10:59:14.54 ID:13Oon+IJo [6/14]
後輩(……電気、付いてない)

後輩(どこかに遊びに?なわけないか)


後輩「……先輩?」

「……」

後輩(毛布が盛り上がってる……なんてベタな)

後輩「ただいま帰りました、先輩」

先輩「……」

後輩(……毛布つむり)

先輩「……お腹空いた」

後輩「材料はあったはずですが?」

先輩「……む」

後輩(台所が悲惨な事に……)

先輩「全然おいしくなかった」

後輩「分かりました、すぐに作りますね」

先輩「おいしくなかったー」

後輩「駅前のシュークリーム、ありますから」

先輩「ほんと?」

後輩「夕食の後ですよ」

8 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/10/20(火) 11:05:37.82 ID:13Oon+IJo [7/14]
後輩「……ふぅ」

後輩(昔から、子供っぽくてずぼらな所がある人だとは思っていましたが)

後輩(家賃が払えなくなって街を放浪していた所を見つけた時は、驚きました)

後輩(何も知らない先輩、まるでケースに入れられた魚のような、先輩……)

後輩(……少し失礼な物言いでしょうか)


後輩「先輩、あがりましたよ」

先輩「もぐもぐ……」

後輩「どうですか?」

先輩「おいしいよ、ほら後輩ちゃんも。あーん」

後輩「……」

後輩「……あーん」

先輩「おいしい?」

後輩「はい、おいしいですよ」

9 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/10/20(火) 11:08:10.17 ID:13Oon+IJo [8/14]
先輩「……あ」

先輩「後輩ちゃん、下着取ってー」

先輩「……後輩ちゃん?」


後輩「……」

先輩「ありゃ、寝てる」

先輩「毛布毛布っと……」

先輩「お疲れ様、後輩ちゃん」


先輩「っと、寒い寒い」

後輩「……」

後輩(……相変わらずスタイル抜群ですね、先輩)

10 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/10/20(火) 11:25:54.36 ID:13Oon+IJo [9/14]
後輩「……っ」

後輩(しまった、本当に寝ちゃってた……)

先輩「~♪」

後輩「先輩、まだ起きてたんですか」

先輩「あっ、後輩ちゃん。ごめん、起こしちゃった?」

後輩「いえ、普段寝ない時間だったので体が自然に」

先輩「そっか、ならよかった」

後輩「よくないです、先輩。こんな時間までゲームだなんて」

先輩「後輩ちゃんも、やる?」

後輩「え……」

後輩(……この時間から寝ると遅刻してしまうかもしれません)

後輩「操作方法を教えていただいてもいいですか?」

11 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage] 投稿日:2015/10/20(火) 11:38:43.11 ID:13Oon+IJo [10/14]
続きます

12 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage] 投稿日:2015/10/20(火) 11:54:08.43 ID:ESTcNlkeO
きたい

13 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/10/20(火) 14:45:44.34 ID:13Oon+IJo [11/14]
「おーい」

後輩「……」

「おーい、後輩ちゃん、おーきーてー」

後輩「……んぁ?」

「よかった、起きた」

後輩「くぁ……せん、ぱい?」

先輩「はい、先輩です」

後輩「……っ!?い、今何時ですか!?」

先輩「ご安心を、いつも後輩ちゃんが起きる時間でございます」

後輩「よかった……」

後輩「先輩がこんな時間に起きているなんて、珍しい事もありますね。おかげで助かりました」

先輩「寝てないんだなこれが」

後輩「……健康に悪いですよ」

先輩「今さら?」

後輩「……シャワー、浴びてきます」

先輩「ふわーぁ……それじゃ、私は寝ようかな……」


後輩(……私を起こすために起きていてくれた、とか?)

後輩(自意識過剰みたいで聞けませんね)

14 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/10/20(火) 14:48:03.94 ID:13Oon+IJo [12/14]
後輩「おはようございます」

「おはよう、後輩さん」

後輩「……」

「わっ、どうしたのその隈。大変な事なってるよ」

後輩「……徹夜でゲームを、してしまいまして」

「後輩さん、徹夜でゲームとかするんだ。ちょっと意外かもー」

後輩(自分でも意外です……)

15 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/10/20(火) 14:53:39.94 ID:13Oon+IJo [13/14]
「後輩ちゃん、ゲーム好きなの?」

後輩(この人は確か、昨日の……)

後輩「……まぁ、たしなむ程度には」

「俺の家、最新のゲーム機揃ってるよ!」

後輩(ゲーム機……そういえば先輩は中古で買ってきた古いゲームばかりやってますね)

「そ、それで―――今日空いて―――」

後輩(流行に興味が無いのでしょうか。それとも、私に遠慮して……?)

「ど、どうかな?」

後輩「あ、すいません。聞いてませんでした」

「……ぅ」

後輩「……?」

「ま、また今度でいいや。じゃ、じゃあね」


後輩「……なんだったんでしょうか」

「やるねぇ、後輩さん」

後輩「??」

16 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/10/20(火) 15:10:41.57 ID:13Oon+IJo [14/14]
後輩(……これが最新のゲーム機、か)

後輩(いち、じゅう、ひゃく、せん、まん……むぅ、結構しますね)

後輩(でも、先輩が喜ぶなら……)

後輩(いや、そもそも先輩が欲しがってるかどうかも……)

後輩(……推測で悩むのは性に合いませんね)


先輩「お腹空いたなー、後輩ちゃんまだかなー……ん?」

先輩「後輩ちゃんからメールだ。なんだろ?また遅れるとかかな」

先輩「なになに……」


後輩『先輩、今一番欲しい物ってなんですか?』


先輩「……?」

先輩「お腹、空いたから、早く帰って、きて……と」


後輩「……ん」

後輩「先輩、そういう事じゃなくて……」

後輩(……うぅん、先輩の望みは正にこれなんでしょうね。好意の押し付けはやめましょう)

後輩「そうと決まれば、早く帰らねば」

17 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage] 投稿日:2015/10/20(火) 22:58:51.06 ID:a0EySXjco
ええな

18 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/10/21(水) 13:31:12.88 ID:72grUMV4o [1/6]
後輩「先輩、ただいま帰りました」

先輩「おかえりなさーい」

先輩「後輩ちゃん、私の誕生日は結構先だよ」

後輩「ちゃんと覚えてますよ。そういう意味のメールじゃありません」

先輩「じゃあ、どういう事?」

後輩「……」

後輩「……実はですね」

19 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/10/21(水) 13:38:22.24 ID:72grUMV4o [2/6]
先輩「そんなこと考えてたんだ、後輩ちゃん」

後輩「……はい」

先輩「……ぎゅう」

後輩「っ」

後輩「せ、先輩……っ」

先輩「我慢を全くしてないかって言ったら、嘘になっちゃうけど」

先輩「その我慢はきっと、必要な我慢なんだと思うから。だから、平気だよ」

後輩「せん、ぱい……」

先輩「なで、なで」

後輩「く、くすぐったいですよ」

先輩「あはは、お腹空いちゃった。早く晩御飯食べよ?」

後輩「……はい」

20 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/10/21(水) 13:48:40.89 ID:72grUMV4o [3/6]
先輩「~♪」

