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後輩「先輩、アメ食べます?アメ」先輩「んー……」

1:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/13(月) 18:24:29.49 ID:UvksuAqSo
先輩「何味?」

後輩「ハッカです」

先輩「……他は?」

後輩「ハッカだけです」

先輩「……ぷはー」

後輩「あーっ、露骨に嫌な顔しましたねっ」



2:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/13(月) 18:31:31.01 ID:UvksuAqSo
先輩「だって、ハッカってさ」

後輩「はい」

先輩「なんかこう、最後まで残ってるイメージじゃない?」

後輩「……」

後輩「……先輩は今、完全に敵に回しましたよ」

先輩「後輩を?」

後輩「いいえ、うちのおばあちゃんです」

先輩「……」

後輩「……」


3:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/13(月) 18:34:01.54 ID:UvksuAqSo
先輩「……怖いの?後輩のおばあちゃん」

後輩「すっごく優しいです、アメくれますし」

先輩「……ならいいや」

後輩「むー、そうやってまた煙に撒こうとして」

後輩「先輩はハッカよりも、そいつの方が好きって言うんですか?」

先輩「そりゃその二択ならね……」


4:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/13(月) 18:38:22.23 ID:UvksuAqSo
先輩「後輩も試してみる?案外気に入ったりして」

後輩「えっ」

先輩「……」

後輩「え、ええっと……」

先輩「ほい」

後輩「へ?あ、ダ、ダメです先輩……」

後輩「あんぐっ」

先輩「……」

後輩「……」


5:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/13(月) 18:41:33.88 ID:UvksuAqSo
先輩「……ぷっ、あははっ」

後輩「これは……シガ、レット……?」

先輩「お菓子にはお菓子で対抗するのが一番だと思いまして」

後輩「……先輩、いぢわるです」

先輩「あはは、悪い悪い」

後輩「こうなったら、先輩にも……」

先輩「っと、もうすぐ昼休みも終わるな」

先輩「それじゃ、後輩はサボるなよー」

後輩「あっ、先輩……また逃げられた」

後輩「私も急がなくちゃ……」

後輩「……もぐもぐ」


9:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/14(火) 19:45:49.99 ID:SOowNfO1o
先輩「……ふー」

ガタンッ

先輩「……っ!」

後輩「先輩、やっぱりここにいましたね」

先輩「……なんだ、後輩か」

後輩「焦って隠すぐらいなら吸わなきゃいいじゃないですか、そんなもの」

後輩「お口が寂しいなら、ここに適役もいますし」

先輩「適役?」


10:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/14(火) 19:47:23.05 ID:SOowNfO1o
後輩「どやっ」

先輩「……ぷふーっ」

後輩「げほっ、げほっ……もー、なんてことするんですかっ」

先輩「なんでハッカしかないの?」

後輩「?」

先輩「アメの味だよ」

後輩「そりゃ、おばあちゃんのお気に入りですから」

先輩「いや、そうじゃなくて……」

後輩「??」

先輩(おばあちゃん子、ってやつかねぇ)


11:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/14(火) 19:48:49.64 ID:SOowNfO1o
後輩「どうしたんですか?先輩」

先輩「んー」

先輩「一個、貰ってもいいかなって」

後輩「ほんとですか!」

先輩「ただ、条件が一つ」

先輩「……こんな風にして、口移しで欲しい」

後輩「あぁ、なんだそんなこと……へ?」

先輩「……」

後輩「……」


12:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/14(火) 19:53:26.79 ID:SOowNfO1o
後輩「冗談、ですよね?」

先輩「そんなに冗談が得意に見えるかな」

後輩「え、えと……」

先輩「ぷはー……」

後輩「……」

先輩(ちょっとした冗談のつもりだったんだが)

後輩「……むむむ」

先輩(耳まで真っ赤にされちゃうと)

先輩「私が手伝ってやるから、ほら」

後輩「あ、ちょっと……はぐっ」

先輩「……少しぞくぞくするな」

後輩「ひゃい?」

先輩「なんでもない、こっちの話だ」


13:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/14(火) 19:59:16.14 ID:SOowNfO1o
後輩(先輩の顔が、こんなに近くに……)

先輩「……」

後輩「……」

先輩「どうした、来ないのか?せっかく欲しいって言ったのに」

後輩(先輩の、吐息……っ!)

後輩「……んぐっ」

先輩「……あ」

後輩「あ……」


14:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/14(火) 20:00:32.58 ID:SOowNfO1o
先輩「平気か?詰まったりしてないか?」

後輩(先輩がさらに近く……っ)

後輩「だ、だいじょうぶですっ!」

先輩「あ、おいっ……行っちゃった」

先輩「……ちと、からかい過ぎたかね」

先輩「ふー……」


21:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/15(水) 19:15:59.44 ID:pGoBvn0jo
後輩「はぁ……はぁ……」

後輩(胸が痛い……まだ、ドキドキしてる……)

後輩(……って、走ったから当たり前か)

後輩「……ふぅ」

後輩(先輩が、急にあんなことをするなんて……)

後輩「……からかわれただけ、だよね?」


22:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/15(水) 19:25:05.51 ID:pGoBvn0jo
「おい」

後輩「ひゃわああっ!?」

「ど、どうした?」

後輩「せ、先生……?」

「なんでそんなに汗だくなんだ、お前確か帰宅部だろ?」

後輩「そうですけど……」

「っと、こんな事を話してる場合じゃなかった。お前、すぐに家に帰れ」

後輩「……?」

「今、親御さんから連絡があってな……」


23:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/15(水) 19:28:04.58 ID:pGoBvn0jo
先輩「……」

先輩(いつもなら、この時間ぐらいにドアが開いて)

後輩『先輩、やっぱりここにいたんですね』

先輩「……ふーっ」

後輩『アメ食べます?アメ』

先輩「ちっ、さっきので最後だったか」

後輩『もー、ちゃんと話聞いてくださいよっ』

先輩「……」

先輩(そういえば、後輩と初めて会ったのも、こんな雨の日だったっけ)

先輩(さっきから後輩の事ばっかりだな、ははは)

先輩「……帰るか」


24:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/15(水) 19:36:32.47 ID:pGoBvn0jo
先輩(とか言いつつ、一年の教室の前を通っちゃったりしてる)

先輩(恋する乙女かってんだよ、我ながら情けない)

先輩「……流石にいない、か」

「見た?今の」「うん、三年生だったよね?」「ちょっと怖かったー」
「でも、ちょっとかっこよかったかも」「確かに、背が高くてスラッとしてて……」

先輩「……今度こそ、本当に帰るかね」


25:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/15(水) 19:50:45.57 ID:pGoBvn0jo
先輩「すぅー……はぁー……」

先輩(……今日も来ないのか)

先輩(まさかなんかの病気、とか?だったら、見舞いに……)

先輩「……家、知らねぇや」

先輩「ふー……

先輩「ん」

後輩「……」

先輩「……」


26:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/15(水) 20:27:01.63 ID:pGoBvn0jo
後輩「……昨日もここに、いましたか?」

先輩「おう、そりゃもう」

後輩「すいません、ご心配おかけしてしまって」

先輩「……別に」

後輩「そう、ですか」

後輩「……」

先輩「……ふー」

後輩「せん、ぱい」

後輩「ん」

後輩「少しだけ、背中借りていいですか?」

先輩「……減るもんじゃないし、いいぞ」


27:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/15(水) 20:34:26.53 ID:pGoBvn0jo
先輩「……」

後輩「……」

先輩「何があったか、聞いた方がいいか?」

後輩「……聞かれたら、答えられるかもしれません」

先輩「なら、聞かせて」

後輩「……はい」


31:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/18(土) 19:02:44.61 ID:EVQCxYN9o
先輩「この前言ってたばあちゃんが、倒れたのか」

後輩「……一昨日まで、そんな素振りは全然見せてなかったんです」

後輩「だから、私も全然気にしてなくて……」

後輩「そのせいで無理とか、させちゃってたんじゃないかって……」

後輩「……ひぐっ」

先輩「大変だったんだな」

後輩「……ぁぅ」

先輩「悪い、そんな状態なのにこんな所に来させて」

後輩「来させて、だなんてそんな」

先輩「こっちは平気だから、ばあちゃんの所に行ってやんな」

後輩「……はい」


32:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/18(土) 19:12:29.86 ID:EVQCxYN9o
後輩「……先輩」

先輩「お?」

後輩「また、明日」

先輩「おう、また明日」

先輩「……」

先輩(……泣き顔見て引き留めたくなるとは)

先輩(こういうのも、不謹慎ってやつになるのかね)

先輩「……ふー」

先輩「……ちっ、今日も降ってきやがったか」


先輩「……つめてぇ」 後輩「……つめたい」


33:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/18(土) 19:22:34.78 ID:EVQCxYN9o
先輩(今日も雨か、うんざりだぜ全く)

先輩「……ん」

後輩「……」

先輩(……後輩?)

先輩「おい、何してんだよ。びしょ濡れじゃねーか」

後輩「あ、先輩……」

先輩「あ、じゃないだろ。先に待ってるにしても、待ち方ってもんが……」

後輩「……」

先輩「とりあえず、こっち来い」


34:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/18(土) 19:28:55.20 ID:EVQCxYN9o
先輩「ほら、これ着ろ」

後輩「これ、先輩の……」

先輩「いいから、黙って言う事聞け」

後輩「……はい」

先輩(下着までびしょ濡れって……いつからいたんだ、こいつ)

後輩「……」

先輩「……」

先輩「今度は何があったんだ?」

後輩「……」

先輩(何となく想像は付くけど、こっちから言う事じゃない気がする)


35:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/18(土) 19:33:29.50 ID:EVQCxYN9o
後輩「……」

先輩「……」

後輩「あったかいです、先輩の背中」

先輩「そりゃ、お前の体がそんだけ冷たいだけだろ」

後輩「……おばあちゃんは、もっと冷たかったです」

先輩「……そうか」

後輩「……」

先輩「悪い、今回のは聞かない方がよかったか」

後輩「……いえ、私が勝手に話しただけですから」

後輩「すいません、湿っぽくて」

先輩「雨だから気にならん」

後輩「……よかった」


36:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/18(土) 19:53:18.89 ID:EVQCxYN9o
先輩「雨、止まねぇな」

後輩「……止みませんね」

先輩「寒くないか?」

後輩「寒くな……くしゅんっ」

先輩「嘘付こうとすんな、バカ」

後輩「いちっ……すびばぜん」

先輩「そのままじゃ帰る前に風邪引くだろ」

後輩「でも、着替えなんて……」

先輩「近くなんだ、うち」

後輩「うちって、先輩の家ですか?」

先輩「うむ」

後輩「……」

先輩「後輩さえよければ」

後輩「……くしっ」

先輩「と思ったが、問答無用だ。急ぐぞ」

後輩「あ、待ってくださいよっ」


39:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/19(日) 19:20:38.78 ID:EgT181JUo
後輩「……お邪魔します」

先輩「とりあえず、シャワー浴びてこいよ」

後輩「ご家族にご挨拶とかは……」

先輩「いいよ、どうせ誰も帰ってこないんだから」

後輩「……?」

先輩「ほら、早く行って来いって」

後輩「は、はい……」


40:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/19(日) 19:44:48.83 ID:EgT181JUo
後輩(……)

後輩(このシャンプー、いい香りがする)

後輩(後でどこに売ってるか、聞いてみようかな)

後輩(……先輩の心配そうな顔、こんな形で見ることになるなんて)

後輩(……ぐす)

先輩「おーい」

後輩「……せ、先輩?」

先輩「なんて声出してんだよ、覗いたりしないから安心しろっての」

後輩(そういう訳じゃ……)

先輩「着替え、ここに置いておくからな」

後輩「はい、ありがとうございます」

先輩(……この向こうに、後輩が)

先輩(って、何考えてるんだ。バカか)


41:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/19(日) 19:54:57.89 ID:EgT181JUo
後輩「……ふぅ」

後輩(これが先輩の服……)

後輩「……くん、くん」

後輩(って、何してるんだろう私)

後輩「んしょ……」

後輩(……丈、ぶかぶか……胸が少しキツい、かも)

後輩「……」

後輩「すん、すん」

先輩「……泣いてんのか?」

後輩「ひゃああっ!?」


42:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/19(日) 20:03:41.63 ID:EgT181JUo
先輩「戻ってくるのが遅かったから、心配になってな」

先輩「ま、その様子なら心配はなさそうだな」

後輩「ご心配おかけしました、もう大丈夫です」

先輩「無理して笑ってないか?」

後輩「……まだ、少しだけ」

後輩「でも、いつまでも泣いてたら……おばあちゃんも安心できないと思うので」

先輩「……そっか」

後輩「だから、先輩も心配しないでください」

先輩「そういう事なら、もう心配してやらない」

後輩「あははっ」

先輩「……ふっ」


43:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/19(日) 20:51:12.63 ID:EgT181JUo
先輩(……しかし)

後輩「先輩、あのシャンプーどこに売ってるんですか?」

先輩(制服の時は気付かなかったな、着痩せするタイプなのか)

後輩「先輩?」

先輩「ん、あぁ?なんだったっけか」

後輩「お風呂場のシャンプーが……」

先輩「あぁ、あれは……」

先輩(うちのシャンプー、こんないい香りだったっけか)

先輩(……むむむ)


47:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/20(月) 21:07:36.79 ID:ZtqgdFI2o
後輩「そういえば、先輩」

先輩「ん」

後輩「おうちでは、吸われないんですか?」

先輩「見つかるとちょっと面倒だからな」

後輩「……そう、ですか」

先輩「なんでちょっと残念そうなんだ」

後輩「へ?」

後輩「残念そうな顔してました?私」

先輩「見間違いじゃなければ」

後輩「きっと見間違いです」

先輩「かねぇ」


48:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/20(月) 21:14:56.52 ID:ZtqgdFI2o
先輩「遠慮しなくていいなら、失礼して……」

先輩「……ふー」

後輩「……」

先輩「……」

先輩「……なぁ」

後輩「はい?」

先輩「そんな風にまじまじと見られると、非常に吸いにくいのだが」

後輩「す、すいません」

先輩「今さら珍しいもんでもないだろうに、変な奴」

後輩(……ほんと、なんでだろう)

後輩(いつもより、ドキドキしてる)


49:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/20(月) 21:36:17.25 ID:ZtqgdFI2o
後輩「……あ」

先輩「?」

後輩「もうこんな時間……お父さんとお母さんが、心配してるかもしれません」

先輩(いつの間にか大分時間が経ってたな」

後輩「雨も止んでるみたいです」

先輩(引き留める理由も無くなった、か)

先輩「また降りだすと面倒だ、早く帰ったほうがいい」

後輩「……そう、しますね」

先輩「家がどの辺りか知らないが、傘持ってけ」

後輩「ありがとうございます、先輩」

先輩「……」

先輩「……じゃ、また」

後輩「はい、また」


50:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/20(月) 22:03:14.02 ID:ZtqgdFI2o
先輩(弱みにつけこむようで、気が進まなかったのか)

先輩(不謹慎気味とはいえ、千載一遇のチャンスだった気がしなくもない)

先輩「……ふーぁ」

先輩(後輩と出会ってから、らしくねぇ気がする)

先輩(そして……そのらしくなさが不快じゃないのが、また癪だ)

先輩「……また、か」


後輩「ただいまー」

後輩「ちょっと雨に濡れちゃって、先輩の家でご厄介になってたの」

後輩「心配かけてごめんなさい」

後輩「……うん、もう大丈夫」

後輩「御線香、あげてくるね」


55:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/24(金) 01:01:29.21 ID:lhiTIyNro
先輩「……ふー」

先輩(今日は晴れたな……ん)

先輩「よう、風邪をひかなかったみたいで安心したよ」

後輩「先輩のおかげです」

先輩「じゃ、お返しを貰おうかな」

後輩「へ?」

先輩「ぎぶあんどていく、おーけい?」

後輩「む、無償の愛って素晴らしいと思いませんか?」

先輩「あいにく、神様はあまり信じてなくてね」

後輩「……」

先輩「……」


56:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/24(金) 01:13:48.11 ID:lhiTIyNro
先輩「そうだ、あれ。アメないの?アメ」

後輩「あるにはある、んですが」

先輩「なんだ、歯切れが悪いな」

先輩(いつもなら、自分から勝手に薦めてくるくせに)

後輩「その……これ、最後の一個なんです」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「……で?」

後輩「……え」


57:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/24(金) 01:20:30.61 ID:lhiTIyNro
先輩「最後の一個だから、食べないのか」

後輩「……」

先輩「勿体ない気がするけどなぁ。食べてもらうためにくれたんだろ?それ」

後輩「……せ、先輩にはあげませんっ」

先輩「ありゃ、残念」

後輩「もぐもぐ……」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……ちらっ」

先輩「……」

後輩「……ひぇんはい」

先輩「ん」

後輩「ひゃめ……ほひぃ、れふか?」

先輩「何言ってんだかさっぱりだ」


58:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/24(金) 01:27:03.48 ID:lhiTIyNro
後輩「……」

先輩「なんだよ、その目」

後輩(アメを舐めたままだと、うまく喋れない……)

後輩(でも、このアメは……)

先輩「何が言いたいか、わかんねぇけど」

後輩「……っ!?」

先輩「こっちはアメが欲しいだけ、なんだよ」

後輩「……ん、んぐー」

先輩「……ちゅ……じゅる」


59:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/24(金) 01:41:29.00 ID:lhiTIyNro
後輩「……ぷはっ」

先輩「……もぐもぐ」

後輩「……おいしい、ですか?」

先輩「んー」

先輩「以前は散々言ったが……思ってたよりは悪くないかも」

後輩「ほら、やっぱり食わず嫌いはよくないですよ!」

先輩「でも、悪くないってだけでなぁ」

後輩「……むー」

後輩「そんな言うなら、返してくださいっ!」

先輩「あっ、こらっ」

先輩「……んむ」

後輩「ちゅぱ……ん……」

後輩(と、取り返してやりました……もぐもぐ)


60:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/24(金) 01:55:42.64 ID:lhiTIyNro
先輩「……」

後輩「……」

先輩「……じー」

後輩(……冷静になってみると、とんでもない事をしてしまった気がする)

先輩「なんだか取られると、取り返したくなるな」

後輩「……!」

先輩「……ふふふ」

後輩「ひぃーっ、許してください先輩っ」

先輩「許すも何も……悪いことしてないよ、お前は」

後輩「んぐーっ!」


61:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/24(金) 02:09:47.93 ID:lhiTIyNro
後輩「……はぁ……はぁ……」

先輩「……ぺろぺろ」

後輩「先輩、その」

先輩「んー?」

後輩「……」

先輩「あ、あめ」

後輩「もうないですって」

先輩「違う、上だ上」

後輩「あ……」


62:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/24(金) 02:15:00.35 ID:lhiTIyNro
先輩「すっかり天気が良くなったとおもって、油断してたぜ」

後輩「先輩、もしかして傘を?」

先輩「うむ」

後輩「……持ってきてます、私」

先輩「あ、昨日貸した奴?」

後輩「はい、丁度良かったですね」

先輩「そんじゃ、強くならないうちに帰るか」

後輩「そうしましょう」


先輩「んで」

後輩「はい?」

先輩「さっき何言おうとしてたんだ?」

後輩「……いえ、何でもないです、なんでも」

先輩「ふーん……」

先輩「てっきり、愛の告白かと」

後輩「!?」

先輩「なーんてな、ほら行くぞ」

後輩「……はい、先輩」


63:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/24(金) 02:17:34.97 ID:lhiTIyNro
後輩(分かってて転がしてるんですか?先輩)

後輩(……でも、それでもいいです)

後輩(大好きです、先輩)


先輩(分かってて転がすフリでもしないと)

先輩(余裕が無い事バレたら、恥ずかしすぎる)

先輩(可愛い奴め、後輩)
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ネクロくんとマンサちゃん

1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/11(金) 21:06:37.35 ID:7iy1jcu1o
雨は嫌いだ。あの日の事を思い出してしまうから。
キミがボクの腕の中で、冷たくなっていったあの日を。今でもずっと、忘れられないあの日を。

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/11(金) 21:07:06.17 ID:7iy1jcu1o
「……おはよう」
ボクはいつものように彼女に朝の挨拶をする。
彼女はボクの方を見てふわぁ、と大きな欠伸をすると、
「おはよう、今日も早いね」
右手をひらひらと振りながら、そう挨拶を返した。
ボサボサの髪を見た感じ、起きてきたのはついさっきだろうか?いや、ボクがいないといつでもボサボサの気もするけど。
ボクは荷物を玄関にどすんと降ろし、そのまま脱衣所へと向かう。自分でも分かるぐらいに臭っている服を乱暴に投げ、ボクは水を浴びる。
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/11(金) 21:07:52.14 ID:7iy1jcu1o
「……どう?」
よほどお腹が空いていたのだろう、彼女はボクの言葉にしばらく答えず器を貪っている。
やがて器の中身を空にしてからボクの方を見て、
「……おかわりは、ある?」
そう上目遣いに聞いてきた。
保存用に取っておいた分はあるのだが、保存用はあくまでも保存用だ。そう言葉を返したかったが、彼女の上目遣いを耐え続けられるボクではなく、冷蔵庫に入れていた残り半分を彼女に献上することとなった。
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/11(金) 21:08:42.74 ID:7iy1jcu1o
キミは食べないの?おいしいよ?」
流石の彼女もおかわりの時は周りを見る余裕があるのか、器から顔を上げてこちらを見ながらそんなことを言った。
「……大丈夫。お腹、減ってないから」
「ふーん……そっか」
結局おかわりも皿を舐めるまで堪能した彼女は、満足そうに満面の笑みを浮かべるとソファーで横になった。
ボクは器を片付けながら、明日のことについて思慮を巡らせる。流石に連日はマズい気がするが……かと言って代用品もそうそう見つかるものではない。色々と悩むボクの背中に、ふわっと柔らかな感触。
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/11(金) 21:09:15.00 ID:7iy1jcu1o
お腹いっぱいになったら、眠たくなっちゃった……」
もう既に半分寝入りそうな声で彼女が言う。
言葉に続きはないが、ボクを離そうとはしない彼女が続けようとしたであろう言葉は一つだろう。
彼女に引っ付かれたまま、さっきまで寝ていたソファーまで彼女と移動すると、ボクもそのまま横になった。
まだ臭わないか少し心配だったが、彼女はそんなこと気にしていないのかぐりぐりとボクの背中に頭を擦りつけて、
「んー……」
と、幸せそうに声をあげている。ボクはと言うと、そんな幸せそうな彼女を堪能しながら目を閉じた。
自分でも気づかないほど疲れていたのか、ゆっくりと睡魔が僕の体を這い上がり包み込む
その感覚に逆らわぬよう、僕はゆっくりと眠りに落ちて行った。
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/11(金) 21:09:50.58 ID:7iy1jcu1o
……ん」
体に重みを感じて、ボクは目を開ける。目の前に広がる白い布と、豊満な胸。彼女がボクの上に圧し掛かっている、と理解するのに数秒かかった。
「ご、ごめん。重かった?」
僕が目覚めたことに気付き、素早く飛びのく彼女。あまりにも勢いよく飛びのいたので、そのまま自分の服の裾を踏んでずでんと転ぶ。
噛まれた肩をぱんぱんと払い、僕は彼女に手を伸ばす。そのまま彼女の体を抱きかかえると、真っ直ぐ立たせた。
「えへへ、どじっ……」
彼女が頭を掻こうと上げた腕がふわりと宙を舞う。そのまま腕は壁まで綺麗な弧を描き、ごとんと音を立てて落ちた。
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/11(金) 21:10:22.46 ID:7iy1jcu1o
「……」
「……」
無言のままボクはその腕を拾うと、付いている方の彼女の手にそれをポンと渡す。
やはり先延ばしにするべきではなかったらしい。さっきまで表情豊かだった彼女が、虚ろな瞳でボクを見つめ返している。
「……少し出かけてくるね」
聞こえているかは分からないが、彼女にそれだけ言い残しボクは玄関へと急ぐ。
あの状態なら、まだ外へ出ていくことはないだろう。荷物を背中に背負ってからもう一度振り返り、ボクはそう確信して家を後にする。
昨日の今日なもので、あまり派手な行動をしたくないボクは悩んでいた。代用品だって簡単に見つかるものでは無いし、何より代用品の方が取るのに手間がかかる。
頭を捻らせながら森を歩いていると、普段は人気の無い花畑に一人の少年の姿が見えた。ボクはそこで立ち止まり、しばらく少年の姿を観察する。
お目当ての花でもあるのか、地面とにらめっこを続けている少年。周囲への警戒は一切なく、熊でも現れない限りは気付かないだろう。
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/11(金) 21:10:48.81 ID:7iy1jcu1o
「……」
ボクは荷物を降ろすと、中身を取り出す。子供は初めてだが、大人とそう勝手が違うという事は無いだろう。予想より早く済みそうで、ボクは小さくほくそ笑んだ。
家へ戻ると、彼女は朝に見た姿そのままで立っていた。虚ろな瞳は完全に何も映さなくなっており、ボクの事にもまったく気付いていないようだが、もちろん死んでいるわけではない。その証拠に、ボクの荷物から漂う臭いに反応して指先がピクピクと動いている。
「……待っていてね、今すぐ準備するよ」
彼女にひらひらと手を振って、ボクは厨房へ進む。今日はそこまで分解に手間取らないだろうと思っていたのだが、意外と肉が硬くなってやり辛い。大きさは関係なく時間経過に問題があるのだ、とボクは変に納得しながら器を運ぶ。
「……」
ボクは器に口を付け、それを一欠片口に含むと、そのまま虚ろな瞳であらぬ方向を向く彼女の口へと運んだ。
柔らかい彼女の唇の感触を楽しみながら、欠片を彼女の口へと流し込む。きちんと飲み込んでくれるか毎度不安なこの方法だが、今回もちゃんと喉が鳴った。
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/11(金) 21:11:48.88 ID:7iy1jcu1o
「……あ」
 ゆっくりと彼女の瞳に光が戻り、ボクの顔をしっかりと捉えると、
「……おかえり」
 優しい表情で、彼女が微笑んだ。ボクはそんな彼女の口元から垂れた血を袖で拭い、
「……ただいま」
 そう言葉を返して、小さく微笑み返す。彼女の視線は既にボクの元を離れて器の方へ向いていたので、あまり意味は無かったが。
 満足そうに眠る彼女を見ながら、ボクは壁にもたれて溜息を吐く。ここの所、彼女の食事のペースが速くなっている。いや、実はこれが普通の速度で、今まで彼女が我慢していただけかもしれないが。
「……むぅ」
 とりあえず彼女が寝ている間に、食料を確保してこなければ……寝起きの度に噛まれていてはたまらないし。
 ボクは彼女の寝顔に少し触れてから、また荷物を持って家を出た。
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/11(金) 21:12:52.86 ID:7iy1jcu1o
「今度は子供か……」
「獣の仕業にしちゃ連日過ぎるよな、やっぱ」
 近くから聞こえてきた声に、ボクは咄嗟に身を屈めた。幸いボクはあまり体格がいい方ではないので、二人の男はボクに気付かず通り過ぎる。
 先程の会話、昨日の事を言っているのは明らかだ。やはり間髪開けずにやってしまうとこうなることは分かっていた。分かってはいたが、こんなに早く足が付くなんて。
 荷物を木にもたれさせ、一息吐きながら今後について考える。このままでは、隠れ家が見つかるのも時間の問題だろう。となれば、転居も視野にいれないといけない。この辺りを気に入っていただけに、あまり気は進まないが。
「……移動するとなると、多目に保存食が必要だよね」
 先程の二人が行った方を見て、ボクは呟くように言う。二人相手は厳しいかもしれないけれど、今は四の五の言っていられない状況なわけで。ゆっくりと荷物を持ち上げ、とことことボクは歩を進めた。
 ボクは自分の貧弱さが気に入らないのだが、こういう時は本当に役立つから憎らしい。
いつもより二倍重い荷物を引きずりながら、ボクはそんなことを考えていた。
「……重い」
 最悪の場合、途中で解体して持って帰るのも視野に入れねばならないだろう。そんなことを思いながら帰路に付いたボクは、すぐに後悔することになる。
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/11(金) 21:13:34.43 ID:7iy1jcu1o
蹴破られたドアに慎重に近づき、ボクは荷物を玄関脇に降ろすと、出来るだけ物音を立てないように中へと進む。踏み荒らされた玄関、靴跡を見るに相手は一人だ。
(……無事でいて)
 リビングが見えたところで、誰かの気配にボクは身を隠す。ドアの端から部屋を覗くと彼女の足が見えてきた。少し視線を上にずらすと、真っ赤な水溜りの上に一人の男が立っていて。
「……っ!」
 頭に血が上ったボクは、武器を手に取るのも忘れてドアの端から飛び出すと、そのまま男に向って体当たりを食らわせた。
 ボクに気付いていなかったのだろう、もろに体当たりを受けた男はその場に倒れ込む。
そのままマウントを取って追撃しようとしたボクの腹部に思い切り衝撃が走り、そのままボクは壁に叩きつけられた。
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/11(金) 21:15:02.99 ID:7iy1jcu1o
「いってぇ……なんだこのガキ?」
 男は水溜りを踏みつけながら立ち上がると、そのままボクの方へと歩を進めた。受けた衝撃が大きかったのか、ボクの体は言う事をきかない。男に髪を乱暴に掴まれ、そのまま無理矢理立たされるボクの体。
「血の臭い……まさか、お前が……?」
 何とかボクの意思が体に伝わり、男の金的を狙って足を振り上げようとした。しかし、その足は男の体を捉える事はなく、ボクの体が再び宙を舞う。今度は彼女の近くにごろごろと転がり、血の水溜りの上で止まった。
「気持ち悪いガキだぜ……こんなガキが、連続殺人犯なのか?」
 男が銃口をボクに向けながら、独り言のように呟く。ボクはその言葉に何も返さず、銃口をじっと見つめ返した。
「まぁいいか。どうせ見られたからには生かして返さねぇんだし」
 男はそう言って、引金に指を掛ける。轟音が響いて、ボクの頭にかつてない衝撃が走った。ぐわんぐわんと視界が揺れて、彼女の血とボクの血が混ざりあう。もう一度轟音が響き、ボクの体が床にたたきつけられた。
 何度も見慣れていたはずの血の色が、今日はやたらと鮮やかに映えて見える。
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/11(金) 21:15:33.52 ID:7iy1jcu1o
「……気持ちわりぃガキだぜ、全く」
 男が銃を懐にしまい、ボクから視線を外す。外した視線が次に捉えたのは、もちろん彼女の方。
「連れていく前に少しぐらい楽しむのは役得だよな……身なりは悪いが上玉だぜ」
 男が伸ばした手に抵抗しようとするが、女の子の力ではどうしようも無く、そのまま彼女は組み伏せられた。カチャカチャと金属の擦れる音がする。
「……」
のんきに寝ている場合ではない。ボクは力の抜けた全身に、ゆっくりと力を込める。
「へへへ……」
 男は完全に彼女に夢中で、ボクの方を気にする様子は無い。そのままボクはゆっくりと立ち上がり、彼女が飲んでいたであろう牛乳の入っていたコップを握ると、そのまま叩きつける。ガシャン、と大きな音を立ててコップが割れた。
「……あ?」
 突然の音に振り返った男の首元に、ボクは思い切り割れたコップを突きたて、そのまま横へと振り抜く。真っ赤な血が弧を描いて噴き出した。
 さっき見た血よりも汚らしい、見るに堪えない血。
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/11(金) 21:17:59.37 ID:7iy1jcu1o
「か……は?」
何が起きたか分からない、と言った表情の男にボクは再度コップを突き刺す。何度も、何度も、何度も。やがてコップの中身がトマトジュースだったと思えるほどになってからボクはコップを脇へ投げた。
「ば……け、も……」
 まだ声が出ることに驚いたが、どうやら最後の断末魔だったらしく男はすぐに動かなくなった。男が動かなくなったのを確認して安堵したのか、彼女がボクの元へと駆け寄ってきた。不快な返り血がべったりと付いた服で彼女を受け止めるのは気が引けたが、今は彼女を安心させるのが最優先だ、とボクはそのまま彼女を抱きしめた。ふんわりと柔らかい彼女の髪が、ボクの頬に触れる。
「怖かった……怖かったよぉ……」
 ボクは彼女の頭をぽんぽん、と優しく撫でてあげる。しばらくボクの胸で縮こまっていた彼女だが、やがて落ち着いたのかボクの胸を離れて椅子に座った。ボクの方へ物欲しそうな視線を向けている所を見ると、そう言う事なのだろう。
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/11(金) 21:19:11.86 ID:7iy1jcu1o
 ボクは汚い血の付いた服を脱ぐと、そのままゴミ箱へ放った。本当は一風呂浴びてから着替えたかったが、彼女を待たせるわけにはいかないのでそのまま替えの服を着る。
 やはり硬さは鮮度に依存するらしく、今回は簡単に解体することが出来た。
「もぐもぐ……本当にキミは食べなくていいの?」
「……うん、お腹空いてないから」
 いつもの会話をしながら、ボクは天井を見ていた。考えている事は、今後どうするかについて。先程の男は、きっと近隣の村に雇われてきたのだろう。しばらくすれば今日よりもっと多くの人がここへ来ることになる。そうなると流石に面倒だ。
「……引っ越そうか?」
「……私のせい?」
 器から顔を上げた彼女の瞳が、ボクの方を見る。悪いことをした子供のような、不安そうな瞳。ボクはそんな彼女の頭をまたぽんぽんと撫でて
「……うぅん、ボクのせい」
 とだけ返して、微笑む。そう、彼女がこうなったのはボクのせいなのだから。だから全部、ボクのせい。
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/11(金) 21:19:59.50 ID:7iy1jcu1o
本日快晴、お日柄もよく。ボクと彼女は手を繋いで道を歩いていた。
 保存用に加工した食料はしばらく持つし、久しぶりに彼女と散歩気分で歩くのは気分がいい。彼女もそうなのか、ボクの方を見てニッコリ笑った。
「次はどんなところかな?」
「……うーん」
 どこまでも続いて見える道を見つめてから、ボクは彼女の方を見て笑う。
「キミと一緒なら、どこでもいいよ」

勇者「その武器重くねぇの?」

1 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 00:09:15.35 W2v8yDL40 1/407
魔法使い「ん?これのこと?」ブォンッ

勇者「うおっ!あぶねぇ!」ヒョイ

勇者「なんで魔法使いのくせにそんな大きな斧使ってんだよ」

魔法使い「最近は魔法使いもちからの時代なのさー」

勇者「いや、俺を回復役に使ってんのがさらに問題なんだよ」

勇者「戦わせろ、俺を」


2 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 00:11:36.90 W2v8yDL40 2/407
魔法使い「えー、だって勇者弱いじゃーん」

魔法使い「魔法の強さどころかちからもボクに負けてるしー」

勇者「ぐ、ぐぅ……」

魔法使い「ボクは回復魔法使えないんだし、適任だと思わない?」

勇者「くそぅ……どうしてこうなった」

4 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 00:14:41.69 W2v8yDL40 3/407
勇者「……!」ガサッ

魔法使い「……敵?」

勇者「ああ、そうみたいだな……結構多いな、こりゃ」

勇者「オークの群れか……10匹は軽く越えてるな」

魔法使い「んー……そのぐらいならっ!」ガサッ

勇者「お、おいっ!魔法使いっ!」

魔法使い「おおりゃぁっ!」ザシュオンッ

勇者「……やっぱでたらめに強いよなぁ、こいつ」

勇者「俺が勇者なのに……あ、補助呪文っと」

13 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 00:19:17.95 W2v8yDL40 4/407
魔法使い「ふぅ……片付いたね」ガシャン

勇者「毎度のことながら一瞬だな……魔物に同情するよ」

魔法使い「まーねー……でも、勇者の補助があるからだよ?」

勇者「無駄な慰めはいらねーっての……」スタスタ

魔法使い「……むぅ」

18 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 00:27:45.07 W2v8yDL40 5/407
魔法使い「ねぇ、これからどうするの?」

勇者「んー、最近魔王がどうこうとか騒がれてるしな、町で情報収集かな」

魔法使い「この近くっていったら……あの港町かな?」

勇者「そうだな」

魔法使い「うへー……ボクあの町好きじゃないんだよなぁ」

魔法使い「風がベタベタしてるし……」

勇者「……置いてくぞ」

魔法使い「あう、待ってよー」

20 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 00:30:56.77 W2v8yDL40 6/407
――港町
勇者「……なんか、活気が感じられないな」

魔法使い「前に来たときはもっと活き活きしてたのにね」

勇者「妙だな……船が一つも出てないじゃないか」

勇者「なぁ、あんた」

店主「ん?なんだ、あんたら。ここにはもう売るもんなんてねーよ」

勇者「……どういうことだ?」

店主「海で魔物が暴れてんだよ。おかげで漁は出来ないし、交易船も来ない!」

店主「この町は、終わりだよ……」

21 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 00:35:59.47 W2v8yDL40 7/407
魔法使い「ねぇ、勇者」

勇者「……はぁ。本当に魔王復活してるみたいだな」

勇者「これだから魔王は……何回復活すんだよ、マジで」

魔法使い「ボヤいてても仕方ないって!町長さんに話を聞きに行こう!」ガシッ

勇者「魔物が倒せるからってはしゃいでやがる……」

勇者「こいつが勇者でいいだろもう」ズルズル

23 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 00:41:14.71 W2v8yDL40 8/407
町長「あいつらには、言葉も何も通じません」

町長「ただ、破壊を楽しみ、わしらの町を壊していくだけ……」

町長「最初は傭兵を雇いなんとか防いでいましたが、その金も無くなり……」

町長「どうか旅の方!あの魔物達を退治してくだされ!」

魔法使い「だってさ、勇者!」ウズウズ

勇者「だー、ただ働きの臭いがプンプンするぜ……」

勇者「とか言っても、どうせ力ずくで行かせるんだろ?」

魔法使い「もちろん!」

勇者「……なら聞くなってーの」

町長「ありがとうございます!」

24 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 00:44:34.16 W2v8yDL40 9/407
勇者「さて、退治依頼を受けたわけだが」

勇者「なんだこの小船は。二人用っておい」ギコギコ

魔法使い「だってー。町長さんお金無いって言ってたしー」

勇者「お前これ……ひっくり返されたらどうすんだよ」

魔法使い「泳ぎながら戦う!」

勇者「……もう最初から泳いでこいよ」ハァ

26 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 00:49:10.50 W2v8yDL40 10/407
勇者「……っ!」ギコギコ

魔物「ギシャアアアアア!」

魔法使い「来たね……準備はバッチリだよ!」キュイーン

魔法使い「落ちろ、雷撃!」ドゴーン

魔法使い「燃えろ、火球!」ボゴワァ

勇者「……やっぱ、呪文の破壊力も凄いな……おっと、防壁っと」カキン

28 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 00:52:10.07 W2v8yDL40 11/407
魔物「フシュルルッルル!」

魔法使い「はぁ……はぁ……キリがないや」ボシュン

魔法使い「ま、魔力切れか……とおっ!」ザブーン

魔法使い「おりゃあああ!!」ブオン ブオン

魔物「ギャアアア!」

勇者「……こいつは、なぜに魔法使いなんだ?」ギコギコ

29 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 00:56:00.21 W2v8yDL40 12/407
魔法使い「……ふぅ、ふぅ」ガシャン

魔法使い「お前で終わり、だね」グシャッ

ボスみたいなの「ギャ、ギャギャギャ……」ブクブク

魔法使い「ふー……やっと終わったー!!」

勇者「予想以上に数多かったな。ボス的なのもいたし」ギコギコ

魔法使い「でも、これでこの海域も安全だね!」

勇者「まぁ、しばらくの間はそうだろうな」ギコギコ

魔法使い「さー、帰って町長さんに報告だーっ!」

勇者「ああ、そうだな」ギコギコ

30 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 01:00:12.26 W2v8yDL40 13/407
勇者「……そういや、魔法使い」

魔法使い「ん?なーに?」

勇者「無い胸が透けてんぞ」

魔法使い「……(チラッ」 「……」ボッ

魔法使い「……み、る、な、ぁっ!」ブオン

勇者「おいおい、シャレにならんぞ……って聞いちゃいねぇ」グシャッ

32 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 01:04:12.49 W2v8yDL40 14/407
魔法使い「これで、しばらくは安全なはずですよ」

町長「ありがとうございます!なんとお礼をすればいいか……」

魔法使い「いえいえ、困ってる人を助けるのは当然のことですから!」

町長「……しかし」

魔法使い「どうかしましたか?」

町長「……ご一緒だった方の姿が見えませんが、まさか魔物との戦いで……?」

34 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 01:07:58.10 W2v8yDL40 15/407
魔法使い「あー……いえ、勇者なら無事ですよ」

魔法使い「ただ、少し別の場所にいるだけです」

町長「そうでしたか……でしたらいいのですが」

町長「こんな村を守るために死人でも出たら、それこそ申し訳ない……」

魔法使い「いえ、勇者は世界を救うものですから!死んででも村を守るべきです!」

勇者(お前が殺しておいてよく言うな、おい)

36 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 01:12:44.53 W2v8yDL40 16/407
魔法使い「宴会なんて悪いっていったのに……」

勇者「いやまぁ、好意は素直に受けておこうぜ。金じゃないのが悔しいが」

魔法使い「あれ、勇者……今日は随分回復早いね」

勇者「お前が疲れてたから威力が弱かったんだろ。あー、体いてぇ」ズキズキ

魔法使い「しかし、勇者ってのは凄いよねぇ。ほぼ不死身だもん」

勇者「そりゃぁ、精霊の加護的なもんがあるからな。勇者だし」

勇者「死なないだけで力が無きゃなんの意味無いがな……」

魔法使い「……」

38 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 01:15:31.72 W2v8yDL40 17/407
魔法使い「なんかさ、ボクに突っかかってない?」

勇者「ん……そうか?」

魔法使い「文句があるならさ、はっきり言ってよ。気分悪いよ」ガシャッ

勇者「お前、武器の音鳴らされながら言われて本音が出るわけねぇだろ……」

魔法使い『……少しは、頼ってんだからさ(ボソ』

勇者「ん?なんか言ったか?」

魔法使い「……なんでもないよ!ふん!」ブン

勇者「ちょっ……治ったばっかで死ねるかぁ!」ガギィィン

41 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 01:27:31.07 W2v8yDL40 18/407
魔法使い「ふぅ……お腹いっぱいなんて久しぶりだよ……」

勇者「まぁな、旅してるとどうしても食事を軽視しがちだからな」

勇者「今度、料理人でも仲間にしてみるか?」

魔法使い「……なんで?」

勇者「ん?」

魔法使い「だって、ボクが作ってるじゃないか!」バタン

勇者「いや、お前のあれはメシって言わない。炭か毒のどっちかが正しい」

42 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 01:35:29.50 W2v8yDL40 19/407
魔法使い「勇者のだって食べ物としての見た目をしてないじゃないか!」

勇者「俺のは食べれるからいいんだよ。お前の食べ物ですらない」

魔法使い「……うー」ガシッ

勇者「おいおい……何する気……」メキメキ

魔法使い「勇者の……あほおおおおお!!!」ブン

勇者「……あー……れー」ピュー  ザブン

43 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 01:43:01.31 W2v8yDL40 20/407
勇者(昨日は酷い目にあった……半魚人どもがあんなに強いなんて……)

勇者(村まで帰ってくる間に大分時間がかかってしまった)

勇者(こんな変なところで魔法使いのありがたみを感じてしまうとは……)

魔法使い「……(むす」

勇者「……お、おい。魔法使い……」

魔法使い「……(ジトーッ」

勇者(あーあ……この目かー……)

48 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 01:58:49.12 W2v8yDL40 21/407
勇者(俺も弱いなー、この目に……)

勇者「……すまん、俺が悪かった」

勇者「料理人なんて、仲間にしないから……許してくれ」

魔法使い「……ボクも、悪かったよ」

魔法使い「料理下手なのは、絶対なんとかするから……」

勇者(試食につき合わすのは、勘弁してくれよ……)

50 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 02:11:23.97 W2v8yDL40 22/407
勇者「さて、とりあえず魔王が復活したことは分かったが」

勇者「次の行き先が思いうかばないな」

魔法使い「いつも通り、魔物倒しながら適当に旅すりゃいんじゃないの?」

勇者「いや、一応勇者だしさ」

勇者「魔王が復活したんだったら、やっぱ倒さないといけないかなぁと」

魔法使い「おー、勇者もちゃんと考えてるんだねー」

勇者「まぁ、実際に倒すのはお前なんだろうがな」

52 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 02:22:32.39 W2v8yDL40 23/407
勇者「しかしなー……港町じゃたいした情報は集まらなかったし」

勇者「どこから手を付けたもんか……ん?」

魔法使い「どしたの?勇者……あ」

魔物「ゲギャギャギャギャギャ!」

僧侶「……ぐ」カキン カキン

子供「うえーん……たすけてぇ……」

魔法使い「子供が襲われてる!」

勇者「可愛い僧侶がおそわれっ」グシャッ

54 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 02:39:52.51 W2v8yDL40 24/407
僧侶「……う、く」ガギ  ガギギン

子供「びええええん!」

僧侶(子供……だけでも……)

魔法使い(あの子、そろそろやばい……間に合えっ!)

魔法使い「うなれ……雷雲!」ピカッ  ドゴゴォーン!

魔物「グギャウアアアアアア!」ボシュッ

僧侶「……っ!?」バゴォッ ズザァ

僧侶「……」くたっ

子供「うわあああああん!!!」

魔法使い「……ありゃ?」

55 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 02:43:34.61 W2v8yDL40 25/407
僧侶「……う、く」

僧侶「……はっ!」ガバッ

勇者「おお、起きた起きた」

魔法使い「よ、よかったぁ……」

僧侶「……?」

勇者「とりあえず、意識ははっきりしてるか?大丈夫か?」ドクドク

僧侶「……あなたが……大丈夫?」

57 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 02:52:14.80 W2v8yDL40 26/407
勇者「とりあえず、子供は無事に送り届けといたよ」

僧侶「……よかった」

魔法使い「ほんっとうにごめんなさい!まさか、あんな風になるなんて……」

勇者「お前の力は強すぎんだよ、まったく……」

僧侶「……魔法、使い……なの?」

魔法使い「え?」

勇者「まぁ、その背中のそれを見りゃ疑問に思うだろうな」

58 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 02:57:21.01 W2v8yDL40 27/407
僧侶「……不思議」

魔法使い「あはは……そうかなぁ?自分ではわかんないや」ドスン

勇者「まぁ、その代わり防御低下呪文すら唱えられんがな」

魔法使い「それは……そうだ!僧侶ちゃん、一緒に行かない?」

僧侶「……え?」

勇者「お、おい……いきなりそんな……この子にも悪いだろ……」

勇者(実際は俺の立場が危うい……)

僧侶「……」コクリ

勇者「え、えぇっ!?」

59 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 03:11:15.50 W2v8yDL40 28/407
勇者「さっきのに恩義感じてるとかだったら気にしなくていいんだぞ?」

勇者「魔法使いはいつもおせっかいであんなことしてるし」

魔法使い「おせっかいってなんだよー」

勇者「だから、考え直したほうが……」

僧侶「……気になる」

僧侶「……魔法使いの、こと」

僧侶「……だから、着いてく」

60 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 03:22:45.31 W2v8yDL40 29/407
魔法使い「やったー!よろしくねー」

勇者(はぁ……また影が薄くなるな、俺。勇者なのに……)

僧侶「……よろしく」

勇者「さーて、僧侶が加わったが……結局、どうすっかね」

僧侶「……?」

魔法使い「あぁ、僧侶ちゃん分かんないか。それがねぇ……」

81 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 14:28:10.91 W2v8yDL40 30/407
僧侶「……魔王を、倒しに……」

勇者「まぁ、そういうこと。一応勇者なんだ、俺」

魔法使い「勇者とは言っても、戦うのは私だけどね」

勇者「それを言うなマジで……そういや僧侶」

僧侶「……?」

勇者「お前は、その手にした杖で魔物を撲殺したりしないよな?」

僧侶「……」コクコク

勇者(よかった……)


83 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 14:38:28.78 W2v8yDL40 31/407
勇者「さーて、だべってても仕方ないし、さっさと行き先考えるか」

魔法使い「そうだねー……こうしてる間にも魔王がいろいろしてそうだしねー」

僧侶「……」コク

勇者「とりあえず、情報を集めたいから……どこか大きな町へ行こう」

魔法使い「こっから大きな町って言ったら、どこ?」

勇者「……辺境の王宮、かな」

魔法使い「えぇ!?あのアホみたいに長い洞窟抜けたとこじゃん!」

勇者「しかたねぇだろ!この辺にあるでかい町はそこぐらいだろ?」

魔法使い「あーもう、分かったよ……ったく、移動呪文も使えないんだから……」

勇者「ぐっ……」

84 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 14:53:29.45 W2v8yDL40 32/407
勇者「……で、洞窟まで来たはいいが……」

僧侶「……魔物」

魔法使い「めちゃくちゃいるねー……」

勇者「辺境の王宮で、何かが起こってるのか?」

僧侶「……急がないと」

魔法使い「人の命がかかってるかもしれないから、のんびりしちゃいられんね」バッ

僧侶「……っ!」バッ

勇者「えっ」


85 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 15:01:34.29 W2v8yDL40 33/407
僧侶「……強化呪文っ」キュイーン

僧侶「……はっ!」ズバッ

魔法使い「おんどりゃああ!!」ズガーン

僧侶「……防御呪文っ」キーン

魔法使い「ありがとう、僧侶ちゃんっ!」ドゴーン

勇者「なにこれこわい」

86 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 15:03:21.98 W2v8yDL40 34/407
魔法使い「ふむ、あらかた片付いたね……」

僧侶「……進む」

勇者「あ、あぁ……そうだな……」

勇者「なぁ、僧侶」

僧侶「……?」

勇者「さっきの言葉、嘘だったのか?ほら、杖で……」

僧侶「……殴らない、切る」

勇者「……」

89 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 15:10:32.21 W2v8yDL40 35/407
勇者(強化呪文……昔どれだけ練習したことか)

勇者(転職も考えたが、神官に怒られちゃったからなぁ)

僧侶「……勇者?」

魔法使い「おーい、早く来ないとおいてっちゃうぞー」

勇者「ん、あ、あぁ……」

勇者(まぁ、これで魔法使いの負担も減るしいい、のかな……?)

勇者「あ、毒沼解除魔法」シュワー

90 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 15:24:33.26 W2v8yDL40 36/407
魔法使い「洞窟の中は意外と魔物が少ないね」

僧侶「……なぜ?」

勇者「まぁ、ここの洞窟はかなりトラップ多いからな」

勇者「大方飛べない魔物は外に配置されてんじゃないかな。解除魔法」シュー

勇者(つまり、頭のいいトップがいるってことか……ああ、めんどくさい)

93 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 15:29:55.71 W2v8yDL40 37/407
勇者「さて、ここを抜ければ王宮は目の前なのだが」

魔法使い「さっきより数がいるね……しかも魔術師も何体かいる」

僧侶「……苦戦」

勇者「まぁ、デカブツどもは魔法使いが吹き飛ばすとして」

勇者「魔術師を生かしたままだと、魔法跳ね返される危険があるなぁ」

魔法使い「昔それで死にかけたもんね、勇者が」

勇者「まぁ、お前に盾にされてなきゃ生きてたんだがな」

魔法使い「あ、あれはっ……ボクも咄嗟で悪気は……っ!」

95 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 15:38:46.01 W2v8yDL40 38/407
勇者「まぁ、同じようなバカは俺もやらんさ……沈黙魔法」ヒュイーン

僧侶(……!)

勇者「よし……これで、しばらく相手は呪文を唱えられんはずだ」

勇者「魔術師どもに異変を気付かれるとまずいから、さっさとやってくれ」

魔法使い「おーけー、勇者。……大地の怒りっ!」ドガガーン

魔術師「……!!!」パクパク

魔物「グゲゴアアアアアアアアア!!」グシャ グシャ

僧侶(……沈黙魔法……上級魔法のはず)

96 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 15:45:57.53 W2v8yDL40 39/407
勇者「相変わらず容赦ないな……っていうか」

勇者「敵がまだいるかもしれないのに、あんな大音量の魔法使うんじゃねぇ!」ポコ

魔法使い「あうう……だって、洞窟の中は大地の力を受けれるから、魔力消費が少なくて済むんだよー」

勇者「だからって……」 ガヤ ガヤ ガヤ

僧侶「……くる」

勇者「だぁ、くっそお……さっさと洞窟出るぞ!閉じ込められでもしたらシャレにならん」


97 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 15:53:32.98 W2v8yDL40 40/407
魔物ども「グゲギャゴゲホヒャフヒィィ」

勇者「うわぁ……」

勇者「洞窟を抜けたら、魔物でした」

魔法使い「入り口の三倍近くいる、かな?」

僧侶「……魔術師も、いる」

勇者「……こりゃまた大歓迎なこった」

102 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 16:09:37.40 W2v8yDL40 41/407
勇者「とりあえず、俺が魔法に対する防壁は張るから」

勇者「後は各自頑張ってくれ」

魔法使い「おーけーおーけー。まぁ、いつも通りだね」

僧侶「……勇者は、大丈夫?」

勇者「ん?俺の心配してくれてんの?」

勇者「魔法使いはしてくれないから、嬉しいねー」

魔法使い(ボクだって心配ぐらいしてるし……)

勇者「だいじょぶだいじょぶ。いつもこんなもんだから」

103 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 16:13:53.89 W2v8yDL40 42/407
魔術師「……ゲギャギャ」シュイーン

勇者「くるぞっ!防壁呪文っ!」キキューン

魔法使い「よし!暴れるぞぉっ!」ゴワァッ

僧侶「……倒す」キーン

ザシュッ ドゴッ ズガァン

勇者「おーおー、派手にやってるねぇ」

魔物「ゲヒャグギョホォ」

勇者「で、やっぱこっちに来ますよねー」

106 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 16:22:06.44 W2v8yDL40 43/407
勇者「よーし、かかってこいやー(棒)」

魔物「ギャギャァッ!」ビュゴ

勇者「……くぅっ!」ガギィン

勇者「なんとか受け止めっ……」

魔物「グゲゴヒャ!」ブオン

勇者「あらら、後ろいたの?」グチャッ

108 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 16:25:21.42 W2v8yDL40 44/407
僧侶「……勇者っ!」ダッ

魔物「グヒヒヒ」

僧侶「……どけっ!」ズバッ

魔法使い「あらー、やっぱやられたかー」カキン

魔法使い「まぁ、魔術師はもう全部倒したし、防壁はいいか」ブォン ザシュ

魔物「グギョォォ……」ドサ

109 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 16:41:45.71 W2v8yDL40 45/407
魔法使い「ふぅ、あらかた片付いてきたかな」ザグッ

ドズーン  ドズーン

魔法使い「なんだ、このデカイ足音……」

僧侶「……勇者っ!治癒呪文!」ポワアア

勇者「ふぅ……生き返るなぁ、まったく」

僧侶「……無事?」

勇者「あぁ、心配すんなって言ったろ?簡単に死にはしないさ」

魔法使い「おい、勇者っ!あうっ」ズザー

110 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 16:45:45.78 W2v8yDL40 46/407
勇者「魔法使いっ!って、なんだこいつ!?」

鳥人間「貴様が、勇者か……」

勇者「うぉ!しゃべりやがった!」

僧侶「……しゃべる、魔物」

鳥人間「ふん、我ぐらい高等な魔物なら当然のことだ」

鳥人間(これが勇者……?横の女よりもちからが弱いではないか)

鳥人間(こんな雑魚に負けるとは……やはり、あの魚人王が弱すぎただけか)

112 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 16:52:35.44 W2v8yDL40 47/407
鳥人間「さて、おしゃべりはこれぐらいにしておくか」

鳥人間「弱くても、勇者は勇者。魔王様に仇名す者を生かしておくわけにはいかん」バサッ

鳥人間「死ねぇっ!勇者!」ガッギィン

鳥人間「むぅ!?」

魔法使い「ボクを忘れちゃ困るなぁ……あれぐらいじゃ倒れないよ?」

鳥人間(バカな……相当なダメージだったはずだが)

114 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 16:56:28.73 W2v8yDL40 48/407
僧侶「……隙だらけ」ヒュバッ

鳥人間「ぐっ!小癪なっ!」バサッ

僧侶「……うっ」ズザッ

魔法使い「おっと、今度はこっちだよ!」ブオン

鳥人間「ぬぐぅっ!?」ズドン

鳥人間「効かぬわぁっ!」バシーン

魔法使い「あうぁっ」ドサッ

勇者「……攻撃強化かけても耐えるか。今までのと格が違うな、流石に」

115 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 17:01:53.93 W2v8yDL40 49/407
鳥人間「さて、次は貴様……はっ!」バッ

僧侶「……避けたか」キュイーン

鳥人間(な、なぜだ……なぜ立ち上がれる……)

魔法使い「空はボクに任せてっ!……うなれ、暴風!」ビュゴワアア

鳥人間「む、ぐおわああああ」バリバリ  ドサッ

鳥人間(く、羽がやられたか……)

鳥人間(しかし、なんだこいつら。不死身なのか……?)

116 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 17:07:35.43 W2v8yDL40 50/407
鳥人間「ぐっ……かくなる上は!」ダダダッ

魔法使い「あ、逃げたっ!」

勇者「まずいな、あっちは町のほうだ」

魔法使い「逃がすかっ!……からみつけ、木々よっ!」ポフ

勇者「……」

僧侶「……」

魔法使い「魔力切れ、みたい」

勇者「あー、追わないといけないのか……かったるいが急ぐぞ!」

122 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 19:40:19.49 W2v8yDL40 51/407
貴族「……化け物は引いたか?」

兵士A「はい、なにやら慌しく去っていきました」

貴族「ぐぐぐ……魔王が復活したというのは本当だったのか……」

兵士B「報告します!先ほどの化け物が戻ってきました!」

貴族「なんだと!?攻撃をやめたわけではなかったのか!?」

貴族「く……民衆の避難を最優先させろ!奴が戻ってくるまでに急ぐのだ!」

兵士全員「はっ!」

貴族「化け物め……ここに何があるというのだ……」

123 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 19:44:41.48 W2v8yDL40 52/407
鳥人間「この私がこのような姑息な手を使うことになるとはな……」

鳥人間「だが、ここで勇者をしとめねば……」ズズン

兵士A「とまれーっ!化け物め!」

鳥人間「ふん……寄せ集めどもめ」

魔法使い「まーーーてーーーー!!」ダダダダ

僧侶「……追いついた」

鳥人間「人間にしては早かったな」

鳥人間(勇者の姿がない……遠距離からの奇襲狙いか?)

勇者「……はぁ……はぁ……二人、とも、はや、す、ぎ……」

124 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 19:48:09.92 W2v8yDL40 53/407
鳥人間「……」ガシッ

兵士「ひ、いいぃ」ガクガク

魔法使い「あっ!」

僧侶「……く」

鳥人間「私が言いたいことは、伝わっているな?」ギリギリ

兵士「ぐ、ぐふぅぅ……」

魔法使い「……この、卑怯者っ!」ガシャン ガシッ

僧侶「……ダメ」

魔法使い「……ぐぅ」

勇者「……はぁ……あとどんぐらいだっけ……」

125 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 19:54:38.86 W2v8yDL40 54/407
鳥人間「さて……このままただお前達を捻り潰してもいいが」

鳥人間「それではいささかつまらないな……そうだ」

鳥人間「貴様ら、本気で殺しあえ」

魔法使い「な、なんだって!?」

僧侶「……!」

鳥人間「聞こえなかったか?殺しあえ、と言ったんだ」ギリギリギリ

兵士「あ……ぎゅぐげ……」ブクブク

魔法使い「そんな……ボク……」

僧侶「……」シャキン

魔法使い「そ、僧侶ちゃん……?」

僧侶「……」ダッ   シュバッ

勇者「まだ、つかねぇのかよ……こんな遠かったか?」

126 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 20:01:17.73 W2v8yDL40 55/407
僧侶「……はっ!」ビュン カキン

魔法使い「ちょ、ちょ、ちょっと!僧侶ちゃん!」ギャリリ

僧侶「……戦って、ください」ガギーン

魔法使い「ボクには……出来ないよ。人と殺し合いなんて……」ガシャン

鳥人間「ほぅ……この人間はどうなってもいいと?」

僧侶「……ダメ!」ビュゴッ ドス

魔法使い「……かふ……」ドサッ

127 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 20:06:30.16 W2v8yDL40 56/407
僧侶「……うく」ズブッ

鳥人間「躊躇いが無いな……仲間とは言え所詮は他人と言うわけか」

僧侶「……その人を、放せ」

鳥人間「んん?殺し合えばこいつを放すと言ったかな?」

鳥人間「実にいい余興だった。これだから人間は面白い」

鳥人間「自分の利害のためなら、平気で仲間を裏切れる」

鳥人間「さて……貴様にも後を追ってもらおうか」シャキン

132 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 20:54:25.69 W2v8yDL40 57/407
鳥人間「さぁ、地獄に落ちろっ!」ガギン

鳥人間「なっ……!?なんだと!?」

勇者「いやー、魔物ってのは実に愚かだねぇ」

鳥人間「!!!」

勇者「だらだらと長い口上並べてよ。そんなに自分が強いって思ってんの?」

鳥人間「き、貴様はっ!」

鳥人間(すっかり忘れていた……ぬかったか!)

勇者「今のあんたじゃ何にも傷つけられねーよ」

鳥人間「な、何を馬鹿な……フン!」グッ

兵士「……あ、あれ?なんともない……おりゃ!」ガスッ

鳥人間「ぐはぁっ!?」ズザァ

鳥人間「ば、ばかな……この私がこのような下等な人間に……」

135 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 21:12:06.81 W2v8yDL40 58/407
勇者「どう?下等生物の気持ち分かった?」

鳥人間「これが……これが勇者の力だと言うのか……」

鳥人間(危険だ、危険すぎる……!魔王様に伝えなければ!)

勇者「僧侶、遅れてすまなかったな」

僧侶「……いえ」

鳥人間「はぁっ!」バサッ

勇者「まだ羽ばたく力が残っていたのか。ご苦労なこった」

鳥人間「ははは、何を余裕ぶって!」ゴシュ

鳥人間「な……に……」ドサッ

魔法使い「よくもやってくれたね……これで終わりだよ!」ボゴシャ

136 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 21:20:55.27 W2v8yDL40 59/407
魔法使い「ふぅ……流石に今回は大変だったね」

勇者「まぁな。魔力がすっからかんなんていつぶりかな」ヘタン

僧侶「……勇者」

勇者「ん?」

僧侶「……さっきのは、何?」

勇者「あー、あれね……あれは、対象を極端に弱める魔法だよ」

勇者「俺に対して以外の」

僧侶(……聞いたこともない、呪文)

勇者「魔力大量に消費する上に、詠唱にも無駄に時間がかかるから」

勇者「仲間で対処できる相手には使う必要ないからほとんど意味ないけどな」

勇者「久しぶりに使ったけど、上手くいってよかったよほんと」

137 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 21:25:23.89 W2v8yDL40 60/407
魔法使い「しかし……これから先あんなんがいっぱい出てくるのかな?」

僧侶「……」ゾク

勇者「かもしれんなー。こりゃ相当ヤバイわ」

魔法使い「ボクたちの今の力じゃ、魔王の足元にも及ばなさそうだね……」

勇者「俺の魔法が当たればイチコロなんだがな……」

勇者「一体にしか使えないから、周り囲まれると意味ないからなー」

魔法使い「ほんと不便だね、その魔法」

勇者「うるせー、勇者専用なんだぞ?……多分」

138 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 21:31:39.60 W2v8yDL40 61/407
兵士「報告っ!先ほどの魔物ですが、撃破に成功しました!」

貴族「なんだとっ!それは本当か!」

貴族「倒したものは誰だ?褒美を取らせるぞ!」

兵士「それが……突然現れた旅の者らしいです」

貴族「ほう、旅の者か……随分と腕の立つ者がいたものだ」

貴族「その者たちを連れてまいれ!」

139 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 21:40:07.41 W2v8yDL40 62/407
貴族「ふむ……お前達があの魔物を……」

勇者「まぁ、そうなりますね」

魔法使い「うわー……屋根たかーい」

僧侶「……」キョロキョロ

貴族(なんだこの田舎者どもは……本当にこんな奴らが……?)

貴族(いや、見た目で力を図るのは愚か者のすることだな)

貴族「お前達には、感謝しよう。あの怪物達のせいでこの町は壊滅するところだった」

勇者「そりゃどうも」

魔法使い「うわー……おっきいカーテンだなー」

僧侶「……」ドキドキ

142 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 21:54:07.84 W2v8yDL40 63/407
貴族「お前達に褒美を取らせようではないか」

貴族「何か欲しいものはあるか?」

勇者「んー、とりあえず金をください、金を。10万Gぐらいで」

貴族(なんという不躾な奴だ……まぁ、恩人である以上断れんが)

貴族「ふむ、10万Gでいいのだな?すぐに用意させよう」

勇者「あと、今回の魔物がどこから来たか分かります?」

貴族「あの化け物は、北の山を越えたとこから来たが……それがどうかしたのか?」

勇者「いえ、少し気になっただけです。ありがとうございました」

勇者「さ、帰るぞ。お前ら」

魔法使い「……あんな可愛いドレス、ボクも欲しいな……」ボソ

僧侶「……強い、杖」ボソ

143 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 22:03:44.19 W2v8yDL40 64/407
勇者「さて、軍資金の調達も済んだし……今日は休むか」

魔法使い「わーい!やったー!」

僧侶「……疲れた」

勇者「適当な宿屋でも探すかな……っと」

魔法使い「どしたの?勇者」

僧侶「……?」

勇者「すまんな、先に二人で宿行っててくれ」

145 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 22:10:45.16 W2v8yDL40 65/407
魔法使い「とりあえず、言われるまま先に宿屋に来たけどさ……」

魔法使い「なーんか腑に落ちないけど……」

僧侶「……?」

魔法使い「まぁいいや。勇者のことだから特に変なことはしない、と思う」

僧侶「……そう」

魔法使い「さーて、今日は大分疲れたし、服もボロボロだから」

魔法使い「さっさとお風呂に、入っちゃおうか!」

僧侶「……!」アワアワ

魔法使い「?」

150 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 22:22:54.63 W2v8yDL40 66/407
魔法使い「どうかしたの?僧侶ちゃん」

魔法使い「ボクとお風呂、嫌だった?」

僧侶「……」フルフル

僧侶「……そうじゃない」

魔法使い「えーと、じゃぁ。お風呂入ろ?」

僧侶「……」コクコク

魔法使い(なーんか引っかかるなぁ……無口な子だからわかんないや)

157 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 22:55:15.53 W2v8yDL40 67/407
魔法使い「……久しぶりだなぁ、お風呂なんて」ぬぎぬぎ

僧侶「……そう、なの?」ぱさっ

魔法使い「旅をしてるとね、どうも水浴びぐらいしか……」

僧侶「……どうして、旅に?」

魔法使い「んー……それがね『旅に出たい』ってある日突然あいつがね」

魔法使い「あいつの家さ、本当に勇者の家系なんだよ」

魔法使い「まぁ、勇者自体が迷信みたいになってるけど……」

僧侶「……」

159 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 22:59:16.35 W2v8yDL40 68/407
魔法使い「あいつ、昔から弱いくせに大きな夢持っててさ」

魔法使い「剣も上手く使えないのに強がっちゃってさ」

魔法使い「危なっかしくて、見てられなくて……」

魔法使い「だから……一緒に旅に出たの」

僧侶「……好き、なの?」

魔法使い「え?」

僧侶「……勇者のこと」

魔法使い「んー……どうかな?よくわかんないや」

魔法使い「さ、こんな格好じゃ風邪ひいちゃうよ。早く入ろ?」

僧侶「……うん」

161 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 23:03:46.86 W2v8yDL40 69/407
魔法使い「ふーっ……きもちいいなぁー……」

魔法使い「広い町の宿屋だけあって、しっかりしてるなぁ」

僧侶「……きもち、いい」カポーン

魔法使い(……しかし、改めて見ると)ジー

魔法使い(ボクよりも、大きくないか……?いや、そんなはず……)

僧侶「……?」

162 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 23:06:36.70 W2v8yDL40 70/407
僧侶「……見て、ますね」

魔法使い「えっ!?い、いや、ボ、ボクはそんな!」アセアセ

僧侶「……はぁ」

魔法使い(もしかして、さっき嫌がってた理由って……)

魔法使い「胸のこと、気にしてた……?」

僧侶「……!」

164 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 23:09:48.37 W2v8yDL40 71/407
魔法使い(やっぱり気にしてたか……大きくて悩むなんて、贅沢な悩みだなぁ……)

僧侶「……大きいと、戦うとき、邪魔」

魔法使い「ぐふぅ!」

僧侶「……?」

魔法使い「いや、なんでもないよ……はは、ははは」

魔法使い(どうせボクは邪魔にならないよ!悪かったな!)

166 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 23:17:37.59 W2v8yDL40 72/407
魔法使い(っと、僧侶ちゃんは悩んでんだから。ちゃんと教えてあげなきゃな)

魔法使い「大きいことに、自信持っていいと思うけどなぁ」

僧侶「……なんで?」

魔法使い「いや、女の子なんだからさ。女の子っぽいのはいいことだと思うよ?」

魔法使い「ボクなんて、こんなナリだから……」ペタペタ

僧侶「……そう、かな?」

魔法使い「うん!戦うだけが女の子の仕事じゃないだから!」

僧侶「……そっか」プクプク

ーーーーーーーーーー

勇者「なんだろう凄く損している気がする」

店主「おい兄ちゃん、さっさと選んでくんな!」

169 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 23:24:08.33 W2v8yDL40 73/407
魔法使い「僧侶ちゃん、背中流したげるよ!」

僧侶「……ありがとう」

カポーン

魔法使い「僧侶ちゃん、肌綺麗なんだねー……うらやましいよ」ゴシゴシ

僧侶「……そんなこと、ない」

魔法使い(しかし、一番気になるのは胸の実寸……)

魔法使い(ええい!どうとでもなれい!)むにっ



ーーーーーーーーーーー
勇者「……早く……早くしてくれないか?」

鍛冶屋「まぁ、そう急かすなってあんちゃん!」カンカン

173 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 23:32:02.02 W2v8yDL40 74/407
僧侶「……あぅ」

魔法使い(こ、これはっ……!う、嘘だろ……?)

