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姉「私の義妹」妹「私のお姉ちゃん」

1 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/19(木) 19:08:57.18 ID:HzgNaAfUO [1/6]
義妹が私の妹になったのは、私がまだ中学生に上がりたての頃。
明るそうな母親とは対照的に、おどおどと母親の背に隠れる姿は昨日の事のように鮮明に思い出せる。
きっと私の顔が怖かったのだろう。
離婚だの、再婚だの、色々立て込んでいたから。
そのせいで私は妹の中で「怖いお姉ちゃん」になってしまったのではなかろうか。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1447927737


2 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/19(木) 19:13:27.43 ID:HzgNaAfUO [2/6]
「……お姉ちゃん、起きてる?」

「ん……起きてるよ」

「お母さんが、朝ご飯って……」

「あー、今行く」

「……」

「……もう行っちゃったか」

3 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/19(木) 19:19:35.25 ID:HzgNaAfUO [3/6]
私は大きく欠伸をすると、一階へ降りてリビングへ向かった。
朝が苦手な私はいつも妹に起こしてもらっている。
全国のシスコンが聞いたらガタッとなるシチュエーションだろう。
半開きのドアに顔半分隠しながら、ビクビクと声を掛けてくる妹というのも、人によってはご褒美だろうか、
私としては不本意なのだが。

4 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/19(木) 19:24:17.65 ID:HzgNaAfUO [4/6]
「おはよう、お寝坊さん」

「……おはようございます」

「パンとご飯、どっちにしましょうか」

「パンで」

「いつもの?」

「いつもので」

5 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/19(木) 19:32:11.36 ID:HzgNaAfUO [5/6]
いつものぎこちない会話。
別にこの人のことが嫌いなわけじゃない。
きっと私は母親という存在そのものが苦手なのだろうと思う。
それは誰であっても変わりないのだろう。
そんなことを考えながら歯を磨き、適当に髪を整える。
制服に着替えながら、再び大欠伸。
誰に向けるでもない挨拶をしながら、私は学校へ向かった。

9 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/19(木) 21:13:48.63 ID:jHptHv4BO [1/5]
「朝から不景気な顔してんね」

「……ほっとけ」

「おー、こわ」

「妹ちゃんに言いつけちゃおっかなー」

「……ぐ」

「冗談だよ、じょーだん。そんな怖い顔すんなって」

「……生まれつきだっての」

10 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/19(木) 21:22:16.97 ID:jHptHv4BO [2/5]
こいつは私の数少ない友人。付き合いの長さだけで言えば、妹よりも長い。
こんな奴だが実際親友と呼んでも良い存在だ。
しかしよりにもよって妹はなぜこいつのいる部活へ入ったのか。
そのせいで弱みでも握られたかのように度々こんなイジりを受けてしまう。
いやまあ、妹に悪気はないのだろうし、そもそもなにも悪くないのだが。


11 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/19(木) 21:25:26.37 ID:jHptHv4BO [3/5]
「しっかし、あんたは相変わらず見てて飽きないわ」

「……?」

「すぐ顔に出るからさ、からかい甲斐があるよ」

「顔に出てるのか、私は」

「そりゃもう、ありありと」

「……そ、か」

12 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/19(木) 21:28:09.51 ID:jHptHv4BO [4/5]
多分それは、こいつにしか分からないことなのだろう。
そんなところに私は助けられている。
しかしながら、本当に伝えたい相手には全く伝わっていないのだ。
助けられてばかりではいけないという事なのだろうか。
私は一番後ろの席で、窓に向けてため息を吐いた。

15 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/20(金) 18:05:42.35 ID:w1noihB1O [1/14]
(……お、一年は体育か)

(あいつ、相変わらず足遅いなー……陸上部なのに)

(あ、こけた……)

(……)

「あてっ」

「おう、随分と余裕そうじゃないか」

「……」

「なんだ、文句でもあるのかその顔は!」

(なんも言ってないのに)


16 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/20(金) 18:11:14.55 ID:w1noihB1O [2/14]
私は努めて普通だ。
いや、普通にしているつもりになっているだけなのだろうか。
こんな理不尽な怒られ方をするのも初めてではない。
前の母親にもよく言われていた気がする。
あまり思い出せない、思い出したくないの間違いだろうか。
先程こけた妹の姿は思い出せる。微笑ましい姿に少し頬が緩んだ。
こんな風にいつでも笑えればいいのかもしれない。
私にはとても難しいことに思えたが。

17 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/20(金) 18:17:49.30 ID:w1noihB1O [3/14]
「今日は何パンにしようかなー」

「……焼きそばの気分だな」

「んー、私はコロッケだね」

「……」

「……」

「じゃん」

「けん」

「ぽんっ」

「やりっ、今日も私の勝ちぃ」

「……次は負けんぞ」

「はっはっはっ、いつでも掛かってきなさい」

18 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/20(金) 18:34:56.77 ID:w1noihB1O [4/14]
うちの学校の購買は、漫画などであるように争奪戦になったりはしない。 
食堂がある上に弁当持ち込みも可能なので当たり前といえば当たり前だが。
まず友人に頼まれたパンを摘み上げると、次に自分のお目当てへと手を伸ばす。
その時、不意に伸ばされた誰かの指先が触れる。
私の焼きそばパン気分を邪魔するとはいい度胸ではないか。
私は伸びてきた手を視線で辿る。

19 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/20(金) 18:40:37.90 ID:w1noihB1O [5/14]
「……あ」

「……お」

「あ、えと……ご、ごめんなさいっ」

「おい、待てよ」

「……」

「持ってけ。おごりでいい」

「え、でも……お姉ちゃんの分が」

「私は……本当はコッペパンの気分だったんだ」

「おばちゃん、会計お願い」

「……お姉ちゃん、ありがとう」


「それでコッペパンなのか、ウケる」

「……うるさい。コロッケ部分だけ齧り取るぞ」

「そりゃ勘弁」


20 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/20(金) 18:58:07.16 ID:w1noihB1O [6/14]
放課後、私は教室に残り何をするでもなく校庭を見ていた。
野球部の声出しやサッカー部のランニング、実に青春と言った光景である。
昔、部活に所属していた頃を思い出す。
とは言っても、私の部活に対する態度
はあんな汗と涙の結晶という感じではなくて。
身体を動かしている間は色々なことを忘れられるから、そのためだけにやっていた節がある。

22 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage] 投稿日:2015/11/20(金) 20:29:48.87 ID:w1noihB1O [8/14]
「こらー、用の無い生徒は早く帰らんかー」

「……何してんだ?お前」

「つまんない反応だなー……てか、それ私のセリフ」

「部活はどうした」

「大会前は自主練。その程度のことも話さないんだ」

「……」

「もーすこし仲良くしてあげりゃいいのに」

「そう簡単な話じゃない」

「そうかね?」

「そうだよ」

23 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/20(金) 20:37:38.62 ID:w1noihB1O [9/14]
部外者だから気楽に言える。
部外者だからこそ、気楽に言ってくれる。
私は帰路に着きながら言われた言葉を反芻していた。
本当は簡単な話なのだろう。
私達は姉妹だ、仲良くしていても不自然ではない。
妹が望んでいるのかは知らないが、少なくとも私はそれを望んでいる。
いや、それだけなのだろうか。
この違和感がいつも、私の邪魔をする。


24 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/20(金) 20:39:24.90 ID:w1noihB1O [10/14]
「……お、おかえり。お姉ちゃん」

「ん、ただいま」

「……あ、あの」

「どした」

「今日のお昼……ありがとう」

「別にいいって」

「う、うん……」

「……」

「……」

25 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/20(金) 20:46:20.38 ID:w1noihB1O [11/14]
いつも弁当なのになぜ購買にいたんだとか、大会前だったんだな、とか。
会話の種はたくさん落ちているはずなのに、私はそれらが芽吹く前に全て摘み取っていく。
そのせいで妹は、困ったような顔で私を見ることしか出来ないのだろう。
不器用な私、とでも言えば少しは自己弁護できるだろうか。
私は鏡の前で苦笑した。
やはり私には難しいよ。

26 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/20(金) 21:07:05.49 ID:w1noihB1O [12/14]
「たっだいまー」