後輩「……」

先輩「ん、後輩ちゃんもやりたいの?」

後輩「……明日はお休みなので」

先輩「あれ?水曜日だよね、明日」

後輩「祝日くらいは覚えておきましょう、先輩」

先輩「そういえばそうだっけ」

後輩「……で、その」

先輩「久しぶりにお出かけでもするー?後輩ちゃん、行きたい場所とかあるかな」

後輩「先輩はどうですか?」

先輩「私が出不精なの一番知ってるお方が何をおっしゃる」

後輩「それを言ったら、私もあまり外出する方ではないですよ」

先輩「んー、それじゃやっぱり……はいっ」

先輩「休みと言えば、徹夜ゲームでしょ!」

後輩「……お付き合いします」

21 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/10/21(水) 14:23:17.78 ID:72grUMV4o [4/6]
先輩「後輩ちゃん、そこはこうするんだよ」

後輩「なるほど」


先輩「おっ、後輩ちゃんやるねぇ」

後輩「恐縮です」


後輩「先輩、このアイテムこれと組み合わせてはどうでしょう?」

先輩「おぉ、いいね」


後輩「……」

先輩「……」

22 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage] 投稿日:2015/10/21(水) 14:26:22.57 ID:s24llUxxo [1/2]
きたか

23 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/10/21(水) 14:40:00.71 ID:72grUMV4o [5/6]
先輩「ぐー……」

後輩「……徹夜ゲームじゃなかったんですか?先輩」

後輩「……」

後輩「……ん……」


先輩「……じー」

後輩「……」

後輩「起きて、いらっしゃったんですか?」

先輩「うぅん、今起きたんだよ」

後輩「……」

先輩「……」


先輩「今日は一緒にお風呂はいろっか」

後輩「……はい」

27 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/10/22(木) 22:44:49.44 ID:JTjBVz53O [1/8]
後輩「……ふー」

先輩「お湯加減どう?後輩ちゃん」 

後輩「私は丁度いいですが……少し熱いかもしれません」

先輩「いちち、目にシャンプーが……」

後輩「大丈夫ですか?先輩。シャワーです、どうぞ」

先輩「んーぅ……ありがと、後輩ちゃん」

後輩「いえいえ」

28 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/10/22(木) 22:47:45.01 ID:JTjBVz53O [2/8]
先輩「二人だと流石に狭いね」

後輩「そう、ですね」

先輩「はー……」

後輩(普段クセ毛だから、髪の毛真っ直ぐの先輩がたまに別人に見えちゃいます)

先輩「後輩ちゃん、また大きくなった?」

後輩「へ?」

先輩「わきわき……」

後輩「ひゃっ!?せ、先輩っ」

先輩「よいではないかよいではないかー」

29 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/10/22(木) 22:58:14.56 ID:JTjBVz53O [3/8]
先輩「男の人は大きいのが好きってよく聞くけれど」

後輩「だめです、先輩……」

先輩「私も大きい方が好きだなぁ」

後輩「ん……ぅ」

先輩「こうやってクッションみたいに出来るしー」

後輩(先輩の髪……同じシャンプーのはずなのに……)

後輩「わ、私は先輩みたいに……スタイルがいい方が、いいです」

先輩「そうかなぁ?」

後輩「そう、です」

先輩「えへへ、ありがと」

後輩(……その笑顔は反則、です)

30 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/10/22(木) 23:06:47.15 ID:JTjBVz53O [4/8]
後輩「先輩、ちゃんと乾かさないとダメですよ」

先輩「えー、どうせめちゃくちゃになるんだからいいよぉ」

後輩「ダメです」

先輩「んじゃあ……後輩ちゃん、おねがーい」

後輩「……どうぞこちらへ」


先輩「~♪」

後輩(……やっぱり、いい香り)

31 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/10/22(木) 23:14:59.73 ID:JTjBVz53O [5/8]
先輩「ねぇ、後輩ちゃん」

後輩「はい、何でしょうか」

先輩「私が我慢をしてないかって、後輩ちゃんは言ってたけど」

先輩「あれって普通、私が聞くことなんじゃないかな?」

後輩「……」

先輩「辛かったらいつでも言ってね……なんて言える立場じゃないか、あはは」

先輩「……わぷあっ?」

後輩「……ぎゅう」

先輩「後輩ちゃんの髪……いい香りがするね」

後輩「先輩の髪と変わりませんよ。同じシャンプーなんですから」

先輩「えー?なんか違うと思うけど、気のせいかぁ」

32 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/10/22(木) 23:19:34.54 ID:JTjBVz53O [6/8]
後輩(私が無理するのは、当たり前なんですよ?先輩)

後輩(だって無理に先輩を縛り付けてるのは、私なんですから)

先輩「……へくしっ」

後輩「あっ、す、すいません。風邪ひいちゃいますね」

先輩「後輩ちゃんもね、早く服着よ」

後輩(……残念)

33 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/10/22(木) 23:27:54.83 ID:JTjBVz53O [7/8]
先輩「さーてっと……寝ますか!」

後輩「もうですか?今日はお早いですね、先輩」

先輩「……ぽん、ぽん」

後輩「……?」

先輩「いつも思っていたけど、一人で寝るには大きいと思うんだこの布団」

後輩「……では、失礼します」

先輩「どうぞ、遠慮なく」


先輩「後輩ちゃんほど弾力がなくて申し訳ない」

後輩「私は好きだから、いいんです」

先輩「んふふー」

後輩「……ふふ」

36 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/10/23(金) 20:28:43.18 ID:VdXKAXKdO [1/6]
『どうしたの?こんな所に一人で』

『え?あの、その……』

『見ない顔だね、もしかして新入生かな』

『ウチのガッコ広いから、こうして迷い込む子が毎年いるんだよね』

『はい、手』

『……はい?』

『ほら、急がないと遅刻になっちゃうよ』

『……あ、ありがとうございます』

37 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/10/23(金) 20:41:12.18 ID:VdXKAXKdO [2/6]
『いやぁ助かったよ、キミがうちのサークルに来てくれて』

『……いえ、そんな』

『こうして改めて知り合えたんだし、キミって呼び方は他人行儀かな』

『よろしくね、後輩ちゃん』

『よ、よろしくお願いします。先輩』


『他の方はいらっしゃらないんですか?』

『ほとんど名前借りてるだけだからねー』

『そ、そうなんですね』

『だから後輩ちゃんも無理に来なくて大丈夫だよ』

『いえ、ちゃんと来ます』



38 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/10/23(金) 20:55:09.02 ID:VdXKAXKdO [3/6]
『ここに来るのも今日までかー』

『長いようで短かったなぁ』

『……先輩』

『あれ、後輩ちゃん。どうしたの?こんな所で』

『少し、懐かしみに』

『あはは、後輩ちゃんが卒業するわけじゃないのに』

『あの時も先輩は、今と同じように話しかけてくださいましたね、どうしたの?って』

『懐かしいねぇ』

『……先輩』

『んー?』


『……また、会えますか?』

『んー……』

『また会う気がするなぁ、なんでかは分からないけど、さ』

39 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/10/23(金) 21:10:54.23 ID:VdXKAXKdO [4/6]
後輩「……ん、ぅ?」

後輩(なんだか凄く、懐かしい夢を見ていたような気が……)

後輩「……?」

後輩「せん……ぱい?」

後輩「せんぱいっ!」


先輩「どうしたの?後輩ちゃん」

後輩「……い、いたんですか」

先輩「私も起きたのはさっきだけどね。後輩ちゃん、かわゆい顔で寝てるもんだからおこしづらくって」

後輩「……」

先輩「後輩ちゃん?」

後輩「……ぎゅー」

先輩「もがが」

後輩(この気持ちはあんな夢、見たせいです)