僧侶「……ま、ほう、つか、い?」ハァハア

魔法使い(まだだ……まだ認めんよ!)むにむに

僧侶「……あう、あ」ビク

魔法使い(……認めねばならぬ、ということか……ははは)

魔法使い「負けだ……… 完全 敗北だ………」もみもみ

僧侶「……は、はなし……あうっ」ビクビク


ーーーーーーーーーーーー

勇者「大分遅くなっちゃったなー……」

勇者「しかし重い……」ずっしり

176 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 23:39:12.28 W2v8yDL40 75/407
僧侶「……」ジトー

魔法使い「いやー……もうね、はい。ごめんなさいしか言えません」

僧侶「……もう、いい」

僧侶「……普通に、洗う」ゴシゴシ

魔法使い(あちゃー……やりすぎちゃったかな……反省しなきゃ)

僧侶(……変な、感じ)

ーーーーーーーーーーー
勇者「さーてと、そろそろ宿屋か……長く感じたな」

勇者「ちからが無いってのは、こういう面でも不便だよ、まったく……」

186 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 23:58:06.49 W2v8yDL40 76/407
勇者「……やっと着いた」ゼーゼー
   バタン

宿主「いらっしゃい」

勇者「えーと、女の2人組みが先に来て部屋を取ってるはずなんですが……」

宿主「えーと……はいはい、確かに」

勇者「二人は、今どこいます?」

宿主「確か、先に風呂に行くとかなんとか」

勇者「なんてこった」

宿主「え?」

勇者「いえ、こっちの話です」

187 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 00:06:14.23 /r0D6C4A0 77/407
僧侶「……きもちよかった」ツルツル

魔法使い「んぅー、そうだねー」ツヤツヤ

僧侶「……あ」フキフキ

魔法使い「ん?どしたの、僧侶ちゃん」ふきふき

僧侶「……服」

魔法使い「……あららー、すっかり考えてなかったねー」

188 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 00:09:48.92 /r0D6C4A0 78/407
魔法使い「流石に、こんなボロボロをまた着たくはないなー……」

僧侶「……でも」クシュン

魔法使い「しまったねー、宿主さんから服を借りとけば……」

コンコン

魔法使い「…だれっ!」
僧侶「……!」

勇者「俺だ、勇者だよ」

190 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 00:14:11.85 /r0D6C4A0 79/407
魔法使い「勇者……?って、こっちは女湯だよっ!」バゴン

勇者「お、おい!扉を殴って壊す気か!?バカやろう!」

勇者「大体、恥ずかしがるほどないだ(ドゴゴン うおっ!?」

魔法使い「バカはどっちだよ!ばーか!すけべー!へんたい!のぞきー!」

僧侶「……待って」

魔法使い「……僧侶ちゃん?」

僧侶「……勇者、用は?」

勇者「その声……僧侶か」

勇者「少しドアを、開けてもらえないか?変な意味じゃないぞもち「ちかん!えろがっぱ!」

193 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 00:20:10.51 /r0D6C4A0 80/407
僧侶「……」ギィ

魔法使い「ちょ、ちょっと!僧侶ちゃん!?」

勇者「……」スッ  バタン

魔法使い「……これは?」

僧侶「……服」ガサゴソ

魔法使い「……う」

僧侶「……ふ、く」

魔法使い「わ、分かってるよ!……後で謝ればいいんだろう?」むすっ

198 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 00:32:53.32 /r0D6C4A0 81/407
勇者「……さて、俺も風呂に入るかな」

勇者「しかし、この服改めて見ると……所々血が染み込んじゃってるな」

勇者「まぁ、仕方ないか。あんだけグシャグシャ潰れればな」パサッ

勇者「むしろ、服として機能してるだけでもこの素材を評価できるぜ」

勇者「さっさと入ってさっさとあがるか、腹も減ってるし」ザパーン

199 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 00:38:03.47 /r0D6C4A0 82/407
魔法使い「ゆ、う、しゃぁぁっ!」バタンッ

勇者「なんだよ、人が風呂から上がってすぐに」ホカホカ

魔法使い「なんだよ、このフリフリした服!」フリフリ

勇者「いや、魔法使いっぽくていいじゃないか」

魔法使い「そうじゃなくて……恥ずかしいじゃないか!」

魔法使い「こんなの……ボクには似合わないよ……」

勇者「んー……そんなことねーと思うけど?十分可愛いぞ?」

魔法使い「え……そんな、その……」カーッ

勇者「まぁ、そのまな板をなんとかすりゃ見栄えもかわっ」ゴシュ

魔法使い「……死んじゃえ!」

僧侶(……相変わらず)

200 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 00:41:46.53 /r0D6C4A0 83/407
勇者「そういや、僧侶」ダクダク

僧侶「……なに?」

勇者「ほい、これ」ポイ

僧侶「……杖?」

勇者「あれだ、特注品で持ち手のところを鍛えた鉄の棒にしてある」

勇者「今使ってる木の杖より、強化したときの威力があるはずだぜ」

僧侶「……あり、がとう」

勇者「なーに、金は余らしてても意味ねーからな。旅が楽になるならそっちのほうがいいさ」

僧侶(……大事に、使おう)ギュッ

魔法使い「……む」

201 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 00:51:45.01 /r0D6C4A0 84/407
勇者「んー……腹いっぱいになったのは久しぶりだなー」

魔法使い「やっぱり、しっかりした料理を食べるようにしたいね、旅してても」

勇者「そうだよなー……」

僧侶「……私、料理、出来る」

勇者「な、なに!?マジか!」

僧侶「……少しなら」

勇者「いいことを知ったぜ……これで上手い飯が食べれる!」

魔法使い「……むむ」

202 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 00:57:36.69 /r0D6C4A0 85/407
勇者「さて、そろそろ寝るかなー……って、あれ?魔法使いは」

僧侶「……外」

勇者「……こんな時間にか?」

僧侶「……」コクリ

勇者「……」



魔法使い「はぁー……なんだかな」

魔法使い「自分で誘ったからなんだけどさ……私って、必要なのかな?」

魔法使い「僧侶ちゃんは私と違って、回復も補助も多少は出来るし」

魔法使い「ただのちからバカの私とは違うんだよな……」

魔法使い「はぁー……どうしよう」ガシャン

204 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 01:03:09.99 /r0D6C4A0 86/407
勇者「どうしようって、どこか行くあてあんのか?」

魔法使い「!!」

魔法使い「……勇者」

勇者「ったく、せっかく人が服買ったってのに、こんなとこ座り込んじまって……」

魔法使い「ご、ごめん……」

勇者「……だー、もう!何悩んでんのかしらねーがな!」

勇者「お前を不必要だなんて思ってねぇよ!」

勇者「確かに、僧侶は万能型だから、そこに負い目を感じるのは分かる!」

勇者「だけど、それを言っちまったら、このパーティーで一番必要ないのは……」

勇者「俺だ!」

207 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 01:09:48.09 /r0D6C4A0 87/407
勇者「だから、俺が抜ける!」

魔法使い「そんな……ダメだよ!勇者が抜けるなんて!」

勇者「だろ?」ズィッ

魔法使い「!!!」

勇者「だーかーらー、お前もくだらんこと悩んでんじゃねぇよ」つねつね

魔法使い「い、いたふぃ……」

勇者「遊び人とか商人とか、戦いに向いてない職でも勇者の仲間として戦った記録が残ってんだ」

勇者「悩む前に、旅をしようぜ。魔王を倒してから、ゆっくりと悩めばいいさ、なっ」ニカッ

魔法使い「……うん」ぐすっ

210 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 01:18:49.37 /r0D6C4A0 88/407
僧侶「……」スー

勇者「寝ちまってるな、僧侶」

魔法使い「まぁ、色々大変だったしねー。ボクも凄く眠いや……」

勇者「俺も大分疲れてるわ……寝るとするか」

魔法使い「……でさ」

勇者「ん」

魔法使い「なんでベッドが一つしかないのかな?」

211 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 01:21:15.81 /r0D6C4A0 89/407
勇者「いや、別にいいだろ。俺床で寝るから」ゴロン

魔法使い「え……」

勇者「ん?まだなんか話があるのか?」

魔法使い「い、いや……なんでもないよ」パサッ

魔法使い(……昔はよく一緒に寝てたのにな)

男(自分で言って悲しくなったが、本当に俺必要ないよな……くそっ)

男(また、特訓しなおしてみるか……)スー スー

215 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 01:36:16.73 /r0D6C4A0 90/407
宿主「ゆうべは、おたのしみでしたか?」

勇者「あんただったのか、あれは……」

魔法使い「無駄な気遣いです!」

宿主「いやぁ、申し訳ありません……」

僧侶「……ねむ」くしくし

216 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 01:41:34.27 /r0D6C4A0 91/407
勇者「さて、腹ごしらえも済んだし出発するか」

魔法使い「そうだね、長くいても仕方ないし」

僧侶「……」コクリコクリ

勇者「とりあえず、情報があった北の山へ向かうかな」

魔法使い「あー、寒いことかー……寒いの苦手なんだよなー」

勇者「まぁ、ある程度の準備はしておいたが、寒さは慣れるしかないな」

僧侶「……」プクーッ

259 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 12:38:08.64 /r0D6C4A0 92/407
ビュゴー  ビュゴー

勇者「……こりゃ、予想以上の吹雪だな」

魔法使い「ううう……さ、むいよぅ……」ガチガチ

僧侶「……さむ」

勇者「とりあえず、ほい」ヒュ

魔法使い「これって……暖房の実?高いよね、確か」

勇者「金を抱えて凍え死ぬよりはマシだろ、ほら僧侶も」ヒュ

僧侶「……」パク 「……か、らい」

261 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 12:44:10.00 /r0D6C4A0 93/407
勇者「まぁ、このままボーっとしてても寒いだけだし、暖かいのが続く間に行っちまうか」

魔法使い「そうだねー……覚悟を決めるよ」

僧侶「……出発」

ザク  ザク

勇者「しかし、北の山なんて初めて来るな……地形が分からん」

魔法使い「ボクが寒いとこ苦手だからねー、暑いとこもだけど」

僧侶「……」ピク

魔法使い「むむっ」

勇者「ちっ、魔物の気配がするな……どんな奴がくるやら」

262 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 12:49:26.19 /r0D6C4A0 94/407
魔物「グギャギャギャ!ニンゲン!ニンゲン!」

勇者「うわぁ……めちゃくちゃ強そうじゃねぇか」

魔法使い「しかも若干言葉を話してるね」

僧侶「……強い?」

魔法使い「まぁ、話してても通じるかなんて知らないけどね」ズシャン

魔法使い「先手必勝!」ズゴン

魔物「ハハァッ!」ヒュッ

魔法使い「しまった、避けられたか!」ググ

魔法使い「……埋まって、抜けない」

264 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 12:56:20.99 /r0D6C4A0 95/407
勇者「何してんだバカ!得体の知れない相手に突っ込んでいくなんて!」

僧侶「……助ける」ザザッ

魔法使い「うぐ……落ちろ!稲妻!」ドゴーン

魔物「ギャギャギャギャッ」バッ

魔法使い「全然堪えてないっ!」カキィン

僧侶「……無事?」

魔法使い「ありがと、僧侶ちゃん……死ぬかと思ったよ」

266 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 13:04:13.85 /r0D6C4A0 96/407
僧侶「……くっ!」ギィン

魔法使い「とりゃっ!」ガィン

魔法使い(足場が不安定でいまいち戦いずらいや……)

僧侶(……硬い)

勇者「見た目的には炎に弱そうだが……この地形じゃ魔法使いに負担がなぁ」

勇者「魔法に期待はできず、物理戦は防御強化と攻撃強化をかけて互角ってところか」

勇者「いきなり強くなりすぎだろ、魔物……」

268 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 13:11:16.62 /r0D6C4A0 97/407
勇者「ま、炎をどんぐらい怖がるかだな。試してみるか」カチッ  ボッ

魔物「ギャギャッ!?」ザザッ

魔法使い「……?」

勇者「おっ?」ブンブン

魔物「ギャギャギャギャ」ズザザッ

僧侶「……炎」

勇者「やっぱり苦手だったか。これで、形勢ぎゃくて」ドグショッ

魔物「ギャギャギャギャ」キュイーン

勇者「魔法も使えんのかよ……油断した、な。ぐほぇ」ドサッ

270 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 13:18:40.23 /r0D6C4A0 98/407
魔法使い「魔法を使える魔物……嘘でしょ?」

僧侶「……まずい」

魔物「ゲギャギャギャギャギャハ」キィィィン

魔法使い「……多重詠唱、か」

僧侶「……」

魔法使い「僧侶ちゃん」

僧侶「……?」

魔法使い「ボクが合図したら、すぐに防御壁を全力で張ってね」

271 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 13:24:32.83 /r0D6C4A0 99/407
僧侶「……」コク

魔法使い「じゃぁいくよ。せーの!」

僧侶「……防御壁!」キュイーン

魔法使い「お願いだから、魔力よ尽きないで……舞い上がれ!業火!」ドゴゴゴゴ

魔物「グゲギャアアアア!!」ジュウウウウ

僧侶(……凄い)

273 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 13:30:47.30 /r0D6C4A0 100/407
魔法使い「……ふぅ」ドサ

僧侶「……!!」

僧侶「……気絶、してる」

魔法使い「すー……すー……」

僧侶「魔法使い!寝たら死ぬ、起きて!」
グラグラグラグラ 

ズザザザザザ

僧侶「……う、そ」

276 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 13:46:12.04 /r0D6C4A0 101/407
魔法使い「……ん、んん……はっ!」

僧侶「起きた!」

魔法使い「僧侶ちゃん……よかった、生きてたんだ……」

僧侶「……こっちの、台詞」

魔法使い「服、新しく買ったのにボロボロにしちゃったね……ごめん」

僧侶「……気に、してない」

魔法使い「……ありゃ?勇者は……?」

僧侶「……」

277 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 13:59:25.79 /r0D6C4A0 102/407
勇者「……ん……あれ?」バッ

勇者「……どこだ、ここ?」

勇者「確か、さっきまでは魔物と戦ってて……」

勇者「そうだ、魔法でやられちまったんだ、俺……いてて」ズキズキ

勇者「しかし、ここは一体山のどの辺りなんだ……?」

勇者「俺の死んでる間に何があったやら」

278 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 14:05:15.09 /r0D6C4A0 103/407
勇者「僧侶も魔法使いも見当たらん……」

勇者「どうやら、ここは洞窟のようだが……入り口が塞がってるな」

勇者「多分、雪崩か何かで運ばれた、のかな?」

勇者「雪崩が起こるぐらい強力な魔法を使ったのか……」

勇者「あいつら、無事だといいけど……」

280 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 14:18:47.49 /r0D6C4A0 104/407
魔法使い「……ボクの魔法で、そんなことが……」

魔法使い「これだから、力を調節できないバカ力なんだよ……」

僧侶「……」フルフル

僧侶「……ああしなきゃ、死んでた」

魔法使い「……そうだけど」

僧侶「……勇者は、強い。だから、大丈夫」

魔法使い「そう、だね。心配しててもことは始まらないや」

281 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 14:23:32.58 /r0D6C4A0 105/407
勇者「しっかし、寒いな……」ガチガチ

勇者「あの二人には暖房の実を持たせといたから、大丈夫だろうけど……」

勇者「魔物とかいなきゃいいけどなー、面倒なことなるし」

勇者「……っ!」サッ

魔物「ゴギャギャギャ!」ザッ ザッ

勇者(魔物から隠れる勇者、か……なんかマジで泣きたい)

327 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 22:50:48.33 /aMMFKe00 106/407
魔法使い「……とりあえず、闇雲に探してみたけどさ」

僧侶「……いない」

魔法使い「はぁー……流石に山で人探しなんて無謀だったかなぁ」

僧侶「……頑張る」

魔法使い「そうだね……勇者が一人なんて、心配すぎる……」

僧侶「……」コクコク



勇者「……へっくし!」ブルブル

勇者「急に寒気がしたな、一瞬……」

329 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 22:57:06.06 /aMMFKe00 107/407
勇者「そういや、こういう風に一人になるなんて久しぶりだなー」

勇者「旅に出てからというもの、いっつもあいつが一緒にいたし」

勇者「……結構、寂しくなるもんだな」カツン カツン

勇者(……また魔物か!?)サッ

魔物「クケケケケケ」ザッ ザッ

少女「……」

勇者(魔物が女の子を担いでいる……どういうことだ?)

330 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 23:01:18.11 /aMMFKe00 108/407
魔物「ウケケ ウケケ」ズッ ズッ

勇者(勢いで尾行をしてみたものの……)

勇者(後をつけて何が出来んの?って話なんだが……)

少女「……」

勇者(まぁ、どう考えても危険な状況の女の子をスルーってのも出来ないが)

魔物「ウクカケコ」

勇者(……ん、明かりか……?)

331 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 23:03:22.48 /aMMFKe00 109/407
氷女王「ほう、今回の生贄はそのものか……」

魔物「ウケキャキャ!ゴゲギャギャ!」

氷女王「うむ、ご苦労であった。早く失せるのだ下賎のものよ」

魔物「キャキャァ……」ザッ ザッ

氷女王「うむ、今回の生贄も若々しくいい肉体をしておる……」

勇者(あちゃー……なんかめっちゃボスみたいなのいるわー)

332 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 23:09:51.19 /aMMFKe00 110/407
勇者(しかも、なんかかなり危ない発言してるし……)

勇者(歳は僧侶よりも下かな、多分……そんな小さな子が生贄、か)

勇者(というか、この辺りに人がいることが驚きだ)

氷女王「さてと、それではさっそく……」スッ

勇者(移動する、みたいだな……っと)タタッ

333 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 23:18:51.28 /aMMFKe00 111/407
魔法使い「あうー……見つからないなー」

僧侶「……あそこ」

魔法使い「ん?僧侶ちゃん、何か見つけたの?」

僧侶「……洞窟」

魔法使い「洞窟、かぁ……まぁ、適当に探し回るよりはいいかな」モグモグ

僧侶「……から」モグモグ

335 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 23:22:56.89 /aMMFKe00 112/407
勇者(なんだか、大広間みたいな場所だな……)

氷女王「さーてと、久しぶりの生贄だからな……」

氷女王「ゆっくりと楽しんでやろう」

勇者(くっ……俺が出て行ってなんとかなるのか……?)

勇者(あの呪文を使ったとしても、女の子に意識が無いんじゃ無意味だ)

勇者(くぅ……一人だと果てしなく無能だな、俺は)

338 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 23:27:53.15 /aMMFKe00 113/407
勇者(……だけど)

勇者(時間稼ぎなら、最も得意だ!)

勇者「おい、お前!」

氷女王「っ!!何者だ!」バッ

勇者「……その子を、助けにきた」シャキン

氷女王「ふん……あの村のものか?片腹痛い……何度挑もうと無駄よ!」カキン カキン

勇者(一瞬で氷の壁が……)

氷女王「逃げられると興ざめなのでな……出入り口は塞がせてもらったぞ」

340 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 23:34:11.35 /aMMFKe00 114/407
勇者(さて、女の子だけを逃がすという策が儚く散ったわけだが)

氷女王「しかし、久しぶりだな……わらわに挑む人間などとは」

氷女王「どれ、遊んでやろうではないか」ヒュオーン

勇者「氷で出来た鎌……」

氷女王「そぉれっ!」ヒュザッ

勇者「くうっ!」ガキィン 「ぐはっ!」ズザッ

氷女王「……なんだと?」

343 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 23:38:03.33 /aMMFKe00 115/407
氷女王「貴様……ふざけているのか?」ブン

勇者「ぐ……う」

氷女王「弱い、弱いっ!弱すぎる!その実力ではこの山に入ることすらままならぬはず!」

氷女王「ここまで来るから歯ごたえがあるかと思えば……」

氷女王「実につまらん……もういい、死ね」ブオン

勇者「う……」グチャ ガシュッ

346 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 23:43:48.01 /aMMFKe00 116/407
氷女王「……ふん。あっさりと死におったわ」

氷女王「死にきただけの、ただのバカか?相手にしたのが間違いだった」

少女「……ん、んん……」

氷女王「む、生贄が目を覚ましてしまったか」ザッ

氷女王「まったく、面倒なことじゃ」

少女「ここ……どこ?」

氷女王「……まぁ、たまには泣き叫ぶ姿もよかろうて」ジャキン

347 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 23:46:23.52 /aMMFKe00 117/407
少女「ひ、ひぃ……」

氷女王「さぁ……もっと恐怖で顔を歪ませておくれ……」カツ カツ

少女「い、いやぁ」ダッ

氷女王「ほっほっほ、逃がさんよ……」

少女「あ……あ」

氷女王「さぁて、鬼ごっこは終わりじゃ」

氷女王「今日は機嫌が悪いのでなぁ……いつもより痛いかもしれん」

氷女王「恨むなら、そこのバカな男を恨むんじゃな!」ゴワッ  プニッ

351 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 23:53:21.21 /aMMFKe00 118/407
少女「……?」

氷女王「な、なんじゃ!?これは……」プニ プニ

氷女王「爪がささらん!ならば!」グオン ポキッ

氷女王「わらわの鎌までっ!なんじゃ、なんなんじゃこの子供は!」

少女「……?」

352 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 23:55:39.29 /aMMFKe00 119/407
氷女王「この子供……まさか、魔術師か!」

氷女王「それならば説明がいく……ふはは!これで終わりじゃ!」キーン

少女「きゃっ」

氷女王「魔族に伝わる魔法封印の杖じゃ……これで貴様も!」プニ

少女「……」

氷女王「……」

359 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 00:00:42.37 seaoDF220 120/407
氷女王「……まさか」クルリ

氷女王「貴様が、何かをしよったのか……?」カツ カツ

氷女王「……完全に、死んでおる。そんなわけはないか」

少女「……てやぁ!」タタタッ

氷女王「ははは、人間の苦し紛れというやっ」ドゴォ 「ぐはぁっ!?」

363 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 00:05:45.42 seaoDF220 121/407
氷女王「ば、ばかなっ!わらわは魔族の王であるぞ!」

氷女王「それをこんな人間の、しかも子供なぞにっ!」

少女「やあぁっ!」タタタ

氷女王「ふんっ!」ブオン ポコ  ドゴォ「うぐふっ!」

勇者「さて、完全に形成逆転なわけだが?」

氷女王「なっ……き、きさまっ!?」

365 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 00:09:46.55 seaoDF220 122/407
氷女王(バカな……完全に心臓は止まっておったぞ!?いや、それより……)

氷女王「貴様、わらわに何をしおった!」ズドン

勇者(うわー……すごい魔力だ……)

少女「ええいっ!」バシン

氷女王「い、いたいっ!や、やめろっ!」

369 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 00:18:24.74 seaoDF220 123/407
氷女王「この魔法、貴様がかっ!」ガシッ

勇者「あぁ、そうだ」

氷女王「貴様ぁ……解け!今すぐ解け!」シャキン

勇者「あぁ、俺を殺してもいいけどさ」

勇者「一生解けなくなるよ?それ」

氷女王「なん、じゃと……」

勇者(まぁ、実際は俺が死なないんだけどね)

373 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 00:24:49.80 seaoDF220 124/407
勇者「さて、ここで取引なわけだが」

氷女王「取引、じゃと……?」

勇者「その女の子を、村に帰してやってくれ」

氷女王「何をバカな……生贄をむざむざと返せるものか」

少女「わーいわーい」ゲシッ

氷女王「く、くぬぅっ……」ガクン

勇者「どうする?」

氷女王「ぐ、ぐぐぐ……」パチン パリーン

勇者(お、氷の壁を解除した。予想以上に上手くことがいってるな)

氷女王「おい、誰かおるか!その小娘を帰してこい!」

374 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 00:30:22.60 seaoDF220 125/407
魔法使い「……あーもー、長いよー暗いよー」

僧侶「……いない」

魔法使い「やっぱりここにはいないのかな?僧侶ちゃん、一旦出ようよ」

僧侶「……」フルフル

魔法使い「……え?」

僧侶「……」

魔法使い「えーと、これはボクたちも迷っちゃったかな?」

僧侶「……」コクコク

375 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 00:36:01.88 seaoDF220 126/407
魔法使い「そろそろ暖房の実も切れちゃうよ……寒いのやだなぁ」

コツン コツン

僧侶「……!」サッ

魔法使い「足音……何かいる」

魔物「ギャギャギャイ」ザッ ザッ

少女「……♪」

魔法使い「魔物っ!…って、なんであの女の子若干楽しそうなの?」ボソッ

僧侶「……謎」

376 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 00:42:51.60 seaoDF220 127/407
魔法使い「あの子、助けたほうがいいのかな……」

僧侶「……分からない」

魔法使い「少し、後をつけてみようか。どうせ勇者の居場所も分からないし」

僧侶「……ん」タッ

378 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 01:02:00.77 seaoDF220 128/407
氷女王「さぁ、あの小娘は村に帰してやったぞ」

氷女王「さぁ、わらわにかけた魔法を解け」

勇者「ん?確かに俺は村に帰してくれとは言ったが」

勇者「魔法を解いてやると約束した覚えは無いんだが?」

勇者(あの子の無事が分からない以上、時間稼ぎが必要だな)

氷女王「き、さ、ま、ぁっ……」ジャキン

勇者「いつかバレたら怖いよねー。女王様が実は人間の女の子以下なんて」

氷女王「ぬぬぬ……」スッ

勇者(なんか、言葉が話せるようになったほうが戦いやすいな)

勇者(しかし……どっちが悪者か分からんなこりゃ)

381 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 01:11:16.33 seaoDF220 129/407
氷女王「……わらわに、どうしろと言うのじゃ……」

勇者「んー……俺らの仲間にならない?」

氷女王「……はぁ?何をたわけたことを申しておるのじゃ」

氷女王「わらわは、魔族の王じゃぞ?それがなぜに人間と仲間などと……」

勇者「ふーん。ならそのままがいいのか?」

氷女王「き、貴様……わらわを誰だと思っておる……わらわは……」

勇者「人間の女の子にも勝てない貧弱女王様、だろ?」

氷女王「ぬううううう!言わせておれば!」ゴシャッ

勇者「ぐえへぁっ」ビチャッ

氷女王「はぁ……はぁ……」


383 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 01:17:45.05 seaoDF220 130/407
氷女王「やってしまった……」

氷女王「これでわらわは人間以下の存在……はぁ」

氷女王「どうしてこんなことになってしまったのだ……」

氷女王「こんなことなら、あの人間の申し出を……」

勇者「マジで!?」

氷女王「うおわあああっ!?」

385 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 01:21:41.56 seaoDF220 131/407
氷女王「き、きさまっ!さっきからなぜ死なん!」

氷女王(こやつ、本当に人間か……?本当はこちら側の存在なのでは?)

勇者「仲間になってくれんの?」

氷女王「いや、あ、あれは……」

勇者「仲間になったら、魔法解いてやるよ?」

氷女王「ほ、ほんとか!(よし、ここは仲間になるフリをして……)」

388 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 01:26:33.32 seaoDF220 132/407
魔法使い「おおっ!明かりが見えてきた……!」

僧侶「……町」

魔物「ギャギャギャイ」トス

子供「ありがとー!」

魔法使い「……え?何もせず降ろした?」

僧侶「……意味不明」

魔法使い「おっと、こっち来るね」サッ

魔法使い「とりあえず、町で情報でも集めようか」

僧侶「……了解」

389 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 01:32:46.50 seaoDF220 133/407
村長「なんじゃと……そんな……」

村長「少女が、帰ってきおったぞー!」

村人A「なんだって……」 村人B「生贄の子が……?」 村人C「前代未聞だ……」
ざわ ざわ ざわ

町長「あなた方が、救ってくださったのですか!?」

魔法使い「あ、あの、えーと……」

僧侶「……」

町長「まぁ、お疲れでしょう!ゆっくりと休んでいってください!」

魔法使い(……いいのかなぁ?これで)

391 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 01:36:05.53 seaoDF220 134/407
氷女王「……ふん!人間に従うことには納得せんが」

氷女王「よかろう、仲間になってやろうではないか!」

勇者「おー、やっと決心したか」

氷女王(ふふふ……魔法を解いたらすぐに)

勇者「あ、仲間と合流するまでは魔法解かないからな?グサッとやられても困るし」

氷女王「……ぐっ、よかろう」

氷女王(その仲間とやらもまとめて殺してやろうではないか……)

393 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 01:42:02.88 seaoDF220 135/407
村長「いやー、この村にもやっと平和が!」

村長「ついにあの氷の女王めを討ち果たす勇者様が現れてくださいましたか!」

魔法使い「いやー、その……ははは」

村長「魔王が復活してから間もなくして現れたあの忌々しい女王め……」

村長「村の者達が幾度と無く挑み、命を落としていった」

村長「しかし、それも今日で終わりです!ありがとう、勇者様!」

魔法使い(どんどん尾ひれがついていってるよ……なんか勇者様にされてるし)

魔法使い(僧侶ちゃん!なんで黙ってんのさ)ボソッ

僧侶(……都合が、いいから)ボソッ

魔法使い(意外と黒いね……まぁ、そうだけどさぁ)

394 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 01:46:26.12 seaoDF220 136/407
村長「さ、さ、ゆっくりしていってください!」

魔法使い「え、でも……ボクたちお金……」

町長「勇者様からお金なんてとんでもない!もちろん、ただでいいですよ」

僧侶「……」(……少し、心配)

魔法使い「……」(勇者探しにいきたいけど……体力限界だしなぁ……)

僧侶「……よろこんで」(……でも、休みたい)

魔法使い「感謝します、村長さん!」(ま、勇者なら大丈夫か……)

397 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 02:02:32.10 seaoDF220 137/407
勇者「……なんだか、もの凄い邪険にされたのを感じた」

氷女王「む、どうかしたのか?」

勇者「いや、なんでもない」

勇者「しかしなー……あんた本当に強いんだな」

魔物「ガガア」 「ギャギイ」 「グゲゴゴ」

勇者「みんなぴしーっと跪いてる……」

氷女王「誇り高き女王のわらわに、このような下賎の者は顔を向けるだけで許されん」

勇者「いやまぁ、今は……」ピシッ 「おうふ」

氷女王「だ、だまれい!そのことを知られては絶対にならんのだ……!」

氷女王「このものたちは、わらわの力で押さえつけておる」

氷女王「わらわが弱いとしれば……このものたちは暴れだすであろう」

勇者(……ん?なーんか引っかかる感じだな)


399 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 02:06:14.58 seaoDF220 138/407
勇者「なぁ、お前さ」

氷女王「なんだ?」

勇者「周りの魔物抑えるために女王やってんの?」

氷女王「……まぁ、そんなものだな」

勇者「いい奴じゃん」

氷女王「な、何を……っ!」

氷女王「この者達が暴れると、若い女が集まらなくなるのだ!だから……」

勇者「いや、理由はどうにせよさ。そのおかげでその村襲われてないんだろ?」

氷女王(こいつ……なんだと言うのだ、さっきから)

氷女王(わらわもわらわじゃ……さっきから、らしくない、らしくないぞ)

402 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 02:15:19.59 seaoDF220 139/407
魔法使い「……とは、言ったもののねぇ」

僧侶「……心配」

魔法使い「死なない、とは言ってもね……閉じ込められたりしたらアウトだしなぁ」

魔法使い「逆に死なないってことが、さらに悪い方向に思考を向けちゃうよ」

僧侶「……うん」

魔法使い「あーあ、こんなんだったらもっと修行しとくんだったなぁ……」

魔法使い(無事でいてね……勇者)

403 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 02:20:10.47 seaoDF220 140/407
勇者「なぁ、どんぐらいしたら着くんだ?」

氷女王「後もう少しだから辛抱しろ。まったく、人間という奴は……」

勇者(あいつらの手がかりが少しでも見つかればいいんだがな……)

勇者(ん?というか……こいつを連れて行って大丈夫なのだろうか?)

勇者「なぁ、あんたさ。村の人達に顔とか見られてる?」

氷女王「まぁ……数回は赴いたことがあるが」

氷女王「はっきりと見られてるかは知らん」

勇者(うーん、微妙だな……まぁいいか、その辺はおいおいな)

404 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 02:25:50.83 seaoDF220 141/407
魔法使い「……やっぱり、落ち着いてられない!」ダン

僧侶「……行く?」

魔法使い「心配、だしね……見当はついてないけど、探してればいつか見つかるさ!」

僧侶「……だね」スク

村人たち「わー わー わー」

魔法使い「ん……?なんか外が騒がしいね」

456 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 17:31:26.96 seaoDF220 142/407
村長「そんな……氷の女王め……生きておったのか!」

村人A「生贄を取り返しにきたのか!」

村人B「勇者様が倒してくださったのではなかったのか?」

村人C「終わりだ……報復に来たんだ……」


勇者「おいおい、随分な怖がられようだな」

氷女王「……まぁ、こんなものであろう」

460 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 17:37:21.49 seaoDF220 143/407
魔法使い「騒がしいから外に出てみれば……」

村人たち「わいわい がやがや」

僧侶「……勇者」

村長「隣の男は一体誰じゃ……人間に見えるが、女王の手下か?」

村人D「魔物に手を貸すとは、なんて奴だ!」

魔法使い「えーと……あれが女王なの?まさか」

魔法使い「なんで勇者と一緒にいるのさ……」

463 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 17:46:58.35 seaoDF220 144/407
村長「おお!勇者様!」

村人たち「そうだ、勇者様……今は勇者様がいるんだ!」

勇者「ん?勇者は俺のはずだが?」

魔法使い「あちゃー、見つかっちゃったかぁ……」

僧侶「……行こう」

勇者「おー、魔法使い!無事だったのか、お前ら。心配したぞ」

魔法使い「いや、それはこっちの台詞だよ……」

僧侶「……説明して」

465 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 17:54:20.94 seaoDF220 145/407
村人たち『勇者様が何か話しておられる……なぜお倒しになられぬのだ?』ヒソヒソ

勇者「とまぁ、そういうわけなんだ」

魔法使い「……なるほど、ね」

僧侶「……把握」

氷女王「これが貴様の仲間か?おなごばかりではないか」

魔法使い「……女の子だけど、今の君を潰すぐらいの力はあるよ?」ガシャン

氷女王「ひ、ひいぃっ!」

村人たち『さすが勇者さまだ……あの氷女王が恐れおののいている……』ヒソヒソ

467 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 17:58:42.98 seaoDF220 146/407
勇者「そう喧嘩腰になるなって……これから一緒に旅すんだから」

魔法使い「え?」 僧侶「……え?」

魔法使い「ここで退治しちゃうんじゃないの?」ジャキン

勇者「んー……正直、こいつそんな悪い奴じゃないんだよな」

氷女王(……何を言っておるか)

勇者「それに、今回の魔物との戦いで戦力不足が明らかになったわけだし」

魔法使い「だからって……魔物と一緒に旅なんて、聞いたことないよ!」

469 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 18:04:39.92 seaoDF220 147/407
村長「えーと、勇者様……?」

魔法使い「あ、は、はい!」

村長「先ほどから何を話しておるのですか?その者は一体……」

魔法使い「えーと、あの、その」

勇者「どうも、勇者です。氷の女王は無害にしたんで安心していいですよ」

村長「勇者……?無害にしたとは、一体……?」

470 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 18:09:12.82 seaoDF220 148/407
村長「失礼致しました!あなたが本当の勇者様でしたか」

勇者「あー、まぁ。その二人は俺の旅仲間です」

魔法使い「村長さん、ごめんなさい……」 僧侶「……」ペコッ

村長「いえいえ、そんなことはいいんですよ!」

氷女王「……くっ」ジャラ ジャラ

村長「こうも容易く捕らえられるとは……無害になったとは本当だったのですね」

472 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 18:15:03.00 seaoDF220 149/407
氷女王「下賎な人間どもめ……わらわにこのようなことをして許されるとでも思っているのか……」

村長「黙れ!貴様に今まで殺されたもの恨み……」シャキン

氷女王「……!!!」

勇者「あー、村長さん?ちょい待ちちょい待ち」

473 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 18:20:56.64 seaoDF220 150/407
勇者「お前さ、本当に村の人殺してたの?」

氷女王「……」

勇者「黙ってたらこのまま死ぬぞ?いいのか、それで」

氷女王「……村の者は、殺してなどおらん」

村長「な、なんじゃとっ!?」

氷女王「生贄の娘達は、洞窟のわらわの部屋におる」

氷女王「歯向かってきたものたちは、牢獄に幽閉しておるだけだ」

氷女王「……誰一人、死んでなどおらん」

村長「な……何をバカな!この期に及んでたばかりおる気か!」

勇者「まぁまぁ、村長さん落ち着いて……」

476 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 18:28:26.98 seaoDF220 151/407
勇者「……論より証拠だよな、やっぱ」

勇者「ここに全員連れてきてもらえるか?今までの人達全員」

氷女王「……ふん。後悔することになっても知らぬぞ?」

勇者「んー……後悔すんのは俺じゃないと思うから構わない」

魔法使い『ねぇ、勇者!どういうことなんだよ!』ボソボソ

僧侶『……』

勇者『まぁ、見てりゃ分かるんじゃないかね。後、戦う準備しとけ』

氷女王(こやつ……何を考えているのだ、まったく)

477 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 18:37:57.00 seaoDF220 152/407
少女達「……あれ?村だー」タタタッ

村人A「おお、無事だったか娘よ!」

村人B「本当に……本当に生きてたんだ!やったー!」

捕虜A「村だ……やっと帰ってこれたんだ……」

村人C「男達も無事だぞ!」

村長「ど、どういうことなんじゃ……」

氷女王「……ふん」

478 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 18:42:58.11 seaoDF220 153/407
魔物「ギャギャ……ゲギャギャギャ!」

村人「ひ、ひいっ!魔物だ!」

氷女王「く……貴様ら……待つのだ!」

魔物「ギャギャギャギィ!」バッ  ガッギィィン!

魔法使い「もう……なんなんだよ!もう!」

僧侶「……戦う」

氷女王(やはり……こうなってしまうか)

479 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 18:51:10.31 seaoDF220 154/407
勇者「なぁ、あんたさ。生贄とか言って連れてきてたのはこのためだろ?」

勇者「威厳保たないといけねぇもんな、偉い奴は」

氷女王「……わらわは、出来れば戦いたくはなかった」

氷女王「争いは好まぬ……行き着く先は破壊しかないからのう」

氷女王「しかし、低級な魔物どもにはそんな考えはない……」

勇者「だから、生贄って形で満足させてたんだなー……頭いいな、お前」

氷女王「……人間などに褒められても、嬉しくなどないわ」

勇者「でも、あの時少女襲ってたよな?」

氷女王「あ、あれは……たまには怖がらせて楽しもうかと思っただけじゃ!」

480 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 18:56:28.14 seaoDF220 155/407
勇者「……でもさ」

氷女王「なんじゃ」

勇者「争い好まぬとか言っといて、俺は思いっきりグシャッってやったよね?」

氷女王「あぁ……あれでもかなり威力を落としてたのじゃが……」

氷女王「あのぐらいの威力で死んだ村人はおらんかったからのう」

勇者「……マジかよ」

483 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 19:00:48.84 seaoDF220 156/407
魔物「グゲゲゲゲ!」ガギン ゴギン

魔法使い「ええぃやぁ!」ズガン

僧侶「……はっ!」ザシュ

魔物「グギャギャギャギャ!」ブゥン

魔法使い「……キリが、ないや」はぁ はぁ

魔法使い「こんなところでボクの魔法使うわけにもいかないしなぁ……」

僧侶「……まずい」

魔物「グゴゴゴゴ」キュイーン

魔法使い「多重詠唱、か……」ツゥ

487 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 19:08:51.39 seaoDF220 157/407
氷女王「おい、勇者よ。わらわにかけた魔法を解け」

勇者「……んー」

氷女王「悩んでおる場合か?この村が滅んでもいいと?」

勇者「しかたねぇか……頼むぞ」パシィン

氷女王「きさまらっ!やめんかぁ!」ヒュゴオオオオオオ

魔物「ゲ……ギャ、ギャ?」カチン コチン

魔法使い「す、すごい……氷に強い雪山の魔物が氷漬けに……」

僧侶「……さむ」

496 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 19:20:36.05 seaoDF220 158/407
氷女王「ふん……下衆どもが」

勇者「お前、どっちの味方なんだよ……」

氷女王「わらわは、わらわの生きたいように生きておるだけじゃ」

氷女王「誰かに味方せねば生きれぬのか?この世の中は」

魔法使い「すっごーい!今の魔法は君が?」

氷女王「う、うむ……」

魔法使い「すごいすごいすごーい!多重詠唱でもあんな威力でないよ!」

氷女王(な、なんだと言うのだこの小娘は……)

500 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 19:29:10.41 seaoDF220 159/407
村長「……氷の女王が、村を守ったというのか……?」

村人A「ど、どういうことなんだ……」

村人B「まさか、本当にいい奴……?」

氷女王「ふん、別に貴様らを助けたわけではない……勘違いをするでない」

勇者(……素直じゃねーのな)

519 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 20:06:46.69 seaoDF220 160/407
氷女王「さて、と……」ジャキン

勇者「おーおー、やっぱりそうなるか」

魔法使い「全然仲間じゃないじゃんか!勇者!」

僧侶「……戦う?」

氷女王「……はぁ……もうよい」パリン

氷女王「付いて行ってやろうではないか、勇者とやらよ」

氷女王「どうせお前を殺しても、また復活してしまうのであろう?」

氷女王「無駄な徒労はもうたくさんじゃからな……」

521 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 20:18:06.70 seaoDF220 161/407
魔法使い「でもさ、あなたが離れたら魔物たち暴れちゃうんじゃないの?」

氷女王「それなら、大丈夫じゃ。……ほれ」カキィーン

勇者「これは……氷の像か?」

氷女王「さっき釘を挿しておいたからの。わらわの姿があれば村を襲わんじゃろう」

僧侶「……大丈夫、なの?」

氷女王「お前らが思っておるほど低級魔物は賢くない。力に従順なだけじゃ」

524 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 20:28:52.81 seaoDF220 162/407
氷女王(わらわが人間と旅、か……)

氷女王(不思議な人間がいたもんじゃな……もう少し早く出会いたかったぞ)

勇者「あー……しかし、今日はマジで生きた心地がしなかったぜ……」

魔法使い「本当だよ……何があったのか全部話してもらうからね!」

勇者「分かった分かった。お前らが何してたのかも話してくれよ?」

僧侶「……」コクコク

勇者「さて、今日はもう遅いし宿に行くか」

528 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 20:33:57.15 seaoDF220 163/407
宿主「い、いらっしゃ、いませ、え……」

勇者「めちゃくちゃ警戒されてるな、こりゃ」

氷女王「まぁ、当然と言えば当然であろう……」

魔法使い「今まで恐れてた人が急にいい人って言われても、ねぇ」

僧侶「……仕方ない」

氷女王「……むぅ」

勇者(……) 「じゃ、4人でお願いします」

533 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 20:41:04.62 seaoDF220 164/407
魔法使い「さて……じゃぁ、お風呂に入ろうか」

僧侶「……」コク

氷女王「風呂……?」

勇者「なんだ、風呂を知らないのか?」

氷女王「聞いたこともないし見たこともないな」

魔法使い「だったら入ってみなよ!気持ちいいよ」

僧侶「……」コクコク

氷女王「む、そこまで言うのなら試してみるかのう」

536 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 20:48:09.67 seaoDF220 165/407
魔法使い「……」パサ パサ

僧侶「……」ヌギヌギ

氷女王「む、風呂とは服を脱いで入るものなのか」バサッ

魔法使い(サイズはなかなか……僧侶ちゃんよりもあるか)

僧侶(……大きい)

氷女王「な、なんじゃ!わらわの顔に何か付いておるか?」

魔法使い「……別に」

僧侶「……別に」

ーーーーーーーーーーーー
勇者「……寂しいな」クピ

村人「勇者様!どうぞどうぞ」

勇者「あ、どうも」

537 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 20:54:03.88 seaoDF220 166/407
氷女王「な、なんじゃこれは!」

魔法使い「え?なにって……お風呂?」

僧侶「……あ」

氷女王「おぬし、頭がおかしいのか!?わらわは氷女王であるぞ?」

魔法使い「あー……そういえばそうだっけ」

氷女王「あぅ……湯気が……あ、あつい……」クラクラ

魔法使い「あ……そっちは湯船……」  ザパーン

ーーーーーーーーーーー
勇者「あ、そういえば……あいつら服どうすんだろ」

勇者「……世話のかかる奴らだ、まったく」

542 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 21:01:40.04 seaoDF220 167/407
氷幼女「はうあうあー……」プカー

魔法使い「……えーと」

僧侶「……」ゆさゆさ

魔法使い「ちっちゃく、なっちゃったの?」

僧侶「……そう、みたい」

魔法使い(なーんだ、あの胸は氷か、ははは……)

魔法使い「じゃなくて!」

ーーーーーーーーーーーーー
勇者「あー……」パッサ パッサ

勇者「財布の中身が……雪崩の時か?」

勇者「あー、すいません。……服を、譲っていただけませんか?」

544 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 21:06:42.06 seaoDF220 168/407
氷幼女「ふぅ…ふぅ…」くてぇ

魔法使い「えーと……」

氷幼女「わらわを殺す気か、貴様ら……」

魔法使い(全然怖くない……僧侶ちゃんよりちっちゃいや)

僧侶「……水」バシャー

氷幼女「ふぅ……感謝する」

僧侶(……可愛い)

ーーーーーーーーーーーーー
勇者「譲ってもらえた……いい人達だ」

勇者「しかし、まだ半分は残ってたのにな……お金」

勇者「こっから先また貧乏旅かぁ……はぁ」

545 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 21:10:35.03 seaoDF220 169/407
氷幼女「ふむ……これなら風呂なら悪くないのぅ」カポーン

魔法使い(水風呂に氷を浮かべてる……見てるだけで寒いや)

僧侶(……)ブルッ

氷幼女「お前達、入らぬのか?なかなか気持ちいいぞ」

魔法使い「えっと……ボクは普通の湯船でいいよ!」ザプン

僧侶「……同意」ザプン

氷幼女「なんじゃ、つれないのう……」

魔法使い(あんなのに入ったら死んじゃうっての!)

548 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 21:19:41.94 seaoDF220 170/407
魔法使い「相変わらず肌綺麗だねー、僧侶ちゃん」ゴシゴシ

僧侶「……そんなこと、ない」

氷幼女「む、何をしておるのじゃ?」

魔法使い「体を洗ってるんだよ。お風呂に入ったら体を綺麗にしなきゃ」

氷幼女「ふむ……わらわもお願いできるだろうか?」

僧侶「……」ちょいちょい

氷幼女「ふむ、そこに座ればよいのじゃな?」

ーーーーーーーーーーー
勇者「そういや、氷女王って武器いらんのかな?」

勇者「……鎌を作れたよな、確か」

勇者「まぁ、何か一つぐらい持ってたほうがいいか、探してこよう」

553 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 21:24:50.22 seaoDF220 171/407
氷幼女「むむむ……くすぐったいのう」

僧侶「……冷たい」ゴシゴシ

氷幼女「わらわの体温は、おぬしらには冷たく感じるかもしれんのう」

魔法使い「えー、ほんと?うわっ、つめたっ!」ビク

氷幼女「わらわにとってはおぬしらの手が少し熱いぐらいじゃ」

僧侶「……白くて、綺麗」さわっ

氷幼女「べ、べたべた触るでない……熱いというておろう」カァ

魔法使い「ほんとだ、うらやましー……」ぺたぺた

氷幼女「や、やめろと言うとろうに!わ、わらわは出るっ!」タッ

僧侶「……あっ」

魔法使い「そんな勢いよく立ったら……!」

氷幼女「え?」ツルン

氷幼女「わ、わわわっ」ドパーン

魔法使い「あららー……言わんこっちゃない……」

554 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 21:34:33.63 seaoDF220 172/407
氷幼女「……」プカー

魔法使い「気絶しちゃった……」ザパァ

僧侶「……」さわさわ

魔法使い「ちょ、ちょっと!僧侶ちゃん!?」

氷幼女「……ん、あ」ピク

僧侶「……ひんやり」

魔法使い「……」さわさわ

氷幼女「……あっ、ん」ビクン

魔法使い「ほんとだ、ひんやりしててこれはこれで」

ーーーーーーーーーーーーーーー
勇者「え?貰っていいの?」

武器屋「おう!勇者様に使ってもらえるなんて光栄だぜ!」

勇者(まぁ、俺が使うんじゃないのだが……)

557 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 21:43:16.92 seaoDF220 173/407
氷幼女「あふ……あ?」パチ

僧侶「……あ」クリクリ

魔法使い「……あ」クチュクチュ

氷幼女「な、に、を、し、て、、る、の、だ……!」

氷幼女「きさまら、もうゆるさっ」

魔法使い「せーの」

僧侶「……えい」ポイ

氷幼女「あー……」ザパーン

魔法使い「そろそろあがろっか」

僧侶「……」コクコク

561 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 21:51:14.35 seaoDF220 174/407
氷幼女「はぅ…はひぃ……さっきまでの記憶がないぞよ……」

魔法使い「きっと気のせいだよ、それ」

僧侶「……気のせい」

氷幼女「気のせいなわけあるか!……もう風呂はこりごりじゃ」

魔法使い「えー、今度もみんなで入ろうよー……あ」

僧侶「……不覚」

氷幼女「ん?どうしたと言うのじゃ?」

魔法使い「服をまた忘れちゃってる……」

562 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 21:56:29.19 seaoDF220 175/407
氷幼女「こんな熱いところはもうこりごりじゃ……」ガチャ

魔法使い「ちょおっとまったぁ!」バタン

氷幼女「なんじゃ!わらわをここから出さぬ気か!」

僧侶「……違う」

魔法使い「もしかして、そのまま出る気なわけ!?」

氷幼女「ふん!わらわは魔力で服ぐらい作れるわ!」シューン

氷幼女「あ、あれ……?はっ!」シューン

氷幼女「そ、そんな……ばかな……」

569 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 22:02:58.46 seaoDF220 176/407
氷幼女「なんということじゃ……なんということなのじゃ……」

魔法使い「なんか凄いショック受けてるね」

氷幼女「魔法使いの貴様なら分かるだろ!魔力を失う気持ちが!」

魔法使い「いや、ボクは斧で戦えるから別に……」

氷幼女「おぬし、それは魔法使いと言えるのか……?」コンコン

僧侶「……来た」

勇者「おい、俺だ、勇者だ」

573 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 22:07:34.20 seaoDF220 177/407
魔法使い「……服、持って来たの?」

勇者「あぁ、その感じだとやっぱり忘れてたな」

氷幼女「ふむ、それでははやく差し出せい」ガチャリ

勇者「……!!!」

魔法使い「……!!!」

僧侶「……!!!!!」

勇者「……どちら様?」

574 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 22:10:39.60 seaoDF220 178/407
氷幼女「何をとぼけておる。さっさと服をわたさんか」

勇者「ええと……あ、はい」ばさ

魔法使い「……」プルプルプル

僧侶「……」カーッ

魔法使い「……とっとと、でていけぇっ!」ボゴーン

勇者「ぐぼふぉっ!」ビターン

勇者(僧侶のほうがやはり大きかった……か)ドサリ

584 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 22:25:24.77 seaoDF220 179/407
氷幼女「むぅ……?なんじゃこれは、ぶかぶかではないか」

魔法使い(勇者に見られた……って、まぁ初めてではないけどさ)

僧侶(……)プシュー

氷幼女「体を元にも戻せぬか……やはり魔力が尽きておるようじゃな……」

魔法使い「……今度はゴスロリか……まぁ、フリフリよりはマシか……」

僧侶「……新しい、帽子」もふっ

587 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 22:29:22.03 seaoDF220 180/407
氷幼女「大分腕が余ってしまっておるのう……後で直すとするか」

魔法使い「……出ようか」

魔法使い「もう絶対にああいうことしないでね!」

氷幼女「う、うむ……気をつけよう」

僧侶「……あったかい、服」
ガチャ

勇者「……」

氷幼女「いつまで寝ておる、さっさと起きんか」ぺちん

勇者「……」ジー

勇者「なんだ、夢か」 氷幼女「ばかもん、違うわ」ぺちぺちん

590 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 22:34:11.91 seaoDF220 181/407
勇者「……そういうことがあったのか」

魔法使い「ほんとにボクたちもびっくりしたんだよ!」

氷幼女「よし、これでぴったりじゃ!感謝するぞ」

僧侶「……構わない」

勇者「しかし、あの姿が擬態だったとはな……」

氷幼女「魔族の王はほとんど老いんからのう」

氷幼女「幼い外見に生まれてしまったら、ああする以外に方法がないのじゃ」

勇者(せっかくの胸要素が……)

魔法使い「……なんかよからぬこと考えてない?」

勇者「いんや、んなこたないな」

598 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 22:43:18.64 seaoDF220 182/407
魔法使い「しかし……勇者、きみのセンス疑うよ」くいくい

勇者「ん?その服のことか……それは貰い物なんだ、文句言うな」

魔法使い「え……?貰い物?」

氷幼女「おー、上手いものじゃのう」

少女「もっと出来るよー」ポン ポン

僧侶「……」パチパチ

宿主(あの女の子……誰だ?)

600 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 22:45:56.04 seaoDF220 183/407
魔法使い「お金落としちゃったの!?あの時」

勇者「あぁ、すまんな……」

魔法使い「いや、ボクが原因だし……はぁ、また貧乏生活かぁ」

勇者「ここの村長からいくらかもらえんかなぁ」

魔法使い「気は乗らないけど……明日試してみようか」

氷幼女「ほっ!ほっ!……あ」ポロ

少女「幼女ちゃんへたー」

氷幼女「う、うるさいわっ!」

僧侶(……か、かわいすぎる)

608 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 22:55:11.92 seaoDF220 184/407
氷幼女「ふわぁぁ……魔力がないせいかどうも眠いのう……」

魔法使い「あー、分かるそれ!なんか魔力無いと体重いよね」

僧侶「……」コクコク

勇者「じゃぁ寝るとするかな……おい、宿主」

宿主「はい、なんでしょうか?」

勇者「ベッド一つの部屋とかじゃ、ないよな」

宿主「え?はい、ベッド一つじゃありませんよ」

609 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 22:58:30.69 seaoDF220 185/407
勇者「で、部屋に来てみれば……」

魔法使い「布団が一つ、敷いてあるね……」

勇者(宿屋で流行ってんのか?これ)

僧侶「……ねむ」ころん

魔法使い「あ、僧侶ちゃん」

氷幼女「わらわも眠いの……ねさせてもらうぞよ」こてん

僧侶「……!」ビクッ

僧侶「……さ、さむい……」

氷幼女「む、む……す、すまんの……」

611 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 23:01:47.37 seaoDF220 186/407
魔法使い「……で、何でこうなるのかな?」

勇者「さぁ?俺にはわからんな」

僧侶「……あったかい」ギュー

氷幼女「わらわはぬくいぞ……服などいらぬ」バサッ

勇者「……っ!」

魔法使い「あ、ちょっ!勇者!あっち向いて!」

勇者「へいへい……(少し見えたが……完全なる絶壁!)」

616 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 23:06:52.87 seaoDF220 187/407
魔法使い「すー……すー」

僧侶「…くー…くー」

氷幼女「……」

勇者(……みんな寝たか)ガバ ガチャリ

宿主「おや、勇者様。どうなさいました?」

勇者「少し、外の空気を吸ってくる」バタン

宿主「今夜は冷え込みますから、ご注意くださいねー」

618 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 23:20:08.85 seaoDF220 188/407
勇者「さて、と……」シャキン

勇者「修練なんて、いつぶりかね……」ブン ブン

勇者(村にいるときは、毎日のようにしてたのになぁ)ブン

勇者(魔法使いと旅に出てから、めっきりしなくなっちまった)ブン

勇者「この剣も、魔物を倒せたのはスライムぐらいまでだったっけな」

勇者「はぁ、ほんとなさけねぇよなー」   パキ

勇者「……誰だ!」

621 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 23:24:05.48 seaoDF220 189/407
魔法使い「勇者……」

勇者「なんだ、魔法使いか……寝てなかったのか?」

魔法使い「なんか、胸騒ぎがして起きちゃった」

勇者「なんじゃそりゃ……」

魔法使い「勇者こそ、何してんのさ。夜中に物騒なもん振り回して」

勇者「お前のほどじゃねーよ……そうだ、魔法使い」

魔法使い「ん?なに」

勇者「その斧、貸してくれないか」

魔法使い「んー……いいよ、はい」ゴスン

622 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 23:30:02.69 seaoDF220 190/407
勇者「よっ……ふっ、くっ」グググ

勇者「やっぱ、無理か……」

魔法使い「……あんた、昔も同じこと言ったよね」

勇者「そうだったっけか?」

魔法使い「うん、言ってた。あの時はまだ武器がどうのつるぎだったっけな」

勇者「……思い出したよ。俺はひのきのぼうだったな」

魔法使い「……ごめん」

勇者「謝るなって、余計悲しくなる」

624 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 23:33:53.86 seaoDF220 191/407
魔法使い「で、でも……っ!」

魔法使い「勇者は、強いじゃん!補助や回復得意だし」

魔法使い「今回のだって、勇者の力がなきゃボクたち……死んでた」

魔法使い「だから、だから……」

魔法使い「無理は……しないで……心配、だから……」

勇者(……なんか、無駄な心配させちまってたみたいだな)

勇者(心配なんてしてないぞー!って顔して人一倍心配性だからなぁ、こいつは)

626 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 23:42:31.82 seaoDF220 192/407
勇者「……綺麗だな」

魔法使い「……え?」

勇者「……月」

魔法使い「あ……あぁ、ほんとだ。雲が晴れてる」

勇者(魔法使いの横顔……いつもとは違う弱弱しい表情)

勇者「魔法使い」

魔法使い「え?」ダキッ 「え、えぇっ!?」

勇者「心配すんな、お前を残して死んだりはしねーよ」

勇者「絶対に、守ってやるから。だから心配すんな」

魔法使い「……」ボーッ
ーーーーーーーーーーーーーーー
氷幼女「人が寝たフリをしておれば……」

氷幼女「これだから人間と言うのは、蒸し暑いのじゃ。見ておれん」「……む」

氷幼女「うぉわ!?なんじゃ、おぬしも起きとったのか!」

僧侶「……静かに」

氷幼女「す、すまん……」

631 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 00:00:57.69 GTsWQF1F0 193/407
魔法使い「ゆ、ゆ、ゆうしゃっ!」

勇者「……!」バッ

勇者「す、すまん……つい」

魔法使い「あ、あやまらないでよ!……なに言っていいか、分からないじゃんか……」

勇者「……」

魔法使い「……」

勇者「……戻るか」

魔法使い「……うん」
ーーーーーーーーーーーーー
氷幼女「かーっ、見ておられんのう……臆病者め」

僧侶「……」スタスタ

氷幼女「む、僧侶?どこへ行くのだ?」

僧侶「……トイレ」バタン

氷幼女(なんじゃ……なんなのじゃこの気まずさは……)

648 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 00:29:42.21 GTsWQF1F0 194/407
魔法使い「……どうする?」

勇者「いやー……流石に別々に寝る、よな?」

魔法使い「ボ、ボクに聞かないでよ!……ボクは別に、いいけど」

勇者「……そういうこと言っちゃうか……」

魔法使い「……むー」

氷幼女(……僧侶よ、そういうことか……)

氷幼女(そういうことなら、わらわも誘ってくれればよかったであろう……)

649 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 00:32:29.20 GTsWQF1F0 195/407
僧侶「……」コクリ コクリ

宿主「お譲ちゃん、もう寝なくて大丈夫なのかい?」

僧侶「……だい、じょうぶ」コクン コクン

宿主(全然大丈夫じゃない……)

僧侶「……」スー スー

宿主「ちょっと!ここで寝られたら困ります!」

僧侶「……おき、てる」スー スー

宿主(布団、もう一枚出すか……)

656 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 00:38:46.01 GTsWQF1F0 196/407
宿主「ほんと、申し訳ありませんでした……」

勇者「い、いえ、別に……」

魔法使い「……」カーッ

僧侶「……ねむ」バフッ

勇者「……じゃ、寝るか?」

魔法使い「……うん。変なこと、すんなよ?」

勇者「しねーよ。命がいくらあっても足りんわ」

氷幼女(さっさと寝てくれんかのう?熱すぎて眠れんわ……)


657 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 00:44:16.00 GTsWQF1F0 197/407
勇者「……ふわぁぁ」

魔法使い「お、おはよう……」

勇者「ん?あ、あぁ。おはよう」

魔法使い(昨日はほとんど眠れなかったや……)

勇者(昨日はかなり寝心地がよかったな、うん)

僧侶「……」ポケー

氷幼女「……む、わらわの服はどこじゃ?」キョロキョロ

勇者「!!!」

魔法使い「……反応するな!」ボゴォ

658 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 00:48:02.60 GTsWQF1F0 198/407
氷幼女「朝から流血とは、おぬしも大変じゃのう」

勇者「誰のせいだと思ってんだこら……」

魔法使い「自業自得だよ!」(昨日はかっこよく感じたのに……勇者のアホ!)

僧侶「……ねむい」フラー フラー
コン コン
宿主「みなさん、朝食の用意が出来ましたよ」

勇者「……ま、とりあえずは腹ごしらえかな」

661 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 00:50:22.47 GTsWQF1F0 199/407
氷幼女「……」
ほか ほか
勇者「……うん、美味いな」モグモグ

魔法使い「ほんとだねー、ただで貰っちゃうのが悪いぐらいだよ」マフマフ

僧侶「……」プクー

氷幼女「き、きさまら!分かっててやってるだろ!」ぐすん

勇者(あ、泣いた)

魔法使い(流石にやりすぎた?)

僧侶(…スー…スー)

663 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 00:53:34.89 GTsWQF1F0 200/407
氷幼女「……うむ、美味」ガリガリ

勇者(幼女の見た目で氷をかじっている……)

魔法使い(シュールすぎるよ、これは……)

僧侶「……」モグ スー モグ スー

勇者「……そういや、氷」

氷幼女「ん、なんじゃ?」

勇者「これからの行き先についてなんだが、お前魔王の居場所知ってる?」

魔法使い(こりゃまたずいぶんとどストレートだね……)

665 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 01:01:34.87 GTsWQF1F0 201/407
氷幼女「魔王の居場所、か……」

氷幼女「もちろん知っておるぞ。わらわは王族じゃからな」

勇者「本当か!意外とあっさり分かるもんだな」

氷幼女「しかし……場所は知っておるが行き方は知らん」

勇者「え?」

氷幼女「魔王の居城は、こことは別の次元じゃからのう」

氷幼女「向こうから呼ばれん限り、行ったこと無いわ」

勇者「……なんじゃそりゃ……」

667 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 01:08:07.14 GTsWQF1F0 202/407
勇者「そんなんどっから探せばいいんだよ……」

氷幼女「まぁ、行きかたに見当が無いわけではないぞ」

勇者「なに!それを先に言ってくれよ……」

氷幼女「うう……あそこは……しかしのう」

勇者「一体どこなんだ!教えてくれ!」

氷幼女「むぅ……それは、じゃのう」

氷幼女「……火山じゃ……ここから東へ行ったところにある」

668 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 01:11:15.15 GTsWQF1F0 203/407
氷幼女「あそこには、遠くと繋がる道があると伝え聞いておる」

氷幼女「……まぁ、わらわは一度も行ったこと無いがのう。部下を行かせたら溶けてしもうた」

勇者(さりげなく怖いこと言ったな、今……)

勇者「しかしよ、なんで俺達に簡単に教えてくれるんだ?」

氷幼女「……わらわは、魔王のやり方が嫌いじゃからの」

氷幼女「すべてを破壊し、支配する……おろかなことじゃ」

氷幼女「それに……」

氷幼女「わらわたちは、仲間であろう?」ニコ

670 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 01:15:22.07 GTsWQF1F0 204/407
勇者「ふーん……魔族もいろいろあるんだな」

氷幼女「……わらわのような考えのほうが珍しいがのう」

氷幼女「大体の魔物は、相手を支配したり、壊すことしか考えておらん」

魔法使い「……そっかー。てことは、他に協力者は期待できない、か」

氷幼女「そう考えておったほうがよいじゃろう」

僧侶「……うまい」モグモグ

674 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 01:19:37.71 GTsWQF1F0 205/407
勇者「あ、そうだ、氷」ヒョイ

氷幼女「なんじゃ、まだ何かあるのか?」パシッ「なんじゃ、これは」

勇者「見りゃ分かるだろ、鎖鎌だよ。お前、今魔法使えないんだろ?」

勇者「なんか武器持ってりゃ、俺よりはマシに戦えるだろ」

氷幼女「……余計なお世話じゃ!武器などなくともおぬしよりはマシじゃ」

氷幼女「まぁしかし……献上すると言うのなら貰っておいてやろう」

魔法使い「……あの女たらしめ」

僧侶「……クズ」

勇者「ん?なんか言ったか、二人とも」

676 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 01:23:22.64 GTsWQF1F0 206/407
勇者「さーてと、暖房の実の予備も貰ったし、食料も補充できた」

勇者「さっさと東の火山に向かおうかね」

魔法使い「おー!」

僧侶「……おー」

氷幼女「火山まではしばらく氷原を進んだ後森を越えねばならん」

氷幼女「覚悟しておくんじゃな」

魔法使い「お、おー……?」

678 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 01:26:45.15 GTsWQF1F0 207/407
勇者「んー、やっぱり暖房の実があると大分楽だな」

魔法使い「ほんとにねー……暖房の実様様だよ」

僧侶「……ほんと」

氷幼女「人間とは、貧弱じゃのう。このぐらいの寒さなどどうということないじゃろうて」

魔法使い(普通なら凍えそうな軽装で笑ってる……見てるだけで寒くなるよ、もう!)

僧侶「……からい」モグモグ

勇者「おい、僧侶……ちょっと食べすぎだっての」

679 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 01:32:55.87 GTsWQF1F0 208/407
勇者「全然森が見えてこないなー」

魔法使い「なんか辺り一面雪、雪、雪……おかしくなりそうだよ……」

僧侶「……」ザッ ザッ

氷幼女「むー……小さい体だとどうも歩きにくいのう」

氷幼女「おい、勇者!わらわをおんぶせよ!」

勇者「……マジか」

魔法使い「勇者は荷物持ってるから、私がおんぶしてあげるよ」ヒョイ

氷幼女「む?んん……」

僧侶「……勇者」

勇者「今度は僧侶か、なんだ?」

僧侶「……おんぶ」

魔法使い「……」 氷幼女「……」

680 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 01:35:50.76 GTsWQF1F0 209/407
勇者「あー……荷物も持ってんだぞ、俺は……」ザッ ザッ

僧侶「……♪」

魔法使い「うう……どうしてこうなった……」ズザ ズザ

氷幼女「まぁ、仕方ないであろう……というか、この斧邪魔じゃぞ」

魔法使い「乗ってて文句言うな!」

勇者(少し胸が当たってるな……やはり中ぐらいあったか)

684 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 01:44:40.87 GTsWQF1F0 210/407
勇者「おー……なんか緑が見えてきた……」

魔法使い「やったー!やっと雪ともおさらばだね!」

氷幼女「ふむ……名残惜しいが、この地を去るとするか」

僧侶「……敵」

勇者「……むっ!」

魔物「ギャギー!ギャギギー!」バサッ バサッ

魔法使い「空を飛んでるタイプの魔物……厄介だね」

氷幼女「ふむ……『なぜ、人間とともにいる?』か」

僧侶「……分かるの?」

氷幼女「わらわも魔族であるからな。山の魔物と少し発音が違うが理解ぐらいは出来る」

688 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 01:52:41.40 GTsWQF1F0 211/407
氷幼女「『人間に肩入れするとは、氷の女王も地に落ちたものだな』か。随分な言われようだな」

氷幼女「まぁ、貴様ら下級の魔物には分からんさ、理由など」

魔物「ゲギャギー」バサッ ヒュバッ

氷幼女「ふん、甘いわ!」クルン クルン ザシュ

魔物「グゲギャ……」ボトッ

氷幼女「ふん、次に頭を付けるならもっと大きな脳みそにするんじゃのう」

勇者(うわー……こっえー、この人……ほんと、味方にしててよかった)

魔物「グギギ……グガァ」ボバァ

氷幼女「こやつ、火を……使いおるか」ズザ

689 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 01:54:57.25 GTsWQF1F0 212/407
魔法使い「させないよっ!……巻き起これ!暴風!」ビュゴワワワワ

魔物「グギャッゴ……」バサ バサ

僧侶「……いまだ」シャキン

魔物「グ……ゲ」ドサッ

魔法使い「大丈夫だった?氷」

僧侶「……?」

氷幼女「……ふ、ふん」

氷幼女「……か、感謝はしておくぞ」

勇者(……なんか、補助呪文も必要なくなってるんですが……)

690 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 01:58:06.72 GTsWQF1F0 213/407
勇者「ここが、東の森か……初めて来た」

魔法使い「木の高さとか、故郷の森とは比べ物にならないねー」

僧侶「……暑い」ダラダラ

勇者「暖房の実食べ過ぎるからだろ……」

氷幼女「ぐ……ふぅ、ふぅ」ダラダラダラダラ

魔法使い(なんかこんまま溶けてもおかしくなさそう……)

693 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 02:04:33.49 GTsWQF1F0 214/407
氷幼女「く……氷を纏えればこんな暑さなど……」ダラダラ

勇者「ほいさ」ポイ

氷幼女「む、なんだこれは?」

勇者「冷房の実だよ。火山に行くなら必要なもんだしな」

勇者「少しは楽になるんじゃねぇかな、と」

氷幼女「ふむ……もぐもぐ」 「ほう、これは凄い……体がすっきりしよる」

魔法使い「……氷の魔族は貧弱だねぇ。このぐらいの暑さどうってことないでしょ?」

氷幼女「む、むむむむぅ……」

694 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 02:08:10.32 GTsWQF1F0 215/407
勇者「……」ポコ

魔法使い「い、いてっ」

勇者「……」ポコ

氷幼女「な、なにをするのじゃ!」

勇者「喧嘩両成敗、ってやつだ。くだらない争いしてんじゃねーよ」

勇者「それぞれ弱点があって、それを補うのがパーティーなんだから」

勇者「弱みほじくってうじうじ言わないこと」

魔法使い「……ごめん」

氷幼女「……わらわこそ、すまんかった」

僧侶「……あつ」ダラ ダラ


695 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 02:11:40.03 GTsWQF1F0 216/407
僧侶「……ひんやり」モグモグ

勇者「……人が話してるときに、勝手に実を取って食うんじゃねぇっつの」ポコ

僧侶「……いたい」

勇者「で、氷。こっから先はどう行けばいいんだ?火山まで」

氷幼女「……知らぬ」

勇者「え」

氷幼女「わらわは、ここを抜ければ火山があるということを知っているだけじゃ」

氷幼女「火山へいった部下は帰ってこなかったしのう」

勇者「そういうのは先に言ってくれよ……」

696 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 02:17:31.39 GTsWQF1F0 217/407
勇者「遠めに火山が見えてるとかだったらよかったんだけど……」ピギャー  ピギャー

魔法使い「見渡す限りの大森林だね……」

僧侶「……広い」

氷幼女「な、なんじゃ!わらわが悪いと言いたいのか!?」

氷幼女「どうせ、進まないことには話はすすまんじゃろうが!」

勇者「……まぁ、そうだよな。いっつも行き当たりばったりなんだし」

魔法使い「んー、とりあえずまっすぐ行ってみようか」

僧侶「……同意」

697 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 02:23:50.52 GTsWQF1F0 218/407
氷幼女「うう……さっきより軽くなったとはいえやはり暑いのう……」

勇者「そんなんで火山行って大丈夫なのか?」

氷幼女「……まぁ、その頃には魔力も戻ってるじゃろうて!ハハハ……」

勇者(魔力戻ってなかったらどうすんだろ……)

魔法使い「しっかし、なんか得体の知れないものがいっぱい生えてるねー」

勇者「魔物がまぎれてるかもしんないから気をつけろよー」

僧侶「……周辺警戒」

698 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 02:28:47.89 GTsWQF1F0 219/407
氷幼女「む……あれは……池か」

勇者「ん?池が珍しいのか、お前」

氷幼女「凍ってない状態の池を見るのは初めてじゃからのう。少々、物珍しい」ぴちゃ

氷幼女「……やはり、ぬくいのう」

勇者「ここらで、いっちょ休憩にするか。大分歩き疲れたし」

魔法使い「さんせー!むしむしして余計体力使うんだもん、ここ……」

僧侶「……疲れた」ぺたん

氷幼女「……なんだか、足止めしたようで悪いの」

勇者「んなこと気にするなって。疲れてたのはほんとなんだから」

704 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 02:35:15.31 GTsWQF1F0 220/407
氷幼女「もっと冷たかったら気持ちよかったのにのう……」ぱしゃぱしゃ

魔法使い「んー、結構冷たいと思うけどなー」ぴしゃぴしゃ

僧侶「……微妙?」ぱしぱし

勇者(なんかみんな水面叩いて遊んでるな……)

勇者(そこはかとなく男は混じりにくい雰囲気出てるよな、こういうのって)

勇者「……釣りでも、してみるか」ガサゴソ

706 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 02:40:50.82 GTsWQF1F0 221/407
勇者「……餌、どうしよう」

勇者「まぁいいか、餌なしで」ポイ

勇者「……魚がいるかも、知らないけどな」

勇者「…………」

勇者「……昔、村にいたときはよく釣りしてたなぁ」

勇者「そういや、そんときも餌無かった気がする」

勇者「一度も釣れなかったんだっけな、ははは……」くいくい

勇者「……え?」

707 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 02:44:24.17 GTsWQF1F0 222/407
勇者「嘘だろ……なんか引いてるぞ」くいくい

勇者「し、しかもめちゃくちゃ引き強いんだが……」

勇者「まずいな……竿ごと持っていかれそうだ……!」

勇者「う、うぉわぁっ!?」ドパーン

魔法使い「ん……?今の音……」

氷幼女「あちらのほうから聞こえてきおったな」

僧侶「……勇者、いない」

魔法使い「な、なんだって!急がなきゃ!」

711 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 02:52:10.05 GTsWQF1F0 223/407
勇者「……ガボ……ゴボボ」

勇者(やばいな、こりゃマジで死ぬかもしれん……)

勇者(しかし、なんだったんだ?さっきの引きは……って、なるほど)

魚魔物「ギャッギャギギィ」ザブ ザブ

勇者(あーあ、すげぇこっち見てるわ……竿あきらめてりゃよかったかなぁ)

魚魔物「ギャギャギャギャ!」ゴオッ

魔法使い「ゆ、う、しゃぁぁぁぁっ!」ザッパーン

勇者(魔法使いの声が聞こえたような……いや、きの、せ、い、か……)

712 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 03:00:16.99 GTsWQF1F0 224/407
魔法使い「ねー、ゆうしゃー」

勇者「ん?どうしたんだよ、まほうつかい」

魔法使い「これねー、プレゼント!」

勇者「なんだよこれ……きのぼう?」

魔法使い「あのねー、今日ゆうしゃ誕生日でしょ?だから、釣竿!」

勇者「うーん……ありがとうな!まほうつかい!」

魔法使い「わーい!よろこんでもらえたー!」

714 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 03:02:46.70 GTsWQF1F0 225/407
勇者(それは、釣竿なんて言えた代物じゃないただの木の棒だったけど)

勇者(魔法使いの傷だらけの手と、満面の笑みを見てたら)

勇者(あの釣竿は、世界で一番のものに見えたんだ)

勇者「……あれ、魔法使い」

魔法使い「……」カーッ

氷幼女「……ふむ、起きたか」

僧侶「……よかった」

勇者(なんで魔法使いは顔が赤いんだ……?)

