スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

この世の果てへと至る旅路

1 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/12/26(土) 01:37:53.91 ID:rZ9Qs5coo [1/4]
「この世の果てに連れていって欲しいな」

 唐突に先輩が、そんなことを言いだした。
 僕は飲みかけのオレンジジュースを机の上に置くと言葉を返す。

「何処ですか、それ」

「行ってみれば分かるよ、きっと」

 先輩がオレンジジュースを一口しながら一言。
 いつもの戯言ならば、そのまま聞き流してしまってもよかったのだが。
 なんだか今日の先輩は雰囲気が違う気がした。

「ね、連れていってよ」

「自転車で行ける距離ですか?」

 滑稽な返答だ、と僕は自分で思った。
 自転車で行ける距離かどうかなど関係ないだろうに。

「行けるよ、きっと行ける」

 悪戯っぽい子供の様で、何もかもを悟った聖人の様でもある先輩の笑顔。
 僕の視線はそんな先輩の笑顔に釘付けになってしまう。
 
「さ、連れ出してよ王子様」
 
「……」

 差し出された先輩の手を握る。
 想像していたよりも温かい先輩の手。離したらそのまま消えてしまいそうな先輩の手。

「……エスコート致します、お姫様」

「うむ、くるしゅうない」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1451061473


2 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/12/26(土) 01:44:19.40 ID:rZ9Qs5coo [2/4]
「暑くないですか?先輩」

 荷台へ声を掛ける。

「んー、暑いよ。すっごい暑い」

 傍に居なければ聞こえない大きさの先輩の返答。
 僕はその返答を聞いて安心した。
 暑いと言われて安心するのも変な話だが。
 声が返ってこないと不安になるほど、先輩は重量感がないのだ。

「日本の夏って感じだねー」

「辛くなったら言ってくださいね。日陰探します」

「……ありがと」

 後ろを振り返る。自分の汗が前髪を伝うのが見える。
 先輩はいつも通り、平然とした顔で僕の運転に揺られていた。
 暑いと言った割に汗は全然かいていない。
 いい事なのか、悪い事なのか。

3 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/12/26(土) 01:52:10.75 ID:rZ9Qs5coo [3/4]
「ねぇ」

「はい、なんでしょうか」

 木陰で佇む僕と先輩。
 学生にとっては夏休みでも世間的には平日の街並み。
 疎らな人通りは今の僕らにとって好都合だ。

「あれ、あれが食べたいな」

「……?」

 先輩の指差した方向を目で追う。
 僕のと同じような自転車。違う所を上げるとすれば、荷台に先輩の代わりにクーラーボックスが乗っている所か。
 その自転車の主と思われる麦わら帽子のおじいさんと目が合う。
 にんまりと音がしそうな笑み。
 僕はそんなおじいさんの笑みと先輩の笑みを交互に見比べてから、財布へと目を落とした。
 あまり浪費はしたくない。
 が、先輩の願望を浪費と表現もしたくなかった。

6 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/12/27(日) 19:04:59.06 ID:2n7j/CLko [1/6]
「おいしいね」

「はい、おいしいです」

 アイスを舐めながら並んで歩く僕と先輩。
 買ったのは先輩の分だけ。僕が舐めているのはおまけで貰った分だ。

「得しちゃったね。二人で来てよかった」

「そう、ですね」

 屈託のないおじいさんの笑顔がリフレインされる。
 僕が彼氏くんと呼ばれた時、先輩は特に何も言わなかった。
 だから僕も特に何も言わない事にした。
 気にならないわけではないが、気にしても仕方ないだろうし。

7 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/12/27(日) 19:24:30.66 ID:2n7j/CLko [2/6]
「あー、おいしかった」

 先輩はアイスを舐め終わるまでに5、6回ほどおいしいを口にした。
 決して、このアイスが特別おいしいわけではないと思う。
 名残惜しそうにアイスの棒を舐める先輩。
 小動物みたいで可愛い。

「さて、そろそろ行こっか」

「了解です」

 荷台に先輩が座ったのを確認して、僕はペダルを漕ぎ出す。
 自分でもどこへ向かおうとしているのか、分からない。
 先輩に聞いてもきっと明確に答えてはくれない気がする。
 悪意ではなく、先輩も答えが分からないからだろうけれど。

「このまま行くとどこに出る?」

 商店街を抜けた辺りで、先輩が聞いていた。

「多分海……ですね」
 
 この辺からはあまり出たことがないので、僕の返答も曖昧になる。
 間違っていても咎められることはないだろうが。

「海……か。いいね、海」

 先輩の一言に僕はペダルに込める力を少し強めた。
 急ぐ必要があるかは分からなかったが、答えあわせは早い方がいいだろう。
 

8 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/12/27(日) 20:15:07.89 ID:2n7j/CLko [3/6]
「キミは海、よく来るの?」

「いえ、ほとんど。海に繋がってるかどうかもうろ覚えでした」

 海水がギリギリ届かない辺りの波打ち際に立つ先輩。
 僕もそんな先輩に習って隣に立つ。
 この時期にしては人が少ないな、と思ったらどうやらここは遊泳禁止らしい。
 そんなことも知らなかった。

「んー、ちべたい」

 スリッパの先輩はずかずかと海の方へと進んで行く。
 スニーカーの僕はそんな先輩の様子を見守る。

「キミもおいでよー」

 ばしゃばしゃと音を立てながら先輩が振りかえる。
 日光を吸いこんでしまいそうな綺麗な黒髪。
 そんな黒髪とは逆に日光を反射してしまえそうなほど白い肌。
 僕はそんな先輩に見とれてしまった。
 アイスを舐めていた時とはまるで別人に見える。

9 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/12/27(日) 21:11:58.15 ID:2n7j/CLko [4/6]
「……あ」

 はしゃぎ気味に水音を立てていた先輩の身体がぐらりと揺れた。
 僕の視界の中でゆっくりと傾いていく先輩。
 続いて大きな水音。

「先輩っ!」

 スニーカーであることも忘れて先輩の元へ駆け寄る僕。
 水を吸って足元がどんどん重くなる。
 それでもなんとか先輩の元へと辿り着いた。

「先輩!大丈夫ですか!」

「あはは、少し足をとられちゃったよ」

 全身から水を滴らせながら笑う先輩。
 顔色は悪そうに見えない。ひとまずは安心だろうか。

「歩けますか、先輩」

「大袈裟だなぁ」  

10 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/12/27(日) 21:40:58.90 ID:2n7j/CLko [5/6]
 とりあえず波打ち際から避難してきた先輩と僕。
 日陰にいても寒いだけなので日向に並んで座る。
 この陽射しの強さだ、しばらくこうしていれば乾いてくれそうなものだが。

「……っしゅん」

 靴だけの僕はそれでいいが、全身濡れてしまった先輩はそうもいかない。
 早急に乾かさないと、風邪でもひいては大事だ。

「とりあえずこれ着てください、先輩」

 僕はTシャツを脱いで先輩へ渡す。
 汗でびしょ濡れで効果はあまりなさそうだが、無いよりはマシではなかろうか。
 
「肌着一枚で平気?」

「少なくとも、今の先輩よりは」

 小さく肩を震わせながら問いかける先輩に僕はそう言葉を返す。
 こんな状況にそぐわないかもしれないがなんだか変に安心してしまった。
 先輩が何も感じない人のように思えていたから。
 ちゃんと先輩が現実にいるものなのだと、実感出来たような気がしたのだ。

12 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/12/29(火) 12:54:45.64 ID:F1HAyKSGo [1/5]
「本当に大丈夫ですか、先輩」

「大丈夫だってば。心配性なんだから」

 服からぽたぽたと雫を垂らせながら歩く僕と先輩。
 もう少し乾かしてからにしませんか、と僕は言ったのだが。
 先輩達ての希望で出発することになったのだ。
 別に反論する気はないが、大丈夫なわけがないのも事実なわけで。
 
「ねぇ、後輩くん」

「なんでしょうか、先輩」

「水、買ってくれないかな」

「……そのぐらい、承諾の必要ないですよ」

 自販機に立ち寄り水を買う。
 喉が渇いたのだろうか、ついでに自分の分も買っておく。

13 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/12/29(火) 12:59:50.38 ID:F1HAyKSGo [2/5]
「……んっ……ぐ」

「……先輩、それは?」

 言ってからまぬけな質問をしたものだと自分で思った。
 銀色台紙に並んだ白い錠剤。
 見た目は市販の風邪薬と相違ないが、そんな生易しい物ではないのだろう。

「本当はね、持ってくる気なかったんだけど」

 僕の質問への返答代わりに先輩が口を開く。

「キミといれる時間を少しでも長くしたくってね」

 もう一度水を一飲みしてから先輩はそう続ける。
 僕の中の後悔が膨らむ音が聞こえた気がした。
 そんな覚悟が出来て僕が先輩を連れ出したかと問われれば答えはノーなのだから。
 先輩と入れる時間が少しでも長くなれば、と思ったのは事実だけれど。

14 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/12/29(火) 13:14:00.70 ID:F1HAyKSGo [3/5]
「さ、行こ」