「おかえり、お父さん」

「あれ、お母さんはまだ帰ってきてないのかい?」

「今日は夜勤の日でしょ」

「あれ、そうだったっけ……」

「アルツハイマー?」

「まだそんな歳じゃないと信じたいね」

「すぐに夕飯の支度するね」

「いつもありがと。でも、お腹空いたら先に食べててもいいんだ」

「うん、分かってる」




27 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/20(金) 21:18:32.90 ID:w1noihB1O [13/14]
私は母があまり好きでは無かったが、私は母に似ていると自分で思う。
だから母があまり好きでは無いのかもしれない。母もそうだったのかもしれない。
父が私を気にかけてくれているのは分かっている。
だからこそ私はこんな私もあまり好きではない。
静かな食卓。
どこもこうなのだろうか、他所は違うのだろうか。
どうでもいいことを考えて、また会話の芽を摘んでいる気がする。
だがどうしようもない。
そう、どうしようもないのだ。

30 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/21(土) 19:57:11.26 ID:OumhvGLVO [1/11]
「お、お姉ちゃん……」

「どうした、何かあったのか」

「た、タオルを忘れちゃったみたいで」

「ん、待ってな」


「ありがとう、お姉ちゃん」

「……」

「おねぇ、ちゃん?」

「あ、いや。どういたしまして」

「……?」

31 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/21(土) 20:03:22.10 ID:OumhvGLVO [2/11]
思わず見蕩れた、なんてとてもじゃないが口に出来るわけがない。
ここ数年で妹は急に大きくなっている。もちろん背の話ではない。
きっと母親に似たのだろう。私は似ていない。当たり前だが。
別に大きいから好きとか小さいから嫌いとかいう気はないが、やはり大きいと目に付く。
不審に思われていないといいが。

32 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/21(土) 20:09:30.99 ID:OumhvGLVO [3/11]
「確かにあの子のナイスバディーは破壊力あるよね」

「……セクハラとかしてないだろうな」

「ま、まつまさかー……あはは」

「……」

「ま、だけだ陸上向きではないよねー」

「こっち見て言ってないか」

「そりゃ被害妄想ってやつだ」

「お前よりはあると思うが」

「は?」

33 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/21(土) 20:15:15.16 ID:OumhvGLVO [4/11]
私が変なわけではない。
笑い話にして濁してしまえばそう思える気がした。
気持ちが晴れるわけではないが、少なくとも誤魔化してはしまえる。
どこぞのパパでないが、これでいいのだ。
これでないといけない。

34 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/21(土) 20:19:11.81 ID:OumhvGLVO [5/11]
「そういや」

「む?」

「さっき妹ちゃん、知らない男の子と歩いてたなぁ」

「……そりゃまあ、そういう事もあるだろ」

「ありゃ屋上前の踊り場に行くつもりだろうね」

「誰も聞いてないだろ」

「……ぷっ、ひでぇ顔」

「誰のせいだ」

「あんたが一番よく分かってんでしょ」

「……顔洗ってくる」

「はいはーい」

35 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/21(土) 20:22:59.95 ID:OumhvGLVO [6/11]
私をからかうための嘘かもしれない。
いや、本当だとしても私には関係ない。
だと言うのに、私の足は引き寄せられるように階段を登っていく。
手洗い場はとうに通り過ぎた。どんな顔をしているのだろう。
せめて妹を怖がらせない顔であるとよいのだが。

36 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/21(土) 20:27:13.64 ID:OumhvGLVO [7/11]
「ぼ、僕じゃダメかな……?」

「……ごめん、なさい」

「どうして?他に好きな人でもいるの?」

「……」

「他にいないなら、とりあえず僕でも……」

「い、いやっ……」


「……おい」

「……?」

「……ひっ、す、すいませんっ!」

37 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/21(土) 20:31:52.33 ID:OumhvGLVO [8/11]
自慢ではないが、私はでかい。もちろん妹のでかいとは違う方向でだ。
年頃の女の子としては男子にビビって逃げらるような大きさは、ほんとの意味で自慢にならない。
だが今だけは役に立って助かったと思える。
ただの告白なら見届けるのもやぶさかでは無かったのだが。


38 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/21(土) 20:33:04.83 ID:OumhvGLVO [9/11]
「大丈夫か」

「う……う、ん」

「無理するな、しばらくそうしてろ」

「……ぎゅぅ」

「……よしよし」

39 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/21(土) 20:35:39.42 ID:OumhvGLVO [10/11]
妹の髪から、甘い香りがする。
同じシャンプーのはずなのに、何が理由でここまで違うのだろう。
震える妹の肩に触れる。
きっと私はただの告白でも邪魔してしまっていたかもしれない。
臆病な妹。愛しい妹。
守れるのは私だけ、なんて言葉はエゴだろうか。

47 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/21(土) 23:57:39.63 ID:nizCjGOxO
「落ち着いたか?」

「……うん、もう平気だよ」

「今後は気を付けろ。今回は私がいたからよかったけど……」

「……」

「……?」

「……知ってた、から」

「へ?」

「お姉ちゃんがいるって、知ってたから」

48 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/22(日) 00:03:04.71 ID:g7r4Wkj4O [1/8]
顔を真っ赤にしながら、私を見つめる妹。
そんな妹が今しがた発した言葉に私は固まる。
今いる場所から私が先ほどいた場所は死角になっていて見えないはずだ。
それなのに知っていたとは、どういうことだろう。
と言うか知られていたとしたら、偶然ではなく追ってきていたこともバレていたのか。
自分の顔が確認出来ないが、目の前の妹のようになってないか心配だ。

49 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/22(日) 00:16:22.53 ID:g7r4Wkj4O [2/8]
「ここからは死角の場所に隠れていたのだが」

「……うん」

「なら何故私がいると……」

「……先輩が、言ってたから。多分お姉ちゃんが来るって」

「先輩……」

(あいつ、最初から知ってやがったのか。あとでぶっ飛ばす)

「……もし、いなかったらどうしてたんだ」

「信じてたから、考えてなかった」

「……」

「……」


50 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/22(日) 00:21:46.71 ID:g7r4Wkj4O [3/8]
妹がそんな風に思っていたとは思わなかった。そんな風に思って欲しいとは思っていたが。
必死に言葉を紡いだ反動か、妹は俯いて何も言わなくなった。
次は私が必死になる番なのだろう。
頬が熱い。
鏡なんて見なくても分かる。
姉妹揃って同じ顔だ。

51 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/22(日) 00:25:59.08 ID:g7r4Wkj4O [4/8]
「他に好きな奴が出来たら、いつでも言っていい。それまでは私を好きでいてくれ」

「……うん」

「大好きだ、妹」

「私も大好き、お姉ちゃん」


「……っ」

「……ん」



52 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/22(日) 00:31:39.68 ID:g7r4Wkj4O [5/8]
今後どうなるかは分からない。
ただ確実に言えることは、私は今後妹以外にこの感情を持つことなど出来ないだろうということ。
それが、私にとっても妹にとってもいい未来をもたらさないことを知っていても。
今はただ、このままでいさせて欲しい。
心を奪われたあの日から、ずっと願っていたことなのだから。

53 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/22(日) 00:33:34.19 ID:g7r4Wkj4O [6/8]
「……」

「……」

「……今日、部活は?」

「大会前だから、自由参加だよ」

「一緒に帰るか、どうせなら」

「……うんっ!」





54 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/22(日) 00:40:56.00 ID:g7r4Wkj4O [7/8]
その日は初めて妹と一緒に帰った。
初めて手を繋いだし、色々初めてばかりで目が回りそうだ。
帰り道に私たちは色々な話をした。
私が心配してくれてる事を最初から知っていた事。
そしてそんな私に上手く言葉を返せない自分が歯がゆかった事。
妹も似たような気持ちだったのだと知って、私はつい口元が緩むのを感じた。
似た物姉妹だ。
それだけの事も、今は感無量である。

57 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/22(日) 11:16:10.34 ID:JDjEebc3o [1/10]
「……ただいま」