715 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 03:10:39.95 GTsWQF1F0 226/407
勇者(服が濡れてる……ってことは、さっきのは夢じゃなかったのか)

魔法使い「……なにしてんのさ!心配かけないって言ったじゃん!」

勇者「す、すまん……」

魔法使い「なんでまた、池に飛び込んだりなんてしたの!」

勇者「釣りを、してたんだよ、久しぶりに」

勇者「そしたら、さっきの魔物がかかっちまってな、引きずり込まれた」

魔法使い「……なんで、竿を離さなかったの?」

勇者「……あれは、思い出の竿だからな……って、竿は無事か!?」

716 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 03:15:11.86 GTsWQF1F0 227/407
魔法使い「ちゃんと回収しといたよ」スッ

勇者「ふぅ、よかった……」

魔法使い「竿の心配より、自分の心配をしたらどうなの?」

勇者「俺は死なないからいいけど、竿は折れたら元に戻らないからな」

魔法使い「……ほんと、バカなんだから……」

氷幼女「……わらわは、溶けてしまいそうじゃ」

僧侶「……」ダラダラ

勇者「ところで、なんで魔法使いは顔が赤かったんだ?」

魔法使い「……!」ギク

魔法使い(よ、よかったぁ……見られては、いなかったみたいだね)

魔法使い「え、えーと……ひ、冷えて風邪でもひいちゃったかなぁ?」

勇者「……大丈夫なのか?体あっためたほうが……」スッ

魔法使い「だ、だいじょうぶだからっ!……くしゅ」

勇者「大丈夫じゃねぇだろ……どうせ俺も火に当たらんといけないし、ほら」

魔法使い「……ありがと」

720 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 03:36:32.15 GTsWQF1F0 228/407
パチ パチ
勇者「すっかり暗くなったなぁ……こういう場所は時間感覚が掴めなくて困るな」

魔法使い「うん、そうだね……」

勇者「寒く、ないか?」

魔法使い「ボクは大丈夫だよ……勇者こそ、寒くないの?コートをボクに貸してくれてるけどさ」

勇者「ん、心配すんな。俺は大丈夫だ」



氷幼女「わらわが、なぜテントなんぞを作らねばならんのじゃ……」カン カン

僧侶「……働く」カン カン

731 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 04:15:32.79 GTsWQF1F0 229/407
氷幼女「やっと、出来た、ぞよ……」カンカンカン

僧侶「……疲労」カンカンカン

氷幼女「疲れた……もうわらわは寝る……」バタ

僧侶「……きゅう」コテン

パチ パチ パチ
勇者「……」

魔法使い「……」

魔法使い(なんだろ……すっごく気まずい……)

魔法使い(あんなことしたから……あんなこ、と……)ボンッ

勇者「お、おい!大丈夫なのか?本当に……顔真っ赤だぞ」

魔法使い「だ、だいじょぶだいじょぶ!」

732 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 04:21:18.66 GTsWQF1F0 230/407
魔法使い「ね、ねぇ、勇者……」

勇者「なんだ?」

魔法使い「勇者はさ、魔王倒したらどうするつもりなの?」

パチ パチ パチッ

勇者「…………」

勇者「んー……そうだなー……魔法使いはどうなんだ?」

魔法使い「え?ボ、ボク?ボクは……って、質問してるのはボクだぞ!」

勇者「あらら、ダメか……俺は、旅を続けるつもりだよ」

魔法使い「なんで?魔王倒したら旅する必要なんてないじゃん」

734 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 04:24:40.57 GTsWQF1F0 231/407
勇者「もともと、魔王を倒すために旅してたわけじゃないからなー」

勇者「魔王倒したところで、旅する必要が無くなるわけじゃないさ」

魔法使い「ふーん……じゃぁ、なんで魔王倒すのさ」

勇者「……目標も無く旅するよりは、一つ一つ目標があったほうがいいだろ?」

勇者「魔王を倒したら、またなんか適当に新しい目標探すさ」

魔法使い「……そっかー」

勇者「で、お前はどうなんだよ」

魔法使い「え?」

勇者「魔王を倒したら、どうするかって」

735 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 04:29:43.72 GTsWQF1F0 232/407
魔法使い「え、えーと……ボ、ボクは……」

魔法使い「勇者と、旅を続けたい、かな」

勇者「……」

魔法使い「だって、勇者一人じゃ旅続けられないでしょ?」

魔法使い「一人じゃ戦えないんだから、お供はいたほうがいいよね」

魔法使い「……ダメ、かな?」

勇者「……別に。物好きもいたもんだねー、と思っただけだ」

魔法使い「も、物好きってなにさー!自分が一番物好きなくせに!」

勇者「……違いないな」

736 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 04:33:07.93 GTsWQF1F0 233/407
魔法使い「……ふわぁ」

勇者「眠いんだったら、寝ても大丈夫だぞ」

魔法使い「……勇者は?」

勇者「全員寝てどうすんだよ。俺は起きとく」

魔法使い「……戦えない、くせに」クス

勇者「うっせーよ……お前ら起こすぐらいは出来るっつの」

魔法使い「はいはい……じゃ、お休み」

魔法使い『頼りにしてるよ、ボクの勇者様』ボソ


勇者「……なんか言ってたみたいだが、なんだったんだ?」

737 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 04:38:17.16 GTsWQF1F0 234/407
魔物「ギャギ、ゲギャギャイイ」

森林王「ほう、氷の女王が……人間と……」

森林王「確かな情報か?それは」

魔物「ギャギョ、ギャギャギャギョイ」バサ バサ

森林王「あの小娘、やはり人間に肩入れしおったか……」ブワサッ

森林王「昔から、いけすかんと思っておった奴じゃ。丁度いい理由が出来たわい」ズーン ズーン

魔物「ギャイ!ギャギャイイイ!」

森林王「魔族とはなんなのか……教えてやるぞ、小娘が」

739 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 04:43:29.24 GTsWQF1F0 235/407
魔法使い「勇者、勇者!」

勇者「……ん、魔法使いか」

魔法使い「なに暢気なこと言ってるのさ!起きなって!」

勇者「やべ、俺寝てたのか……ってうおわ!?」

魔物ども「ギャギャギャギャギャギャイイ」

勇者「め、めっちゃ囲まれてる……」

僧侶「……勇者、起きた?……」キィィン

魔法使い「ぼさっとしてないで!防御壁早く重ねて!」

勇者「お、おう!」キィイイン (寝ちまうなんて……不覚にもほどがあるぜ)

勇者(しかし、なんで寝てる間に襲わなかったんだ?)

氷幼女(……同族の臭いを、感じるのお……)

741 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 04:48:02.29 GTsWQF1F0 236/407
ズーン ズーン
勇者「な……今度はなんだ?」

魔法使い「凄く大きな足音……」

僧侶「……くる」

バキ バキバキィ

森林王「……よう、氷の小娘。久しぶりじゃな」

勇者(なんじゃこいつ……鳥人間の3、4倍はあるぞ……でか……)

氷幼女「やはり貴様か、森林原人め。野蛮なやり方は変わらぬのう」

森林王「がーっはっはっは。口と姿が噛み合っておらんぞ?おチビさんよぉ」

勇者「……知り合いか?」

氷幼女「……やつも魔族の王の一人じゃ。こいつのことを忘れておるとは、わらわも耄碌したかのう」

742 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 04:50:53.78 GTsWQF1F0 237/407
森林王「どうやら、人間に味方したというのは本当だったようじゃな」

氷幼女「味方などしておらんわ……わらわは、わらわの考えどおりにやっておるだけじゃ」

森林王「がっはっは!相変わらず言い訳が達者な小娘だこと」ズシーン  バチチッ

森林王「むぅ?なんじゃこれは……邪魔じゃのう」ブン  バリーン

僧侶「なっ……!」

勇者(多重詠唱の防御壁を腕の一振りで……まじもんの化け物だな、こいつ)

743 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 05:00:44.65 GTsWQF1F0 238/407
森林王「貴様が氷の女王をなびかせた男か……どんな強者かと思えば」

森林王「ただの優男ではないか……さては、色で落としたのか?」

氷幼女「な、なにをバカなことをっ!」

森林王「……まぁ、そんなことはどうでもいいか」ガシ

氷幼女「ぐ、ぐうう」

魔法使い「お前っ!氷から手をはなせっ!」ジャキン

氷幼女「止めぬか、ばかものっ!」

魔法使い「っ!」ガシャン

僧侶「……」スッ

氷幼女「周りが見えんのか……この数は流石に辛かろう……うぐぅ」ミシミシ

森林王「健気だねぇ……氷の小娘よ」

氷幼女「貴様ほど野蛮ではないだけだ、森林猿め」

744 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 05:05:36.95 GTsWQF1F0 239/407
森林王「今の自分の状況が分かっているのか……?」ギリギリ

氷幼女「く……ふ、はぁ……」

森林王「哀れな女よ。魔族の王として生きればもっと栄華もあったものを」

氷幼女「く……ふは、ふはははは!」

森林王「ついに気が狂ったか?小娘」

氷幼女「気が狂っているのは貴様のほうだ、類人猿」

氷幼女「たとえ魔族で生まれても、人間に生まれてもっ……」

氷幼女「わらわはわらわとして生きるだけだ!貴様らには分かるまい!」

森林王「……あぁ、わかんねーな、そんなこと」

森林王「遺言はそれだけか?じゃぁ、死ね……っ!」ふに ふに

氷幼女「ふ……く、くすぐったいぞよ?」

755 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 07:33:22.81 GTsWQF1F0 240/407
森林王「な、なんだとっ……どういうことじゃ!」

氷幼女「……ふんっ!汚い手を離さんか!」バシィ

森林王「ぐ、うっ!?」ズザーッ

氷幼女「ていやぁ!」ジャララララ  ヒュパン

森林王「ぐぬ……俺様の体に、その程度の武器で傷を……」

森林王(何かがおかしい……ここは引くか)バッ

氷幼女「ま、まていっ!」 魔物「グゲゲゲ!」 「ちぃっ!」ズバン

魔法使い「にがすかっ!」 魔物「ウケケケケ!」 「く……どけぇ!」ズドン

僧侶「……追う」 魔物「ギギギギィ!」 「……邪魔」スパン

勇者(随分と統率された動きだな……こりゃ手ごわそうだ)

756 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 07:38:36.95 GTsWQF1F0 241/407
森林王「どういうことじゃ……急に氷の小娘が強くなりおったわ」

森林王「……ぬおりゃぁ!」ズドン

森林王「力が入らないわけではないようじゃが……分からぬ」


氷幼女「ぬぅん!」ジャラララ グルグル

氷幼女「まとめて吹きとべい!」ブオン

魔法使い「ナイストス!……押しつぶせ!水流!」ザパアアアン

魔物ども「グギョギョゲギャゴギョォ」プチッ

僧侶「……片付いた」

氷幼女「しかし、完全に見失ったのう……」

勇者「……困ったな」

勇者「俺のあの魔法、どのぐらいの距離まで有効なのか分からないんだ……」

勇者「もしかしたら、解けてしまっているかもしれない」

魔法使い「逃げたほうが、いい感じ?」

氷幼女「それは無理じゃろう……この森の全てが奴の目のようなものじゃ」

758 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 07:48:57.69 GTsWQF1F0 242/407
森林王「ふむ……全滅、か」

森林王「あれでも強い魔物を選んでいたんだがな……小娘が手を貸すのは伊達ではないと言うわけか」

森林王「探し出したら、その場で殺して構わんぞ」

魔物「ギャギャゲギャイ!」バサ バサ

森林王(この魔法……どうやったら解けるのだ……?)


魔法使い「じゃぁ……どうするの?」

氷幼女「……倒すしかなかろう、彼奴を」

僧侶「……出来る?」

魔法使い「勇者の魔法が解けてなければ、簡単なんだけどなぁ……」

氷幼女「無理でもやらんとならん。死にたくなければ、な」

760 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 07:53:37.35 GTsWQF1F0 243/407
魔物「ゲギャギャギャ」バサバサ

魔法使い「えいやっ!」グシャ

魔物「グゴゴゴゴ」バサバサ

僧侶「……ていっ」ザシュン

魔物「ウゲゴギャガギゴゴゴ」バサバサ

氷幼女「いねいっ!」ジャラララ  ゴシュ

魔物「ウゴギャギャギャ」バサバサ

勇者「……喰らえっ!」ゴシュ

魔法使い「ゆ、勇者っ!」

僧侶「……しまった」

氷幼女「何を無理しとるんじゃ、バカが……」

762 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 07:58:05.18 GTsWQF1F0 244/407
森林王「ふむ、男をしとめたか……」

森林王(あの男、そこまで弱かったのか……)

森林王「つまり、あの魔法をかけたのは、あの女のうちのどちらかか……」

森林王「……よし、やつらの場所を教えろ!俺様も行くぞ!」フアサッ

森林王(さっき、木を折ろうとしてみたが……まったくピクリともせんかった)

森林王(確かに力は込めていた……なのに、折れなかった)

森林王(周りへの力が弱まる魔法か……なんとしても解除しなければ……)

859 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 17:47:56.57 GTsWQF1F0 245/407
氷幼女「……この気配、奴か!」 ズドーン

魔法使い「わ、わぁっ!?」よろっ

僧侶「……すごい、煙」

森林王「きさまら……俺様に魔法をかけるたぁいい度胸じゃねぇか」

氷幼女(……勇者の魔法に気付きおったか。ただの脳筋かと思ったら意外とやるのう)

氷幼女「ふん……小娘一人倒せぬ王が何をほざくか」

森林王「き、さ、まぁ……」ブチブチ

864 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 17:52:30.78 GTsWQF1F0 246/407
森林王「……笑っておられるのも今のうちだぞ」

森林王「そこの女のどちらかがやったってこたぁ分かってんだ!」

魔法使い「……へ?」

僧侶「……む」

氷幼女(勇者がやられたことで、何だかようわからん勘違いをしておるようじゃのう)

森林王「やれっ!てめぇら!」

魔物「グフフフフ……」ズン ズン

魔法使い(今までの魔物と、大分違うやつだ……!)

僧侶(……でかい)

森林王「俺様が直接手を下せんのはちと悔しいが……しかたなかろう」

867 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 17:57:57.05 GTsWQF1F0 247/407
魔法使い「ていやぁ!」ズガン 「グハハ……」ガシッ

魔法使い「ボ、ボクの武器を離せっ!」

僧侶「……はっ!」ザク 「ゲフフフ……」ギリリ

僧侶「……抜けない」

氷幼女(やはり無能猿め……護衛が手薄ではないかっ!)ダダッ

森林王「……ぐはっははは!ここまで予想通りだと笑いが止まらんな」

氷幼女「な、なんだと……はっ!」 魔物「グゲギョギョギョ!」ボワァ ボゴン

氷幼女「しまっ……ぐ、ぐはぁっ!」ドサッ

869 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 18:05:24.84 GTsWQF1F0 248/407
森林王「さんざん人のことをバカにしてた割りに、ずいぶん簡単な手に引っかかるじゃねぇか?ええ?」

氷幼女(……なんたることじゃ……わらわが謀られるとは)

森林王「……そうだな、さきにてめぇからやらせてもらうか」

魔物「ゲギャ!ゲギャギャフゥ!」ザッ ザッ

魔法使い「くっ!やめろぉっ!巻き起これっ……」ポフ

魔法使い「こんな時に、魔力切れ……っ!?」

僧侶(……く、私も……か)

森林王「てめぇらは黙ってな……すぐに後を追わせてやるよ」

870 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 18:09:48.70 GTsWQF1F0 249/407
魔物「グゲギャギャギャ!」カキン 「ギャギャ!?」

森林王「これは……防御壁か?一体誰が……」

勇者「……間に合った、か」ズル ズル

氷幼女「勇者……!」

魔法使い(ボロボロだ……ぜんぜん治癒しきってないじゃないか……)

僧侶(……まずい)

勇者「流石に形勢逆転、とはいかないか……」

872 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 18:14:25.47 GTsWQF1F0 250/407
森林王「てめぇ……確かに息の根は止めていたと聞いていたが……生きてやがったのか」

勇者「……まぁ、おかげさまでな」

森林王「その姿を見る限り、まともに戦えそうもないみたいだが?」

勇者「……時間稼ぎぐらいは出来るさ」

氷幼女「勇者!逃げるんじゃ!そんな体では……今度こそ死んでしまうぞ!」

魔法使い「そうだよ!ボクたちのことはいいから!」

僧侶「……」コク

森林王「泣かせるねぇ……人間の馴れ合いってのは。おっと、一人魔族だったか」

876 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 18:28:16.15 GTsWQF1F0 251/407
勇者「まぁ、逃げても逃げ切れる気しないから逃げはしないがな」

氷幼女「……く」

森林王「さて……ではまずお前から殺すさせてもらおうか」

魔物「グフ……グフ」ズシン ズシン

勇者(……流石に今度ばかりはまずいかも……)

森林王「今度は……完全に消し炭になるまで燃やしてくれるわ!」

勇者(うわぁ……死んだか?俺)

877 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 18:32:08.34 GTsWQF1F0 252/407
魔法使い「勇者っ!くそっ!離せっ!はなせぇっ!」ジタバタ

僧侶「……く、ぅ!」ガン ガン

森林王「うるさい小娘どもめ……そんなに死にたいか?」

勇者「……魔法使い、僧侶。俺なら大丈夫だから、心配すんな」

魔法使い「勇者……」

僧侶「……勇者」

氷幼女(大丈夫なわけ、なかろう……死ぬ気か、勇者……)

森林王「ふむ……潔い態度は、嫌いではないぞ」

勇者「お前みたいなむさいゴリラに好かれてもうれしくもなんともないわい」

879 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 18:39:37.12 GTsWQF1F0 253/407
森林王「がっはっは!最後まで口が達者だな」

森林王「……殺せ」 魔物「ギャッギリィィ!」ボボボボボ

氷幼女(く……わらわは、なんと情けないのだ……)

氷幼女(王族でありながら、このような体たらく……人間に守られる始末だ)

氷幼女(こんなことでどうする……わらわは氷の女王であるぞ!)

氷幼女(あのような野蛮猿に負けることなど……あってはならん!)

魔物「ギャギャギャギィ!」 ボバァーッ

勇者(……くっ……万事休す、か)

884 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 18:45:02.04 GTsWQF1F0 254/407
魔物「ギャ……ギャィ……」カチン コチン

勇者「……ん?」

勇者「生きてる……?」

魔法使い「……あ」 魔物「……」カチン コチン

僧侶「……あれは」 魔物「……」カッキーン

森林王「吐いた炎ごと凍ってやがる……まさか!」

氷王女「ふむ……手加減してやったつもりだったのだが……」ヒュゴオオオ

森林王「ぐ……」

氷王女「形勢逆転、かのう?」ニヤリ

894 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 18:54:13.86 GTsWQF1F0 255/407
氷王女(まだ本調子ではないようじゃ……じゃが)ヒュゴゴゴゴ

魔物「ゲギャ、グ……」 「ギャギャ、ギ……」カチン コチン

氷王女「このぐらいで十分のようじゃな」パチン

魔物「グガァッ!」ブォン

氷王女「触れるなっ!下郎が!」ヒュン  スパッ

魔物「グ……ゴ……」ドサ

森林王(ぐ……余裕ぶっこいてた結果がこれか……人のこと笑ってる場合じゃなかったわけか)

899 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 19:05:27.23 GTsWQF1F0 256/407
魔法使い「すごい……力が戻ったんだね!」

僧侶「……さむ」

勇者「肝が冷えたぜ、今回ばかりは……」

氷王女「……感謝するぞ、勇者」

勇者「ん?」

氷王女(……気付かせてくれたのは、おぬしじゃからな)

氷王女「今度は、わらわが守る番じゃ!」ヒュウウウ  シパパパパン

森林王「……このまま、黙ってやられるわけにはいかん!」ゴワン

勇者「氷っ!俺の魔力はさっきので尽きちまった……あいつを弱くは出来ないぞ」

氷王女「弱く……?今のわらわに必要だとでも思っておるのか?」

勇者(ほんとうにあの幼女か……?性格まで変わってる気がするぜ)

902 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 19:12:20.78 GTsWQF1F0 257/407
森林王「ぐぬおわぁっ!」ボゴオン

魔法使い「わわっ!す、すごい振動……」グラグラグラ

氷王女「……どうした?わらわには傷一つ付いておらんぞ?」

僧侶「……無傷」

森林王(氷の壁すらもやぶれぬか……もはや勝負は決した、か)ズシン

氷王女「む、どうしたというのだ。武器を捨てるとは」

森林王「……もはや戦う意味はない」

森林王「自分の力を過信し、相手を見下しながら戦った」

森林王「その時点で俺様は負けていたのだ……殺すがいい」

909 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 19:22:12.83 GTsWQF1F0 258/407
氷王女「……くっくっく、あーっはっはっは!」

森林王「な、なにがおかしい!」

氷王女「くっく……いや、本当に頭の中まで筋肉が詰まってるのじゃな、貴様は」

森林王「ぐっ……今更俺を侮辱してなにがしたい……」

氷王女「殺せと言うものなど、死んでいるも同じ。それを改めて殺して何の意味がある?」

氷王女「死を認めたならば、無様に生きるがよい」

氷王女「それでも死にたくなったら、勝手に死ねい。わらわは知らん」

森林王「……がっはっはっはっは!実に面白い小娘じゃ」

氷王女「これでもまだ小娘と言うか?」

森林王「……感謝するぞ、氷の王よ」

氷王女「ふん……感謝される筋合いなどないわ、戯けが」



919 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 19:33:25.75 GTsWQF1F0 259/407
森林王「ふむ、火山へ向かっているのか……」

森林王「しかし、魔王を倒そうとはのう。つくづく面白い奴らじゃ」

勇者「魔王に報告とか、しないのか?」

森林王「……われら魔族の王全てを、魔王が統治しておるわけではない」

森林王「魔王は、魔族の王で最も強い存在であるだけだ」

森林王「むしろ、魔王に従順に従っておる王のほうが少ないはずだ」

森林王「魔王は、居城から出ることもなく、姿もほとんど見せん」

森林王「そんなものを崇拝しろというほうが難しい」

勇者(……魔族の複雑さは予想以上だったみたいだな)

5 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 21:00:23.83 GTsWQF1F0 260/407
勇者「そういえば、魔族の王ってどのぐらいいるんだ?」

森林王「むぅ、難しい質問じゃな……数え切れないぐらいおるのだ」

森林王「それこそ絶大な力を持つものから単なる自称の弱小まで、な」

勇者「でも、魔王の居城に呼ばれることがあるんだろ?」

森林王「……それがものすごい人数が集まるんじゃよ、魔王の居城に」

森林王「それだけ大きく、頑丈な城ということじゃ」

勇者(……王宮とかの城とは比べ物にならなそうだな)

6 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 21:04:49.58 GTsWQF1F0 261/407
魔法使い「てことは、魔王の城には普段誰もいないの?」

森林王「それは……分からんな。集会の時以外は入ることが出来んしのう」

僧侶「……残念」

氷幼女「まぁ、魔王の居城と言うぐらいだから、強い魔物を従えておるのじゃろう」

勇者「あぁ、おそらくそうだろうな……ん?」

魔法使い「……あれ?」

僧侶「……」ジー

氷幼女「な、なんじゃ?わらわの顔に……って、なんじゃと!?」

7 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 21:07:14.35 GTsWQF1F0 262/407
氷幼女「体が元に戻っておる……」わなわな

勇者(服がピチピチでいいスタイルしてたのにな……残念だ)

魔法使い「なんか、また変なこと考えてない?」

僧侶「……へんたい」

勇者「勝手に人の考え決めてものを語るなよ……」

森林王「がっはっは!仲がよいのか悪いのか、不思議なものよのう人間は!


12 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 21:16:33.99 GTsWQF1F0 263/407
森林王「さて、この辺で俺は分かれるぞ」ザッ

勇者「……感謝する」

森林王「勘違いするなよ?負けたから道案内しただけだ。善意でもなんでもない」

氷幼女「ふん、素直じゃない猿じゃ」

森林王「おぬしものう、氷の小娘」

森林王「……魔王は、かなり強いぞ。それこそ魔族の王とは桁違いに」

魔法使い「大丈夫だよ!勇者がついてるから!」

僧侶「……」こくこく

森林王「……勇者よ。弱いその身でなぜに戦う?」

勇者「んー……別に俺は戦ってねぇよ。周りに助けられてるだけだ」

森林王「くくく……違いないな……」ドス ドス

森林王「勇気ある弱者よ!その旅に暗き闇のかからんことを!」

15 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 21:22:12.87 GTsWQF1F0 264/407
勇者「行っちまったな……出来れば仲間になって欲しかったが」

魔法使い「……む、ボクたちじゃ頼りないっての?」

勇者「そうは言わねぇよ。ただ、戦力として優秀かなーと」

僧侶「……確かに」

氷幼女「貴様はあんなデカブツ連れて魔王の居城に乗り込む気だったのか?」

勇者「いや、実はあれも外見がデカイだけで……」パコン

氷幼女「バカなことを言うとらんでいくぞ!」

勇者「へいへい……」

18 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 21:25:55.68 GTsWQF1F0 265/407
氷幼女「……とは言ったものの……」 グツグツ

魔法使い「……うわー」 ボコン ボココン

僧侶「……あづー……」 ダラダラ

勇者「冷房の実を使ってもこの暑さか……少し舐めていたな」

氷幼女「……こんな所、入れるわけがない……絶対死ぬ……」ズザ ズザ

勇者「おい、さっきまでの威勢はどうした……」

20 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 21:31:29.65 GTsWQF1F0 266/407
魔法使い「でもさー、勇者。このまま火山入ったらボクたちもキツいと思うよ?」ツー

僧侶「……しぬー」ダラダラ

氷幼女「そ、そうじゃろう?死んでしまうぞ!」

勇者「いや、あんだけ森林王に見送られておいてここでしり込みとか……流石になぁ」

魔法使い「なんかいい方法ないのかな……」

僧侶「……一枚、脱ぐ」ぬぎぬぎ

勇者(おお、僧侶がシャツ一枚に……しかも、汗ですけっ)ゴシャ

魔法使い「なんかいい方法無いかなー」

21 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 21:39:27.94 GTsWQF1F0 267/407
魔法使い「……ダメだ、暑くてなんにも浮かばない……」

氷幼女「わらわはもう倒れそうぞよ……」

僧侶「……ふぅ」もぐもぐ

魔法使い「この辺に町とかないのかな?火山の近くの町なら何かあるかも!」

氷幼女「この辺の地理にはあいにく詳しくないのじゃ……困ったのう」

?「あの……旅の方ですか?」

氷幼女「むぅ?」

考古学者「私はこの辺の村の者で考古学者と言います。お困りのように見えましたが……?」

魔法使い「天の助けだぁ!」

氷幼女「はよう!はよう村の場所を教えるのじゃ!」

考古学者「あ、は、はい!こちらです」

26 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 21:47:56.01 GTsWQF1F0 268/407
考古学者「ここが私の住んでいる村です」

魔法使い「やったー……人がいるー」

僧侶「……久しぶりな、気がする」

勇者「確かになー、森では化けもんばっかだからな」

考古学者「え……あなた達、あの森を越えてきたのですか!?」

考古学者「あの森の魔物はかなり強いはず……かなり腕が立つのですね」

勇者「まぁ一応、魔王を退治しにきたからな」

考古学者「……え、冗談、ですよね……?」

30 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 21:54:26.63 GTsWQF1F0 269/407
考古学者「火山のゲートですか……確かに、この村に伝承が残っているようです」

考古学者「『かの勇あるもの、光る柱を登り、暗黒の王を討ち果たす』と」

考古学者「しかし……かなり古い文献ですし、信憑性もありません」

勇者「やっぱりだよなぁ……でも、今はそれしかないんだ」

魔法使い「行ける可能性があるなら、試してみなきゃね」

氷幼女「そうは言ってものう……あの火山があの調子じゃ……」

僧侶「……やだ」

考古学者「……」クイ

考古学者「……火山の暑さを防ぐ方法なら、ありますよ」

33 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 21:59:40.81 GTsWQF1F0 270/407
考古学者「あの山には、何日かごとに雪山からの冷風が流れ込んでいまして」

考古学者「その日は、火山の中が平温になるのです」

魔法使い「そんな日があったんだ……次はいつ?」

考古学者「ええと、前回が昨日だったので……二日後ですかね」

氷幼女「むぅ、意外と感覚が開くもんなのじゃな」

考古学者「二日ってのも、実は目安なんです。冷風は気まぐれですからね」

勇者「まぁ、とりあえず。火山の中へどう行くかは決まったわけだ」

僧侶「……だね」

35 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 22:05:04.67 GTsWQF1F0 271/407
考古学者「それまでは、この村でゆっくり休んでいってください」

考古学者「なにも無い村ですが、宿屋ぐらいならありますから」

魔法使い「やったー!宿屋だー!お風呂入りたいと思ってたんだー……」

僧侶「……べたべた」

氷幼女「わ、わらわは入らぬぞ!おぬしらだけで入ってまいれ!」


勇者「なぁ、考古学者さんよ」

考古学者「なんですか?勇者さん」

勇者「火山の魔物は、ここを襲ってこないのか?見たところ、火山に近いが」

考古学者「……この辺りの魔物は、あまり活発じゃないんです」

考古学者「私のように貧弱な学者が歩きまわれるのが、その証拠ですよ」ニヘラ

勇者「……そうか」

魔法使い「勇者ー、早く行くよー!」

36 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 22:09:51.09 GTsWQF1F0 272/407
宿主「いらっしゃい、ゆっくりしていってくださいね」

勇者「えっと、四人でお願いします」

魔法使い「おっふろ♪おっふろ♪」

僧侶「……楽しみ」

宿主「当宿は、火山の恩恵を受けた露天風呂を採用しております」

宿主「……と、いうか。温泉ぐらいしか誇れるところがありません故、お楽しみくださいませ」

魔法使い「露天風呂かー……楽しみだなぁ!」

僧侶「……わくわく」

氷幼女「……」げんなり

37 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 22:16:48.26 GTsWQF1F0 273/407
勇者「今回は、ちゃんと服買ってからいけよー」

魔法使い「……あ」

勇者「やっぱり、忘れてやがったな、こいつ」

僧侶「……勇者」

勇者「……ん?どした」

僧侶「……お金」

勇者「あー、そういえばそうだったな」

氷幼女「そのことなら、心配するな」ジャラ

勇者「う、うおっ!?氷、その金どっから……」

氷幼女「これは……」

ーーーーーーーーーーー
森林王(……)ドシャ

氷王女(……なんじゃ、これは。わらわにほどこしを与える気か?)

森林王(俺様の自己満足とでも思えばいい。黙って持っていけ)
ーーーーーーーーーーーーーー

氷幼女「……見ざる、言わざる、聞かざると言ったところかのう」

39 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 22:24:57.21 GTsWQF1F0 274/407
勇者「……ま、大体分かるというか、一匹しか該当しないがな」

氷幼女「これで、新しい武器や服を買うことにしようかの」

勇者「そうだな、宿主。また来るぞ」カラン カラン


魔法使い「そういえば、自分で服を選ぶなんて久しぶりかも……」

僧侶「……そうなの?」

魔法使い「貧乏旅が長かったからね……服の代えなんてほとんどなかったし」

魔法使い「今思うと、随分酷い生活してたなぁ、ボク」

魔法使い「……まぁ、楽しかったからいいけどさ」

僧侶「……ふぅん」

41 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 22:31:14.30 GTsWQF1F0 275/407
勇者「……」ジー

氷幼女「ほう、ゆうしゃよ。防具屋など眺めてどうしたのだ?」

勇者「……盾を、買おうかと思ってな」

氷幼女「盾、か……そういえば、何ゆえお主は盾を持っておらんのじゃ?」

勇者「……重くて、構えられないからだ。鎧も同じく動けん」

勇者「というか、すぐ死ぬからいらないと思ってたんだ」

勇者「だけど……何も出来ずに突っ立ってるのは嫌だからな、もう」

氷幼女(……ふん、十分がんばっておるよ、おぬしは。などとは言わんがな)

氷幼女「ふん、宝の持ち腐れになるだけじゃろ」

勇者「んー、やっぱそうかな……いや、買おう」チャリーン 「毎度ありー」

氷女王「皮の盾、とはのう……いまさらスライムの体当たりでも防ぐ気か?」

42 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 22:37:21.43 GTsWQF1F0 276/407
魔法使い「よーし、この服にしよう!」

僧侶「……魔法服?」

魔法使い「そ、魔法服!魔力を増幅させる文字が刻んであるんだよねー」スリスリ

魔法使い「滅多に置いてないんだけどね……ここには職人さんがいるのかな?」

僧侶「……私は、これでいい」スッ

魔法使い「へー、みかわしの服かー……それ胸元すーすーするから苦手なんだよね、ボク」

45 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 22:45:40.40 GTsWQF1F0 277/407
魔法使い「あ、勇者ー」タタッ

勇者「お前らも買い物終わったのか?」

魔法使い「うん……って、勇者。その盾……」

勇者「ん、あぁ……これか。まったく意味は無いぞ、自己満足だ」

勇者「それより、服は見つかったのか?」

魔法使い「それがねー魔法服あったんだよ、魔法服!」

勇者「へー……ここにも職人がいるのかね?故郷を思い出すな」

魔法使い「でしょー、でしょー!」

氷幼女「わらわにも荷物を持たせるとは……なんたる屈辱!」

僧侶「……持とうか?」

氷幼女「む、あぁ。すまんのう」

46 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 22:51:37.85 GTsWQF1F0 278/407
魔法使い「さーて、今日は何の心配も無くお風呂です!」ぬぎぬぎ

僧侶「……おー」ぱさ

氷幼女「……なんでわしまで……」

魔法使い「細かいことは言わない言わない、氷だって汗たくさんかいたでしょ?」

氷幼女「……まぁ、水風呂に期待するかのう」

ガララ

勇者「……あれ?」

魔法使い「……え?」

僧侶「……?」

氷幼女「なんじゃ、勇者。今日はおぬしも一緒なのか?」

48 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 22:57:11.89 GTsWQF1F0 279/407
勇者「……話聞く前に手を出すなっての……」ズキズキ

僧侶「……だいじょうぶ?」

魔法使い「ここ、混浴だったのか……露天風呂なんて言うから期待してみれば……」

勇者「……とりあえず、俺は先に入っておくぞ」

魔法使い「ボクは入らないぞ!勇者となんて……」

僧侶「……行こう」

氷幼女「そうじゃな、水風呂があるといいが……」スタスタ

魔法使い「……」

魔法使い「なんでこうなるんだよ、もう!」ぬぎぬぎ

50 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 23:02:54.85 GTsWQF1F0 280/407
勇者「いや、お前ら……」

僧侶「……ふー」

氷幼女「水風呂があるとは、分かっておるのう!」ザプン

魔法使い「……ふん」ツーン

勇者「おかしいだろ、どう考えても」

僧侶「……?」

氷幼女「今日は勇者も一緒に入る日なのであろう?何がおかしいのじゃ」

魔法使い「ボクはおかしいって分かってるよ!」ザプン!

51 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 23:06:45.04 GTsWQF1F0 281/407
勇者「……」ゴシゴシ

僧侶「……離れてる」

氷幼女「どうしたのじゃ?勇者ー」

魔法使い「ボクがおかしいのかなぁ……そんなはずは……」

勇者(ほんのラッキースケベを狙ったらこんなとこになるとは……)

勇者(ここまでいくと逆にたのしめねぇっつの)ゴシゴシ

僧侶「……体、洗おう」ザパァ

氷幼女「そうじゃなぁ、湯船にずっと浸かっていてもしかたない」ザバ

勇者「……っ!!」(精神統一だ……俺)

52 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 23:11:12.25 GTsWQF1F0 282/407
氷幼女「……僧侶の胸は、随分柔らかいのう」ふにふに

僧侶「……くす、ぐったい」

氷幼女「わらわはサイズは変えられるが柔らかくないからのー」

氷幼女「衝撃とか受けるとき便利そうじゃなー」もみもみ

僧侶「あ……う」カァ

魔法使い「ボクハオカシクナイボクハオカシクナイボクハオカシクナイ……」

勇者(……俺にどうしろって言うんだ……)

53 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 23:13:38.63 GTsWQF1F0 283/407
魔法使い「ボクハ……ボクハ……きゅぅ」ザパーン

勇者「……どうしたっ!」バッ

氷幼女「魔法使いが倒れたようじゃな……どうしたんじゃ?」

僧侶「……のぼせた?」

勇者「ぐぼっふぇはっ……」ガクン

氷幼女「なんじゃ、勇者も膝から崩れ落ちたぞ?」

僧侶「……バカ」

勇者「……ここで倒れてる場合じゃ……」

氷幼女「おお!立ち上がりおった!」

僧侶「……バカの、極み」

56 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 23:20:22.14 GTsWQF1F0 284/407
勇者「魔法使いっ!大丈夫か!」

魔法使い「……きゅぅぅ」

勇者(完全に気絶してるな……相変わらず絶壁なこった)

勇者「いや、違うだろ!」ザパン

勇者(……軽いな、こいつ。こんな軽い体であんな武器振り回してたのか……)

魔法使い「ん……んん。あれ?勇者……」パチリ

勇者「よかった、起き「きゃあああああああ!!!!!」

魔法使い「へんたい!へんたい!へんたい!へんたい!しんじゃえ!ばか!」

勇者「ち、ちがっ……誤解っ……」

魔法使い「うるさいっ!言い訳禁止!」バシッ バシッ


氷幼女「……見てられんわい」ザパ

氷幼女(魔法使いも、なれればよいものを……いつかは見せるもんなんじゃから)

僧侶「……同意」

63 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 23:46:42.22 GTsWQF1F0 285/407
魔法使い「……ふぅ……ふぅ」

勇者(やっと収まったか……?)

魔法使い「……ボクの裸、見たの……?」

勇者(どっち答えても地獄しか見えん……が、嘘をつくよりは……)

勇者「……あぁ、見た」

魔法使い「……どうせ、絶壁だったとか……思ってんでしょ?」

勇者「……あぁ」カッパーン

魔法使い「……ばかぁ!しね!」

勇者「……正直に、答えただけだろうが……」ズキズキ

魔法使い「……どうせ、ボクには魅力が無いよ……」

魔法使い「僧侶ちゃんみたいに、胸大きくないし……」

魔法使い「氷みたいに、綺麗な肌もしてないし……」

魔法使い「……期待はずれで、悪かったね……」

64 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 23:50:34.59 GTsWQF1F0 286/407
勇者「……別に、期待外れとか思ってねぇけど?」

勇者「いや、そりゃまぁ。僧侶の胸はなかなかだし、氷はすっげー白い肌してるけど」

魔法使い「……む」

勇者「お前にはお前のいいとこあるんだから、そう悲観的になんなって」

魔法使い「……なにさ」

勇者「え?」

魔法使い「ボクの女の子的にいい場所って、どこさ!」

勇者(そうきちゃいますか……って、大体予想は出来てたが)

72 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 00:04:13.58 mNbI7WlO0 287/407
勇者「お前さ、自分で自分のこと可愛くないとか思ってるだろ?」

魔法使い「……当たり前じゃないか」

勇者「何言ってんだよ。十分、可愛いっての」

魔法使い「……」

勇者「はしゃいでる姿とか、かなしそうな横顔とか、少し怒った表情とか」

勇者「ぜーんぶ含めて可愛いっての」

魔法使い「……」ポカーン 「……え?」

勇者「あの時、守ってやるって言ったのに通じてなかったのか?」

勇者「俺は……」   「こ、こら!押すでない……」 「……見えない」

勇者「……」 魔法使い「……」

73 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 00:12:53.30 mNbI7WlO0 288/407
勇者「……」ガララ

氷幼女「……」 僧侶「……」

勇者「あまりいい趣味とは、言えんな」

氷幼女「な、なんのことじゃ?わらわ達は着替えを……」

僧侶「……ごめん」

氷幼女(こ、こやつめ……そういう手を使いよるかぁっ!)

氷幼女「……すまん」

勇者「……まぁ、目くじら立てるほどの内容でもなかったんだがな」

魔法使い「ねぇ、勇者……」

勇者「さて、湯冷めしたらまずいし俺も上がるかー、ははは……」

魔法使い「……むぅ」

氷幼女「さて、わらわたちも……」ガシッ 僧侶「……うん」ガシッ

魔法使い「お、ま、え、ら……許さないぞ!」ドタン バタン

勇者(……まぁ、今伝える必要性もない、か)

75 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 00:22:46.67 mNbI7WlO0 289/407
氷幼女「……本当に、すまんかった」

僧侶「……ごめん、なさい」

魔法使い「……まぁ、別にいいけどさ……勇者の言葉が気になるんだ」

氷女王「あの感じ的に、どう考えてもす「わーわーわー!!!」

魔法使い「……やっぱり、そうなのかな……?」

僧侶「……十中八九」

魔法使い「……」ポー

氷幼女「よかったのう」

僧侶「……」コクコク

魔法使い「……え、よかったって……ボクが勇者を好きみたいじゃないか!」

氷幼女「ん?ちがうのかえ?」

僧侶「……ちがうの?」

魔法使い「…………好きか嫌いかで言えば、好きだと思うよ?」

82 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 00:30:10.22 mNbI7WlO0 290/407
氷幼女「なんじゃ、はっきりしないのー。好きなら好きと言えばよかろうに」

魔法使い「……ボ、ボクはあんな奴……」カー

僧侶「……嘘」ジトー

魔法使い「……なんだよ、その目……うぅ」

氷幼女(素直じゃないのう、人間というのは……)



勇者「こんな夜中に、なんの用だ」

考古学者「……なに、少しお話をと思いまして」

87 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 00:35:23.71 mNbI7WlO0 291/407
考古学者「……」

勇者「……何か用があったんじゃないのか?」

考古学者「あなたは、自分が魔王を倒すことがどういうことか分かっていますか?」

考古学者「正当な勇者の血を引く人間である、あなたが」

勇者「……どういう、意味だ」

考古学者「あなたは、勇者だ。ゆえに、あなたには死が無く戦える」

考古学者「……言いたい意味が、分かりますか?」

勇者「……あいにく、難しい話はあまり得意じゃないんだ」

考古学者「……そう、ですか。ではあっさり言いましょう」

考古学者「魔王を殺したら、あなたも死にます」

94 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 00:42:23.89 mNbI7WlO0 292/407
勇者「……なん、だと」

考古学者「勇者は、魔王を倒すために死なない肉体を持って生まれてくるのです」

考古学者「では、魔王がいないとどうなるか?そりゃぁ勇者も死ぬでしょう」

勇者「……マジ、なのか?」

考古学者「ギャグ言ってるように見えます?これでも今までの勇者みんなに言ってきた言葉ですから」

考古学者「もちろん、あなたの父親にもね」

勇者「……親父、か」

考古学者「その表情を見る限り、あなたの父親はちゃんと魔王を倒したようですね」

96 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 00:46:06.72 mNbI7WlO0 293/407
勇者「まぁ、『魔王を倒してくる』とか言って母さんと俺を置いて出て行ったクソ親父だ」

勇者「死んでても何とも思わん」

考古学者「おやおや、随分と厳しいのですねぇ……」

勇者「しかし……こんなこと知ってるって、あんた何者なんだ……?」

考古学者「私ですか?私はしがない考古学者ですよ……」

勇者「嘘付け、お前みたいな考古学者いねーよ」

考古学者「ははは……しかし、あなたには可能性を感じますよ」

勇者「どういうことだ?」

考古学者「今までの勇者は『力』が象徴でした。あなたの様な非力な勇者など存在しなかった」

勇者「……悪かったな」

98 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 00:48:47.44 mNbI7WlO0 294/407
考古学者「これでも、褒めているのですよ?」

考古学者「そのおかげで、あなたには何人も仲間がいるではないですか」

考古学者「勇者と言うのは、基本的に孤高の存在です」

考古学者「例外もあったりしますが、基本的に魔王に挑むときは一人」

考古学者「しかし、あなたはそうじゃない。なぜなら一人では戦えませんからね、あなた」

勇者「……バカにしてるだろ、やっぱり」

105 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 00:55:05.55 mNbI7WlO0 295/407
考古学者「くくく……まぁ、今日言いたいことはこのぐらいですね」

勇者「……親父も、一人だったのか?」

考古学者「はい、もちろん一人でしたよ。『わが子には、平和な世界を生きて欲しい』とかなんとか」

考古学者「しかしなんと因果な。その息子も魔王を退治に同じ地に立っているなんて」

勇者「……」

考古学者「……そろそろ、退散させていただきますかね……」

考古学者「では、勇者さんおやすみなさい。後何日あるかも分からぬ命、どうか大切に……」

考古学者(ふふ……期待していますよ、非力な勇者さん)

考古学者(あなたが、どういう結果を残してくれるのか。今までと同じか、それとも……)

108 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 00:58:08.59 mNbI7WlO0 296/407
勇者「……なぁ、親父」

勇者「あんたも、こんな気持ちだったのか……?」

勇者「毎日、心配してたんだぞ、母さんは!」

勇者「俺はあんたを恨んでた……それなのに、こんなの……」

勇者「……どうすりゃいいんだよ……俺は……」

109 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 01:02:59.52 mNbI7WlO0 297/407
魔法使い「……もういいだろ!ボクは出るよ!」バタン

氷幼女「おわっと」 僧侶「……怒った?」

氷幼女「ああいう娘はあのぐらいせんとダメじゃろうて」

僧侶「……そうなの?」

氷幼女「おぬしも、あと5年間齢を重ねれば分かることじゃ」

僧侶(……見た目は、小さいくせに)

魔法使い「もう、なんだんだよ!あの二人!」

魔法使い(ボクは……勇者が好き、なのかな?)

魔法使い(あ、勇者だ……って……何か様子が変だ)

110 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 01:05:30.94 mNbI7WlO0 298/407
魔法使い「勇者ー」タタ

勇者「……魔法、使いか」

魔法使い「……どうしたのさ、そんなくらい顔して」

勇者「……なんでも、ない」

魔法使い「何でも無いわけないだろー。そんな顔普段してないじゃないか」

勇者「……なんでもないって、言ってるだろ……」ギッ

魔法使い「……ご、ごめん……」

勇者「……すまん。今日は寝させてくれ……」

魔法使い「あ、勇者っ……おや、すみ」   バタン

150 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 10:38:43.68 mNbI7WlO0 299/407
魔法使い(……勇者……どうしたんだよ……)

氷幼女「……む、魔法使いではないか。どうしたのだ、部屋に入らんのか?」

僧侶「……顔、変」

魔法使い「え?あ、うん……なんか、勇者の様子が変なんだよ」

氷幼女「勇者が……?」

魔法使い「あんな怖い顔、初めて見た……ボク何かしちゃったのかな?」グスン

魔法使い「今までの不満が……」ポコン 氷幼女「勝手に深く考えるでない、アホ」

153 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 10:46:20.50 mNbI7WlO0 300/407
氷幼女「しかし、あの勇者がのう……何があったのじゃろうか」

魔法使い「分からないよ……宿に帰って来たと思ったらすぐ寝ちゃって」

僧侶「……外で、何かが」

氷幼女「むぅ……本人に聞いてみらんことにはなんとも言えんな」

氷幼女「空想で勝手に話を進めては、現実とかけ離れていくだけじゃ」

僧侶「……きっと、大丈夫」ポンポン

魔法使い「……ありがと、二人とも……」

155 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 10:51:52.60 mNbI7WlO0 301/407
氷幼女「しかし、勇者がそんな調子ならそっとしておくのがよかろうな」

僧侶「……部屋、変える?」

氷幼女「んー……そうじゃなぁ、もう一部屋借りるとするか」

魔法使い「……うん、そうしたほうがいいかも」

氷幼女「わらわはもう眠いからのう……ふわぁ……」

僧侶「……早く、寝たい」

魔法使い「じゃぁ、ボク宿主さんに言ってくるよ」タタタ

氷幼女「……表面は笑っておるが、相当堪えておるな」

僧侶「……」コクリ

157 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 10:56:41.35 mNbI7WlO0 302/407
魔法使い「ゆうしゃー、いきなりたびなんてどうしたの?」

勇者「……おやじが、かえってこないんだ」

勇者「かあさんまいにちないてばかり……おれがさがしにいくんだ!」

魔法使い「でもゆーしゃ、まものとたたかえるの?」

勇者「うぐ……だいじょうぶ……なはず」

魔法使い「もー、しかたないなー、ボクがいっしょにいってあげる!」

勇者「なんでおまえが……」

魔法使い「だって、ボクのほうがゆうしゃよりつよいもん!」



158 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 11:01:11.37 mNbI7WlO0 303/407
魔法使い「なんか、りょこうみたいでたのしいねー」

勇者「……」

魔法使い「さっきからなにさー、ぶすってしちゃってー」

勇者「なんでついてくんだよ……おれはひとりでもだいじょうぶなのに!」

魔法使い「……うそつき、ひとりじゃおおがらすもたおせないくせに」

勇者「……」

魔法使い「ボクがついてきたかったら、ついてきたの!」

魔法使い「かえれっていわれても、かえってやらないぞ!」

159 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 11:08:32.44 mNbI7WlO0 304/407
魔法使い「うう……いたいよう」

勇者「だいじょうぶか?まほうつかい」ポワァ

魔法使い「わぁ、あったかい……」

勇者「……やっぱり、おまえはかえれ」

魔法使い「だから、ボクは……」

勇者「しんぱいなんだ、おまえがしんだりしないか」

勇者「おれはしなないからだいじょうぶだけど……おまえは」

魔法使い「……ボクも、しんぱいだよ、ゆうしゃのこと」

魔法使い「しなないからって、いつもむちゃばっかじゃないか、ゆうしゃは」

魔法使い「まちにいたらしんぱいすぎてよるもねむれなくなっちゃうもん」

魔法使い「だから……かえれなんて、いわないでよ……」グスン

160 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 11:25:21.44 mNbI7WlO0 305/407
チュン  チュン

勇者「……ん、朝……結局寝ちまってたのか、俺」

勇者(なんで今頃昔の夢なんか見るんだ……?)

コン コン
魔法使い「……勇者、起きてる?」

勇者「……魔法使いか」

魔法使い「えと……朝ごはん出来てるみたいだけど……どうする?」

勇者「……あぁ、大丈夫だ。今いくよ」

162 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 11:33:26.53 mNbI7WlO0 306/407
勇者「……」モグモグ

魔法使い「……」モフモフ

勇者「……」

魔法使い「……」チラッ

勇者「……どうか、したか?」

魔法使い「い、いやっ……なんでも」

氷幼女(……な、なんという気まずい空気なんじゃ……)

僧侶(……ご飯が、おいしくない)

163 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 11:40:39.03 mNbI7WlO0 307/407
勇者「……昨日は、すまんかったな」

魔法使い「え?うん、ああ……別に、気にしてないからいいよ」

氷幼女(何を大嘘ついとるか……泣いておったではないか)

魔法使い「……何があったの?勇者」

勇者「……」

僧侶「……知りたい」

氷幼女「このままじゃ旅がぎこちなくなりそうじゃからのう。さっさと吐いたほうがよいぞ?」

勇者「……それがな」

165 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 11:47:50.95 mNbI7WlO0 308/407
勇者「……ってわけだったんだ」

勇者「昨日は黙っててすまんかったな、心の整理が上手くいかんかった」

魔法使い「……え、えと……」

氷幼女(……予想以上じゃったな、こりゃ)

僧侶(……聞かなきゃ、よかった)

魔法使い「それで……勇者は、どうするの?」

魔法使い「自分が死ぬのに、それでも魔王を倒すの?」

167 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 11:56:07.08 mNbI7WlO0 309/407
勇者「んー……そこだよな、やっぱり」

勇者「ちょっと先に聞きたいんだが、お前らはどうしたい?」

僧侶「……魔王は、困る……出来れば、倒したい」

僧侶「……だけど、勇者がいなくなるのは、もっと……いや」

氷幼女「わらわは……別にどっちでもよいわ」

氷幼女「もともと惰性でついて来たのだ。どちらでもついていくだけじゃ」

魔法使い「ボクは……絶対に、やだ」

魔法使い「勇者が死んじゃうなら……魔王なんて、倒したくない」

169 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 12:02:52.93 mNbI7WlO0 310/407
勇者「……そうか」

勇者「まぁ、俺の意見を言うと……俺は、魔王を倒しに行こうと思うんだよ」

魔法使い「……っ!」 

僧侶「……」 

氷幼女「……ほう」

勇者「俺は勇者だからな、魔王を放っておくことは出来ない」

勇者「……まぁ、これは俺の意見だ」

勇者「恥ずかしいが、俺は直接戦うことが出来ない……だから」

勇者「最終的な決定は、お前らに任せたい」

170 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 12:09:52.12 mNbI7WlO0 311/407
魔法使い「……えと」

僧侶「……考えさせて」

氷幼女「そうじゃな、ゆっくり考えるのがよかろう。決断を急ぐ必要はないじゃろう」

勇者「……まぁ、とりあえず朝食を食べてしまおう。作ってくれた人に失礼だ」

魔法使い「……うん」

僧侶「……」もぐもぐ

氷幼女「……」ごく ごく

171 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 12:19:32.97 mNbI7WlO0 312/407
勇者「ふぅ、ごちそうさま」

魔法使い「……ごちそうさま」

僧侶「……」カタン

氷幼女「む、僧侶。どうしたのじゃ」

僧侶「……少し、歩く」バタン

魔法使い「私も……ちょっと気持ちがまとまってないから……」バタン

勇者「……お前はいいのか?」

氷幼女「さっきも言ったであろう?わらわはどっちでもいいのじゃ」

氷幼女(……悩んでいるのも、事実じゃがのう)

172 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 12:33:35.92 mNbI7WlO0 313/407
僧侶「……」ボー

魔法使い「……僧侶、ちゃん」

僧侶「……魔法使い……」

魔法使い「横、いいかな?」

僧侶「……」コク

魔法使い「……僧侶ちゃんは……どうするの」

僧侶「……私は……」

僧侶「……勇者が行きたいなら、仕方ないと思う」

174 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 12:43:58.07 mNbI7WlO0 314/407
魔法使い「そっかー……僧侶ちゃんは凄いなー……」

魔法使い「ボクは、そんな風にあっさり決められないよ……」

僧侶「……魔法使いは、勇者が好き?」

魔法使い「……うん、大好きだよ。いなくなるなんて……考えられない」

僧侶「……なら」

僧侶「……そう、伝えればいい」

僧侶「……言葉にしないと、伝わらない」

魔法使い「……」

176 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 12:54:06.36 mNbI7WlO0 315/407
魔法使い「僧侶ちゃんは、どうなの?勇者のこと」

僧侶「……好き」

魔法使い「え、そうなの……?」

僧侶「……好き、だから」

僧侶「……勇者のしたいように、して欲しい」

魔法使い「……そんなもん、かなぁ。ボクにはわかんないよ」

僧侶「……人、それぞれ」

魔法使い「僧侶ちゃん、妙に達観してるよね……ボクがバカなだけかな?」

僧侶「……分からない」

181 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 13:25:02.67 mNbI7WlO0 316/407
氷幼女「しかし、おぬしも強情なやつじゃのう」

勇者「……何がだ」

氷幼女「魔法使いは、おぬしに惚れ込んでおる。まさか、気付いておらん、と言うつもりかえ?」

勇者「……そうは言ってもなぁ」

氷幼女「何をそんなに魔王を倒したいのじゃ?確かに奴は世界を荒らしておるが……」

氷幼女「別に奴を倒したから全てが解決するわけではなかろう。魔族の王はたくさんおるのじゃ」

勇者「……んー」

氷幼女「なんじゃ、煮え切らん男じゃのう!何をうじうじしとるのじゃ!」

184 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 13:43:47.57 mNbI7WlO0 317/407
勇者「……魔法使いは、普通の人間だ。もちろん僧侶も、な」

勇者「だが……俺は違う。不死身の化け物だ」

勇者「あいつらがおかしいだけだ。普通なら、気味悪がってもおかしくない」

勇者「多分、勇者ってのは魔王と戦って死ぬからこそ、英雄として称えられてるんだ」

勇者(親父……なんであんたが戦うことを選んだか……今なら、分かるような気がする)

勇者「だから、俺は魔王を倒しに行きたい……それが俺の使命だから」

氷幼女「……ほんっとーーーにバカじゃな、おぬし」はぁ

185 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 13:50:22.17 mNbI7WlO0 318/407
氷幼女「勇者だからだの化け物だの使命だのと……何を言い訳しとるんじゃ?」

勇者「……言い訳なんかじゃ」

氷幼女「いーや、言い訳じゃ」

氷幼女「わらわは、『勇者様』に聞いておるのでも、『使命を持った男』に聞いてるわけでもない」

氷幼女「『おぬし』が考えた言葉が聞きたいのじゃ」

勇者「俺の、考え……か」

氷幼女「ほれ、何も考えておらんではないか……だからバカじゃと言うのじゃ」

189 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 14:10:19.94 mNbI7WlO0 319/407
勇者「俺は……どうしたいんだろうな」

氷幼女「そこまではわらわも面倒見切らん……自分で考えるがよい」ガタン

氷幼女(わらわも外の風当たってくるとするかのう……)もぐもぐ

氷幼女(自分の考えを……か。人に言っておきながらわらわ自身もはっきり答えを出しておらんな)

氷幼女「……っと、わらわも随分人間のようにものを考えるようになってしまったものよのう……」くくく

勇者(俺自身が、どうしたいか……か)

勇者(僧侶……魔法使い……あいつらは、どう思ってんだろうか)

勇者(……なさけねぇな、また人に丸投げしようとしてる)

勇者(俺が考えて……決めるんだ)

191 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 14:16:51.45 mNbI7WlO0 320/407
考古学者「あ、あなたは勇者さんのお仲間の」

氷幼女「きさまは……」キッ

考古学者「おやおや……そんなに睨まないでいただけますか?」

考古学者「何も知らずに魔王を倒して、勇者が突然死ぬよりはマシだったでしょう?」

氷幼女「……ふん。何の用じゃ」

考古学者「あぁ、そうでしたね。予定通りに明日、雪山からの風が来るようです」

氷幼女「……そうか(ついに明日、なのか)」

考古学者「おや?嬉しくないのですか?暑さに弱いあなたには嬉しいことでしょう、氷の女王」

氷幼女「!?」

194 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 14:28:17.74 mNbI7WlO0 321/407
氷幼女「きさま……何者じゃ」

考古学者「自己紹介は済ませたはずでしたが……?私は、ただのしがない考古学者です」カチャ

氷幼女「その魔力……きさま、魔族であるな!(この魔力の強さ……あの眼鏡は魔力を隠すものであったのか)」

考古学者「私が魔族で何か問題がありますか?」

氷幼女「おおありじゃろうが!今までのはわらわたちをだます為に……」

考古学者「相変わらず知恵が回るのか回らないのか分からないお方ですねぇ、あなたは」

考古学者「騙すつもりなら、こんな回りくどいことせずに直接殺してますよ」

195 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 14:36:03.01 mNbI7WlO0 322/407
氷幼女(なんじゃこやつ……考えが読めん)

考古学者「そんなに警戒しないでください。戦うつもりはありませんよ」

氷幼女「……そんな言葉を信じれると思うかえ?」

考古学者「疑りぶかいですねぇ……だから、殺すつもりなら」ガシ

氷幼女「なっ!」ジュー 「あ、あぐぅっ」

考古学者「最初から殺してる、と言ってるでしょう?」パッ

氷幼女「はぁ……はぁ……」(この熱さ……こやつ、火山王か?)

考古学者「おっと、申し訳ない。どうも怒りっぽいものでしてね」シュワー

氷幼女「……」ふー ふー

196 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 14:50:43.10 mNbI7WlO0 323/407
考古学者「少し、話が逸れましたね。話を戻します」

考古学者「氷の女王よ、なぜにあなたは勇者と共にいる?」

氷幼女「……ふん、おぬしには関係ないであろう」

考古学者「魔族が勇者の仲間になるなど、前代未聞でしてね、少々興味があるのですよ」

氷幼女「別に、わらわはやりたいようにやっとるだけじゃ」

考古学者「つれないですねぇ……流石は氷の女王と言ったところですか」

考古学者「まぁ、ただ単に記録が欲しかっただけですから構いませんが」カキカキ

氷幼女「……変わっておるの、おぬし」(訳の分からんやつめ……)

考古学者「勇者と一緒に旅する魔物ほど変わっていないと思いますがね?」

198 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 15:04:26.85 mNbI7WlO0 324/407
考古学者「……さて、言いたいことは言ったので帰ります」スチャ

氷幼女「……最後に質問があるぞよ」

考古学者「なんですか?私に答えられる範囲で堪えましょう」

氷幼女「おぬしは、なぜここでそんなことをしておるのだ?」

考古学者「……ふん、お前には関係ないことだろう……とでも言っておきますよ」スタスタ

氷幼女「……最後の最後まで、いけ好かぬ奴じゃったな」

氷幼女「さて、そろそろ帰るとするかのう。変なとこで時間を食ってしまいおったわ」

200 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 15:18:45.35 mNbI7WlO0 325/407
魔法使い「……あ」

僧侶「……あ」

氷幼女「……なんじゃおぬしら、入り口にいると邪魔じゃぞ?」

魔法使い「いやー、これは、そのー……」

僧侶「……準備」

氷幼女「めんどくさい奴らじゃのー、さっさと入らんか!」どげしっ

魔法使い「あ、あわわわぁっ!」ドテーン

僧侶「……いたい」

勇者「お前ら……何やってんだ?」

魔法使い「あ……勇者……」

201 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 15:29:35.40 mNbI7WlO0 326/407
魔法使い「えと……あのね、その……」

勇者「魔法使い」

魔法使い「えと、は、はいっ!」ガタン

勇者「俺は……魔王のところに行くよ」

魔法使い「……そっか」

勇者「……何暗い顔してんだよ、魔法使い」

魔法使い「……だって……それって勇者が……」

勇者「いや、行くって言っただけだ。倒すとは言ってないだろ?」

魔法使い「……え?」

僧侶「……?」

氷幼女(ふむ……今度はちゃんと考えたようじゃな、勇者よ)


203 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 15:38:40.63 mNbI7WlO0 327/407
勇者「氷みたいに、話を聞いてくれる魔族もいるんだ。もしかしたら魔王も……ってな」

勇者「希望観測過ぎるかもしれないが、俺にはそれぐらいしか考えられんかった」

勇者「俺は……死にたくない」

勇者「出来るなら、お前と最後まで旅がしたい。気が済むまでずっと」

魔法使い「勇者……」

勇者「俺は……お前のことが……好きなんだ」

魔法使い「……っ!!」


氷幼女(さて……わらわたちは退くかのう)スタスタ 僧侶(……いいとこ)ガシッ(ええい、いくぞよ)ズルズル

206 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 15:52:10.59 mNbI7WlO0 328/407
魔法使い「……もう、バカっ!」バシ

勇者「な、なんだ!いてっ」

魔法使い「……ボクが、先に言おうと思ってたのにさ……」

勇者「え?」

魔法使い「ボクだって、全然旅したりないよ」

魔法使い「どこだって、一緒に行ってあげる。ずっとずっと、一緒にいてあげる」す

魔法使い「嫌だって言っても、ついていってやるぞ!」グスン

勇者「……魔法使い……」ギュッ

魔法使い「……ボクだって、勇者のこと、大好きなんだから……」ぎゅぅ




宿主「さて、そろそろ店に戻らないと……」ゴッ 「ぐはっ……」ドサ
僧侶「……空気、読む」
氷幼女「少し手荒じゃが、すまんのう……こればっかりは許してたもれ」

208 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 15:59:38.66 mNbI7WlO0 329/407

チュン  チュチュン

勇者「……朝、か」

魔法使い「……だね」

勇者「……朝飯、食うか」

魔法使い「……うん」


氷幼女「ゆうべはおたのしみじゃったか?」

勇者「……黙れ、コラ……」

魔法使い「……あう」カーッ

僧侶「……?」

宿主(なんでじゃ……昨晩の記憶がまったく無い……)

210 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 16:07:08.56 mNbI7WlO0 330/407
勇者「さて、腹ごしらえも済んだし出発するか」

魔法使い「そ、そうだねっ!早く行こう」

僧侶「……おー」

氷幼女「覚悟は、決まっておるか?」

勇者「……まぁ、な」

氷幼女「魔王と戦うことになったら、どうする気なのじゃ?」

勇者「そのときは……んー……倒すしかないんじゃないかね」

氷幼女「それで、魔法使いはよいのか?」

魔法使い「……うん。勇者が決めたなら、ボクは精一杯手助けするだけだよ」

僧侶「……」コクン

氷幼女「……そうか。覚悟が決まっておるならよいのじゃ」

211 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 16:19:36.64 mNbI7WlO0 331/407
勇者「さて、火山まで来たな……」

氷幼女「ほう、ほんとうに熱さがなくなっておるな」

魔法使い「これなら、簡単に登れそうだね」

僧侶「……楽」

考古学者「みなさん疑っていたのですか?心外ですねぇ……」

勇者「……おい」

考古学者「はい?」

213 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 16:28:08.97 mNbI7WlO0 332/407
勇者「なんでお前までいるんだ……」

考古学者「いえ、この辺一体の地理には詳しいのでお手伝いしようかと」

氷幼女「いらん、帰れっ!」

考古学者「おやおや、つれないお方だ……門への行き方、分かるのですか?