「あの、先輩」

「ん?」

 僕の声に振り返る先輩。
 その表情に焦りや苦悶といった負の感情は見て取れない。
 そういう感情が見て取れればこの場で帰る選択肢を正当化も出来るものを。
 先輩のこういう所が僕を不安にさせる。
 
「……いえ、行きましょうか」

「しゅっぱーつ」

 怖くないですか、とか。不安じゃないですか、とか。
 いろいろ聞きたいことはあるのだけれど。
 どう答えられても納得できる気がしないので、僕は聞かない事にした

15 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/12/29(火) 14:05:39.25 ID:F1HAyKSGo [4/5]
 海岸線沿いを走る僕と先輩。
 照り付ける太陽のおかげで僕の靴はすっかり乾いていた。
 きっと先輩の服や髪も同じ状況なのではなかろうか。
 靴と違って服や髪だと状況が全く同じとは言い難いだろうが。

「また暑くなってきたねー」

「そう、ですね」

 ほんの少しずつ重くなっていくペダル。
 先輩が行きたい場所まで僕の身体は耐えられるだろうか。
 僕は元々そこまで体力があるほうじゃない。
 面倒くさいという理由で運動部に入ることを敬遠していた自分に少し苛立ちを感じてしまう。

「綺麗だねー、海って」

 先輩に言われて視線を少し水平線の方へ向ける。
 光を反射してキラキラと輝く海。
 そんな海を細い眼で見つめる先輩。
 先輩の方が綺麗だ。思っても言えないけれど、本気でそんなクサイ事を思った。

18 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/12/30(水) 23:36:34.30 ID:MCqTtFHIo
 水平線へ夕日が沈んでいく。
 その様子を僕と先輩は並んでみていた。
 凄く綺麗な光景だ。
 もっと楽しむ余裕があればなおよかったのだが。

「きれー……」

 しみじみと呟く先輩。
 さっきよりも声のトーンが低いような気がする。
 自分の気持ちを勝手に反映させてしまっているだけだろうか。
 
「来てよかったね」

 口元を緩ませながら、顔だけでこちらを向く先輩。
 折角の綺麗な黒髪が潮風でパリパリになってしまっている。

「……ん」

 自分でも全く無意識だった。
 不意に伸びた手が、先輩の髪に触れる。
 頭頂部ではなくもみあげ当たりに触っている辺り、無意識下でも僕は僕だ。
  

19 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/12/31(木) 00:21:39.11 ID:4lxiKfono [1/5]
「あはは、くすぐったいよ」

 意に介する様子の無い先輩。
 半分ほど沈んだ夕日が僕達の影を伸ばす。
 先輩は少し目を細めて僕を見つめている。
 心臓の音が手を伝わって先輩に伝わっていないか不安だ。

「あ、あの……先輩」

「なにかな?」

 これは俗に言う、いい雰囲気ってやつなのではなかろうか。
 童貞特有の勘違いというならば、別に勘違いで構わない。
 音が自分でも聞こえるほど強く喉を鳴らす。

「せんぱ……っ」

 意を決して言葉を発した僕の体が防波堤に押し付けられた。
 柔らかい先輩の感触が全身に触れる。
 鼓動が一気に早鐘を打つ。
 その鼓動の音に負けず劣らずの高音。
 サイレンの音が海岸線を通り過ぎていった。

20 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/12/31(木) 00:34:14.39 ID:4lxiKfono [2/5]
「……」

「……」

 先輩は何も言わない。
 僕も何も言えない。
 さっきのパトカーが先輩を探しているとは限らない。
 もちろん、失踪した先輩の捜索願が出ていてもおかしくはないわけだが。

「……そろそろ、行こうか」

 先輩の小さな声。
 相変わらず感情は透けてこない。
 ここで僕が取り乱しながら帰る案を提示したら先輩はどんな顔をするのだろうか。
 そんなくだらない事を考えながら僕は立ち上がった。

21 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/12/31(木) 01:00:27.52 ID:4lxiKfono [3/5]
「……んぐ」

 先輩が薬を飲んだのを確認してから自転車をこぎ始める。
 人気の無い海岸沿いは薄暗くて、明かりと呼べるものはぽつぽつと立った街灯と僕の自転車から伸びるライトの明かりだけ。
 普段通っている道はとうに通り過ぎてしまって、今は道なりに道を進んでいる状態だ。
 多少休んだとはいえへろへろの足。
 自転車の速度低下は自分でも分かる次元になってしまっている。

「少し歩こっか」

「……はい」

 気遣ってくれる先輩の言葉に強がる余裕も無い。
 このまま海岸沿いを進むとどこへ出るのだろう。
 どこの街にも繋がっていないわけはなかろうが。

「うりうり」

「……何するんですか、先輩」

 先輩が指先で僕の頬をぐりぐりしてくる。

「難しい顔、してるからさ」

 あくまでも軽い口調で先輩が言う。
 鏡があれば確認したかった。
 僕は今一体どんな顔をしているのだろう。
 暗くなければ先輩の瞳に映る自分の顔が確認できたかもしれない。

22 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/12/31(木) 01:05:29.52 ID:4lxiKfono [4/5]
「……ごめんね」

 先輩が何か言った気がした。
 きちんと聞こえたような気もする。

「……?」

 でも僕は敢えて聞こえなかった方を選んだ。
 先輩のためか自分のためかは分からなかったけれど。

24 名前:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga] 投稿日:2016/01/05(火) 11:18:00.56 ID:vBFgfpMaO [1/3]
「……ふぅ」

 立ち上る湯気の中、僕は体を脱力させた。
 お風呂がこんなに気持ち良いのは生まれて初めてかもしれない。
 顔にばしゃばしゃとお湯を被るとまた小さく息を吐く。

「……どうだ」

「あっ、はい。気持ち良いです」

「……そうか」

 貸し切りに近い湯船。
 話しかけてきたのはこの銭湯の主人であるおじいさん。
 僕がこうして安堵の息を吐けるのもこの人の厚意のおかげである。
 



25 名前:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga] 投稿日:2016/01/05(火) 11:25:13.86 ID:vBFgfpMaO [2/3]
 走り疲れてもはや足取りすらふらふらになってしまった僕。
 自転車を支えになんとか歩いて辿り着いたのがこの銭湯だった。

「わっ、銭湯だよ銭湯っ」

 へとへとな僕を元気付けるように先輩が言う。
 もしかすると単に初めて見る銭湯にテンションガ上がっただけかもしれないが、ここはいい方に捉えておく。

「……もう閉まってるみたいですよ」

「……え」

 中に明かりは付いているものの、ドアに掛けられた札は『閉店』になっていま。
 先輩が心底残念がっている。
 僕はというと、銭湯が閉まっていることよりも銭湯が閉まるような時間になっていることの方を気に掛けていた。
 

26 名前:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga] 投稿日:2016/01/05(火) 11:47:29.35 ID:vBFgfpMaO [3/3]
「……なんだ、お前ら」

 閉店の札をしげしげと眺めていた僕らに銭湯の中からガラス越しに声が掛けられた。
 先輩よりも背の小さい白髪の老人。
 老人としてもかなり歳が進んでいる方であろう。

「あの、今日はもうやってないんですか?」

 先輩がガラス越しに言葉を返す。

「……」

 潮風でパサパサの髪をした少女と汗でパリパリのTシャツを着た少年。
 そんな僕達が目を細めた老人の目にどう写ったのかは分からないが、僕らは閉店後の銭湯の中へととおされたのだった。

27 自分:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga] 投稿日:2016/01/06(水) 00:00:49.23 ID:Z5pVxAxlo [1/7]
「……」

 僕は男湯と女湯を隔てる壁の方を見る。
 この壁の向こう側に産まれたままの姿の先輩がいるわけだ。
 なんてことを考えてしまったらもうダメだ。
 意識が全て壁の方へ吸いこまれてしまう。

「きもちーねー、後輩くん」

「っ」

 突如先輩の声が響いてきた。
 完全に不意を突かれた僕はばしゃんと音を立てて湯船へ沈む。

「どしたのー?」

「なんでもないですー」

 先輩の声に釣られて間延びした声が出た。
 頭がふらふらする。
 湯冷めしないうちに出た方がいいかもしれない。

28 自分:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga] 投稿日:2016/01/06(水) 00:52:31.79 ID:Z5pVxAxlo [2/7]
 浴室から出ると、鈍い音を立てながら乾燥機が回っていた。
 僕はタオルを腰に巻くと、その鈍い音の正面に座る。
 先輩と一緒に旅へ出なければ一生経験することがなかったような経験。

「……勝手に洗わせてもらったが」

「いえ、助かりました」

「……そうか」

 それだけ言っておじいさんは男湯の脱衣所から出ていってしまった。
 なぜおじいさんはここまでしてくれるのだろう。
 こういうのを聞くのは少々無粋なのかもしれないが。

29 自分:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga] 投稿日:2016/01/06(水) 01:40:39.50 ID:Z5pVxAxlo [3/7]
 体の疲労が大分解消された僕は脱衣所の前で先輩を待っていた。
 先輩にとっては初体験の事ばかりだろうし色々心配なのだが。
 だからと言ってここで女湯の脱衣所へ入って行くのもおかしな話だ。
 悶々としながら僕は待つ。