「おかえりー、って。あれ?」

「ただいま、お母さん」

「珍しいわね、二人一緒になんて」

「……うん」

「今後はそうでもなくなるかも」

「あら?」

「……かも」

「あらあら?」

58 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/22(日) 11:28:26.66 ID:JDjEebc3o [2/10]
その日は珍しく、4人で食卓を囲んだ。
母は嬉しそうに私達を見つめ、そんな母を見て父は嬉しそうに笑い、そんな両親を見て私達もはにかんだ。
きっと仲良くなってくれた事を喜んでくれているのだろう。
実はそれだけじゃなかったりするのだが、今は余計な事を言わないでおく。
いつかは知られてしまうか、知らせないといけないのだろうけれど。
今はとりあえず、妹の笑顔を堪能しておこう。

59 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/22(日) 11:35:36.99 ID:JDjEebc3o [3/10]
「……ふぅ」

「お、お姉ちゃん?」

「ん、どうした」

「い、一緒に……入っても、いい?」

「……」

「……」

「……いいよ、おいで」

「お邪魔、します」

60 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/22(日) 11:43:29.41 ID:JDjEebc3o [4/10]
自分ちの風呂に入るのにお邪魔しますはないだろう、私は妹の頭を洗いながら小さく笑った。
妹はえへへと小さく笑い、私にされるがままだ。
二人で湯船に浸かり、向かい合う。狭い湯船なので少々窮屈だが、その窮屈さも今は悪い気分ではなく、むしろ好印象だ。
妹はどう思っているだろうか。
部位に差がある分だけ私よりも窮屈さを感じていないだろうか。
もっと話がしたい。口下手なのが口惜しい。

61 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/22(日) 11:59:44.06 ID:JDjEebc3o [5/10]
「……お姉ちゃん、いい匂い」

「そうか?自分じゃよく分からんな」

「……んーっ」

「く、くすぐったいぞ」

「ご、ごめん……」

「いや、謝らんでいい」

「へ?」

「こっちからもするからな」

「ひゃんっ……」

「……」

「……」

62 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/22(日) 12:04:39.57 ID:JDjEebc3o [6/10]
口下手なりに、色々話した。
運動部に入った理由は、私のように強くなりたかったとの事。
陸上部を選んだのは、やはりアイツがいたからとの事。
一緒の布団の中で、色々話した。
もちろん私からも話した。
私は強くなんてない事。
一目惚れの事。
気付けば外が明るくなるほどに話した。
今までの空白を埋めるように、たくさんたくさん。

63 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/22(日) 12:09:20.18 ID:JDjEebc3o [7/10]
「無事二人は結ばれたんだねー、よかったよかった」

「それについては感謝してる」

「おう、感謝しろ」

「感謝しているが、お前の態度が気に喰わない」

「あぁん?」

「……ありがとな」

「うむ」


「あ、先輩」

「アイツから聞いたよ。よかったね」

「はい、先輩のおかげです!」

「おかげ……ね」

「……?」

「私が言う事じゃないかもしれないけどさ。アイツの事、宜しく頼むよ」

「……はい、頑張ります」


「……」

「……さーて、コッペパンでも買いましょうかね」

64 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/22(日) 12:15:43.04 ID:JDjEebc3o [8/10]
次の休みは何をしようか、自然と頬が緩む。
妹も同じなのだろうか、同じであったら嬉しい。

今頃お姉ちゃんは何をしているだろう。
昨日の事をふと思い、私は顔を真っ赤にした。
お姉ちゃんも同じなのだろうか、そうだったら可愛いかもしれない。

妹よ。

お姉ちゃん。

大好きだ。

大好きだよ。
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男「変な奴に懐かれた」少女「変な奴とは失礼な」

1 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/07(土) 19:29:42.33 ID:OaRMqAH/O
男「あー、疲れた……」

男(あいつ、人出が足りないからってこき使いやがって……)

男「……あっちー」

男(冷蔵庫にビール、残ってたっけな?この暑さの中買いに行くのだけは……)

男「……ん」

「……」

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2 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/07(土) 19:36:43.97 ID:OaRMqAH/O
男(見たことない子だな……そういや、隣に誰か越してくるって大家が言ってたっけか)

「……」

男(さて、ビールビールっと)

「……はふぅ」

男(……)

「……」

3 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/07(土) 19:46:46.60 ID:OaRMqAH/O
男「おい、お前」

「……?」

男「俺とお前以外に誰もいねーよ」

「……それって、まさか」

男「あ?」

「叫んでも誰も来やしねーぞ、ってやつですか?」

男「んなわけあるか、アホ。大家が飛んでくるわ」

男(……多分)

4 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/07(土) 19:53:42.23 ID:OaRMqAH/O
「では、なぜ私に声を掛けたんですか?」

男「何故って……こんな時間に子供が玄関前でうずくまってたら、大抵の大人は声掛けるもんなんだよ」

「そんなもんですか?」

男「そんなもんです」

「そんなもんなら仕方無いですね……よいしょ」

男(立つと小ささが際立つな、何歳くらいだ?こいつ)

5 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/07(土) 20:00:53.46 ID:OaRMqAH/O
「どうぞ、なんでもお聞き下さい」

男「とりあえず、名前から聞いておこうか」

「私は少女と申します。あなたは?」

男「ん、ああ。俺は男、この部屋の住人だ」

少女「お隣さんでしたか、今後よろしくお願い致します」

男「こちらこそ……じゃなくてだ」

少女「??」

男(なんか調子狂う奴だな……)

12 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/08(日) 19:23:05.88 ID:9AIj8hpGo
少女「質問は以上ですか?」

男「なわけあるか。まだ自己紹介しあっただけだろ」

少女「……ふむ」

男「そこ、お前の家なんだろ?」

少女「えぇ、そりゃまぁ」

男「じゃあなんでこんな時間に玄関先で座り込んでるんだ」

少女「……そうですね、話すと長くなりますが」

男(長くなるのか……)

少女「……じー」

男(……うん、まぁ。話しかけちまったのは俺だしな)

13 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/08(日) 19:37:48.40 ID:9AIj8hpGo
男「ちょっと待ってろ」

少女「……?」

男「……あー、あちぃ」

男(クーラー入れとこ……よっと)

男(見事にビールとつまみしか入ってねぇな……流石にこれ飲ますわけにもいかねぇよな)


男「おう、待たしたな」

少女「いえ、特には」

男「ほれ、飲め」

少女「……」

男(ここまで警戒されると結構ショックだな……)

14 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/08(日) 19:54:43.89 ID:9AIj8hpGo
男「まぁ別に、無理に飲めとは言わん」

男(俺はビール飲むけど……嫌味みたいになってねぇかな)

少女「……ごく、ごく」

男「……んぐ、んぐ」

少女「……けぷ」

男(あー、美味い……)

少女「……おいしくないですね」

男「……そりゃ悪かった」

少女「いえ、お構いなく」

15 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/08(日) 20:15:37.82 ID:9AIj8hpGo
男「それで、さっきの話の続きは?」

少女「さっきの話……」

男「話が長くなるとか、なんとか」

少女「あぁ、そうでした」

男(おいおい)

少女「私はここに、母と二人で暮らしていまして」

少女「普段は秘密の隠し場所に鍵を置いてあるのですが、どうやら今日は忘れてしまったらしく」

少女「それで、こうして座って母の帰りを待ってるわけです」

男「……ぐび」

少女「……んぐ、んぐ」

男「え、終わり?」

少女「はい、終わりです」

男「……」

少女「……」

16 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/08(日) 20:21:04.84 ID:9AIj8hpGo
男「いつぐらいに帰ってくるんだ?母親は」

少女「いつぐらい、なんでしょうか。いつも特に気にした事なかったですし」

男「ふーん……」

男(ビールぬるくなってきたな……そろそろ俺はこの辺で……)

少女「……水道水」

男「ん」

少女「味はともかく、助かりました。ありがとうございます」

男「おう、お構いなく」

17 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/08(日) 20:42:13.01 ID:9AIj8hpGo
男「あー、さっぱりした」

男(……もう8時か、夏は夜もあちいな)

男「……」

男「……ちら」

少女「……はふぁ」

男(まだ外にいるのか……)

男「……おい」

少女「……?」

少女「まだ何か、ご用ですか」

男(……余計なお世話な気がしてきた)

少女「……じー」

18 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/08(日) 21:00:48.62 ID:9AIj8hpGo
男(見た感じ、汗一つかいてないし……暑さ感じないとかいう可能性も)

男(……んなわけないか、アホか俺は)