勇者「……知っているのか?」

考古学者「ええ。とは言っても、古文書の通りなら、ですが」

氷幼女(白々しい奴じゃのう……どうせ記録がうんぬんじゃろうて)

魔法使い「闇雲に歩くより、道案内があったほうがいいんじゃないかな?」

僧侶「……同意」

氷幼女「むぅ……」『変な気を、起こすでないぞ?』ボソ

考古学者『変な気、というのの意味が分かりかねますが、少なくともあなたたちを攻撃はしませんよ』

氷幼女『……ふん。まだ完全には信頼しておらんからな』

考古学者『どうぞご自由に。私はあなた達を信頼しているわけではありませんし』

219 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 18:04:28.01 mNbI7WlO0 333/407
考古学者「ではみなさん、行きましょうか」

考古学者「涼しくなっていますが、溶岩などは熱いままですから気をつけてくださいね」

勇者「分かった、気をつけよう」

魔法使い「溶岩なんて初めて見るね……こんな感じなんだー」

僧侶「……えい」ゲシッ  ヒュー  ジュッ

氷幼女「石が一瞬で消えおった……なんという火力じゃ」ブルブル

魔法使い(魔法に応用出来たら強そうだな……今度試してみよう)

220 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 18:10:12.15 mNbI7WlO0 334/407
魔法使い「ふぅ……ふぅ……結構歩いたね……」

僧侶「……疲れた」 

氷幼女「わらわにはまだ少々暑いのう……ふぅ」

考古学者「えっと、ここをこう行って……と」

考古学者「よし、目印通りですね。この崖です」

勇者「この崖がどうしたんだ?」

考古学者「この上に、魔王城への門があるはずです」

魔法使い「……ここ、登るの?」

僧侶「……上が、見えない」

222 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 18:21:38.07 mNbI7WlO0 335/407
考古学者「他に道は……無いようです」

勇者「……マジ、かよ」

魔法使い「こんなとこ、どうやって登るのさ……」

僧侶「……ムリ」

氷幼女「……むぅ」チラ

勇者「なぁ、考古学者。古文書に何か書いてないのか?」

考古学者「もう少し、詳しく探してみます……」ペラ ペラ

224 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 18:27:39.83 mNbI7WlO0 336/407
氷幼女『おい、きさま』ボソ

考古学者『はい、なんでしょうか?』

氷幼女『まさか、ここを素で登れなどとは言わぬよな?』

考古学者『おや、私に何を期待しているのですか?私は古文書の通りに来ただけですよ?』

氷幼女『……頼む』

考古学者『おや、どういう風の吹き回しですか?高飛車なあなたがお願いとは……』

氷幼女『……』

考古学者『……まぁ、最初から手助けするつもりでここまで来たんですが』

考古学者『あなたの困った表情を見ていたら、少しいじめてみたくなりまして』

氷幼女(こやつ……小ばかにしおって……)

225 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 18:42:20.04 mNbI7WlO0 337/407
考古学者「見つかりましたよ、登る方法が」

魔法使い「よかったー……さすがにここは登れないよ」

僧侶「……」コクコク

勇者「で、どうやって登るんだ?」

考古学者「溶岩を凍らせ、上までの道を作るのです」

勇者「溶岩を、凍らせる……?」

226 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 18:46:49.29 mNbI7WlO0 338/407
考古学者「はい、強い氷の魔法で溶岩を凍らせ、それを道にするらしいです」

勇者「魔法使い、出来るか?」

魔法使い「ボクの魔法は自然依存だからなぁ……火山で氷はちょっとムリかも」

僧侶「……」じー

氷幼女「な、なんじゃ……その目は」

僧侶「……はぁ」

氷幼女「な、なんなのじゃそのため息は!バカにしおって!」

氷幼女「このぐらいの溶岩、わらわの魔力にかかれば……」ヒュピー  じゅー

氷幼女「はぁっ!むぅん!てやぁっ!」じゅー ジュー ジュー

氷幼女「……」

魔法使い「む、ムリしなくていいんだよ……?」

氷幼女(くそ……魔力が、魔力が戻っておれば……)うるうる

227 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 18:54:59.60 mNbI7WlO0 339/407
考古学者「困りましたねぇ……」

魔法使い「やっぱり、登るしかないのかな?」

僧侶「……かな?」

勇者「まぁ、しかたねぇか……他に方法がないんじゃな」


氷幼女『ぐ、ぐぬぬ……おい』

考古学者『はい、なんでしょうか?』

氷幼女『……魔力を、くれないか』

考古学者『……構いませんが、分かっていますよね?私の魔力の属性を』

氷幼女『……分かっておる。それでも頼んでおるのだ』

考古学者『……そこまで人間のために尽くす理由が、よく分かりませんねぇ』

氷幼女『奇遇だのう、わらわ自身よう分かっておらんわ』

230 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 19:03:04.98 mNbI7WlO0 340/407
考古学者『……面白いな、やはり貴様は。ほれ、魔力だ』パシ

氷幼女『ぐ……ぬぐわ……がぁ……』ジュー


勇者「お、おい!氷の様子がっ!」

魔法使い「こ、氷っ!ど、どうしたのっ!?」

氷幼女「う、うろたえ、るで、ない……ぐ、うぐああっ!」ビタン 

僧侶「……あなたの、仕業?」シャキン (魔力は、感じない……)

考古学者「おっと……私よりそちらの方の心配をしたほうがよろしいのでは?」

氷幼女「うああ、ああああ……うぐぅ、はぁ、く」ガクガク

僧侶「……くっ……治癒呪文!」パアア

231 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 19:08:14.93 mNbI7WlO0 341/407
氷幼女(全身が熱い……体の内側から焼かれている……気さえしおる)

氷幼女(苦しい……体が、自分から離れていくようじゃ……)

氷幼女「うぐ、は、うぐふおっ」ズル ズル

勇者「くそっ……治癒呪文も全然効かない!」

僧侶「……なんで……」

魔法使い「……っ!」ジャギン

考古学者「おやおや……疑われまくりですね、私」

氷幼女「だ、だいじょうぶじゃ、ま、ほう、つかい……そやつ、はかんけい、ない」

考古学者「ね?その物騒なものをおろしてください」

魔法使い「……くっ」ガシャン

233 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 19:17:06.02 mNbI7WlO0 342/407
氷幼女「う……く」ぐたぁ

勇者「こ、氷っ!」パシ 「うおっ!なんじゃこの熱……」

考古学者(……やはり、ムリだったか?)

考古学者(まぁ、氷の山に引きこもっていたお嬢様じゃ仕方ないか)

考古学者「……っ!」バッ

魔法使い「やぁっ!」ズドン

考古学者「……穏やかじゃ、ありませんねぇ」

魔法使い「やっぱり、お前しかいない!氷に何をした!」

考古学者(ぴーちくうるさい女め……ここで殺してやるか?)


僧侶「……さむ、い?」キョロキョロ

234 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 19:20:44.01 mNbI7WlO0 343/407
考古学者「……武器をおろして、貰えませんか?」

魔法使い「うるさいっ!お前のせいで氷は……!」

「わらわが、どうかしたかのう?」

魔法使い「え……」バッ

勇者「氷……その姿……」

氷女王「勝手に殺してしまうとは、薄情なものよのう」

僧侶「……さむ」

考古学者(……ほう、耐えたか。楽しませてくれるな)

235 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 19:30:54.09 mNbI7WlO0 344/407
氷女王「……心配かけてしまったの。だがもう大丈夫じゃ」

魔法使い「えと……なんで……」

勇者「ずいぶんといきなりだな……」

氷女王「まぁ、理由は後で話すのじゃ……それよりまずは」
ヒュゴオオオ カキカキーン

僧侶「……溶岩が、一瞬で」

氷女王「さて、上へ参るかのう」

勇者(やっぱでたらめな強さだな……)

魔法使い(偽者とは分かっていても、あの胸は気になる……)

250 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 20:37:33.49 mNbI7WlO0 345/407
勇者「お前、魔物だったのか……」

火山王「そうですよ。気付きませんでしたか?」

魔法使い「眼鏡を外したとたんに魔力が……すごい」

僧侶「……隠してたの?」

火山王「流石に魔力ばりばり出して近づくわけには行きませんからね。無駄に警戒されたら困りますし」

氷女王「回りくどい奴じゃな……」

火山王「誰のおかげでその力戻ったと思ってんだ?」

氷女王「……ふん、その点には感謝しておるわ。……ありがとう」

火山王「おお、困った顔もいいが照れた顔もなかなかだな」

氷女王「ば、ばかもんが!」

253 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 20:44:58.63 mNbI7WlO0 346/407
勇者「これが……」

魔法使い「魔王城への門、か……」

僧侶「……で、かい」

氷女王「しかし、何だか門って感じじゃないのう」

火山王「まぁ、別にこれを開けたら一発で繋がってるわけじゃねぇからな」

氷女王「む、どういうことじゃ?」

火山王「魔族のものがこの上に乗ると、陣が反応して道が出来るんだ」

火山王「門というよりは、橋を作り出す装置って感じだな」

火山王「……む」

魔物「……シンニュウシャ、ハイジョ……」

氷女王「おぬしの部下か?」

火山王「喋る部下がいた覚えは無いな……」

254 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 20:52:34.63 mNbI7WlO0 347/407
魔物「……ハイジョスル!」ジャギン カシャン

魔法使い「とりあえず、敵ってことは分かるね……」ズドン

僧侶「……構える」シャキン

氷女王「ふむ、肩慣らしにはちょうどいい相手かのう?」ヒュウン ジャキン

勇者(……今までの魔物と、何かが違うな)

火山王(思わぬところでだったが、勇者様の仲間のお手並み拝見といくか)

257 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 21:00:45.96 mNbI7WlO0 348/407
魔法使い「うおりゃぁ!」ブゴワッ ギン

魔物「ギギギ……」ギリギリ 魔法使い「なかなかやるね……」

魔法使い「でも、そこおっ!」ガシャン 魔物「ピガー、ガー」プスプス

僧侶「……はっ!」カッキン ギュインギュイン

魔物「ハイジョ、ハイジョ……」 僧侶「……硬い」

魔物「ハイジョォ!」ブオン 僧侶「!!」ぽよん

魔物「……ギギ!?」 僧侶「……ありがと、勇者」ザクッ 

魔物「ピガ、ガ」プシュー

氷女王「ふん、凍りつけ!」ヒュゴオオ

魔物「ハ、イ、ジョ……」ゲシッ パリーン 氷女王「ふん、他愛もない」

火山王「ほお、なかなか強いな、お前さんの仲間は」

勇者「まぁ、ここまで来る間に大分経験地を積んだからな……って、お前は戦わないのか?」

火山王「俺は、記録を取りにきただけだ。協力する気はほとんどない」

259 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 21:06:06.02 mNbI7WlO0 349/407
魔法使い「ふぅ、結構手ごわかったね……」

僧侶「……確かに」

氷女王「ふん……わらわには他愛無かったぞよ」

勇者「大丈夫だったか?僧侶」

僧侶「……うん、ありがと」

魔法使い「……む」

氷女王(はぁ……かわらんのう、勇者よ)

火山王「さて、お嬢さんの心配もいいが早く向かっていったほうがいいと思うぞ」

勇者「ああ、そうだな……まだ奴らみたいのがいるとも限らんし」

261 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 21:18:34.02 mNbI7WlO0 350/407
氷女王「ここに乗ればよいのか?」

火山王「あぁ、そこに乗れば道が出来るはずだ」

氷女王「それならば、おぬしが乗ればよいのではないか?」

火山王「俺は……くくく、遠慮しとくぜ」

氷女王「……なんじゃ、怪しいのう。しかし、まごまごもしておれんか」トン

氷女王(……む……なんだか、変な感じじゃのう……魔力が吸い取られるような……)ふらー

勇者「お、おい……大丈夫なのか?」 ピカアアア

勇者「……これが、魔王城への道か……」

魔法使い「山の向こうに、進んでるね」

僧侶「……きれい」


氷幼女「……なるほど、のう。これが乗らなかった理由か」

火山王「ああ、くくく……ちっちゃいあんたが見たくなってな」

氷幼女「これから魔王と戦うと言うのに……たわけもの!」

火山王「くくく……お前のことぐらいは、カバーしてやるさ」

氷幼女「……バカものが」

267 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 21:28:13.62 mNbI7WlO0 351/407

ヒュウウウウ

勇者「これ……落ちないよな?」

僧侶「……高い」

魔法使い「ひい……ゆ、ゆうしゃぁ……」ぎゅ

勇者「あー……そういやこういうの苦手だったな、お前」

魔法使い「ぜ、ぜったいにはなさないでね……」

勇者「離さねぇっての」ぎゅ

氷幼女「……降ろさんか、バカもの」

火山王「お前の歩幅でちんたら歩かれると困るんだよ」

氷幼女「そんなこと言いおって……魔法使いの歩き方を見ておらんのか?」

魔法使い「あわわわ……」

氷幼女「おおかた、わらわに触れたいだけなのであろう?」

火山王「まぁ、そうとも言うな」

氷幼女「……この痴れ物めが」

285 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 22:12:47.60 mNbI7WlO0 352/407
勇者「しかし……なんかうまくいき過ぎてるよな」

僧侶「……確かに」

氷幼女「静かすぎるな……まぁ、魔族ようの道じゃから警戒しとらん可能性も無いとは言えんが」

火山王「出待ちがいたんだ、その可能性は薄いだろう」

魔法使い「てことは……なんでかな?」

勇者「まぁ、今更帰るわけにもいかんし進むしかないだろう」

魔法使い「暗いよ……高いよ……」

僧侶「……なにも、ない……ひま」

火山王「気楽なもんだな、お前ら。魔王と戦うってのに」

氷幼女「今更、気を張っても仕方あるまいて」

火山王(つくづく面白い奴らだ……ついて来て正解だったな)ククク

289 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 22:17:56.93 mNbI7WlO0 353/407
勇者「……見えて、きたな」

魔法使い「あれが魔王の城か……おっきーい……」

僧侶「……王宮が、比べ物にならない」

氷幼女「外からは初めて見たが、ずいぶんとでかい城じゃのう」

火山王「……お前ら、現実逃避はほどほどにな」

魔物の群れ「ハイジョ ハイジョ ハイジョ ハイジョ」ぞろぞろぞろ……

勇者「まぁ、うまくいきすぎてるとは思ってたが……いすぎだろ」

295 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 22:32:33.34 mNbI7WlO0 354/407
魔法使い「でも……登ってこないね」

魔物ども ぞろぞろぞろぞろ……

僧侶「……チャンス」

火山王「ふむ、どうやらそのようだな」ボワァ

火山王「消えろ、ザコどもが!」ドッゴオオオン

魔物たち「ピガガー ガガー……」ヒュー ゴロゴロ

僧侶「……掃討」

勇者「なんか……ずいぶんと拍子抜けだな」


氷幼女「力は貸さんのでは無かったのかえ?」

火山王「余計な手間をはぶいてやったんだ、ごちゃごちゃ言うな」

氷幼女「……ふん、せっかく褒めてやろうと思ったのに……バカものが」

299 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 22:39:04.56 mNbI7WlO0 355/407
勇者「これ、どっから入るんだ……?」

僧侶「……ドアが、ない」

氷幼女「わらわたちも中しか見たこと無いからのう、なんとも言えぬ」

魔法使い「……てぇいやぁっ!」ボゴーン

魔法使い「……いてて」ジーン

勇者「なにしてんだ?」

魔法使い「いや、ぶち破ってみようかなって……ダメ、硬すぎる」ヒリヒリ

火山王「ぬうん!」ボゴオ

火山王「……これも、ダメか」

勇者「やる前に言え!熱いだろうが!」

僧侶「……ひんやり」モグモグ

303 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 22:47:47.79 mNbI7WlO0 356/407
勇者「しかし、困ったな……」

魔法使い「ここまで来といて入り方が分からない、じゃ笑えないよね……」

僧侶「……あそこ」

氷幼女「む、どうしたのじゃ?僧侶」

魔物「ハイジョー!ハイジョー!」ガシャ ガシャ

火山王「魔物の出入り口、か……お譲ちゃん、ずいぶんといい目してんな」

僧侶「……それほどでもない」

勇者「よし、突っ込むぞ!」


307 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 22:56:02.19 mNbI7WlO0 357/407
魔法使い「くっ……やぁっ!」ドゴン

僧侶「……てあっ!」ガギィン

氷幼女「どけぇい!」ジャララララ ガン

火山王「一匹一匹はめんどくせぇな、さすがに」ドゴォ

勇者「さっきより数は少ない……隙を見て抜けるぞ!」ダッ ザシュ

魔法使い「勇者っ!」

僧侶「……あ」

氷幼女「あやつも学習しないのう……」

火山王「バカは死なんと治らんからな。一生治らんだろ」

310 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 23:01:14.53 mNbI7WlO0 358/407
魔法使い「なんだかんだで抜けたね……」

火山王「魔物が勇者に気を取られたのがありがたかったな」

勇者「まぁ、俺の作戦通りにことが運んだな」

僧侶「……ほんと?」

氷幼女「なわきゃなかろう。戯言を言いおって」

火山王「しかし、ゆったりもしてらいられんと思うが?」

魔物「テキ、カ……ココハトオサン」ガシン ガシン

勇者(ずいぶんと強そうなやつのおでましだな)

魔法使い「やっと魔王の城、って感じだねー」

312 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 23:06:34.04 mNbI7WlO0 359/407
魔物「フン!」ブゴォン

魔法使い「うぉわぁっ!」タァン  ドゴオオオン

魔法使い「ボクの斧の何倍あるかな……?」

僧侶「……でかぶつ」

氷幼女「まぁ、どんなに強かろうが……一体では相手にもならんザコじゃな」

勇者「……かわいそうだが、仕方ないな」

魔物「ヌガァッ!」ズオン  ガイン 魔法使い「おりゃぁ!」ガスン

318 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 23:18:16.30 mNbI7WlO0 360/407
魔物「ググ……」ピピー ピピー どさ

魔法使い「ふぅ、いっちょあがりだね」

勇者「なんか、魔物からすごい音が……」

僧侶「……音」 ズダダダダダ

遠くの音「ハイジョー……ハイジョー……」

氷幼女「こりゃ、マズいかもしれんのう」

火山王「面倒だな……おい」

氷幼女「なんじゃ?ん、んぐぅ!」

火山王「……よし、いくぞ」

氷女王「……乱暴な、やつめ……」

勇者「……」

魔法使い「……」

僧侶「……?」

326 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 23:30:14.82 mNbI7WlO0 361/407
氷女王「ふん!」ヒュゴオオオ

火山王「はぁっ!」ドッゴオオン

僧侶「……すごい」

氷女王「何をボーっとしておるか!はよう行かんか!」

勇者「お、おう!行くぞ、魔法使い、僧侶!」

魔法使い「う、うん……氷!無事でね!」タタッ

僧侶「……頑張って」ダッ


火山王「……なんか、死に役が残すような言葉だったな」

氷女王「ふん……わらわが死ぬわけなかろうぞ」

火山王「まぁ、俺がいるからな」ドゴオ

氷女王「……何を言っておるか、たわけもの」カッキィン

333 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 00:02:40.94 ma+wGsz90 362/407
魔法使い「氷……大丈夫かな?」

勇者「まぁ、あんだけ強い奴がいりゃ大丈夫だと思うがな」

僧侶「……敵、いない」

勇者「さっきの召集はむしろ好都合だったな。ゆっくりと探せる」

魔法使い「そうだね……急いで魔王を探さなきゃ!」



氷女王「ふぅ……ふぅ……」

火山王「どうした、もう息切れか?」

氷女王「ふん……横にむさくるしい男が、いるでの……」

火山王「褒め言葉として、受け取っておくぞ!」ボゴバアアア

336 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 00:12:00.72 ma+wGsz90 363/407
ダダダダッ

勇者「……ここは」

魔法使い「なんか、いかにもって感じの扉だね」

僧侶「……魔力、感じる」ブルブル

魔法使い「うん、ボクも……身震いが……」ガクガク

勇者(……何も感じないのだが……)

勇者「……入るぞ」  バアンッ


魔法使い「誰も、いない……?」

僧侶「……でも、玉座」

勇者「暗くて、よく見えんな……」

339 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 00:25:54.45 ma+wGsz90 364/407
魔法使い「おい!魔王!いるならでてこいっ!」

勇者「ば、おまえっ……!」

魔法使い「あれだけ派手に騒いでれば、どうせばれてるよもう」

勇者「まぁ、それもそうか」

僧侶「……出て、こない」

勇者「……部屋を、調べてみるか」

魔法使い「隠れてたら危ないから、一応警戒はしておこうか」




氷女王「ふぅ……これで全部、かの」

火山王「ふー……流石に疲れたな」ぺたん

氷女王「はよう、あやつらの元へ……あぐ」どさ

火山王「ムリすんなって、ほら」ひょい

氷女王「……むぅ」

火山王「……意外と重いな、お前」

氷女王「う、うるさいっ!それは氷の重さじゃ!」

341 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 00:31:55.49 ma+wGsz90 365/407
魔法使い「いないなー……逃げちゃったのかな?」

勇者「魔王が逃げる理由がどこにあるんだよ……」

僧侶「……ここ」

勇者「ん?どうした、僧侶。玉座の足なんて眺めて」

僧侶「……動かした、跡」

魔法使い「ほんとだー、よく気付いたね、僧侶ちゃん。えいっ!」バキィ

勇者「隠し扉、か……よほど用心深いやつみたいだな、魔王は」

魔法使い「なんでこんなのが必要なのかな?」

勇者「……罠、か?」

343 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 00:38:03.80 ma+wGsz90 366/407
僧侶「……気配」

勇者「なにっ!?」

魔法使い「危ない勇者っ!はぁっ!」ドゴォ

鎧騎士「ほう……我が攻撃を受けたか。人間にしてはやりおるの」グググ

魔法使い(凄い力……このままじゃ……)

僧侶「はぁっ!」キュイーン 魔法使い「僧侶ちゃん!」

鎧騎士「ほう、二人がかりか……我は一向に構わんぞ!ぬぇいっ!」ドォン

魔法使い「きゃぁっ!」  僧侶「……く」

勇者(今までの敵と格が違う……だが、一人が相手なら俺の魔法で……)

魔法使い「やぁっ!」 僧侶「……はっ!」 ガッキィン

鎧騎士「どうした、人間ども……この程度か!」ゴワァ


勇者「……なっ……俺の魔法が、効いてない……?」

344 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 00:45:27.56 ma+wGsz90 367/407
鎧騎士「ふん……なにやら魔法をかけようとしたようだな」

勇者「!!」

鎧騎士「だが、我が鎧に魔法は通じん!」ボゴォ

勇者「ぐはっ……!」ズザー

魔法使い「勇者っ!」

鎧騎士「ほう、貴様は勇者か……にしては、随分と弱いようだが……」

僧侶「……はっ!」ガィン  ガシッ 「あっ」

鎧騎士「強化魔法で包んだ杖、か……非力な人間がやりそうなことだ」ボキィ

鎧騎士「ふん、他愛もない」

僧侶「あ……あ……」

鎧騎士「そこまで殺して欲しいなら、貴様から殺してくれよう」ジャギン

魔法使い「僧侶ちゃんっ!」 (間に合わない……!)

ドゴォォォン

347 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 01:01:03.67 ma+wGsz90 368/407
鎧騎士「……む、これは……氷?」カキィィン

僧侶「……あ、あ」

氷女王「なんとか間に合ったようじゃな……」

火山王「状況は最悪みたいだがな」

鎧騎士「貴様ら……魔族がなぜ人間の味方をしている!」グワッ

氷女王「くっ!」ヒュゴオオオオ

鎧騎士「その程度の魔法は効かんっ!」ドゴォン

氷女王「!!」バッ

火山王「ぐっ……」ギギギ

鎧騎士「ほう、そのような細身の剣で我が斧を防いだか……」

鎧騎士「だが、いつまで持つかな……?」ギリギリ

353 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 01:12:19.95 ma+wGsz90 369/407
火山王「ぐ、ぬ……はぁっ!」ボゴオオ

鎧騎士「我に魔法は通じぬと言っておろう!」

火山王「確かに、魔法は通じないみてぇだな……ぐ」

火山王(……鎧の表面に水滴……まさか)

氷女王「はぁっ!」ガィン

鎧騎士「また二人がかりか……だが、なんど来ようと無駄だ!」

火山王『……俺に考えがある。奴に氷の魔法を思いっきりぶつけてくれ」

氷女王『……何か策が、あるのじゃな?』

火山王『ああ……成功するかはしらんが、いちかばちかだ」

氷女王『どうせこのままじゃ勝ち目はないのじゃ。賭けてみるのもまた一興ぞ』

358 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 01:20:50.03 ma+wGsz90 370/407
鎧騎士「別れの挨拶は済んだか?」

火山王「ああ、お前さんとの別れの挨拶が終わったところだ」

氷女王(かっこつけおって……いちかばちかのくせに)

鎧騎士「ふん!世迷言を!」

氷女王「……はぁっ!」ヒュゴワアアアア

火山王「……くらえっ!」ボゴオオオ

鎧騎士「なんど言えば……魔法は効かぬと」

火山王「あぁ、お前には魔法が効かないみてぇだな、よく分かる」

火山王「だがその鎧、魔法による温度変化までは無効に出来ないみてぇだな」

鎧騎士「な、なにっ!?」ピシ 「ぬぅ!?」

火山王「極限まで冷やされたものを、いきなり熱するとってな」

氷女王「どうなるのじゃ?」

火山王「知らんかったのか……」

パリィーン

362 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 01:27:04.01 ma+wGsz90 371/407
鎧騎士「ぐおっ……鎧が……」

火山王「……畳み掛けたいが、もう体が動かん」へたん

氷女王「……奇遇じゃな、わらわもじゃ」とす

鎧騎士「しかし、鎧が壊されただけならまだ戦える!」ブォン

氷女王「あー、残念じゃなぁ。鎧が壊れた時点で負けなのじゃよ、おぬし」

鎧騎士「何をふざけたことを!」ブゴワッ ツルン

鎧騎士「……っ!!」

魔法使い「ええいやぁぁ!!」 鎧騎士「ぬうっ!」ガギ  ズゴォン

鎧騎士「ぐぶほっ……がはっ」ズガン

371 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 01:41:54.83 ma+wGsz90 372/407
無鎧騎士「ぐ……バカ、な……」

無鎧騎士「魔王様から最強の鎧を与えられたこの我が……負けるだと……」

勇者「お前に仲間がいれば、分からなかったがな」

無鎧騎士「仲間、だと……そんなもの、我には必要ない」

魔法使い「ま、そんなこと言ってるから負けたんだよ」

氷女王「がちがちに頭の固い魔王信者じゃな……」

無鎧騎士「魔王様を侮辱するか……ゆるさっ……ぐぶ」

火山王「この様子だと、情報は得られそうにないな……殺すか」

僧侶「……待って」

373 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 01:50:46.89 ma+wGsz90 373/407
勇者「僧侶……?」

僧侶「……杖、折った」

僧侶「……謝って」

無鎧騎士「謝る?この我がか?」

僧侶「……」コクン

僧侶「……大事な杖、だった」

無鎧騎士「そんなもの、知るか……」ボゴ 「ぐふ……」

僧侶「謝って」

無鎧騎士「ぐ……す、すまんかった」

魔法使い(魔物に謝らせてる……)

勇者(知能のある魔物って、実はほとんど悪いやついないんじゃないか……?)

377 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 01:58:13.81 ma+wGsz90 374/407
『情けないな、鎧騎士よ。人間などに負けてしまうとは……』

無鎧騎士「こ、このお声は!」

魔法使い「……空気が、揺れてる……!」

僧侶「……奥から」

氷女王「間違いない、この声は……」

火山王「……魔王だな」

勇者「どこにいる、魔王!」

魔王『その扉の奥へ、来るがよい……』


魔法使い「……罠、かも知れないよ」

勇者「……まぁ、罠でも行くしかないだろ、ここまで来たら」

380 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 02:03:57.58 ma+wGsz90 375/407
ガチャリ

勇者「……お前が、魔王か」

魔王「いかにも……私が魔王だ」

魔法使い(すごい魔力……息苦しさを感じるよ……)

僧侶(……うぐ)

氷女王(相変わらず、バカみたいな魔力をしておるわい……)

火山王(さて、勇者よどうでる……)


勇者(あれ?森林王みたいなの想像してたけど、意外に普通だな)

381 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 02:13:16.78 ma+wGsz90 376/407
魔王「ほう……魔族が味方をしているというのは本当だったのか」

魔王「氷女王に……火山王か。なるほど、どちらも納得できる」

魔王「貴様ら……私に歯向かうということは、覚悟が出来ておるな?」スッ

魔王「ぬぅん!」ブオッ

火山王「ぐぬぁっ!」ビターン 氷女王「火山っ!ぬぐわっ!」バシーン

魔法使い「二人ともっ!……やぁっ!」ダダダッ  ブゴォ

僧侶「……でやぁっ!」ヒュゴッ
 ガイイン
魔王「ふむ、人間にしては悪くない攻撃だ……」

僧侶「……な」  魔法使い「止めてすら、いない……」

385 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 02:31:11.90 ma+wGsz90 377/407
勇者「……く」

魔王「ここまで来たことは、褒めてやろう勇者よ」

魔王「しかし、貴様もここまでと言うことだ……死ね、勇者よ!」シャキン

魔法使い「勇者っ!」

僧侶「……っ!」

魔王「はぁっ!」ズドッ

勇者「ぐはかっ……」バタン

魔王「……拍子抜け、だな。所詮勇者も人間ということか」

388 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 02:47:49.77 ma+wGsz90 378/407
魔王「さて、次は……貴様らにするか」

氷女王「く……な、なぜじゃ……」

火山王「ちぃ……体が、動かん……」

魔王「拘束魔法も一緒にかけたからな、貴様らは身動き一つとれん」

魔王「さて、と……どっちを先に殺してやろうか」

「待てよ……」

魔王「!!」

勇者「まずは、俺を殺してからにしてもらおうか……」フラ フラ

390 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 02:56:21.42 ma+wGsz90 379/407
魔王「驚いた……生きておったか」シャキン

魔王「私の剣は、確かに貴様の心臓を貫いたはず」

魔王「それがなぜ、生きている……?」

勇者「……俺は、死なん。お前を倒すまでは、な」

魔王「ほう、そうか……ならば、貴様以外から血祭りにあげてやろう」

魔王「どうせ死なぬなら……絶望を味あわせたほうが楽しそうだ」

勇者「……く」 (話合いでなんて、甘い考えだったのか……?)


392 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 03:07:40.06 ma+wGsz90 380/407
魔王「ふははは!いいぞ、絶望に歪む人間の顔というのは実にいい!」

魔王「さて、余興は終わりだ……一思いに、殺してやろう」

氷女王(ぬぅ……これまでか……)

魔王「魔族の力を持ちながら、人間に加担した愚か者よ。ここで死ぬがよい」ブォンッ ツルン

氷女王「!」

魔王「……なんだと……?とぁっ!」ヒュゴッ ツルン

魔王「なんだ……これは……」

勇者(……効かないかと思って焦ったぜ……効果が遅かったみたいだけみたいだな)

氷幼女(流石に、死を覚悟した……まったく、肝を冷やさせるのう)

428 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 15:53:18.67 ma+wGsz90 381/407
魔王「貴様……私に何かしたな?」

勇者「単純に……お前に魔法をかけただけだ……」

魔王「魔法……この私を弱くする魔法などが存在すると言うのか!」ダッ  ブォン

カッキィン

魔法使い「……勇者の魔法が効くなら……」ガシャン

僧侶「……戦える!」シュパッ

魔王「ぐ……」ズザ

434 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 16:05:56.57 ma+wGsz90 382/407
勇者(……チャンスは、今しかない!)

勇者「……魔王、話がある」

魔王「話だと?」

魔法使い(……勇者……)

勇者「もう止めにしないか、勇者と魔王が争うなんてことは」

魔王「……何を、バカなことを」

魔王「争いを止めるだと……そんなことは、出来ん」

勇者「……なぜだ」

魔王「……戦うことは、魔王として生まれた私の使命だからだ」

勇者「……!」

437 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 16:14:57.57 ma+wGsz90 383/407
勇者(……使命、か……まるで、前までの自分を見てるみたいだ)

勇者(こいつも、戦うしか道が無いと信じて、戦ってるんだな)

魔王「話はそれだけか?」ジャキン

勇者「……お前は、どうしたいんだ」

魔王「?」

勇者「使命とか、魔王だからとか、そういうのはどうでもいい」

勇者「お前自身がしたいことを、聞いてんだ」(誰かさんの受け売りだがな)

魔王「私が……したいこと……」

441 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 16:29:19.61 ma+wGsz90 384/407
魔王「……分からん」

魔王「そもそも、なぜ勇者を倒さねばいけないのか。理由など考えたことも無かった」

魔王「勇者は魔王を倒しに来る、その勇者を倒す……それが当然と思っていた」

魔王「しかし……そうではないのか……?」

氷幼女(……ふん、少しはものを考えるようになったではないか、勇者よ)

火山王(これは……分からん展開になってきたな)

443 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 16:38:44.10 ma+wGsz90 385/407
勇者「なぁ、魔王……俺の仲間になってみないか?」

魔法使い「……え?」

僧侶「……な」

魔王「なんだと……」

勇者「今なら、全財産の半分をやるぞ」

魔法使い(いや、そういう問題じゃ……)


氷幼女「な、なんとっ……!」

火山王「……くくく、魔王を仲間に、なぁ……面白い勇者様だ」

氷幼女「ただバカなだけじゃろうて……」

448 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 16:49:02.54 ma+wGsz90 386/407
魔法使い「ゆ、勇者!何考えてんのさ……」

勇者「いや、このまま放っておくってわけにもいかないし……」

僧侶「……だからって」

魔法使い「それに、全財産って言っても3000Gぐらいじゃないか!」

勇者「やっぱり、少なかったかな……?」

魔王(……こやつら……)



火山王「あーあー、始めやがった……くくく」

氷幼女「あやつら、事の重大さが分かっておるのか……?」

火山王「……しかし、今回は違った記録が取れそうだ……しかも、歴史が変わるようなやつをな」

450 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 17:05:22.02 ma+wGsz90 387/407
魔王「……よかろう」

魔王「貴様の口車に、乗ってやろうではないか」

勇者「……いいのか、1500Gだぞ」

魔王「貴様の全財産の半分などどうでもよいわ!」

魔王「ただ……少し興味が沸いたのだ、貴様に」

勇者「俺?」

魔王「貴様と共に世界を回れば、少しは分かるかも知れんと思ってな」

魔王「……自分の、やりたいこととやらが」

456 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 17:21:47.83 ma+wGsz90 388/407
氷幼女「驚いたのう……魔王よ、おぬしが仲間になるとは」

魔王「貴様らに言われる筋合いはないな」

火山王「くくく……違いないな」

魔法使い「……ほんとに、仲間になっちゃった」

僧侶「……信じ、られない」

勇者「まぁ、倒さないで済んでよかったよ……」

魔法使い「そう……だね」ニコ

458 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 17:34:07.88 ma+wGsz90 389/407
無鎧騎士「ま、魔王様っ!?」

魔王「鎧騎士よ……留守の間、この城を頼むぞ」

無鎧騎士「……はっ!」

無鎧騎士「……勇者。魔王様をくれぐれも頼むぞ」

勇者「くれぐれもって……あいつの力なら」

魔王「ほれさっさと行くぞ、勇者」

魔法使い「置いていっちゃうぞー!」

勇者「すっかり馴染みやがって……適応能力に驚かされるぜ」


無鎧騎士「……魔王様……どうかご無事で」

460 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 17:41:33.19 ma+wGsz90 390/407
火山王「さて……まずは村まで戻ってもらおうかね」

氷幼女「む、おぬし……」

火山王「俺は記録を取るためについてきてただけだからな」

勇者「……そうか、残念だ」

魔法使い「一緒に行きたかったのにねー」

氷幼女「……」

魔王「火山の村ぐらいまでなら、全員転移魔法で飛べるな」

勇者「そうか、なら頼む」

461 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 17:49:34.63 ma+wGsz90 391/407
シュイーン

火山王「さて、と……む」ぎゅ

氷幼女「……」

火山王「……おい」

氷幼女「……わらわも、残るぞ」ぎゅうう

火山王「なに言ってやがんだ、お前は……ほら、離せ」

氷幼女「……い、や、じゃ」

火山王「……おい勇者、お前からも言ってやれ」

勇者「いや、俺は別に構わんが……」

火山王「……魔法使い」

魔法使い「ボ、ボクは……氷が残りたいなら……」

火山王「……マジか」

463 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 17:56:13.97 ma+wGsz90 392/407
火山王「……火山の近くに氷の女王が住むなんて正気か?」

氷幼女「もっと熱い男が、近くにおるであろう?」

火山王「……バカが」

氷幼女「では、世話になったのう、勇者」

勇者「ん、あぁ……達者でな」

氷幼女「それを言うならおぬしらじゃろう」

魔法使い「お幸せにね、氷」

氷幼女「うむ、おぬしも勇者と幸せにのう」

467 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 18:14:40.70 ma+wGsz90 393/407
勇者「……さて、これからどうしようか?」

魔法使い「そうだね……今度はどこへ行こうか」

魔王「私はどこでもよいぞ」

僧侶「……どこでも」

勇者「どこでもって……一番困るな、それ」

魔法使い「まぁ、いいじゃないか勇者。もう倒すべき相手なんてものもいないんだし」

勇者「まぁ……それもそうか」

魔法使い「ボクはずっとついてってあげるよ、勇者の旅に」

勇者「……ありがとよ、魔法使い」

魔法使い「だって君は、ボクがいないとダメダメだからねっ!」

472 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 18:29:06.60 ma+wGsz90 394/407
――――――――――
――――――

魔法使い「もう、キリがないなぁ!」ズドゴン

僧侶「……む」ズバン

魔王「なかなかやりおるの……しかしまだ甘いわ!」ドゴォ

勇者「……ここも楽勝かな?……あ」グシャ

魔王「あのバカめ……油断したな」タンッ 「はぁぁっ!」ズバッ

魔物「ゴグガァ……」ドサ

僧侶「……これで、全部」

少女「お父さん!大丈夫?」

勇者「……ん、あぁ……一応、な」


475 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 18:35:32.09 ma+wGsz90 395/407
魔法使い「……もう、かっこ悪いとこ見せないでよー」

勇者「そうは言ってもなー」

少女「えい!治癒呪文!」

勇者「おう、ありがとう」なでなで


魔王「この辺も、これで大丈夫だな」

僧侶「……」コクン

魔王「人間を守るために戦う魔王、か……前代未聞であろうな」

僧侶「……多分ね」

482 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 18:47:51.95 ma+wGsz90 396/407
勇者「まぁ、そのおかげでこの世界も平和になりそうだ」

魔法使い「そうだねー、大分好戦的な魔族も減ってきてるみたいだし」

少女「魔王えらーい!」

魔王「ふん……お前の言葉に感化されただけだ」

魔王「魔族と人間は、戦わねばならぬ宿命にあるわけではない……とな」

僧侶「……えらい」

魔王「えらいえらいと言うな!私は子供か!」

僧侶「……見た目は、十分子供」

魔王「うるさい!城を出ると姿を維持できんと言っておろうが!」

勇者(だから城に篭ってたらしいな……十分子供だ)

486 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 18:55:33.19 ma+wGsz90 397/407
魔王「……なぁ、勇者」

勇者「どうした?魔王」

魔王「この先、もしも世界が平和になったら……私はどうすればいい」

勇者「どうすればいいって?」

魔王「私は魔族の王……この世界から排除されるべき存在だ」

魔王「世界が平和になれば、きっと邪魔になってしまう」

勇者「……そうでも、ないんじゃないか?」

魔王「……」


488 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 19:00:56.25 ma+wGsz90 398/407
勇者「平和的な魔族だっているんだ。魔族全てを排除しないといけないわけじゃない」

勇者「それを言えば、排除されるべき人間だっているさ」

勇者「平和のために確かに犠牲は必要だ。だけど、どちらかが一方的に犠牲になる必要は無い」

勇者「……って言うか、そこまで悩む必要もないと思うんだがな」

勇者「平然と人間の村に住んでる奴らだっているんだし」



氷幼女「……くしゅん」

火山王「なんだ、風邪か?季節の変わり目なんだから気を付けろ」

氷幼女「ふん、わらわが風邪などひくわけ……ん」

火山王「言うこと聞いて黙って寝てろ」

氷女王「ふん……相変わらず乱暴じゃのう」


491 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 19:10:30.74 ma+wGsz90 399/407
魔王「……しかし」

魔法使い「魔王は気にしすぎなんだよー、もっと気楽に考えればいいのに」

少女「そうだぞー、魔王のアホー」

魔王「な、なんじゃと!?」

少女「僧侶ちゃんがよく言ってるもん『魔王はアホだ』とか『魔王は心配性』とか」

魔王「なにをっ」

少女「『魔王が心配だ』とか『相談すればいいのに』とか」

僧侶「……そこまで」ガ

少女「むぐぐ」

魔王「……僧侶」

僧侶「……バカ」

499 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 19:25:44.93 ma+wGsz90 400/407
魔王「……そういえば、お前はどうするつもりなのだ、勇者」

勇者「え、俺?」

魔王「世界が平和になれば、旅をする意味も無かろう」

勇者「んー……俺は……旅を続けるよ」

勇者「旅をする意味は、旅をしながら探すもんだと思うからな」

魔法使い「えー!てっきり、ゆっくり暮らすのかと……」

勇者「あ、あれ……?」

魔法使い「もー、信じられないよ!」

魔王「くはは!世界を救った勇者も惚れた女には敵わぬか……」

僧侶「……みたい」

517 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 20:14:34.03 ma+wGsz90 401/407
魔法使い「もう……まぁ、いいよ。ずっとついてってあげるよ」

勇者「魔法使い……」

魔法使い「だって君は、ボクがいないと……」

少女「ダメダメだからね!」

魔法使い「あっ!ボクの台詞!」

少女「へへへ……」

勇者「……魔法使い、ありがとう」

魔法使い「礼はいいよ、その代わり……帰れって言われても、帰ってやらないからね?」

勇者「……帰りたいって言っても、帰してやるつもりはないぞ?」

魔法使い「え?ってきゃあっ!」だきっ

魔法使い「は、恥ずかしいから降ろしてよ……もう、ボクもう帰るー!」


ーーーいちおう、おわる

530 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 20:27:13.19 ma+wGsz90 402/407
~後日談~


少女「やあっ!」ズドン

勇者「あれ、その武器って……」

魔法使い「そ、ボクのお古だよ」

勇者「なんか、将来が見える気がするな……」

魔法使い「ボクみたいに強い女の子に……」

勇者「魔法使いみたいな絶壁に……」ゴシュ

少女「あ……ごめんなさい、お父さん」

536 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 20:42:22.25 ma+wGsz90 403/407
火山王「こいつは驚いたな……予想外の組み合わせだ」

魔王「……ふん」

火山王「しかし、魔王が幼児好きとはな、知らなかったぞ」

魔王「貴様に言われとう無いわ!」


僧侶「……何の、話?」

氷幼女「バカのバカ談義じゃ、気にするでない」

541 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 20:49:52.36 ma+wGsz90 404/407
ピギャー  ピギャー

森林王「……最近、魔物が静かだ」

森林王「……旅の者なども、めっきりおらん」

森林王「……たまに来るのは、むさ苦しい男ばかり」

森林王「……あいつらに、ついていけばよかった」ハァ

550 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 21:23:09.68 ma+wGsz90 405/407
魔法使い「ねぇ、勇者。もし、ボクが死んじゃったらどうする?」

勇者「なんだよ、唐突に」

魔法使い「だってさー、勇者は死なないけどボクはいつか死んじゃうでしょ?」

勇者「……そん時は…………俺も死んでやろうか?」

魔法使い「えー、いいよー……ボクのことを、忘れないでいてくれたらそれでいい」

勇者「……忘れねぇよ、絶対。忘れろって言われても、忘れてやらん」ぎゅ

魔法使い「えへへ……ありがと……勇者、大好き」ぎゅ



魔王「ふん……見てられんな」

僧侶「……ほんと」

氷幼女「見てるこっちが恥ずかしくなるぞよ……」

火山王「ふん、お盛んなこったな」

少女(どこから来たんだろ……?)

554 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 21:35:31.93 ma+wGsz90 406/407
鎧騎士「魔王様に任されたこの城!誰も通すわけにはいかぬ!」

僧侶「……どうも」

鎧騎士「む、貴様は……あの時は本当にすまなかったな」

僧侶「……気にしてない」

鎧騎士「しかし、魔王様の后に無礼を……」

僧侶「……后?」

魔王「……鎧騎士、ちょっとこい」ズルズル

鎧騎士「ま、魔王様っ!?も、もうしわけ……アッー」

562 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 22:05:01.98 ma+wGsz90 407/407
ピギャー  ピギャー
森林王「……暇、だな」

魔物「ギャギャギャギィ」

森林王「……お前ら、何か俺を楽しませろ」

魔物「ギャギャイ!?ギャギャ……」クネ クネ

森林王「いや、そんなムリしなくていい……俺が悪かった」

保健医「初恋の相談?」女生徒「……はい」

1:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/05/09(土) 22:23:15.19 ID:/r90bd9xo

保健医「私なんかでよければ、いくらでも聞いてあげるわ」

女生徒「ありがとうございます……」

保健医(小動物みたいな子ね……真っ赤になっちゃって、可愛い)

女生徒「その……好きな人、と言うのが」

保健医「うんうん」

女生徒「部活の先輩、なんです」

保健医(先輩かぁ、青春って感じねぇ)

保健医「あなた、何部なの?」

女生徒「……女子バスケ部、です。私はマネージャー、ですが」

保健医「ほうほう、女子バスケ……」

女生徒「……」

保健医「……」

保健医(……なるほど、それでここに来たわけか)

女生徒「……じー」

保健医(どう返答したものかしら……)



2:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/05/09(土) 22:31:03.96 ID:/r90bd9xo

保健医「ってな事がありましてね」

教師「ふーん」

保健医「もう、せめて視線はこっちに向けて話を聞いてよ」

教師「なんて答えたんだ?」

保健医「もう少しじっくり考えてみて、それでも気持ちが変わらなかったらもう一度来るようにって」

教師「解決になってる?それ」

保健医「学生の恋愛感情って、憧れとかの延長線な事が多いから。冷静になってみると案外落ち着いたりするものなのよ」

教師「説得力ないなぁ」

保健医「……自分で言ってて分かってる」

教師「ごめんごめん、むくれるなよ」



3:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/05/09(土) 22:37:29.65 ID:/r90bd9xo

保健医「あなたはそういう経験ない?」

教師「恋愛相談?」

保健医「そう。教師になってそれなりに経つでしょ」

教師「んー、あんまキャラじゃないからなぁ。生徒もそれ分かってるのか、その手の話題はからっきしだ」

保健医「そっかー」

教師「あー、でも」

保健医「?」

教師「一回あったな、『先生好きです、付き合ってください!』ってのなら」

保健医「……」

教師「なんて顔してるんだ、相手は学生だぞ?」

保健医「だって、まんざらでもない顔してる」

教師「ちゃんと断ったよ、先約がありますからってな」



4:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/05/09(土) 22:40:31.42 ID:/r90bd9xo

保健医「……怪しい」

教師「疑り深いやつだなぁ、それじゃ証拠に……」

保健医「あ、ちょっと……っ」

教師「……ん」

保健医「……っふ」

教師「……ぺろ」

保健医「……眼鏡を付けたままじゃ危ないって、前にも言ったのに」

教師「こりゃ失敬、では改めて……」

保健医「……ダメ」

教師「ありゃ?」

保健医「相談の答え、ちゃんと考えてあげなきゃ」

教師「クソ真面目だなぁ、相変わらず」

保健医「あなたが不真面目なだけだと思うけれど」



5:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/05/09(土) 22:48:43.28 ID:/r90bd9xo

教師「実体験を元にしてみてはいかがだろう」

保健医「……と言うと?」

教師「キミは完全に忘れていますが……こう見えて私は2つ上です」

保健医「……」

教師「……背は低い、ですが」

保健医「……胸もね」

教師「キミは私を泣かせたいのかね」

保健医「あなたと私の関係を参考にさせちゃ、絶対にダメな気がする」

教師「うわ、なんだか傷付くなぁ」

保健医「事実だもの。恋する乙女はもっとロマンチックに恋をするべきです」

教師「……」

保健医「……」

保健医「……もう寝ます」

教師「自分で言っておいてヘソ曲げるって理不尽じゃないかな」

保健医(……先輩、かぁ)

教師(ロマンチック、ねぇ?)



11:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/05/10(日) 15:18:17.63 ID:V+57+O/co

「一年、声出てないよーっ!」

「ハイッ!」

先輩「……はっ……はっ……」

先輩「……ふぅ」

女生徒「せ、せんぱいっ」

先輩「……?」

女生徒「タオルです、よかったらどうぞっ」

先輩「ん、ありがと」

女生徒「……じー」

先輩「ボクの顔」

女生徒「へっ?」

先輩「何か、付いてる?」

女生徒「あ……ぅ」

「次、2対2ーっ!」

「ハイッ!」

先輩「おっと、もう行かなくちゃ」

先輩「はい、タオルありがとね」


女生徒「先輩……」



12:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/05/10(日) 15:27:49.57 ID:V+57+O/co

「それじゃ、今日はここまで!」

「お疲れ様でしたーっ!」

女生徒「……」

女生徒(……人のいなくなった体育館って、静かだな)

女生徒(おっと、後片付け急がなくちゃ)

女生徒「あ」

女生徒(これ、先輩が使った……)

女生徒「……」

女生徒「すん、すん……」



13:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/05/10(日) 15:34:48.56 ID:V+57+O/co

「おーい」

女生徒「……っ!」

「なんだ、まだ残ってる奴いたのか?下校時間ギリギリだぞ」

女生徒「す、すいません。すぐ帰りますっ」

「うわっと……なんだ?顔真っ赤にして」

女生徒(見られた?いや、見られて……ない、よね?)

教師(……私もまだ捨てたもんじゃないか?)

教師(ああいうのはポイント高いだろうな、男女問わず)

教師(っと、やばい。私も急がねば)



14:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/05/10(日) 15:39:58.15 ID:V+57+O/co

保健医「……んー」

教師「どうした、せっかくいい肉がセールだったのに。何を難しい顔してるんだ」

保健医「前に話した子、いたじゃない?」

教師「はふ、はふ……バスケ部のマネ、とかだっけ」

保健医「何で既に曖昧……まぁいいや。そう、その子」

保健医「あの後、どうなったか気になってね……なんだかこっちから聞くのも変な感じだし」

教師(そういや、体育倉庫で見たあの生徒……)

教師「……もぐもぐ」



15:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/05/10(日) 15:53:51.56 ID:V+57+O/co

教師「もしさ」

保健医「はむはむ……ん」

教師「もしその子がもう一度来たとして、なんて言うの」

保健医「それは……その」

教師「もふもふ……」

教師「答えがちゃんと定まってないなら、むしろ来てくれない方がいいんでないかね」

保健医「……」

教師「……んー?」

保健医「んがーっ!肉ばっかり食べるなーっ!」

教師「ならキミも食べる?」

保健医「えっ、ちょっ……と」

教師「……」

保健医「……」

教師「ごちそうさまでしたっと」

保健医「……お粗末様、でした」



21:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/05/12(火) 21:51:28.33 ID:FGP3i1ivo

「一年、ちんたら走ってるともう一週だよ!」

「ハイッ!」

女生徒(……)

女生徒(私はなんてことを、してしまったんだろう)

女生徒(いくら好きでもタオルの匂いを嗅いじゃうなんて、まるで変態……)

「あ、危ないっ!」

女生徒「へっ?」

女生徒「あぅっ!?」

女生徒(め、目の前が……まっ、しろ……)



22:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/05/12(火) 22:02:09.27 ID:FGP3i1ivo

保健医「……ふー」

保健医(あの子、今日も来なかったわねぇ)

保健医(思い詰めてなければいいんだけれど……)

保健医「……ん」

先輩「失礼します」

保健医「あら、いらっしゃい」

先輩「マネージャーの子にボールがぶつかっちゃって。ベッドをお借りできますか?」

保健医「もちろん、大丈夫よ。ゆっくり降ろしてあげてね」

先輩「はい」

保健医(……)

保健医(この子が、話に出てきた先輩って子かしら?)

先輩「……」

保健医(なるほど、確かに密かな人気を保持してそうなタイプね……)



23:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/05/12(火) 22:20:54.31 ID:FGP3i1ivo

先輩「先生、後はお願いします」

保健医「えぇ、お任せなさい」

先輩「それじゃ、ボクは練習に戻ります」

保健医「……」

保健医(ボク、ねぇ?)

女生徒「……すー……すー……」

保健医(せっかく麗しの王子様におんぶしてもらったのに、気絶してるなんて残念ね)

保健医(いや、麗しのお姫様かしら?)

保健医(ん……目の下、隈が酷いわね)

保健医「ま、今はゆっくり眠りなさいな」



24:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/05/12(火) 22:29:30.37 ID:FGP3i1ivo

先輩「……」

「おい」

先輩「?」

「1対1で何をボーッとしてる。お前までケガでもしたら面倒だぞ」

先輩「それは無いと思うけど……」

「そんなに心配なら、目を覚ますまで付いててもよかったんだぞ」

先輩「んー……それはちょっと、ね」

先輩「特別扱いしちゃうと、逆に迷惑かかっちゃいそうだし」

「……なら、もっとシャキッとしろ」

先輩「言われなくても……ねっ!」

「……っ!」

先輩「はい、一本」

「ぐぬぬ……次だ、次っ」


女生徒「くかー……」



25:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/05/12(火) 22:47:13.76 ID:FGP3i1ivo

教師「おいーっす」

保健医「……ちょっと、何しに来たの?」

教師「突然キミの顔が見たくなって……ね」

保健医「学校では極力会わないようにって、言ったはずだけど」

教師「そんなつれない事言うなよー、どうせ暇だろ?」

保健医「ところがどっこい」

教師「おんやぁ?」

保健医「この子が話してた子」

教師「やっぱり」

保健医「あら、面識ありかしら」

教師「一方的にだけどね」

保健医「ま、そういう事だから。保健室ではお静かに」

教師「……」

保健医「あ、こらっ。眼鏡を返しなさい」



30:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/05/14(木) 21:32:43.85 ID:kzo5KLS2o

先輩「ふぅ……ふぅ……」

「ハァーッ……ハァーッ……」

先輩(マネージャーさん、大丈夫だったかな?)

「……そのまま付いていてやればよかったと言っただろ」

先輩「あれ、声に出てた?」

「顔見りゃ分かる。まぁ、隠す気も無かったんだろうがな」

先輩「むむむ」

「心ここにあらずな奴と練習しても仕方がない。今日はもう帰れ」

先輩「……ありがと、主将」

「マネージャーの事は私も心配だったからな」

先輩(帰ってないといいけど……いや、無事なら帰ってた方がいいのかな?複雑)

「……」



31:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/05/14(木) 21:40:10.33 ID:kzo5KLS2o

先輩「……ん?」

『早く返してください。目、かなり悪いんですから』

『ほんとだ、視界がブレッブレ』

先輩(この声、保健の先生……と、誰だろ?)

『なんで掛けるんですか』

『眼鏡ありもいいけど……無い方が色々と楽だし、この際コンタクトにしなよ』

先輩(取り込み中だと悪いな、どうしよう)

『別に不便を感じた事はありませんが』

『こういう時に、不便じゃん』

先輩(あ、静かになった。今がチャンスかな)

先輩「お取込み中すいません、先程ここへ来た……」



32:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/05/14(木) 21:45:31.53 ID:kzo5KLS2o

保健医「……はぁ……はぁ」

先輩「……先生?」

保健医「ん、えぇ。覚えてるわよ」

先輩「具合が悪いんですか?真っ赤ですよ」

保健医「っ!」

先輩(聞いちゃいけない事だったのかな……)

保健医「だ、大丈夫よ。心配しないで」

先輩「ですか……」

保健医「そ、それでマネージャーちゃんなんだけどね」

先輩(そうだ、それが本題だった)

保健医「打ち所は悪くなかったと思うんだけれど、まだ目を覚まさないの」

先輩「……」

保健医「心労とか疲労が重なっただけだと思うから、そんなに心配そうな顔しなくても大丈夫よ」

先輩「そうですか、よかった……」



33:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/05/14(木) 22:03:08.09 ID:kzo5KLS2o

保健医「もう少し様子を見て、それでも目が覚めなかったら保護者の方へ連絡しようと思っていたのだけれど……」

先輩「……あの」

保健医「?」

先輩「マネージャーさんの目が覚めるまで、付いてていいですか?」

保健医「……」

先輩「……」

保健医(知ってか知らずか、気になるところだけれど)

保健医「下校時間までしか、約束できないけれど」

先輩「……はい」

保健医(……)

保健医(脈あり、かも?)



34:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/05/14(木) 22:09:29.81 ID:kzo5KLS2o

先輩「……」

女生徒「……すー……すー……」

『先輩、待ってくださーいっ』

『あはは、追いついてごらーん』

『待ってくださいってばー』

『あはは……』

『ちょっ、せんぱ……ほんとに、まっって……』

『うふふ……』

『げほっ、ごほっ……せんぱ……ぃ』

女生徒「……うーん……むむむ……」

先輩(うなされてる……ほんとに大丈夫かな、マネージャさん)

先輩(……)

先輩「……ぎゅぅ」

先輩(マネージャーさんの手、冷たいな)



37:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/05/15(金) 17:29:43.63 ID:QR5x6Cvvo

『はぁ……ひぃ……』

『ひぇんぱい……やっと、ふかまへた……』

女生徒「……ん」

先輩「あ」

女生徒(あれ、ここは……?)

先輩「ここは保健室。マネージャーさん、ボールに当たって運ばれてきたんだよ」

女生徒「せ、先輩っ!?」

先輩「ん、なに?」

女生徒(これも、夢?こんなに近くに先輩が……)

女生徒「……!」

先輩「どしたの?って、そっか。ごめんごめん、勝手に握っちゃってた」

女生徒(あっ……ぅ)

女生徒(先輩の手って、凄くあったかいんだ……)



38:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/05/15(金) 17:45:33.58 ID:QR5x6Cvvo

先輩「先生、マネージャーさん起きました」

保健医「あら、そう?そろそろ保護者の方に連絡しようと思っていたのだけれど……」

女生徒「あ……多分、お母さんはまだ家にいないと思います」

保健医「お父さんは?」

女生徒「……いません」

保健医「……知らなかったわ、ごめんなさい」

女生徒「いえ、先生のせいじゃないですので」

保健医「でも、そうなると少し心配ね。外傷はないけれど、まだ何があるか分からないし……」

保健医(車で来てる常勤の先生、まだいたかしら?)

保健医(まぁ、最悪の場合は……)



39:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/05/15(金) 17:53:06.65 ID:QR5x6Cvvo

先輩「ねぇ、マネージャーさん」

女生徒「は、はい。なんですか?先輩」

先輩「マネージャーさんの家って、どの辺り?」

女生徒「えっと、駅前の……」

先輩「よかった、通り道」

女生徒「……え?」

先輩「ということで、先生」

保健医「あなたはそれで平気?歩けそう?」

女生徒(せ、先輩と二人……ごく)

女生徒「だ、大丈夫だと思います」

保健医(……別の意味で大丈夫じゃなさそうな気がするけれど)

保健医「なら一応、私の連絡先を教えておくわね。何か緊急の事があったら連絡して」

先輩「承りました」

先輩「それじゃ、行こっか」

女生徒「は、はいっ」



40:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/05/15(金) 18:02:11.22 ID:QR5x6Cvvo

保健医(うーん、少し心配)

「ふんぐっ!」

保健医「うわっと……もう、部屋が埃っぽくなっちゃうじゃない」

教師「なら掃除用具入れ何かに突っ込むなよ」

保健医「眼鏡まで埃まみれ……」

教師「聞けよ」

保健医「はいはい、ごめんなさいごめんなさい」

教師「誠意が感じられないな」

保健医「込めてないもの」

教師「では強制的にいただこう」

保健医「強制的に取られるぐらいなら」

教師「んむっ……ちゅ……れるぅ……」

保健医「……」

教師「……」

保健医「……舌は反則じゃないですか」

教師「とか言って本当は?」

保健医「……」

教師「へぶっ」

保健医「続きは帰ってからにしてください」

教師「おー、お誘い?」

保健医「……バカ」



43:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/05/16(土) 00:57:33.18 ID:sX6BSEn5o

先輩「……」

女生徒「……」

女生徒(せ、先輩と二人で並んで歩くなんて……)

先輩「ねぇ、マネージャーさん」

女生徒(たまにはボールに当たるのもいいかも……)

先輩「マネージャーさん?」

女生徒「ひゃ、ひゃいっ!?」

先輩「わっ、ビックリした。次、どっち?」

女生徒「あ、そこを右です」

先輩「りょーかいっと」

女生徒(うぅ……先輩に変な子だと思われてないかな)



44:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/05/16(土) 01:08:19.72 ID:sX6BSEn5o

先輩「大丈夫?頭クラクラしたり、してない?」

女生徒「あ、はい。平気です」

先輩「辛かったら遠慮せず言ってね?」

女生徒「はい……」

女生徒(先輩、優しいなぁ)

女生徒(誰にでもこんなに、優しいのかなぁ)

先輩「あっ、マネージャーさんっ」

女生徒「へっ?」

女生徒(先輩の手が、また……)

先輩「信号、赤だよ」

女生徒「あ……す、すいません」



45:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/05/16(土) 01:17:17.26 ID:sX6BSEn5o

先輩「次はどっち?」

女生徒「そこの角を、そっちに……」

先輩「ん、こっちだね」

女生徒「……」

先輩「ー♪」

女生徒(先輩、気付いてないのかな)

先輩「やっぱり、まだ辛い?」

女生徒「?」

先輩「さっきもフラついてたし、今も顔が赤いよ」

女生徒「だ、だいじょうぶですっ」

女生徒(多分先輩が手を、握ったままだからです……なんて、言えない)



46:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/05/16(土) 01:38:52.33 ID:sX6BSEn5o

女生徒「あ」

先輩「ん?」

女生徒「ここです、ここが私の家です」

先輩「んー、何階?」

女生徒「4階です」

先輩「心配だし、最後まで着いていくよ」

女生徒(まだ手を繋いだままですから必然的にそうなりますよね)

先輩「よっ、ほっ」

女生徒(……この階段を登り終えたら、先輩とはお別れ……)

女生徒(先輩がここまでしてくれるのは、私が部活のマネージャーだから?)

先輩「あの」

女生徒(それとも、それとも……)

先輩「マネージャーさん、もう4階だよ」

女生徒(なっ、あっという間……ここの階段もっと長いはずなのにっ)



51:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/05/19(火) 20:33:49.50 ID:3JvoiQrho

先輩「あ」

女生徒「?」

先輩「気付かないうちに勝手に手を繋いじゃってた、ごめんごめん」

女生徒(あっ……)

先輩「……んっ?」

女生徒「……」

先輩「どう、したの?」

女生徒(と、咄嗟に握り返してしまった……)

先輩「……」

女生徒(でもなんでだろう、ここで先輩を離したらダメ、そんな気がする)



52:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/05/19(火) 20:53:44.19 ID:3JvoiQrho

先輩「少し痛いよ、マネージャーさん」

女生徒「っ……す、すいませんっ!」

女生徒(あ、あっさり離してしまった……)

先輩「……」

女生徒(き、気まずい……何か、何か話さなきゃ……)

先輩「部屋、電気が付いていないけれど。まだ家の人帰って来てないのかな?」

女生徒「多分、もう少しで帰ってくるとは思いますが……」

先輩「となると、ここで別れてしまったらキミは一人になっちゃうわけね」

女生徒「……そう、なりますね」

先輩「よし、それなら……お母さんが帰ってくる間だけでも、一緒にいてあげようかな?」

女生徒「へ?あ、えと……」

先輩「あ、ありがた迷惑かな?だったら……」

女生徒「ぜんっぜんそんな事ないですっ!」



53:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/05/19(火) 21:02:18.07 ID:3JvoiQrho

女生徒(……ドキドキ)

先輩「あ、あはは……心配しすぎかな?困らせるつもりはなかったんだけど」

先輩「もう少しで帰ってくるなら、やっぱりボクは帰ったほうが……」

女生徒「……いえ、こちらからお願いします」

先輩「……」

女生徒「居てください、先輩」

女生徒(今度は絶対、離しません……)

先輩「おじゃま、します」

女生徒「狭くてすいません」

先輩「狭いかな?ボクの家は一軒家だけど、兄妹が多いからここの方がむしろ広く感じるよ」

女生徒(先輩、兄弟いたんだ……よく考えると、先輩の事全然知らないな……)



54:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/05/19(火) 21:29:18.03 ID:3JvoiQrho

先輩「そこ、座っていいかな?」

女生徒「あっ、はい。どうぞ」

先輩「それじゃ、遠慮なく……ぽふんっと」

女生徒(先輩が、私のベットに腰掛けている……)

女生徒(さっきから、話が旨い方向に進みすぎている気が……)

先輩「……きょろ、きょろ」

女生徒(もしかしてこれは、ボールで頭を打った時点から全て夢なのでは……)

先輩「マネージャーさん」

女生徒「は、はひっ!?」

先輩「なんで自分の部屋なのに、立ったままなの?」

女生徒「え?いや、その……」

先輩「ほら、座った座った。って、ボクが言うのは変かな?」

女生徒「いや、そんなこと……」

女生徒(せ、先輩の隣……)

女生徒(夢なら夢で、もういいや)

先輩「??」



57:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/05/21(木) 23:10:38.50 ID:re4ZBlQ/o

先輩(あ、そういえば。遅くなるかもって連絡するの忘れてたな)

女生徒「……」

先輩(ま、メールでいっか)

先輩「……めるめる」

女生徒(こうして近くでまじまじと見れた事なんて無かったけど)

女生徒(やっぱり素敵だなぁ、先輩……)

先輩「……?」

女生徒(ぽけー……)

先輩「そ、そんなにじっと見つめられると、少し照れちゃうな」

女生徒(ずきゅーんっ)



58:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/05/21(木) 23:17:10.02 ID:re4ZBlQ/o

女生徒(ゆ、夢……これは夢なんだ……)

女生徒(夢ならきっと、なにしたって……)

先輩「えっ」

女生徒(このまま押し倒したって、勢いでそのまま告白したって……)

先輩「ちょ、ちょっと……ぐ、ぬぬ」

女生徒「むむむ……ぅ」

女生徒(つ、強い……っ)

先輩(か、軽い……?本気じゃない、のかな)



59:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/05/21(木) 23:33:24.65 ID:re4ZBlQ/o

女生徒「はぁ……はぁ……」

先輩「と、とりあえず落ち着こう?」

女生徒(夢のはずなのに、先輩が強い……)

先輩(この隙にボクも落ち着いておこう……顔が真っ赤なの、バレちゃったかな……?)

女生徒(もしかしてこれって……夢じゃ、ない……?)

先輩(あ、なんかそれどころじゃなさそう)

女生徒(あわわわわわ……)

先輩(今のって、やっぱり……だとしたら、受け止めずに身を任せた方がよかったのかな)



61:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/05/22(金) 00:17:15.62 ID:jbkmTfXro

女生徒「あ、あの、先輩……い、今のは、その……」

先輩(真っ赤になっちゃってる、当たり前か)

女生徒「ち、違うんです。そんなつもりじゃ、全然……」

先輩(……なんて答えるのが、正解だろうか)

女生徒(ぜ、絶対変な娘だと思われた……)

女生徒「……っ」

先輩「……ぎゅぅ」

女生徒「しぇん、ぱい……」

先輩(こうすると弟達は大抵落ち着くんだけれど)

女生徒「……」

先輩(弟達と同レベルに扱うのは、少し失礼かな……)



62:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/05/22(金) 00:34:36.97 ID:jbkmTfXro

女生徒(先輩の胸、あったかい……)

先輩(マネージャーさん、柔らかい……少し、羨ましいな)

女生徒「……」

先輩「……」

女生徒「あ、あの……」

「ただいまー」

女生徒「……っ!!」

先輩「っ……」

先輩「……お母さん、帰ってきたみたいだね。ボクはお役御免かな」

女生徒「み、みたいですね」

先輩「ボクがここにいる理由、説明してから帰る事にするよ」

女生徒「……は、はひ……」

女生徒(……まだ、ドキドキしてる……)



63:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/05/22(金) 00:40:11.10 ID:jbkmTfXro

「あら、あなたは?」

先輩「実は、かくかくしかじかで……」

「まぁ、そんなことが。あの子ったら、いつもぼんやりしてるから……」

先輩「そういうわけで、ボクはもう帰ります」

「なんのもてなしも出来なくてごめんなさいね。あの子に今度お礼させるわ」

先輩「……いえ、お構いなく」

先輩(もう十分、頂きましたので)

「もうあんな遠くに……」

(顔が真っ赤だったけど、あの子も体調悪かったのかしら)

「だとしたら尚更お礼が必要ね」



68:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/05/23(土) 22:25:51.64 ID:PbmaeB7+o

保健医「……んぁ」

保健医(……暗っ、完全に寝ちゃってたなこれ)

保健医(今、何時だろ……?)