「あ、待たせちゃったかなー」

 程なくして現れた先輩。
 水気の残った髪が頬に張り付いている。
 ほんのりと蒸気した頬。
 病院に居た時や並んで歩いていた時ともまた違う印象。
 まぁどの先輩も魅力的なのだけれど。

32 自分:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga] 投稿日:2016/01/06(水) 22:21:25.02 ID:Z5pVxAxlo [5/7]
「ありがとうございました」

 僕はおじいさんに深々と頭を下げた。
 もう動けないとまで思っていた体の疲労は大分解消されている。
 その代わり逆にもう動きたくないと言う感情も湧いてきたが。

「……行くのか」

 おじいさんは先輩と僕を交互に見てから呟くように言った。
 こんな時間に出歩いている理由は聞いてこない。
 聞かれても困るけど。

「ありがとう、おじいさん」

「……うむ」

 おじいさんは何か言いたげに見える。
 だが何も聞いてこない。
 理由も無く助けるはずがない、というのは僕が捻くれているだけなのだろうか。
 外へと向かう先輩の背中を見ながら僕は財布を開けた。

「……いらん」

 既にお札に指を掛けていた僕。
 その言葉を聞いて財布から手を離すとおじいさんの方を向いた。
 正直、状況を考えると素直に受け入れるのが正しいのだが。

33 自分:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga] 投稿日:2016/01/06(水) 22:43:04.15 ID:Z5pVxAxlo [6/7]
「どうしてここまでしてくださるんですか」

 ここで聞かない人の方が少ないのではなかろうか。
 そんな風に自分に言い訳しながら僕は疑問を口にした。

「……」

 おじいさんは僕の方を見ていない。
 去って行った先輩の背中を追うように出入り口の方を見ている。
 答えにくい事だったりするのだろうか。

「……その金はあの子に使ってやってくれ」

 今度はちゃんと僕の方を向いておじいさんが言う。
 僕の質問の答えにはなっていないが。

「……お世話になりました」

 優しい人もいるものだ、と納得して僕はもう一度頭を下げた。
 そしてそのままおじいさんの方は見ずに出入り口へ向かう。

34 自分:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga] 投稿日:2016/01/06(水) 23:43:15.69 ID:Z5pVxAxlo [7/7]
「夜になっても涼しくはならないねー」

「お風呂に入った直後なのもあるかもしれません」

「あ、そっかぁ」

 傍から見ると滑稽に聞こえるであろう会話だ。
 先輩は小さく笑っている。
 僕も釣られて笑った。

「これからどうしましょうか、先輩」

「んー……」

 先輩がここにきて初めて悩む素振りを見せた。
 何か心境の変化があったのだろうか。
 僕は悩んでない時間が無いような状況なのでむしろ今更ではあるけども。

「あっち、あっちに行ってみよう」

 悩んだ末に先輩が指差した方向は街とは反対方向だった。
 僕は何も答えずサドルを跨ぐ。
 直後、荷台に何かが乗った気配。
 喉を鳴らす音も聞こえた。
 音が止まるのを待ってから、僕はゆっくりとペダルを漕ぎ出した。
 
35 自分:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga] 投稿日:2016/01/07(木) 00:00:02.72 ID:ldVDz/rRo [1/3]
『病院に帰ろう、連れていって』

 先輩がそう言いだすのを僕は待っているのかもしれない。
 待つ必要なんてないだろうに。
 自転車を漕いでいるのは他ならぬ僕なのだから。
 先輩を連れて帰ることはそう難しい事じゃないはずだ。

「銭湯って洗濯機あるんだね、初めて知ったよ。キミは知ってた?」

「いえ、僕もほとんど利用した事無かったので」

「そうなんだ」

 先輩は相変わらず他愛もない会話を続けている。
 事は僕が思っているほど重大ではないのだろうか。
 誘拐未遂騒ぎがどうのと言う話はどうでもいい。
 先輩の身体が平気ならなんだって。

36 自分:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga] 投稿日:2016/01/07(木) 00:36:17.51 ID:ldVDz/rRo [2/3]
 どのぐらい走っただろうか。
 立ち並んでいた建物がだんだんと疎らになり、その代わりに自然が増えてきた。
 街灯もほとんど無く、車の往来もほとんどない。
 まるで世界に先輩と二人だけになってしまったような感覚。
 先輩の息遣いが大きい音に聞こえた。

「どの辺りまで来たんだろうね」

 先輩がぽつりと呟く。
 とても小さい声なのに、まるで音叉のように反響して耳に響いた。

「確認してみますか?」

 僕は自転車の速度を落としながら尋ねる。
 
「確認できるの?」

「多分、大丈夫だと思います」

 僕は自電車を止めると、スマートフォンを操作してマップを起動した。
 山間に位置するので少し心配だったが、右往左往しつつも矢印が停止する。
 アテも無く走っていたが結構な距離を来たものだ。
 もし捜索願が出ていたとしてもそう簡単に見つかる距離ではなくなっている。
 その事実がまた少し僕の胸にちくりと刺さった。
 
39 自分:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga] 投稿日:2016/01/08(金) 01:35:16.26 ID:KFhz6mwno [1/13]
「どの辺りまで来たかそれで分かるの?」

 スマートフォンを覗き込んでいた僕の耳元に先輩の声。
 続けて先輩の顔がにゅっと僕の首元を掠めながら現れた。
 先輩の髪に首筋を撫でられて僕の身体が思わず身震いする。
 心臓の鼓動も当社比5割増しだ。

「どこを見たらいいの?これ」

「あ、えと……ですね」

 先輩の細い指がスマートフォンを奪い取ろうとする。
 その過程で僕の手と先輩の手が触れた。
 なんて冷たい肌なのだろうか。
 僕の体温が吸い取られるような錯覚すら覚えるほどだ。
 それで先輩の身体が温かくなるなら、それはそれで構わないけれども。

40 自分:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga] 投稿日:2016/01/08(金) 02:00:34.75 ID:KFhz6mwno [2/13]
「ここが病院?」

「ですね」

「結構遠くまで来たんだね」


 先輩は僕から受け取ったスマートフォンをまじまじと眺めている。
 電子機器が珍しいのだろうか。
 事実、先輩がそういうものを使っているのを見た記憶は一切ない。

「はい、返すよ」

 また先輩の指が触れた。
 さっきは感じる余裕の無かった感触を味わう。
 柔らかい。
 自分の指とは根本的な構造が違うとすら感じるほどに。

41 自分:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga] 投稿日:2016/01/08(金) 02:06:05.32 ID:KFhz6mwno [3/13]
「さっきからどうしたの?」

「へっ?」

 自分でもどこから出したか分からない声が出た。

「心ここにあらずって感じがするよ。もしかして疲れた?」

「えと、その……」

 疲れていないわけではないけれど、心ここにあらずな理由は全く別なものなので。
 というか思いっきり先輩に察知されてしまっていた事が恥ずかしい。
 僕はどもりながら思わずたじろいでしまう。

「少し休もっか」

「……はい」 

42 自分:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga] 投稿日:2016/01/08(金) 02:29:36.82 ID:KFhz6mwno [4/13]
「……んぐ」

 僕と先輩は道の外れに転がっていた大きなコンクリート片に腰を下ろした。
 元がなんだったのかは分からないが、風化による削れで腰掛けに丁度良いのは確かだ。

「いよっと」

 先輩が握っていた薬の銀色台紙を放り投げる。
 中身が無くなったのか、はたまた薬を飲む気が失せたのか。
 どちらにせよ先輩が薬を飲むことはもうないのだろう。

「もう平気?」

「はい、大丈夫です」

 元から平気だったのだが、なんて余計な事は言わずに僕は答える。
 僕の返答を聞いて先輩は立ち上がり自転車の方へ向かった。
 帰ろう、の一言は出てこない。
 僕らは同じ方向へまた進み始めた。

45 自分:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga] 投稿日:2016/01/08(金) 22:45:52.34 ID:KFhz6mwno [6/13]
 何度目か分からない休憩。
 山が近くなってきたせいか傾斜や凹凸が大きい道が多くなってきた。
 先輩が人ひとりの重さを持っていたらきっとここまでこれなかっただろう。
 人ひとりの重ささえ持ってないから心配なのだけれど。

「……ふー」

「大丈夫ですか?先輩」

 僕は思わず先輩に聞いてしまった。
 聞くつもりは無かったのだが、完全に脊髄反射的に言葉は出てしまって。
 要は無意識的に聞いてしまうほど気になっていたのだろう。

「へ?何が?」

「いえ、気のせいならいいんです」

 やっぱり濁された。
 いや、自覚が無いのかもしれない。
 そっちの方がよっぽど危険な気がする。

「そこで止められると凄い気になっちゃうなぁ」

「……すいません」

「謝られても困っちゃうけど」

 先輩が困ったように微笑んだ。
 深く息を吐くことが増えてますが大丈夫ですか、と言わなかった自分を褒めたい。
 先輩が喉を鳴らす音を聞かなくなってから結構経っている。
 何も無いわけがない。
 聞いて先輩の身体がよくなるなら何度でも聞くが。