後輩(そう、きっとそう)

先輩「よしよし、いいこいいこ」


40 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/10/23(金) 21:28:33.10 ID:VdXKAXKdO [5/6]
後輩「こんな時間まで寝てしまってたんですね、私」

先輩「お休みの日くらいいいんじゃない?」

後輩「せっかくの休みだからこそ、時間を無駄にしたくなかったんですが」

先輩「それじゃ、今からの時間を有効に使えばいいよ」

後輩「そう改めて言われても、なかなか難しいというか……」

後輩「……じー」

先輩「……?顔になにか付いてるかな」

後輩「いえ、その……」


先輩「……先にお風呂、入ろっか」

後輩「……はい」

46 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/10/24(土) 21:17:51.00 ID:bRGlXwq3O [1/5]
後輩「……ぼーっ」

後輩(……先輩、柔らかかった……)

後輩「……」

「こーうはいちゃんっ」

後輩「……はひ、なんでしょうか?」

「……そんな後輩ちゃんの顔、初めて見たわ」

後輩「ど、どんな顔してました?」

「なんて言ったらいいんだろ、マタタビを思う存分渡された猫?かな」

後輩「そんな顔してましたか、私……ぺしぺし」

「いや、悪いことじゃないと思うよ。いつもの後輩ちゃん、こう眉間にシワが寄っちゃってるから」

後輩(……自分じゃわからないですね)

47 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/10/24(土) 21:25:35.92 ID:bRGlXwq3O [2/5]
「それで、なんか良いことでもあったわけ?」

後輩「それは……まあ、その」

「いいなぁ、そういうの。初々しいって言うか」

後輩(そういえば、先輩は初めてだったんでしょうか?)

「私も彼氏、作ろうかしら」

後輩「……彼氏」

「ん、どうかしたの?」

後輩「あ、いえ……」

後輩(そう、普通は彼氏……ですよね)

48 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/10/24(土) 21:29:40.61 ID:bRGlXwq3O [3/5]
後輩(先輩はどう思ってるのでしょうか、この歪な関係を)

後輩(聞けるわけないことを悩んでも、仕方のない事ですが)

後輩(なぜ今になって、私はこんなにも不安になっているのでしょうか?)

後輩(……いえ、今になってではありませんね。私は昔から変わらないまま)

後輩(先輩にも変わらない事を、強要してしまっている)

後輩(……先輩)

49 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/10/24(土) 21:37:42.02 ID:bRGlXwq3O [4/5]
「こ、後輩ちゃん。そんなに飲んで大丈夫?」

後輩「……ら、らいじょぶれふ」

(ど、どう見ても大丈夫じゃない……でも、今ここにいる男に送らせるのはちょっとなぁ)

後輩「……げふーぅ」

(とはいえ、今の状態の後輩ちゃんにまともな道案内も期待出来ないし……ん、そうだ)

「後輩ちゃん、少しスマホ借りるわね」

後輩「……」

(通話履歴から……って、ほとんど同じ人ね)

(この先輩ってのが彼氏さん、かな?)

「お願い、出て……」

『もしもーし、後輩ちゃん?』

「……女の人の、声?」

『あれ、後輩ちゃんじゃない?もしもーし』

(……はっ、今は考えてる場合じゃないか)

「私は後輩ちゃんの会社の同僚で……」

53 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/10/26(月) 21:20:00.19 ID:wF2XcDPxo [1/2]
後輩「……うー」

先輩「大丈夫?後輩ちゃん、立てる?」

後輩「……気持ち悪い、です……」

先輩「吐いちゃえばいいよ、我慢しないで」

後輩「……う、ぷ……」

先輩「……さす、さす」

後輩「……ぅ」

先輩(後輩ちゃんがここまで飲むなんて、珍しいな)

後輩「……ぐぅ」

先輩「あ、寝ちゃった」

54 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/10/26(月) 21:37:18.74 ID:wF2XcDPxo [2/2]
先輩「連絡くださってありがとうございます」

「あ、いえ……」

先輩「よい、しょっと……」

後輩「……」

「そ、そのまま背負って行くんですか?」

先輩「急いでたもので、財布を家に忘れてしまって」

「立て替えておきましょうか?」

先輩「……」

先輩「大丈夫です、お構いなく」

「……っ」

55 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/10/27(火) 00:06:11.04 ID:gIAL5Zi+o [1/4]
「……あ、あの」

先輩「まだ何か?」

(先輩とか言う人が、女にだらしない男って可能性もまだ、ないわけじゃないけど……)

「あなたが、先輩さん……ですか?」

先輩「……そうですが、何か?」

「え?あ、その……後輩ちゃんとは、どういうご関係で?」

(なにを聞いてるんだろ、私。先輩後輩に決まって……)

先輩「恋人ですけど」

「あぁ、こいび……へ?」

先輩「もうよかったですか?」

「あ……は、はい」

先輩「それでは、これで」

「……は、はは」

56 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/10/27(火) 00:26:26.50 ID:gIAL5Zi+o [2/4]
先輩「……」

後輩「……せん、ぱひ」

先輩「あ、後輩ちゃん。起きた?」

後輩「……ずっと、おきてましたよ……」

先輩「そうだったんだ」

後輩「……せんぱい、すきですぅ……」

先輩「私も大好きだよ、後輩ちゃん」

後輩「……すぅ……すぅ」

先輩「……今度は本当に、寝ちゃったかな?」

先輩(……さっきの人に余計な事、行っちゃった気がするなぁ)

先輩(……大丈夫だとは、思うんだけれど)

57 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/10/27(火) 01:19:58.47 ID:gIAL5Zi+o [3/4]
後輩「……?」

後輩(あれ、ここは……どうやって帰ってきたんだっけ)

後輩「……っ」

後輩(頭がガンガンする……水、水……)


後輩「……んぐ、んぐ」

後輩「……ぷぁ」

後輩(だんだん頭がすっきりしてきました……)


先輩「……ぐー……」

後輩(先輩、シャツのままで寝ちゃシワになっちゃいますよ)

先輩「んー……ぅー……」

後輩「……先輩、ありがとうございました」

後輩「……ちう」

63 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/10/28(水) 02:05:44.62 ID:hlpDGvG6o [1/6]
後輩「……おはようございます」

「あ……お、おはよう。大丈夫だった?あの後」

後輩「はい……ご迷惑おかけしました」

「……えと」

後輩「……?」

「あの先輩って人と……恋人だって、ほんと?」

(……って、聞く必要ないのに)

後輩「……」

「ごめんね、後輩ちゃん。答えたくなければ……」

後輩「本当ですよ」

「……そう、なんだ」

64 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/10/28(水) 02:25:49.49 ID:hlpDGvG6o [2/6]
後輩「すいません、隠していたかったわけではないんですが」

後輩「あえて言う事でも無い気がしてしまっていたんです」

「……」

後輩「ちょうどいい機会だったのかもしれません」

後輩(きっとこんな事でも無い限り、私からは言い出せなかったでしょうし)

「……えと、その」

後輩「……変だと、思いますか?」

「あ、いや……」

後輩「いいんですよ、自分でも思わないわけじゃないですから」

「……そうなの?」

後輩「はい、いつも不安で一杯です」

65 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/10/28(水) 02:40:27.91 ID:hlpDGvG6o [3/6]
「それなら、なんで……」