男「あー、その、なんだ」

男「そこに座ってたら暑いだろ?」

少女「……まぁ、多少は」

男「母親が帰ってくるまでの間、うちに来ないか?」

少女「……」

男「変な意味はないぞ。玄関のとこで座ってれば、俺は近寄らん」

少女「……そこまで言われると、逆に」

男(あーあー、やっぱ余計な……)

少女「冗談です、厚意で言ってくださってるんですよね」

少女「お言葉に甘えさせていただいて、いいですか?」

男「最初からそう言えばいいんだよ」

男(笑うと結構印象変わるな、こいつ)

21 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/09(月) 02:14:59.68 ID:v+EtuOPXo
少女「……おじゃま、します」

男「おう、適当にくつろいでくれ」

少女「……んしょ」

男「……」

少女「……きょろ、きょろ」

男(……落ち着かんな、まぁ当たり前か)

男(なんか会話でもしてみるか……)

男「なぁ」

少女「……はい、なんでしょうか」

男「いつもこんな時間なのか?母親が帰ってくるの」

少女「どうなんでしょうか、時計をあまり見ないもので」

少女「今日はいつもより遅い、ような気はします」

男「ふーん……」

22 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/09(月) 02:24:50.70 ID:v+EtuOPXo
男「なら、お前はいつも一人で待ってるのか」

少女「そうなりますね。あの部屋に私が感じられない何かがいる可能性も否定はできませんが」

男「……なんじゃそりゃ」

男(母子家庭、ってやつか……)

男「お前、寂しくは……」

少女「……あ」

男「あ?」

少女「音が、しました」

男「……あぁ」

23 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/09(月) 02:30:53.06 ID:v+EtuOPXo
「……ありがとうございます、どうしているかずっと心配だったんです」

男「勝手にやった事ですんで」

「ほら、あなたもお兄さんにお礼を言いなさい」

少女「……ありがとうございます」

男(……嫌そうな顔してんな)

「後日、引っ越しのご挨拶も兼ねてお礼をさせていただきますね」

男「あ……その、お構いなく」

「では、また……」

男「あ、はい。ほんとお礼とか……」

男(……行っちまった)

男(幸薄そうな顔してたな……ま、色々苦労してんだろうな)

男「……寝るか」

24 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/09(月) 02:49:27.02 ID:v+EtuOPXo
男「……ふわーぁ」

「随分と大欠伸ね」

男「……色々あってな、昨日」

「色々って何さ」

男「具体的に話しても特に面白い話でもないが」

「そう言われると聞きたくなるのが人間でしょ」

男「……仕方ねぇな」


「ふーん、そりゃ大変だったね」

男「だから特に面白い話でもないと言っただろ……」

「……どうだか?」

男「……?」

25 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/09(月) 04:12:10.99 ID:v+EtuOPXo
男「……あー」

男(相変わらずあっちぃな……政府はもっと温暖化対策に力を入れるべきだ)

男「……ん」

少女「……あ」

男「……よう」

少女「……こんばんは」

男「こんばんは……じゃなくて、なんで俺の家の前にいるんだ」

少女「母がお礼に、と」

男「母本人はどうした」

少女「今日のお仕事は夜勤だそうで、お礼だけを持ってお待ちしてました」

男(……てことは、こいつは今日一人ぼっちなわけか)

男「……」

男「一緒に、食うか?それ」

少女「……」

男「……」

少女「……そちらの都合がよろしければ」

男「都合が悪かったらこんな事言わねーよ」

少女「そう、ですか……では」

男(カレーか、自分じゃあんま作らんからな。久しぶりだ)
29 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/09(月) 18:17:02.80 ID:v+EtuOPXo
少女「……お邪魔します」

男(別にわざわざ言わんでもいいのに)

少女「お台所、借りますね」

男「ん……火は使った事あるのか?」

少女「……手伝いくらいなら、多少」

男「危なっかしいな、俺に任せてお前は座ってろ」

少女「……それではお礼になってないのでは」

男「俺がお礼されたと思ってりゃいいんだよ」

少女「……納得いきませんが、理解は出来ます」

男「ほれ、ジュースでも飲んでろ」

30 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/09(月) 18:36:15.69 ID:v+EtuOPXo
少女「……ごく、ごく」

男(おー、いい香りだ)

少女「……あなたは」

男「ん?」

少女「一人暮らし、されてるんですか」

男「誰かと暮らしているように見えるか、この部屋」

少女「……すいません」

男「別に謝る必要はないぞ……よし、このぐらいでいいか」

男(米は確か冷凍のがあったよな……)

男「待たした」

少女「いえ、そこまでは」

31 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/09(月) 18:55:45.92 ID:v+EtuOPXo
男「遠慮なく食えよ」

少女「……元々そこまで大食いではないのですが」

男「いや、無理して食わんでもいいが」

少女「……いただきます」

男「いたきだきます」

少女「……もぐ、もぐ」

男(……甘口、か。多分こいつの為に作ったカレーなんだろうな)

少女「……おいしい、ですか?」

男「おう、美味いぞ」

少女「……にこ」

男「……」

男「お前、普段からもう少し笑った方がいいと思うぞ。その方が、いい感じだ」

少女「……」


少女「…・・これはいわゆる、口説き文句と言うやつですか?」

男「アホ言え」

32 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/09(月) 19:27:36.02 ID:v+EtuOPXo
少女「……ご馳走様でした」

男「ふー、久々に腹一杯食べた」

少女「……後片付けくらいは、させてください」

男「おう、そこはお言葉に甘えようか」

男(ビールビールっと……)

少女「……ごし、ごし」

男(……つまみうめぇ)

少女「……終わりました」

男「おう、お疲れさん」

少女「……」

男「……」

男「おい」

少女「……?」

33 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/09(月) 20:01:52.60 ID:v+EtuOPXo
男「まだ何か用があるのか?」

少女「いえ、無いですが」

男「だったら、いつまでいる気なんだ」

男(男の一人暮らしだぞ、一応)

少女「……私がいると、迷惑ですか?」

男「いや、迷惑と言うか……なんと、言うか」

少女「……じー」

男(急に警戒心が減ったな、やっぱりよく分からん奴だ)

34 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/09(月) 20:56:25.07 ID:v+EtuOPXo
男「12時過ぎるまでだからな」

少女「……ふむ」

男(……理由は分からんでもないから、追い出しにくい)

少女「……あの」

男「ん、なんだ」

少女「……ありがとう、ございました」

男「改まって急になんだ」

少女「……」

男「……?」

少女「……ぐぅ」

男(寝言、だったのか今の。にしちゃ……)

男(じゃなくて、何寝てくれちゃってんだコイツ)

35 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/09(月) 21:29:25.73 ID:v+EtuOPXo
少女「……すぅ……すぅ」

男「おい、起きろ。おい……」

少女「……」

男(……ダメだ、完全に寝入ってる)

男(ちょいと確認してくるか)

男「……ふむ」

男(隣の部屋に行くだけでもちゃんと戸締りするんだな、感心だが……)

男「さて、どうしたものか」

36 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/09(月) 22:30:58.84 ID:v+EtuOPXo
男(とりあえず、ベッドまで運ぶか)

少女「……むにゃ」

男(……軽いな。事務所の荷物よりも、は言い過ぎか)

少女「……」

男「……よいしょっと」

男(さて、俺はどこで寝るかな……)

男「……?」

少女「……」

男(裾をギュッと握られては、動けんのだが)

少女「……ぐぅ」

男「……はぁ」

男(今から言い訳、考えておいた方がよさそうだな……)

39 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/10(火) 01:55:29.55 ID:T7r5zg40o
少女「……むにゃ、むにゃ」

少女「……くぁ」

少女(……私、寝ちゃってた?)

少女「……じー」

男「ぐがー……」

少女(……だらしない寝顔ですね)

男「すぴー……」

少女「……なで、なで」

男「むにゃ……」

少女「……ふふ」

40 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/10(火) 02:14:12.45 ID:T7r5zg40o
男「……ん」

男「ふわーぁ……」

男(いつの間にか寝ちまってたのか)

男(今何時だ……ん?)