46 自分:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga] 投稿日:2016/01/08(金) 22:55:16.34 ID:KFhz6mwno [7/13]
「ほらまた」

「……あ」

「凄く難しい顔、してる」

 先輩の人差し指が僕の額をこつんと突いた。
 僕の目の前に先輩の顔がある。
 白くて儚くて、なんだかすごく存在が希薄に感じてしまう。

「……ごめんね、厄介な事頼んじゃって」

 今度は聞こえないフリ出来ない状態で謝られた。
 どう答えるのが正解なのだろうか。
 大丈夫です、気にしないでください。
 謝るぐらいなら最初から、言わないでください。
 ここまで来たんですから、最後まで付き合いますよ。
 色々と言葉は浮かんではきたけれど、そのどれも音になる前に喉元で潰れていった。
 どの言葉も先輩を引き留めることは出来なさそうだから。
 無駄な言葉を発すれば、先輩が更に遠くなってしまいそうだから。

47 自分:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga] 投稿日:2016/01/08(金) 23:04:52.91 ID:KFhz6mwno [8/13]
「ここがこの世の果て、かなぁ」

 先輩がごろりと草むらの上で横になった。
 気楽にごろんといった風ではなく、横になるのも億劫と言った感じで。

「まだ行けますよ」

 僕は思わず声を上げた。
 先輩が遠くなってしまいそうだなんてかっこつけている場合ではない。

「うん、分かってる」

 先輩は起き上がることなくゆっくりと目を閉じながら答える。
 嫌な汗が僕の頬を伝った。
 よく見たら先輩の額にも大粒の汗が浮かんでいる。
 全く気付かなかった。
 いや、先輩なら大丈夫だなんて勝手に考えて気付こうとしていなかっただけか。

「私の方がね、結構限界みたい」

 先輩に言わせてしまったことを後悔した。
 やっぱり余計な事は言わない方がいい。

48 自分:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga] 投稿日:2016/01/08(金) 23:20:25.12 ID:KFhz6mwno [9/13]
「何故こんな事をしようと思ったんですか」

 そんな僕の意志とは裏腹に言葉が口から飛び出してきた。
 ここまでやらせておいて何も教えてくれないのか、という怒りというか悲しみというか。
 そんな僕の中でぐるぐる回っていた感情が音になって飛び出したのかもしれない。

「んー、なんでだろう?突然だったんだよね、思いついたの」

 先輩は務めて平静に答えを返してくる。
 それが僕の中にある言い知れない感情をさらに煽った、気がした。

「両親は優しいし、お医者さんも全力で頑張ってた」

 言葉を続ける先輩。
 それは僕に語りかけているようでもあり、独り言を上の空で呟いているようでもあった。

「不満は自分の身体の事だけ。だからこんな事したのかな……ごほっ、ふっ……く」

「先輩っ!」

 そこまで言って先輩が大きく咳き込んだ。
 横たわった先輩の身体が大きく跳ねるほどの咳。
 僕はすぐに先輩の傍へ駆け寄った。

49 自分:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga] 投稿日:2016/01/08(金) 23:33:02.28 ID:KFhz6mwno [10/13]
「死にたいわけじゃなくて……生きるのが辛くなった、だけ」

 先輩が僕の肩を掴む。
 あまりに弱弱しい手の平。
 付いていた血が僕の肩にじんわりと滲む。

「キミにしか頼めないと思ったんだ。ごめんね」

 先輩が言いたいことを言い終えたと言った感じで沈黙する。
 僕は全身で先輩の身体を支えた。
 重い。僕は本当にこの人をここまで運んできたのだろうか。

「……ふー……ふー」

 先輩はまだ生きている。
 まだ生きている、と言う次元の状態ではあるが。
 どうするのが正しいのだろうか。
 僕は考えようと思ってやめた。
 正確に言えば考えるまでも無かった。

50 自分:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga] 投稿日:2016/01/08(金) 23:38:12.04 ID:KFhz6mwno [11/13]
 僕は先輩を背中に背負って走り出す。
 最初からここまで来なければよかったじゃないか。
 このまま先輩が死ねばお前のせいだぞ。
 なんて湧きあがってくる思考に今は蓋をして。

「すいません、先輩」

「……」

 もう聞いているかは分からないが、僕は先輩に謝罪を口にした。
 ここまで連れ出した謝罪もある。
 生きるのが辛い先輩をまた辛い世界へ引き戻してしまう事への謝罪も含めた。
 きっと先輩も僕と同じだったのだろう。
 止めて欲しいけど、自分では言い出せなくて。
 涙を流しながら僕は走った。

51 自分:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga] 投稿日:2016/01/08(金) 23:39:35.72 ID:KFhz6mwno [12/13]
 走って、走って、走って、走って。
 気付けば僕は突っ伏していた。
 全身が痛い。
 立ち上がろうとして驚く。
 体に全く力が入らなかった。
 ここまで疲労していたのか、僕の身体は。
 瞼が重くなる。
 先輩は無事だろうか。
 このまま僕も死んでしまえばいい。
 そんな事を考えていたような気がする。
 
54 自分:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga] 投稿日:2016/01/10(日) 00:52:05.16 ID:YSY4iPZSo [1/5]
 気が付いたら僕は天井を見上げていた。
 見たことのある天上だ。
 僕は体を起こそうとしてふと気付く。
 身体が動かない。
 拘束されたりしてるわけではないので、いわゆる意思に反してと言うやつだ。
 それでも何とか動こうとして僕はガタンと身を揺らす。
 そんな僕の動きに近くの看護師さんが気付いた。

「先生、患者さんが目を覚ましました!」

 辺りが慌ただしさを増していく。
 僕はそんな喧騒から逃れるように目を閉じた。
 後で聞いた話なのだが僕はどうやら3日程眠っていたそうだ。
 そんなに眠った自覚はないし、そんな経験なかったので実感は全くなかったが。

55 自分:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga] 投稿日:2016/01/10(日) 01:12:09.60 ID:YSY4iPZSo [2/5]
「おはよう、寝坊助さん」

「おはようございます」

 動けるようになってすぐ、僕は先輩に会いに行った。
 僕が気を失った直後に僕らは巡回していたパトカーに保護されたらしい。
 あと数分遅れていたら危うい状態だったらしく、僕の頑張りは無駄ではなかったとの事。
 そもそもの原因が僕であった事について、大人達はあまり大きく責めなかった。
 
「この世の果てに連れていって欲しいって言ったのに」

 たくさんの管に繋がれた先輩の声は、囁くようにか細い。
 
「……すいません」

 その声に釣られて僕の声も小さくなる。

「……恨むよ」

 先輩は天井を見ながら話している。
 僕は先輩をじっと見つめながら言葉を返す。

「……構いません」

 先輩の顔がゆっくりとこちらを向いた。
 悪戯っぽく微笑んでいる。
 それは僕が想定していた表情とあまりにも違っていて、僕はぽかんとした顔で先輩を見つめた。

56 自分:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga] 投稿日:2016/01/10(日) 01:21:19.19 ID:YSY4iPZSo [3/5]
 先輩の左手の小指が弱弱しく伸ばされた。
 何事か分からない僕。
 しばし見つめ合う僕達。

『ゆ、び、き、り』

 先輩の口の動きからなんとかそう読み取れた。
 僕はそっと左手を差出すと、先輩の小指を自らの小指で絡め取った。

『ま、た、ね』

 先輩が最後に言った言葉は、きっとその三文字だ。
 ここで言う最後というのは今際の言葉ではなく、単に先輩が眠りに付いたと言うだけの事。
 僕はひんやりとした先輩の感触を残した小指をぎゅっと握ると病室を後にした。

57 自分:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga] 投稿日:2016/01/10(日) 01:23:30.47 ID:YSY4iPZSo [4/5]
「あれ、こんなに近かったんだ。ここ」

「あの時は自転車でしたからね」

「なんだか寂しい感じがするなぁ」

「今度は自転車で来ましょうか」

「お、いいね。それ」

「もうあんな無茶はゴメンですが」

「ふふふ、約束は守ってもらうよ」


「今度こそ連れていってね、この世の果てまで」

「……エスコート致します、お姫様」

「うむ、くるしゅうない」
スポンサーサイト

男「変な奴に懐かれた」少女「変な奴とは失礼な」

1 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/07(土) 19:29:42.33 ID:OaRMqAH/O
男「あー、疲れた……」

男(あいつ、人出が足りないからってこき使いやがって……)

男「……あっちー」

男(冷蔵庫にビール、残ってたっけな?この暑さの中買いに行くのだけは……)

男「……ん」

「……」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1446892182


2 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/07(土) 19:36:43.97 ID:OaRMqAH/O
男(見たことない子だな……そういや、隣に誰か越してくるって大家が言ってたっけか)

「……」

男(さて、ビールビールっと)

「……はふぅ」

男(……)

「……」

3 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/07(土) 19:46:46.60 ID:OaRMqAH/O
男「おい、お前」