保健医「……じー……ぐし、ぐし」

保健医(ダメ、全然見えない。眼鏡眼鏡……)

保健医「……ない」

保健医(どこやったんだっけ、えーと……)



69:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/05/23(土) 22:28:31.81 ID:PbmaeB7+o

保健医『乱暴に扱わないでね、割れたりしたら大変』

教師『その時はコンタクトにすればいいじゃん』

保健医『簡単に考えてるみたいだけど、度を合わせたり結構面倒なのよ』

教師『……むー』

保健医『それじゃ、先にシャワー浴びるわね』

教師『……にやり』

保健医『おまたせ……って、あれ?眼鏡は?』

教師『では後にシャワーいただきますっと』

保健医『あ、ちょっと!答えてからにしなさいっ!』

教師『いやん、えっちぃ』

保健医『くだらない事言ってないで……っ』

教師『いいじゃん、する時邪魔なだけなんだし』

保健医『ちょっと、服が濡れちゃう……』

教師『んーっ』

保健医『……んっ……』



70:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/05/23(土) 22:38:51.36 ID:PbmaeB7+o

保健医(……あの後結局うやむやのままだったっけ)

教師「くかーっ……くかーっ……」

保健医「……うらっ」

教師「んっ……ぁ……」

保健医(漫画とかで寝てる間に色々するシチュエーションとかあるけど)

保健医(ああいうのって本当に起きないものなのかしら)

保健医「……もみもみ」

教師「あふっ……ぅ」

保健医「ハッ」

保健医(こんなことしてる場合じゃない、早く探さないと……)



71:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/05/23(土) 22:57:24.69 ID:PbmaeB7+o

保健医(めぼしい所は漁ってみたけど、結局見つからなかった)

保健医(叩き起こして聞き出してもいいんだけれど……)

教師「すーっ……すーっ……」

保健医(寝顔をまじまじと見てると、起こしづらくなってしまった)

保健医(コンタクト、かぁ。あんまり考えた事なかったなぁ、そう言えば)

保健医(学生の頃からずっと眼鏡だったし、今さら感が凄い気がする)


『キミ、いっつも眼鏡だよね。コンタクトとかにしないの?』

『……私みたいなブスは……眼鏡の方が、都合いいんです……』

『んー……?ていっ』

『あっ、わっ、ちょっ……』

『うわー、視界がぐにゃぐにゃだ』

『度がかなり高いですから……その、返してください……』

『どこにいるんだー、早く取ってー』

『……?今、とりま……っ』



72:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/05/23(土) 23:04:47.28 ID:PbmaeB7+o

保健医(昔から変わらないな、この人は)

教師「……」

保健医「全く、私みたいな可愛くない女のどこが気に入ったんですかねぇ」

教師「そりゃ、全部ですよ全部」

保健医「……」

教師「……ニヨニヨ」

保健医「いつから起きてました?」

教師「そりゃもう、もみもみの辺りから……」

保健医(やっぱり漫画は漫画か)



73:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/05/23(土) 23:07:18.88 ID:PbmaeB7+o

保健医「眼鏡、どこに隠したんですか」

教師「照れ隠ししちゃって、可愛いなぁ」

保健医「は・や・く!」

教師「仕方ないなぁ、それじゃ……目、瞑って?」

保健医「……何故です?」

教師「しないと返してあげない」

保健医「……」

保健医(こういう時、目を瞑ったら……そうはいかない)

教師「……?」

教師「んむーっ」

保健医「ちゅ……ん、ぺろ……っ」

教師「……ちゅぱ……はぁっ」

教師「えっちだなぁ、キミは。待ちきれなかったのかね」

保健医「えっ、あっ、ちょっと……」


保健医「……こんなはずでは」

教師「つやつや」



85:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/05/29(金) 10:16:27.61 ID:0mVv4az3o

保健医「……くぁ」

保健医(結局あの後、流されるままに何回もしたせいで体が重い……)

保健医「……ふわーぁ」

保健医(いつまでもこんな調子じゃいけないわね、次こそはバシッと……)

「失礼します」

保健医「あら、いらっしゃい。って、あなたは……」

先輩「その節はどうも、お世話になりました」

保健医「マネージャーちゃんに続いて、今度はあなたが?」

先輩「いえ、今日は別件で相談がありまして」

保健医「……?」

保健医(とりあえず、寝惚けた頭で相談事を聞いちゃダメね)

保健医「それじゃ、そこに座って」

先輩「はい、ありがとうございます」

保健医「コーヒー、あなたも飲む?」

先輩「……砂糖、ありますか?」

保健医「えぇ、クリープもあるわよ」

先輩「なら……両方たっぷり、頂いてもいいですか?」

保健医(あら、かわいい)



86:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/05/29(金) 10:47:49.58 ID:0mVv4az3o

保健医「……んくっ」

先輩「……ずぞぞーっ」

先輩「……」

保健医「好きなタイミングで話していいからね」

先輩「あ……では、遠慮なく」

先輩「実はボクには……前から気になっている人がいまして」

保健医(……あら)

先輩「先日、その気になっている人から猛烈なアプローチを受けてしまってですね」

先輩「でも、あまりにも突然の事過ぎて……その、突っぱねてしまって……」

先輩「そのせいでその人は、深く傷付いてしまったんじゃないかと……」

保健医(あらあら)



87:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/05/29(金) 10:52:50.54 ID:0mVv4az3o

保健医(お相手はあの子、なのかしら?奥手そうに見えたから少し意外だけれど)

保健医(一応、聞いておこうかしら)

保健医「その人とどういう関係なのか、聞いてもいいかしら?」

先輩「……部の、マネージャーの子です」

保健医(やっぱり。両想いでよかったわね、マネージャーちゃん……なんて言ってる場合じゃなさそうだわ)

保健医「それで、今日のマネージャーちゃんの様子、どうだったの?」

先輩「それが、学校には来ていたらしいんですが……体調不良で早退したと、顧問の先生が仰ってました」

保健医「なるほど、ね」

保健医(学校に来てたってことは、本当は先輩ちゃんと会って話がしたかったんでしょね)

保健医(でも、放課後が近づくにつれて怖くなって……かな)

『先輩、好きです……大好きなんですっ!』

保健医(奥手に見えて、か)



88:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/05/29(金) 10:59:47.77 ID:0mVv4az3o

先輩「先生、ボクどうしたらいいんでしょうか?」

保健医「そうねぇ……別にマネージャーちゃんの事が嫌いになったわけじゃないんでしょう?」

先輩「嫌いになるわけありませんっ!……です」

保健医(凄い前のめり……赤くなっちゃって、そんな表情も出来たのね)

保健医「なら、今度はあなたからアプローチしてみたら?」

保健医「きっとその子は今、ものすごく不安になってると思うの。あなたに嫌われてしまったんじゃないか、って」

保健医「あなたの方から好きだなんて、伝えてないんでしょう?」

先輩「……はい」

保健医「なら、あなたの方から言ってあげて。それできっとうまく行くわ」



89:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/05/29(金) 11:05:38.68 ID:0mVv4az3o

先輩「……ずぞぞ」

保健医「おかわり、いる?」

先輩「いえ、もう平気です」

先輩「……先生」

保健医「ん?」

先輩「相談に乗っていただいて、ありがとうございます」

保健医「いえいえ、こんな私でよければ」

先輩「ありがとうございました、失礼しますっ」

保健医「……んく」


教師「どこかで聞いた事ある話だったねぇ」

保健医「裏口から入って来ないでください」

教師「えー、こっちのルートの方が職員室に近いんだもん」

保健医「ほんの少しの差じゃないですか」

教師「猛烈なアプローチだってさ、羨ましいねぇ」

保健医「にやにやしないでください」

教師「顔真っ赤」

保健医「うるさい」

教師「かーわいっ」

保健医「あっ……」

保健医(また流されて……)

教師「んーっ……」

保健医(……バシッと言うのは、また今度でいいや)



93:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/05/30(土) 19:03:54.28 ID:l4Gk32eBo

女生徒「んー……むー……」

女生徒(……結局、先輩に会わずに帰っちゃった)

女生徒(でも、会っても何を言えばいいのか、分かんないし……)

女生徒(……)

女生徒(……お母さんが帰ってくるまで、寝ちゃおうかな)

女生徒(……)

女生徒(……うと、うと)



94:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/05/30(土) 19:45:49.71 ID:l4Gk32eBo

「キャー、頑張れーっ!」

女生徒『……がんばれーっ』

女生徒(なんで体育祭なんてあるんだろう)

女生徒(運動苦手な人からすれば、面倒事以外のなにものでもないのに)

「あーっ、もうっ!先輩達、手加減してよぉっ!」

女生徒(……和さがしいなぁ)

女生徒『……!』

女生徒「……ねぇ」

「ん?」

女生徒「あの先輩、バスケ部の人?」

「そう、バスケ部。こっちにもバスケ部の人いるんだけど、先輩が相手じゃね……」

女生徒(バスケ部の先輩……か)

先輩「……ん」

「どうした、よそ見してると危ないぞ」

先輩「いや、ね。なんだか視線を感じたような?」

「そりゃ、みんな見てるだろ」

先輩「そういうのじゃなくてですね……」

女生徒(……かっこ、いい)



95:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/05/30(土) 19:54:23.02 ID:l4Gk32eBo

女生徒「……むにゃ」

女生徒「……」

女生徒(なんで今さら、先輩と出会った時の事を夢に……)

女生徒「……水、飲も」

ピンポーン

女生徒「……ん」

女生徒(お母さん、帰ってきたのかな?)

女生徒「おかえりー……」

先輩「はい、ただいま」

女生徒「……」

先輩「……あは、は」



96:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/05/30(土) 20:05:48.58 ID:l4Gk32eBo

女生徒「……っ」

先輩「あう」

先輩(閉め出されちゃった)

女生徒(な、なんで先輩が……っ!?)

先輩(やっぱりいきなりはマズかったかなぁ)

女生徒(こんなダサいパジャマ、先輩に見られるなんて……)

先輩(イチゴ柄、似合ってたなぁ)

女生徒「……うぅ」

先輩(むー)



97:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/05/30(土) 20:15:55.06 ID:l4Gk32eBo

「あら?」

先輩「あ、どうも」

「何で、そこで立ち呆けてるのかしら」

先輩「それが、内側から鍵を掛けられてしまったようで」

「??」

「あの子、中にいるの?」

先輩「はい、一瞬だけ会えました」

「もう、何をしてるのかしらあの子は」

女生徒(今のうちに着替えて……いや、もう帰っちゃったかな……)

「ただいまー」

女生徒「あ、お母さ……っ」

「先輩さんを閉め出して、何を考えてるのあなたは」

女生徒「……っ」

「あっ、こらっ!ごめんなさいね、あの子ったら……昨日から少し様子が変なの」

先輩「……」

先輩「少し、お邪魔してもいいですか?」

「始めからお邪魔してもらうつもりだったけれど、そんなつもりなかった?」

先輩「ありがとうございます」

「もしよかったら、あの子を部屋から連れ出してもらえないかしら。私が言ってもあの状態じゃ聞いてくれなさそうだし

先輩「……善処してみます」



101:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/06/03(水) 21:53:50.63 ID:qt9/b9N3o

先輩(善処するとは言ったものの……当事者のボクにどこまで出来るやら)

先輩(ここがマネージャーさんの部屋、か)

先輩「マネージャーさん、開けていいかな?」

先輩「……」

先輩(返事はなし、か……)

先輩(でも、ここで立ち止まってちゃ……ボクも嫌だし、マネージャーさんも、きっと)

先輩「入る、ね」

先輩(……あれ?いない……?)

先輩「……む」

先輩(布団が膨らんでる……なんてベタな)



102:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/06/03(水) 22:05:21.19 ID:qt9/b9N3o

先輩「勝手に座らせてもらうね、マネージャーさん」

先輩「……んしょ」

女生徒「……」

先輩「……好きなタイミングで、話し始めていいからね」

女生徒「……先輩」

先輩「ん?」

女生徒「……なんで、ウチに来てくれたんですか?」

先輩「なんでって……」

女生徒「変、ですよね。あんなことして……」

先輩「……」

女生徒「……でも、でも」

先輩(あ、顔を出してくれた。亀みたいだ)

女生徒「……それが先輩の優しさだったとしても、嬉しかったです」



103:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/06/03(水) 22:18:12.30 ID:qt9/b9N3o

先輩(……後輩にここまで言わせて)

女生徒「……ぐす」

先輩(情けない先輩だな、ボクは)

女生徒「……せん、ぱい?」

先輩「もしも、マネージャーさんが変だとしたら」

女生徒「え、ちょ、ちょっと……」

先輩「ボクも相当変なんだね、きっと」

女生徒(顎に、頬に、先輩の手が……っ!)



104:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/06/03(水) 22:26:41.65 ID:qt9/b9N3o

先輩「似た者同士なら、きっとお似合いだと思うんだ」

女生徒「あ、あわわ……」

女生徒(でも、私はこれに似た事を先輩にしちゃったわけで……あの反応は当たり前の事だったんだ)

先輩「一つだけ、勘違いしないで欲しいのは」

先輩「優しさとか、同情とか……そういう感情で、ボクはここまでしたりしない」

女生徒「それは、その……」

先輩「そっか、言わなきゃ分からないよね。そのせいでややこしくなっちゃったんだもん、ちゃんと言うよ」

先輩「キミがボクにとって、特別な人だって事」

女生徒「……っ」

先輩「顔、真っ赤」

女生徒「……先輩だって」

先輩「だろうね、熱いもの」

女生徒(先輩、意外とまつ毛長い……)

先輩「……」

女生徒「……せん、ぱい……っ」



105:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/06/03(水) 22:28:13.76 ID:qt9/b9N3o

「ご飯とっくに出来てるよ、何してんの?真っ暗な部屋で」


先輩「……イエ、ナンデモナイデス」

女生徒(……お母さんの、ばかぁっ!!)



110:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/06/05(金) 22:06:12.28 ID:Yct5SGWjo

「もう少しゆっくりしていってもよかったのよ?よければ、夕飯だって」

先輩「すいません、親も用意してくれてると思うので……」

先輩(それにもうお腹いっぱいです……なんて)

「そうね、それじゃ今度はキチンと誘われた時にね」

女生徒「ちょ、ちょっと」

先輩「……そう、ですね」

女生徒「っ!?」

先輩「それじゃ、ボクはこれで」

女生徒「先輩」

先輩「ん?」

女生徒「……ま、また明日」

先輩「うん、また明日」



111:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/06/05(金) 22:32:38.04 ID:Yct5SGWjo

女生徒「……ごちそうさま」

「あら、もういいの」

女生徒「うん、少し食欲が……」

「まだ調子悪い?薬、飲んどく?」

女生徒「う、うぅん。そこまでは」

「あらそう……」

女生徒「……ふー」

女生徒(さっきまで先輩が、ここに……)

女生徒「……」

女生徒「んーぅー……」

女生徒



112:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/06/05(金) 22:52:38.36 ID:Yct5SGWjo

女生徒(さっきのアレ、お母さん見ちゃったかな)

女生徒(見られちゃってたら……見られちゃってたら、どうしたらいいんだろう)

女生徒(……どう説明したら、いいんだろう)

女生徒(……せん、ぱい……)

女生徒「……ぐぅ」


先輩「ただいまー」

「おかえりー」

「おねえちゃん、おっそーい。一緒にゲームするって約束ー」

先輩「はいはい、ごめんごめん」

「……お姉ちゃん、調子悪い?」

先輩「ん?」

「顔、赤い」

先輩「っ」

「……?」

先輩「なんでもない、平気だよ」

「……そう?」

先輩「さぁ、ゲームだゲーム」



113:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/06/05(金) 23:11:11.66 ID:Yct5SGWjo

教師「……んーっ」

保健医「ていっ」

教師「いてっ」

保健医「火を使ってるときに冗談はやめて」

教師「冗談じゃないのに」

保健医「学校で散々したでしょ?」

教師「家と学校は別腹別腹」

保健医「どっちがメイン腹なの?」

教師「んー……甲乙つけがたい」

保健医(全く、いつ誰かに見つかるか分からずにひやひやしてるこっちの気も知らないで……)

教師「??」

保健医(……惚れた弱み、かしら)

保健医「出来たわ、食べましょう」

教師「ほいほい」



114:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/06/05(金) 23:24:53.53 ID:Yct5SGWjo

教師「……すー」

保健医(食べたらすぐ寝ちゃって……ほんと、子供みたい。変わらないな、この人は)

保健医(それに比べて私は、学生の頃から大分変わっちゃったなぁ)

保健医(先輩に嫌われちゃったら、なんて考えたこともあったっけ)

保健医(今じゃそういう心配、全くしなくなったけど)

保健医(……そんなところを、好きになっちゃったのかな)

保健医「……」

保健医「……ん」

教師「がばーっ」

保健医「ん、んんーっ!?」

教師「……じゅる……ぺろっ」

保健医「……」

教師「……」

保健医「キスしたいならさせてあげるから、こういうのは……んぅっ」

教師「んーっ……」

保健医(ね、寝惚けてるなこれ……もういいや、どうにでもなれだ)



117:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/06/06(土) 20:28:49.27 ID:JC3uTFO/o

先輩(マネージャーさんに会う前に、先生に会ってお礼を言っておこう)

先輩(今回の事が上手くいったのは、先生が親身に相談に乗ってくれたおかげだし)

先輩(……ん?)

先輩「マネージャー、さん?」

女生徒「っ!」

女生徒「しぇ、しぇんぱい……」

先輩「あはは、そんなにガチガチになられると……」

先輩「こっちも赤く、なっちゃいそうだ」

女生徒「す、すいません」

先輩「おっと、ごめんごめん。謝らせたかったわけじゃないんだ」



118:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/06/06(土) 20:39:21.07 ID:JC3uTFO/o

先輩「それで、マネージャーさんはなんでこんな所に?」

女生徒「そ、それを言うなら先輩も……」

先輩「ボクは、先生に用があって」

女生徒「先輩もですか?」

先輩「……」

女生徒「……」

先輩(もしかして)

女生徒(まさか)


先輩「同じ相談を同じ人にしてたとは……ボク達似たもの同士なのかもね」

女生徒「……かも、しれませんね」

先輩「ま、これからする報告の内容的に……」

女生徒「あっ……」

先輩「二人で来て正解、だったかな?」

女生徒(先輩の手、少しひんやりしてて……)

先輩(誰も見てないよね……?)

先輩「失礼します」
女生徒「失礼します」



119:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/06/06(土) 20:54:33.94 ID:JC3uTFO/o

保健医「もう、昨日今日でなんでそこまで盛れるのよ!」

教師「昨日は昨日、今日は今日だから……」

保健医「もう……」

教師「……」

保健医「どうしたの、急にやめ……っ」


先輩「……えーっと」

女生徒(く、くんずほぐれつ……)


保健医「……な、なんの用かしら?二人とも」

教師「いや、流石にそれはムリあるでしょ」

保健医「うるさいっ!誰のせいで……」

先輩「……お邪魔、でしたか?」

女生徒(いつか先輩とも……?はわぁ……)

保健医「……」

保健医「……そこに、座ってもらえるかしら」

先輩「では改めて、失礼します」

女生徒「……ハッ。し、しますっ」



120:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/06/06(土) 21:16:17.86 ID:JC3uTFO/o

保健医(いつかはバレると思ってたけど……結構早かったなぁ)

先輩「先生達は、いつからカップルなんですか?」

教師「私達も、あんたらと同じ」

保健医(

先輩「ってことは……」

教師「実体験を元にしたアドバイスで、うまくいかないわけがないわけだ」

先輩「なるほど……」

保健医「ちょっと」

教師「なんだ、話してる途中に」

保健医「……頭痛くなってきた」

教師「医者の不摂生ってやつか」

保健医「養護教諭は医師免許とは違うって前にも……」

先輩『なんだか、普段と雰囲気が違うね』

女生徒(せ、先輩の吐息が耳に……っ)

女生徒「……はぅぁ」

先輩『マネージャーさん、マネージャーさん?』



121:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/06/06(土) 21:41:51.28 ID:JC3uTFO/o

教師「見せつけてくれちゃってるねぇ、それならばこっちも……」

保健医「しないから!」

教師「バレちゃったもんはしょうがないんだから、今さら取り繕ってもさ」

保健医「そういう問題じゃないでしょ!」

先輩「絶対言いませんから安心してください、先生」

女生徒「わ、私も言いませんっ」

教師「ね?」

保健医「……むー」

教師「ま、同じ秘密の共有者として気楽にいこうや」

保健医(私がおかしいんじゃない、この人がおかしいんだ)



125:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/06/10(水) 17:17:19.56 ID:3fjDlneAo

「今日の練習はここまで!」

「ありがとうございましたーっ」

先輩「……ふぅ」

女生徒「先輩、お疲れ様でした」

先輩「ん、ありがと」

女生徒「それじゃ、私は片付けがありますので」

先輩「……」

「その様子だと、うまくいったみたいだな」

先輩「うん、おかげ様で」

「これで少しはお前の腑抜けも治るといいのだが」

先輩「そんなに腑抜けてた?」

「今も顔がゆるゆるだ」

先輩「おっと、それはいけない」



126:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/06/10(水) 17:48:02.66 ID:3fjDlneAo

先輩「色々とありがとうね」

「何の事だ?私は何かした覚えはないぞ」

先輩「うん……でも、ありがとう」

「……ふん」

先輩「キミはそういう浮いた話、無いの?」

「バカ言え。恋愛なんて面倒なだけだ」

先輩「そうかなぁ」

(……面倒な、だけだ)



127:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/06/10(水) 17:49:11.79 ID:3fjDlneAo

「お前見てたら、そう思った」

先輩「残念、恩返ししたかったのに」

「残念だったな……ん」

先輩「?」

「お邪魔虫は退散するか、じゃあな」

女生徒「先輩……?今のキャプテン、でしたよね。どうしたんですか」

先輩「ちょっと立ち話。待ってる間、暇だったし」

女生徒「え……」

先輩「家が逆方向だから、分かれ道までだけど」

女生徒「……ありがとう、ございます」

先輩「お手をどうぞ」

女生徒「だ、誰かに見られたら……」

先輩「……」

女生徒「……で、では。失礼、します」



128:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/06/10(水) 17:57:34.59 ID:3fjDlneAo

女生徒「……」

先輩「……」

女生徒「あの、先輩」

先輩「ん?」

女生徒「……な、なんでもないです」

先輩「??」

女生徒(せっかく先輩と、歩いてるのに……な、何を話していいか分からない……)

先輩「……」

女生徒(先輩も黙ったまんまだし……ど、どうしよう……)



129:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/06/10(水) 18:48:21.63 ID:3fjDlneAo

先輩「……」

女生徒「……」

女生徒(あぁ、もう分かれ道に……)

先輩「……ぷはっ」

女生徒「……?」

先輩「ごめん、こういう風に並んで歩くの慣れてなくって」

女生徒(……先輩、顔真っ赤)

先輩「楽しくなかったよね、ごめんよ」

女生徒「いえ、そんなことは……」

先輩「……」

女生徒(先輩、そんな難しい顔をしないで……いつもみたいに、笑ってください)

女生徒「せ、先輩の手……」

先輩「……手?」

女生徒「ひんやりしてて、気持ちいいです……」

先輩「……」

女生徒(……へ、変なこと言っちゃったかな)



130:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/06/10(水) 19:05:15.09 ID:3fjDlneAo

先輩「……そんなこと言われたの、初めてかも」

女生徒「……あぅ」

先輩「マネージャーさんの手は、温かいよ」

女生徒「……っ」

女生徒「く、くすぐったいです先輩」

先輩(……今はまだ、このぐらいで)

女生徒(先輩の髪、サラサラだな……)

先輩「んゃ?」

女生徒(あっ、思わず……)

先輩(……このくすぐったい感覚、嫌いじゃないかも……?)



134:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/06/11(木) 20:44:19.78 ID:41jMM3kzo

先輩「……マネージャー、さん」

女生徒「……?」

先輩「そ、そろそろ人が来るといけないし……ね?」

女生徒「……ハッ。す、すいません」

先輩「うぅん、嫌だったわけじゃないから……心配しないで」

女生徒「……」

先輩「じゃあ、また明日」

女生徒「……はい、また明日」



135:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/06/11(木) 21:03:15.95 ID:41jMM3kzo

女生徒(もっとお話し、すればよかったな……)

先輩「マネージャーさーん」

女生徒「……?」

先輩「……ちぅ」

女生徒「……」

女生徒「……っ!?」

先輩「先生達みたいにイチャイチャは、まだ難しいけど」

先輩「ボク、頑張るからっ……それじゃっ」


女生徒「……ぽかん」

女生徒(先輩の唇が触れた部分が、熱い……)

女生徒(……私も頑張ります、先輩)



136:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/06/11(木) 21:19:41.36 ID:41jMM3kzo

教師「くしゅんっ」

教師「……誰かが私の噂をしてるのか?」

保健医「そんな恰好してたら、誰かが噂してなくてもくしゃみぐらい出るわよ」

教師「いやね、初々しい二人を見てたらつい昔を思い出して」

保健医「昔を?」

教師「私達が初めてしたのは……」

保健医「それ以上いけない」

保健医(……昔、か)


『大好きです、先輩』

保健医「大好きですよ、先輩」

教師「へ?」

保健医「……」

教師「今の超可愛かった!もう一回、もう一回!」

保健医「絶対、もう二度と言いません」

教師「ならば……」

保健医「あっ、ちょっと……」


教師『私も大好きだよ、愛しの後輩くん』

保健医『……ばか』

先輩「うぉー、あっちぃ……」後輩「先輩、みっともないです」

1: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/16(水) 13:11:15.12 ID:1gGT5a4+o

先輩「あちぃんだからしょうがないだろ……つかなんでお前はそんな涼しい顔してんだよ」

後輩「私は暑くないですから」

先輩「嘘付け、やせ我慢だろ?」

後輩「…………」

先輩「…………」

先輩「……うりゃ」

後輩「ひゃっ!?」


先輩「だー、悪かった、悪かったから!物騒な物仕舞え!」

後輩「ハーッ……!ハーッ……!」

元スレ
先輩「うぉー、あっちぃ……」後輩「先輩、みっともないです」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1405483865/


 
3: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/16(水) 13:15:27.59 ID:1gGT5a4+o

先輩「ちょこっと触ったぐらいでそんな目くじらたてんでもいいだろ」

後輩「先輩暑苦しいんですよ」

先輩「へーへー、わるぅござんした」

後輩「……私、もう帰ります」

先輩「ん、そうか?じゃあ私も……」

後輩「……なんで付いてくるんですか」

先輩「そりゃ、一人で取り残されても楽しくないしな」

後輩「……私は付いてこられると楽しくないです」

先輩「まぁまぁ、そう言うなってば」




4: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/16(水) 13:25:03.75 ID:1gGT5a4+o

後輩「……付いてこないでくださいよ」

先輩「もー、つれないなぁ」

後輩「……」

先輩「待って!無言で足早にならないで!」

後輩「……」

先輩「駅前のクレープ奢るから!」

後輩「……」ピクッ

後輩「……ダブルはありですか?」

先輩「げ、現金な奴……でも許そう、キミのためなら!」






5: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/16(水) 13:32:00.33 ID:1gGT5a4+o

後輩「……もぐもぐ」

先輩「よりにもよって一番高い奴の組み合わせ……」

後輩「先輩は頼まなくてよかったんですか?」

先輩「あ、あぁ。私は大丈夫だ」

後輩「そうですか、ならこれはいりませんね」

先輩「あー、丁度お腹空いた!今空いた!」





6: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/16(水) 13:38:31.14 ID:1gGT5a4+o

先輩「……ふふっ」

後輩「な、なに笑ってるんですか気持ち悪い」

先輩「いや、そんなにダブルのクレープおいしかったのかなって」

後輩「?」

先輩「鼻にクリームが乗っかってるよ、ほら」

ペロッ

後輩「……っ!」

先輩「うん、やっぱり駅前のクレープのクリームは最高だな……って」

先輩「あんなに勢いよく走っていかなくても……まぁいっか、今日は」


後輩「ふー……ふー……」

後輩「……シャワー、浴びよ」




7: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/16(水) 13:46:41.57 ID:1gGT5a4+o

先輩「おはよーっす」

後輩「……おはようございます」

先輩「どうした、目の下に隈なんか作って」

後輩「……何でもないですよ、何でも」

先輩「あ、おーいっ……行っちゃったよ」

先輩「って、やば!一限水泳じゃん!」


後輩「……」

後輩「……変なの」

後輩(……先輩も、私も)




10: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/16(水) 14:05:07.15 ID:1gGT5a4+o

先輩「うぃーっす……って」

先輩「なんだあいつ、まだ来てないのか」

先輩「……」

ガチャリ

先輩「!」

後輩「……先輩、何してるんですか人の席で」

先輩「い、いや……その、だな」

先輩「せ、席に決まりなんてないだろ!」

後輩「……まぁ、そうですけど」




11: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/16(水) 14:06:32.60 ID:1gGT5a4+o

先輩「……」

後輩「……」


後輩「……あの、先輩」

先輩「ん、なんだ」

後輩「自分がそわそわするなら、席に決まりが無いなんて言い出さないでください」

先輩「ぐぬぬ……」

後輩「席、戻しましょ?」


先輩「後輩がさっきまで座ってた席……!」

後輩「あぁめんどくさい」




18: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/16(水) 15:48:04.26 ID:H3IN1LnUO

先輩「なあー、後輩」

後輩「なんですか」

先輩「本読むのそんなに面白い?」

後輩「んー……」

後輩「少なくとも先輩と話ししてるよりは」

先輩「なっ、そんなことあるわけないだろ!」

後輩「なら、面白いことしてください」

先輩「えっ」

後輩「してください」

先輩「……え、えーと」




20: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/16(水) 15:57:31.52 ID:H3IN1LnUO

先輩「……」

後輩「なんですか、その顔」

先輩「……後輩、なんか最近いじわるー」

後輩「最近、じゃなくて最初から、です」

先輩「嘘つきー、最初はもっと優しかったじゃん」

後輩「……忘れました、そんな頃」

先輩「あ、ちょっと!」





21: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/16(水) 16:11:04.19 ID:H3IN1LnUO

後輩「……なんで付いてくるんですか」

先輩「たまたま帰り道が同じだけじゃない?」

後輩「先輩の家、向こうでしたよね」

先輩「覚えていてくれたのか、光栄だなー」

後輩「……」

先輩「ああ、早足にならないで!」




22: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/16(水) 16:14:59.44 ID:H3IN1LnUO

後輩「……今日は何を奢っていただけるんですか?」

先輩「うぐ、奢る前提……ご、ごめん。今は手持ちがね」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……ドーナツ」

先輩「へ?」

後輩「今日は私がドーナツ奢りますから。それで帰ってください」

先輩「仕方ないなあ、それで手を……だから置いて行かないで!」




23: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/16(水) 16:30:53.16 ID:H3IN1LnUO

先輩「ここのドーナツはやっぱり美味しいなぁ」

後輩「もぐもぐ……」

先輩「よくもまあいつもそんなに食べれるね」

後輩「……あげませんよ?」

先輩「釘を刺さなくても取らないってば」


先輩「たくさん食べてるけら出るとこ出るのかなー」

後輩「……?」

先輩「いや、何でもない」




24: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/16(水) 16:40:24.06 ID:H3IN1LnUO

先輩「それじゃ、また明日」

後輩「はい、また明日です」


後輩「……はぁ」

後輩「あの人、分かっててやってるのかな」

後輩「いや、分かってたら普通は……」


後輩「……とりあえず、シャワーかな」




28: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/16(水) 17:30:26.01 ID:H3IN1LnUO

先輩「お、いたいたー」

後輩「いたいたー……じゃないですよ。今何時だと思ってるんですか?」

後輩「休みの日に呼び出しておいて遅刻は常識疑いますよ」

先輩「そこまで言わなくても……」

後輩「で、今日は一体何の用ですか?」

先輩「ちょっち、ね」

後輩「そのちょっちの中身を聞いているのですが」

先輩「まあまあ、黙って付いてきてよ」

後輩「……」

先輩「お願いします、帰ろうとしないでください」




29: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/16(水) 17:41:05.94 ID:H3IN1LnUO

後輩「新しいアクセサリに変えるんですか?」

先輩「ん?違うよ」

後輩「だったらなんでこのお店に……」

先輩「私が付けるんじゃなくて、ね」

後輩「……なるほど」

後輩「でも、だったらどうして私も?」

先輩「だってこの前言ったじゃん、センス無いって」

後輩「首に掛けてるそれ見せられたら誰だって言いますよ。なんの生き物ですかそれ」

先輩「……さあ?なんだろうこれ」

後輩「……はぁ」





31: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/16(水) 18:33:34.50 ID:K6wV1NmnO

後輩「……あ」

先輩「どうした?」

後輩「これ、可愛いです」

先輩「ペンギンか……うし、これでいいかな」

後輩「いいんですか?私の一存で」

先輩「いーのいーの、店員さーん」


後輩(プレゼント、か……ほんと何やってんだろ、私)

後輩(……)


先輩「買ってきたー……って」

先輩「……まずったなぁ。やっぱこういう店、苦手だったのか」

先輩「機嫌悪くしてないといいけど……」




33: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/16(水) 19:08:06.03 ID:K6wV1NmnO

後輩「……だる」

後輩(……なんか学校、行きたくないな)

後輩「お母さん、今日学校……」


先輩「……おそいな、後輩」

先輩(こりゃ本格的にマズイやつか?)


先輩「……」

先輩「悩んでても仕方ない、か」




34: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/16(水) 19:27:00.26 ID:K6wV1NmnO

後輩(……なんか本当に怠くなってきた)

後輩「……水」

先輩「ほい、水」

後輩「ありがとうございます……」

後輩「……!?」


先輩「よっす、学校休んでたみたいだから様子見にーって」

後輩「な、な……なんでここにいるんですか!?」

先輩「その様子だと仮病だな?悪い奴め」




35: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/16(水) 19:32:35.05 ID:K6wV1NmnO

後輩「ど、どうやって入ったんです?」

先輩「どうって……そりゃ玄関から」

後輩「お母さんまた鍵占め忘れて……」

先輩「今回は助かったけどな、ははは」

後輩「み、見ないでください、こんな格好……」

先輩「寝るときゃみんな大抵そんな感じでしょ」

後輩「か、髪も乱れてますし……」

先輩「クセ毛の私に喧嘩売ってんのか?」


後輩「……」

先輩「……」




36: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/16(水) 19:39:54.70 ID:K6wV1NmnO

先輩「……さて、今日こそ教えてもらおうかね」

後輩「な、何をですか?」

先輩「私をびみょーに避けようとしてる理由」

後輩「……」


後輩「……さ、避けてないです」

先輩「嘘つき」

後輩「嘘じゃないです」

先輩「嘘つくとき、額に汗かくよね」

後輩「えっ!?」


後輩「……嘘、つきましたね」

先輩「おう、これでお互い様」




37: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/16(水) 19:56:15.84 ID:K6wV1NmnO

後輩「……」

先輩「視線逸らすなよ、傷付くじゃん」

後輩「……」

先輩「……むぅ」


先輩「嫌いなら嫌いで構わないんだけど、いきなりだとこっちも心の準備がね」

後輩「……え」

先輩「まあ今思えば、全部こっちの勝手な考えだったのかな?いやよいやよも、って思ってたんだけど」

後輩「あ、えと……」

先輩「家まで押しかけたのは悪かった。これじゃ嫌われても仕方ないかね」

後輩(……分かってなかったんだ)

先輩「それじゃ、さよならだな」

後輩「あ……」



後輩「ま、待ってくださいっ!」




42: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/16(水) 23:38:37.73 ID:1gGT5a4+o

後輩「……」

先輩「……後輩?」

後輩「え、えと……その、違うんです」

後輩「先輩の事嫌いなんかじゃなくて、むしろその……」

後輩「で、でも、こんな事考えてるなんて知られたら引かれちゃわないかって……」

先輩「……」

後輩「……先、輩?」


先輩「……なんだ、そうだったのか」

後輩「え?きゃっ……」

先輩「……もっと早くこうしてよかったわけか」

後輩「へ?ちょっ……」




43: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/16(水) 23:46:11.30 ID:1gGT5a4+o

先輩「……ぷはっ」

後輩「……っ」


先輩「だー、余計蒸し暑くなった!なんでこの部屋冷房付けてないんだ?」

後輩「……」

先輩「……後輩?」

後輩「……いきなりは、酷いです」

先輩「その割にはあまり抵抗がなかったような?」

後輩「抵抗してほしかったですか」

先輩「いや、されてたら本気で泣いてたかも」




44: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/16(水) 23:57:11.10 ID:1gGT5a4+o

後輩「でも……いいんですか?」

先輩「何がよ」

後輩「あのネックレス、あげる相手がいるんですよね?私なんかと……」

先輩「……」

後輩「な、なんですかその顔」

先輩「鈍いとこまでそっくりだな、私達」

後輩「……?」


先輩「本当は明日渡す予定だったんだけどな、はい。誕生日プレゼント」




45: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/16(水) 23:59:02.32 ID:1gGT5a4+o

後輩「……あ、そういえば」

先輩「忘れてたのか?面白い奴」

後輩「先輩に言われたくないです」

先輩「ほら、巻いてあげる」

後輩「……どうも」


先輩「……」

後輩「……ん」


後輩「……また不意打ちですか」

先輩「いやぁ、可愛くてつい」

後輩「みんなの前でやったら張り倒しますよ」

先輩「そうかー、なら」


先輩「ここでたくさんしとかないとな」




46: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/17(木) 00:15:16.77 ID:tpIAEvPlo

先輩「おーっすおはよう」

後輩「……おはようございます」

先輩「どうした、元気ないな」

後輩「……あんなことしておいて、よく平然としてられますね」

先輩「いやー、もう内心はドキドキよ。触ってみる?」

後輩「……遠慮しときます」

先輩「もー待ってってば!冗談だって!」


「あ、何そのネックレス。可愛いー」

後輩「そう?」

「うん、どこで買ったの?」

後輩「んー……」

後輩「……内緒、かな?」

後輩「先輩、タバコやめてください」先輩「えー」

1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/19(水) 20:40:09.57 ID:rJxrxreOo

後輩「えー、じゃないです」

先輩「そんな事言われてもなぁ」

後輩「……また吸ってる」

先輩「ぷはー」

後輩「……」


後輩「私とタバコ、どっちが好きなんですか?」

先輩「どっちも」

後輩「……ぅ」

先輩「ぷはー」



4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/19(水) 20:50:51.51 ID:rJxrxreOo

後輩「と、とにかく!」

後輩「絶対やめてもらいますからね、タバコ」

先輩「……やめなかったら、別れる?」

後輩「えっ」

先輩「……」

後輩「そ、それは……その」

先輩「ぷはー」

後輩「わ、わ……」



5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/19(水) 20:54:12.60 ID:rJxrxreOo

後輩「……ぐすっ」

先輩「泣くなよ、悪かったってば」

先輩「ほら、泣き止めよ……」

後輩「……ん」

後輩「……タバコ臭いです」

先輩「それは仕方ない」

後輩「仕方なくないです!」



8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/19(水) 21:17:57.80 ID:rJxrxreOo

後輩「健康によくないんですよ?」

先輩「知ってるよ」

後輩「……私の健康によくないです」

先輩「あー」

先輩「それ言われるとちょっとなぁ」

後輩「なら……」

先輩「後輩がいないとこで吸うわ、これからは」

後輩「……出来れば吸う事自体をやめて欲しいんですが」

後輩「まぁ、最初はそのぐらいで勘弁してあげます」

先輩「助かるよ」



9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/19(水) 21:22:37.81 ID:rJxrxreOo

「先輩、今度助っ人お願いできますか?」

先輩「おー、任せろー」

「先輩ちゃん、ゴメンね手伝わせちゃって」

先輩「平気ッス」


後輩「……」

後輩「……タバコ吸ってるのに、なんでそんなに体力あるんですか」

先輩「タバコ関係あるか?それ」

後輩「一般論的にはあると思いますけど」

先輩「ならお前も吸ってみる?もしかしたら……」

後輩「ないです」

先輩「んー、残念」



12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/19(水) 21:49:04.71 ID:rJxrxreOo

「後輩ちゃん、ここ教えて!」

後輩「ん、そこはね……」

「後輩ちゃんって、先輩さんと仲良かったよな?」

後輩「仲いいっていうか、うーん」

「……これ、渡してもらえないかな」

後輩「これって……


後輩「……」

先輩「今時古風な奴がいたもんだ」

先輩「これ書いたの、どんな奴?」

後輩「へっ?」

先輩「……?」



13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/19(水) 22:07:40.96 ID:rJxrxreOo

先輩「なんか変な事言ったか?」

後輩「え、あ、その……」

後輩「……結構人気のある人です」

先輩「ふーん」

先輩「……」

後輩「先輩」

先輩「あぁ、そうだっ。お前の前じゃ吸わないんだった」

先輩「人気のある人、ねぇ……」

後輩「先輩も人気はあると思いますよ」

先輩「別にいらねーよ、人気なんて」



14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/19(水) 22:12:58.61 ID:rJxrxreOo

先輩「……」

後輩「そわそわして、気になるんですか?」

先輩「お前こそ、さっきから何そわそわしてんだよ」

後輩「それは……先輩がどうするのか、気になって」

先輩「どうするのかって、どうもしねーよ」

後輩「……」

先輩「そわそわしてんのはそれとは関係ない」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……一本だけなら」

先輩「その言葉、待ってました」



15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/19(水) 22:24:15.51 ID:rJxrxreOo

後輩「いいんですか?行かなくて」

先輩「んー……」

後輩「断るにしても、無視はちょっと酷いんじゃ」

先輩「ならお前、行ってよ」

後輩「え、えぇ?」

先輩「冗談だよ。行ってくる」

先輩「ここで無視したら、お前が何か言われるかもしれないしな」

後輩「先輩……」

後輩「ポイ捨てはダメですよ」

先輩「こりゃ手厳しい」



16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/19(水) 22:30:02.17 ID:rJxrxreOo

先輩「ん」

後輩「……あ」

先輩「待ってたのか?」

後輩「まぁ、その。一応気になりますし」

先輩「そっかそっか」

後輩「それで、どうでした?」

先輩「人気ありそーな顔してた」

後輩「そうじゃなくて……」

先輩「分かってて聞くな、アホ」

後輩「……はい」



17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/19(水) 22:34:43.90 ID:rJxrxreOo

先輩「あ、そうだ」

後輩「?」

先輩「今日、お前の家行くから」

後輩「なんですか、藪から棒に……」

先輩「なんかそんな気分なんだ」

先輩「ダメか?」

後輩「ダメ……じゃないですけど」

後輩「うちは禁煙ですよ」

先輩「え、いつから」

後輩「今からです」

先輩「……」

後輩「来るのやめます?」

先輩「究極の選択だな」

後輩「……そこまでですか」



18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/19(水) 22:39:39.53 ID:rJxrxreOo

先輩「そういや結構久しぶりだな、後輩の家」

後輩「そういえばそうですね」

先輩「お腹空いたー」

後輩「すぐ作りますね」

先輩「わーい」

後輩「……」

先輩「ちょ、まだ早いって……わひひ」

後輩「私がキッチンにいる間、タバコは没収です」

先輩「あーん」



19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/19(水) 22:45:01.22 ID:rJxrxreOo

先輩「うめぇうめぇ」

後輩「……もぐ、もぐ」

先輩「なんか、こっちばっか食って悪いな」

後輩「いえ、元からあまり食べる方ではないので」

先輩「ほれ、あーん」

後輩「じ、自分で食べれますからっ」

先輩「……じー」

後輩「えと、その……」

後輩「あ、あーん」

先輩「うし、隙ありっ」

後輩「あっ」



20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/19(水) 22:48:06.06 ID:rJxrxreOo

先輩「にしし、ベランダで吸うから許せ」

後輩「……」

後輩「いいですよ、そこで吸って」

先輩「へ?禁煙じゃなかったの」

後輩「今だけ私の隣は喫煙スペースです」

先輩「それじゃ、遠慮なく」

後輩(……タバコを吸ってる横顔)

先輩「んー、うまい」

後輩(この横顔に引き込まれたんだっけ)

先輩「ジロジロ見られると吸い辛いのだが」

後輩「あっ、す、すいません」



22:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/19(水) 22:52:26.28 ID:rJxrxreOo

後輩「一本でいいんですか?」

先輩「おう、十分補充できた」

先輩「こっから先は吸えないしな」

後輩「……」

後輩「灰の付いた手で眼鏡、触らないでください」

先輩「注文の多い後輩ですこと」

後輩「じ、自分で外しますから」

先輩「ダーメ、お前のワガママ聞いてるんだから、こっちのも聞いてもらう」

後輩「ワガママって……私は正当な主張を」

先輩「だー、もううるせぇ」



23:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/19(水) 22:56:42.41 ID:rJxrxreOo

後輩「……うぇ」

先輩「露骨に嫌な顔すんな」

後輩「吸った後すぐは最悪ですね……」

先輩「すぐ慣れるさ」

後輩「そう言って、今までで慣れてないんだから無理ですよ……」

先輩「なら今すぐ慣れろ」

後輩「ん……」


先輩「またでかくなった?お前」

後輩「……自分じゃよく、分からないです」

先輩「この差は一体」

後輩「……私は小さくても好きですよ」

先輩「フォローになってないからそれ」



24:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/19(水) 22:59:19.68 ID:rJxrxreOo

先輩「……ふーっ」

後輩「外で吸ってください、先輩」

先輩「えー、喫煙スペースじゃなかったのここ」

後輩「さっきまでです」

先輩「ちぇっ」

先輩「窓は開けたままでいい?」

後輩「なんでですか」

先輩「話したいじゃん」

後輩「なら吸わないでくださいよ」

先輩「……一本だけだから、ちょっとだけ待ってな」

後輩「はいはい」



25:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/19(水) 23:03:22.53 ID:rJxrxreOo

先輩「うー、さむ」

後輩「そこまでして吸いたいのはなぜですか」

先輩「なんかもう、習慣と言うかな」

先輩「お前も吸ってみりゃ分かる」

後輩「なら分からなくていいです」

先輩「そうですかい……む」

後輩「どうしました?」

先輩「……今のが最後の一本だった」

後輩「いいことじゃないですか」

先輩「よくねーよ」



28:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/19(水) 23:16:49.37 ID:rJxrxreOo

先輩「んー、口が寂しい」

後輩「コンビニに買いに行きますか?そんなに遠くないはずですけど」

先輩「そのために外出るのもなぁ」

先輩「こういう時後輩が吸っててくれたら助かったんだけどな」

後輩「あり得ない仮定はやめましょうよ」

先輩「まぁいいや、後輩に助けてもらおう」

後輩「へ?」

後輩「んぷっ……」



29:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/19(水) 23:19:57.11 ID:rJxrxreOo

後輩「前から言いたかったんですけど」

先輩「ん?」

後輩「毎回唐突過ぎます」

後輩「こっちにも心の準備ってものがあるんですから」

先輩「じゃあ、するよ。いい?」

後輩「んっ……」

先輩「んー」


後輩「……返答、聞いてないじゃないですか」

先輩「これは失礼」



34:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/21(金) 22:20:14.57 ID:E/pNCPhio

後輩(……先輩、遅いなぁ)

先輩「こうはーい、ちょっとぉ」

後輩「はーい……って」

後輩「なんて格好してるんですか、先輩」

先輩「このシャンプー、いい香りだな。どこで売ってんの?」

後輩「聞いてますか?先輩」

先輩「聞いてるけど、別に今さら恥ずかしがる仲でもないだろ?」

後輩「……そう、かもしれませんが」



35:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/21(金) 22:35:01.22 ID:E/pNCPhio

後輩(……先輩と知り合って、どれぐらい経ったっけ)

後輩「ふぅ……」

後輩(この関係、いつまで続けられるのかな)

後輩(このままずっと……なんて希望観測が過ぎるかな)


後輩「あがりました」

後輩「先輩?寝ちゃってるんですか?」

後輩「……」

後輩「……ん」



36:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/21(金) 22:53:36.05 ID:E/pNCPhio

パシャリ

後輩「……」

後輩「せん、ぱい?」

先輩「眼鏡取ったキス顔は初だな」

後輩「……消してください」

先輩「えー、そうだなぁ」

先輩「その恰好で上目遣いに、先輩お願いしますって言ってくれたら考えようかな」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「服、着ちゃダメですか?」

先輩「うん、ダメ」

後輩「……」



37:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/21(金) 23:01:21.00 ID:E/pNCPhio

後輩「……せ、先輩」

後輩「お、お願いします……」

先輩「……」

後輩「な、なにニヤニヤしてるんですか!」

先輩「いやいや、ご馳走様」

後輩「じゃ、消してください」

先輩「……消さなきゃ、ダメ?」

後輩「上目使いでセクシーポーズしてもダメです」



38:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/21(金) 23:08:32.28 ID:E/pNCPhio

先輩「あぁ、せっかくのレア写真がー」

後輩「約束ですし」

先輩「んー、まぁいっか」

先輩「またいつでも撮れるだろうし、ね」

後輩「……もう二度としませんよ」

先輩「どうだか、ははは」



39:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/21(金) 23:19:57.38 ID:E/pNCPhio

後輩「それじゃ先輩、私は寝ますので」

先輩「なんで床に?」

後輩「ベッドは先輩が使ってください」

先輩「いやいや、それは流石に悪いよ」

後輩「なら先輩が床で寝ますか?」

先輩「んー、硬い床はちょっとなぁ」

後輩「……」



40:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/21(金) 23:21:35.68 ID:E/pNCPhio

先輩「意図は伝わってるよね?」

後輩「……流石に疲れたので、変な事はしないでくださいね」

先輩「善処はしましょうか」

後輩「やっぱりソファーで寝ます」

先輩「分かった分かった、何もしないから!」

後輩「……」

後輩「……一度だけ、信用してみます」

先輩「やったー」


後輩「……」

先輩「ぐがー……」

後輩(完全に寝てる癖に……んっ)

後輩(手癖の悪い人が、全く……)



41:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/21(金) 23:29:17.81 ID:E/pNCPhio

後輩「……ん」

後輩(朝……か)

後輩(あの後、しばらく触られてたせいで、やけに怠い)

後輩「せんぱ……」


先輩「すぅー……」

先輩「ぷはぁー……」


後輩「……」

後輩(……しばらく黙って見とこ)



44:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/22(土) 20:07:44.12 ID:vAE6bBF8o

先輩「あれ、起きてたのか」

後輩「あ、はい。おはようございます、先輩」

先輩「呼んでくれてよかったのに。待たせちゃった?」

後輩「いえ、今起きたところです」

後輩「先輩、朝はご飯派でしたっけ、パン派でしたっけ」

先輩「どっちがある?」

後輩「どっちもありますよ」

先輩「なら後輩のおすすめでー」

後輩「……難しい注文しますね」



45:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/22(土) 20:14:30.82 ID:vAE6bBF8o

先輩「おー、朝から豪華だな」

後輩「いつもは軽く済ませてますよ」

先輩「そりゃありがたいな」

後輩「お口に合いますか?」

先輩「いつでも嫁にやれるぐらいには旨いな」

後輩「……嫁、ですか」

先輩「ん、どした?」

後輩「いえ、別に」



46:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/22(土) 20:30:40.10 ID:vAE6bBF8o

後輩「……」

「おーい、ちょっといいか」

後輩「はい、なんでしょうか」

「これ、運んでおいてくれないか?」

後輩「……分かりました」

「すまんな。この後会議で押してるんだ」

後輩「大丈夫です、先生」

後輩「……」

後輩(先輩にメール、しとこ)


先輩「ん?」

『用事が入りましたので、先に帰っていてください。後輩』

先輩「……」



47:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/22(土) 21:18:23.95 ID:vAE6bBF8o

先輩「……ぷはー」

「お、珍しい顔がいるな」

先輩「……ん?」

「愛しの後輩ちゃんはどうしたよ」

先輩「何だお前か……」

「あからさまにがっかりされると結構凹むぞ」

先輩「こんな所まで何の用だよ」

「ここにいればお前がいると思ってな」

先輩「質問に答えろ」

「隣、いいか?」

先輩「だから質問に……チッ」



48:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/22(土) 21:36:37.25 ID:vAE6bBF8o

「……ふー」

先輩「……ぷはー」

「そういや、あの日もこんな感じだったな」

先輩「何度言ったって無駄だぞ」

「分かってるよ。そんなつもりで来たわけじゃない」

先輩「だったらどういうつもりだよ」

「そう噛みついてくるなよ……ただ、会話がしたかっただけだ」

先輩「こっちに話すことはないけどな」

「……まぁ、俺も特にないが」


先輩「……ふー」

「……ふー」



49:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/22(土) 21:44:44.23 ID:vAE6bBF8o

後輩(流石にもういない、はずだけど)

後輩(もし先輩が待っていたら、なんて思ってる自分がなんというか)

後輩(……あれ)

後輩(先輩の声、が……)


先輩「……」

「……」


後輩(……)

後輩(……タバコが凄く似合ってる)

後輩(……誰なんだろう、あの人)



54:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/23(日) 19:48:30.80 ID:aBXi/g1Ao

先輩(……結局あの後、来なかったな)

先輩(絶対来ると思ってたんだけど、ってのは自惚れが過ぎるか)

後輩「あ、先輩……おはようございます」

先輩「おう、おはよう。っても、もう昼だけどな」

後輩「……」

先輩「……ふー」

後輩「……ふー」



55:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/23(日) 19:50:07.96 ID:aBXi/g1Ao

後輩(言い出しづらい……)

先輩「……吸うか?」

後輩「へぁぇっ!?」

先輩「いや、なんかじっと箱見てるから……」

後輩「あ、いえ、その……」

先輩「ひひ、じょーだんだよ。本気で焦るなよ」

後輩「……」


後輩「……い、一本いただいてもいいですか」

先輩「えっ」



56:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/23(日) 19:53:52.17 ID:aBXi/g1Ao

先輩「む、無理しなくていいんだぞ?」

後輩「いえ、無理なんてしてません」

先輩「そもそも、やめろって言ってただろ」

後輩「……それはそれ、です」

先輩「あ、こらっ」

後輩「……んっ」

後輩「せ、先輩。火を……」

先輩「目上に付けさせるのか……まぁいいけどさ」

後輩(……咥えただけで、もう苦い……)



57:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/23(日) 19:57:29.93 ID:aBXi/g1Ao

先輩「そら、ちょっと顔傾けな」

後輩「はい……」

先輩「……いよっと」

後輩「あっ」


先輩「フィルターがベタベタだぞ、どんだけ緊張してたんだお前」

後輩「……むぅ」

先輩「……ぷはー」

後輩「……」

後輩(間接キス……ってほど、ロマンチックな感じじゃないかな)



58:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/23(日) 20:06:38.20 ID:aBXi/g1Ao

先輩「急にどうしたんだ、変な奴だな」

後輩「……」

先輩「むすーっとしてても分からないっつの」

先輩「……うりゃ」

後輩「っ……」

先輩「黙ってると、デコが真っ赤になるぞ」

後輩「……」

後輩「……ひ」

先輩「……ひ?」

後輩「ひ、ひぐっ……ひぐぅ……」

先輩「だーっ、な、泣くな泣くなぁ!」



59:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/23(日) 20:27:08.59 ID:aBXi/g1Ao

後輩「せ、先輩が……男の人とぉ……っ」

後輩「タバコが似合ってて……私なんて……っ」

後輩「ひぐっ……ぅ」

先輩「あー、見てたのか」

後輩「ごめんなさぁい……ぐすっ……」

先輩「全く、こういう時は子供っぽいんだから」

後輩「ぐじゅ……」

先輩「ほら、これで拭け」

後輩「ありがとうございましゅ……」



60:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/23(日) 20:49:47.02 ID:aBXi/g1Ao

先輩「ふー……」

先輩「どうだ、落ち着いたか?」

後輩「は、はい……すいません、取り乱しちゃって」

先輩「……あいつは別に隠すようなもんでもなくてな」

先輩「以前、告白された事があった。ただそれだけだ」

後輩「本当に、それだけですか?」

先輩「それだけじゃなくても、それだけって事にしといてくれ」

後輩「……はい」

先輩「お前はいい子だな、助かるよ」



65:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/24(月) 21:46:22.05 ID:sQXbEWR/o

先輩「さーて、そろそろ帰るかぁ」

後輩「はい、先輩」

先輩「帰り、あそこ寄って行こうぜ。駅前のコロッケ屋」

後輩「いいですけど……先輩の家と逆方向じゃないですか?」

先輩「いいんだよ、詫びにな」

後輩「そんな、詫びなんて……」

先輩「こっちの気が済まないんだよ、ほら行くぞー」

後輩「あっ、待ってくださいよ」



66:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/24(月) 22:18:51.62 ID:sQXbEWR/o

先輩「おばちゃん、コロッケふたつー」

「はいよ、味はどうするの?」

先輩「だってさ、後輩」

後輩「えと、先輩の同じのでお願いします」

「普通の二つね。少しかかるから、座って待っていて」

先輩「……ふぃー」

後輩「ここにはよく来るんですか?先輩」

先輩「いや、たまーに……かな」

先輩「でもなんか、たまーに無性に食べたくなるんだよね」

後輩「なんか分かります、それ」



67:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/24(月) 22:35:05.68 ID:sQXbEWR/o

「はい、お待ちどうさま」

先輩「あ、ども」

先輩「ほい、後輩。ここで食べてこう」

後輩「へっ?あちちっ」

先輩「おっと、悪い悪い」


「……余計なおせっかいかもしれないけれど」

先輩「……?」

「タバコは止めた方がいいわよ?将来、可愛い子が産めなくなっちゃうんだから」

先輩「たはは……ゼンショシマス」

後輩(先輩の子供……)

後輩(……何を考えているのだろう、私は)



68:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/24(月) 22:46:38.80 ID:sQXbEWR/o

後輩「そういえば、先輩」

先輩「どうした?」

後輩「先輩がタバコ吸い始めたのって、いつぐらいからですか?」

先輩「……ふー」

先輩「いつぐらいだったっけなぁ」

後輩「……」

先輩「……」

先輩「そんなに見つめられても、思い出せないものは思い出せないぞ」

後輩「あっ、はい」



69:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/24(月) 22:51:30.54 ID:sQXbEWR/o

先輩「まぁでも、後輩と知り合えたのはこれのおかげだから」

先輩「タバコ吸っててよかったと思えるのはそれぐらいかね」

後輩「他にいいとこないんですか?」

先輩「あんまりないね、吸っておいてなんだけど」

後輩「ならやっぱりやめた方が……」

先輩「そこがあるから、やめれないのだよ」

後輩「……」

後輩「……ずるいです、先輩」

先輩「なはは」



70:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/24(月) 23:10:56.48 ID:sQXbEWR/o

後輩(……先輩と知り合った時は、こんなに長く付き合うことになるなんて思ってなかった)


『これ、落としましたよ』

『ん?……あ』

『本当だ、感謝するよ』

『よく分かったな、落としたって』

『……なんだか、タバコを吸いそうな感じだったので』

『あはは、なんだそりゃ』

後輩(……今思えば、完全に一目惚れだったなぁ)

先輩「……熱でもあるのか?お前」

後輩「え?」

先輩「顔真っ赤だぞ、それに目も泳いでる」



71:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/24(月) 23:31:44.28 ID:sQXbEWR/o

後輩「え、えと……そ、そうですね。実は今朝から少し熱っぽいと言うか」

後輩(咄嗟に照れ隠しで嘘を付いてしまった)

先輩「……無理して付き合ってくれてたのか?」

後輩「そ、そうではなくて」

先輩「なら、いいんだけど」

後輩「なので今日は、この辺で……」

先輩「……」

先輩「……体調が悪いお前を、そのまま帰すわけにはいかないな」

後輩「え」

先輩「家の近くで気付けて、丁度よかった。ほら、こっちだ」

後輩(えぇーっ!)



80:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/25(火) 20:51:48.53 ID:G/Fh8VZ7o

先輩「しまったな、人を呼ぶなら片付けておくんだった」

後輩(先輩の部屋……)

先輩「邪魔な物は適当にどけて座ってくれ」

後輩「あ、はい」

後輩(思ってたよりは片付いてる、なんて言うのは失礼なのかな)

先輩「風邪薬、あったかなぁ」

後輩「い、いいですよ。そこまでしていただかなくて」

先輩「いーや、こういうのは気をつけすぎるに越したこたぁないんだ」

先輩「黙って座ってな、ほら」

後輩「……はい」



81:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/25(火) 21:03:55.26 ID:G/Fh8VZ7o

後輩(デスクに一つ、ちゃぶ台に一つ、台所にも一つ)

先輩「お、あった……って、箱だけか」

後輩(家でも相当吸ってるんだ……当たり前だけど)

先輩「まだ耐えれそうか?後輩」

先輩「近くの薬局で風邪薬買ってくる」

後輩「そこまでしていただかなくても……」

後輩(どんどん仮病って言いづらくなってる気がする)

先輩「だから、こういうのはな……」

後輩「先輩、お願いします……一人は心細いんです」

先輩「……」

先輩「……そ、その顔はずるいな」

後輩(ごめんなさい、先輩)



82:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/25(火) 21:06:44.88 ID:G/Fh8VZ7o

先輩「まぁ、後輩がいいって言うならいいんだけどさ」

後輩「先輩?灰皿持ってどうしたんですか」

先輩「ベランダ行くんだよ。病人の前で吸えるか」

後輩「先輩……」

後輩(凄く優しいのは嬉しいのですが)

先輩「なんだよ、その顔」

後輩「その、実は……」



83:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/25(火) 21:15:50.44 ID:G/Fh8VZ7o

先輩「……まぁ、勝手に勘違いしたのはこっちだが」

先輩「もちっと早く言いだしてもよかったんじゃないか?」

後輩「……すいません」

先輩「……ふー」

後輩(屋上とか外とは違う、籠ってるとき特有の独特な煙の匂い)

後輩(……やっぱり好きになれそうにない)

先輩「で、どうする?」

後輩「なにがでしょうか」

先輩「風邪じゃないならこのまま帰るか?」

後輩(煙の匂いが嫌いなら、普通は帰るのだろうけれど)

後輩「いえ、せっかくなので……泊まって行きます」

後輩(帰れない理由が、目の前にある)



84:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/25(火) 21:36:09.30 ID:G/Fh8VZ7o

先輩「後輩って、好き嫌いあったっけ?」

後輩「いえ、これと言って特には……」

先輩「なら適当でいいかー」

後輩(先輩が、台所に立って料理してる)

先輩「わちちっ」

先輩「そら、先輩特製チャーハンだ」

後輩「……もぐ」

後輩「……」

先輩「どうだ?他人に食わせるのは初めてだからちと不安なんだ」

後輩「……先輩、こんなに上手ならウチでも作ってくださいよ」

先輩「もぐもぐ」

後輩「聞こえないふりはやめましょうよ」



85:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/25(火) 21:43:12.44 ID:G/Fh8VZ7o

先輩「後輩の家で後輩が作るからいいんだよ」

後輩「なんですか、それ」

先輩「そういうものなの」

後輩「食事中にタバコはダメです!美味しく無くなっちゃいます」

先輩「急に堅い事言うなよー」

後輩「がるる」

先輩「ははは」



86:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/25(火) 21:46:23.33 ID:G/Fh8VZ7o

後輩「ご馳走様でした、先輩」

先輩「おう、洗い物は任せた」

後輩「……」

先輩「……」

先輩「……分かりました」

先輩「うむ、よろしい」


先輩「……ふー」

後輩(台所も独特な匂いがするなぁ……)

先輩「そういやな、後輩」

後輩「なんですか?先輩」

先輩「嘘付いてたの、お前だけじゃないんだ」

後輩「え?」

先輩「本当は覚えてるんだ、タバコ吸い始めた理由」

後輩「……聞いていいんですか?この流れ」

先輩「おう、聞かせるために振った」



87:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/25(火) 22:00:35.00 ID:G/Fh8VZ7o

先輩「つい最近、つってももう何年か経ったけど」

先輩「母親が急に再婚してさ。家に帰って来たらいきなりお父さんですよろしく、だって」

先輩「女手一つで育ててもらって、母親が大変だったのも理解出来たけどさ」

先輩「もうちょっと相談とか、そういうのあってもいいじゃん!って」

先輩「今思うと実にくだらないけど、当時の自分からしたらかなり強い反抗の意思表示だったんだろうなぁ」

先輩「……ふー」

先輩「悪い、一方的に聞かされても気分のいい話じゃなかったな」

後輩「いえ……そんな事」

後輩(煙草を吸う時の先輩の横顔に、なんだか合点がいった気がする)

後輩「先輩の事知れるのは、些細な事でも嬉しいです」

先輩「……真顔で恥ずかしい事、さらっと言うよなお前」

後輩「?」



88:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/25(火) 22:13:10.94 ID:G/Fh8VZ7o

後輩「洗い物終わりました」

先輩「おう、さんきゅーな」

後輩「んー……疲れました」

後輩「少し横になってもいいですか?」

先輩「おう、ベッドなんて小洒落たものうちにはないから……」

先輩「……ほれ」

後輩「どうしたんですか、膝をとんとんして」

先輩「ほれ」

後輩「……」

後輩「……では、失礼します」



89:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/25(火) 22:24:20.09 ID:G/Fh8VZ7o

後輩(……思ってたより、硬い)

先輩「……ふー」

後輩「先輩、人が下にいるのに吸わないでください」

先輩「えー、口が寂しいよぉ」

後輩「……なら」

先輩「お?」

後輩「……」

先輩「……ん」


先輩「……首の角度が大分キツかった」

後輩「すいません」

先輩「だから今度は、楽な姿勢で頼むわ」

後輩「……はい」



90:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/25(火) 22:32:55.22 ID:G/Fh8VZ7o

先輩「……ふー」

先輩「先にシャワー、使っていいよ」

後輩「……はい」

後輩(……こうして一緒にいればいるほど、もう一つの感情が胸に広がって)

後輩(先輩……先輩の方は、どう思っているんですか?)

後輩「ふぅ」


先輩「……すぅー」

先輩「……ぷはーっ」



97:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/26(水) 13:42:04.97 ID:kF3tSQrno

後輩「シャワーありがとうございました」

先輩「ん、了解」

先輩「そういや着替えとかないよね、どうしよっか」

後輩「別に着てきたやつでも大丈夫ですよ」

先輩「……あの汗でぐっしょりのやつ、着るの?」

後輩「あー……」

先輩「そこの棚と、そこの棚に入ってるから。気に行ったやつ適当に着ていいよ」

後輩「ありがとうございます」

先輩「どういたしまして、ってのも変かね?こっちが連れ込んだんだし」

先輩「そいじゃ、そういう事で」



98:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/26(水) 13:48:12.95 ID:kF3tSQrno

後輩(ありがとうございます、とは言ったものの)

後輩(許可が出たとはいえ、本人不在の中でタンスを開けるのってどうなんだろう)

後輩「……さむ」

後輩(とりあえず何か、適当に……)

後輩(無地のTシャツ、無地の短パン、無地のetc……)

後輩(そういえば先輩が柄物着てる所見たことないな)

後輩「……んしょ」

後輩(結構背があると思ってたけど、着てみると案外そうでもない)

後輩(……先輩の、ニオイ)

後輩「くん、くん……」



99:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/26(水) 14:04:40.17 ID:kF3tSQrno

先輩「……」

後輩「……」

後輩「あ、えと……その、これは」

先輩「……なんと言うか」

先輩「似たようなもん着てるはずなのに、やたら官能的だな」

後輩「へ?」

先輩「平たく言えばエロい。主にここが」

後輩「あっ、先輩……ちょっと……」

先輩「汗ばんでぴったりしてるせいかな?」

後輩「お風呂入った後ですよ……もう!」



100:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/26(水) 14:12:34.74 ID:kF3tSQrno

先輩「ぷはー……」

後輩「……」

先輩「何も思いっきりブツことはないだろ」

後輩「思いっきりブタれるようなこと、するからです」

先輩「さっきはあんなに……」

後輩「……」

先輩「分かった、その無言で握った拳を解いてくれ」

後輩「……もう寝ます。明日朝からなので」

先輩「ん、そうだったのか。悪かった、こんな時間まで」

後輩「……いえ。全然悪く、なかったです」

先輩「……」

先輩(……落としているやら、落とされているやら)

後輩「……?」



102:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/26(水) 21:14:50.90 ID:kF3tSQrno

後輩「すー……すー……」

先輩「……ふー」

先輩(いつまでこうしていれるのだろうか?先輩はどう思っているのだろうか?)

先輩(いつもタバコを吸う時、後輩の目がそう訴えかけてくる)

先輩(素直で、純粋で……一緒にいてやりたくなる、目)

先輩(こんな奴と一緒にいてもいいことないって、分かってんのかなこいつは)

後輩「せんぱぁい……むにゃ」

先輩「……はぁ」

先輩「くだらない事考えてないで、寝るとすっかね」



103:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/26(水) 22:00:54.65 ID:kF3tSQrno

後輩「……ん」

後輩(朝、なのかな……薄暗くてよく分かんないや)

後輩「スマホスマホ……」

先輩「ひゃんっ……」

後輩(……何か、むにゅっと?)

先輩「ぐがー……ぐがー……」

後輩「!?」

後輩(な、なんで先輩が隣に……ってそうか、ここは先輩の家だった)

後輩「……」

後輩「いやいや、そうじゃないでしょ」



104:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/26(水) 22:33:44.76 ID:kF3tSQrno

先輩「朝から大胆だねぇ」

後輩「……」

後輩「起きてたんですか?」

先輩「いや、今起きた」

後輩「そうですか……じゃなくて」

後輩「なんで隣にいるんですか?」

先輩「だって、布団これしかないのに勝手に寝ちゃうから」

後輩「む……」

先輩「まぁ、おかげで色々とよかったけどさ」

後輩「……詳しく聞かせてください」

先輩「詳しく話していいの?」

後輩「……」

後輩「……やっぱ、いいです」

先輩「そっか、残念」



105:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/26(水) 22:37:33.76 ID:kF3tSQrno

先輩「ガッコ、行かなくていいの?」

後輩「……!」

後輩「ここからなら、急げばまだ……っ」

先輩「いってらっしゃーい」

後輩「……い、いってきますっ」


先輩「ふぃー……」

先輩「……二度寝すっかなぁ」


「後輩ちゃん、今日はなんかいつもと違うね」

後輩「へ?」

「何と言うか、こう……セクシーだよ!」

後輩「??」



106:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/26(水) 22:43:56.96 ID:kF3tSQrno

後輩(……)

後輩(男女問わず、なんだか視線を感じるような気が……)

後輩(自意識過剰みたいで気持ち悪いなぁ、早く帰りたい)

「そこのキミ」

後輩「はい?」

「可愛いね、何年生?」

後輩(……誰?)

後輩「二年、ですけど……」

「一個下か……同学年じゃないのが惜しいな」

後輩(一個上……先輩とおんなじか)



107:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/26(水) 22:52:02.56 ID:kF3tSQrno

「もう少し顔をよく、見せてくれないかな?」

後輩「え、ちょっと……」

後輩(近い近い……)

「眼鏡、外してもいい?」

後輩「あ……」


後輩「先輩……」

「いっ!?いててててっ」

先輩「たまにはサボってる講義に出てみるもんだ」

「何すんだ……って、お前は!」

先輩「あぁん?お前、どっかで……って、行っちまった」

後輩(先輩の服、今私が着てるのとお揃い……と言っても無地だけど)

先輩「お前、午後は暇?」

後輩「え、あ……はい」

先輩「うし、いい返事だ」



111:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/28(金) 17:23:15.44 ID:n63wKnV+o

後輩(何気に先輩と喫茶店来るなんて、初めてかも)

「喫煙席と禁煙席ございますが」

後輩「えーと……」

先輩「……」

後輩「……喫煙席で」

先輩「さんきゅー」

「……?ではこちらへ」

先輩「流石に喫煙席に通されたら吸えないからな」

後輩「なら、自分で喫煙席を指定すればよかったじゃないですか」

先輩「それじゃ意味ない。お前が言うから意味があるのさ」

後輩「……むぅ」



112:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/28(金) 17:30:44.14 ID:n63wKnV+o

後輩(なんだか、言いくるめられてばかりな気がする)

先輩「おい、どうした?」

後輩(少し無視してやろう……)

先輩「……おいってば」

後輩「……」

後輩(いい気味……と素直に思えない自分がなんとも)

先輩「……好きなもん、奢ってやるから」

後輩「……!」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……パフェ付きでも、ですか?」

先輩「ぐ……」

先輩「この際、パフェも付けよう」

後輩(よし、パフェが付いた……よし?)



113:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/29(土) 20:33:35.73 ID:+OWQSpmgo

先輩「……パフェ、美味い?」

後輩「ふぁい、おいしいです」

後輩「先輩は何も頼まないんですか?」

先輩「んー……頼んでもいいんだけど、頼むとこれが買えなくなるからな」

後輩「食事抜いてまで吸いたいですか?」

先輩「吸ってたらそこまでお腹空かないしなー」

後輩「……絶対体に悪いです」

先輩「心配させちゃ悪いし、少し頂こうかな」

後輩「あっ」

先輩「んー、あみゃい」

後輩(これって……今さら恥ずかしがることでもない、か)



114:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/29(土) 20:37:52.55 ID:+OWQSpmgo

先輩「はい、あーん」

後輩「……」

先輩「あーん」

後輩「……あーん」

先輩「どう?」

後輩「……タバコの味が、少々」

先輩「隠し味だよ、悪くないだろ?」

後輩「……先輩」

先輩「ん?」

後輩「どうしたんですか?今日は」

先輩「……何が?」

後輩「……」

先輩「こういうとこ鋭いな、お前は。前面に押し出すとモテるぞ」

後輩「別にモテたいと思いません」



115:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/29(土) 20:51:21.02 ID:+OWQSpmgo

先輩「お前は魅力的だ」

後輩「……いきなり何言ってるんですか」

先輩「目元を隠すために眼鏡を掛けさせたし、髪型も大人しめにさせた」

先輩「もちろん好みによる部分が無かったとは言わないけど」

後輩「……」

先輩「お前は、自分が惹かれていると思ってるようだが」

後輩「せん、ぱい……」

先輩「お前を離したくないのはこっちの方だ」



116:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/29(土) 21:05:43.17 ID:+OWQSpmgo

後輩「……え、えと」

先輩「……ふー」

後輩「こんな場所で言うのも、なんですが」

後輩「私も好きですよ、先輩」

先輩「知ってる」

後輩「ですよね」

後輩「……」

先輩「もう一口貰っていい?」

後輩「あ、はい」

後輩(……周囲の視線を、ひしひしと感じる)



117:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/29(土) 21:48:37.55 ID:+OWQSpmgo

後輩(学校とか、家とかでは意識したこと無かったけど)

後輩(私達がしてる事って……もしかしなくても結構恥ずかしいことだったり?)