『ありがとうございました。目が覚めたので帰ります』

男(……母親が帰ってくる前に帰れたんだろうか)

男「おっと、こんな時間か。急がんとな」

41 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/10(火) 02:33:46.33 ID:T7r5zg40o
「おっす、おはよう」

男「おっす」

「今日は面白い話、ないの?」

男「そう毎日何かあってたまるかよ」

「その反応は、何かあったんだね」

男「……まぁな」

「またお隣の少女関連かな?」

男「そうだが、何故そう思った」

「昨日の今日だし、なんとなくね。で、どんなことがあったの?」

男「……話さないといけないのか」

「暇だしね」

男「俺は暇じゃない」

「わくわく」

男「……チッ」

42 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/10(火) 02:45:15.50 ID:T7r5zg40o
「へー、そんなことが」

男「子供は何考えてるのか分からん」

「大人だからって分かるもんでもないんじゃない?」

男「子供よりは幾分かマシだ」

「へぇー」

男「んだよ」

「んーん、別にー」

男「お前も作業を手伝え。何が暇だ」

「はいはーいっと」

43 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/10(火) 02:54:43.98 ID:T7r5zg40o
男(今日は早く終わりそうだな……)

「ねぇ、今日さ」

男「ん、どうした」

「キミの家、行ってもいい?」

男「……なんだ、急に」

「話しを聞いてたら、その女の子の事が気になっちゃって」

男「お前、そういう趣味が……?」

「……バーカ」

男「??」

「とりあえず、分かったらさっさと作業終わらせなよ」

男(だったら手伝えっての……)

44 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/10(火) 03:18:04.87 ID:T7r5zg40o
「いやー、事務所を出るとあっちぃね。この時間でも」

男「一旦家に帰ったほうがいいんじゃないか」

「まぁ最悪、キミの家でシャワー借りるよ」

男(本気で言ってんのかこいつ……)

男「……ん」

「……んー?」

少女「……あ」

男「む」

「お?」

48 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/11(水) 01:13:57.29 ID:izQfL36co
男「なんだ、またなのか?」

少女「……の、ようです」

(ふーん、この子が噂のね)

「はじめまして、こんばんは」

少女「……じー」

(心なしか、睨まれているような?)

男「こいつは俺の職場の同僚だ。アホだがそこまで害はない」

「微妙にひどい紹介じゃない?」

男「全面的にひどく紹介したつもりだが」

少女「……お友達、ですか?」

男「まぁ、かなり好意的に解釈するとそんなとこか」

49 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/11(水) 01:27:13.72 ID:izQfL36co
少女「……失礼しました」

「いえいえ、お構いなく」

男「まぁ、知らない奴に対しての反応としちゃ間違った方じゃないから安心していい」

少女「……ぺこり」

(可愛いなぁ、こりゃもしかしなくても……)

男「じゃ、帰れ」

「へ?」

男「用は済んだだろ」

「まだシャワー借りてないよ」

男「本気で言ってたのかそれ……」

50 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/11(水) 01:31:18.05 ID:izQfL36co
男「着替えどうすんだよ」

「キミの借りちゃダメ?ちゃんと洗って返すよ」

男「そういう問題かよ……」

少女「……」

「……ダメ?」

男「ダメだ、さっさと帰れ」

「ちぇーっ、帰りますよっと……それじゃ、またねー」


男「……」

少女「……」

52 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/11(水) 02:07:50.09 ID:izQfL36co
男(まったく、何しに来たんだあいつ……)

少女「……おっきかった」

男「は?」

少女「なんでもありません」

男「……ならいいんだが」

少女「いや、なんでもないわけではないかも……?」

男(また訳の分からんことを言い始めやがって)

少女「……暑さで頭が回りません」

男「……」

少女「……暑い、です」

男「分かった分かった……」

53 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/11(水) 02:35:02.83 ID:izQfL36co [5/8]
少女「……はふ」

男(随分と遠慮がなくなったな、コイツ)

少女「今日はお酒、飲まないんですか?」

男「ん、あぁ」

男(余計な奴が引っ付いてきたせいで買い忘れただけだがな)

少女「……あの」

男「ん、どした」

少女「……」

男「……おい」

少女「……上手く言葉が出てこない、です」

男「なんじゃそら」

54 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/11(水) 02:44:45.01 ID:izQfL36co [6/8]
少女「ですから、その……ですね」

男(こいつ用にと思って買ってきたもんだったが)

少女「……あっと……ええと」

男(久々に飲むとオレンジジュースも悪くねぇな)

少女「……マジメに聞いてますか?」

男「なんも話してねぇだろ」

少女「ですから……」

男「……ん?」

男「わりぃ、来客だ。ちと待っててくれ」

少女「……むすー」

55 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/11(水) 02:52:20.30 ID:izQfL36co [7/8]
「こんばんは、お隣さん」

男「あ、どうも。こんばんは」

「あの子、こちらにいらしてませんか……?」

男「あぁ、来てますよ」

「よかった……いつもの場所に鍵が置きっぱなしだったから、心配しちゃって」

男(俺のとこにいたから安心、ってのもおかしい気もするがな)

男「……ん?」

「……この前のカレーどうでした?」

男「へ?あ、はい。美味しかったですよ」

少女「……とてとて」

「それはよかったです、あの子から話を聞いた時は心配で……」

少女「……お母さん、帰ろ」

「はいはい、今行きますよ……では、これで」

男「は、はぁ……」


男(なーんか、話がおかしかった気がするが……)

男(まぁいい、寝るか)

59 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/11(水) 16:08:32.63 ID:izQfL36co [9/11]
男「……ん」

男(朝……いや、もう昼か?どうも休みってのは時間の感覚が掴めんな)

男「とりあえず食いもん買ってくるか」

男「む?」

少女「……あ」

男「おつかいか、偉いじゃないか」

少女「今日はお仕事、お休みなんですか」

男「ま、そんなとこだな」

少女「……惣菜ばかりでは、体を壊しますよ」

男「この生活を続けてるが幸い俺は健康体だ」

少女「……むー」

男(な、なんで不機嫌になる)

60 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/11(水) 16:10:06.32 ID:izQfL36co [10/11]
少女「……では、ここで」

男「……」

少女「とてとて……」

少女「……っ?」

男「どうせ帰る方向一緒なんだ、持ってやるよ」

少女「……泥棒は犯罪です」

男「料理しねぇのに食材ばっか盗んでどうすんだ」

少女「……ありがとう、ございます」

男「うむ、それでよろしい」

61 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/11(水) 16:20:01.19 ID:izQfL36co [11/12]
少女「……重くないですか?」

男「この程度、慣れてるよ」

少女「……」

男「おい、歩きにくいだろ」

少女「我慢してください、これぐらい」

男「いや、なんでだよ」

少女「……」

男(……まったく、子供は分からん)

62 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/11(水) 16:35:27.45 ID:izQfL36co [12/12]
男「ほいよ、ここまでくればいいだろ」

少女「……こく」

男(この程度とは言ったものの肩が……歳か?なんて言いたかねぇな)

少女「ただいま、お母さん」

「あら、早かったわね……」


男「……さて、飯飯っと」


男「……おっと、もうこんな時間か」

男(一日中家でゲームだなんて、実に贅沢な休日の使い方だ)

男「ん?」

男(誰だ、こんな時間に……)

63 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/11(水) 16:38:27.01 ID:izQfL36co [13/13]
少女「……」

男「おう、どした。また親がいねぇのか」

少女「……親はいます。片親ですけど」

男「いや、そう言う意味の言葉じゃなくてだな……」

少女「お昼のお礼を、言ってなかったので」

男「ん、あぁ」

少女「ありがとう、ございました」

男「はい、どういたしまして」

少女「……それでは」

男(え、そんだけ?)