「……?」

男「俺とお前以外に誰もいねーよ」

「……それって、まさか」

男「あ?」

「叫んでも誰も来やしねーぞ、ってやつですか?」

男「んなわけあるか、アホ。大家が飛んでくるわ」

男(……多分)

4 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/07(土) 19:53:42.23 ID:OaRMqAH/O
「では、なぜ私に声を掛けたんですか?」

男「何故って……こんな時間に子供が玄関前でうずくまってたら、大抵の大人は声掛けるもんなんだよ」

「そんなもんですか?」

男「そんなもんです」

「そんなもんなら仕方無いですね……よいしょ」

男(立つと小ささが際立つな、何歳くらいだ?こいつ)

5 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/07(土) 20:00:53.46 ID:OaRMqAH/O
「どうぞ、なんでもお聞き下さい」

男「とりあえず、名前から聞いておこうか」

「私は少女と申します。あなたは?」

男「ん、ああ。俺は男、この部屋の住人だ」

少女「お隣さんでしたか、今後よろしくお願い致します」

男「こちらこそ……じゃなくてだ」

少女「??」

男(なんか調子狂う奴だな……)

12 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/08(日) 19:23:05.88 ID:9AIj8hpGo
少女「質問は以上ですか?」

男「なわけあるか。まだ自己紹介しあっただけだろ」

少女「……ふむ」

男「そこ、お前の家なんだろ?」

少女「えぇ、そりゃまぁ」

男「じゃあなんでこんな時間に玄関先で座り込んでるんだ」

少女「……そうですね、話すと長くなりますが」

男(長くなるのか……)

少女「……じー」

男(……うん、まぁ。話しかけちまったのは俺だしな)

13 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/08(日) 19:37:48.40 ID:9AIj8hpGo
男「ちょっと待ってろ」

少女「……?」

男「……あー、あちぃ」

男(クーラー入れとこ……よっと)

男(見事にビールとつまみしか入ってねぇな……流石にこれ飲ますわけにもいかねぇよな)


男「おう、待たしたな」

少女「いえ、特には」

男「ほれ、飲め」

少女「……」

男(ここまで警戒されると結構ショックだな……)

14 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/08(日) 19:54:43.89 ID:9AIj8hpGo
男「まぁ別に、無理に飲めとは言わん」

男(俺はビール飲むけど……嫌味みたいになってねぇかな)

少女「……ごく、ごく」

男「……んぐ、んぐ」

少女「……けぷ」

男(あー、美味い……)

少女「……おいしくないですね」

男「……そりゃ悪かった」

少女「いえ、お構いなく」

15 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/08(日) 20:15:37.82 ID:9AIj8hpGo
男「それで、さっきの話の続きは?」

少女「さっきの話……」

男「話が長くなるとか、なんとか」

少女「あぁ、そうでした」

男(おいおい)

少女「私はここに、母と二人で暮らしていまして」

少女「普段は秘密の隠し場所に鍵を置いてあるのですが、どうやら今日は忘れてしまったらしく」

少女「それで、こうして座って母の帰りを待ってるわけです」

男「……ぐび」

少女「……んぐ、んぐ」

男「え、終わり?」

少女「はい、終わりです」

男「……」

少女「……」

16 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/08(日) 20:21:04.84 ID:9AIj8hpGo
男「いつぐらいに帰ってくるんだ?母親は」

少女「いつぐらい、なんでしょうか。いつも特に気にした事なかったですし」

男「ふーん……」

男(ビールぬるくなってきたな……そろそろ俺はこの辺で……)

少女「……水道水」

男「ん」

少女「味はともかく、助かりました。ありがとうございます」

男「おう、お構いなく」

17 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/08(日) 20:42:13.01 ID:9AIj8hpGo
男「あー、さっぱりした」

男(……もう8時か、夏は夜もあちいな)

男「……」

男「……ちら」

少女「……はふぁ」

男(まだ外にいるのか……)

男「……おい」

少女「……?」

少女「まだ何か、ご用ですか」

男(……余計なお世話な気がしてきた)

少女「……じー」

18 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/08(日) 21:00:48.62 ID:9AIj8hpGo
男(見た感じ、汗一つかいてないし……暑さ感じないとかいう可能性も)

男(……んなわけないか、アホか俺は)

男「あー、その、なんだ」

男「そこに座ってたら暑いだろ?」

少女「……まぁ、多少は」

男「母親が帰ってくるまでの間、うちに来ないか?」

少女「……」

男「変な意味はないぞ。玄関のとこで座ってれば、俺は近寄らん」

少女「……そこまで言われると、逆に」

男(あーあー、やっぱ余計な……)

少女「冗談です、厚意で言ってくださってるんですよね」

少女「お言葉に甘えさせていただいて、いいですか?」

男「最初からそう言えばいいんだよ」

男(笑うと結構印象変わるな、こいつ)

21 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/09(月) 02:14:59.68 ID:v+EtuOPXo
少女「……おじゃま、します」

男「おう、適当にくつろいでくれ」

少女「……んしょ」

男「……」

少女「……きょろ、きょろ」

男(……落ち着かんな、まぁ当たり前か)

男(なんか会話でもしてみるか……)

男「なぁ」

少女「……はい、なんでしょうか」

男「いつもこんな時間なのか?母親が帰ってくるの」

少女「どうなんでしょうか、時計をあまり見ないもので」

少女「今日はいつもより遅い、ような気はします」

男「ふーん……」

22 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/09(月) 02:24:50.70 ID:v+EtuOPXo
男「なら、お前はいつも一人で待ってるのか」

少女「そうなりますね。あの部屋に私が感じられない何かがいる可能性も否定はできませんが」

男「……なんじゃそりゃ」

男(母子家庭、ってやつか……)

男「お前、寂しくは……」

少女「……あ」

男「あ?」

少女「音が、しました」

男「……あぁ」

23 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/09(月) 02:30:53.06 ID:v+EtuOPXo
「……ありがとうございます、どうしているかずっと心配だったんです」

男「勝手にやった事ですんで」

「ほら、あなたもお兄さんにお礼を言いなさい」

少女「……ありがとうございます」

男(……嫌そうな顔してんな)

「後日、引っ越しのご挨拶も兼ねてお礼をさせていただきますね」

男「あ……その、お構いなく」

「では、また……」

男「あ、はい。ほんとお礼とか……」

男(……行っちまった)

男(幸薄そうな顔してたな……ま、色々苦労してんだろうな)

男「……寝るか」

24 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/09(月) 02:49:27.02 ID:v+EtuOPXo
男「……ふわーぁ」

「随分と大欠伸ね」

男「……色々あってな、昨日」

「色々って何さ」

男「具体的に話しても特に面白い話でもないが」

「そう言われると聞きたくなるのが人間でしょ」

男「……仕方ねぇな」


「ふーん、そりゃ大変だったね」

男「だから特に面白い話でもないと言っただろ……」

「……どうだか?」

男「……?」

25 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/09(月) 04:12:10.99 ID:v+EtuOPXo
男「……あー」

男(相変わらずあっちぃな……政府はもっと温暖化対策に力を入れるべきだ)

男「……ん」

少女「……あ」

男「……よう」

少女「……こんばんは」

男「こんばんは……じゃなくて、なんで俺の家の前にいるんだ」

少女「母がお礼に、と」

男「母本人はどうした」

少女「今日のお仕事は夜勤だそうで、お礼だけを持ってお待ちしてました」

男(……てことは、こいつは今日一人ぼっちなわけか)

男「……」

男「一緒に、食うか?それ」

少女「……」

男「……」

少女「……そちらの都合がよろしければ」

男「都合が悪かったらこんな事言わねーよ」

少女「そう、ですか……では」

男(カレーか、自分じゃあんま作らんからな。久しぶりだ)
29 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/09(月) 18:17:02.80 ID:v+EtuOPXo
少女「……お邪魔します」

男(別にわざわざ言わんでもいいのに)

少女「お台所、借りますね」

男「ん……火は使った事あるのか?」

少女「……手伝いくらいなら、多少」

男「危なっかしいな、俺に任せてお前は座ってろ」

少女「……それではお礼になってないのでは」

男「俺がお礼されたと思ってりゃいいんだよ」

少女「……納得いきませんが、理解は出来ます」

男「ほれ、ジュースでも飲んでろ」

30 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/09(月) 18:36:15.69 ID:v+EtuOPXo
少女「……ごく、ごく」

男(おー、いい香りだ)

少女「……あなたは」

男「ん?」

少女「一人暮らし、されてるんですか」

男「誰かと暮らしているように見えるか、この部屋」

少女「……すいません」

男「別に謝る必要はないぞ……よし、このぐらいでいいか」

男(米は確か冷凍のがあったよな……)

男「待たした」

少女「いえ、そこまでは」

31 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/09(月) 18:55:45.92 ID:v+EtuOPXo
男「遠慮なく食えよ」

少女「……元々そこまで大食いではないのですが」

男「いや、無理して食わんでもいいが」

少女「……いただきます」

男「いたきだきます」

少女「……もぐ、もぐ」

男(……甘口、か。多分こいつの為に作ったカレーなんだろうな)