後輩「……それでも」

後輩(そうだ、それでも……)

後輩「それでも、好きなんです」

「……そう、なんだ」

後輩「……はっ」

後輩「す、すいません。こんな事言われても困りますよね」

「うぅん、後輩ちゃんの意外な顔が見れてよかったよ」

後輩「お恥ずかしい、です」

「他の人には一応、内緒にしておくね」

後輩「ありがとうございます」

「っと、少し話し込んじゃったわね。急ぎましょ」

後輩「……はい」

(……それでも好きなんです、か。少し、憧れるな)

66 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/10/28(水) 03:47:31.51 ID:hlpDGvG6o [4/6]
後輩(それでも好きなんです……か)

後輩(こんな簡単な事だったんですね)

後輩(先輩に、凄く会いたい……)


先輩「……んー、お腹空いたなぁ」

先輩「今日も後輩ちゃん、遅いのかな……」


後輩「……せん、ぱいっ!」

先輩「あれ、後輩ちゃん。今日ははや……」

先輩「わぷぁっ」

後輩「先輩……大好き、です」

先輩「……ん、ありがと」

後輩「ずっと一緒に、いましょう」

先輩「私は最初から、そのつもりだよ」

後輩「先輩、せんぱい……っ」

先輩「……なで、なで」

67 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/10/28(水) 03:54:54.49 ID:hlpDGvG6o [5/6]
後輩「……先輩、そろそろ寝ませんか?」

先輩「えー?まだ早いよ」

後輩「……そうですね、もう少し起きてましょうか」

先輩「うんうん、そうしよう」


後輩「……ぎぅ」

先輩「……ぎゅーっ」

後輩「先輩、アメ食べます?アメ」先輩「んー……」

1:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/13(月) 18:24:29.49 ID:UvksuAqSo
先輩「何味?」

後輩「ハッカです」

先輩「……他は?」

後輩「ハッカだけです」

先輩「……ぷはー」

後輩「あーっ、露骨に嫌な顔しましたねっ」



2:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/13(月) 18:31:31.01 ID:UvksuAqSo
先輩「だって、ハッカってさ」

後輩「はい」

先輩「なんかこう、最後まで残ってるイメージじゃない?」

後輩「……」

後輩「……先輩は今、完全に敵に回しましたよ」

先輩「後輩を?」

後輩「いいえ、うちのおばあちゃんです」

先輩「……」

後輩「……」


3:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/13(月) 18:34:01.54 ID:UvksuAqSo
先輩「……怖いの?後輩のおばあちゃん」

後輩「すっごく優しいです、アメくれますし」

先輩「……ならいいや」

後輩「むー、そうやってまた煙に撒こうとして」

後輩「先輩はハッカよりも、そいつの方が好きって言うんですか?」

先輩「そりゃその二択ならね……」


4:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/13(月) 18:38:22.23 ID:UvksuAqSo
先輩「後輩も試してみる?案外気に入ったりして」

後輩「えっ」

先輩「……」

後輩「え、ええっと……」

先輩「ほい」

後輩「へ?あ、ダ、ダメです先輩……」

後輩「あんぐっ」

先輩「……」

後輩「……」


5:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/13(月) 18:41:33.88 ID:UvksuAqSo
先輩「……ぷっ、あははっ」

後輩「これは……シガ、レット……?」

先輩「お菓子にはお菓子で対抗するのが一番だと思いまして」

後輩「……先輩、いぢわるです」

先輩「あはは、悪い悪い」

後輩「こうなったら、先輩にも……」

先輩「っと、もうすぐ昼休みも終わるな」

先輩「それじゃ、後輩はサボるなよー」

後輩「あっ、先輩……また逃げられた」

後輩「私も急がなくちゃ……」

後輩「……もぐもぐ」


9:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/14(火) 19:45:49.99 ID:SOowNfO1o
先輩「……ふー」

ガタンッ

先輩「……っ!」

後輩「先輩、やっぱりここにいましたね」

先輩「……なんだ、後輩か」

後輩「焦って隠すぐらいなら吸わなきゃいいじゃないですか、そんなもの」

後輩「お口が寂しいなら、ここに適役もいますし」

先輩「適役?」


10:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/14(火) 19:47:23.05 ID:SOowNfO1o
後輩「どやっ」

先輩「……ぷふーっ」

後輩「げほっ、げほっ……もー、なんてことするんですかっ」

先輩「なんでハッカしかないの?」

後輩「?」

先輩「アメの味だよ」

後輩「そりゃ、おばあちゃんのお気に入りですから」

先輩「いや、そうじゃなくて……」

後輩「??」

先輩(おばあちゃん子、ってやつかねぇ)


11:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/14(火) 19:48:49.64 ID:SOowNfO1o
後輩「どうしたんですか?先輩」

先輩「んー」

先輩「一個、貰ってもいいかなって」

後輩「ほんとですか!」

先輩「ただ、条件が一つ」

先輩「……こんな風にして、口移しで欲しい」

後輩「あぁ、なんだそんなこと……へ?」

先輩「……」

後輩「……」


12:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/14(火) 19:53:26.79 ID:SOowNfO1o
後輩「冗談、ですよね?」

先輩「そんなに冗談が得意に見えるかな」

後輩「え、えと……」

先輩「ぷはー……」

後輩「……」

先輩(ちょっとした冗談のつもりだったんだが)

後輩「……むむむ」

先輩(耳まで真っ赤にされちゃうと)

先輩「私が手伝ってやるから、ほら」

後輩「あ、ちょっと……はぐっ」

先輩「……少しぞくぞくするな」

後輩「ひゃい?」

先輩「なんでもない、こっちの話だ」


13:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/14(火) 19:59:16.14 ID:SOowNfO1o
後輩(先輩の顔が、こんなに近くに……)

先輩「……」

後輩「……」

先輩「どうした、来ないのか?せっかく欲しいって言ったのに」

後輩(先輩の、吐息……っ!)

後輩「……んぐっ」

先輩「……あ」

後輩「あ……」


14:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/14(火) 20:00:32.58 ID:SOowNfO1o
先輩「平気か?詰まったりしてないか?」

後輩(先輩がさらに近く……っ)

後輩「だ、だいじょうぶですっ!」

先輩「あ、おいっ……行っちゃった」

先輩「……ちと、からかい過ぎたかね」

先輩「ふー……」


21:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/15(水) 19:15:59.44 ID:pGoBvn0jo
後輩「はぁ……はぁ……」

後輩(胸が痛い……まだ、ドキドキしてる……)

後輩(……って、走ったから当たり前か)

後輩「……ふぅ」

後輩(先輩が、急にあんなことをするなんて……)

後輩「……からかわれただけ、だよね?」


22:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/15(水) 19:25:05.51 ID:pGoBvn0jo
「おい」

後輩「ひゃわああっ!?」

「ど、どうした?」

後輩「せ、先生……?」

「なんでそんなに汗だくなんだ、お前確か帰宅部だろ?」

後輩「そうですけど……」

「っと、こんな事を話してる場合じゃなかった。お前、すぐに家に帰れ」

後輩「……?」

「今、親御さんから連絡があってな……」


23:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/15(水) 19:28:04.58 ID:pGoBvn0jo
先輩「……」

先輩(いつもなら、この時間ぐらいにドアが開いて)