少女「……さようなら」

男「あ、おい……」


男「なんだったんだ、今の」

64 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/11(水) 16:45:07.63 ID:izQfL36co [14/15]
「やぁ、おはよう」

男「おう、おはよう」

「いつにも増して不景気なツラしてるね」

男「……ある程度は生まれつきだ」

「また件の少女関連?」

男「いや、あいつとはしばらく会ってない」

「しばらくってどのぐらい」

男「そこ重要か?」

「それなりに」

男「……」

男(あの謎のあいさつ以降、だなそういや)

65 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/11(水) 16:50:42.89 ID:izQfL36co [15/16]
「結構な期間音沙汰なしなんだね、また引っ越したとか?」

男「いや、母親の方を見かけるからそれはないだろうな」

「ってことは……」

男「ってことは、なんだよ」

「いや、なんでも」

男「なんだよそれ」

「キミが不景気ヅラしてる理由が分かって満足だし」

男「どこをどう聞いて理由が分かったんだ」

「さて、どこでしょう?」

男「……ケッ」

66 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/11(水) 17:07:05.14 ID:izQfL36co [16/17]
「あ、そういや聞いた?」

男「何をだよ」

「今日新しいバイトの子、入るらしいよ」

男「ほう、これでやっと俺の重労働も軽減されるのか」

「残念、女の子らしいです」

男「……はぁ」

「所長好みの女の子とかなんとか」

男(所長の趣味なんて知るか……)

67 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/11(水) 17:16:51.54 ID:izQfL36co [17/17]
「もうそろそろ来るって聞いてたんだけど……」

男「俺は作業に戻るぞ、お前が対応しろ」

「えー、めんどくさいなぁ……っと、噂をすれば」

「はいはい、今出ますよー」

男(というか、所長って普段何やってんだ?俺も面接の時一回会ったきりな気がするぞ)

「おーい、一応新人くんに挨拶ぐらいしときな」

男「へいへい……」

男「……」

少女「……」


少女「……初めまして?」

男「いや、なんでだよ」

68 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/11(水) 17:22:18.63 ID:izQfL36co [18/19]
「キミが子供子供言うから、完全に勘違いしちゃってたよ」

男(まさか高校生だったとは……)

「受験とかで大変だったんだよねー」

少女「……はい、まぁ」

(ま、それだけじゃないんだろうけど)

男「……」

男「まさか、新人がこいつだって知ってたんじゃあるまいな?」

「……まっさかー?」

少女「……まっさかー」

男「……お前らなぁ」


男「ったく、仕事をなんだと……」

少女「……あの」

男「あん?」

少女「……これから宜しくお願いします、先輩」

男「お、おう?」

「ニヤニヤ」

男「……まったく、変な奴に懐かれたもんだ」

少女「変な奴とは失礼な」

「変な奴はキミだろ?」

男(もう仲良しかよ、お前ら)

友「先輩と付き合ってるって言ってなかったっけ?」女「……うん」

1 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/10/31(土) 02:50:08.06 ID:KMJFxDFpo [1/7]
友「ならどうして、ここにいるわけ?」

女「……?」

友「いや、なんでこっちがおかしいみたいになってんの」

女「……いつも一緒に、食べてる」

友「いやまぁ、そうだけどさ……普通は付き合い始めって言ったらこう」

『先輩、あーん』『うん、おいしいよ。ありがとう』『キャッキャッ』

友「とかやるのが定番なんじゃ?」

女「……」

友「……」

女「……きゃっきゃっ」

友「悪かった、結構くるものがあるからやめてくれ」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1446227407


2 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/10/31(土) 02:53:25.46 ID:KMJFxDFpo [2/7]
女「……そういうもの、なのかな」

友「そういうもんなんじゃないかね」

友(よく知らんけど……)

女「……明日から頑張って、みる」

友「おう、その調子その調子」

女「……ありがと、ね」

友「いや、感謝されるほどの事は言ってないって」

女「……そう?」

友「そうそう」

女「……」

友(こんな調子で大丈夫なのかね……いや、それは言うまい)

3 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/10/31(土) 03:06:50.01 ID:KMJFxDFpo [3/7]
女「……先輩」

先輩「ん、どうかしましたか?」

女「……あーん」

先輩「あーん……?」

女「……」

先輩「……」

友「……オイ」

女「……?」

友「口を開けさせておいて、何をボーッと見てるんだ」

女「……どれをあげたらいいかなって、思って」

友「んなもんどれでもいいんだよ!」

女「……どれでも……どれ、でも……?」

友「……」

4 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/10/31(土) 03:18:11.60 ID:KMJFxDFpo [4/7]
先輩「……ぷっ、あははっ」

女「……せん、ぱい?」

先輩「おっと、失礼……あなた達の漫才が面白くて、つい」

友(この人、こんな感じで笑うんだな……)

先輩「改めて、いただいてもよろしいですか?」

女「……あ、えと」

先輩「その卵焼き、おいしそうですね」

女「……どうぞ」

先輩「もぐもぐ……うん、おいしい」

先輩「それでは、こちらからも……はい、あーん」

女「……?」

女「……あーん……ぱく」

先輩「どうですか?購買のカレーパンは」

女「もむもむ……おいしい、です」

女「……んぐ」

5 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/10/31(土) 03:23:46.93 ID:KMJFxDFpo [5/7]
女「……もう一口、いいですか?」

先輩「ふふ、もう一口と言わず全部どうぞ」

女「……そんな、悪いです」

先輩「それでは、もう二口ほどそちらのお弁当をいただいても?」

女「……もう二口と言わず、どうぞ」

先輩「それは少し私が得をし過ぎではないでしょうか?」

女「……元からその、つもりで」

先輩「後日お礼を考えておきます、楽しみにしておいてください」

女「……?」


友(……高校に上がってすぐに『恋がしてみたい』なんて突然言うからどうなるかと思ってたが)

友(心配することなんて全くなかったみたいだな)

友(……こうなる事は分かりきってたことだろ、何を今さらざわざわしてるんだ)

6 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/10/31(土) 03:27:44.01 ID:KMJFxDFpo [6/7]
女「……」

クイ クイ

友「ん、どした」

女「……だい、じょうぶ?」

友「大丈夫って……何が」

女「……顔色、よくない」

友「気のせいだっての」

女「……カレーパン、食べる?」

友「別に腹が減ってるわけじゃ……」

友「……貰うよ、ありがとう」

女「……にこ」

友「先輩、いただきます」

先輩「それは差し上げたものですので。どうぞどうぞ」

友(……うめぇ)

17 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/01(日) 01:57:59.28 ID:IQMUorgBo [1/14]
友(あー、疲れた……補欠なんだから、ここまで走らせんでも……)

友「……ん?」

女「……」

友「帰宅部がなにしてんだ、こんな所で」

女「……先輩を、待ってる」

友「……あぁ、生徒会だっけか」

女「……コク」

友(こんな時間までやってのか、生徒会って)

女「……」

友「一緒に帰ろうとか、約束してるのか?」

女「……あ」

友「おいおい……」

19 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/01(日) 02:15:04.83 ID:IQMUorgBo [2/14]
女「……」

友「……先輩の事、好きになってきたか?」

女「……?」

友「いや、こうして待ってるじゃん」

女「……まだ、よく分からない」

友「よく分からない?」

女「……うん」

女「……よく分からない、から」

女「……いつもと同じこと、してみようかと」

友「……ふぅん」

友(昨日みたいな事になるくらいなら、先に帰っちまおうかな……)

20 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/01(日) 02:22:30.77 ID:IQMUorgBo [3/14]
女「……あ」

友「む?」

先輩「……おやおや」

先輩「記憶違いでなければ、あなたは帰宅部だったはずですが」

女「……はい」

友(間が悪いな、言い出しづらくなった)

先輩「……ふむ少しお手を拝借」

女「……?」

友「……じー」

23 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/01(日) 02:36:56.58 ID:IQMUorgBo [5/14]
先輩「結構待っていたんですね、こんなに冷たくなって」

女「……ご、ごめんなさい」

先輩「謝って欲しかったわけでは無くて……」

先輩「……そうだ、毎日は難しいと思いますが」

女「……携帯?」

先輩「私のメールアドレスです。後でメールを送っておいてください。次から時間があるときはこちらからメールしますので」

女「……はい」

友(二人が話しているうちに……っ)

友「……っ」

女「……?」

友(ガッチリ袖がホールドされて……)

友「せ、折角の先輩と二人きりじゃないか。お邪魔虫は……」

先輩「ん、私は別に構いませんよ」

友「……」

24 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/01(日) 02:46:34.43 ID:IQMUorgBo [6/14]
女「……」

先輩「……」

友「……」

友(……な、何か喋ったりしないのか?)