先輩「……ふぃー」

後輩「先輩」

先輩「んあ?」

後輩「火、付け忘れてます」

先輩「おっと、これはうっかり」

後輩(あ、先輩も赤い)

後輩「……ふふっ」

先輩「んだよ」

後輩「あ、いえ」



118:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/29(土) 22:02:07.11 ID:+OWQSpmgo

後輩(クールで、かっこいい、タバコの似合う先輩)

後輩(なんて先輩の姿を、勝手に定着させてしまっていたけれど)

先輩「ふー……」

後輩(こういう先輩も、いいなぁ)

先輩「もう一口、ぷりーず」

後輩「先輩も頼まれたらいいんじゃないですか?」

先輩「……」

先輩「いや、いいや」

後輩(先輩が可愛いすぎてなんとやら)



124:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/30(日) 17:07:09.16 ID:AvMSyRG6o

後輩「先程のお言葉を返すようですが」

先輩「ん」

後輩「先輩も十分魅力的だと思いますよ」

後輩(それこそ、私が釣り合ってるか分からないぐらいに)

先輩「お前の魅力とは方向性が違うんだよ」

先輩「なんて言うのかな……惹きつける魅力と、相手に寄り添う魅力、みたいな」

後輩「惹きつけてる自覚あったんですね」

先輩「まぁ、大なり小なり」

後輩(そういうのハッキリ言える所が、惹きつける魅力の一部なのかな)



125:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/30(日) 17:11:59.49 ID:AvMSyRG6o

先輩「たださ、何でもかんでも惹きつけていい事ばっかってわけでもなくてな」

先輩「ウマが合わなきゃどうしようもないわけだ」

後輩「……」

先輩「お前と出会うまでは、とっかえひっかえしてた時期もあったぐらいだし」

後輩「悪い人ですね」

先輩「おう、極悪人よ」

後輩(そういえば、先輩と一緒にいるようになった初めの頃によく友達が心配してたっけ)

後輩(悪名高い先輩だったのか)

先輩「ふー……」



126:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/30(日) 17:17:26.81 ID:AvMSyRG6o

先輩「さーて、パフェ一杯で長居するのもなんだしそろそろ帰るか」

後輩「あ、はい」

先輩「先行ってていいよ、会計済ませてくるから」

後輩「私も半分……むぎゅ」

先輩「こういうのは払わせないと失礼、と今度から思うように」

後輩「ふ、ふぁい」

後輩(先輩の指、ほのかなタバコの香り)

後輩(このぐらいなら、嫌いじゃないかも……)



128:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/30(日) 21:34:46.07 ID:AvMSyRG6o

先輩「さて、そいじゃこの辺でお開きにするか」

後輩「え……」

先輩「え?」

後輩「あ、いえ……その」

後輩(学校終わった後も先輩といるのが当たり前みたいな気になってた)

先輩「寂しいか?このこの」

後輩「……」

後輩「はい、寂しいです……」

先輩「そんな目、するなっての。ただのバイトなのに行きづらくなるだろ」

後輩「先輩、バイトしてたんですか?」

先輩「そりゃまぁ、学費のために」

先輩「っと、あんまり長話もしてられないな」

後輩「あっ」

先輩「そいじゃ、また明日!」

後輩「先輩……」



129:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/30(日) 21:50:45.54 ID:AvMSyRG6o

後輩(……部屋が広く感じる)

後輩「はぁ……」

後輩「こういう時先輩なら、こう……」

後輩「ふーっ」

後輩「……」

後輩「何してんだか、私」



「先輩くん、これ3番カウンターにお願い」

先輩「はい、今行きます」

先輩(なんだ?無性に肺に煙を入れたい気分に……)

先輩(後輩の言うように、一度やめてみるのも視野に入れた方がいいのかもしれない)

「先輩くーん」

先輩「はーい」



130:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/30(日) 22:03:04.31 ID:AvMSyRG6o

先輩「ふー……」

「お疲れ様、先輩くん」

先輩「あ、マスター。もう店じまいですか?」

「あぁ、先輩くんが物欲しそうにしてたから。ちょっと早めにね」

先輩「いやぁ、面目ない」

「隣、いいかな?」

先輩「どぞどぞ」

「ふー」

先輩「ふー……」

「今日は少し、話があってね」

先輩「なんスか、急に改まって」

「……」

先輩「……」



131:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/30(日) 22:11:13.49 ID:AvMSyRG6o

後輩(……なんだか眠れないな)

後輩「冷蔵庫になんか飲み物あったっけ……」


ピンポーン


後輩「……?」

後輩(こんな時間に、来客……)

後輩「……一応、箒を持っていこう」


後輩「ど、どちら様……」

後輩(って、酒臭っ)

先輩「……」

後輩「な、なにやってるんですか先輩」

先輩「……いれて」

後輩「む、むしろ早く上がってください」



132:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/30(日) 22:17:13.41 ID:AvMSyRG6o

先輩「……ふー」

後輩(こんなにお酒が入ってる先輩、初めて見た……)

後輩「先輩、お水です」

先輩「ん、あんがと」

後輩(何があったんですか、と聞いていいのだろうか)

先輩「ねぇ、後輩」

後輩「あ、はい……っ」

先輩「……」

後輩(タバコの味とお酒の味が混ざって……クラクラする)



133:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/30(日) 22:29:36.26 ID:AvMSyRG6o

後輩「せんぱ……んっ」

先輩「……」

後輩「……せん、ぱい?」

先輩「……すまん」

後輩「……いえ」

先輩「むぎゅ……」

後輩「大丈夫、ですから」

先輩「ん……」

後輩(無駄に大きい胸が役に立ってよかった)



142:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/12/02(火) 21:30:59.24 ID:yWgXnjAuo

後輩「落ち着きましたか?」

先輩「おう、だいぶな」

後輩「……」

先輩「……ふー」

後輩「あ、あのっ」

先輩「バイトしてた、店がさ」

後輩「あ、はい」

先輩「わりぃ、なんか話があったか?」

後輩「いえ、大丈夫です」

先輩「ん、そっか」



143:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/12/02(火) 21:39:46.28 ID:yWgXnjAuo

先輩「バイトしてた店、喫茶店なんだけどさ」

先輩「店じまいするらしいって、今日伝えられてさ」

後輩「そこのマスターと飲み明かして、今に至ると?」

先輩「そゆこと」

後輩(……先輩がお酒飲んでるところなんて、見た事なかったな)


先輩「好きだったんだ」

後輩「えっ」

先輩「好き、だったんだよ……」

後輩「せん、ぱい……?」

先輩「……」

後輩「……寝てる」



144:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/12/02(火) 21:44:53.03 ID:yWgXnjAuo

先輩『好き、だったんだよ……』

後輩(……)

後輩(あんな表情、先輩でもするんだ)

先輩「ぐー」

後輩「先輩……」

後輩(先輩にとって、私ってなんですか?)

後輩「……ん」

先輩「むー」

後輩「……ぷは」

後輩「……はぁ」



145:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/12/02(火) 22:12:15.47 ID:yWgXnjAuo

後輩(喫茶店、かぁ)

後輩(思えば先輩の事、知ってるようで知らないんだなぁ)

後輩(制服姿の先輩……一度見ておきたかったな)

先輩「んー……」

後輩「……」

後輩(ベッド、占領されてる)

後輩(……いいや、床で寝よう)



146:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/12/02(火) 22:25:12.59 ID:yWgXnjAuo

後輩『わ、私初めてで』

先輩『だろうな』

後輩『あっ……』

先輩『大丈夫、力抜け』

後輩『は、恥ずかしいです……』

先輩『そりゃお前だけじゃねーさ』

後輩『―――っ』



147:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/12/02(火) 22:36:23.80 ID:yWgXnjAuo

後輩「……はっ」

後輩(なんで今さら、先輩と初めて会った頃の夢を……)

後輩「あれ、何の匂い……」

先輩「おう、やっと起きたか」

後輩「どうしたんですか、台所なんかに立って」

先輩「おいおい、お前が言ったんだろ?」

後輩「……?」


後輩『……先輩、こんなに上手ならウチでも作ってくださいよ』


後輩「あぁ、そういえば」

後輩(先輩、覚えてたんだ)



148:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/12/02(火) 22:45:01.35 ID:yWgXnjAuo

先輩「適当に冷蔵庫の中漁っちゃったけど、よかった?」

後輩「あ、はい」

後輩「でも、あまり入ってなかったですよね?」

先輩「おう、見事に飲み物と調味料だらけだった」

後輩「いくらぐらいでした?半分払いますよ」

先輩「酔っ払いを匿ってくれた迷惑料代わりだ、取っときな」

後輩「迷惑だなんて、そんな」

先輩「いただきまーす」

後輩「い、いただきます」



149:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/12/02(火) 22:57:32.33 ID:yWgXnjAuo

先輩「もぐもぐ」

後輩(いつも通りの先輩)

先輩「……味付け、微妙だった?」

後輩「へ?」

先輩「スプーン、止まってるから」

後輩「い、いえっ。美味しいです!」

先輩「そっか」

後輩(いつも通りの、先輩)

後輩(まるで昨日の事なんて、なかったみたいに)

後輩(……でも、なかったことになんて)

先輩「……本当に大丈夫か?」

後輩「……」


後輩「大丈夫なんかじゃ、ないですぅ……」

先輩「えっ」



153:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/12/03(水) 17:26:16.42 ID:E90EcowQo

後輩「先輩、好きな人がいるって……」

後輩「私だけじゃダメですか?不満があったら教えてください」

先輩「お、おい」

後輩「二番目でも、いいです。だから……」

先輩「おいってば」

後輩「……?」

先輩「なーに言ってんだ?お前」

後輩「覚えて、ないんですか?」

先輩「何を」

後輩「……」



154:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/12/03(水) 17:31:14.33 ID:E90EcowQo

後輩「好き、だったんだよって」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「ぷっ」

後輩「……?」

先輩「あはははっ、なんだそういうことか」

後輩「わ、笑いごとじゃないですっ」

先輩「こっちにとっては笑いごとだっての」

先輩「好きだってのはな……そのお店の事だよ」

後輩「えっ……」



155:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/12/03(水) 17:40:27.37 ID:E90EcowQo

先輩「バイト先に決めたのも、店の雰囲気が好きだったから」

先輩「はい、それだけ」

後輩「マスターさんと飲み明かしてたって……」

先輩「マスターは今年で還暦だぞ?」

後輩「……」

先輩「『大丈夫なんかじゃ、ないですぅ』」

後輩「ま、真似るのはやめてくださいっ」

先輩「悪いな、不安にさせて」

後輩「いえ、こっちこそ早とちりを……」

先輩「……ふー」

後輩「……」



156:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/12/03(水) 17:45:40.10 ID:E90EcowQo

後輩(きっと私が先輩にタバコをやめてほしいのは)

後輩(先輩の体を心配してる、とかじゃなくて)

後輩(魅力的な横顔を他の誰かに見られたくないと言う、独善的な身勝手なわけで)

先輩「ふぃー……って」

後輩(本当に先輩がタバコをやめてしまったら、私はどうするのだろうか)

先輩「……後輩?」

先輩「……んっ」

後輩「……」



157:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/12/03(水) 17:49:02.06 ID:E90EcowQo

先輩「そっちからは、初めてじゃないか?」

後輩「……そうでしたっけ」

後輩(口内で燻ぶるほのかなタバコの香り)

後輩(本当は、嫌いじゃない)

先輩「だが、吸ってるときにいきなりは危ないぞ」

後輩「先輩だって、いつもいきなりじゃないですか」

先輩「それはそれだ、にしし」

後輩(嫌いじゃない、けど)

後輩「……えいっ」

先輩「あーっ!美味しい所がまだ残ってたのに!」

後輩「タバコなんかより、私の方が……」

先輩「美味しいってか?」

後輩「……あぅ」



158:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/12/03(水) 17:55:26.19 ID:E90EcowQo

先輩「そこまで言うなら、味あわせて頂こうかな」

後輩「お、お手柔らかに……」

先輩「そいつは出来ない相談だな」

後輩(先輩の色々な感情を、煙に巻いてしまう存在)

後輩(私はタバコに、嫉妬していたのかもしれない)

後輩「先輩」

先輩「んー?」

後輩「何かあったら、私をぎゅーってしてください」

後輩「タバコなんかより、ずっといいと思いますよ」

先輩「んー……」


先輩「考えとくわ」

後輩「そ、そこは即決してくださいよっ」

先輩「えー」



159:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/12/03(水) 17:57:27.86 ID:E90EcowQo

終わります

ここまでありがとうございました
途中お見苦しい点をお見せしましたが、お付き合いいただいてくださった方には感謝します

ではまたどこかで

飛行甲板と恋心

1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/02(土) 20:26:42.42 ID:uqkeIGKJo
気付けば視線の先に、彼がいる
その事にボクが気付いたのは、つい最近の事
いや、本当はずっと前からそうだったのだ
気付かないフリをするのが、自分の中で限界になってきたのだろう
浴場の天井を見つめながら、ボクは小さく息を吐いた
入渠の時間はまだまだあるし、今日はほぼ貸切状態
ゆっくり気持ちを整理してから、執務室へ向かう事にしよう


2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/02(土) 20:30:15.21 ID:uqkeIGKJo
「ただいま戻りました、っと」

「まだお仕事?ボクにお手伝い出来る事はないかな」

「そっか、残念」

「へ?部屋に戻らないのかって……」

「その、なんだか眠たくなくって」

「うぅん、不眠症とかそんなんじゃないんだ。うん、そんなんじゃなくて……」

『……いや、そんなんなの、かな?』

「だ、大丈夫だって!提督はお仕事続けて」

「……じー」

3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/02(土) 20:46:37.33 ID:uqkeIGKJo
初めて会った時は、少し怖い人だと思った
帽子の端から見える切れ長の目が、なんだか常に睨んでるように見えたからだ
後にその事を本人も気にしていている事や、実は見た目の割に結構繊細な人だったりする事とか、色々知ることになってわけだが
そんな風に知っていくうちに、こんな感情が芽生えてしまったのだろう
提督と秘書艦、近すぎて逆に遠い距離感がボクに色々邪推をさせる
気持ちを素直に聞ければ、きっとそれが一番近道なのだろうけれど
そんなこと、ボクにはとてもできない

4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/02(土) 20:56:03.39 ID:uqkeIGKJo
「それじゃ……おやすみなさい、提督」

「……ふぅ」

(明らかに変だよね……仕事もないのに執務室で提督を眺めてるだけ、なんて)

(提督はどう思ってるんだろう?)

(何か思って貰えてると思うのは、希望的観測なのかな?)

(んー、むむむ……)

5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/02(土) 21:11:10.89 ID:uqkeIGKJo
翌日の演習は散々で、何度も小さな衝突を繰り返しては皆に迷惑をかけてしまった
それだけならいいのだが、「提督にこき使われて疲れているのではないかしら?」なんて風評まで出回ってしまいかけたのはいただけないので、演習後の浴場で皆と話して誤解は解いておいた
本当は皆を誰よりも心配しているのは提督なのだが、立場や強面の外見からイマイチそれが伝わっていないのだ
提督のあんな面やそんな面を知っているのはボクだけなのだから、ボクがもっと気を付けなければ
風呂上りのコーヒー牛乳をごくりと飲み干して、ボクは顔をぱんぱんと叩いた

9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/03(日) 15:36:53.69 ID:Opfj5KnQo
「おはよう、提督」

「……あれ、提督?」

(もう、ちゃんと布団で寝た方がいいっていつも言ってるのに)

(髪がボサボサ……お風呂、入らずに寝ちゃったのかな)

「……」

「てーとく……」

「あいてっ!?」

「いちち……お、おはよう提督」

「起こそうとしたら突然起き上がってくるんだもん、衝突注意だよ」

(まだ、ドキドキしてる……見られてなかったかな、さっきの顔)

10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/03(日) 16:04:50.78 ID:Opfj5KnQo
今日が休日で助かった
もし演習にこんな状態で行ったら、また余計な心配をかけてしまう事になる
鏡を見なくても分かるほどに真っ赤な顔の火照りを鎮めるため、ボクは洗面所へ向かった
休暇はそれなりに自由行動が認められているので、鎮守府に残っている艦娘は多くない
とはいえ、緊急出撃等に備えるためもぬけの殻にもなっていないので、人の気配に注意しながら歩を進める
顔が赤い理由を根掘り葉掘り聞かれてしまうのは困るし、恥ずかしい
そんなボクの心配もどうやら杞憂だったようで、誰ともすれ違わないまま洗面所へと辿り着いた

11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/03(日) 16:47:36.32 ID:Opfj5KnQo
(提督の一挙一動でこんな事になってちゃ、ダメだなぁ)

(ほんと、初めて会った時はこんな事になるなんて思ってなかったや)

(でも今さら、忘れるなんて出来ないよなぁ……)

「?」

「て、提督も顔を洗いに来たんですか」

(平常心、平常心……)

「それじゃ、ボクはもう行くね」

「……ふぇ?」

12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/03(日) 17:23:21.53 ID:Opfj5KnQo

部屋へ戻ろうと思ってたボクは、提督に呼び止められて執務室へと戻ってきた
少し時間あるか?なんて真面目な顔で聞かれたら、断れるわけなんてない
執務室で二人きりなんて、いつもの事なはずなのに
昨日の今日で色々な事があったせいか、提督の事を真っ直ぐ見る事が出来ない
元々提督はおしゃべりな方ではなく、ボクが今はこの調子なので、会話が全くないまま時間だけがゆっくり過ぎていく
鎮守府全体が静かなせいで、まるで世界がボクら二人だけのものになってしまったような錯覚すら覚えるほどだ
ドキドキという心臓の音すら相手に聞こえてしまいそうな沈黙の中、提督は未だに口を開いてくれない
何か言いたくない事なのだろうか、それってもしかして、あれやこれや……?
ボクの中で邪推だけがどんどん膨らんで、不安が声になって漏れだそうとした寸前
提督がゆっくりと立ち上がり、ボクの方へ歩み寄った

16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/03(日) 22:23:07.04 ID:Opfj5KnQo
「今日が何の日か覚えてるかって?」

「んー……?」

(ただの日曜日だったような気がするんだけど、何かあったかなぁ)

「……お手上げ。答えを教えて欲しいな」

「それは……指輪?」

(そういえば、前にピアスを貰ったことあったっけ。ハート型の……あれはいつ頃の話だったかな?)

(今回のはどういう趣向あってのものなんだろうか)

「え、ちょっと……ていと……っ」

17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/03(日) 22:45:32.79 ID:Opfj5KnQo
指輪に気を取られていたボクは、気付いていなかった
提督の顔が、自分の眼前まで迫っていることに
その事に気付いたボクが声を上げる間もなく、提督の唇がボクの唇に重なった

あまりにも突然の事に頭の処理が追いついてないボクは、提督にされるがままに身を任せる
絡み合う舌にも、ほとんど不快感を感じない
むしろこうなる事を望んでいたのだから、当然と言えば当然なわけだけれど

繋がり合った口元から、全身へ熱が広がっていった
どのぐらいそうしていたのか、数秒、はたまた数時間か
ゆっくりと離れた提督の口元から、細い線がボクへと伸びる

提督が離れた後も、余韻に呆けたままのボクの手がそっと握られたかと思うと、指に冷たい感触
その感触でボクの意識が、一気に天上から現実へと引き戻された

18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/03(日) 22:52:59.99 ID:Opfj5KnQo
「あ、えと……その」

(い、言いたいことは色々あるはずなのに、声が……)

「あぅ……と」

「秘書艦にしたときからずっとこうしたかったって……」

「……」

「……ぼ、ボクも……同じ気持ち、だよ」

「両想い、だったんだね。あは、は」

「……あれ、なんでだろ。……涙が……?」

「おっかしぃなぁ……っ」

「……提督の胸、あったかい」

「……ぎゅぅ」

19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/03(日) 23:04:23.34 ID:Opfj5KnQo
お互いの気持ちを確認し合ったことで、大きく進展したかのように思えたボクらの関係だったが、相変わらず皆の前では少し怖い提督と秘書艦の体を装ったままだったりする
皆の混乱を防ぐため、なんてもっともらしいことを言っていたが、こんなに分かりやすくピアスと指輪なんてしてるせいでバレバレだったりするのだが、本人が隠してるつもりの間は黙っておく事にした
やきもきする提督とボクの様を楽しむために、きっと皆から言ってくることも無いだろう

変わった事と言えば、執務室が逢瀬の場になったこととか
実は結構、提督は寂しがり屋で触れ合いを求めるタイプだったこととか
色々あったりしたわけだけど、変わらない事は一つ

ボクが提督を、大好きだって事

20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/03(日) 23:05:45.05 ID:Opfj5KnQo
「……んっ、ダメだって提督……」

「もう夕飯が近いんだから……誰か来たら……」

「……もう。あんまりしつこいと、ボクちょっと怒っちゃうぞ」

「……」

「……むむむ」

「ちょ、ちょっとだけだよ?」


「ちょっとだけだってばぁっ」

21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/03(日) 23:06:55.32 ID:Opfj5KnQo
終わり

地の文読み辛くてすいません
改善してみましたがどうでしょうか、読みやすくなってたら嬉しいです
では

うちの提督はタバコがお好き

1:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/28(火) 19:27:27.29 ID:e02qdVS1o

うちの提督は、タバコが好きだ
演習の合間にちらりと執務室の窓を見た時も、食堂へ向かう廊下ですれ違う時も、必ずと言っていいほどタバコを咥えている
流石に寝る時までタバコを咥えている、という事は無いようだが、いつも寝ているソファーの傍にまで灰皿が備え付けてあることを考えると、寝る寸前まで手放したくない事が見て取れる
個人的にはそれほどタバコの煙が苦ではなく、というかそれが理由で秘書艦に選ばれた気もするのだが、健康によくないと聞くタバコはやはり謹んでもらいたいわけだ



2:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/28(火) 19:29:14.85 ID:e02qdVS1o

「あ、提督。お帰りなさい」

「あーあ。せっかく掃除したのに、またやり直さなきゃ」

「……それ、そんなにおいしい?」

「吸ってみれば分かるって……ボクは吸わないよ、ふりょー提督」

「……じー」

「へ?うぅん、顔にはなんにもついてないよ」

「うん、なんにも」



4:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/28(火) 19:35:20.18 ID:e02qdVS1o

実は喫煙を謹んでもらいたいというのは建前だったりして、タバコを吸う提督を傍で眺める時間が大好きだったりする
普段は規律の為にシャキッと決めている提督が、髪を崩し机に踵を乗せている姿も、ボクだけのものだ
ボクに気を許してくれているのか、それともただ単に人目を気にしない性質なだけなのか
前者であると嬉しいけれど、きっと後者な気がする



6:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/28(火) 19:39:17.91 ID:e02qdVS1o

「夜食?軽いのなら、用意できるかも」

「朝から何も食べてないって、そんな状態でタバコ吸って平気なの?」

「これは別腹って……」

「……バカ」

「リクエストはある?答えられるかは分からないけど」

「食べれるなら何でも?」

「……」

「……すぐ持ってくる」

「べーっ」



7:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/28(火) 19:47:06.24 ID:e02qdVS1o

即席麺から上がる湯気を、指先でくるりと回してから、ボクはふぅと溜息を吐いた
無駄に恰好はいいもんだから、他の艦娘達からも人気のある提督
「羨ましいっぽい」だの「羨ましいのです」なんてことをよく言われるのだけれど、秘書艦と提督という近いようで近くない微妙な距離は、心地よくもあり辛くもある
せっかく練習して覚えた料理も、まともに振る舞えたためしがない
そんな提督の態度が、敢えて距離を置こうとしているようにも感じられて、ボクもそれ以上踏み込まない、踏み込めない
しまった、結構時間が経ってしまっている
ボクは間延びを始めた即席麺を持って、急いで執務室へと戻った



8:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/28(火) 19:54:00.62 ID:e02qdVS1o

「お待たせ、提督」

「即席麺しかなかったけど、いいかな……提督?」

「自分から夜食頼んどいて寝るって、どういう神経してるのさ」

「……起こしちゃ悪い、かな」

『提督、ていとく』

「完全に、寝てる」

「……」

「ていとく……」

「……っ」

「お、起きてたの?」

「食べ物の匂いで起きた……ふーん」

「はい、夜食。麺が伸びてる?提督が寝てるのが悪いのさ」

「それじゃ、ボクは明日の朝も早いから」

「おやすみ、提督」



14:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/29(水) 19:27:14.59 ID:pWcGkmR8o

翌日の早朝演習は散々なもので、相手との戦いより眠気との戦いに必死だった
そんなボクの様子を見て「秘書艦としての役目が辛いなら、無理せず言ってくれ」などと言ってくれるのは嬉しいのだが、寝不足の本当の理由を知られたくないので適当に返す
間近に迫った提督の顔がまどろむ度に浮かんでくるせいで寝れない、なんて知られたら恥ずかしすぎる
そんなこんなで、結局演習を途中で切り上げさせてもらったボクは、一人執務室のソファーで横になっていた
本来なら自室で休むべきなのだろうが、いない提督の残滓を求めてしまったのかこんな所へ来てしまっている
掃除をしても、しても、ほのかに香るタバコの香り
名前も分からないその香りに包まれながら、ボクの瞼がゆっくりと降りていく



15:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/29(水) 19:33:50.61 ID:pWcGkmR8o

「……ていとくぅ……」

「……ん、むにゃ」

「……てー、とく?」

「いま、なんじ?」

「……」

「……ボク、そんなに寝てたんだ」

「仕事は済ませてあるから心配するなって……そういう問題じゃないような」

「他の艦娘に話を聞いた?どんな?」

「……そんな、疲れてなんかいないよボクは」

「少し調子が悪かっただけ、ほんとだってば」

「だから……謝らないで欲しいな。提督はいつものままで、ね?」



16:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/29(水) 19:47:18.63 ID:pWcGkmR8o

その日から、提督の様子が少し変わった
ボクの前では、タバコを吸わなくなってしまったのだ
どうやら禁煙を始めたわけではないらしく、ふと見かけた時にタバコを咥えているは変わらないのだが、執務室の灰皿だけはあの日から空のままだ
そんな役目を忘れた灰皿の縁をなぞりながら、頬杖を突く
自分の健康のために控えだしたのか、それとも誰かさんに気を遣っての事なのか
前者ならそれはそれでいい事だと思うのだが、後者だとなんだか無理にガマンさせてしまっているようで忍びない
だからと言って、ボクから何か言うのもおかしい気がして、香りの消えかけたソファーにぼふんとダイブしてみた



17:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/29(水) 20:09:46.30 ID:pWcGkmR8o

「……あ」

「お疲れ様、提督」

「うぅん、平気だよ。心配しないで」

「……提督」

「無理、してない?」

「だって、急に吸わなくなったじゃないか。あの日から」

「気のせいだって?なら、ボクの目を見てもう一回言って」

「……じー」

「ほら、目を逸らした。うそつき」



21:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/30(木) 22:27:52.26 ID:bn6jGOfbo

ボクがじとーっと目を向けると、提督は困ったように頭を掻く
なおもボクが視線を向け続けると、観念したように提督が懐から何かを取り出した
いつものタバコかと思ったが、片手で握り込めるサイズの物らしいそれが何なのかまでは確認できなかった
そんな正体不明の何かを握り込んだまま、提督がボクの方へと近付いてくる
どう反応してよいか分からず固まっているボクの指先に、提督の硬い指先が重なり、何かの正体が判明した
キラキラと鮮やかに光るその指輪は、冗談にしてはあまりにも上等な代物で、不味くて吸わないと言っていた支給品のタバコを吸ってまで照れ隠しをする提督を見ていると冗談とは思えなくて
手をひらひらと裏表させて指輪を眺めながら、ボクは視線をゆっくりと提督に戻した



22:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/30(木) 22:45:09.99 ID:bn6jGOfbo

「もしかしなくても、これの為にタバコを?」

「……なんで急に?今まで、そんな事なかったのに」

「ボクを秘書艦にしたときから考えてたんだ。そーなんだ……」

「タバコが平気だから秘書艦にしたわけじゃなかったんだね」

「それもある、と」

「……」

「……な、なんだか何言っていいのか分からないや」

「か、顔真っ赤になってないかな。もしそうだったら、恥ずかしい……」

「こんな物貰っちゃったら、何かお返ししないとね」

「そんなつもりじゃなかった?でも、ボクの気が済まないよ」

「でも、ボクに出来る事……何かあるかな?提督」



25:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/30(木) 23:09:56.33 ID:bn6jGOfbo

ボクが言い終わるよりも先に提督の顔が目前まで迫り、そのままボクの顔に影が覆いかぶさる
タバコを吸ったばかりの提督からは不思議な味がしたが、思ったよりも不快ではなくて自分でも驚いた
提督が風に当たりに行くと言って部屋を出て行った後も、ボクはそのまま立ち尽くしていた
顔が真っ赤になっているであろうことが、鏡を見なくても分かるほどに熱い
また演習に支障が出てしまいそうだ、とボクは小さく息を吐く
全く、提督には困ったものだ
そんな提督が大好きで仕方ない自分に、もっと困ったものなわけだが



26:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/30(木) 23:25:03.84 ID:bn6jGOfbo

「……おかえり、提督」

「うん、大丈夫。頭の整理は出来てないけど、平気」

「へ?ボクの気持ちが聞きたいって……もしかして分かってて言ってる?」

「……分かってないか、そうだよね」

「タバコを吸ってようが、吸っていなかろうが……」

「……提督の全部が、大好きだよ」

「……ん、ぅ」

「……」

「……これ以上提督の顔見続けたら、倒れちゃいそうだ」

「今日は自分の部屋で寝るよ、おやすみ」

「……っ」

「……自分の部屋で、寝たいんだけど」

「……」

「…………」



27:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/30(木) 23:32:15.04 ID:bn6jGOfbo

うちの提督はタバコが好きだ
ボクはそんな提督が、大好きだ



28:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/04/30(木) 23:34:36.84 ID:bn6jGOfbo

終わり

書いてる>>1はタバコ吸わない人だったりします
でもタバコを吸ってる人を眺めるのは嫌いじゃない
そんな感じ

猫耳パーカーとフーセンガム

1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/06/18(水) 02:13:21.44 ID:OIe+ZWtGo

「ニャー」

「にゃーにゃー」

どこからか猫の声と、猫を真似た人の声がした。
河川敷の下、声のした方を覗き込んでみるが誰もいない。
ここの河川敷には大きな水道橋があり、死角はいくらでもある。
わざわざ河川敷を降りてまで声の主を探しているのは、僕が猫好きという事もあるし……

「にゃーにゃっ……」

先程の声が、僕の好みにどストライクだったのもある。



2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/06/18(水) 02:13:37.14 ID:OIe+ZWtGo

「……もしゃもしゃ」

機嫌、直してもらえたかな……?

正座した僕の膝の上で猫が丸くなり、その猫の喉をゴロゴロと触る少女という不思議な構図。
少女は懐から取り出したフーセンガムを口の中でもしゃもしゃさせている。
どうやら、完全にご機嫌ナナメらしい。

「んーっ……」

少女が小さな体を大きく逸らせて口に力を込めると、ぷくーっとピンク色の球体が膨らんだ。
そのままの体勢でしばらく少女は固まっていたが、パンッと球体が弾けると同時にこちらを向いた。



3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/06/18(水) 02:14:14.21 ID:OIe+ZWtGo

口元に付いたガムをペロペロと舐めて口に戻し、再びそれを咀嚼しながら

「……あんた、誰?」

と、先程聞いた僕好みの声で尋ねてきた。
とりあえず僕は自分の通う学校と自分の名前少女に答えると、膝を崩して尻餅を付く。
猫が抗議のようにフニャーと鳴いて飛びき、そのまま少女の隣にぴょこんと着地した。
少女は「ふぅん」とあまり興味なさ気に呟くと、僕の鼻先まで顔を近づける。
思わずドキドキしてしまう僕。



4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/06/18(水) 02:15:06.57 ID:OIe+ZWtGo

「ここで見たこと、忘れろ」

鼻先まで近づいた顔が離れると同時に少女の手が伸びてきて、完全に不意を突かれた僕の顔を少女の爪が掠める。
すんでの所で躱せたか、と思った矢先に少女の隣の猫がコンビネーションアタックと言わんばかりに飛び上がり、僕の顔に一文字を作る。

い、いててっ!?

顔の痛みに思わず手を当てると、微かに血が滲んでいた。
いくらなんでもこの仕打ちは無いのではないか、と今度はこちらから抗議しようと顔を上げると



5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/06/18(水) 02:15:55.42 ID:OIe+ZWtGo

……あれ?

少女の姿も、猫の姿も無くなっていた。
まるで狐に……いや、猫に摘ままれたような顔で僕は茫然としていたが、ぴゅーっと一陣の風が吹いた所で平静を取り戻し

……帰ろう

と誰に言うでも無く呟くと、帰路に付いた。
それが僕と少女の、いいとも悪いとも言えないファーストコンタクト。



6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/06/18(水) 02:28:15.01 ID:OIe+ZWtGo

「……」

やぁ、元気?

また出会えるとは思っていなかったので、出来るだけ平静を装いながら声を掛ける僕。
もしかしたらもう一度会えるかも、と帰路をこちらメインにしてみたのだ。
昨日今日の事なので、警戒されて現れないかと思っていたら、あの声が聞こえたのだ。
正直、嬉しい。

「……また来たの、あんた」

「ニャー」

僕が胡坐をかいて座ると、猫がそこにぴょこんっと飛び乗る。
前回の件でてっきり嫌われていると思っていたが、少なくとも猫には好かれているらしい。

「……」

そんな猫を一瞥し、僕に恨めしそうな視線を向ける少女。
僕としては、そんな顔をされると実に悲しいので

こっち来て、撫でてあげたら?

昨日はそうしてたのに、と声を続けようかと思ったが、今の少女の機嫌を考えると藪蛇になりかねないので黙っておく。



7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/06/18(水) 02:54:26.67 ID:OIe+ZWtGo

「……むむむ」

唸りながら少女が僕の方へとにじり寄り、限界まで僕に近づかないようにしながら猫の方へと手を伸ばした。
猫は少女の手に頬を当て、気持ちよさそうにゴロゴロと喉を鳴らしている。
そんな仕草が可愛くて、僕もついつい手を伸ばしてしまい

「……っ!」

少女の手に僕の手が触れた瞬間、少女がバッとその場から飛んだ。
その直後、膝元にいた猫の奇襲で前回とは反対側に一文字が刻まれた。

いぎゃっ……!?

完全に不意を突かれた僕はゴチン、と頭を打ち付けのた打ち回る。
そんなこんなしているうちに、予想通りと言うかなんというか、少女と猫の姿は無くなっていた。

(……また、会えるかな?)



13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/06/18(水) 11:56:45.45 ID:OIe+ZWtGo

やぁ、元気?

「……ん」

「ニャーゴ」

もう何度目になるか分からない挨拶を、少女と交わす。
胡坐をかいて座った僕の膝上に猫がぴょこんと乗り、それに合わせて少女も僕の目の前に座る。

そうだ、今日はいいものを持ってきたんだ

「?」

僕の言葉に、少女がキョトンとした顔でこちらを見る。
万を持して、と言った感じで僕が取り出すのは、学校の近くで拾った猫じゃらしだ。



14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/06/18(水) 12:16:48.13 ID:OIe+ZWtGo

膝の上の猫に猫じゃらしをぴょこぴょこと振ると、猫もそれに合わせて足をぶんぶんと振る。
取られないように、だが興味を失わないように、絶妙な感覚で僕は猫じゃらしを振り続ける。

「……」

先程から気になっていたのは、少女の視線も猫じゃらしに合わせて揺れている事だ。
試しにくるくると回してみると、少女の眼球が所狭しとぐるぐる回る。
その様子が微笑ましくて、しばらく猫じゃらしを回しながらそれを眺めていたが

「……っ」

やがて僕の視線が自分に向いていることに気付くと、少女はぷいっとそっぽを向いてしまった。
前までならここで猫の爪が飛んできていただろうな、と僕は猫の頭を撫でる。
ゴロゴロと喉を鳴らす猫に、僕の頬が緩む。
少女の事も好きだが、それと同じぐらい猫も好きだ。
というか少女が猫の様だから好き、なのか?



15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/06/18(水) 12:30:58.25 ID:OIe+ZWtGo

あ、もうこんな時間か

河の色がほのかな紅色に変化したのを見て、僕はそう呟く。
少女と共にいると、時間が進むのが早くて仕方ない。
僕は猫じゃらしをしまうと、膝上の猫を持ち上げ地面に降ろす。

「ナーゴナーゴ」

猫が名残惜しそうにじたばたとしたが、ずっとここにいるわけにはいかない。
少女も少し不満げにこちらを見ていたのが僕の後ろ髪を引くが、名残惜しいのは僕も同じだ。
というか聞いていなかったが、少女は普段どこにいるのだろう?

ねぇ、キミって……どの辺りに住んでるの?

「……」

僕の質問に、少女が押し黙る。
少し困ったような、戸惑いを帯びた視線が僕の視線と重なる。
完全に虚を付かれる形で、そんな僕と少女の視線の間に黒い影。
その影が僕の顔に覆いかぶさり、シャッと僕の額に一文字が作られた。
初めてだった。
猫が少女の指示ではなく、自発的に飛びかかってきたのは。

……逃げられた、か

額の血を拭い、僕は夕焼けを見上げる。
まだ少し、踏み込むには早かったようだ。



16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/06/18(水) 12:59:36.04 ID:OIe+ZWtGo

や、やぁ……

「……」

次に少女と会えたのは、しばらく経ってからだった。
毎日通っていたのだがなかなか姿を見せてくれず、もう二度と会えないと思っていたので、やっと見つけた少女の背中に僕は慎重に声を掛ける。
そんな僕の心情を知ってか知らずか、少女のじっとりとした目とがこちらを向く。
いつものように胡坐をかいて座るってみるが、猫は少女の隣を離れなかった。
やはり、嫌われてしまったのだろうか……

「……何しにきたの」

言葉はいつもよりトゲトゲしいが、言葉の雰囲気は弱弱しい気がする。
何しに、と言われても困ったものだ。
答えは一つしかないのだから。

そりゃ、キミに会いに

当たり前じゃないかと言わんばかりの僕の言葉に、少女はパーカーの帽子をぐっと引いて顔を隠した。
その行動に何の意味があるのか、僕には分からなかったが……少なくとも嫌悪は感じないのでよしとしよう。



17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/06/18(水) 13:07:53.39 ID:OIe+ZWtGo

「ニャー」

猫が少女を心配するように一鳴きすると、少女はそれに答える様に猫の頭を撫で、そのまま手を下にずらして行って猫を持ち上げた。
少女が持ち上げると、猫は鳴き声一つ漏らさないらしい。
そのまま猫を運ぶと、少女は僕の目の前にポスンと腰を降ろした。
いつもの逆パターンと言った感じで、少女の膝の上に猫が乗り、その目の前に僕がいる。
これはつまり、そう言う事なのだろう。

……よしよし

僕は手を伸ばし、猫を撫でる。
猫を撫でていた、はずだったのに。

「……っ!」

「ナーゴ」

僕の手は真っ直ぐと、自分の思っていなかった場所へと伸びていた。
少女の頭を優しく撫でると、ふかふかの猫耳パーカーの感触。
これはやってしまったな、またしばらく会えないのかな、などと考えていた僕の想像と少女の反応は少し異なっていて、恥ずかしそうに上目使いにこちらを見ていた。
猫も今日は邪魔をする気は無いらしく、少女の膝上にごろんごろんと頭を擦り付けている。
しばらくそうして、時間が過ぎていった。



18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/06/18(水) 13:28:46.52 ID:OIe+ZWtGo

あんなことがあって、またしばらく間が開くかと思っていたのだが、案の定次の日も少女はいつもの場所にいた。
今日は珍しく、初めて出会った時に噛んでいたフーセンガムを膨らませている。
なんだか憂いを帯びたその佇まいに、僕は声を掛けられずにいた。

「……ん」

声を掛けられずにはいたのだが、比較的近くにいた僕に少女の方から気付いたようで、視線と共に少女がこちらへ近づいてきた。
僕の手前まで来て立ち止ると、少女は懐からガムを取り出してこちらへ差し出してきた。

「膨らませてみてよ、それ」

僕は少女の隣に座って、ガムをもしゃもしゃする。
そういえば今日は猫の姿が見えないが、どうしたのだろう?
少女に聞いて見ようかと思ったが、前回の事を考えるとまだ踏み入る勇気が無い。



19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/06/18(水) 13:35:49.67 ID:OIe+ZWtGo

「……あいつがさ、あたしを引っ掻きやがったんだ」

相手を責める口調で、少女が呟く。
だが僕はその言葉の端に感じた自責の念も見逃さない。

「だからさ、謝るまで許してやんないんだ」

弾けたフーセンガムを口の周りにつけたまま、少女が言う。
実を言うと僕はフーセンガムを膨らませるのがあまり得意ではないので、さっきからずっと噛んでいた。
だがものは試しだ、僕も膨らませてみる。

「あははっ、何それっ」

少女に笑われてしまった。
これでも相当真面目にやった方だったのだが。
少しムッとした表情をしていたのか、少女は笑いながら再び懐からガムを取り出した。
今度は箱ごと。

「あげるよ、それ。次会うときまでに練習しておいてね」

それだけ言い残し、少女はササッと走って行ってしまった。
残された僕は、しばらくガムを噛んでいた。



20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/06/18(水) 13:42:47.61 ID:OIe+ZWtGo

次の日、いつもの場所に少女の姿は無かった。
その代わりに、いつもの猫が少女の位置に座っている。
昨日は少女だけ、今日は猫だけか、と僕は胡坐をかいて座る。
その動きに合わせるように、猫がぴょんっと飛び乗ってきた。

「ナーナー」

僕に何か言いたげに、首をぐいーっと大きく逸らして鳴く猫。
残念ながら僕は猫語について詳しくないが、昨日の少女の会話から察するに少女への抗議なのだろうか?
フーセンガムをもしゃもしゃ噛みながら、猫の頭を撫でる。
ゴロゴロと言う小気味よい音を聞きながら、ガムを膨らませる練習をする僕。
昨日よりほんの少し上手くなったような気がするし、気のせいの様な気もする。



21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/06/18(水) 13:50:44.58 ID:OIe+ZWtGo

「ニャーオ」

猫の一鳴きで、僕は時間の流れに気付かされた。
ここはまるで時の流れが違うようで、いつも気付けばこんな時間だ。
今日は河の色が変わっていない、一雨来る前に急ごう。

キミは大丈夫なの?

僕は帰る前に猫に確認を取ると、猫は「ミャーゥ」と元気に返事を返してサッとどこかへ行ってしまった。
首輪も無いようだし、飼い猫でないのなら気にする必要はないだろうか。
ポッ、ポッ、とアスファルトに水滴の跡が浮かびだす。
こんな事をしている場合ではない、急いで帰らないと。



22:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/06/18(水) 13:51:42.73 ID:OIe+ZWtGo

その日は結局、雨が降りやまず
テレビでは何年だか何十年ぶりかの大雨になるだろうと言っていた



26:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/06/18(水) 17:36:40.96 ID:OIe+ZWtGo

案の定翌日は大雨で、学校へ行くのに親が送ってくれた。
ルートが違うので、あの河川敷の様子を確認することは出来なかったが、この雨を見るに何ともないとは思えない。
その事がずっと気がかりで授業など耳に入ってくるわけもなく、電車通学の学生を考慮して午前で授業を打ち切るという教師の宣言だけは聞き取れた。
皆が各々の手段で親と連絡を取る中、僕は雨の中を走り出した。
こんな雨の中を出歩くのは、バカのする事だ。
これで徒労に終われば、本当のバカだが……徒労であって欲しい。

うっ……!?

ドンッと胸に強い衝撃受け、僕は尻餅を付く。
服が派手に濡れてしまったが、今はもう気になるレベルではない。

「ご、ごめんなさ……って、あんた!」

雨音の中で聞こえた、聞きなれた声。
びしょびしょに濡れてしまったパーカーは、猫耳が萎れてまるで元気の無い猫の様だ



27:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/06/18(水) 17:44:10.47 ID:OIe+ZWtGo

「なんでこんな所に……じゃない、急がないと!」

走り出そうとする少女の腕を、僕はガッと掴み制する。
少女が行こうとする先は、分かっていた。
分かっていたからこそ、僕は止めようと腕を掴んだのだ。

「離せっ!」

ガリッと少女の爪が僕の手に食い込み、赤いラインを作る。
だが今日の僕はこれで怯むわけにはいかない。

あの子が心配なら、僕が行ってくる!キミは家に帰るんだ!

こんな大きな声、他人に向けて初めて出したかもしれない。
それほどまでに大きな声が、僕の口から発されていた。



28:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/06/18(水) 17:49:51.00 ID:OIe+ZWtGo

「……っ」

僕の剣幕に少女がわずかにたじろいだが、すぐにキッと僕を睨み付けなおも暴れようとする。
どうやら説得は無理らしい、ならば選択肢は一つだ。
掴んでいた腕を緩め少女を解放すると

危なくなったら逃げるんだよ?

そう言って、少女と一緒に走り出した。
返答は聞かなかったが、きっとこの子なら分かってくれているだろう。



29:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/06/18(水) 17:59:15.10 ID:OIe+ZWtGo

河川敷は大分河に侵攻されていたが、まだ何とか通ることは可能なレベルであり、猫がいたとしてもおかしくない。
少女が臆することなく河川敷を降りていったので、僕も少し遅れて少女を追う。

「猫ーっ!どこにいるんだ、猫ーっ!!」

そうらやあの猫、名前らしい名前を付けられていなかったらしい。
この子らしいと言えばこの子らしいのだが、こういう場合少々不便だ。
などと冷静に考えている場合でもなく

猫ー!どこだーっ!

僕も少女に習い、猫の名を呼ぶ。
雨音にかき消されないように、お腹の底から声を張り上げる。
そんな僕らをあざ笑うように雨は勢いを増し、河川敷もどんどん危険度を増していく。
そろそろ少女を無理にでも連れ帰ろうかと思案していた所で

「ニャウーン」

か細い声が、確かに聞こえた。



30:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/06/18(水) 18:19:59.09 ID:OIe+ZWtGo

流れに飲まれた大岩の上で、雨に濡れて細くなった猫が震えている。
少女はそれを見てすぐにでも飛びつこうとしたが、僕は何とかそれを押さえる。
無策に飛び込めば、まず助からない流れの速さだ。
しかし、もちろんこのまま放っておくと今度は猫が危ないわけで。
僕は鞄の中に使えそうなものが無いかぶちまけてみるが、特に何もなく
いや、そうか……使えそうなものはまさにこの鞄だ

少し待って!

「……?」

鞄を肩にかける時に使う紐の部分、その片方を外し一本の帯のようにする。
こうすれば簡易的な救命うきわのようなものになるだろう。



31:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/06/18(水) 18:24:05.96 ID:OIe+ZWtGo

これに捕まって!

言葉が通じているかなんて知ったこっちゃないが、僕はそれを猫に直接当たらないように投げる。
流れが鞄を押し流そうとするが、うまい具合に岩の窪みに引っかかってくれた。
少女が固唾を飲んで見守る中、猫がそれに爪を引っ掻けるのを確認すると、僕は鞄を手繰り寄せた。
再び流れが猫を引っ張り、水を吸った鞄の重みが僕を河へと引き込もうとする。
こういう時が、もっと運動をしておけばよかったと反省する瞬間なのか。
重みがかなり苦しくなってきたところで、ふっと僕の体が軽くなった。

「ふんぎぎ……」

少女が僕の腕を握り、力を貸してくれたのだ。
猫も必死に鞄に爪を立て、流れに逆らっている。
ここで僕が頑張らなければ、男が廃る。

ふんぬぬ……っ!

やっとの思いで流れから解放されると、すぽーんっと鞄と猫が宙を舞う。
あっ、と息をのんだ僕達だったがそこは濡れても猫、シュタッと華麗に着地を決めた。



32:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/06/18(水) 18:28:53.25 ID:OIe+ZWtGo

雨でびしょ濡れの僕らは、流れと雨の直接届かない位置まで移動して一旦座った。
本当は早く家へと帰ったほうがいいのだろうが、クタクタで動く気力が沸かない。

「……くしゅんっ」

「クシャッ」

少女と猫が、ほぼ同時にくしゃみをした。
これだけ濡れればくしゃみも出るだろう、と僕は少女の方を見てハッとした。
服がずぶ濡れで、体のラインがはっきり出ているのだ。
華奢な体だと思っていたが、その小ささに似合わず意外としっかり出るとこが出ており、寸胴に見えていたのはパーカーの丈のせいだと……

「……」

「……フニャー」

僕の視線に歯向かうような視線が二つ光ったかと思うと、僕の顔にラインが二つ刻まれる。
それによって仰け反った僕の視線の先で、赤いパトランプが光ったのが見えた。



33:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/06/18(水) 18:37:50.49 ID:OIe+ZWtGo

パトカーの中で渡されたタオルでとりあえずは髪を拭きながら、僕は少し思慮を巡らせていた。
少女のためとはいえ、両親を大分心配させてしまっただろう。
後悔はしていないが、申し訳ない気持ちは大きい。
少女の方はと言うと、胸に抱いた猫をタオルで拭きながら俯いている。
警官が来た時、一瞬たじろぐような仕草を見せたのが気がかりだった。
やがてパトカーがたどり着いたのは、街の外れにある大きな屋敷。
詳しくは知らないが、とりあえずデカくて目に付く建物なので僕も視界に入れたことぐらいはあった。
まさか、とは思うが

「お嬢様!心配しましたよ、今まで一体どこに!?」

漫画やアニメでしか見ないようなメイド服を着た女性が飛び出してきたのを見て、僕のまさかはあっさりと破られた。
呼ばれたお嬢様、もとい少女は面倒くさそうに女性の方を見返して、それから僕の方を見た。

「……」

……

僕の視線と少女の視線がぶつかる。
何か言葉を待つような、そんな視線に僕は出来る限りの笑顔を作って

また、明日

そう、少女に言った。
僕の言葉に少女は、初めて見せる無邪気な笑みで

「うん、また明日」

そう答えた



35:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/06/18(水) 20:13:25.93 ID:OIe+ZWtGo

なんとなくそんな気はしていたけれど、次の日も、その次の日も、少女は現れなかった。
誰もいない河川敷でガムを膨らませて、しばらくして帰る。
明日は、明後日は、明々後日は、と。
僕には彼女を忘れる事なんて、出来なかった。



36:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/06/18(水) 20:19:11.92 ID:OIe+ZWtGo

気付けば苦手だったフーセンガムも、かつて少女が膨らませていたよりずっと上手く膨らませられるようになり、僕の背も大分伸びた。
僕がいつものように、河川敷に仰向けになりながらフーセンガムを膨らませていると、スッと僕の視界を影が覆った。

「……」

……?

目の前に立つ女の子は、うちの学校の制服を着ていた。
見たことない顔なところを見ると、新入生だろうか?
ガムを膨らませたままでは失礼と思い、僕はガムを口に戻す。
女の子は何か言いたげにこちらを見ているが、残念ながら僕に言えることは無く。



37:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/06/18(水) 20:32:40.99 ID:OIe+ZWtGo

……誰、ですか?

僕の返答に、女の子は呆気に取られた表情で固まる。
そんなに変な事を言っただろうか?と首を傾げた僕の視線、斜め下の辺りに見たことのある猫の姿。

「……せっかく会いに来てやったっていうのに……!」

僕の大好きな猫みたいな声が、目の前の女の子から発せられて、それに合わせて猫が飛び上がった。
そんな猫を僕は胸で受け止めて、河川敷の上に転がる。
久しぶりの再会に、ゴロゴロと喉を鳴らす猫を撫でながら女の子……いや、少女を見上げる。
もう少し年下と思っていたが、まさか先輩後輩ぐらいしか歳の差が無いとは。

「……遅くなってゴメン」

少ししおらしい表情の少女もまた可愛くて、そのままにしておこうかと思ったが、流石に可愛そうなので僕は笑いながら

別に?一年ちょっとぐらいさ

とだけ返した。
少女が今まで何をしていたかとか、そういうのが気にならないわけではないが、今は会えた事がただ嬉しい。

ガム、膨らませるの上手くなったんだよ

「……そっか」

食べる?ガム

「……うん、貰う」



38:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/06/18(水) 20:35:17.11 ID:OIe+ZWtGo

猫耳を外した少女はなんだか恥ずかしそうで、正直僕的にはあのパーカーの方が恥ずかしいと思うのだが。
二人でガムをはむはむとして、ぷくーっと膨らませる。
猫がそんな僕らを、遠目に見て「ニャー」と鳴いた。

「……あ」



少女が口にしていたガムが、ぽろりと下に落ちる。
どうやら少女の方は大分ガムとご無沙汰の生活をしていたと見える、力加減を間違えたのだろう。
僕がポケットに手を入れようとしたが、少女はそれを無視して

「ガム、貰うね」

と言って、顔を近づけてきた。
フーセンガムの甘い味が、口に広がる。



39:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/06/18(水) 20:40:22.69 ID:OIe+ZWtGo

僕のものだったフーセンガムをはもはもしながら、少女がこちらを向く。
ほんのり染まった頬が、さらに愛らしさを加速させる。

「……今年からよろしく、先輩」

うむ、任せろ後輩

僕も少女もしばらく空を見つめていたが、だんだん僕も口が寂しくなってきたので、ガムを貰う事にする。
そんな僕らを見かねてか、猫は「ニャウニャウ」と呆れたような声を出して去って行った。

これが僕と少女のなんてことはない再会。
今年からは、学校が楽しくなりそうだ。



40:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/06/18(水) 20:50:23.80 ID:OIe+ZWtGo

まったり続かない



45:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/06/19(木) 01:23:00.67 ID:YW5toWG5o

こっからは蛇足なので、読みたい方だけどうぞ



46:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/06/19(木) 01:27:22.78 ID:YW5toWG5o

少女と……いや、彼女と感動的とも言えない再会をした後も、僕らは河川敷へ通っていた。
あの猫は彼女の飼い猫になったようだし、別にここで会う必要はないのだけれど、彼女にとっては特別な場所らしい。

学校はどう?慣れた?

「んー……ふつー」

話を聞いた所彼女は家出少女だったらしく、家出していた理由は「おばあちゃんがめんどくさかった」と話してくれた。
そんな彼女なので、クラスに馴染めるか僕は少し不安だったのだが……この前学校で見た彼女の様子を見る限り、何の問題もなかったようだ。



47:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/06/19(木) 01:40:29.49 ID:YW5toWG5o

あれからしばらく会えなかったのも、そのおばあちゃんから外出を禁止されていたらしく、きちんと学校へ行くことを条件に解放されたらしい。
あの時パトカーによるのを嫌がっていたのはそう言う事だったのだ。

でも、あんな学校でよかったの?

「ん」

正直言うと、お世辞にも僕の学校はレベルが高いとは言えない。
そんな厳しいおばあちゃんなら、納得してはいないのではなかろうか。

「別に勉強はどこでも出来るし」

彼女は想像以上に凄い人物だったようだ。

「勉強分からなかったらいつでも聞いてね」

二年も下の相手に聞くのはどうなのだろう、とその時は思ったが、後日のテスト勉強で彼女の凄さを知ることになるのだった。



48:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/06/19(木) 01:42:09.40 ID:YW5toWG5o

説明しきれなかった部分の補足終わり
イチャラブはまあ別の作品で機会があれば
ではいつかまた会いましょう

あの日までボクは、普通だった

1: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/11(水) 22:50:38.63 ID:V0oZRo4io

「……はぁっ……はぁっ……」

キミの首筋に手を当て、力を込める
汗ばんだキミの手が、僕の顔へと伸びて

「……ふっ、ぅ……」

キミが僕へ、笑みを向けた
そこでふっと力が抜け、僕はその場にへたり込んだ

「……」

キミは無言のままで、僕の方へと歩み寄ると
そっと僕を抱きしめた

……温かい

「……うん、温かいね」
 
2: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/11(水) 23:13:18.92 ID:V0oZRo4io

僕は昔から、よく顔に出ると言われていた
喜びや悲しみ、嫌悪まで分かりやすいらしく
トランプゲームで勝てた試しはない

……はぁ

今日も、頼まれ事が面倒だと思ったのが顔に出ていたらしく
相手に大分不快感を与えてしまったようだ
出しているつもりはないのに、出ているだとか
そんなこと言われても、僕には分からない

……にー

ガラスに映る自分の顔を、笑わせてみる
別に常にこんな顔でいろってことじゃないのは分かってる、分かっているのだけれど




3: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/11(水) 23:57:15.07 ID:V0oZRo4io

……?

視線を感じて、振り返ると
同じクラスの……名前は忘れた
とりあえず女子が、こっちを見ていた

「……」

目の下の隈が目立つその子は、僕を一瞥すると去って行った
何か言いたいことがあったのだろうか?
まさか、また話しかけづらい顔をしていたのか……と
僕は表情をむにむにしてみる
頑張って普通にならないと、と思う




4: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/12(木) 00:19:29.02 ID:sTdQO3Nzo

……はぁ

僕が悪い、僕が悪いのだ
こんな顔しか出来ない、僕が
頭の上から出かかった感情を、何とか飲み込み
自分の頭をガシガシと掻くことで何とか発散する

……?

また、視線を感じた
うっすらと笑みを浮かべ、こちらを見つめる視線
僕に何か用なら、話しかけてくればいいのに
今日もそのまま、立ち去ろうとする




5: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/12(木) 00:29:16.67 ID:sTdQO3Nzo

……ま、待って!

その子の背中を追って行くうちに
だんだんと人気のない校舎の裏の方へと進み
気付けば日差しも陰る位置まで来てしまっていた

……っ

暗がりで光るその子の瞳が、僕の瞳と重なる
どこまでも吸い込まれていきそうな、真っ黒い瞳

「……何か用?」

小さな声で聞き取り辛かったが、その子は確かにこちらを向いて声を発した
何か用、って……それはこちらの台詞なのだが




6: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/12(木) 00:33:04.64 ID:sTdQO3Nzo

「……」

無言のまま、立ち去ろうとするその子
僕は咄嗟に出した腕で、それを阻む
自分でもびっくりするほどに俊敏で、無意識のうちの行動

……あ、あの、その……

行ってほしくない、行ってほしくない一心で

「……っう」

僕はその子の首元へと、手を伸ばした




7: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/12(木) 00:34:02.52 ID:sTdQO3Nzo

続く




11: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/12(木) 12:51:07.84 ID:sTdQO3Nzo

自分の腕に、自分のものとは思えぬ力が加わり
目の前の対象を逃がさないように、ギリギリと締め上げる

「がっ……ふ」

対象がもう一度、声を漏らしたところで、体が僕の意識下へと舞い戻る

……っ!!

すぐに手を離し、女の子を突き放す
元々貧弱そうな体が、どさりと地面に横たわった

はぁ……はぁ……

まるで僕の方が首を絞められていたかのように、息が荒くなる
なんてことをしてしまったのだろうか
感情的になりやすい自覚はあったが、まさかここまでの事をする人間だとは自分でも思っていなかった
じっとりとした手に、まだ生暖かい感触が残っている




12: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/12(木) 13:04:35.70 ID:sTdQO3Nzo

「……」

ゆらり、と女の子が立ち上がる
僕はビクリと肩を震わせて、後ずさる
逃げようかとも思えないほどに、足が竦んで動けない

あ……ぅ

女の子と頬が触れて、唇が耳たぶに触れそうなほど近寄る
このドキドキは、さっき自分がしてしまったことへの動揺だけではない気がした

「――――」

耳をこそばゆい感触が通り抜け
そのまま女の子も、僕の隣を通り抜けて行ってしまった

……

僕は彼女が言った言葉を、繰り返す

……ま、た?




14: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/12(木) 23:36:10.98 ID:sTdQO3Nzo

……

結局、昨日は一睡も出来なかった
浮かんでは消えるあの子の最後の言葉が、あなたを眠りに落ちるのを妨げるのだ
また、と彼女は言った
あんなことをされておいて、またなどと言えるなんて……一体どんな神経をしているのだろう
あんなことをした僕が言えたことではないのかもしれないが

……あれ、いない

確かあの子は同じクラスだったはずだ
なのに、教室を見回しても姿が見当たらない
誰かに聞こうにも、あの子の交友関係など知る由も無く
とりあえず確実であろう担任に所在を聞いてみる

「ん?あー……多分、保健室にいるんじゃないか?」

教師から帰ってきたのは、話半分の返答
まぁ、自分も同じ質問をされたら似たような反応をしてしまうだろうし気にはしなかったが




15: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/12(木) 23:50:00.19 ID:sTdQO3Nzo

失礼、します

保健室に入ることなど滅多にない僕は、何故だかこの部屋に妙な緊張感を感じてしまう
別に健康な奴は入室禁止、などとルールがあるわけでもないのにも関わらずだ

誰も、いない……?

シーンと静まりかえった保健室は、人の気配を感じさせず
いつもニコニコと愛想を振りまいている保健室の先生すら見当たらない

……ん

ベッドにいる人を隠すベールの向こうに、人影が見えた
性別まではハッキリとしないが、こんな時間に保健室にいるのは大抵元からこの場所にいる者だけだろう

……

なぜか忍び足になり、変に緊張しながら僕はベールの向こう側へと歩を進める
見えた影から考えて、どうせこちらの動きは筒抜けだと言うのに
滑稽にも僕は隠れている『つもり』になりたかったのだろう




16: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/13(金) 00:00:22.30 ID:oMXy2irYo

「……誰?」

ほんの小さな音だったが、静まりかえった保健室では十分な大きさを持ったその声は
僕の耳へと届き、僕の体をビクリと震わせた
シャーッとベールが横へ動くと、正に予想通りの姿がそこにあった

「……なんだ、キミか」

『なんだ』に込めた意味は落胆なのか、それとも安堵なのか
そんな些細なことまで気にしてしまう僕は、やっぱり普通じゃないのだろうか

「……ねぇ」

くだらない思案を巡らせていた僕の首元に、そっとその子の手が伸びてきた
そのままくるりと僕の首の後ろで交差し、またあの時のようにこそばゆい感触が耳元に広がった

「―――『また』なんでしょ?」

背中にゾクリ、と冷水を掛けられたような感覚が襲って
彼女がそっと僕の首から手を離した

「……ふふ」

ボクは普通になろうと思っていた
その気持ちに嘘は無い、と今でも思っている




18: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/13(金) 20:47:52.93 ID:oMXy2irYo

指先に感じる温もりは、決して居心地のいいものでは無く
かといって気持ちが悪いわけでもない、不思議な感覚
目の前のその子も拒絶するわけではなく、かと言って享受するわけでもなく
ただ、あるがままを受け入れている

「……っ」

小さな声が彼女の口から漏れるが、今度の僕は手を離さない
と言うよりは、何かに取りつかれたように手を離せなかった




19: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/13(金) 21:31:00.60 ID:oMXy2irYo

「……っけほ」

彼女の爪が僕の手に刺さったところで、僕の手が彼女から離れた
クールな彼女の額に浮かぶ汗と荒い息使いが、非常に艶めかしい

「……満足、した?」

小さく笑みを湛えて、彼女がそう口にする
僕は自分の手をぐーぱーして、残る感触を確かめて
こくり、と小さく頷きを返した

「……そっか」

彼女は満足そうにそう言ってぽふんとベットに戻ると、すやすやと寝息を立て始めた
そんな彼女の姿を見て、僕は小さく溜息を吐いた
自分の姿を昨日の自分が見たら、一体何と言うだろうか……

……何も言わないだろうな、きっと

僕はもう一度彼女の方を見て、教室へ戻った




20: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/13(金) 21:51:30.18 ID:oMXy2irYo

異常な関係だという、自覚はあった
だが、彼女の首に手を回す度にそんなことはどうでもよくなって

「……ふふ」

彼女の芝居ががった笑みの魅力に取りつかれてしまったように
僕は何度も彼女に会いに行った




23: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/14(土) 01:13:47.78 ID:gznmFIQ8o

はぁ……はぁ……

「……けふ」

今日もまた、彼女に会いに来た
大体会うのは保健室だったが、今日は最初に会った校舎裏
誰かに見られたら、きっと先生を呼ばれてしまうだろう
そうなったらどうしよう?と以前の僕なら考えていたはずなのに

……やり過ちゃった?

「……ううん、平気」

今は何故か、誰かに見られても平気な気がしていた
幸いな事に今まで見つかってないが




24: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/14(土) 02:06:33.79 ID:gznmFIQ8o

「……」

……

服の乱れを直し、キミが立ち上がる
相変わらず異常な関係の僕らだが、僕はもう少し前へ進んでみたかった
だけどそれを言ったら、この関係が全て崩れてしまう気がして

「……どうしたの?」

ううん、なんでも

この関係がずっと続く保証なんて無いけれど
臆病な僕は前に進めなかった




25: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/14(土) 02:17:17.13 ID:gznmFIQ8o

……あれ

教室に、彼女の姿が無い
たったそれだけのことで、ここまで焦燥感を覚えてしまう自分がいる事に気付いたのは
担任が彼女の名を呼んだ時に、めんどくさそうな顔をしたときだ

……

そわそわと落ち着かない
すぐにでも教室から出て、彼女の家へ行きたいぐらいだ
家へ行って……行って何をすると言いうのだろう
学校を休むほどの体調の相手を、さらに追い込むとでも?
本格的に異常者になりつつある自分に恐怖さえ覚える

……でも

キミがそれでいいなら、僕はそれでいい




26: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/14(土) 02:29:04.91 ID:gznmFIQ8o

「お前、あいつと仲良かったよな?」

教師からプリントを渡された時に言われた一言で
意外と他人の視線と言うのは、感じていないだけであるのだと痛感させられた

……ここか

変哲もないマンションの一室、ここが彼女の部屋らしい
あれだけの事をしていて今さらなのだが
女の子の家を訪問する、というだけで変に緊張してくる

……

覚悟を決めて、チャイムを押す
少し待つが、反応が無い
二度、三度とチャイムを押してから確信する

これ……壊れてる




27: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/14(土) 02:47:21.09 ID:gznmFIQ8o

鍵が開いてなければ、帰ればいい
グッと力を込めると、何の抵抗も無くノブが回る

……不用心だな

これはチャイムが壊れているせいだ、そうなんだ
そう誰にするわけでもない言い訳をして、ドアを引く
他人の家独特の匂いの様な物を感じつつ、僕は玄関へと歩を進めた
どうやらワンルームらしく、一本の通路にトイレと思しきドアと台所が見えた
台所の様子を見るに、あまり自分で料理などはしないようだ

(というか、一人暮らし?)

かさり、と物音がして
僕の背後に、人の気配がした
さっきまで全然しなかったのに、だ

「……誰?」

静まり返った部屋に、聞きなれた確かな声
普段見たことの無い、着崩した私服姿のキミがいた




29: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/15(日) 01:07:45.99 ID:Vslkpuijo

ほとんど反射的に、僕は飛びかかるようにキミの方へ近づく
キミは驚きもせず、僕をそのまま受け止めて
そのままどすんと床に倒れ込む

「……痛いな」

……ごめん

キミの冷たい手の平を感じながら、僕は謝罪を口にする
もちろん気持ち半分で、だが




30: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/15(日) 01:12:54.15 ID:Vslkpuijo

「突然家まで来るなんて、凄く驚いたよ」

全然驚いていないようにしか聞こえない声で、キミが言う
そうだ、プリントを渡すのが目的だったのだ
僕は鞄を開くために、手を引こうとした

……?

「……ふふ」

イタズラっぽく笑いながら、キミは僕の手をぎゅっと握り返した

「ここまでしておいて、まさかその手を離そうってわけじゃないよね?」

……

どこまでも、どこまでも奥が見えない瞳に
僕の心が、どんどん吸い込まれていく
そして、まるで誘われるように僕の手がキミの首へ伸びて……




31: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/15(日) 01:21:05.69 ID:Vslkpuijo

……っ

「……?」

僕は伸ばした腕を、そのまま首の後ろへ回し
キミが最初に僕にしてくれたように、ぎゅっと抱き締めた
顔を近づけた時、一瞬見えたキミの顔は
今まで見たことの無い、少し驚いた時の顔
もしかしたらキミは、僕にこんな事望んでなどいないのかもしれない
幻滅されてしまったら、もう二度と会えない可能性だってある
それでも、僕は……僕は




32: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/15(日) 01:33:14.98 ID:Vslkpuijo

「……温かいな」

しみじみと味わうように、キミが小さく呟いて
僕の背中にくるりと、さも当たり前のようにキミの腕が巻きついてきた
ひんやりとした感触が背中に伝わって、だんだんキミの手も温かくなっていく

……うん、温かい

そのまましばらく、僕らは抱き合っていた
時間だけが、ゆっくりと過ぎていく




33: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/15(日) 02:28:21.76 ID:Vslkpuijo

どのぐらい時間が過ぎただろうか
いや、実際はそこまで経っていないかもしれないが
僕は名残惜しみながらキミから離れると、鞄からプリントを取り出した
少し不満げに僕の方を見ながら、渡されたプリントを眺めると
そのままくしゃりと丸めて、ポンと部屋の端へ放った

「……」

……

一旦落ち着いてしまうと、自分がやったことが頭の中でぐるぐる回りだす
他人の家に押し入って、その家にいた人を押し倒して
字面だけ見れば、完全に犯罪者だ

「……もう一度、いいかな」

……ん

水を差された事を攻める様に、今度はキミの方から腕を絡め
そのままお返しとばかりに僕の耳を噛む
ゾクリと背中が震えて、その振動がそのままキミに伝わり

「たまにはキミがやられてみるのもいいんじゃないかい……?ふふ」

そう、耳元で囁かれてまたブルリと体が震えた
さっきので不意を付いたと思ったが、まだまだキミの方が上手らしい




35: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/16(月) 02:55:38.52 ID:Kcj+csRgo

あのプリントの日から、数日過ぎたが相変わらず学校での僕らに大きな変わりはなく
変わった事と言えば、キミが教室で僕の隣にいる事だろうか
何故保健室通いをしていたのか、結局分からずじまいだったが
別に知る必要もないことだと僕は気にしないことにした

「なんだか新鮮な気分だね」

キミが僕に向けて、微笑みかける
みんなが見ている前だと少し気恥ずかしい

「大丈夫、意外と他人の事なんて気にしてないものさ」

キミの顔が近づいて、僕の頬に軽く口付けた
ぱくぱくと魚のように口を動かす僕を尻目に、キミは席へと戻って行った

……性格、変わった?