少女「……おいしい、ですか?」

男「おう、美味いぞ」

少女「……にこ」

男「……」

男「お前、普段からもう少し笑った方がいいと思うぞ。その方が、いい感じだ」

少女「……」


少女「…・・これはいわゆる、口説き文句と言うやつですか?」

男「アホ言え」

32 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/09(月) 19:27:36.02 ID:v+EtuOPXo
少女「……ご馳走様でした」

男「ふー、久々に腹一杯食べた」

少女「……後片付けくらいは、させてください」

男「おう、そこはお言葉に甘えようか」

男(ビールビールっと……)

少女「……ごし、ごし」

男(……つまみうめぇ)

少女「……終わりました」

男「おう、お疲れさん」

少女「……」

男「……」

男「おい」

少女「……?」

33 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/09(月) 20:01:52.60 ID:v+EtuOPXo
男「まだ何か用があるのか?」

少女「いえ、無いですが」

男「だったら、いつまでいる気なんだ」

男(男の一人暮らしだぞ、一応)

少女「……私がいると、迷惑ですか?」

男「いや、迷惑と言うか……なんと、言うか」

少女「……じー」

男(急に警戒心が減ったな、やっぱりよく分からん奴だ)

34 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/09(月) 20:56:25.07 ID:v+EtuOPXo
男「12時過ぎるまでだからな」

少女「……ふむ」

男(……理由は分からんでもないから、追い出しにくい)

少女「……あの」

男「ん、なんだ」

少女「……ありがとう、ございました」

男「改まって急になんだ」

少女「……」

男「……?」

少女「……ぐぅ」

男(寝言、だったのか今の。にしちゃ……)

男(じゃなくて、何寝てくれちゃってんだコイツ)

35 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/09(月) 21:29:25.73 ID:v+EtuOPXo
少女「……すぅ……すぅ」

男「おい、起きろ。おい……」

少女「……」

男(……ダメだ、完全に寝入ってる)

男(ちょいと確認してくるか)

男「……ふむ」

男(隣の部屋に行くだけでもちゃんと戸締りするんだな、感心だが……)

男「さて、どうしたものか」

36 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/09(月) 22:30:58.84 ID:v+EtuOPXo
男(とりあえず、ベッドまで運ぶか)

少女「……むにゃ」

男(……軽いな。事務所の荷物よりも、は言い過ぎか)

少女「……」

男「……よいしょっと」

男(さて、俺はどこで寝るかな……)

男「……?」

少女「……」

男(裾をギュッと握られては、動けんのだが)

少女「……ぐぅ」

男「……はぁ」

男(今から言い訳、考えておいた方がよさそうだな……)

39 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/10(火) 01:55:29.55 ID:T7r5zg40o
少女「……むにゃ、むにゃ」

少女「……くぁ」

少女(……私、寝ちゃってた?)

少女「……じー」

男「ぐがー……」

少女(……だらしない寝顔ですね)

男「すぴー……」

少女「……なで、なで」

男「むにゃ……」

少女「……ふふ」

40 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/10(火) 02:14:12.45 ID:T7r5zg40o
男「……ん」

男「ふわーぁ……」

男(いつの間にか寝ちまってたのか)

男(今何時だ……ん?)

『ありがとうございました。目が覚めたので帰ります』

男(……母親が帰ってくる前に帰れたんだろうか)

男「おっと、こんな時間か。急がんとな」

41 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/10(火) 02:33:46.33 ID:T7r5zg40o
「おっす、おはよう」

男「おっす」

「今日は面白い話、ないの?」

男「そう毎日何かあってたまるかよ」

「その反応は、何かあったんだね」

男「……まぁな」

「またお隣の少女関連かな?」

男「そうだが、何故そう思った」

「昨日の今日だし、なんとなくね。で、どんなことがあったの?」

男「……話さないといけないのか」

「暇だしね」

男「俺は暇じゃない」

「わくわく」

男「……チッ」

42 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/10(火) 02:45:15.50 ID:T7r5zg40o
「へー、そんなことが」

男「子供は何考えてるのか分からん」

「大人だからって分かるもんでもないんじゃない?」

男「子供よりは幾分かマシだ」

「へぇー」

男「んだよ」

「んーん、別にー」

男「お前も作業を手伝え。何が暇だ」

「はいはーいっと」

43 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/10(火) 02:54:43.98 ID:T7r5zg40o
男(今日は早く終わりそうだな……)

「ねぇ、今日さ」

男「ん、どうした」

「キミの家、行ってもいい?」

男「……なんだ、急に」

「話しを聞いてたら、その女の子の事が気になっちゃって」

男「お前、そういう趣味が……?」

「……バーカ」

男「??」

「とりあえず、分かったらさっさと作業終わらせなよ」

男(だったら手伝えっての……)

44 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/10(火) 03:18:04.87 ID:T7r5zg40o
「いやー、事務所を出るとあっちぃね。この時間でも」

男「一旦家に帰ったほうがいいんじゃないか」

「まぁ最悪、キミの家でシャワー借りるよ」

男(本気で言ってんのかこいつ……)

男「……ん」

「……んー?」

少女「……あ」

男「む」

「お?」

48 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/11(水) 01:13:57.29 ID:izQfL36co
男「なんだ、またなのか?」

少女「……の、ようです」

(ふーん、この子が噂のね)

「はじめまして、こんばんは」

少女「……じー」

(心なしか、睨まれているような?)

男「こいつは俺の職場の同僚だ。アホだがそこまで害はない」

「微妙にひどい紹介じゃない?」

男「全面的にひどく紹介したつもりだが」

少女「……お友達、ですか?」

男「まぁ、かなり好意的に解釈するとそんなとこか」

49 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/11(水) 01:27:13.72 ID:izQfL36co
少女「……失礼しました」

「いえいえ、お構いなく」

男「まぁ、知らない奴に対しての反応としちゃ間違った方じゃないから安心していい」

少女「……ぺこり」

(可愛いなぁ、こりゃもしかしなくても……)

男「じゃ、帰れ」

「へ?」

男「用は済んだだろ」

「まだシャワー借りてないよ」

男「本気で言ってたのかそれ……」

50 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/11(水) 01:31:18.05 ID:izQfL36co
男「着替えどうすんだよ」

「キミの借りちゃダメ?ちゃんと洗って返すよ」

男「そういう問題かよ……」

少女「……」

「……ダメ?」

男「ダメだ、さっさと帰れ」

「ちぇーっ、帰りますよっと……それじゃ、またねー」


男「……」

少女「……」

52 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/11(水) 02:07:50.09 ID:izQfL36co
男(まったく、何しに来たんだあいつ……)

少女「……おっきかった」

男「は?」

少女「なんでもありません」

男「……ならいいんだが」

少女「いや、なんでもないわけではないかも……?」

男(また訳の分からんことを言い始めやがって)

少女「……暑さで頭が回りません」

男「……」

少女「……暑い、です」

男「分かった分かった……」

53 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/11(水) 02:35:02.83 ID:izQfL36co [5/8]
少女「……はふ」

男(随分と遠慮がなくなったな、コイツ)

少女「今日はお酒、飲まないんですか?」

男「ん、あぁ」

男(余計な奴が引っ付いてきたせいで買い忘れただけだがな)

少女「……あの」

男「ん、どした」

少女「……」

男「……おい」

少女「……上手く言葉が出てこない、です」

男「なんじゃそら」

54 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/11(水) 02:44:45.01 ID:izQfL36co [6/8]
少女「ですから、その……ですね」

男(こいつ用にと思って買ってきたもんだったが)

少女「……あっと……ええと」

男(久々に飲むとオレンジジュースも悪くねぇな)

少女「……マジメに聞いてますか?」

男「なんも話してねぇだろ」

少女「ですから……」

男「……ん?」

男「わりぃ、来客だ。ちと待っててくれ」

少女「……むすー」

55 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/11(水) 02:52:20.30 ID:izQfL36co [7/8]
「こんばんは、お隣さん」

男「あ、どうも。こんばんは」

「あの子、こちらにいらしてませんか……?」

男「あぁ、来てますよ」

「よかった……いつもの場所に鍵が置きっぱなしだったから、心配しちゃって」

男(俺のとこにいたから安心、ってのもおかしい気もするがな)

男「……ん?」

「……この前のカレーどうでした?」

男「へ?あ、はい。美味しかったですよ」

少女「……とてとて」

「それはよかったです、あの子から話を聞いた時は心配で……」

少女「……お母さん、帰ろ」

「はいはい、今行きますよ……では、これで」

男「は、はぁ……」


男(なーんか、話がおかしかった気がするが……)

男(まぁいい、寝るか)

59 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/11(水) 16:08:32.63 ID:izQfL36co [9/11]
男「……ん」

男(朝……いや、もう昼か?どうも休みってのは時間の感覚が掴めんな)

男「とりあえず食いもん買ってくるか」

男「む?」

少女「……あ」

男「おつかいか、偉いじゃないか」

少女「今日はお仕事、お休みなんですか」

男「ま、そんなとこだな」

少女「……惣菜ばかりでは、体を壊しますよ」

男「この生活を続けてるが幸い俺は健康体だ」

少女「……むー」

男(な、なんで不機嫌になる)