女「……」ふらっ

友「あ、あぶ……」

先輩「おっと、危ないですよ」

女「……あ、ありがとうございます」

先輩「いえいえ」

友(……やっぱムリにでも帰ればよかったか)

25 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/01(日) 02:54:58.25 ID:IQMUorgBo [7/14]
女「……私は、ここで」

先輩「ほう、ここがあなたの家でしたか。覚えておきますね」

女「……また、明日」

友「おう、また明日」


友「……」

先輩「……」

友「先輩の家、こっちの方向なんですか」

先輩「いえ、完全に逆方向ですが」

友「ならなんで……」

先輩「そもそも最初から逆方向ですから、ご心配なく」

友「いや、そうじゃなくて……」

先輩「本音を言えば、少し二人でお話がしたかったんです」

友「……」

先輩「そう怖い顔しないでください、変な意味はないですから」

33 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/01(日) 20:09:55.19 ID:IQMUorgBo [9/14]
友「……」

先輩「……」

友「……話がしたいんじゃ、なかったんですか」

先輩「ん、あぁ。そうでしたね」

先輩「あの人、後輩さんの好きな食べ物をお聞きしてもよろしいですか?」

友「……へ?」

先輩「何か問題がありましたか?」

友「いえ、別に問題は……いちご大福、ですけど」

先輩「ほう、いちご大福ですか。覚えておきましょう」

友(……わざわざ二人きりにならないと聞けない事か?)

34 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/01(日) 20:31:33.06 ID:IQMUorgBo [10/14]
友「……今度はこちらから、いいですか」

先輩「はい、どうぞ」

友「あいつの方から、告白したんですよね」

先輩「そうですね、あの人から聞きましたか」

友(……あの人って言い方、なんだかな)

友「なんで承諾したんですか?初対面に等しかったと思うんですけど」

先輩「見た目で即決でした」

友「……じとー」

先輩「あの人の容姿ならそれでも変ではないと思いますが?」

友「……まぁ、そうですけど」

先輩「でしょう?ふふ」

友「……」

35 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/01(日) 20:39:44.27 ID:IQMUorgBo [11/14]
先輩「まぁ、冗談はここまでにしておいて」

友(冗談か本気か判別付かん人だ)

先輩「と言っても、半分は冗談じゃないんですが」

友「どっちだよ!」

友「……あ」

先輩「構いませんよ、普段の口調で。その方が話しやすいのでしたら」

友「そういうわけには……」

先輩「おや、残念。もっと親しみを持っていただいて結構ですけど」

友「……話の続き、してください」

先輩「はいはい」

36 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/01(日) 20:52:28.18 ID:IQMUorgBo [12/14]
先輩「あなた達から見れば、私の方は初対面だったと思いますが」

先輩「私の方は、よくあなた方を見かけていたんですよ」

友「そうなんですか?」

先輩「立ち入り禁止の屋上へ向かうための踊り場は、生徒会室のある階の踊り場でもありますから」

友(あそこ、下から見えてたのか)

先輩「最初は注意しようかと思っていたのですが、談笑しているお邪魔をしては悪いなと」

友(それでいいのか生徒会長)

先輩「まぁ、そういう訳でして。突然告白された時はもちろん驚きましたけど」

友「……」

先輩「まだ何か、ご不満が?」

友「……別に、元からご不満なんて」

友(あいつがご不満ないなら、口を挟む事でもないし)

37 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/01(日) 21:04:07.13 ID:IQMUorgBo [13/14]
友「先輩」

先輩「はい?」

友「家、ここなんで」

先輩「あぁ、ではここでお別れですね」

友「……先輩」

先輩「はい?」

友「あいつの事、好きですか?」

先輩「……あなたのご期待に添えるかは分かりませんが、好きですよ」

友「……」

先輩「では、また学校で」



友「……ご期待ってなんだよ、クソッ」

39 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/02(月) 01:30:05.55 ID:8tceBaYho [1/17]
友(……先輩もあいつが好きで、あいつも先輩が好きで)

友(それをあいつが望んだなら、それでいい……はずなのに)

友(なんでこんなにモヤモヤしてるんだろうか)

友「……ふぅ」

友(恋がしてみたい、なら……)

友(……バカみてぇ、さっさと寝ちまおう)

40 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/02(月) 01:42:49.03 ID:8tceBaYho [2/17]
友「……ふわーぁ」

友(結局、全然眠れなかった……)

女「……欠伸、おっきい」

友「ん、あぁ……少し、寝不足で」

女「……大丈夫?」

友(お前と先輩のせいだ、なんて言ったらどんな反応するんだろう?)

女「……?」

友(……なんて、バカな事考えてないで)

友「たまたま寝付きが悪かっただけだ、そんなに心配するな」

女「……そう?」

友「うむ」

女「……あ」

友「ん?」

女「……先輩、走ってる」

友(体育の時間被ってたのか)

41 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/02(月) 01:57:13.57 ID:8tceBaYho [3/17]
女「……先輩、足速い」

友「あぁ、ぶっちぎりだな……」

女「……じー」

友(あの横顔は誰が見てもかっこいいわな……)

女「……」

友「声援でも、送ってやれば?」

女「……んー」

友「『先輩がんばれー』とかさ」

女「……せんぱい、がんばれー」

友(そんな小さな声じゃ聞こえ……)


先輩「……――」


女「……先輩、手振ってる」

友「……振替してあげれば?」

女「……ん」

友(ほんと、完璧でヤになるね)

友(……こんな事考えてる自分は、もっとヤだけどさ)

42 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/02(月) 02:16:36.11 ID:8tceBaYho [4/17]
先輩「……おや」

女「……?」

先輩「どうも、先程ぶりですね」

女「……ぶりです」

先輩「今日は御一人ですか?」

女「……一緒が、よかったですか?」

先輩「いえ、そんなことはないですよ」

女「……そう、ですか?」

先輩「ただ、珍しい事もあるものだなと思いまして」

女「……」

先輩「……」

先輩(……少し嘘を付いて申し訳ありません。こういう時は一緒の方が助かります)

43 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/02(月) 02:35:05.27 ID:8tceBaYho [5/17]
女「……先輩」

先輩「はい、なんでしょう」

女「……難しいかお、してます」

先輩「そうですか?そうだとしたら、無意識です。気にしないでください」

女「……じー」

先輩(私の事よりも、気にすることがあると思うのですが)

女「……」

先輩(ふふ、しばらくはお付き合いしましょう)

友「……じー」

先輩(その方が面白そうですし)

46 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/02(月) 18:46:39.55 ID:8tceBaYho [7/17]
女「……あ、おかえり」

友「おう、ただいま」

先輩「おかえりなさい」

友「……どうも」

女「……大丈夫?」

友「だから大袈裟だって」

先輩「何があったか、お聞きしても?」

女「……急に、貧血で倒れちゃって」

先輩「おや、それは大変ですね」

友(誰のせいだと……って、完全に八つ当たりだなそれは)

女「……ほんとに、大丈夫?」

友「ガキじゃねーんだから、いちいちそんなに近寄らんでよろしい」

47 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/02(月) 18:53:51.87 ID:8tceBaYho [8/17]
先輩「……さて、それでは私はこの辺で」

友「え?」

女「……?」

先輩「どうもお邪魔虫なようですし」

女「……そんな事、ないですよ」

友「そうですよ、この場合むしろお邪魔虫なのは……」

女「……」

友「むっ……」

先輩「おや」

女「……虫なんて、ここにはいません」

友(久々に見たな、コイツが眉をひそめるところ)

先輩「……」

48 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/02(月) 18:56:19.57 ID:8tceBaYho [9/17]
先輩「すいません、語弊を生む言い方をしてしまいましたね」

女「……?」

先輩「そろそろメンバーも集まっている頃でしょうし、生徒会室へ向かおうかと思いまして」

女「……あ。す、すいません」

先輩「いえいえ、見たことの無い顔が見れて満足です」

女「……あぅ」

先輩「それでは、また」

女「……はい、また」

友「……」

49 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/02(月) 19:56:13.24 ID:8tceBaYho [10/17]
友「そろそろ離してくれないか?」

女「……だめ」

友「本当に大丈夫だって」

女「……ほんとに、ほんと?」

友「ほんとにほんと」

女「……そっか」

友(……そんな顔、するなよ)

友(そんな顔、されると……)

女「……い、いたいよ」

友「っと……わ、悪い」

女「……じー」

友「あはは、は」

52 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/02(月) 21:07:19.92 ID:8tceBaYho [12/17]
先輩「……おや」