後輩『先輩、やっぱりここにいたんですね』

先輩「……ふーっ」

後輩『アメ食べます?アメ』

先輩「ちっ、さっきので最後だったか」

後輩『もー、ちゃんと話聞いてくださいよっ』

先輩「……」

先輩(そういえば、後輩と初めて会ったのも、こんな雨の日だったっけ)

先輩(さっきから後輩の事ばっかりだな、ははは)

先輩「……帰るか」


24:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/15(水) 19:36:32.47 ID:pGoBvn0jo
先輩(とか言いつつ、一年の教室の前を通っちゃったりしてる)

先輩(恋する乙女かってんだよ、我ながら情けない)

先輩「……流石にいない、か」

「見た?今の」「うん、三年生だったよね?」「ちょっと怖かったー」
「でも、ちょっとかっこよかったかも」「確かに、背が高くてスラッとしてて……」

先輩「……今度こそ、本当に帰るかね」


25:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/15(水) 19:50:45.57 ID:pGoBvn0jo
先輩「すぅー……はぁー……」

先輩(……今日も来ないのか)

先輩(まさかなんかの病気、とか?だったら、見舞いに……)

先輩「……家、知らねぇや」

先輩「ふー……

先輩「ん」

後輩「……」

先輩「……」


26:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/15(水) 20:27:01.63 ID:pGoBvn0jo
後輩「……昨日もここに、いましたか?」

先輩「おう、そりゃもう」

後輩「すいません、ご心配おかけしてしまって」

先輩「……別に」

後輩「そう、ですか」

後輩「……」

先輩「……ふー」

後輩「せん、ぱい」

後輩「ん」

後輩「少しだけ、背中借りていいですか?」

先輩「……減るもんじゃないし、いいぞ」


27:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/15(水) 20:34:26.53 ID:pGoBvn0jo
先輩「……」

後輩「……」

先輩「何があったか、聞いた方がいいか?」

後輩「……聞かれたら、答えられるかもしれません」

先輩「なら、聞かせて」

後輩「……はい」


31:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/18(土) 19:02:44.61 ID:EVQCxYN9o
先輩「この前言ってたばあちゃんが、倒れたのか」

後輩「……一昨日まで、そんな素振りは全然見せてなかったんです」

後輩「だから、私も全然気にしてなくて……」

後輩「そのせいで無理とか、させちゃってたんじゃないかって……」

後輩「……ひぐっ」

先輩「大変だったんだな」

後輩「……ぁぅ」

先輩「悪い、そんな状態なのにこんな所に来させて」

後輩「来させて、だなんてそんな」

先輩「こっちは平気だから、ばあちゃんの所に行ってやんな」

後輩「……はい」


32:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/18(土) 19:12:29.86 ID:EVQCxYN9o
後輩「……先輩」

先輩「お?」

後輩「また、明日」

先輩「おう、また明日」

先輩「……」

先輩(……泣き顔見て引き留めたくなるとは)

先輩(こういうのも、不謹慎ってやつになるのかね)

先輩「……ふー」

先輩「……ちっ、今日も降ってきやがったか」


先輩「……つめてぇ」 後輩「……つめたい」


33:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/18(土) 19:22:34.78 ID:EVQCxYN9o
先輩(今日も雨か、うんざりだぜ全く)

先輩「……ん」

後輩「……」

先輩(……後輩?)

先輩「おい、何してんだよ。びしょ濡れじゃねーか」

後輩「あ、先輩……」

先輩「あ、じゃないだろ。先に待ってるにしても、待ち方ってもんが……」

後輩「……」

先輩「とりあえず、こっち来い」


34:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/18(土) 19:28:55.20 ID:EVQCxYN9o
先輩「ほら、これ着ろ」

後輩「これ、先輩の……」

先輩「いいから、黙って言う事聞け」

後輩「……はい」

先輩(下着までびしょ濡れって……いつからいたんだ、こいつ)

後輩「……」

先輩「……」

先輩「今度は何があったんだ?」

後輩「……」

先輩(何となく想像は付くけど、こっちから言う事じゃない気がする)


35:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/18(土) 19:33:29.50 ID:EVQCxYN9o
後輩「……」

先輩「……」

後輩「あったかいです、先輩の背中」

先輩「そりゃ、お前の体がそんだけ冷たいだけだろ」

後輩「……おばあちゃんは、もっと冷たかったです」

先輩「……そうか」

後輩「……」

先輩「悪い、今回のは聞かない方がよかったか」

後輩「……いえ、私が勝手に話しただけですから」

後輩「すいません、湿っぽくて」

先輩「雨だから気にならん」

後輩「……よかった」


36:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/18(土) 19:53:18.89 ID:EVQCxYN9o
先輩「雨、止まねぇな」

後輩「……止みませんね」

先輩「寒くないか?」

後輩「寒くな……くしゅんっ」

先輩「嘘付こうとすんな、バカ」

後輩「いちっ……すびばぜん」

先輩「そのままじゃ帰る前に風邪引くだろ」

後輩「でも、着替えなんて……」

先輩「近くなんだ、うち」

後輩「うちって、先輩の家ですか?」

先輩「うむ」

後輩「……」

先輩「後輩さえよければ」

後輩「……くしっ」

先輩「と思ったが、問答無用だ。急ぐぞ」

後輩「あ、待ってくださいよっ」


39:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/19(日) 19:20:38.78 ID:EgT181JUo
後輩「……お邪魔します」

先輩「とりあえず、シャワー浴びてこいよ」

後輩「ご家族にご挨拶とかは……」

先輩「いいよ、どうせ誰も帰ってこないんだから」

後輩「……?」

先輩「ほら、早く行って来いって」

後輩「は、はい……」


40:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/19(日) 19:44:48.83 ID:EgT181JUo
後輩(……)

後輩(このシャンプー、いい香りがする)

後輩(後でどこに売ってるか、聞いてみようかな)

後輩(……先輩の心配そうな顔、こんな形で見ることになるなんて)

後輩(……ぐす)

先輩「おーい」

後輩「……せ、先輩?」

先輩「なんて声出してんだよ、覗いたりしないから安心しろっての」

後輩(そういう訳じゃ……)

先輩「着替え、ここに置いておくからな」

後輩「はい、ありがとうございます」

先輩(……この向こうに、後輩が)

先輩(って、何考えてるんだ。バカか)


41:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/19(日) 19:54:57.89 ID:EgT181JUo
後輩「……ふぅ」

後輩(これが先輩の服……)

後輩「……くん、くん」

後輩(って、何してるんだろう私)

後輩「んしょ……」

後輩(……丈、ぶかぶか……胸が少しキツい、かも)

後輩「……」

後輩「すん、すん」

先輩「……泣いてんのか?」

後輩「ひゃああっ!?」


42:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/19(日) 20:03:41.63 ID:EgT181JUo
先輩「戻ってくるのが遅かったから、心配になってな」

先輩「ま、その様子なら心配はなさそうだな」

後輩「ご心配おかけしました、もう大丈夫です」

先輩「無理して笑ってないか?」

後輩「……まだ、少しだけ」

後輩「でも、いつまでも泣いてたら……おばあちゃんも安心できないと思うので」

先輩「……そっか」

後輩「だから、先輩も心配しないでください」

先輩「そういう事なら、もう心配してやらない」

後輩「あははっ」

先輩「……ふっ」


43:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/19(日) 20:51:12.63 ID:EgT181JUo
先輩(……しかし)