60 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/11(水) 16:10:06.32 ID:izQfL36co [10/11]
少女「……では、ここで」

男「……」

少女「とてとて……」

少女「……っ?」

男「どうせ帰る方向一緒なんだ、持ってやるよ」

少女「……泥棒は犯罪です」

男「料理しねぇのに食材ばっか盗んでどうすんだ」

少女「……ありがとう、ございます」

男「うむ、それでよろしい」

61 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/11(水) 16:20:01.19 ID:izQfL36co [11/12]
少女「……重くないですか?」

男「この程度、慣れてるよ」

少女「……」

男「おい、歩きにくいだろ」

少女「我慢してください、これぐらい」

男「いや、なんでだよ」

少女「……」

男(……まったく、子供は分からん)

62 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/11(水) 16:35:27.45 ID:izQfL36co [12/12]
男「ほいよ、ここまでくればいいだろ」

少女「……こく」

男(この程度とは言ったものの肩が……歳か?なんて言いたかねぇな)

少女「ただいま、お母さん」

「あら、早かったわね……」


男「……さて、飯飯っと」


男「……おっと、もうこんな時間か」

男(一日中家でゲームだなんて、実に贅沢な休日の使い方だ)

男「ん?」

男(誰だ、こんな時間に……)

63 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/11(水) 16:38:27.01 ID:izQfL36co [13/13]
少女「……」

男「おう、どした。また親がいねぇのか」

少女「……親はいます。片親ですけど」

男「いや、そう言う意味の言葉じゃなくてだな……」

少女「お昼のお礼を、言ってなかったので」

男「ん、あぁ」

少女「ありがとう、ございました」

男「はい、どういたしまして」

少女「……それでは」

男(え、そんだけ?)

少女「……さようなら」

男「あ、おい……」


男「なんだったんだ、今の」

64 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/11(水) 16:45:07.63 ID:izQfL36co [14/15]
「やぁ、おはよう」

男「おう、おはよう」

「いつにも増して不景気なツラしてるね」

男「……ある程度は生まれつきだ」

「また件の少女関連?」

男「いや、あいつとはしばらく会ってない」

「しばらくってどのぐらい」

男「そこ重要か?」

「それなりに」

男「……」

男(あの謎のあいさつ以降、だなそういや)

65 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/11(水) 16:50:42.89 ID:izQfL36co [15/16]
「結構な期間音沙汰なしなんだね、また引っ越したとか?」

男「いや、母親の方を見かけるからそれはないだろうな」

「ってことは……」

男「ってことは、なんだよ」

「いや、なんでも」

男「なんだよそれ」

「キミが不景気ヅラしてる理由が分かって満足だし」

男「どこをどう聞いて理由が分かったんだ」

「さて、どこでしょう?」

男「……ケッ」

66 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/11(水) 17:07:05.14 ID:izQfL36co [16/17]
「あ、そういや聞いた?」

男「何をだよ」

「今日新しいバイトの子、入るらしいよ」

男「ほう、これでやっと俺の重労働も軽減されるのか」

「残念、女の子らしいです」

男「……はぁ」

「所長好みの女の子とかなんとか」

男(所長の趣味なんて知るか……)

67 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/11(水) 17:16:51.54 ID:izQfL36co [17/17]
「もうそろそろ来るって聞いてたんだけど……」

男「俺は作業に戻るぞ、お前が対応しろ」

「えー、めんどくさいなぁ……っと、噂をすれば」

「はいはい、今出ますよー」

男(というか、所長って普段何やってんだ?俺も面接の時一回会ったきりな気がするぞ)

「おーい、一応新人くんに挨拶ぐらいしときな」

男「へいへい……」

男「……」

少女「……」


少女「……初めまして?」

男「いや、なんでだよ」

68 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/11(水) 17:22:18.63 ID:izQfL36co [18/19]
「キミが子供子供言うから、完全に勘違いしちゃってたよ」

男(まさか高校生だったとは……)

「受験とかで大変だったんだよねー」

少女「……はい、まぁ」

(ま、それだけじゃないんだろうけど)

男「……」

男「まさか、新人がこいつだって知ってたんじゃあるまいな?」

「……まっさかー?」

少女「……まっさかー」

男「……お前らなぁ」


男「ったく、仕事をなんだと……」

少女「……あの」

男「あん?」

少女「……これから宜しくお願いします、先輩」

男「お、おう?」

「ニヤニヤ」

男「……まったく、変な奴に懐かれたもんだ」

少女「変な奴とは失礼な」

「変な奴はキミだろ?」

男(もう仲良しかよ、お前ら)

友「先輩と付き合ってるって言ってなかったっけ?」女「……うん」

1 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/10/31(土) 02:50:08.06 ID:KMJFxDFpo [1/7]
友「ならどうして、ここにいるわけ?」

女「……?」

友「いや、なんでこっちがおかしいみたいになってんの」

女「……いつも一緒に、食べてる」

友「いやまぁ、そうだけどさ……普通は付き合い始めって言ったらこう」

『先輩、あーん』『うん、おいしいよ。ありがとう』『キャッキャッ』

友「とかやるのが定番なんじゃ?」

女「……」

友「……」

女「……きゃっきゃっ」

友「悪かった、結構くるものがあるからやめてくれ」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1446227407


2 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/10/31(土) 02:53:25.46 ID:KMJFxDFpo [2/7]
女「……そういうもの、なのかな」

友「そういうもんなんじゃないかね」

友(よく知らんけど……)

女「……明日から頑張って、みる」

友「おう、その調子その調子」

女「……ありがと、ね」

友「いや、感謝されるほどの事は言ってないって」

女「……そう?」

友「そうそう」

女「……」

友(こんな調子で大丈夫なのかね……いや、それは言うまい)

3 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/10/31(土) 03:06:50.01 ID:KMJFxDFpo [3/7]
女「……先輩」

先輩「ん、どうかしましたか?」

女「……あーん」

先輩「あーん……?」

女「……」

先輩「……」

友「……オイ」

女「……?」

友「口を開けさせておいて、何をボーッと見てるんだ」

女「……どれをあげたらいいかなって、思って」

友「んなもんどれでもいいんだよ!」

女「……どれでも……どれ、でも……?」

友「……」

4 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/10/31(土) 03:18:11.60 ID:KMJFxDFpo [4/7]
先輩「……ぷっ、あははっ」

女「……せん、ぱい?」

先輩「おっと、失礼……あなた達の漫才が面白くて、つい」

友(この人、こんな感じで笑うんだな……)

先輩「改めて、いただいてもよろしいですか?」

女「……あ、えと」

先輩「その卵焼き、おいしそうですね」

女「……どうぞ」

先輩「もぐもぐ……うん、おいしい」

先輩「それでは、こちらからも……はい、あーん」

女「……?」

女「……あーん……ぱく」

先輩「どうですか?購買のカレーパンは」

女「もむもむ……おいしい、です」

女「……んぐ」

5 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/10/31(土) 03:23:46.93 ID:KMJFxDFpo [5/7]
女「……もう一口、いいですか?」

先輩「ふふ、もう一口と言わず全部どうぞ」

女「……そんな、悪いです」

先輩「それでは、もう二口ほどそちらのお弁当をいただいても?」

女「……もう二口と言わず、どうぞ」

先輩「それは少し私が得をし過ぎではないでしょうか?」

女「……元からその、つもりで」

先輩「後日お礼を考えておきます、楽しみにしておいてください」

女「……?」


友(……高校に上がってすぐに『恋がしてみたい』なんて突然言うからどうなるかと思ってたが)

友(心配することなんて全くなかったみたいだな)

友(……こうなる事は分かりきってたことだろ、何を今さらざわざわしてるんだ)

6 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/10/31(土) 03:27:44.01 ID:KMJFxDFpo [6/7]
女「……」

クイ クイ

友「ん、どした」

女「……だい、じょうぶ?」

友「大丈夫って……何が」

女「……顔色、よくない」

友「気のせいだっての」

女「……カレーパン、食べる?」

友「別に腹が減ってるわけじゃ……」

友「……貰うよ、ありがとう」

女「……にこ」

友「先輩、いただきます」

先輩「それは差し上げたものですので。どうぞどうぞ」

友(……うめぇ)

17 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/01(日) 01:57:59.28 ID:IQMUorgBo [1/14]
友(あー、疲れた……補欠なんだから、ここまで走らせんでも……)

友「……ん?」

女「……」

友「帰宅部がなにしてんだ、こんな所で」

女「……先輩を、待ってる」

友「……あぁ、生徒会だっけか」

女「……コク」

友(こんな時間までやってのか、生徒会って)

女「……」

友「一緒に帰ろうとか、約束してるのか?」

女「……あ」

友「おいおい……」

19 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/01(日) 02:15:04.83 ID:IQMUorgBo [2/14]
女「……」

友「……先輩の事、好きになってきたか?」

女「……?」

友「いや、こうして待ってるじゃん」

女「……まだ、よく分からない」

友「よく分からない?」

女「……うん」

女「……よく分からない、から」

女「……いつもと同じこと、してみようかと」

友「……ふぅん」

友(昨日みたいな事になるくらいなら、先に帰っちまおうかな……)

20 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/01(日) 02:22:30.77 ID:IQMUorgBo [3/14]
女「……あ」

友「む?」

先輩「……おやおや」

先輩「記憶違いでなければ、あなたは帰宅部だったはずですが」

女「……はい」

友(間が悪いな、言い出しづらくなった)

先輩「……ふむ少しお手を拝借」

女「……?」

友「……じー」

23 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/01(日) 02:36:56.58 ID:IQMUorgBo [5/14]
先輩「結構待っていたんですね、こんなに冷たくなって」

女「……ご、ごめんなさい」

先輩「謝って欲しかったわけでは無くて……」

先輩「……そうだ、毎日は難しいと思いますが」

女「……携帯?」

先輩「私のメールアドレスです。後でメールを送っておいてください。次から時間があるときはこちらからメールしますので」

女「……はい」

友(二人が話しているうちに……っ)

友「……っ」

女「……?」

友(ガッチリ袖がホールドされて……)

友「せ、折角の先輩と二人きりじゃないか。お邪魔虫は……」

先輩「ん、私は別に構いませんよ」

友「……」

24 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/01(日) 02:46:34.43 ID:IQMUorgBo [6/14]
女「……」

先輩「……」

友「……」

友(……な、何か喋ったりしないのか?)