友「あ、先輩」

先輩「これまた珍しいですね、お一人ですか?」

友「……別にいつも一緒にいるわけじゃ、ありませんし」

先輩「確かに、それもそうですね」

友「先輩こそ、なんでこんな所に一人でいるんですか」

先輩「その理由はあなたにも分かっているのでは?」

友(……そういや、居残りさせられるとかなんとか言ってたっけ)

友「そういう事なら、ごゆっくり……」

先輩「あぁ、暇だ。待ってる間、凄く暇だなぁ」

友「……」

先輩「……」

53 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/02(月) 21:19:59.27 ID:8tceBaYho [13/17]
先輩「いやぁ、助かりました。優しい後輩を持って嬉しいです」

友(適当に切り上げて帰ろ……出来ればあいつが来る前に)

先輩「難しい顔をしてますね、あの人が心配していましたよ」

友(……そんな話までしてるのか、あいつ)

友「まぁ、色々と」

先輩「……色々と、ですか?」

友「そりゃまぁ、色々と」

先輩「ふむ、なるほど……」

54 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/02(月) 21:35:13.74 ID:8tceBaYho [14/17]
友「……なんかやたらと突っかかって来ません?先輩」

先輩「そうですか?こちらからすると、逆の意見ですが」

友「……そりゃすいませんでした」

先輩「いえいえ、お構いなく。あなたの事も好きですから」

友「……は?」

先輩「おっと、また語弊を生みそうな言い方をしてしまいました。これは人として、みたいな方の意味です」

友「いやまぁ、そりゃ……そうでしょ」

先輩「いやー、しかし寒いなぁ」

友(な、何を考えてるんだこの人は……)

55 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/02(月) 21:52:41.62 ID:8tceBaYho [15/17]
友「……先輩は、本当にあいつの事が好きなんですか?」

先輩「そうじゃなきゃ、こうして寒空の待ち合わせなんてしないと思いますけど」

友「……」

先輩「そう言えばこの前もそんな事を聞かれましたね、どうしてそんなに気になさるのでしょうか?」

友「そ、それは……」

先輩「……じー」

友「……ぐ」

先輩「答えにくいようなら質問を変えましょうか。もし仮に好きじゃない、と答えたら……」

先輩「あなたはどうするつもりなんですか?」

友「……」

56 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/02(月) 22:08:09.97 ID:8tceBaYho [16/17]
友「……別れさせます」

先輩「親友のために、ですか?」

友「……」

友(親友の、ために……そうだ、そう。親友、のため)

先輩「そうですか、それなら心配いりませんよ」

友(親友の、ため?)


友「……先輩」

先輩「はい、なんでしょうか」

友「失礼を承知で、申し上げます」

先輩「もったいぶらずどうぞ?」


友「あいつと、別れてください」

60 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/03(火) 14:41:48.18 ID:1yysNqJeo [1/11]
先輩「……」

友「突然おかしい事を言っている事は分かっています、ですが……」

先輩「いいですよ」

友「……え」

先輩「そこまで言われてしまっては仕方ありません。どうやら私はあなたの御眼鏡にかなう人間ではなかったようだ」

友「そんな、あっさりと……」

先輩「別れてくださいと言ったのはどこのどなたですか?」

友「え、その……」

先輩「じゃあ、やっぱりこのままで行きましょうか」

友(今ならまだ……)

友「……だ、ダメです……わ、私の方があいつの事、好きですからっ!」

友「……あ」

61 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/03(火) 14:43:12.18 ID:1yysNqJeo [2/11]
先輩「……」

友「……――」

先輩「だ、そうですよ?」

友「え……」

女「……ひょこ」

友「な……あ……?」

友「お、お前……ずっとそこに、いたのか?」

女「……ぶるぶる」

先輩「正確に言うと、私が言って待ってもらっていたんですが」

友「なんでそんなことを……」

先輩「そりゃもう、可愛い彼女から相談を受けて協力しない人間はいないでしょ」

友「相談って……うおっと」

女「……ぎゅー」

62 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/03(火) 14:44:26.18 ID:1yysNqJeo [3/11]
先輩「まぁ要は、そういう事ですよ」

友「……お前、恋がしてみたいって言ってたじゃんか」

女「……うん」

友「だから先輩と、だったんじゃないのか?私じゃ、ダメだから……」

女「……違った、みたい」

先輩「情けない話ですが、どうやらあなただけでなく両方の御眼鏡にかなわなかったようで」

友「ほんとにいいのか、私で」

女「……あなたが、いい」

友(……こんな簡単な事を、ずっと悩んでたのか私は)

63 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/03(火) 14:45:13.77 ID:1yysNqJeo [4/11]
友「……先輩は納得してるんですか、それで」

先輩「納得するもなにも、最初からそういう話でしたし」

女「……ごめんなさい、先輩」

先輩「謝らないでください。十分楽しみましたよ、私は」

先輩「まぁ、強いて言うなら……心変わりしないうちにもう少し進んでおくべきでしたか」

女「……す、進んで……」

友「なんかヤな言い方しますね……」

先輩「ははは、負け惜しみだと思ってください……さて」

先輩「そろそろ本格的に身体が冷えてきましたので私はこの辺で」

友「先輩」

先輩「はい、なんでしょうか」

友「ありがとうございました」

女「……ありがとう、ございました」

先輩「ははは、どうも」

64 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/03(火) 14:45:45.76 ID:1yysNqJeo [5/11]
先輩(……ありがとう、ですか)

先輩(嘘でもキスぐらいはしたと言っていた方が、面白い反応が見れたかもしれません)

先輩(この気持ちも恋……の一種なのでしょうか)

先輩「ははは、笑うしかありませんねこれは」

「せ、先輩っ!」

先輩「……?」

「ず、ずっと前から好きでした!付き合ってくださいっ!」

先輩「……ふむ」

先輩「では、キスから始めましょうか」

「え、えぇっ!?」

65 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/03(火) 14:46:15.05 ID:1yysNqJeo [6/11]
友(……結局、本心がよく分からない人だった)

女「……寒い」

友「ん、あぁ。私達も急いで帰るか」

女「……ぴと」

友「お、おい……そんなに引っ付くと歩きにくいだろ?」

女「……これからはもっと、引っ付く」

友「しょうがねぇな……」

女「……」

友(結局いつもとほとんど変わらねぇな……)

女「……?」

友(……いや、大きな一歩か)

66 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/03(火) 14:48:05.29 ID:1yysNqJeo [7/11]
女「……ねぇ」

友「んあ?」

女「……少し先に、進んでおく?」

友「へ……な、何言ってんだ?」

女「……心変わり、しちゃうかも」

友「な、何言ってんだ!」

女「……じー」

友「……お前、先輩の性格少し移ったか?」

女「……そう?」

友(やれやれ……)

67 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/03(火) 14:48:35.96 ID:1yysNqJeo [8/11]
友「むー……」

女「ぁ……ん……」

友「……」

女「……」

友「……こ、これでいいか?」

女「……これが、恋?」

友「ちょ、ちょっと違う気もする……」

68 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/03(火) 14:49:03.99 ID:1yysNqJeo [9/11]
友(その後、先輩がやたらとモテているという話題を聞いた)

友(なんだか色んな子に手を出しているとかなんとか……その方向に楽しみとやらを見出したのだろうか)

友(やっぱりあの人は、なんというか苦手だ」

女「……じー」

友「ん、どうした?」

女「……また何か、悩んでる?」

友「んー、悩みってほどではないんだが」

友(もう流石に狙ってくることは無いだろ……ないよな?)

女「……?」

友「なんでもねぇよ、なんでも」

友(まぁ、何度来ても渡さないけど)

女「……ぼー」

友(……少し心配な気がしてきた)

69 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/03(火) 14:50:28.62 ID:1yysNqJeo [10/11]
友「な、なぁ……」

女「……?」

友「その……だな」

女「……」

友「……ん、んむ……」

女「……ぺろ」

友「や、やっぱり似てきてないか……?」

女「??」

友(だ、大分心配だ……)
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花見月

Author:花見月
主に2ch系掲示板で自分が書いたSSを纏めてます
思い出したものからかたっぱしに記事にするので順不同で

twitterでも更新報告したりしてます
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