後輩「先輩、あのシャンプーどこに売ってるんですか?」

先輩(制服の時は気付かなかったな、着痩せするタイプなのか)

後輩「先輩?」

先輩「ん、あぁ?なんだったっけか」

後輩「お風呂場のシャンプーが……」

先輩「あぁ、あれは……」

先輩(うちのシャンプー、こんないい香りだったっけか)

先輩(……むむむ)


47:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/20(月) 21:07:36.79 ID:ZtqgdFI2o
後輩「そういえば、先輩」

先輩「ん」

後輩「おうちでは、吸われないんですか?」

先輩「見つかるとちょっと面倒だからな」

後輩「……そう、ですか」

先輩「なんでちょっと残念そうなんだ」

後輩「へ?」

後輩「残念そうな顔してました?私」

先輩「見間違いじゃなければ」

後輩「きっと見間違いです」

先輩「かねぇ」


48:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/20(月) 21:14:56.52 ID:ZtqgdFI2o
先輩「遠慮しなくていいなら、失礼して……」

先輩「……ふー」

後輩「……」

先輩「……」

先輩「……なぁ」

後輩「はい?」

先輩「そんな風にまじまじと見られると、非常に吸いにくいのだが」

後輩「す、すいません」

先輩「今さら珍しいもんでもないだろうに、変な奴」

後輩(……ほんと、なんでだろう)

後輩(いつもより、ドキドキしてる)


49:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/20(月) 21:36:17.25 ID:ZtqgdFI2o
後輩「……あ」

先輩「?」

後輩「もうこんな時間……お父さんとお母さんが、心配してるかもしれません」

先輩(いつの間にか大分時間が経ってたな」

後輩「雨も止んでるみたいです」

先輩(引き留める理由も無くなった、か)

先輩「また降りだすと面倒だ、早く帰ったほうがいい」

後輩「……そう、しますね」

先輩「家がどの辺りか知らないが、傘持ってけ」

後輩「ありがとうございます、先輩」

先輩「……」

先輩「……じゃ、また」

後輩「はい、また」


50:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/20(月) 22:03:14.02 ID:ZtqgdFI2o
先輩(弱みにつけこむようで、気が進まなかったのか)

先輩(不謹慎気味とはいえ、千載一遇のチャンスだった気がしなくもない)

先輩「……ふーぁ」

先輩(後輩と出会ってから、らしくねぇ気がする)

先輩(そして……そのらしくなさが不快じゃないのが、また癪だ)

先輩「……また、か」


後輩「ただいまー」

後輩「ちょっと雨に濡れちゃって、先輩の家でご厄介になってたの」

後輩「心配かけてごめんなさい」

後輩「……うん、もう大丈夫」

後輩「御線香、あげてくるね」


55:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/24(金) 01:01:29.21 ID:lhiTIyNro
先輩「……ふー」

先輩(今日は晴れたな……ん)

先輩「よう、風邪をひかなかったみたいで安心したよ」

後輩「先輩のおかげです」

先輩「じゃ、お返しを貰おうかな」

後輩「へ?」

先輩「ぎぶあんどていく、おーけい?」

後輩「む、無償の愛って素晴らしいと思いませんか?」

先輩「あいにく、神様はあまり信じてなくてね」

後輩「……」

先輩「……」


56:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/24(金) 01:13:48.11 ID:lhiTIyNro
先輩「そうだ、あれ。アメないの?アメ」

後輩「あるにはある、んですが」

先輩「なんだ、歯切れが悪いな」

先輩(いつもなら、自分から勝手に薦めてくるくせに)

後輩「その……これ、最後の一個なんです」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「……で?」

後輩「……え」


57:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/24(金) 01:20:30.61 ID:lhiTIyNro
先輩「最後の一個だから、食べないのか」

後輩「……」

先輩「勿体ない気がするけどなぁ。食べてもらうためにくれたんだろ?それ」

後輩「……せ、先輩にはあげませんっ」

先輩「ありゃ、残念」

後輩「もぐもぐ……」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……ちらっ」

先輩「……」

後輩「……ひぇんはい」

先輩「ん」

後輩「ひゃめ……ほひぃ、れふか?」

先輩「何言ってんだかさっぱりだ」


58:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/24(金) 01:27:03.48 ID:lhiTIyNro
後輩「……」

先輩「なんだよ、その目」

後輩(アメを舐めたままだと、うまく喋れない……)

後輩(でも、このアメは……)

先輩「何が言いたいか、わかんねぇけど」

後輩「……っ!?」

先輩「こっちはアメが欲しいだけ、なんだよ」

後輩「……ん、んぐー」

先輩「……ちゅ……じゅる」


59:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/24(金) 01:41:29.00 ID:lhiTIyNro
後輩「……ぷはっ」

先輩「……もぐもぐ」

後輩「……おいしい、ですか?」

先輩「んー」

先輩「以前は散々言ったが……思ってたよりは悪くないかも」

後輩「ほら、やっぱり食わず嫌いはよくないですよ!」

先輩「でも、悪くないってだけでなぁ」

後輩「……むー」

後輩「そんな言うなら、返してくださいっ!」

先輩「あっ、こらっ」

先輩「……んむ」

後輩「ちゅぱ……ん……」

後輩(と、取り返してやりました……もぐもぐ)


60:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/24(金) 01:55:42.64 ID:lhiTIyNro
先輩「……」

後輩「……」

先輩「……じー」

後輩(……冷静になってみると、とんでもない事をしてしまった気がする)

先輩「なんだか取られると、取り返したくなるな」

後輩「……!」

先輩「……ふふふ」

後輩「ひぃーっ、許してください先輩っ」

先輩「許すも何も……悪いことしてないよ、お前は」

後輩「んぐーっ!」


61:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/24(金) 02:09:47.93 ID:lhiTIyNro
後輩「……はぁ……はぁ……」

先輩「……ぺろぺろ」

後輩「先輩、その」

先輩「んー?」

後輩「……」

先輩「あ、あめ」

後輩「もうないですって」

先輩「違う、上だ上」

後輩「あ……」


62:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/24(金) 02:15:00.35 ID:lhiTIyNro
先輩「すっかり天気が良くなったとおもって、油断してたぜ」

後輩「先輩、もしかして傘を?」

先輩「うむ」

後輩「……持ってきてます、私」

先輩「あ、昨日貸した奴?」

後輩「はい、丁度良かったですね」

先輩「そんじゃ、強くならないうちに帰るか」

後輩「そうしましょう」


先輩「んで」

後輩「はい?」

先輩「さっき何言おうとしてたんだ?」

後輩「……いえ、何でもないです、なんでも」

先輩「ふーん……」

先輩「てっきり、愛の告白かと」

後輩「!?」

先輩「なーんてな、ほら行くぞ」

後輩「……はい、先輩」


63:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/24(金) 02:17:34.97 ID:lhiTIyNro
後輩(分かってて転がしてるんですか?先輩)

後輩(……でも、それでもいいです)

後輩(大好きです、先輩)


先輩(分かってて転がすフリでもしないと)

先輩(余裕が無い事バレたら、恥ずかしすぎる)

先輩(可愛い奴め、後輩)

ネクロくんとマンサちゃん

1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/11(金) 21:06:37.35 ID:7iy1jcu1o
雨は嫌いだ。あの日の事を思い出してしまうから。
キミがボクの腕の中で、冷たくなっていったあの日を。今でもずっと、忘れられないあの日を。