いや、元からこうだったのかもしれない
こういうことが出来る相手を、探していたのだろうか




36: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/16(月) 03:27:20.19 ID:Kcj+csRgo

「……っふ、う」

……ふぅ

今日も校舎裏で、僕らは行為を重ねる
大分頻度は減ったものの、未だに続けてしまっている自分が怖い
受け入れられたはずなのに、こうして握りしめていないとどこか遠くへ行ってしまう気がして


「……離さないでね」


キミが少し不安そうに僕を見て、そう言ったあの日
僕は絶対にキミを離さないと決めた
だから僕はもう、普通でなくていい




37: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/16(月) 03:27:54.79 ID:Kcj+csRgo

終わり

後輩「あ、先輩。今日もお疲れ様です」

1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/29(木) 23:46:18.90 ID:s1PQExDg0
男「やぁ、お疲れ様」

後輩「今日も地球を救ってるんですか?」

男「うん、そう」チョロチョロ

後輩「ジョウロ片手に言っても、いまいち締まりませんね」クスクス

男「ははは、違いないね」

後輩「それにしても、最近暑いですね……暑いのは苦手です」

男「異常気象ってこういうの言うんだろうねー。よし、終わり」

2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/29(木) 23:53:11.64 ID:s1PQExDg0
後輩「先輩、これから暇ですか?」

男「んー、まぁ……いつも通りかな」

後輩「それじゃ、一緒に帰りませんか?」

男「んー、そうだね。いつも通りにしようか」

後輩「駅前のゲームセンターに寄り道しましょう!」

男「……それはいつも通りじゃない気がするけど?」

後輩「気にしない気にしない……新しいのが出てるから今日行きたいんです」

男「……まぁ、眺めるのは好きだから構わないけど」

後輩「やったー!さ、行きましょ行きましょ!」


3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/29(木) 23:56:55.19 ID:s1PQExDg0
ジャララララ  ジャラララララ

男「相変わらずうるさい場所だなぁ……」

後輩「えーっと……あった!ありましたよ、先輩!」

男「ありましたよ、と言われても……」

後輩「これはアーケードシューティングの最高峰で……とりあえずやりましょう!」

男「え?」

後輩「ほらほら、早く100円を出してください!」

男「眺めてるつもりだったんだけど……まぁいいか」チャリン


4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/30(金) 00:01:18.52 ID:s1PQExDg0
後輩「……(ガシャン バシバシッ)」

男(凄い表情で食い入るように画面を見てるな……よほど面白いんだろう)ガチャガチャ

後輩「あ、先輩危ない!(ポチッ」ボガボガーン

後輩「もー、先輩……もうちょっとでやられてましたよ?」

男「……申し訳ない」

後輩「……くっ……はっ!」ガチャガチャガチャガチャ

男「よっと……ほっと」がちゃん  がちゃん


5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/30(金) 00:08:08.23 ID:s1PQExDg0
デレレレーン  ギャギャギャギギィ

男「なんかデカイの出てきたな」

後輩「こいつがラスボスですよ、ラスボス!」ガチャガチャ

男「おー、こいつで最後かー」かちゃ がちゃ

ビビビビビビ ピキューン ピキューン

ぐりんぐりん ぐるんぐるん

後輩「やっと最終形態……絶対倒すぞー!」ガガガガガ


6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/30(金) 00:14:09.58 ID:s1PQExDg0
ボボボボボ   ボガーン
テーレーテレーレー♪

後輩「やったー!クリアだー!」グッ  パチパチパチ

後輩「……て、あれ……?」キョロキョロ

モブA「まさか今日でた新台をいきなりクリアするとは……」

モブB「これはいいもん見させてもらったなぁ」
ぞろぞろ…… ぞろぞろ……

男「大人気だねー、羨ましいよ。おめでとう」

後輩「……せ、せんぱい!か、かえりましょう!」(は、恥ずかしいっ!)ダッ

男「うん、そうしようか」タタタッ

モブA「よし、今度は俺が挑戦だぁ!」チャリン  ボガーン


7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/30(金) 00:21:37.57 ID:s1PQExDg0
後輩「はぁ……はぁ……」

後輩(つ、つい我を忘れてしまってた……恥ずかしい……)

男「あ、そういえば」

後輩「え?何か忘れ物ですか?」(戻りたくないよー……)

男「名前入れるの、すっかり忘れてたね」

後輩「そ、そんなことですか……ははは」(よかった……)

男「せっかくクリアしたのに、勿体無いな……」

後輩「大丈夫ですよ。またクリアすればいいんですし」

男「あー、それもそうか」


8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/30(金) 00:26:37.94 ID:s1PQExDg0
後輩「それより……すいません、先輩」

後輩「誘っておきながら、私だけが楽しんでしまって……」

男「んー……ほれ」スッ

後輩「え?あひゃい!?」ひんやり

男「走って疲れたでしょ?どうぞ」

後輩「あ、あの……」

男「楽しめた?さっきのゲーム」

後輩「え?あ、はい……凄く」

男「100円でエンディング見せてくれてありがと。感謝してるよ」

後輩「……ありがとう、ございます」ゴクゴク


9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/30(金) 00:34:35.91 ID:s1PQExDg0
男「さて……結構あそこにいたみたいだね」

後輩「え……って、もうこんな時間だったんだ……」

男「俺は帰るけど、送っていこうか?」

後輩「いえ、大丈夫です。ここからそんなに遠くないですし……」

男「そっか、くれぐれも気をつけてね。じゃ」


後輩「……さて、私も急いで帰ろっと」


10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/30(金) 00:47:40.79 ID:s1PQExDg0
後輩「今日を思い返してみると……はぁ……」

後輩「いつも通りとは言え、また先輩を蚊帳の外に……」ボフン

後輩「ゲーム始めると止まらないんだよなー、どうも」

後輩「だからと言って、他に誘う場所も浮かばないしなぁ……」ゴロゴロ



男「……」ピコピコ ボガーン

妹「おにいちゃーん、ご飯だよー……って、あれ?」

男「ん、ご飯出来たのか。今行く」

妹「お兄ちゃんがゲームしてるなんて珍しいね……なんかあった?」

男「いや、別に」ピッ スタスタ


11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/30(金) 01:12:46.57 ID:s1PQExDg0
後輩「明日は、どこにも誘わないで普通に帰ってみようかな?」

後輩「……そういえば、今までゲームセンターとかに誘ってばっかだったな」

後輩「よし、そうと決まれば……おやすみ!」バサッ


男「……」ピコピコ

妹「えい、やぁ」ピコピコ ピキュンピキュン

男「……あ」ボガーン

妹「おにいちゃん……すっごく下手!」

男「も、もう一回だ……」


12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/30(金) 01:36:55.77 ID:s1PQExDg0
チュン  チュチュン

後輩「ん、んん……はっ!」ガバッ

後輩「ええと時間は……えっ、もうこんな時間!?」

後輩「あーもー!お母さん!」

後輩母「あら、どうしたのそんなに急いで」

後輩「なんで起こしてくれなかったの!」

後輩母「え、今日は学校お休みでしょ?」

後輩「え……あ、そうだった……よかったー、焦って損したよ……二度寝しよっと」



後輩「っていう、夢を見たの」

後輩友「なるほど、だから遅刻してきたのか」


14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/30(金) 01:43:20.19 ID:s1PQExDg0
男「……うぐ」フラフラ

男友「おいおいどうしたんだよ、ふらふらじゃねーか」

男「……昨日、少々徹夜してしまって」

男友「お前が徹夜……?今日の小テストの勉強でもしてたのか?」

男「……いや、ゲームをしていた。小テストあったな、そういえば」

男友「……大丈夫なのか?それで」

男「いつも、通りさ」

男友「あー、はいはい。いつも通りな」


15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/30(金) 01:56:49.54 ID:s1PQExDg0
後輩「よーし、今日こそ先輩と普通に帰るぞー!」

後輩友「あらあら、何か気合入ってるねー、今日は」

後輩「ん?」ブー ブー 「メール……あ、先輩からだ」

男『すまないが、補習を受けるハメになっってしまった。地球は君の手で守って欲しい』パタン

後輩「はーあ……今日はダメっぽそう、かな?」トボトボ

後輩友「私も手伝うから、気を落とさないで……」タタッ


16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/30(金) 02:00:27.28 ID:KZxgXSiH0
久々に良いSS
設定がというか書き方が
がんばって


17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/30(金) 02:13:32.29 ID:s1PQExDg0
男「大分居残りさせられた……日が落ちかけてきてるし」

男「しかし、あそこまで酷い結果になるとは思ってなかった……」

男「……あれ?」

後輩「あ、先輩。お疲れ様でした」

男「後輩……帰ってなかったのか?」

後輩「私が地球を、守らないといけませんからね」エッヘン

男「……ホース握り締めながらだと、締まらないな」ククク

後輩「……いつも先輩がそうなんですよ?」クスクス


18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/30(金) 02:20:39.17 ID:s1PQExDg0
後輩「先輩、この後お時間あります?」

男「んー、いつも通りだよ」

後輩「それじゃ……今日は、普通に帰りませんか?」

男「普通に……」

後輩「いつもゲームセンターとかに誘ってばかりなので、普通に帰りましょう!」

男「後輩は、それでいいのか?」

後輩「私から言い出して、私がダメってあると思います?」

男「……それもそうだな」

後輩「じゃ、私ホース直してきますねー」タタッ


19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/30(金) 02:31:13.70 ID:s1PQExDg0
男「……」スタスタ

後輩「……」トコトコ

後輩(い、いざ普通に帰ってみると……何を話していいのか分からない!)

男「……後輩」

後輩「え、ひゃい!?」

男「……今日はありがとう、助かったよ」

後輩「い、いえ……もう慣れました!」

男「……」ショボーン

後輩(こんなこと言うはずじゃ……あうぁ)


20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/30(金) 02:40:55.03 ID:s1PQExDg0
後輩「あ……私の家こっちなんで」

男「ん、そうか」

後輩「では、先輩。また明日」

男「ああ、またな」



後輩(結局何にも話せなかった……)

後輩(なんでこうなのかなぁ、私……) 「はぁ……」トボトボ


男「……」

妹「おかえりー……って、おにいちゃん?どうしたのそんな顔して」

男「……いや、別に」トボトボ

妹「??」


22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/30(金) 02:57:10.86 ID:s1PQExDg0
後輩友『で、ぜーんぜん話せなかったどころか、先輩の弱いとこ突いちゃったと』

後輩「うん……」

後輩友『あんたねぇ……気にしても仕方ないでしょうが』

後輩「え?」

後輩友『あんたがうーじうじしてたら、今日の言葉が取り消せるわけ?』

後輩「……」

後輩友『明日せっかく休みなんだから、遊びに誘ってみるとかしてみなよ』

後輩友『少なくとも、いじいじしてるよりはマシだと思うけど?』

後輩「……ありがと、友」

後輩友『当然のこと言ってるだけ。感謝されるほどでも無いってのー』

後輩「……そっか」

後輩友『じゃ、頑張ってねー。ひそかに応援してるから、ね』ピッ


23:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/30(金) 03:04:35.40 ID:s1PQExDg0
後輩「友はああ言ったけど……休日に遊び誘ったことなんて無いんだよな……」

後輩「……あーもー!悩んでも仕方ないっての!」ガバッ

後輩「ここは……行動あるのみ!」

ツー ツー ツー

後輩「あれ……?通話中……?」ピッ

ツー ツー ツー

男「ん……通話中なのか」ピッ


24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/30(金) 03:19:06.50 ID:s1PQExDg0
後輩「なんか凄く出鼻を挫かれた感じが……」

後輩「いや、諦めちゃダメだ!」ピッ ピッ

プルルルル  プルルルル

男「ふぅ……落ち着くな」カポーン

男「今日のあれで後輩は楽しかったのか?女心というのはよく分からないな」

プルルルルルル

妹「あれ?おにいちゃんの携帯鳴ってる……でも、おにいちゃんお風呂だし……」ピッ

妹「はい、もしもしー?」

後輩(え、え、え?女の子の声……?)


25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/30(金) 03:30:25.38 ID:s1PQExDg0
妹「……?どちら様ですか?」

後輩「え、えとえと……その……」

男「おい、コラ!」ポコン

妹「あいたっ!あ」ヒョイ

男「はい、もしもし」

後輩「あ、あのそのえとあの……先輩!」

後輩「明日、私と一緒に出かけまひぇんか!?」

男「ん、あ、あぁ……構わないが」

後輩「ひゃい!ありがとうございまひゅ!」プツッ

男「あ、おい……切れた」

妹(……)ソロー ガッ

男「……」 妹「……ごめんなさい」


26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/30(金) 03:57:27.16 ID:s1PQExDg0
後輩「……誰だったんだろ、あれ」

後輩「先輩の彼女……とか?いや、そんな……」ボフ

後輩「多分、妹とかそういうのだよ、うん、きっとそう、うん」

後輩「……お風呂、入ってこよう……」トボトボ


プルルルルルッル
男「んー……繋がらないな」ピッ

妹「い、いたひ……」

男「これに懲りたら二度とするんじゃないぞ」

妹「肝に命じておきます……はい」


27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/30(金) 04:13:31.73 ID:s1PQExDg0
チュン  チュチュチュリン
後輩「……」

後輩「あの後、気付いたら寝ちゃってたな……」パカ

後輩「あ、先輩から電話きてた……最悪」

後輩「あーもーあー!!」ワシワシワシ

後輩「……バカやってないで、早く準備しなきゃ」とてとて


男「……朝、か」

男「結局繋がらなかったな……電話」

男「んー……」ボリボリ

男「ま、とりあえず準備かな」どたどた


35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/30(金) 13:37:40.41 ID:s1PQExDg0
後輩「よし……これでOK、かな?変じゃない……よね」

後輩「あ、そういえば……待ち合わせ場所決めてなかった……」パカ

後輩「……昨日あんな感じで電話切っちゃったし、ちょっとかけにくいな……」

プルルルルルル

後輩「!!」ピッ 「は、はい!」

男「おはよう、後輩」

後輩「お、おはようございます、先輩!」

男「今日の待ち合わせ場所はどこなんだ?昨日聞くのを忘れていた」

後輩「え、えと……駅前のゲームセンターに……10時くらいで」

男「ん、了解。それだけだった、じゃ」ピッ


後輩(……電話だと緊張して話しにくいや……なんでだろ)


36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/30(金) 13:58:57.44 ID:s1PQExDg0
後輩「……はっ……はっ」タタタタッ 

キキキキィィィ

後輩「せ、せんぱぁい!お、おはようございますぅ……」

男「ん、おはよう。随分と大変だったみたいだね」

後輩「は……はい……」(あーだこーだと考えてたらいつの間にか……)

男「ま、こっちもさっき来たばかりだから急がなくて大丈夫だったけどね」

後輩「そ、そう……でしたか……」はぁはぁ

男「……落ち着くまで、座ろうか」

後輩「は、はい……すいません……」


37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/30(金) 14:04:56.52 ID:s1PQExDg0
後輩「先輩って、妹さんいたんですか……昨日はびっくりしちゃいました」

男「ほんと申し訳ないな。きつく言い聞かせておいたから許してやってくれ」

後輩「い、いえ……私はてっきり……」

男「てっきり?」

後輩「……な、なんでもないです!」

男「ふーん、そうか。で、そろそろ落ち着いたか?」

後輩「はい、大丈夫です……ほんとお時間取らせちゃってすいません」

男「お金取られてないから構わないさ。じゃ、行こう」

後輩「はいっ!」


39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/30(金) 14:13:01.14 ID:s1PQExDg0
ジャララララ ジャララララ
男「こっちは大型だけあって音も凄いな」

後輩「やっぱり、こういうとこ苦手ですか?」

男「大きい音は苦手だけど……ゲームが嫌いなわけじゃないから心配しなくていい」

後輩(そ、そうだったんだ……ゲーム自体が嫌いなのかと思ってた)

男「今日はどんなゲームするんだ?」

後輩「えっと、そうですね……」(アーケード系は独りの世界に行っちゃうから……)

後輩「こんなんどうでしょう?」ビシッ


40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/30(金) 14:19:36.70 ID:s1PQExDg0
男「なるほど、こういうのも悪くないな」バン! バン!

後輩「は、はいぃ、で、で、ですねぇ……」(ひ、ひいええええ!!)プルプル

男「こういうの、好きなのか?」バババン!

後輩「え、えと……初めてです、今日が」(あ、頭が飛んだぁぁぁぁ!!)

男「そうか……っと」ガリッ

後輩「ひっ!」(画面が血でまっかっかに……)

デレレレーン  GAME OVER

男「あ、終わっちゃったな」

後輩「や、やっぱり初めてだと、む、難しいですね……」(や、やっと終わった……)


41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/30(金) 14:27:25.57 ID:s1PQExDg0
後輩「今日は少しゲームを見て回りませんか?先輩もゆっくり見たことないですよね?

男「んー、そうだな……たまにはいいかもしれない」

後輩「私、飲み物買ってきますよ!何がいいですか?」

男「後輩は、何が飲みたい?」

後輩「私ですか?私は……コーラですかね」

男「ん、了解した。ここで待っててくれ」スタスタ

後輩「……あれ?」


43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/30(金) 14:47:34.05 ID:s1PQExDg0
男「クイズゲームか……最近はこんなゲームもあるんだな」

カード発行 一枚『300円』

男「ん、カードが必要なのか?」

後輩「カード無しでも出来ますけど……せっかくだし私のカード使いましょう」スッ
ピローン  レベル50

男「結構レベル高いんだな」

後輩「一時期ハマってやってたんで……あ、始まりますよ」

問題『漫画家手塚治虫の作品で無免……』ピローン

男「問題最後まで言ってないぞ?」

後輩「今のとこまで聞けば分かりますよ。『ブラック・ジャック』と」
ピロリローン 正解!

男「おー」


44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/30(金) 15:02:03.48 ID:s1PQExDg0
問題『もしあなたが、それを十分に愛するなら。どんなものでも、あなたに話しかけてくれるでしょう。
という言葉を残した、アメリカの植物学者は誰でしょう?』

後輩(うぐ……名言とか苦手なんだよね……さっぱりだ……)ぴと

後輩「へっ!?せ、せんぱいっ!?」(先輩の手が私の手の上に……)

ピローン

男「『ジョージ・ワシントン・カーヴァー』」
ピロリローン  正解!

後輩「す、すごいです先輩……」ドキドキ

男「十数問の中で一問だけ出来て凄いなら、後輩は超人だな」スッ

後輩(あ、手が離れちゃった。もうちょっと……なんてね)


46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/30(金) 16:03:11.27 ID:s1PQExDg0
『結果発表 一位!』 テレーン

後輩「やった、やりましたよ先輩!」

男「まぁ、ほとんど後輩が正解してたがな」

後輩(やば……また私一人で楽しんでたかな……)

男「よっと」チャリンチャリン ピーッ

後輩「あれ?先輩何してるんですか?」

男「結構面白かったから、カードを作っておこうかと」スッ

男「今度は二問ぐらい解けるように頑張っておくよ」

後輩(今度ってことは……) 「はいっ!」ニコニコ


47:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/30(金) 16:26:14.17 ID:s1PQExDg0
男「そういえば……お昼どうするか決めてる?」

後輩「……そういえば、考えてませんでした」

男「この辺なら飲食店も多いし、大丈夫かな」

後輩(……現在の財布の中は……あれ、300円…!?つ、使いすぎた……)

後輩「あ、の……せ、せんぱい……」

男「ん?どっかオススメがあるの?」

後輩「ごめんなさい……お店で食べれるほど、お金が無いです……」

男「いや……おごるから気にしなくても」

後輩「わ、私が気にするんですっ!そ、そうだ……私の家で食べましょう!」

男「……え」


48:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/30(金) 16:37:32.24 ID:s1PQExDg0
男「……意外と遠くないんだな」

後輩(い、勢いで呼んじゃったけど……どうしようどうしようどうしよう!)

男(二階建てかー、なかなかいい家だな)

後輩「あ、あの先輩!あ、あがっちゃってください!」ガチャリ

後輩母「あらあんた、帰ってきたの……って」

後輩(し、しまったー!今日お母さん家に……)

男「どうも、お邪魔します」

後輩母「あらあら……彼氏連れて来るなら言ってくれなきゃ……」

後輩「ちがーっう!!」


50:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/30(金) 16:55:47.65 ID:s1PQExDg0
後輩母「すいませんねぇ、突然でこんなものしか準備できなくて」

男「いえ、凄くおいしいですよ」

後輩「お母さん!静かにしてて!」

後輩母「あらあら……怖い子ねぇ」

男「……」モグモグ


後輩母『あの人、彼氏じゃないならなんなの?』

後輩『学校の先輩だよ……変に勘繰らないで、お願いだから』

後輩母『なかなかかっこいいじゃない。どっか抜けてる感じがするけど』

男「……あの」カチャカチャ

後輩「か、片付けはしますから大丈夫ですよっ!」あたふた


52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/30(金) 17:17:40.45 ID:s1PQExDg0
男「……」ジャー フキフキ

後輩「えと、休んでて構わないんですよ?先輩」カチャカチャ

男「ご馳走になっておいて、それは出来ないな」

後輩「……ですか」

男「おいしかった、ありがとう」

後輩「え?」

男「後輩も作ってたんだろ?さっきいなかったし」

後輩「えと、あの、その……ありがとうございます」

男「いや、俺は食べてただけ」フキフキ


54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/30(金) 17:52:47.71 ID:s1PQExDg0
男「よし、終わったな」

後輩「あ、ありがとうございました、先輩」

男「だから、ありがとうはこっちの方だって」

後輩「え、えとえと……これからどうしましょう……」

男「んー……どうする?」

後輩「駅前に戻るのは面倒だし……そうだ!」ばたばた

後輩「これで遊びましょう、先輩!」ジャーン

男「うお……随分と古いのが出てきたな」

後輩「うちではまだまだ現役ですよ、こいつは」フー フー ガシャン


55:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/30(金) 18:01:03.81 ID:s1PQExDg0
後輩「……はっ、とっ」
『しょーりゅーけんっ!』『どすこーい!どすこーい!』
『はどぅーけんっ!』『どすこい!どすこい!どすこい!』
『ウーワッ ウーワッ ウーワッ ドサ』

男「……格闘ゲームも出来るんだな」

後輩「子供のときこれしか無かったんで……やりこみましたよ」

『どすこい!どすこい!どすこい!』

男(横綱みたいな奴が車に向かって猛烈な張り手を繰り出している……)

後輩(よく考えたらこの光景シュールだな……ってか)

後輩(また私一人で楽しんでるっ!?)ガーン


56:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/30(金) 18:32:10.32 ID:s1PQExDg0
後輩「あのっ、先輩もやりましょう!」

男「んー……やったことないんだよな、格闘ゲームは」

後輩「操作方法教えますから……ダメですか?」

男「ま、何事も経験だろうな」スッ

後輩「え、えと……このボタンがパンチで……」

男「なるほど、ここがキックか……」

後輩「で、十字キーを↓\→で……」


後輩母(あらあらあの子ったら、目を輝かせちゃって……ふふふ)


57:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/30(金) 18:52:09.59 ID:s1PQExDg0
男「なるほど……やってみるか」

後輩「一人プレイで練習してみるといいですよ」

男「ん、そうだな」ピコピコ

後輩(先輩が選んだのは……)

『くにへかえるんだな、おまえにもかぞくがいるだろう』

後輩(適当に選んだだけ、だよね……?)

男「……お、っとと」ポチ ポチ

『ブーン!ブーン!ブーン!』

後輩(そういえば、人がゲームしてるとこ眺めるなんて初めてな気がする……なんか新鮮)


59:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/30(金) 19:12:59.18 ID:s1PQExDg0
男「なんか適当にやってたらクリアしてた」

後輩「先輩、凄いです!いきなりでクリアできるなんて」

男「んー、そうなのか?」

後輩「筋がいいんじゃないですかね……きっと上手くなりますよ!」

男「そうだったらいいんだが……っと、外が暗くなり始めてるな」

後輩「あれ?もうそんな時間でしたっけ……」

男「結構お邪魔しちゃってたみたいだな。そろそろ帰るとするよ」ガタン

後輩「あっ……今日は楽しかったです、凄く!」

男「今度は俺から誘わせてもらうよ。じゃあ」バタン


60:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/30(金) 19:19:12.78 ID:s1PQExDg0
男「ただいまー」

妹「おにいちゃんおかえりー……って、なんでそんな嬉しそうな顔してんの?」

男「そうか?別に何も無いが」

妹「……ふぅぅーん……昨日の女の人だね」

男「そうだけど、どうかしたか?」スタスタ

妹「やっぱりね……ってなんでそんな反応薄いの……」

男「腹、減ってる?」

妹「うん、凄く減ってる」

男「じゃ、すぐ飯にするか」



後輩母「にやにやにや」

後輩「……なによ」

後輩母「頑張りなよー。なんだか鈍そうな子だったし、一筋縄じゃいかなそうよ?」

後輩「う、うるさいなぁもう!」


61:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/30(金) 20:24:32.96 ID:s1PQExDg0
後輩「今日は楽しかったな……」プクプク

後輩「家に呼べたし、料理もおいしいって言ってもらえたし……」

後輩「先輩も、楽しめてたかな?そうだったら嬉しいな……」

後輩「こりゃ、後輩友には感謝極まりないや」ザパーン


妹「今度は格闘ゲームしてるんだ……最近ゲームよくするね、おにいちゃん」

男「別に、したくなっただけだ」

妹「ふーん、そうですかー。お風呂沸いたからねー」

男「……」ポチ  ポチポチ


62:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/30(金) 20:54:10.24 ID:s1PQExDg0
後輩友『ふーん、上手くいったんだ……よかったじゃん』

後輩「うん、友のおかげだよー。ありがとう」

後輩友『ふっふっふ。崇め敬いたまえ』

後輩「ははっー……今度ジャンボパフェおごるよ」

後輩友『へへへ、やっりー!忘れんなよー?』

後輩「ふふふ、ちゃんと覚えておくって……うん、じゃぁね」ピッ


後輩「次からも、今日みたいに楽しめるといいなー……寝よう」バサッ


64:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/30(金) 21:32:19.03 ID:s1PQExDg0
妹「すー……すー……」

男「……少し、付き合わせ過ぎてしまったな」

男「コントローラーを握りながら寝るとは、器用な奴め」バサッ

男「ん、意外と軽いんだな」

妹「んー、んー」ゲシゲシ

男「……さっさと運んで俺も寝るか」ふわぁー

男(後輩はこれを何時間って練習するんだろうな……尊敬するわ)ノロノロ


68:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/30(金) 23:28:52.25 ID:s1PQExDg0
チュチュン  チュリン

後輩「あ、朝……今日は、学校だよね、うん」

後輩「……あれ、なんだろ……頭がフラフラする」

後輩「あうあー……下降りて熱計ろっと……」ヨロヨロ

後輩母「あんたどうしたの!顔真っ赤じゃない!」

後輩「あ、やっぱり?なんか調子悪くてさ……」

後輩母「すぐに熱を測りなさいな」

後輩「そのつもりで降りて来たんだってば……」スッ
ピピピッ

後輩母「39度……凄い熱だわ。今日は学校を休みなさい」

後輩「ふぁい……」


71:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/30(金) 23:55:42.80 ID:s1PQExDg0
男「……」シャワワー

男「これでよし、と」


後輩友『後輩なら今日は学校休んでますよ』

男『ん、そうか……ありがとう』

後輩友『あなたが……先輩さん、ですか?』

男『そうだが……なにか?』

後輩友『後輩がいつもお世話になってます』

男『世話をしなくてもしっかりしてるから特に世話はしてないが』


73:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/31(土) 00:13:57.18 ID:s1PQExDg0
後輩友『しっかりしてるように見えますけど、意外と抜けてるですよ?あの子』

男『あー、確かに。言われてみればどっか抜けてる気はする』

後輩友『ふふっ……面白い人ですね、先輩』

男『そうか?』

後輩友『後輩のこと、よろしくお願いします』

男『んー……面白い人に任せて大丈夫?』

後輩友『面白い人だから、ですよ』クスクス


男「なんか知らんが頼まれてしまったからな。行くとするか」


74:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/31(土) 00:40:31.51 ID:s1PQExDg0
後輩「うー……すっごい暇だー……」

後輩「こうダルいとゲームなんてする気も起きないし……」ゴロゴロ

ピーンポーン

後輩「あれ?誰か来た……友かな?はーい、今出ますー」

後輩「友ー?暇すぎて死にそうだったよー」ガチャ

男「む、死にそうだったのか……そりゃ大変だ」

後輩「せん……ぱい!?」


75:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/31(土) 01:31:12.61 ID:s1PQExDg0
男「風邪だったらしいね、大丈夫?」

後輩「あ、は、はい!」(私……パジャマ姿で髪の毛ぼさぼさ……)

男「まだ顔が赤いぞ……無理してるんじゃないか?」

後輩「い、いえその……大丈夫です!」

男「本当か?」ピトッ

後輩「あ……え……?」(先輩の顔が近くに……私はパジャマで……先輩の目、綺麗だな……)

後輩「ふぇあ……」プシュー  バタン

男「だ、大丈夫か!?後輩!後輩!?」


77:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/31(土) 01:40:15.84 ID:s1PQExDg0
後輩母「すいませんねー、うちの子が……」

男「いえ、なんか自分が無理させちゃったみたいで申し訳ないです」

後輩母「そんなことないと思うわよ?」

男「後輩がこれ以上無理してもいけないんで、自分帰ります」

後輩母「あら、もう少しゆっくりしていったら……」

男「いえ……」ギュ 「?」

後輩「せん……ぱい」ギュゥゥ

男「……」ポフ

後輩母「それじゃ、私は飲み物でも持ってきましょうかね」タタタ


80:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/31(土) 01:51:27.68 ID:s1PQExDg0
後輩「迷惑なんかじゃ、無かったですよ……?」

男「なんだ、聞いてたのか」

後輩「変なとこ気にするんですもん、先輩は」

男「最近よく変だと言われるぞ」

後輩「あはは、前からですよ。少なくとも私の知ってる先輩はずっと変です」

男「んー……失礼極まりないな」

後輩「私も変ですから、気にしないでください」

男「それもそうだな」

後輩「そこは否定してくださいよー、もー」ケホッ ケホッ


81:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/31(土) 02:00:00.23 ID:s1PQExDg0
男「本当に、大丈夫なのか?」

後輩「大丈夫ですよ……少なくとも、先輩のせいじゃないから気にしないでください」

男「……そうか」

後輩「熱が上がってくると、何でか気分が高ぶりますよね不思議と」

男「確かに、風邪の時とかむしょうに遊びたくなったりするな」

後輩「ゲーム、します?」

男「気にしすぎな先輩のためにも、早く治して欲しいところだな」

後輩「はぁい、分かりまし、た……」フラ

男「っ!」

後輩「すぅー……すぅー……」

男「……なんだ。寝ただけ、か……」ポン


82:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/31(土) 02:09:30.10 ID:s1PQExDg0
後輩母「入っても大丈夫かしら?」ガチャ

男「あ、寝ちゃったみたいです」

後輩母「落ち着いたみたいで、良かったわ……先輩くん、時間大丈夫なの?」

男「……もうこんな時間でしたか」

後輩母「心配してくれるのはありがたいけど、あなたの親御さんを心配させるわけにもいかないわ」

男「そう、ですね……今日はお邪魔しました」

後輩母「お邪魔だなんて、そんなことないわ。またいつでもいらっしゃい」

男「はい、そうさせてもらいます。では、後輩によろしく伝えておいてください」トテテ

後輩「すー……くー……」


83:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/31(土) 02:25:22.75 ID:s1PQExDg0
男「……♪」シャワワワー

後輩(あの人……放課後にたまに見るけど、なんでいつも水やりしてるんだろ?)

後輩(うちの学校に、そういう部活なかったはずだけど)

後輩「あのー」

男「……ん?」

後輩「何でいつ、も水やりしてるんですか?」

男「地球を救うため、かなー」

後輩「地球を……?」

男「そう、地球を」しゅわー


84:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/31(土) 02:29:48.83 ID:s1PQExDg0
男「……ふーんふーん」チョロチョロ

後輩「今日も地球を救ってるんですか?」

男「おや、また君か」

後輩「どうも、また私です」

男「君も地球を救いたいのかな?はい」ポン

後輩「え……あの」

男「……♪」シャワワー

後輩(変な人だなぁ……)チョロチョロ


85:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/31(土) 02:39:33.53 ID:s1PQExDg0
後輩(なんでうちの補習はあんなに長いかなー……ってあれ)

後輩「お疲れ様です、先輩」

男「やぁ、お疲れ様」

後輩「なんで今日はこんな時間に水やりを?」

男「理由は聞く必要ない気がするけど……状況考えたら」

後輩「先輩も補習受けてたんですか?」

男「そういうこと」シャワワー

後輩「手伝いますよ、先輩」

男「ん、感謝するよ」


後輩「大分日が落ちちゃいましたね」

男「んー、そうだね。送っていくよ」

後輩「……え?」

男「女の子が暗い道を一人で歩いちゃ危ないからね、さぁ行こうか」スタスタ

後輩「あ、は、はい」タタタッ


109:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/31(土) 21:16:41.79 ID:s1PQExDg0
後輩「せん……ぱい」

後輩母「あら、起きたの?愛しの先輩ならもう帰っちゃったわよ」

後輩「お、かぁ……さん」

後輩母「熱は大分下がったみたいだけど、まだキツそうね……」

後輩「……」ケホッ ケホッ

後輩母「それじゃ、薬ここに置いておくから。ちゃんと飲むのよ?」バタン

後輩「……明日には、絶対治すぞ……」んぐんぐ


妹「おにいちゃん、絶対何かあったでしょ」

男「ん、別に」

妹「野菜炒めの味、大変なことになってたけど?」

男「そうか?」

妹(……ダメだこりゃ)


111:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/31(土) 21:28:22.58 ID:s1PQExDg0
後輩「……ん、あふぁ」のびー

後輩「少し体は痛いけど……このぐらいなら全然平気!」

後輩「よーし、学校いくぞー!」

ガチャリ

後輩母「あら、心配して来てみたら……元気みたいね」

後輩「うん、心配かけて申し訳ありませんでした」ペコッ

後輩母「私より、あの先輩くんに言ってあげてね。あなたが引き止めて大変だったんだから」

後輩「え……そんな事が?」

後輩母「あら、あなた……覚えてないの?」

後輩「……」(昨日の夜に何が……)


113:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/31(土) 21:42:04.13 ID:s1PQExDg0
男友「どうしたんだ、そわそわして」

男「ん、そわそわしてるか?」

男友「うん、十分そわそわしてるぞ」

男「……ちょっとな」

バタンッ

後輩「せんぱーい!いますか!?」

男友「あれがちょっとさん?」

男「そ、ちょっとさん」スタスタ


114:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/31(土) 21:52:45.40 ID:s1PQExDg0
男「どうしたんだ?教室まで来るなんて」

後輩「あ、あのっ!お話よろしいですか?」

男「そうだね……構わないけど」

後輩「えと……あっちで話しましょう」

男「ん、分かった」



男子生徒「あんなみょうちくりんに彼女か……?しかも年下……」

男友「それはないんじゃないか?だって、あいつだぜ?」ケラケラ

女子生徒「いやー、それが意外とあるかもよー?」

男友「なんだよ、その目は」ムッ

女子生徒「んーん、なんでもー?」


117:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/31(土) 22:23:49.49 ID:s1PQExDg0
後輩「あ、あのー……昨日はご迷惑をかけてしまったみたいで……」

男「んー、迷惑かけたっけ?」

後輩「帰ろうとする先輩を引き止めてしまった……んですよね?」

男「あー、詳しく覚えてないの?」

後輩「えと……はい」

男「失礼極まりないこと言ってたな、うん」

後輩「え、えぇ!?ご、ごめんなさい!」

男「あと、野菜炒めの味付けが大変なことになってたらしい」

後輩「え、え?」

男「今はもう大丈夫なの?」

後輩「あ、はい……もう大丈夫です」

男「そっか、じゃあ……水やり行こうか」スタスタ

後輩「……はい、行きましょう!」スタスタ


118:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/31(土) 22:34:06.70 ID:s1PQExDg0
後輩「ここら辺の植物も、結構育ってきましたねー」シャワワー

男「日差しが強いからねー。人間にはちょいと辛いよ」チョロチョロ

後輩「最近は異常気象も落ち着いてきたみたいですけど……」

男「暑いのは昔から苦手なんだなー、これが」

後輩「苦手なんですか!?なら先輩は休んでてください!」

男「病み上がりで後輩が頑張ってるのに、元気な自分が休むわけにはいかないよ」

後輩「なら、私も休みます!」ちょこん

男「うん、しっかり休むんだよー」シャワワー

後輩「……あらら?」


119:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/31(土) 22:44:01.26 ID:s1PQExDg0
男友「……驚いた」

男「こっちの方が、驚くぞー。いきなり来られたら」

男友「あんた、ここで何してんのさ?」

男「見てのとおりでございますね」シャワワー

男友「相当な暇人だね、あんた」

男「相当な暇人に会いに来るお前はきっと特別な存在なんだろう」

男友「……ふふ、そうかもな」



後輩「……あの人、先輩と一緒にいた人……」

後輩「何を話してるんだろ?気になるけど……なんか出て行きにくい雰囲気……」


120:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/31(土) 22:53:33.85 ID:s1PQExDg0
男友「ところで……ちょっとさんとは、何なわけ?」

男「何なわけ、と申されますと?」

男友「茶化すなよ、真面目に言ってんだよ」

男「んー……上手く言えんわ」

男友「どうせそう言うと思ってたよ。問い詰めるといつもそうだ」

男「なら聞くなよ」

男友「たまには答えが変わるかもしれないだろ?」

男「その見込みがあったか?」

男友「……んーん、全然」



後輩「あれ、今度はこっちを向いて何か話してる……」

後輩「うー、気になる気になる……あううあー……」ソワソワ


123:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/31(土) 23:07:09.15 ID:s1PQExDg0
男友「暗くなってきたな……もう帰るよ」

男「そうだな、送ってく」

男友「あっはっは、誰に言ってんのさあんた」

男「目の前のあなたに対してですよ」

男友「んー……ちょっとさんに悪いんで無いかい?」

男「それなら大丈夫だ、おーい後輩!」


後輩「あ、先輩が呼んでる……話が終わったのかな?」

後輩「はーい、せんぱーい!」タタタッ


124:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/31(土) 23:18:10.25 ID:s1PQExDg0
後輩「……」

男「……」スタスタ

男友「……どういうことだ、これは!」

男「三人で帰ることが、何かおかしいか?」

男友「そういうわけじゃないが……ああもう!」

男「騒がしい奴だな」

男友「誰がそうさせてんだよ、こらぁ!」

男「……?」

男友「きょとんとすんな!お前に決まってるだろうが!」


後輩(気まずいよう……なんか凄く仲いいみたいだし……)

後輩(どういう関係なのかな?二人とも……まさか……いや、そんな)


132:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 00:04:58.81 ID:s1PQExDg0
男友「じゃ、ここで別れるぞ。家こっちだからな」タタタッ

男「そうか。じゃぁな、我が友よ」

後輩「……また、明日」


後輩「……あ、あの」

男「ん?」

後輩「え、えと……なんでもないです」

男「そっか」

後輩「……」

男「……」

後輩「え、えと」

男「ん?」

後輩「あ、あの方とは……どういうご関係で?」

男「……関係、ねぇ。聞くの流行ってるの?最近」

後輩「い、いえ……」

男「そっか」


134:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 00:15:37.04 ID:s1PQExDg0
男「んー、あいつはねー……友達だ」

後輩「友達……」

男「そ、友達。それ以上でもそれ以下でもなく、親友でもなく」

男「ただの『友達』そんだけ」

後輩(こんな真面目な先輩の表情、初めて……)

男「納得いかない?」

後輩「い、いえ!そんなことはないです」

男「ならよかった。ここでお別れだね」

後輩「あ、いつの間に……」

男「じゃ、また明日」スタスタ

後輩(友達、か……なんか色々ありそうだけど、触れないほうがよさそうだな……)トコトコ


143:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 02:13:49.71 ID:s1PQExDg0
妹「おにいちゃーん、お帰りー」

男「ん、あぁ……ただいま」

妹「……どうせ答え一緒だろうけど、何かあったでしょ?」

男「……少し、な」ポン

妹「……ほぇ?」


後輩「うべへぇー……」ボフン

後輩(あの人……長くて綺麗な黒髪してたなー……それに胸も……)ペタペタ

後輩(……ぐぅ)ガックリ

後輩(どうもただの友達とは、思えないんだよなー……)


144:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 02:16:15.23 ID:69uZ8BcZ0
んっふ、これは一本取られました


146:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 02:26:31.11 ID:s1PQExDg0
男友「男ー!早く来いよほらー」

男「ここは……?」

男友「学校の花壇だ。まぁ、整備されてなくて花壇に見えないがな……」

男「で、これがどうしたんだ?」

男友「こういうことだ!んしょ……んしょ……」グイグイ

男「……よいしょ」グイグイ

男友「さすが話が分かるね」

男「話は分からんが手伝ってるだけだ」


148:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 02:38:21.74 ID:s1PQExDg0
男友「……あー」

男友「なんで思い出すかね、こういうこと」ワシワシ

男友「……あいつ、まだ水やり続けてたんだな」

男友「……」

男友「……いまさら、どうしろって言うのさ……はぁ」


149:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 03:01:25.83 ID:s1PQExDg0
男友「……おっす」

男「よう、おはよう」

男友「……調子は、どうだ?」

男「いつも通り、かね」

男友「そうか、いつも通り……か」

男「そっちはどうだい?」

男友「……ふふ、いつも通りだよ、こっちも」

男「ん、そうか」


後輩「お、おはよう……」

後輩友「おはよう……って、あんた何その顔!?」

後輩(昨日は気になりすぎていまいち寝れなかった……)


150:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 03:18:29.31 ID:s1PQExDg0
後輩友「なるほどねー……ライバル出現!てわけ?」

『えいっ』『ふぁいやー』

後輩「ライバルかどうかは分からないけど……友達って言ってたし」

『えーい』『やーあ』『とーう』『シアン!』

後輩友「本人がそう言ったの?」

『ばよえ~ん!』

後輩「え?あわわわ」

『なにをするー』

後輩友「先輩はそう思ってたとしても、その人はそうじゃないかもよ?」

後輩「……」

『うへー』

後輩友「ま、最後にどうするかはあんた次第だからねー」

『やったぁ!』


165:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 15:21:59.87 ID:s1PQExDg0
後輩友「でもさ、みょーに気にしてるけど……先輩が好きなの?あんた」

後輩「……何、い、いきなり」

後輩友「いや、今の話聞く限りどう考えてもそうでしょ」

後輩「……どうなの、かな?」

後輩友「私に聞かれても困るっての……」

後輩友「ま、もし好きなんだったら、今のままじゃダメだと思うよ」

後輩「……え?」

後輩友「放課後だけじゃなくて、先輩に会いに行ってみれば?ってこと。じゃね」

後輩「あ、ちょっと……放課後だけじゃなくて、か……」


167:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 15:33:20.71 ID:s1PQExDg0
男「……♪」シャワワー

男友「……なんでなんだよ」

男「何がなんでなのかが分からんな」

男友「なんでまだ水やり、やってんだよ」

男「……理由が必要か?」

男友「普通は理由がなきゃしねーよ、こういうことは」

男「じゃぁ、普通じゃなくていいから理由なんて無い」

男友「……」

男「……♪」シャワアー


168:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 15:55:08.61 ID:s1PQExDg0
後輩(また二人で話してる……って、なんで隠れてるの?私)

後輩(この距離じゃ会話も聞こえないし……ちょっと近づいてみよう)ソロソロ


男友「話を逸らすな!」ガシッ

男「……逸らした気は、無いんだがな」

男友「じゃあ、ちゃんと答えろよ」

男「普通じゃない相手にちゃんとを求めるのか?」

男友「……なんなんだよ、もう」

男「……頭、冷やせ」ペシ

男友「……うるさいうるさい!」パシーン  タタタッ

後輩(……しゅ、修羅場!?出て行っていい雰囲気じゃ、ないよね……)


169:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 16:29:08.17 ID:s1PQExDg0
男「……むぅ」

男「……出てきて大丈夫だよ」

後輩「っ!!」ガササッ

男「多分友には見えて無かったから、心配しなくていいと思う」

後輩「その、えと……ごめんなさい」

男「謝るほどのことじゃないさ。少なくとも俺にとってはね」

後輩「……」

男「さて、暗くなる前に帰ろうか」

後輩「……はい」


173:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 18:32:39.07 ID:s1PQExDg0
後輩「……」トコトコ

男「……」スタスタ

後輩(先輩……いつもより歩が早い……?)

後輩(あの人との事が、関係してるのかな……凄く気になる)

男「……やっぱりさっきの気になる?難しい顔してるよ」ピタ

後輩「あ……」ペタペタ

男「すまないが、俺に言えることは何も無い。俺は気にしてないからだ」

男「どうしても気になったら、気にしてる奴に聞いてくれ」

後輩「それって……」

男「ん、もうこんな場所か。じゃ、また明日」ダダダッ


182:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 21:49:33.77 ID:s1PQExDg0
後輩「気にしてる奴に聞いてくれ……か」

後輩「……それが出来たら苦労しませんよ……先輩」ボフン

後輩「……私に会う前に、色々あったんだろうか?」

後輩「そういえば、私先輩のことなーんにも知らないんだなー……」

後輩「いつも放課後に花壇の水やりをしてる人、ってだけしか」

後輩友『ま、もし好きなんだったら、今のままじゃダメだと思うよ』

後輩「それは分かってるんだけどさ……はぁーあ」ゴロゴロ



男「ただいま」

妹「おかえりー……おにい、ちゃん?」

男「……どうした?」

妹「う、ううん……なんでも、無いの……」

男「そうか」スタスタ


184:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 22:01:52.79 ID:s1PQExDg0
男友「……もう、いいんだ」

男「いいって、何が」

男友「私には初めから向いてなかったんだよ……」

男「いきなりどうしたんだ、お前らしくない」

男友「……っ!」

男友「らしくないって……じゃぁ、私らしいってどういう事なんだよ!」

男「……やめろ」

男友「うっさい!こんな……こんな!!」グシャ グシャ

男「……っ」ガシッ  パンッ

男友「……あ、う……くっ!」ダダダダッ

男「……く」


185:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 22:11:32.34 ID:s1PQExDg0
男友「……っ!」ガバッ

男友「また……か」

男友「こんなんなるなら、あの花壇にもう一回行くんじゃなかったよ、まったく……」

女子生徒『意外とあるかもよー?』

男友「……ほんと見苦しいな、私は……」

男友「……昨日、思いっきりひっぱたいちゃったよなぁ……」

男友「どんな顔して、会えばいいんだろ」ガクリ


198:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 00:14:01.67 ID:s1PQExDg0
後輩友「ふーん、そんなことがあったんだー」

後輩「ふーんって……そっけないね」

後輩友「前に言ったでしょ?あんた次第だってば

後輩「そうは言っても……」

後輩友「なら、このままでいいんじゃないの?」

後輩「……」

後輩友「『先輩』と『後輩』と『先輩の知り合い』それでいいじゃない」

後輩友「それなら何も気にせずに、過ごしてられるでしょ?」


199:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 00:18:35.49 ID:s1PQExDg0
後輩「……それは」

後輩友「嫌なんでしょ?なら行動しなきゃ。あんたから」

後輩「行動……」

後輩友「私から言えんのは、そんぐらいかなー」

後輩「……なんか、達観してる?」

後輩友「横からならいくらでも言えるだけだと思うけど」

後輩「そんなもんなのかな?」

後輩友「うん、そんなもーん。ぶっちゃけ知ったこっちゃないってわけ」ニカッ

後輩「なにそれ、ひどーい……でも、ありがと」

後輩友「あっはっは!今度は何をおごっていただこうかね?」

後輩「……うぐぐ」


201:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 00:27:39.69 ID:s1PQExDg0
男友「……」

男「じゃ、帰るわ」

男友「……何で私に」

ガラッ

後輩「すいません!」

男「……後輩」

男友「それじゃ、お邪魔虫は退散しようかね」ポン

男友「……ん?」

後輩「お話が、あります」

男友「……分かった、行こうか」タッ タッ


男子生徒「お、おいっ!?いいのか、男!」

男「……構わんさ」

女子生徒「なかなか積極的な子がいたもんだねー」

男子生徒「お前ら落ち着いてんなぁ、おい……」


203:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 00:47:43.60 ID:s1PQExDg0
男友(とりあえず分かったとは言ったけど……見当はつかないな)

男友「……話って何?」

後輩「……最初に、謝らないといけないことがあります」

男友「……?」

後輩「昨日先輩とお話してるとこ、隠れて聞いてました」

男友「……そっか、聞いてたのか……話ってそのこと?」

後輩「……え、は、はい」

男友「あれはねー……なんてーかなー……少し昔の話を、しなきゃいけないね」


205:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 01:02:28.96 ID:s1PQExDg0
男友「あの花壇は、私が最初に見つけたんだ」

男友「先生に聞いたら、隅にあるせいで誰も見ないから整備されなくなったって話で」

男友「男と一緒に復活させてやろう、ってことで今の状態なわけ」

男友「ま、そんなもんはただの口実だったんだけどね」

後輩「口実……」

男友「一緒になんか出来りゃなんでもよかったのさ」

後輩「……」

男友「私は男のことが好きだったんだよ。いや、今も……かな?」


222:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 14:43:03.58 ID:s1PQExDg0
後輩「なら……」

男友「でも、ダメなんだ」

後輩「……?」

男友「本来なら一緒にいる資格すらも、私には無い」

男友「あいつの優しさに甘えてるだけなんだ……」

後輩「……どういうことですか」

男友「……男に聞いてくれ。あいつが話すならそれで構わない」

男友「まだもう少し……逃げさせてくれ(ボソッ」ダダダッ

後輩「え?……って、行っちゃった」


225:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 14:47:21.33 ID:s1PQExDg0
男友「……っ」ダダダダッ

男「あ」

男子生徒「通り過ぎて行ったな……追わなくていいのか?」

男「今追う必要は無い」

男子生徒「だからなんでそんな落ち着いてんだ……」

女子生徒「先生に止められなきゃいいけど……」

男子生徒「いや、そこじゃねぇだろ!」

ガララッ

後輩「せんぱいっ!」

男「……場所を、移そうか」スタスタ



男子生徒「もう、何がなにやら……」

女子生徒「いや、あんたが理解する必要は無いでしょ」

男子生徒「そうだけどさ……気になるじゃん?野次馬根性的に」

女子生徒「サイテー」


226:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 14:53:42.50 ID:s1PQExDg0
男「……さて、と……さ、座って」

後輩「あ、ありがとうございます……」(いつもの花壇……やっぱりここなんだ)

男「大方あいつが俺に聞けーとか言ったんでしょ?」

後輩「……はい」

男「まだ気にしてんのかー……バカだな、ほんと」

男「こんな引きずるなら、最初からやるなって話だ、ほんと」

後輩「あの人は……」

男「友で大丈夫だ。他人行儀が嫌いなんだ、あいつ」

後輩「友さんは……何をしたんですか?」


247:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 22:29:43.84 ID:s1PQExDg0
男「……花壇を、壊したんだ。あいつが自分で」

後輩「え……なんでそんなことを……」

男「んー、らしくないんだそうだ」

後輩「らしくない、ですか?」

男「あいつは、自分が男勝りでがさつな女だと思い込んでる」

男「だから、ああいう花壇みたいなのが似合わないって感じてたらしい」

男「本人も……周りも」

後輩「……周り、も」


251:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 22:54:06.45 ID:s1PQExDg0
『ねぇ、花壇の話知ってる?』

『あー、あいつがなんか整備し直したらしいな』

『うっは、似合わねー……あの男女がか?』


後輩「……」

男「俺は……知ってたんだ」

男「あいつがどう思われてたかも、あいつがそれによってどうなるかも」

男「でも……何も出来なかった。いや、しようとしなかった」

後輩「それは、先輩のせいじゃ……」

男「本当に、そう思う?」

後輩「……」

男「俺は、いい人なんかじゃない。自分からは動くことも出来ない、臆病者さ……」


252:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 23:02:17.74 ID:s1PQExDg0
男「この花壇は……俺の身勝手な罪滅ぼしに利用されてるだけなんだ」

男「でも……それが帰ってあいつを傷付けてしまった……のかな」

後輩「そ……」


男友「……そんなことないっつの」

男「!」パシン

男友「昨日のお返しだ、あほすけ」

男「……聞いてたのか」

男友「昨日聞かれてたからね、仕返しし返し」ククク


255:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/02(月) 23:23:04.19 ID:s1PQExDg0
男友「……そんな理由で、花壇を手入れしてたんだな」

男「まぁな」

男友「……」

男「……」

男友「噂、知ってたんだな」

男「……あぁ」

男友「絶対、許さない」

男「……そうか」

男友「でも、ありがとう」

男「ん」


260:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 00:11:18.08 ID:s1PQExDg0
男友「あんたも、この花壇を直してくれてたんだね、感謝するよ」

後輩「いえ……そんな」

男友「私が逃げてた間……あいつを支えてくれてたんだろ?」

後輩「支えるなんて、大したことはしてないですよ」

後輩「それに……友さんの居場所を、奪ってしまったようで……なんだか」ピシン

後輩「あいてっ」

男友「言ったろ?あいつの隣はもう私の場所じゃないんだ」

男友「親友でも無く……ましてや恋人でも無い。私はただの『友達』さ」ケラケラ

後輩「友さん……」



男「……」シャワワー


262:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 00:30:02.41 ID:s1PQExDg0
男友「変な奴だよな、あいつ」

後輩「……はい、最初はそう思いました」

男友「正直だね、あんた。嫌いじゃないよ」

後輩「でも……今はそう思いません」

男友「いい奴なんだけど、いい奴過ぎて変なんだよな……」フフ

後輩「ほんとですよね。大事なとこが見えてるようで、本当に肝心なとこは抜けてる人です」フフッ


男「そろそろ暗くなってきてるぞ」

男友「それじゃ……帰ろうか」

後輩「そうしましょうか」


278:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 12:32:01.85 ID:s1PQExDg0
男「そういえば、後輩。謝らないといけないな」

後輩「え、何をですか?」

男「気にしてないと言ったが、あれは大嘘だった」

後輩「……ほんとです!嘘はダメです!」ムー

男「面目ない」

後輩「でも、そのおかげで大事な話を聞けました。感謝もしてます」

男「……」

後輩「もう絶対、嘘ついちゃダメですよ?」ニコ

男「分かった。肝に命じておこう」


279:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 12:38:38.34 ID:s1PQExDg0
男友「んじゃ、私はこの辺でおさらばしようかね」

男「おや、もうこんな所だったか」

男友「後輩との会話で頭がいっぱいだったか?」ククッ

男「どうだろうか?」

男友「私が知るか、あほ」

男「そうか」

男友「……後輩」クルッ

後輩「はい、なんでしょうか?」


283:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 12:47:37.10 ID:s1PQExDg0
男友「あんたのおかげで、色々吹っ切れたよ。ありがとう」

後輩「そんな……私は何もしてないです」

男友「何もしてないって思うなら、それでも構わないよ」

男友「勝手に私が感謝してるとでも思ってくれ」ポフッ

後輩「……あう」

男友「これからも、あいつのことをよろしくな」

後輩「……はい、頑張ります」

男友「それじゃ……また明日な」タタタッ


男「あいつと何を話してたんだ?」

後輩「先輩のことです」

男「そうか」

後輩「はい、そうです」

男「じゃ、帰ろう」

後輩「はい!」


285:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 13:26:11.07 ID:s1PQExDg0
後輩友『ふーん、そんなことがねー』

後輩「大変だったよ、ほんと……」

後輩友『でもいい方に進めたんでしょ?よかったじゃん』

後輩「……友のおかげだよ、ほんと」

後輩友『あんたが頑張ったからじゃない?それに……まだ終わりじゃないでしょ』

後輩「……そう、だね」

後輩友『ま、最後まで応援してるから頑張りなー』

後輩「ありがと、友」


288:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 15:01:09.70 ID:s1PQExDg0
男「ただいまー」

妹「おっかえりー!」ニコニコ

男「……なんかあったのか?」

妹「それはこっちの台詞だよ、もー!」

妹「……久しぶりに、いつもの顔だね」

男「ん、心配かけたな」

妹「べっつにー。ただ、料理の味付け変なのが嫌だっただけー」

男「……今日の野菜炒めは甘味かなー」

妹「ごめん嘘、嘘だって!心配してたってば!」


290:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 15:18:59.15 ID:s1PQExDg0
男「電話なんて久しぶりだな」

男友『……そう言えば、そうだな』

男「何か話したいことでもあるのか?」

男友『話たいことが無いと電話しちゃいけないか?」

男「いんや、別に」

男友『まぁ、話したいことはあるが』

男「そうか」


291:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 15:37:20.44 ID:s1PQExDg0
男友『後輩のこと、どう思ってるんだ?』

男「どうって……どう?」

男友『好きかどうか』

男「これまたストレートだな」

男友『ほかに聞き方ないだろ』

男「好きか嫌いかと言われればそりゃ好きだな」

男友『そういう意味で聞いてんじゃなことぐらい分かるよな?』

男「……教えなきゃいかんのか?」

男友『答えてるようなもんだよな、それ』

男「まぁ自分でも言っててそう思う」


294:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 16:31:35.04 ID:s1PQExDg0
男友『卒業まで時間がないんだから。伝えておいたほうがいいと思うぞ』

男友『……まぁ、私が心配することでも無いとは思うがな』

男「お前はいいのか?」

男友『いいのか?って、なにがさ』

男「伝えたいことは、伝えたほうがいいと思うぞ」

男友『……あの時は、本当にごめんなさい』

男友『後輩の前ではああ言ったけど……悪いのは私だった』

男友『周りからの目なんて気にしなければよかった……』

男「……」

男友『好きだったんだよ、お前のことが』

男友『花壇を始めたのも……そのためだ』


299:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 17:14:12.27 ID:s1PQExDg0
男「そうだったのか」

男友『反応薄いな……知ってたのか?』

男「いんや」

男友『女の子の告白だぞ?もっと……驚けよ』

男「……すまん」

男友『分かってんだよ、こんな告白はお前を困らせるだけだってのは』

男友『だから……精一杯困れ、バカ野郎』

男友『困って、悩んで……相談しろ。私は……お前の友達だからな』

男「……」

男友『……じゃあ、切るね』ピッ


313:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 23:09:13.70 ID:s1PQExDg0
男「……ん」

妹「よっ!ほっ!」

男(こんな遅くまでゲームを……少し言ってやらんとな)

妹「よっし、ラスボス倒した!」

後輩『やったー!クリアだー!』

男「……」

妹「あ、おにーちゃーん!一緒にしない?」

後輩『あのっ、先輩もやりましょう!』

男「……ちょっとだけ、だからな?」

妹「やっりぃ!」


314:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 23:18:49.18 ID:s1PQExDg0
男友「おはよう、男」

男「おう」

男友「覚悟はしっかり決まったか?」

男「覚悟するようなことじゃねーさ」

男友「私はかなり覚悟したぞ?バカにしてんのか」

男「後輩の気持ちもまだ分からん」

男友「まぁほざいてろ。その時になってテンパんなよ?」

男「気をつけておく」

男友「じゃ、頑張ってこい!」バシン



女子生徒「友ちゃん……よかったの?」

男友「……どうだろ?まだよくわかんない」グス

男友「でも……いつか笑い話で語れる日がくるのかも」ニコ


317:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 23:36:35.92 ID:s1PQExDg0
後輩「~♪」シャワワー

男「……」

後輩「あ、先輩!遅いですよー」

男「ん、すまん」

後輩「先輩が遅れるなんて珍しいですね……また補習ですか?」

男「いんや」

後輩「なら……男友さんと?」

男「心配するほどでもない。少し話をしてただけだ」チョロチョロ

後輩「そうだったんですかー」シャワワー


318:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 23:48:37.84 ID:HqQBUklRP
連れションしてるみたいだな


319:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/03(火) 23:51:16.25 ID:s1PQExDg0
前レスの後輩の台詞  男が余計でした
いつか出ると思ってた発言がやっと出て安心

後輩「よし、これで終わりっと……」

男「ん、そうだな」

後輩「……先輩?なんか変ですよ?」

男「……そうか?」

後輩「なんだか、表情硬いですよ?」

男(……癪だが、あいつの言ったとおりになってしまっているらしい)

後輩(んー……やっぱり、友さんとなにかあったんじゃ)


345:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/04(水) 14:31:23.93 ID:s1PQExDg0
後輩「先輩、やっぱり何か隠してませんか……?」

男「いや、そんなことは」

後輩「……私には話せないことでしたら、仕方ないですけど」

男「ちょっと、座ろうか」

後輩「え?……はい」

男「……ふー」

後輩(なんか、今日はいつにも増して変な感じ……)


346:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/04(水) 14:41:10.21 ID:s1PQExDg0
男「後輩は、なんで花壇の手入れを手伝ってくれたんだ?」

男「変な奴と思っただろ。誰も見ないような場所で水やりしてるなんて」

後輩「……え、えと……」

男「正直に言っていい。俺も後輩を変だと思ってた」

後輩「え、そうなんですか!?」

男「うん」

後輩「あうう……」


348:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/04(水) 15:18:59.21 ID:s1PQExDg0
男「だから、手伝いをしてくれてるのが不思議でしかたなかった」

男「どうしてなんだ?」

後輩「あの……それは……そのぅ……」

後輩「いつも水やりしてる、変な人がいるなー……って」

男「やっぱり」

後輩「で、でも!そりゃ最初のうちは先輩に流される感じでしたけど……」

後輩「だんだん花壇に水やったり、先輩と一緒にいるのが楽しくなってきて!」

後輩「あの、その、上手く言えないんですけど……」

男「ん、俺も後輩といるの楽しいよ」

後輩「その、えと、……っえ!?」

男「好きってこと」

後輩「えっ……えぇぇっ!?」


350:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/04(水) 15:31:09.02 ID:s1PQExDg0
男「あれ、なんでそんな驚いてんの」

後輩「いや、そりゃ、なんっ……え」

後輩「むしろなんでそんな冷静なんですか!!」

男「いや、そこまで冷静でもない」

後輩「十分冷静ですってば……」

男「ダメだった?」

後輩「いえ……私も、言おうとしてましたし」ボソッ

男「あ、そうだったのかー……先に言えてよかった」

後輩「だからもっと驚いてくださいってば!」ポカポカ


351:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/04(水) 15:42:22.86 ID:s1PQExDg0
男「これでも驚いてるほうだが……」

後輩「全然そう見えないです!」

男「そう?」ダキッ

後輩「ひゃう!?」ビクッ

男「心臓の音、やばいと思うんだけどなー」

後輩(凄い早く鳴ってる……本当に緊張してたんだ)

後輩「せん……ぱい……」ギュッ

?「おーい、もう下校の時間だぞーっ!」

後輩「!!!!!!」バッ

男「……もうそんな時間か」

男友「へへ、流石にお前は騙せないか」

後輩「友……さん……」


355:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/04(水) 16:07:37.96 ID:s1PQExDg0
男「……最初から見てたのか?」

男友「おやおや、流石の男さんも照れちゃってますか?」

男「……」

男友「そう睨むな……まだいるか見にきただけ、覗いちゃいないよ」

後輩「その……友さん……むぐ」

男友「そういうのいい。惨めになる、だけだから」

後輩「……はい」

男「……帰るか」

男友「そうだな、本当に見回りきたらシャレにならんし」


364:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/04(水) 20:29:27.37 ID:s1PQExDg0
男友「そういや、そろそろ卒業式だなー」

後輩「そういえば……そんな時期だったですね」

男「あれ?そうだったけ」

男友「……後輩ならともかく、お前は当事者だろうが」ペシ

男「卒業ねぇ、実感わかねぇな」

男友「まぁ……な。っと、ここまでだな」

男「おう、また明日」

男友「……男、絶対幸せにしてやれよ?」

男「言われるまでも無い」

男友「そうか……安心だな、後輩」

後輩「……はい」

男友「じゃ……お幸せに」タタタッ


365:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/04(水) 20:47:41.53 ID:s1PQExDg0
後輩「先輩は、卒業したらどうするんですか?」

男「んー……まだはっきりと決まってないな」

後輩「そうなんですか?」

男「ま、大学に行こうかかなーとは思ってるけど」

後輩「先輩が大学……想像出来ないです」クスッ

男「自分でも想像できんから、後輩が想像出来ないのは仕方ない」

後輩「……凄く、寂しくなります」

男「すまんな」

後輩「先輩が謝ることじゃないですよ……それに」

後輩「毎日メールしますから、覚悟してくださいよ?」

男「ん、覚悟しておこう」


366:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/04(水) 21:06:39.03 ID:s1PQExDg0
後輩友『へー、やっと上手くいったんだー。よかったじゃん』

後輩「そうなんだけどさー……」

後輩友『こんな卒業間近に告白とは、あの先輩もなかなかなセンスしてるね』

後輩「……先輩バカにすんのは許さないよ」ムー

後輩友『はは、ごめんごめん』

後輩「まぁ……心配ではあるけどさ」

後輩友『先輩が誰かに取られないか心配ーってか?』

後輩「……うん」

後輩友『まぁ、初めて付き合うならそういうの仕方ないんじゃない?せいぜい悩め悩め』

後輩「あんたは、付き合ったことあるわけ?」

後輩友『……ノーコメもありかな』


368:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/04(水) 21:13:28.83 ID:s1PQExDg0
男友『随分と遅い告白になっちまったな、おい』

男「まぁ……な」

男友『多分あの子凄い寂しがると思うよ』

男「分かってる」

男友『ぜーったいに、泣かせたらダメだぞ?』

男「……自身はあまり無い」

男友『また女の子泣かせるわけ?』

男「……また?」

男友『お前……ぶっ飛ばすぞ』


369:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/04(水) 21:35:33.57 ID:s1PQExDg0
前レスの男 自身→自信ですね

男「……」

妹(何を仏頂面で携帯握ってるんだろ?)

男「……」ピッピッ

妹(あ、メール打ち始めた)

男「……ふー」コト

妹(なんか凄い時間かかってた……あ、トイレ行くんだ)

妹「……」ソロー ソロー

妹「何を必死に打ってたのかな……?」パカッ

男『元気か?』

妹「……え、これだけ?」ガタン  「はっ!?」

男「……覚悟は、出来てるな……?」

妹「ひ、ひぃっ!?お、おにいちゃん、ご、ごめっ……」メコッ


379:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/05(木) 00:55:45.45 ID:s1PQExDg0
後輩「……ふわぁぁぁ」

後輩「昨日は結構遅くまで話し込んじゃったなぁ」ポリポリ

後輩「さっさと準備しなきゃ……」

後輩「おかあさーん、ご飯出来てるー?」

後輩母「もう、いつまで寝てるのよ!早く支度しなさい!」

男「そうだな、急いだほうがいい」

後輩「分かってますよーだ……って、えぇっ!?」

男「おはよう、後輩」

後輩「あ、あの……おはよう、ございます」


380:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/05(木) 00:59:53.54 ID:s1PQExDg0
後輩「家に来るなら、昨日のうちに連絡くださいよ!」

男「……連絡、したはずだが?」

後輩「え」ピッ ピッ 「……中まで入ってくるなんて、聞いてないです!」

男「いや、俺も聞いてなかったよ」

後輩「お母さんめ……絶対許さん……」

男「迷惑、だったか?」

後輩「いえ……その……寝起きなんでヒドかったですよね?顔とか、髪とか……」

男「別に。普通に可愛いかったけど」

後輩「え、えと……ありがとうございます」

男「そろそろ急ごうか」タタタッ

後輩「あ、待ってくださいっ」スタタッ


383:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/05(木) 02:06:46.59 ID:s1PQExDg0
男友「よう、お惚気さん」

男「なんだいきなっ」ガシッ 「うぐっ」

男子生徒「お前……年下の彼女か!ちくしょう!!」グリグリ

男「なんだ、うざったい奴め」バシン

男子生徒「あぁんっ!?」ドサ

男友「まぁ、ラブラブなのはいいことだ」

男「別に大したことじゃねぇさ」

男友「あいつがそう思ってるかって話だな」

男「?」



後輩友「お暑いねぇ、まったく」

後輩「……見てた?」

後輩友「まぁ、少なくとも私は」

後輩「……あう」ボッ


385:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/05(木) 02:10:01.66 ID:s1PQExDg0
後輩(散々茶化された……はぁ)

男「~♪」シャワワー

後輩「先輩今日は先越されちゃいましたね」

男「ん、後輩か」


387:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/05(木) 02:20:23.46 ID:s1PQExDg0
なんか途中で書き込まれちゃった


男「……この花壇も、もう見納めになるわけか」

後輩「やっぱり、愛着ありますか?」

男「まぁ、なんだかんだで長く世話してたからな」

男「残っていってくれるなら、それに越したことはないが……」

後輩「……私が、世話をしますよ」

男「おっと、今度は先を越されたか」

後輩「この花壇がなければ、先輩とも会えて無かったですし……大切にしたいです」

男「なんか恥ずかしい台詞だな」

後輩「ちゃ、茶化さないでくださいっ!……言ってて恥ずかしいって分かってるんですから」

男「……だけど、俺もそう思う」

後輩「え、せ、せんぱ……ん、んぅ……」


388:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/05(木) 02:32:34.73 ID:s1PQExDg0
後輩「……」

男「……」

後輩「……いきなり、ですか」

男「……すまん」

後輩「いえ、先輩が悪いとかじゃないんです!全然そんなんじゃなくて、その」

後輩「突然でビックリしただけで……はう」ポッ

男「……ダメだ、我慢できん」ギュゥッ

後輩「え?ひゃわわっ!?」


男友「……さて、帰るか」

女子生徒「今日は一緒に帰ってあげようか?」

男友「……感謝するよ」

男子生徒「あれ?もしかしてこれ、俺フラグ?」

女子生徒「黙れ」

男子生徒「……すんません」


389:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/05(木) 02:38:27.36 ID:s1PQExDg0
後輩「……」

男「……」

後輩「わ、わたしっ!今日はもう帰りますっ!」ダダダダダダッ

男「あ」

男「……俺も、帰るか」



後輩(あわわわわわわわ……)

後輩(先輩と先輩と……あわわわわわ)バタン

後輩母「あら、おかえ」  ダダダダッ

後輩母「……あら?」



後輩「あわわわわわわわわ」

後輩友『よし、とりあえず日本語喋れ』


391:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/05(木) 03:18:47.94 ID:s1PQExDg0
後輩友『なるほど、ね……こりゃまた随分と大胆な』

後輩「あわわわわわ」

後輩友『……切るよ?』

後輩「その……まだ、ドキドキしてるの……」

後輩友『そりゃ、ドキドキしないほうがおかしいでしょ』

後輩「もう……先輩の顔まともに見れないよー」

後輩友『……よかった、いい人で。私も一安心」

後輩「友……」

後輩友『私への感謝の数々、忘れんなよ?』

後輩「……うん!ありがと!」


392:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/05(木) 03:24:10.73 ID:s1PQExDg0
男「……」

妹「おかえりー……って、おにいちゃん!顔真っ赤だよ?」

男「そうか?」

妹「そうかって……熱があるんじゃないの?」

男「いや、んなことはない」

妹「おにいちゃんはいっつもそうやって風邪だったりするじゃない!ほらこっちこっち」

男「……」

妹「熱は……無いみたいね。声も枯れてないし……」

男「だから大丈夫って言ったろ」

妹「じゃぁ、なんであんな真っ赤だったの?」ニヤニヤ

男「……あんまり調子に乗るなよ?」

妹「ハイ、ゴメンナサイ」


393:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/05(木) 03:34:56.68 ID:s1PQExDg0
後輩「はふー……まだ夢見てるみたい……」ブー ブー

後輩「あれ?メールが来てる……え、先輩!?」

男『元気か?』

後輩「……ふふ、先輩らしいや」

後輩『元気ですよ。先輩はどうです?」

男『ん、もちろん元気だ』

後輩『私は今もドキドキが続いてます……』

男『そうだろうと思って、メールにした。電話じゃ話しづらいだろうし』

後輩『……ありがとうございます』

男『じゃ、俺は風呂に行くから。また明日』

後輩『はい、ではまた明日』

後輩「また明日……か。あと何回また明日できるんだろ……?」


394:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/05(木) 03:51:14.77 ID:s1PQExDg0
「また明日」   「また明日」


後輩「先輩方、おはようございます」

男「ん、おはよう」

男友「おはよう、後輩」

後輩「もう明日、なんですね……」

男「そうだなー」

男友「相変わらず実感なさそうだな、お前……」

男「まぁ実際あまり実感はない」

男友「……本音言えば、実は私もだ」

後輩「先輩達と会えなくなるんですね……」ポン  「……!」

男「会いに来る、絶対」

後輩「先輩……」

男友「はいはい、メロドラマするには一日早いですよっと」

男友「最後の思い出が遅刻で怒られたこと、なんて勘弁だぞ?」

男「ん、同感だな」タタッ タタタ


406:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/05(木) 12:02:43.39 ID:s1PQExDg0
後輩友「もうすっかり開き直ったね、あんた」

後輩「まぁ……ね、もう慣れたよ」

後輩友「仲睦まじいのは良きことかな」

後輩「まだ少し恥ずかしさはあるけどね……」

後輩友「それも明日まででしょ?」

後輩「……」

後輩友「……ん、今のはごめん」

後輩「んーん、だいじょぶ。ほんとの……こと、だから」

後輩友「半泣きで言われたらだいじょぶには見えないよ」


408:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/05(木) 12:14:38.36 ID:s1PQExDg0
男「……」ボー

男友「おい、授業終わってるぞ」

男「……ん、ああ」

男友「何を間抜けな声出してんだ、ばか」

男「いつもこんなだぞ」

男友「そういやそうだな」

ガラッ

後輩「先輩いますかー?」

男「おう、後輩」

後輩「はいどうぞ、お弁当です」

男「ん、いつもすまんな」


男子生徒「……ぬぐぐぐ、ぬぐぐぐ」

女子生徒「念じても爆発なんてしないわよ?恥ずかしいから止めなさいクズ」

男子生徒「……クズて……クズ、て……」


410:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/05(木) 12:30:32.45 ID:s1PQExDg0
男「後輩、料理上手くなったな」モグモグ

後輩「そう、ですか?ありがとうございます」

男友「そりゃ毎日作ってりゃ上手くもなるだろうな、うん」ハムハム

後輩「友さんは最後までパンなんですね」

男友「ん?まぁな。あんまりたくさんは食べれないから」

後輩(じゃぁどうしてこんなに差が出るんだろ……)

男友「なんだなんだ、人のことをじーっと見て」

後輩「い、いえ……なんでもないです」

男「お、この卵焼き美味い」


412:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/05(木) 13:37:54.12 ID:s1PQExDg0
後輩「こうやって一緒に帰るのも、明日で終わりなんですね」

男「ん」

後輩「そういえば、久しぶりですね。二人で帰るのって」

男「そういや、友が一緒のことが多くなってたな」

後輩(今日は気を使ってくれたのかな?)