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/11(金) 21:07:06.17 ID:7iy1jcu1o
「……おはよう」
ボクはいつものように彼女に朝の挨拶をする。
彼女はボクの方を見てふわぁ、と大きな欠伸をすると、
「おはよう、今日も早いね」
右手をひらひらと振りながら、そう挨拶を返した。
ボサボサの髪を見た感じ、起きてきたのはついさっきだろうか?いや、ボクがいないといつでもボサボサの気もするけど。
ボクは荷物を玄関にどすんと降ろし、そのまま脱衣所へと向かう。自分でも分かるぐらいに臭っている服を乱暴に投げ、ボクは水を浴びる。
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/11(金) 21:07:52.14 ID:7iy1jcu1o
「……どう?」
よほどお腹が空いていたのだろう、彼女はボクの言葉にしばらく答えず器を貪っている。
やがて器の中身を空にしてからボクの方を見て、
「……おかわりは、ある?」
そう上目遣いに聞いてきた。
保存用に取っておいた分はあるのだが、保存用はあくまでも保存用だ。そう言葉を返したかったが、彼女の上目遣いを耐え続けられるボクではなく、冷蔵庫に入れていた残り半分を彼女に献上することとなった。
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/11(金) 21:08:42.74 ID:7iy1jcu1o
キミは食べないの?おいしいよ?」
流石の彼女もおかわりの時は周りを見る余裕があるのか、器から顔を上げてこちらを見ながらそんなことを言った。
「……大丈夫。お腹、減ってないから」
「ふーん……そっか」
結局おかわりも皿を舐めるまで堪能した彼女は、満足そうに満面の笑みを浮かべるとソファーで横になった。
ボクは器を片付けながら、明日のことについて思慮を巡らせる。流石に連日はマズい気がするが……かと言って代用品もそうそう見つかるものではない。色々と悩むボクの背中に、ふわっと柔らかな感触。
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/11(金) 21:09:15.00 ID:7iy1jcu1o
お腹いっぱいになったら、眠たくなっちゃった……」
もう既に半分寝入りそうな声で彼女が言う。
言葉に続きはないが、ボクを離そうとはしない彼女が続けようとしたであろう言葉は一つだろう。
彼女に引っ付かれたまま、さっきまで寝ていたソファーまで彼女と移動すると、ボクもそのまま横になった。
まだ臭わないか少し心配だったが、彼女はそんなこと気にしていないのかぐりぐりとボクの背中に頭を擦りつけて、
「んー……」
と、幸せそうに声をあげている。ボクはと言うと、そんな幸せそうな彼女を堪能しながら目を閉じた。
自分でも気づかないほど疲れていたのか、ゆっくりと睡魔が僕の体を這い上がり包み込む
その感覚に逆らわぬよう、僕はゆっくりと眠りに落ちて行った。
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/11(金) 21:09:50.58 ID:7iy1jcu1o
……ん」
体に重みを感じて、ボクは目を開ける。目の前に広がる白い布と、豊満な胸。彼女がボクの上に圧し掛かっている、と理解するのに数秒かかった。
「ご、ごめん。重かった?」
僕が目覚めたことに気付き、素早く飛びのく彼女。あまりにも勢いよく飛びのいたので、そのまま自分の服の裾を踏んでずでんと転ぶ。
噛まれた肩をぱんぱんと払い、僕は彼女に手を伸ばす。そのまま彼女の体を抱きかかえると、真っ直ぐ立たせた。
「えへへ、どじっ……」
彼女が頭を掻こうと上げた腕がふわりと宙を舞う。そのまま腕は壁まで綺麗な弧を描き、ごとんと音を立てて落ちた。
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/11(金) 21:10:22.46 ID:7iy1jcu1o
「……」
「……」
無言のままボクはその腕を拾うと、付いている方の彼女の手にそれをポンと渡す。
やはり先延ばしにするべきではなかったらしい。さっきまで表情豊かだった彼女が、虚ろな瞳でボクを見つめ返している。
「……少し出かけてくるね」
聞こえているかは分からないが、彼女にそれだけ言い残しボクは玄関へと急ぐ。
あの状態なら、まだ外へ出ていくことはないだろう。荷物を背中に背負ってからもう一度振り返り、ボクはそう確信して家を後にする。
昨日の今日なもので、あまり派手な行動をしたくないボクは悩んでいた。代用品だって簡単に見つかるものでは無いし、何より代用品の方が取るのに手間がかかる。
頭を捻らせながら森を歩いていると、普段は人気の無い花畑に一人の少年の姿が見えた。ボクはそこで立ち止まり、しばらく少年の姿を観察する。
お目当ての花でもあるのか、地面とにらめっこを続けている少年。周囲への警戒は一切なく、熊でも現れない限りは気付かないだろう。
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/11(金) 21:10:48.81 ID:7iy1jcu1o
「……」
ボクは荷物を降ろすと、中身を取り出す。子供は初めてだが、大人とそう勝手が違うという事は無いだろう。予想より早く済みそうで、ボクは小さくほくそ笑んだ。
家へ戻ると、彼女は朝に見た姿そのままで立っていた。虚ろな瞳は完全に何も映さなくなっており、ボクの事にもまったく気付いていないようだが、もちろん死んでいるわけではない。その証拠に、ボクの荷物から漂う臭いに反応して指先がピクピクと動いている。
「……待っていてね、今すぐ準備するよ」
彼女にひらひらと手を振って、ボクは厨房へ進む。今日はそこまで分解に手間取らないだろうと思っていたのだが、意外と肉が硬くなってやり辛い。大きさは関係なく時間経過に問題があるのだ、とボクは変に納得しながら器を運ぶ。
「……」
ボクは器に口を付け、それを一欠片口に含むと、そのまま虚ろな瞳であらぬ方向を向く彼女の口へと運んだ。
柔らかい彼女の唇の感触を楽しみながら、欠片を彼女の口へと流し込む。きちんと飲み込んでくれるか毎度不安なこの方法だが、今回もちゃんと喉が鳴った。
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/11(金) 21:11:48.88 ID:7iy1jcu1o
「……あ」
 ゆっくりと彼女の瞳に光が戻り、ボクの顔をしっかりと捉えると、
「……おかえり」
 優しい表情で、彼女が微笑んだ。ボクはそんな彼女の口元から垂れた血を袖で拭い、
「……ただいま」
 そう言葉を返して、小さく微笑み返す。彼女の視線は既にボクの元を離れて器の方へ向いていたので、あまり意味は無かったが。
 満足そうに眠る彼女を見ながら、ボクは壁にもたれて溜息を吐く。ここの所、彼女の食事のペースが速くなっている。いや、実はこれが普通の速度で、今まで彼女が我慢していただけかもしれないが。
「……むぅ」
 とりあえず彼女が寝ている間に、食料を確保してこなければ……寝起きの度に噛まれていてはたまらないし。
 ボクは彼女の寝顔に少し触れてから、また荷物を持って家を出た。
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/11(金) 21:12:52.86 ID:7iy1jcu1o
「今度は子供か……」
「獣の仕業にしちゃ連日過ぎるよな、やっぱ」
 近くから聞こえてきた声に、ボクは咄嗟に身を屈めた。幸いボクはあまり体格がいい方ではないので、二人の男はボクに気付かず通り過ぎる。
 先程の会話、昨日の事を言っているのは明らかだ。やはり間髪開けずにやってしまうとこうなることは分かっていた。分かってはいたが、こんなに早く足が付くなんて。
 荷物を木にもたれさせ、一息吐きながら今後について考える。このままでは、隠れ家が見つかるのも時間の問題だろう。となれば、転居も視野にいれないといけない。この辺りを気に入っていただけに、あまり気は進まないが。
「……移動するとなると、多目に保存食が必要だよね」
 先程の二人が行った方を見て、ボクは呟くように言う。二人相手は厳しいかもしれないけれど、今は四の五の言っていられない状況なわけで。ゆっくりと荷物を持ち上げ、とことことボクは歩を進めた。
 ボクは自分の貧弱さが気に入らないのだが、こういう時は本当に役立つから憎らしい。
いつもより二倍重い荷物を引きずりながら、ボクはそんなことを考えていた。
「……重い」
 最悪の場合、途中で解体して持って帰るのも視野に入れねばならないだろう。そんなことを思いながら帰路に付いたボクは、すぐに後悔することになる。
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/11(金) 21:13:34.43 ID:7iy1jcu1o
蹴破られたドアに慎重に近づき、ボクは荷物を玄関脇に降ろすと、出来るだけ物音を立てないように中へと進む。踏み荒らされた玄関、靴跡を見るに相手は一人だ。
(……無事でいて)
 リビングが見えたところで、誰かの気配にボクは身を隠す。ドアの端から部屋を覗くと彼女の足が見えてきた。少し視線を上にずらすと、真っ赤な水溜りの上に一人の男が立っていて。
「……っ!」
 頭に血が上ったボクは、武器を手に取るのも忘れてドアの端から飛び出すと、そのまま男に向って体当たりを食らわせた。
 ボクに気付いていなかったのだろう、もろに体当たりを受けた男はその場に倒れ込む。
そのままマウントを取って追撃しようとしたボクの腹部に思い切り衝撃が走り、そのままボクは壁に叩きつけられた。
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/11(金) 21:15:02.99 ID:7iy1jcu1o
「いってぇ……なんだこのガキ?」
 男は水溜りを踏みつけながら立ち上がると、そのままボクの方へと歩を進めた。受けた衝撃が大きかったのか、ボクの体は言う事をきかない。男に髪を乱暴に掴まれ、そのまま無理矢理立たされるボクの体。
「血の臭い……まさか、お前が……?」
 何とかボクの意思が体に伝わり、男の金的を狙って足を振り上げようとした。しかし、その足は男の体を捉える事はなく、ボクの体が再び宙を舞う。今度は彼女の近くにごろごろと転がり、血の水溜りの上で止まった。
「気持ち悪いガキだぜ……こんなガキが、連続殺人犯なのか?」
 男が銃口をボクに向けながら、独り言のように呟く。ボクはその言葉に何も返さず、銃口をじっと見つめ返した。
「まぁいいか。どうせ見られたからには生かして返さねぇんだし」
 男はそう言って、引金に指を掛ける。轟音が響いて、ボクの頭にかつてない衝撃が走った。ぐわんぐわんと視界が揺れて、彼女の血とボクの血が混ざりあう。もう一度轟音が響き、ボクの体が床にたたきつけられた。
 何度も見慣れていたはずの血の色が、今日はやたらと鮮やかに映えて見える。
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/11(金) 21:15:33.52 ID:7iy1jcu1o
「……気持ちわりぃガキだぜ、全く」
 男が銃を懐にしまい、ボクから視線を外す。外した視線が次に捉えたのは、もちろん彼女の方。
「連れていく前に少しぐらい楽しむのは役得だよな……身なりは悪いが上玉だぜ」
 男が伸ばした手に抵抗しようとするが、女の子の力ではどうしようも無く、そのまま彼女は組み伏せられた。カチャカチャと金属の擦れる音がする。
「……」
のんきに寝ている場合ではない。ボクは力の抜けた全身に、ゆっくりと力を込める。
「へへへ……」
 男は完全に彼女に夢中で、ボクの方を気にする様子は無い。そのままボクはゆっくりと立ち上がり、彼女が飲んでいたであろう牛乳の入っていたコップを握ると、そのまま叩きつける。ガシャン、と大きな音を立ててコップが割れた。
「……あ?」
 突然の音に振り返った男の首元に、ボクは思い切り割れたコップを突きたて、そのまま横へと振り抜く。真っ赤な血が弧を描いて噴き出した。
 さっき見た血よりも汚らしい、見るに堪えない血。
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/11(金) 21:17:59.37 ID:7iy1jcu1o
「か……は?」
何が起きたか分からない、と言った表情の男にボクは再度コップを突き刺す。何度も、何度も、何度も。やがてコップの中身がトマトジュースだったと思えるほどになってからボクはコップを脇へ投げた。
「ば……け、も……」
 まだ声が出ることに驚いたが、どうやら最後の断末魔だったらしく男はすぐに動かなくなった。男が動かなくなったのを確認して安堵したのか、彼女がボクの元へと駆け寄ってきた。不快な返り血がべったりと付いた服で彼女を受け止めるのは気が引けたが、今は彼女を安心させるのが最優先だ、とボクはそのまま彼女を抱きしめた。ふんわりと柔らかい彼女の髪が、ボクの頬に触れる。
「怖かった……怖かったよぉ……」
 ボクは彼女の頭をぽんぽん、と優しく撫でてあげる。しばらくボクの胸で縮こまっていた彼女だが、やがて落ち着いたのかボクの胸を離れて椅子に座った。ボクの方へ物欲しそうな視線を向けている所を見ると、そう言う事なのだろう。
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/11(金) 21:19:11.86 ID:7iy1jcu1o
 ボクは汚い血の付いた服を脱ぐと、そのままゴミ箱へ放った。本当は一風呂浴びてから着替えたかったが、彼女を待たせるわけにはいかないのでそのまま替えの服を着る。
 やはり硬さは鮮度に依存するらしく、今回は簡単に解体することが出来た。
「もぐもぐ……本当にキミは食べなくていいの?」
「……うん、お腹空いてないから」
 いつもの会話をしながら、ボクは天井を見ていた。考えている事は、今後どうするかについて。先程の男は、きっと近隣の村に雇われてきたのだろう。しばらくすれば今日よりもっと多くの人がここへ来ることになる。そうなると流石に面倒だ。
「……引っ越そうか?」
「……私のせい?」
 器から顔を上げた彼女の瞳が、ボクの方を見る。悪いことをした子供のような、不安そうな瞳。ボクはそんな彼女の頭をまたぽんぽんと撫でて
「……うぅん、ボクのせい」
 とだけ返して、微笑む。そう、彼女がこうなったのはボクのせいなのだから。だから全部、ボクのせい。
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/11(金) 21:19:59.50 ID:7iy1jcu1o
本日快晴、お日柄もよく。ボクと彼女は手を繋いで道を歩いていた。
 保存用に加工した食料はしばらく持つし、久しぶりに彼女と散歩気分で歩くのは気分がいい。彼女もそうなのか、ボクの方を見てニッコリ笑った。
「次はどんなところかな?」
「……うーん」
 どこまでも続いて見える道を見つめてから、ボクは彼女の方を見て笑う。
「キミと一緒なら、どこでもいいよ」
プロフィール

花見月

Author:花見月
主に2ch系掲示板で自分が書いたSSを纏めてます
思い出したものからかたっぱしに記事にするので順不同で

twitterでも更新報告したりしてます
@hanami2ki

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