男「久しぶりついでに、ゲームセンターでも行くか?」

後輩「え……いいんですか?」

男「この後別に用事も無いしな。さぁ、行こう」

後輩「はい!」


418:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/05(木) 17:05:16.38 ID:s1PQExDg0
ジャララアララ  ジャララララン

男「この音も、慣れたら平気なもんだな」

後輩「おぉ!」タタタタ

後輩「先輩!先輩!」チョイチョイ

男「ん、どうした後輩」

後輩「これ、新作ですよ新作!」

後輩「最近情報チェックしてなかったけど、出てたんだ……」

男「やってく?」

後輩「事前情報なしですけど……やってみたいです」

男「うし、やってみようか」チャリン チャリン


420:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/05(木) 17:12:06.70 ID:s1PQExDg0
後輩「流石に事前情報無しだと、難しいですね……」ビビビビ ビビビビ

男「その割には随分進めるな」

後輩「先輩のサポートもあるからですよ……凄く上手くなりましたよね」

男「まぁ、何回も一緒にやってればな」

後輩「……迷惑でしたか?」

男「迷惑だったらこんな上手くならん。おっと危ない」ポチ バリバリバリ

後輩「あ、ありがとうございました」

男「ん、構わん」ビキューン ビキューン


421:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/05(木) 17:17:31.76 ID:s1PQExDg0
デレレレーン  ボバババババ

男「お、こいつ随分かっこよくなったな」

後輩「でも、基本的な部分は引き継いでるみたいです」

男「そうだな。パターンが似てる」

ビビビビ ボゴーン ボゴーン

男「ん、形態が変わったな」ガチャガチャ

後輩「このままいけば余裕ですね」

ボボボボボ  ピカーン

男「んー、あっけないから嫌な予感はしてたが……」

後輩「どうやら、二段変形になったみたいですね」

男「こっからはパターンが謎だな」

後輩「大丈夫です!先輩と一緒なら!」

男「根拠は無いが頑張ってみよう」


423:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/05(木) 17:55:56.39 ID:s1PQExDg0
ピピピピピピ  ボゴーン ボガーン
テーレーテレーレー♪

男「ここの曲は変わってないんだな……うお」ガタン

後輩「やりました、やりましたよ先輩!」ガバッ

男「おう、やったな」

後輩「情報無しでクリアしたのはこれが初めてですっ!」テカテカ

男「そうだったのか」ポンポン

後輩「あー、まだドキドキしてます……」

男「うむ、俺も緊張している」

モブA「またあの人達か……」

モブB「リア充のうえにゲームまで……クソッ!クソッ!」

男「相変わらずの人気だなー。羨ましい限りだ」

後輩(先輩に対してのほうが多い気がしますけど……)


428:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/05(木) 18:22:15.93 ID:s1PQExDg0
男「結構遅くなっちゃったなー」

後輩「すいません、あの後もヒートアップしちゃって……」

男「楽しかったか?」

後輩「はい!ゲームセンターは久しぶりでしたから……先輩は、どうでしたか?」

男「ん、もちろん楽しかったぞ」

後輩「……先輩が卒業する前に、また一緒に遊べてよかったです」

後輩「友さんには、感謝ですね」

男「……」


男友(え?今日は一緒に帰れないって……)

男(すまん、今日は後輩と一緒に遊んでやりたいんだ)

男友(あー、なるほどね……気が利かなかったわ、すまん。了解したよ)

男(ありがとよ)

男友(あたり前だろ。頑張れ、我が友よ)

男「……ほんとに、な」


431:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/05(木) 18:47:14.61 ID:s1PQExDg0
男(すまん、今日は後輩と一緒に遊んでやりたいんだ)

男友「……あの鈍い奴が、言うようになったもんだ」

男友「ずるずると意地悪く引きずってれば、今と違う結果になってたのかな?」

男友「……そんな訳、ないか」

男友「あー、なんか引き際よすぎて泣けてきた」グスン

?「お前に涙は似合わないぜ」

男友「……誰だ」

男子生徒「俺だ」ボゴォ 「ごふぇ!?」

女子生徒「あんたのことだから一人で泣いてると思ってね……元気だしなよ」

男子生徒「俺もいるしな!」メゴッ 「いでぇっ!?」

女子生徒「あんたは黙ってろっての!」

男友「……」クス

男友「悩んでんのがバカらしくなってきたよ、ありがと」クスクス

女子生徒「うん、やっぱあんたにしおらしい役は似合わないよ」

男友「……ありがとう、女」
男子生徒「あれ?俺「黙れ」……はい」


433:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/05(木) 19:10:49.29 ID:mGXkvZ0K0
男子生徒と女子生徒
この二人大好きだwww

そして、この後どうなるのか激しく気になる。


440:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/05(木) 21:44:18.21 ID:s1PQExDg0
男「ただいまー」

妹「あ、おにいちゃんお帰りー。今日は遅かったね」

男「ん、ちょっとな」

妹「何、彼女ー?彼女なのー?」

男「おう、そうだ」

妹「……」パチクリ

妹「……彼女?」

男「おう」

妹「……彼女」

妹「……おかあさぁーん!」

男「なんなんだ、騒がしい」


442:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/05(木) 22:03:52.94 ID:s1PQExDg0
後輩「……ただいま」

後輩母「あら、おかえりなさい」

後輩「……」トッ トッ トッ

後輩父「……どうしたんだ、あいつは」

後輩母「色々あるのよ、この時期の女の子は」

後輩父「こんな遅くに帰ってきて……少し話を」ガッ

後輩母「色々、あるのよ……?」

後輩父「そ、そうだな……色々、だな……ハッハッハ」クピ


後輩「……もう二度と会えないわけじゃ、無いけど……けど……」

後輩「やっぱり少し、寂しいな……」

後輩「でも、明日は出来るだけ笑うようにしよう……泣いてたら先輩に悪いし」

後輩「……もう、寝よう」


447:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/06(金) 00:15:44.90 ID:s1PQExDg0
しろいひかりのなーかにー♪ やまなみはもえてー♪


男「……卒業、か」

男友「中学の時とはなんか雰囲気違うなー」

男「そうか?大して変わらんかったぞ」

男友「ま、お前に言うのは間違いだったか」

男「かもな」

男子生徒「ぐすっ……ぐ、ひぐっ……みんな……」

女子生徒「ほーら、何泣いてんの」バシン


男友「……お前もあんぐらい何か感じないのか?」

男「いや、いくらなんでもあれはオーバーだろ」

男友「そうか?あのぐらい泣いてもいいと思うがな」


後輩「……ひぐ、うぐ」グス グス

後輩友「ほらほら泣かないの」ポンポン

452:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/06(金) 00:34:55.99 ID:s1PQExDg0
男「あおーげばー、とおーとしー……ってか」シャワワー

後輩「……せん、ぱい」グスン

男「おう、後輩」

後輩「やっぱりここに、いたんですね」

男「ま、最後だからな」ギュッ 「……む」

後輩「やっぱり……寂しいです」

後輩「昨日は泣かないって思ってたのに……いざ、式が始まったら……」

後輩「こう……なんか……その……うく」ポン

男「泣くことを、我慢する必要なんてない」

男「笑顔でお別れなんて、簡単に出来るもんじゃないからな」

後輩「……せん……ぱぁい」ギュウウ


後輩友「あーあー、あんな泣いちゃってもう……」

男友「男、そこはギュッと抱き返せよ……」

後輩友「……どうも」ジー

男友「……おう」ジー


453:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/06(金) 00:40:08.50 ID:WrqIfmSW0
旅立ちの日に と 仰げば尊し
まさに俺の中学で卒業式に歌った曲だわ
泣いた


454:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/06(金) 00:47:02.63 ID:s1PQExDg0
後輩「……」

男「おう、少しは落ち着いたか?」

後輩「はい……恥ずかしいとこ、お見せしてしまって申し訳ありません……」

男「泣くことは別に恥ずかしいことじゃないぞ」

男「泣ける時に泣いて、その分笑えるときに泣かないようにしとかないとな」

後輩「……先輩は、私を笑わせてくれますか?」

男「もちろん」

後輩「……ありがとうございます」

男「ま、そのためには今涙を止めてやらないとな」スッ

後輩(先輩の心配そうな顔が……近づいてきて……)フワッ

後輩「……んっ」

男「……っ!」

後輩「……今度は、私からさせてもらいましたよ?」ニコッ

男「……不意を、つかれた」


455:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/06(金) 01:01:30.21 ID:s1PQExDg0
後輩「……いっぱい泣いて、なんかスッキリしちゃいました」

男「そりゃ一安心だ」

後輩「心配おかけしたみたいで、すいません」ペコッ

男「年下が年上に心配かけるのは、当たり前のことだ」

男「むしろ、心配かけない奴ほど心配だ」

後輩「……なんか、手がかかるって言われてるみたいです」

男「違うか?」

後輩「むー、私だってしっかりしてますよ!」

男「ふむ、そんだけしっかりしてれば安心だな」

男「この花壇、よろしく頼んだぞ」

後輩「はい!任せてください!」


456:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/06(金) 01:11:00.61 ID:s1PQExDg0
女友「あんた、何ぼーっとしてんの?」

女「ん、ちょっと先輩のこと思い出してた」

女友「そういえば、もう半年経ったんだねー……で、調子は?」

女「んー、いつも通り?」

女友「いつも通り、ですか」

女「そ、いつも通り」

女友「……ならいいや」

女「この前遊びに行ったときなんてね……」

女友「ハイハイ、ワカリマシタ」(聞いてないって……)


462:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/06(金) 01:24:25.09 ID:s1PQExDg0
女「ブーン ブンシャカ ブブンブーン~♪」シャワワー

後輩「先輩、今日もお疲れ様です!」

女「ん、やっほー」

後輩「地球を救うのは、大変ですか?」

女「一筋縄にはいかないねー、やっぱ」

後輩「では、ボクも手伝います!」チョロチョロ

女「ん、ありがと」



女「よし、終わり」

後輩「けっこう暗くなっちゃいましたね……送りますよ、先輩!」

女「ありがと、でも大丈夫」ニコ

後輩「え、そういうわけには……行っちゃった」

後輩「……次こそは!」


465:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/06(金) 01:45:39.62 ID:s1PQExDg0
男『へー、花壇の世話に手伝いがねー』

女『変な子がいるもんですよね』

男『そうやって継いでいくのも、面白いかもしれんな』

女『そうですね。あの花壇には不思議な力があるのかもしれません』

男『んなわきゃない。そんなもんあったら放置なんてされとらんだろうし』

女『……むぅ、酷いです……』

男『ま、後輩が楽しいならそれでいいさ』

女『……これからも、笑えるとき笑って、泣くとき泣いて……楽しめなくなるまで楽しみましょう』

男『ん、当然だ』

女『それじゃ……先輩。今日もお疲れ様でした!』



~こんなんで終わり~

女「病んでしまいました」

1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 00:08:27.70 ID:mzKrkPef0
女友「……は?」

女「どうも、病んでしまったみたいです」

女友「風邪でも引いたの?だったら保健室に……」

女「違うんです」

女友「え?」

女「心が、病んでしまったんです」

5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 00:11:01.08 ID:mzKrkPef0
女友「……えーと、つまりどゆこと?」

女「私は、男さんが好きです」

女友「いや、まぁ。知ってるけど」

女「今、男さんと女の子が話してますよね」

女友「うん、そうだね」

女「あの女の子を消してでも、あの位置にいきたいんです」

女友「……そりゃまた物騒だね」

6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 00:15:33.21 ID:mzKrkPef0
女「変ですよね、こんなの」

女友「まぁね……てか、何でそんな話を私に?」

女「誰かに話さないと、溢れてしまいそうだったので」

女友「うぉー、こりゃ危ないとこだった」

女「幻滅、しちゃいましたか?」

女友「んー……褒められた感情じゃ、ないだろうね」

女「……すいません」

7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 00:18:06.31 ID:mzKrkPef0
女友「で……私は、何が出来るのかね?」

女「え?」

女友「親友から恋愛相談受けたんだから、出来る限りは力になるよ」

女「……」

女友「なにポカーンとしてんのさ」

女「……ありがとう、ございます」

10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 00:26:23.59 ID:mzKrkPef0
女友「しっかし……男のどこがそんなに好きなの?」

女「……秘密、です」

女友「あーあー、頬染めちゃって。まさに恋する女の子ですな」

女「……聞こえる(ピクッ」チキチキ

女友「ちょ、ちょっ!?」ガシッ

女「女友、さん?」グググ……

女友「いや、なんで止めるのみたいな顔で見られても……」グググ……

11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 00:30:54.98 ID:mzKrkPef0
女「……申し訳、ありませんでした」

女友「いやー、あんたあんなに力あったんだね……」

女「どうも、男さんと楽しそうに話してる女を見ると」チキチキ

女友「あーもー、物騒だからしまいなさいな」

女友「しかしまぁ、今までよく事件にならなかったもんだ……」

女「我慢してましたから」

女友「……?」

女「これで」スッ

女友「!!」

13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 00:38:03.14 ID:mzKrkPef0
女「誰も傷つける勇気なんて、私には無かったんです」スッ

女友「うわー……いたそ」

女「……流石に、引いちゃいましたよね?」

女友「引く引かない以前に、もう痛くないの?それ」

女「え?あ、はい」

女友「一生残る傷作っちゃって……バカだね、あんた」

女「……」

女友「……私がその傷の代わりになれるか、分かんないけどさ」

女友「もう二度としないって、約束して」

女「……はい」

14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 00:42:39.51 ID:mzKrkPef0
女友「しっかし……こんな思いに気付かないなんて、罪な男だねぇ」

女「……いえ、男さんは悪くないです」

女友「ん?」

女「私が、自分の気持ちを伝えられないから……」

女「ただ、遠くから見つめながら、自分を傷つけるだけ」

女「迷惑な女ですよね、ほんと。私なんて……」

女友「はい、ストップ」ポンッ

15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 00:48:58.85 ID:mzKrkPef0
女友「何?私に愚痴言うために相談したわけ?」

女「い、いえ……そんなつもりは」

女友「じゃぁ、女々しい台詞禁止ね」

女「え、えと……」ムグ

女友「はい、言い訳も禁止ー」

女友「とにかく、自分の気持ちに自信を持ちなよ。好きなんだろ?」

女「は、はい」

女友「じゃぁ、そんなくらーい顔じゃダメだよ」

女友「ほら、笑いな。にこーって」

女「……(ニコッ」

女友(……んーこの笑顔、男には実に勿体無いな)

16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 00:56:20.93 ID:mzKrkPef0
女友「あ、男帰るみたいだね。私たちも帰ろうか」

女「あ、はい」ガサガサ

女友「おーい、男ー」

女「!!!」ガタンッ

男「ん?なんだよ、女友か」

女友「なんだよって……わざわざ美少女が二人でお出迎えしてんのにその態度かい?」

男「誰が美少女だよ、まったく」

男「女ならともかく、お前は美少女では断じてない」

女「……(ハワハワ」プシュー

女友(ありゃりゃ、ちょいとやりすぎたかな?)

17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 01:00:27.64 ID:mzKrkPef0
男「で、用はなんなんだよ」

女友「今から帰りでしょ?」

男「あぁ、そうだけど?」

女友「一緒に帰ろうかなー、なんてね」

男「……お前とか?お断りだ」

女友「女も一緒に、と言ってもダメかな?」

女「えっ……」

男「む……ま、まぁ、それなら構わないぞ」

女友「おんやー?照れてるのかな?素直じゃないねぇ」

男「ば、ばか言うな!さっさと帰るぞ」

女「……」

18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 01:09:46.81 ID:mzKrkPef0
男「そういや、今日あった数学の抜き打ちどうだったよ?」

女友「あー、私?」

男「んなわきゃねーだろ。どうせお前はダメダメだろ」

女友「バレてましたか」

男「当たり前だろ。お前の学力ぐらい把握しきってるわ」

男「で、女はどうだったんだ?」

女「え、えと、えと……」アタフタ

男「……?」

女「……普通、でした」

男「ん、そ、そうか」

女友(うーん、こりゃ思ったより大変だな)

19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 01:14:31.16 ID:mzKrkPef0
男「じゃー、また明日な」

女友「ん?また明日も一緒に帰りたいのかい?」

男「ばっか、ちげーよ!女も、じゃあな」

女「は、はい……」

バタン

女友「さて、と」

女友「その握り締めすぎの手を解いてから、少し話しようか?」

女「あ……」ジワ

21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 01:25:58.27 ID:mzKrkPef0
女友「さて、言いたいことをどうぞ」

女「……」ギュッ

女友「唇噛んでても、誰も同情しないよ?」

女友「あんたの気持ちはあんたにしか分からないんだから」

女「……ああぁっ!」ヒュッ

女友「う、うわぁっ!?」ダダッ

女「フー……フー……」チキチキ

女友「あちゃー、予想よりちょっと斜め上だったかな」

22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 01:32:31.74 ID:mzKrkPef0
女「幼馴染だからって……見せ付けてっ!」ヒュッ

女友「あわわわ」ヒョイッ ザクッ

女友「うわー、容赦ないなー……」

女「協力するとか言って、横取りする気だろっ!」ビュゴッ

女友「おっとぉ!?」ヒュパッ

女友「前髪とおでこがちょびっと切れた……」ツゥ

23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 01:38:41.81 ID:mzKrkPef0
女「はぁ……はぁ……」フラフラ

女友「女!体力ないのに無茶するなって!」

女「う、うるさぁ……い」パタリ

女友「だから言わんこっちゃない……」

女「……」

女友「酸欠で気絶してる……ここまで思われてるなんて、幸せものだな男」

女友「さて、と。とりあえず、運びますかね」ヒョイ

女友「うわ、軽っ!女の私でも軽々だよ……」

27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 01:49:20.71 ID:mzKrkPef0
女友「さて、と。とりあえず女の家に連れてきたわけだが」

女友「酸欠の娘を背負ってきた、デコを怪我した友人」

女友「うん、意味不明だな……」

女友「なんて言い訳したもんかな……」

女友「……あれ?」ガチャリ

女友「開いてる……」

29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 01:52:36.38 ID:mzKrkPef0
女友(そういや、女の家に来るなんて初めてだな)

女友(両親の顔を見たことも無かったし、もしかして……)

ガバッ

女「……」

女友「あ、女……だいじょぶ?」

女「あ……えと、その」

女「ごめんなさいっ!」ズタッ

31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 01:58:41.66 ID:mzKrkPef0
女友「あ、いや」

女「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」ガンガン

女友「いや!おかしいから!とりあえず落ち着いてってば!」

女「初めて、他人を攻撃してしまいました……」

女「今までは、自分で我慢できてたのに」

女「楽しそうな男さんと、女友さんに溢れて溢れて……」

女「おさえきれなくて……」ダキッ「!」

女友「んー……流石に、いきなりでビックリしたけどさ」

女友「私もかなーり悪いことしたし……お互い様でよくない、かな?」

女友「というわけで、私もごめんなさい」

32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 02:03:20.80 ID:mzKrkPef0
女友「……さて、少しは落ち着いた?」

女「……はい、すいません」

女友「んー、いいっていいって」

女友「じゃぁ、私はそろそろ帰ろうかなー。親を心配させちゃ悪いし」

女「……そう、ですね」

女友「……女?」

女「また明日、学校で」ニコ

バタン

女友(……さっきの笑顔、学校で見たのとだいぶ違った)

女友(本当に大丈夫、かね……?心配だけど)

女友(私に出来ることも無いしなぁ、今はとりあえず帰ろう)

37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 02:12:46.33 ID:mzKrkPef0
女「おかあさん、きょうわたしはともだちにてをだしました」スッ

女「わたしはわるいこですね、ごめんなさい」ザク

女「あ、やくそくしてたんだった。やぶっちゃった」ザクザク

女「やっぱりわるいこだ。わるいこ、わるいこ」ザクザクザク

女「わたしのこと、げんめつしちゃうかな?」ザクザクザクザク

女「おとこくん……わるいこでも、すきになってくれるかな?」ザクザクザクザクザクザクザクザク

43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 02:19:09.42 ID:mzKrkPef0
女友「かー、結局ほとんど眠れ無かったな……」

女友(女が心配で仕方が無い……今までこんなこと思いもしなかった)

女友(思わせもしないような平然とした顔で、昨日みたいな気持ちを我慢してたのかな?)

女「……おはよ」

女友「う、うわぉぉ!?」

女「ど、どしたの?」

女友「い、いや!なんでも!お、おはよ!」

女友(あれ?意外に普通……?)

44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 02:22:47.68 ID:mzKrkPef0
男「ういーっす、女、女友!」

女友「よ、よう、男」

女「……おはよ、男くん」

男「ん?どうしたんだよ、女友。調子でも悪いのか?」

女友「い、いんや、別に」

男「まぁ、お前が調子悪いなんてあるわけないか」ククッ

男「じゃぁ、先行くぜ。日直の仕事があるんでな」タタタッ

女友(……今、女が普通に挨拶してた。いい兆候、と見るべき、だよね)

46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 02:29:36.84 ID:mzKrkPef0
キーンコーンカーンコーン
男「さーて、昼飯だ昼飯っ!」

男友「ずいぶんと腹減ってるな、おい」

男「何もしなくても人間は腹が減るんだよ!意味も無い頭を使えばなおさらな」クイ

男「ん?」

女「……男、くん」

男「なんだ、女か。どうしたんだ?」

女「……これ」

男「これは……弁当?」

女「……食べて」タタタッ

男「……」ポカーン

男友「……」ポカーン

女友(うん、いい兆候……なわきゃないでしょ!ここまできたら)

女友(なんでいきなりアクティブになってるの……?)

48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 02:38:43.57 ID:mzKrkPef0
女友「ね、ねぇ……女?」

女「なに?女友さん」

女友「どうしたの?今日」

女「どうしたのって……何が?」

女友「いや、昨日はあんな……に」

女「?」

女友「……腕を、見せて」

女「え?」

女友「……っ!」ガシッ

女「いっ……」

女友「あんた……また……」

50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 02:42:15.41 ID:mzKrkPef0
女「やくそく、やぶりました」

女「きらいに、なりましたか?」

女友(す、凄く冷たい目……)ゾクッ

女友(……でも、どこか端っこで救いを求めてる)

女友(……そんな、気がする)

女友「嫌いとか、嫌いじゃないとか……そういうのじゃなくて……」

女友「なんでこういうことするの……」

女「わるいこ、だからです」

51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 02:50:32.33 ID:mzKrkPef0
女「わるいこをかくすために、いいこになりました」

女「でも、それもわるいこのすることです」チキチキ

女友「ちょっと!」ガシッ

女「……」チキチキチキチキ

女友「もうこれ以上は……だめだってば!」

バンッ

男「おい、どうしたん……だ」

女「……あう、あ(ガクガク」  カラン

女「……あああああ!!」ダッ

女友「ちょっと、女!」ダッ

男「行っちまった……」

男「……なんだってんだよ、さっきのは」

59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 03:10:41.47 ID:mzKrkPef0
女「あ……あああ……」ガクガク

女「おとこ……みてた……わるいこ、わたし……」チキチキ

女「は……は……は」

女「くびは、たくさんでる……」スッ

バタンッ!!

女「!!」 カランッ

女友「おっと、あぶな、かった、かな……?」ハァハァ

65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 03:17:03.62 ID:mzKrkPef0
女「……ハッ!」ガシッ

女「……こ、こないで……(ガタガタ」スッ

女友「おっと、今度はこっちに向けちゃう?」

女友(ヤバイね…・・・流石に、トイレは目立ちすぎる)

女友「と、とりあえず落ち着いて、ね?」

女「……(ガタガタ」

女友(あちゃー……男、マジで恨むぞこりゃ)

女友「……」スタスタ

女「く、く、くるなっ」プルプル

女友「……ぐ、っぅ」サクッ

女「!!!!」

66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 03:23:08.21 ID:mzKrkPef0
女友「さ、さすがに洒落にならんねこりゃ……」ポタポタ

女「あ、あ、あ」

女友「さて、と。これで多少はまともに……」

女「……ごめん、なさい」

女友「え?」

女「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

女友(あ、あれ?逆に酷くなった?無駄だった?)

68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 03:28:11.32 ID:mzKrkPef0
女友「え、えと。あの……」ダクダク

女友「あ、ありゃれりゃ……?」フラフラ

女友(走った後に、血を流すのはまずか、た、かな……)ガクン
 カラン
女「あ……」

女「また、しんじゃった。わたしをのこしてしんじゃった」

女「わたしがわるいこだからなの?おかあさん」


69 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 03:36:37.00 ID:oBRRykzhO
男ー、早く来てくれー!


70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 03:40:36.93 ID:mzKrkPef0
女友「あ、ちょうどよかった!そこのあなた!」

女「……え」ガタン

女友「見ず知らずで悪いけど、教科書貸してくれない?」

女「……あの、えと」

女友「お願い!このとーり!」

女「あう、い、いいですよ」

女友「ありがとうございます!神様!仏様!」


71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 03:45:46.74 ID:TaQchpaH0
ん?回想か?


72 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 03:49:16.37 ID:mzKrkPef0
男「よう、女友!今日の小テストどうだったよ?」

男「まぁ、教科書忘れたっていってたし散々……」

女友「ふっふっふ……はーっはっは!」

女友「これを見よぉ!」バッ

男「な、なにぃ!?満点だとぉ!」

男「教科書もなしにどうやって……」

女「……」ソワソワ

男「あれ?その子……」

女友「ん?教科書貸してくれた見知らぬ子」

男「……いや、うちのクラスの女だろ?」

女「っ!!!」

女友「……ありゃりゃ?そうだっけ?」

女友「ほんとーにごめんっ!女さんっ!」ペコッ

74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 03:55:26.55 ID:mzKrkPef0
女「……」ポーッ

男「でさー、そいつが」

男友「ふーむ、それは興味深いな」

女「……」ホカホカ

女友「……ねぇ、あんた」

女「……」ポーッ

女友「ありゃりゃぁ、こりゃ重症だわ」

77 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 04:05:06.02 ID:mzKrkPef0
女「……ねぇ」

女友「ん?どした?」

女「男くんと仲いいよね、女友さん」

女友「そんな、仲いいなんてことは……」ザクリ

女友「……え?」ザクザク

女「死んで」ザク グリュッ

女友「え?え?」ポタ ポタ  ビシャッ

女「しんでしんでしんでしんでしねしねしねしねしね」グリュグリュ ザシュザシュ

女友「あは、は……すっごい痛い」パシャパシャ  ビチョリ

女友「私、死ぬ、の、か、な……?」

78 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 04:11:29.36 ID:mzKrkPef0
男「……い!……丈……か!」

女友(あれ……生きてる?いや、天国?)

男「……おい!大丈夫か!」

女友「あれ、男じゃん……ここ、保健室……」

男「男じゃん、じゃねぇよ!心配して探しに行ってみれば……」

男「血ぃ流しながら倒れてるなんてどういうことだよ!」

女友「……えっと、ごめん。少し整理させて」

79 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 04:13:58.97 ID:mzKrkPef0
女友「私、どこに倒れてた?」

男「女子トイレの前だよ。まったく、女にやられたのか?」

女友「……そうだ!女!女はどこ!?」

男「さぁな……俺が行ったときにはもういなかったな」

女友「探しに、行かなきゃ……!」フラフラ

男「おい!まだ寝てろって!倒れたばかりだろ!」ガシッ

女友「そんな場合じゃないんだって!あの子は……あの子は!」

男「……分かった」

男「俺が、探してくる。だから、お前は休んでろ」ダッ

94 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 11:41:50.68 ID:mzKrkPef0
男「しかし……勢いで飛び出したものの」

男「女が行きそうな場所なんてまったく分からないな……」

男「とりあえず、聞いて回るしか……」

男友「おい、男。何があったんだ?」

男「ん、男友か……すまないが今急いで……」

男友「女さんが、凄い勢いで……」

男「どっち行った!?」

男友「屋上の方に……って、行っちまった」

95 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 11:48:02.61 ID:mzKrkPef0
ヒュウー ヒュウー
女「……」バサバサ

バンッ!

女「……!!」

男「女っ!」ハァハァ

女「……おとこ」

男「うぉっ……そんな危ない所、すぐ降りろ!」

女「……」スタスタ

男「お、おいっ!?」

女「……」スッ

男「だから危ねぇって!そんな所に座んないでこっちに……」

女「……ねぇ」

96 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 11:51:03.34 ID:mzKrkPef0
女「おとこは、すきなこいる?」

男「……?」

女「わたしは、いるよ。そのひとのことだいすき」

女「でも、そのひとはなかなかふりむいてくれないの」

女「そういうこと、おとこにもある?あるのよね?」

男「……」

97 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 12:08:59.95 ID:mzKrkPef0
女「でもね、つらいのもきょうでおわり」

女「ぜーんぶ、おわっちゃったから」スクッ

男「おい!やめろって!」タッ

女「……くるの?」クルッ

男「……(ビクッ」

女「……ほんとうに、くるの?あれをみても、そうおもうの?」

女「ほんとうに、わたしのためにおもってくれてる?」

98 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 12:12:20.73 ID:mzKrkPef0
女「……おもってくれるわけ、ないよね」

女「わたしはわるいこだから。みんなわたしをだいきらい」

女「わたしもみんなだいきらい。あ、おかあさんはすき。とももすき」

女「でも、おかあさんはわたしをきらい。とももきらい、なのかな?」

女「もういいや、どうせかんけいないし」

男「……くっ」

100 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 12:18:45.43 ID:mzKrkPef0
女友「はぁ……はぁ……」ズリズリ

女友「おんな……大丈夫かな……」

男友「あれは……女友さん?」ダッ

女友「男友……どう、したの?」

男友「いや、どうしたのって……だいぶこっちの台詞な気がするけど」

女友「なにか、用……?」ズリズリ

男友「いや、フラフラの人を放って置くのは……ってのもあるけど」

男友「男が」

女友「どうしたのっ!?」

101 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 12:24:29.59 ID:mzKrkPef0
女友「……女は、屋上なのねっ……」ズリズリ

男友「そんな体で無理すんなよ。休んどけっって……」ガシッ

女友「触らないで!」バシッ

男友「……」

女友「あの子は、不安定なの……私がついてなきゃ……」ズリズリ

男友「……」スッ

女友「……なに?」

男友「肩ぐらい、貸すさ。心配すんな、屋上は行かずに帰る」

102 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 12:28:20.96 ID:mzKrkPef0
女「じゃ、さよなら」スッ

男「……待てっ!」ガシッ

女「……」ジーッ

男「……」ダラダラ

女「……なに?」

男「いや、目の前で人を見殺しに出来る奴の方が珍しいだろ!バカか!」

103 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 12:32:05.79 ID:mzKrkPef0
女「ばかって、わるいこ?」

男「うぐ……いや、まぁ。好きな奴は好きだぞ」

女「おとこは、ばかすき?」

男「んー、まぁ……小難しいよりは好きかな」

女「じゃぁわたし、ばかでいいや」

女「ばかなら、おとこはすきになってくれる?きらいにならない?」

男「……え」

107 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 12:55:37.23 ID:mzKrkPef0
女「おとこは、すきなこいるよね」

女「それは、わたしじゃない。しってたよ」

女「でも、わたしはそれでもいいの」

女「それでも、おとこのこと、だいすきだよ」

108 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 13:03:20.97 ID:mzKrkPef0
男「えー、と……」

女「……おとこは、きらい?こんなわるいこ、きらい?」

男「……いや、好きか嫌いかで言えば……好きなほう?」

女「……わたしは、ともをきずつけたよ?それでも?」

男(……やっぱり)

女「きっと、ともはわたしをだいきらいになったよね」

女「ぶきむけるようなやつ、ともだちなんじゃないよね」

女「やっぱり、わたしなんて……」

バンッ

女友「女ぁっ!」

女「!!!」

109 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 13:08:46.14 ID:mzKrkPef0
女友「……よかった、生きてた」フラフラ

女「……いや……いやぁっ!」ズザッ

男「おい、女!?お、落ち着け落ち着け!」

女「ああ……あ」ザッ

女友「とりあえず、女。女々しい言葉、禁止だってば」

女友「それと、あんぐらいで嫌いにはならないよ」

女友「だって親友じゃないか」

女「……しん、ゆう」


110 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 13:14:49.17 ID:tWrIJyuX0
なんか怖いこの子


111 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 13:17:14.98 ID:mzKrkPef0
女「……わたしは、きたないよ?」

女「とものきもちしってて、あんなこといったよ?」

女「それでもしんゆう?ほんとにほんと?」

女友「……まぁ、確かに酷い言葉ではあったけど」

女友「私は、あんたほど好きにはなれなさそうだからね」

女友「あんたの気持ちの強さ見てたら、どうでもよくなっちゃったよ」

女「……」

女友「勘違いしないで、あんたのせいだとか言ってないからね?」

女友「もともと、その程度だったってだけ。それだけよ」

112 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 13:22:43.27 ID:mzKrkPef0
男「……女友」

女友「さーてと、女の無事も確認できたし、お邪魔物は退散しますかねぇ」フラフラ

男「お、おい!」

女「……」

女友「……選べるよ、男。今ならまだ、ね」

女友「一生を決める、決断だよ。だけど、そういう決断ほど、時間はない」フラフラ

女友「どうするの?男」

115 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 13:40:47.34 ID:mzKrkPef0
男「お、おれは……そんな……」

男「いきなり、選べるわけないだろっ!」

女「……」

女友「ま、普通ならそれが正論なんだけどね」

女友「そうは言ってられないんだよね、これが」

女友「私もあんたのこと大好きだからね、いわゆる三角関係ってわけだ」

女友「まぁ、強要は出来ないけどさ。出来れば選んで欲しいかな、私としては」

117 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 14:11:16.78 ID:mzKrkPef0
男「俺は……俺は……」

男「……女、かな」

女「!!」

女友「……そ、っか。まぁそうなるよね、普通」

女友「さーてと、邪魔者は退散しますかねー」ガチャリ


女友「……これでよかった、のかな?少し涙が出るねちくしょー」

119 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 14:24:37.57 ID:mzKrkPef0
女友「はぁ……まぁ、最初に相談受けたときから分かってたけどさ」

女友「こういう結果になるかー、やっぱ」フラフラ

女友「でも、ああでも言わないとあいつ一生決めれないだろうしな」

女友「逆に私選んでたら、うらんでたぞー……なんてな」

男友「……女友」

女友「おや、男友じゃないか」

女友「……傷心の女の子狙いに来たのかい?」

女友「残念だけど、そーは行かないよぅ……」ヨロッ

男友「おっと」ガシッ

男友「馬鹿言うな、フラフラのくせに。保健室行くまで手伝ってやるだけだ」

121 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 14:47:46.52 ID:mzKrkPef0
女「……男くん、本当によかったの?」

女「男くんが好きだったのは、女友さん……だったんでしょ」

男「……」

女「私を拒めば、私が女友さんに手を出すって思ったから?」

女「やっぱり、私は悪い子ですね……自分で悪いと思ってても止められない」

女「一番タチが悪いですよね、そんなの……」

男「ちげーよ」

女「え?」ポン「あう」

125 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 15:01:14.51 ID:mzKrkPef0
男「女友はな……そういうんじゃねぇんだ」

男「確かに、あの状況だ。女友を守ろうとしたってのも否定はしねぇよ」

男「だけどな……なんて言うか、えらべねえんだ」

男「恋愛とか、そういうのの対象にはな」

男「まぁ、女のことあまり知らないから、理由とかはうまく言えないけど」

男「女は……その、可愛いし?」

女「……」ポケー




126 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 15:13:41.06 ID:mzKrkPef0
男「だから、まぁ。選べといわれたから、選んだ、それだけだ」

男「義務感とか、惰性とか、そういうもんじゃ断じてないことだけははっきり言っとく」

男「確かに……女にはちょっと怖いとことかあるけど」

男「これから知り合っていけばなくなってくれるだろうし」

男「……って、女?聞いて……」

女「……」ダキッ

男「う、うわっと!?」

女「やっと、やっと、やっと!ここまでこれた」スリスリ

男「ちょ、ちょちょ……」

女「ありがとう、男くん……大好き」

男「いや、あぶねえって!ああ!聞いちゃいねぇ!」

128 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 15:25:38.74 ID:mzKrkPef0
女友「……上手くいってるかな、女」

女友「男の奴、気の利かないこと言って泣かせてたらただじゃおかないぞ」

女友「……そーいや、そろそろ昼休み終わりだなー」

女友「授業、休もっと」ゴロン

 ガラリ

担任「おーい、女友ー。いるかー」

女友「……先生?」

129 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 15:30:20.21 ID:mzKrkPef0
担任「大丈夫か?倒れたんだってな」

女友「別に、ただの貧血ですよ」

担任「……本当に、そうなのか?」

女友「どういうことですか?」

担任「いや、それがな……ちょっと見たって奴がいてな」

担任「女がお前を、刺してた……ってとこを」

女友(……あちゃー)

130 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 15:39:47.84 ID:mzKrkPef0
担任「で、どうなんだ?」

女友「どうなんだ、と言われましても……」

女友「そんなこと、あり得ると思います?」

担任「まぁ、私も学校でそういう事はないと思うのだが……」

担任「いかんせん、目撃者がいるとなるとな」

女友(もうちょっと周辺警戒しとくべきだったなー、むう)

担任「女にも話を聞きたいのだが、行方を知らないか?」

女友「んー、流石にそこまでは知りませんねー」

担任「そうか……不調なのに悪かったな、失礼するよ」

ガララー パタン

女友「むー、一難去ってまた一難……てところ?」

131 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 15:58:30.77 ID:mzKrkPef0
男「……っと、そろそろ午後の授業が始まるな」

女「……」ギュー

男「……女?授業が……」

女「……授業なんて、いい。男くんがいればそれでいい」

男(……こりゃ、思った以上に大変だな)

男「俺が行きたい、って言ってもダメか?」

女「……」ギュー

女「……まぁ、男くんが望むことなら、私は否定しません」スッ

男「さて、行くか」

女「はい!」タタッ

133 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 16:04:23.62 ID:mzKrkPef0
男(……なんだろうか、心なしか視線が痛いな)

男(微笑ましい、とかじゃなくて……なんか、罪人を咎めるような視線だ)

男(俺に対してじゃない……とすると)

女「……♪」ニコニコ

男(女はまったく気にしてないようだが……何なんだ?)

男友「おう、男。……女も一緒か」

男『おい、なんなんだよ、この空気は』ボソッ

男友『ん、あぁ……それがな……』ボソッ

134 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 16:08:23.69 ID:mzKrkPef0
男「……マジか」

男友「さぁ……女友はんなこと無いって言ったみたいだが……」

男「……むぅ」

男友「本人に……聞いてみる、か?」

男「……もっとも確実で、もっとも避けたい方法だな」

女「男くん?どうしたんですか?」

キーンコーンカーンコーン

女「あ、授業始まっちゃいますね」トテトテ

男(……やっぱ、女友に聞くしかねーか)

135 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 16:15:31.03 ID:mzKrkPef0
ガヤガヤガヤ

男(……結局、本人には聞けずじまいで放課後か)

男(周りからの視線は相変わらず痛いし……)

女「男くん!」ダキッ

男「お、おう。女か」

女「一緒に帰りましょう!」

担任「おい、女。ちょっといいか」

女「……なんですか?」キッ

担任「あ、あぁ。少し話を聞きたいのだが、いいだろうか?」

女「…………」ガタン

女「はい、いいですよ」

女「男くん、本当にすいません」

男「い、いや……かまわないが」

男(担任を凄い目でにらんでたな……大丈夫、なのか?)

136 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 16:21:14.21 ID:mzKrkPef0
ガラリ
女友「やっぱ来たね……男」

男「……ぐ」

女友「んな気まずい顔すんなってー。こっちまで気分悪くなるだろ?」

男「……すまん」

女友「あーもー、謝られたらさらに惨めだっての!それよりも」

女友「女のことでしょ?」ガタン

男「おい……大丈夫かよ」

女友「親友のピンチにぬくぬく寝てたんだよ?さっきまで」フラフラ

女友「動きだしたくて仕方がないよ」

137 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 16:23:45.42 ID:mzKrkPef0
男「なぁ、やっぱり……本当なのか?」

女友「ん?刺されたかどうか?」

男「ああ、そうだ」

女友「本当だよ、もちろん。先生には嘘ついたけどさ」

男「……やっぱり、なのか」

女友「あの子のこと、嫌いになったとか言わないよね?」

女友「あれはあの子なりの感情表現なのよ。あんたが許さんでどうすんのさ」

男「……そうだな。お前に言われないとダメなんて俺も最低な男だな」

女友「やっと気付いたの?ほんとバカだね」


138 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 16:28:29.55 ID:UcMLDgZC0
実際こんなメンヘラな人がいてもこんなに守られることはないんだろうな・・・


139 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 16:29:36.29 ID:mzKrkPef0
女子1「ほら、先生に連れてかれたわよ……」
女子2「あの子、絶対刺したわよね。女友さんは脅されてるのよ」
女子3「うわー……あの子、前から暗いと思ってたけど……こわー」

男友(……ずいぶん、ヒソヒソ話がダークだな)

男友(ま、噂話が好きなのは人間しかたねーわな)

男友(しっかし、ずいぶんなのに惚れられたもんだな、あいつも)

男友(なーんてこと言ったら、あいつらに怒られちまうかな)

140 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 16:40:05.84 ID:mzKrkPef0
ガララ
女「……」スタスタ

男友(お、帰ってきた)

女「……あ」

男友「男ならいねーぜ?さっき出て行ったからな」

女「……そう」

女子1「ちょっとあんた!」ガシッ

女「……?」

女子2「とぼけた顔してんじゃないわよ!」
女子3「この人殺し!」
女子1「そうよ!あんたみたいなのがいると危ないのよ!」

女「……?」

女子2「あー、もう!日本語も通じないわけ!?」ピシッ

女「……あう」

女子3「そうよ!とぼけた顔してっ!」ヒュッ
  ガシッ
女子3「あ……?」

男友「流石に、3対1はフェアじゃねぇな」

142 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 16:51:41.09 ID:mzKrkPef0
女子3「な、なによあんた……」

男友「いやあね、実に見苦しいと思ってな。顔も行動も」

女子2「な、なんだって!?もう一度……」

男友「さっさと帰りなって。くだらんことしてないでさ」ギロッ

女子1「……くっ、二人とも!帰るわよ!」
女子3「覚えてなさいよ!あんた!」
女子2「ふん、なによすかしちゃって!」
ドタドタドタ

男友「……で、女。そのポケットで握ってるものは何だ?」

女「……」スッ

男友「カッターナイフ、か。ずいぶん物騒なもん携帯してんな」

143 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 16:57:27.91 ID:mzKrkPef0
男友「てことは、やっぱ女友を刺したってのは……」

女「……!」スッ

男友「あーあー、すまんすまん。ポケットに手をいれんでくれ」

男友「また変なとこで見られでもしてたら、あいつらにも迷惑だろ?」

女「……」パッ

男友「……で、あいつらんとこ行くんだろ?はよ行ってやれよ」

男友「特に男は、かなり心配してるだろうしな」

女「……」トコトコ

男友「とは言ったが……さっきの女ども、少し気になるな」

男友「おい、女!俺も着いてくぞ」

女「……」トコトコ

男友「完全無視か……まぁ、その方がいいがね」

144 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 17:03:16.99 ID:mzKrkPef0
女友「しかし、先生と話か……大丈夫かな、あの子」

男「んー……流石に正直に話すってこた無いとは思うんだが」

女友「そうは言っても心配だよねー……あの調子だし」

男「まぁ、その目撃者ってのが誰なのかがわからん限りはどうしようもないな」

女友「そういや、あの時のカッターナイフどうしたんだろ?」

女友「私を刺したなら、血が付いちゃってるような……」

男「……もしそのまま持ってるようなことがあったら」

女友「……かなり、マズイね」

145 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 17:10:31.50 ID:mzKrkPef0
女「……」スタスタ

男友(特に現れる気配は無い……いらん心配だったか?)

女子1『ねえ、やっちゃってよ、あんな奴』
男子1『あいつか?随分根暗そうな奴だな。男持ちかよ、しかも』
女子1『……めちゃくちゃにしてやって』
男子2『ま、俺はやれれば相手は誰でもいいがな』
男子1『さて、行くか』

149 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 17:19:18.56 ID:mzKrkPef0
男友(さて、この角曲がれば保健室だな)ゴッ

男友「がぁっ!?」グラッ

男子2「さーて、彼氏君には眠っててもらおうか」

男友「ぐっ……」

男友(しまった……油断してたな、マジで)ヒュッ

男子2「ぐへっ!?」バシッ「まだ動けたかクソがっ!」ゴッ

男友「ぐは、かっ……」ドサッ

男子1、2「さて、次はあの女だな……」

151 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 17:26:56.62 ID:mzKrkPef0
女「……」

男子1「さて、と……あんまり手荒にすると後で楽しめないからな」

男子2「さっさと終わらせますかね」
タタタタッ  ゴッ

女「……うっ」フラリ ドサッ

男子1「おっと、少しやり過ぎたか?」

男子2「うわー、お前容赦ねぇなー。血が出まくってるじゃねぇか」

男子1「は?手加減したのに血が出るわけ……」ドバドバドバドバ

男子1「……え?」

女「……ふー、ふー」チキチキチキチキ

152 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 17:29:43.81 ID:mzKrkPef0
男子1「い、いてええええ!!!??」

男子2「お、おい!大丈夫かよ!?」

女「……」ユラユラ

男子1「く、くんなぁ!こっちにくんな!!」

男子2「ひ、ひいいいいいい!」ダダダダッ

男子1「お、おい!お前、逃げんなって!」

女「……」チキチキチキチチキ

男子1「ば、ばけもの……」ブクブク

男「お、おい!女っ!?」

女「!!」


153 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 17:30:25.77 ID:TaQchpaH0
いよいよ大詰めか


155 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 17:35:58.20 ID:mzKrkPef0
女「おとこ……あああ、ああ」カラン

男「おい、女?大丈夫か、女!?」

男子1「お、おい!お前!この女を止めろ!殺される!」バコッ

男子1「……(ピクピク」

男友「てめーは、黙って、な。カッターは血が出やすいだけで大して切れてねーさ」

男友「幸い、目の前は保健室だしな」ズルズル バタン

157 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 17:42:54.22 ID:mzKrkPef0
女友「うわぁっ!?あんたどしたの!」

男友「しー、今は静かにしてくれ。外が大事だ」

男子1「ピクピクピク」

女友「私たちがいない間に、何かあったの……?って聞くまでもなくあるよね」

男友「まーな。特別手当が出てもたりねーぐらいの大事が起きてたぜ」ゲシッ

男子1「ぐえふっ」

女友「……大体、分かる気がするけどさ。あんたも難儀だねぇ」ゲシッ

男子1「ひでぼぇっ」

158 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 17:49:41.01 ID:mzKrkPef0
女「おとこ……わたし、あの……これは……」オロオロ

男「……とりあえず、場所を変えよう。ここは目立ちすぎる」グイッ

女「あ……あ……」
ガラッ  バタン

男友「いや、何で入ってくんだよ……」

男「え?いや、廊下じゃ人目につくし」

女友「……階段したの倉庫が、空いてるじゃん」

男「……あ」

女友「まぁいいか、全員で話したほうがよさそうだね」

男友「確かに、そうだな。さて、こいつは……おい」

男子1「はっ!」

男友「お前、このこと他言したら……分かってるな?」チキチキチキ

男子1「は、はひいいい!ごめんなさいいいい!」バタン

男友「まぁ、こんぐらいでいいだろ。あいつの肝が据わってたら知らんが」

男「意外と怖いな、お前」

159 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 17:56:14.56 ID:mzKrkPef0
男「さて……とりあえず、どうしてこうなったのかを説明頼む」

男友「あー、だな。そこから話さんと始まらんわな」
―――
――

男「……俺が離れたばっかりに、そんなことが……」

女友「うー……やっぱり、教室に戻っとくべきだったなぁ」

男友「いやまぁ、それ言っちまったらそこにいた俺が一番不甲斐ないって言うかな」

女「……違う」

女「……わたしが、わるいこだから……すぐこうげきしちゃうから……」

171 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 19:03:51.60 ID:mzKrkPef0
女「やっぱり、わたしなんておとことあわないんだ」

女「みんなわかってて、だまってるんだね。やさしいね、あまえちゃう」

女「わたしのせいでみんなめいわく、ごめんなさい、ごめんなさい」チキチキ

男「……女っ!」ガシ ザクリ

女「あぇ……う?」カタカタカタ

男「……いっ、てぇ……」ポタポタ

男「俺は、こんなちんけな刃物より、頼りないか?」

男「お前が俺に向けてる気持ちなんて、そんなもんなのか?」

男「頼ってくれよ、俺を。こんな人をきずつけるだけの道具じゃなくてさ」

男「俺は、お前を守るって……決めたんだから」

女「…あ、あ」パッ

男「……うぐ」ズキズキ

女友「お前バカだろ!?指が大変なことなってるぞ!」アセアセ
男友「包帯!包帯はどこだぁ!?」

男「……バカみたいに心配してくれるやつらも、いるしさ」ニコッ

女「……」ジワァ

173 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 19:07:55.19 ID:mzKrkPef0
男「しかし、やっぱカッター舐めてた。鋭利過ぎ……」

女「……ごめん、なさい」しゅん

男「あ、いやいや!女が悪いとかじゃなくてさ!」アタフタ

女友「あー、なんかこう、ね?」
男友「うん、たしかに、な」

友達「お邪魔虫は去るかね」

男友「あ、カッターは預かっとくか」

女友「どうすんの?それ。いろんな血付きまくりだけど」

男友「んー……焼く?」

女友「……あんた、アホ?」

175 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 19:13:33.19 ID:mzKrkPef0
男友「さーてと、色々しないといけないことあるな」

女友「例えば?」 ダダダダダダ

担任「おいっ!?女はいるか!?」

女友「うおっっと、どうしました?先生」(この人いたね、そういえば)

担任「いや、さっき話を聞いたとき、少し気がかりでな」

担任「……って、男友!なんだそのポケットは!」ガシッ

男友「……これすか?」

担任「血の付いたカッター……お前、だったのか?」

176 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 19:15:46.07 ID:mzKrkPef0
男友「まぁ、そういうわけですね」

女友「……バカか、あんた」バシッ

女友「庇わなくていいよ、もう。目撃証言は女だったでしょ?」

担任「……」

女友「先生、私です。私が自分で自分を刺しました」

女友「お騒がせして、申し訳ありませんでした」

177 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 19:20:35.23 ID:mzKrkPef0
担任「お、お前ら……」

担任「嘘付くの下手だな、ほんと」

友達「……へ?」

担任「あの時な、女は正直に言ったんだよ『私がやりました』ってな」

女友「え……」

担任「まぁ、お前から先に話聞いてたからな」

担任「本人が認めて、被害者が隠そうとしてた」

担任「理由は知らんが、私が踏み込めるのはそこまでだろうと思ってな」

178 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 19:24:54.18 ID:mzKrkPef0
担任「まぁ、しかしな……女子1からすさまじい剣幕でどやされてな」

担任「話を聞くと、『男子1くんが、女さんに襲われたんです!』ときたもんだ」

担任「男子1は、腹を軽く切られて出血してたもんだから、もう大変でな」

担任「前回のこともあるしな、お前らがこっちに行くのを見たって聞いてきてみれば」

担任「お前達の三文芝居に出会ったわけだ」

友達「……」

担任「……で、女はその中か?」

179 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 19:27:48.76 ID:mzKrkPef0
男友「……」

女友「……」

担任「んー、まぁ。この場合どう受けてもそん中だろうが……」

担任「黙られると、先生困ってしまうぞ……」

女友「先生は、女をどうするつもりですか?」

担任「んー……事情を聞かんとどうするも何も……」

男友「……なら、俺達も一緒でいいですか?」

担任「別に、構わないが……出来るだけ、邪魔はしないでくれよ?」
ガラリ

184 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 20:02:57.14 ID:mzKrkPef0
女「……」ホワホワ

男「……落ち着いたか?」ナデナデ

女「……うん、ありがとう」

男「もっと甘えても、いいんだぜ?」

男(と、強がってみたり……実際限界なんだがな)アセアセ

女「……ん」ギュッ

男「……む」ギュッ

男友「……」

女友「……」

担任「……」

担任「っておい」

186 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 20:14:57.77 ID:mzKrkPef0
女「……!」ビクッ

男「ん、女?どう、した……」

男友「んー、ごっそさん」

女友「いやー、男も手が早いもんだわ」

担任「うん、いいもの見せてもらったよ。青春だな」

女「……」カァーッ

男「えーと……先生、何の用ですか?」

担任「おっと、忘れるところだったな」

担任「女に話を聞きに、な」

188 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 20:22:19.65 ID:mzKrkPef0
女「……」

男「話って……なんのですか」

担任「男、そう睨むなって……お前も、知っているんだろ?」

担任「女が人を刺した、ってことを」

男「……っ!」

女「……」グイグイ

男「女……?」

女「……大丈夫」コクコク

191 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 20:32:06.18 ID:mzKrkPef0
担任「……で、やっぱりお前がやったのか?」

女「……はい」

担任「えーと……今回はまたどうしてだ?」

女「……」

担任「どうした?女、話せない理由があるのか……?」

男友「先生、ちょっと俺に話させてくれませんか」

担任「男友か……いいだろう、話してみろ」

193 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 20:40:21.68 ID:mzKrkPef0
担任「ふーむ……そんなことが、なぁ」

男友「……なので、女の行動は正当防衛、かと」

男「女っ!」

女「……?」

男「頭を見せてくれ」サラ

女「……っ」ズキ

男「コブが出来てる……女友、冷やすもの持ってきてくれ」

女友「あいよ」

女「……」ジワ

男「あー、痛かったな。ごめんごめん」

担任「……ダメだ、我慢できん。外で話すぞ、男友」

男友「はい、わかりました」


194 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 20:59:42.46 ID:mzKrkPef0
担任「まぁ、理由は分かった。だが、前例があるのも確かだ」

男友「そう、ですよね……」

担任「なんらかの処分は免れない、と思っていてくれ」

男友「……」

担任「私も、出来る限りはしようと思っているよ」

担任「どんなことをしようと、私の大事な生徒だからね……」

男友「先生……」

担任「クラスのものには、私が上手く言っておこう」

男友「ありがとう、ございます」

担任「さて、私はもう行くよ。かっこつけることも出来たしね、ははは」

担任「じゃ、男友。男によろしく」

201 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 21:16:24.95 ID:mzKrkPef0
男友(……結局、血糊カッターはスルーかい、先生)

男友「考えたこと無かったが、意外といい人かもな」

ガラッ

女友「おい、男友。どういう話したの?」

男友「んー……まぁ、処分は免れないだろう、だってよ」

女友「……仕方ない、よね。やっぱ」

男「……くっ」

女「……仕方ないよね、私が悪いんだから」

女「大丈夫だよ、私。もう一人じゃないから」

203 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 21:21:54.66 ID:mzKrkPef0
女「……やっぱり、カッターは私が持っていくよ」スッ

男「……女」

女「私がやったことは、私が持っておかないと、ね」ニコ

男「……そうか」

男友「さて、いつまでも保健室にこもっててもしかたねぇな」

女友「そうだね……帰ろっか」

男「よし、今日はみんなで帰ろうぜ」

女「……うん、そうだね」

―――
――


208 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 21:57:49.52 ID:mzKrkPef0
女「男……あの子は、誰だったの?」

男「いやー……あのな、あの子は後輩だ、そう部活の」

女「随分、仲よさそうだったよね……?」チキチキ

男「え、えーとだな……お、男友!証明してくれ!」

女友「だ、そうだが?」

男友「んー?ありゃ100%デレデレしてたわな」

女「……ゆるさないっ!」チキチキチキチキ
 ブスッ

男「ぎゃーっ!」

男「シャーペン式消しゴムで耳はやめてーっ!くすぐってー!」

213 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 22:07:19.70 ID:mzKrkPef0
男(あの後、女が受けた処分は『謹慎1週間』だけだった)

男(女の家庭環境や精神状況、そして男子1の自白で退学は無くなったらしい)

男(余談だが、担任は『首覚悟だったわ、あはは』と笑っていた。かなり頑張ってくれたらしい)

男(女には、両親がいなかった。ずっと親戚からの仕送りで一人で耐えてきたらしい)

男(それを知ったとき、俺は自分が情けなかった。身近にいるから、気付けないこともあるのだ)

男(それからというもの、俺は……)

女「男、どうしたの?ボーッてして」

男「ん、あぁ。なんでもないんだ」

214 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 22:12:03.68 ID:mzKrkPef0
女「何も無い場所で、本当にごめんね」

男「んー?別にそうも思わないけどな」

男「女は、欲しいものとかないのか?ぬいぐるみとかさ」

女「んー……私は男がいてくれればそれでいい、かな?」

男「そっかー……なぁ、おん バンッ『やっほー!女っー!いるかーい?』

女「あ、女友……」

男友「俺もいるぞー」

男「ヨウ、オマエラ……」

216 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 22:17:00.45 ID:mzKrkPef0
女友『で、聞き出せたか?』

男『いや、それが全然なんだ……』

女友『バカか?あんたは!早くしないと……』

女「男?そんなにくっついてどうしたの?」ヒョコッ

男「うわぁっ!?女!?」

女「……なんか、怪しい」ジトー

男「い、いや……んなことねーぞ?なぁ、女友?」

女友(わ、私に振るなし……)「あ、あぁ。そうだな!」

男友(お前もバカだよ、女友……)

217 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 22:25:21.20 ID:mzKrkPef0
女「ふーん……まぁ、いいけどさ」プイッ

男『誤魔化せたか?』女友『ああ、誤魔化せたみたいだ』

女「ところで、今日は夜ご飯食べてくの?」

女友「あー、私はパスかなー。今日は見たいテレビがあるんよ」

男友「俺も同じくパスだな。今日は妹に勉強を教えなきゃならんからな」

男「このシスコーン」女友「不潔やろー」

男友「なんでそうなるんだお前らは……」

219 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 22:29:27.89 ID:mzKrkPef0
女「……てことは、二人きり?」

男「……ま、そういうことかね?」

男女「……」アセアセ

ーーーーーーーーー

女友「よし、今日こそ手を出せ!今日こそだ!」

男友「なーにしてんだ、お前は……」

女友「あれ?男友も同じ理由じゃなかったの?」

男友「人の恋路をどうこうする趣味はないんでな」ガシッ

女友「あ、あれ?あーーれーー……」ズルズル

220 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 22:33:22.33 ID:mzKrkPef0
女「え、ええと……ご飯作るね」

男「あぁ、そうだな。よろしく頼むわ」

女「今日は二人分だから、そんな時間はかかんないと思うけど」バタン

男「んー、少し暇だなー……」キョロキョロ

男「……ん?なんだありゃ?」パシッ

男「これは……手帳?」ペラリ

221 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 22:38:59.67 ID:mzKrkPef0
○月×日
今日、女友さんという人に、教科書を貸した
そのとき知り合った男さんは、私を知っていました。
うれしい……久しぶりな感情。

○月△日
女友さんは、男さんの幼馴染らしい。
うらやましいなぁ、私もそうだったら、もっと親しくなれたのに。

男「……こういうの読むのは、あまりよくないって分かってるけど……」

男「どうしても気になってしまうな……」ペラリ

□月×日
男さんにまとわり付く女達がにくい。
でも、殺してやることなんで出来ない。
だから、久しぶりに腕を切ってみた。
少し落ち着いた、悪くない。

□月○日
思いが胸のうちで積もっていく。
苦しいな、辛いな。
腕の痛みより、心の痛みのほうがずっと辛いや。

男「……」


224 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 22:43:53.51 ID:mzKrkPef0
月日
きょうはともさんにてをだしてしまったわたしはさいていだ
ともだちなのにきずつけたくないのになんてことをしたんだ
なんだかむねのいたみがおさまらない
おさまれおさまれおさまれおさまれおさまれおさまれおさまれ

男「……ところどころ、血が滲んでいる」ペラリ

しんでもいいっておもってたけど
おとこをおもうとしぬなんてできなかった
きもちをつたえずにしぬなんていやだよ
やんでいくこころのなかでおとこだけがおおきくかがやいてる
おとこにとってはちいさなことだったかもしれないけど
わたしはおとこがだいすきです


225 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 22:51:07.51 ID:mzKrkPef0
男「……ふぅ」パタン

男(他にも色々なページに色々書いてあった)

男(が、自分に対しての卑下のみで、誰かを貶す言葉は少なかった)

女「……えーと」

男「……(ビクッ!」

女「見ちゃった?それ」シュン

男「あー……うん、見た」ダラダラ

女「……わたしを、きらいになった?」

男「え」

女「わたしの、こころのやんでるところ。ぜんぶかくしてた」

女「それでも……すき?」

226 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 22:58:38.83 ID:mzKrkPef0
男「……だーっ!もう」ダンッ

女「……(ビクッ」

男「まず、先に謝る。本当に、すまなかった」

男「勝手に、お前の心の中を覗いた。許されることじゃない」

女「……そんなこと、ない」

男「そして」ギュッ

女「……」ホワー

男「あんなんで嫌いになるなら、最初から好きなんて言わねーさ」ギュウゥ

男「俺のせいでもあるんだからな……お前のせいだけじゃない」

女「……ありがとう……大好き」


ーーーーーーーー
女友「おお!?さすが男だぜ!」

男友「……うむ、これで安心だな」

子供「ママー、怪しい人たちがー」

ママ「見ちゃダメよ!」タタッ


232 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 23:12:25.01 ID:mzKrkPef0
女「……」スッ

男「……安心しろ、これからは何があっても、俺が支えてやるさ」

女「……うん」タッ

男「……女?どしたんだ?」

女「……」ガラッ

男「それは……」

女「……」チキチキチキチキ

女「……もう、必要ないから」ビリビリビリッ

女「私には男がいる……さよなら」バッ

男(女が細切れにした手帳の紙が、ふわりと夕焼け空に流れていった)

男(血のこびり付いたカッターナイフが仕事をするのは、これで最後のようだ)


234 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 23:15:14.53 ID:mzKrkPef0
男「……さて、と。一段落したし飯でも食うか」

女「……だね」

男「まぁ、その前に……おいこら」

女友(あ、あれ……?こっち向いた?)

男友(い、いや……バレてないは)

男「悪趣味だな、ごらぁ!帰らんなら帰らんとさっき言わんか!」

友達「!!!」

235 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 23:17:08.14 ID:mzKrkPef0
女友「いやー……ハハハ」

男友「だから俺は止めようって……」

女友「あ、きったねーぞ!男友!」

男「あのなー……」

女「……いいよ、男。大勢のほうが楽しいし」

男「んー……まぁ、女がそういうならな」

女友「やった!女はやっぱり優しいなぁ!」

男友「だっしゃ!」

236 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 23:19:21.50 ID:mzKrkPef0
女友「じゃーね、女!今日も楽しかったよ!」

男友「いつも騒がしてすまんな、ほんと」

女「いいよ……親友なんだから」

男「……じゃな、女。また明日」

女「……ん、また明日」チュッ

男「っ!?」ボッ

女「……」カーッ パタン

女友「ナニモミテマセンネ、ワタシハ」ダッ

男友「サーテ、サッサトカエリマショウカ」ダダダッ

238 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 23:25:11.92 ID:mzKrkPef0
女「……お母さん」

女「今まで、頼ってきました。恨みもしました」

女「でも、今日で本当にお別れですね」

女「悲しくはないです。あの人がいるから」

女「……」チキチキ スッ カタン

女「……よし、寝よう」

240 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 23:30:10.55 ID:mzKrkPef0
男「ふー……さてと」

男「喜んでもらえる、かね?」

女友「んなこと、私が知るか。私はあの子じゃない」

男友「まぁ、テンプレ通りなら『あなたのくれたものなら~』ってなるんじゃね?」

男「なんかそれはやなんだよなー」

男友「はっきり聞きださなかったお前が悪いだろ」

男「むぐ……」

242 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /29(火) 23:32:09.48 ID:mzKrkPef0
女「あれ?みんなどしたの?」

女友「ほら、さっさとしなってば!女々しいなぁ」ドンッ

男「う、うおっ!?」トテテ

男「あ、あのな……女」

女「……?」キョトン

男「ええと……その……」

男「誕生日おめでとう」スッ

女「!!!」ハッ


246 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /30(水) 00:00:04.07 ID:mzKrkPef0

女「……」

男「……」ジーッ

女「……あり、がとう」ジワァ

男「……お、女?」

女「……はじ、めてで……たんじょうび、なんて」グズグズ

女「うれしい……凄く、うれしい」ポロポロ

男友「……」スッ

女友「……」ジーッ ガッ「あぐっ!?」ズルズル


248 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /30(水) 00:01:56.35 ID:mzKrkPef0
男「……開けて、くれるか?」

女「……今?」

男「気に入らんものだったら、言ってくれ」

女「……うん」 ピリピリ

女「……手帳?」

男「ん、手帳だ」

男「お前と俺の、『楽しいこと』を書き込んでいくための、な」


250 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /30(水) 00:08:05.20 ID:mzKrkPef0
女「……ありがと、大事にする」ニコ

男「ごめんな、本当はもっといいもん買おうと……」

女「これが、いいんだよ……」ギュッ

男「……そっか」


男友「おー、泣いてる泣いてる」

女友「結局あんたも見てんじゃん……」

担任「おー、実に青春してんなー、四人とも」

担任「独り身の先生は実に悲しいぞー……ははは」

251 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /30(水) 00:10:51.31 ID:mzKrkPef0
女友「四人ともって……こいつとですか?先生」

担任「おう、実に仲いいぞ、はためから見れば」

男友「そうですかねー……んなこたないんですが」

担任「んー、いいんじゃないの?ベタ甘もいいがそのぐらいの距離でも」

担任「ま、君達は若いからねー。いっぱい楽しみな……トホホ」スタスタ

254 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06 /30(水) 00:19:57.61 ID:mzKrkPef0
×月○日
今日は、生まれて初めて『日記』を書く日です。
男が、この手帳をくれました。
凄く嬉しいです、一生大切にします。

こんな毎日が、いつまでもいつまでも続きますように。

追記 先生の背中が大分小さく感じたのは気のせいでしょうか?

女「よし……と」ポフン

女「女友、私まだ病んでるみたい」

女「ずっとずっと、これからも……」

女「この恋の病は、男でも治せそうにない、かな」ニコ


~おわる~
プロフィール

Author:花見月
主に2ch系掲示板で自分が書いたSSを纏めてます
思い出したものからかたっぱしに記事にするので順不同で

twitterでも更新報告したりしてます
@hanami2ki

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