女「……」ふらっ

友「あ、あぶ……」

先輩「おっと、危ないですよ」

女「……あ、ありがとうございます」

先輩「いえいえ」

友(……やっぱムリにでも帰ればよかったか)

25 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/01(日) 02:54:58.25 ID:IQMUorgBo [7/14]
女「……私は、ここで」

先輩「ほう、ここがあなたの家でしたか。覚えておきますね」

女「……また、明日」

友「おう、また明日」


友「……」

先輩「……」

友「先輩の家、こっちの方向なんですか」

先輩「いえ、完全に逆方向ですが」

友「ならなんで……」

先輩「そもそも最初から逆方向ですから、ご心配なく」

友「いや、そうじゃなくて……」

先輩「本音を言えば、少し二人でお話がしたかったんです」

友「……」

先輩「そう怖い顔しないでください、変な意味はないですから」

33 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/01(日) 20:09:55.19 ID:IQMUorgBo [9/14]
友「……」

先輩「……」

友「……話がしたいんじゃ、なかったんですか」

先輩「ん、あぁ。そうでしたね」

先輩「あの人、後輩さんの好きな食べ物をお聞きしてもよろしいですか?」

友「……へ?」

先輩「何か問題がありましたか?」

友「いえ、別に問題は……いちご大福、ですけど」

先輩「ほう、いちご大福ですか。覚えておきましょう」

友(……わざわざ二人きりにならないと聞けない事か?)

34 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/01(日) 20:31:33.06 ID:IQMUorgBo [10/14]
友「……今度はこちらから、いいですか」

先輩「はい、どうぞ」

友「あいつの方から、告白したんですよね」

先輩「そうですね、あの人から聞きましたか」

友(……あの人って言い方、なんだかな)

友「なんで承諾したんですか?初対面に等しかったと思うんですけど」

先輩「見た目で即決でした」

友「……じとー」

先輩「あの人の容姿ならそれでも変ではないと思いますが?」

友「……まぁ、そうですけど」

先輩「でしょう?ふふ」

友「……」

35 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/01(日) 20:39:44.27 ID:IQMUorgBo [11/14]
先輩「まぁ、冗談はここまでにしておいて」

友(冗談か本気か判別付かん人だ)

先輩「と言っても、半分は冗談じゃないんですが」

友「どっちだよ!」

友「……あ」

先輩「構いませんよ、普段の口調で。その方が話しやすいのでしたら」

友「そういうわけには……」

先輩「おや、残念。もっと親しみを持っていただいて結構ですけど」

友「……話の続き、してください」

先輩「はいはい」

36 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/01(日) 20:52:28.18 ID:IQMUorgBo [12/14]
先輩「あなた達から見れば、私の方は初対面だったと思いますが」

先輩「私の方は、よくあなた方を見かけていたんですよ」

友「そうなんですか?」

先輩「立ち入り禁止の屋上へ向かうための踊り場は、生徒会室のある階の踊り場でもありますから」

友(あそこ、下から見えてたのか)

先輩「最初は注意しようかと思っていたのですが、談笑しているお邪魔をしては悪いなと」

友(それでいいのか生徒会長)

先輩「まぁ、そういう訳でして。突然告白された時はもちろん驚きましたけど」

友「……」

先輩「まだ何か、ご不満が?」

友「……別に、元からご不満なんて」

友(あいつがご不満ないなら、口を挟む事でもないし)

37 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/01(日) 21:04:07.13 ID:IQMUorgBo [13/14]
友「先輩」

先輩「はい?」

友「家、ここなんで」

先輩「あぁ、ではここでお別れですね」

友「……先輩」

先輩「はい?」

友「あいつの事、好きですか?」

先輩「……あなたのご期待に添えるかは分かりませんが、好きですよ」

友「……」

先輩「では、また学校で」



友「……ご期待ってなんだよ、クソッ」

39 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/02(月) 01:30:05.55 ID:8tceBaYho [1/17]
友(……先輩もあいつが好きで、あいつも先輩が好きで)

友(それをあいつが望んだなら、それでいい……はずなのに)

友(なんでこんなにモヤモヤしてるんだろうか)

友「……ふぅ」

友(恋がしてみたい、なら……)

友(……バカみてぇ、さっさと寝ちまおう)

40 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/02(月) 01:42:49.03 ID:8tceBaYho [2/17]
友「……ふわーぁ」

友(結局、全然眠れなかった……)

女「……欠伸、おっきい」

友「ん、あぁ……少し、寝不足で」

女「……大丈夫?」

友(お前と先輩のせいだ、なんて言ったらどんな反応するんだろう?)

女「……?」

友(……なんて、バカな事考えてないで)

友「たまたま寝付きが悪かっただけだ、そんなに心配するな」

女「……そう?」

友「うむ」

女「……あ」

友「ん?」

女「……先輩、走ってる」

友(体育の時間被ってたのか)

41 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/02(月) 01:57:13.57 ID:8tceBaYho [3/17]
女「……先輩、足速い」

友「あぁ、ぶっちぎりだな……」

女「……じー」

友(あの横顔は誰が見てもかっこいいわな……)

女「……」

友「声援でも、送ってやれば?」

女「……んー」

友「『先輩がんばれー』とかさ」

女「……せんぱい、がんばれー」

友(そんな小さな声じゃ聞こえ……)


先輩「……――」


女「……先輩、手振ってる」

友「……振替してあげれば?」

女「……ん」

友(ほんと、完璧でヤになるね)

友(……こんな事考えてる自分は、もっとヤだけどさ)

42 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/02(月) 02:16:36.11 ID:8tceBaYho [4/17]
先輩「……おや」

女「……?」

先輩「どうも、先程ぶりですね」

女「……ぶりです」

先輩「今日は御一人ですか?」

女「……一緒が、よかったですか?」

先輩「いえ、そんなことはないですよ」

女「……そう、ですか?」

先輩「ただ、珍しい事もあるものだなと思いまして」

女「……」

先輩「……」

先輩(……少し嘘を付いて申し訳ありません。こういう時は一緒の方が助かります)

43 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/02(月) 02:35:05.27 ID:8tceBaYho [5/17]
女「……先輩」

先輩「はい、なんでしょう」

女「……難しいかお、してます」

先輩「そうですか?そうだとしたら、無意識です。気にしないでください」

女「……じー」

先輩(私の事よりも、気にすることがあると思うのですが)

女「……」

先輩(ふふ、しばらくはお付き合いしましょう)

友「……じー」

先輩(その方が面白そうですし)

46 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/02(月) 18:46:39.55 ID:8tceBaYho [7/17]
女「……あ、おかえり」

友「おう、ただいま」

先輩「おかえりなさい」

友「……どうも」

女「……大丈夫?」

友「だから大袈裟だって」

先輩「何があったか、お聞きしても?」

女「……急に、貧血で倒れちゃって」

先輩「おや、それは大変ですね」

友(誰のせいだと……って、完全に八つ当たりだなそれは)

女「……ほんとに、大丈夫?」

友「ガキじゃねーんだから、いちいちそんなに近寄らんでよろしい」

47 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/02(月) 18:53:51.87 ID:8tceBaYho [8/17]
先輩「……さて、それでは私はこの辺で」

友「え?」

女「……?」

先輩「どうもお邪魔虫なようですし」

女「……そんな事、ないですよ」

友「そうですよ、この場合むしろお邪魔虫なのは……」

女「……」

友「むっ……」

先輩「おや」

女「……虫なんて、ここにはいません」

友(久々に見たな、コイツが眉をひそめるところ)

先輩「……」

48 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/02(月) 18:56:19.57 ID:8tceBaYho [9/17]
先輩「すいません、語弊を生む言い方をしてしまいましたね」

女「……?」

先輩「そろそろメンバーも集まっている頃でしょうし、生徒会室へ向かおうかと思いまして」

女「……あ。す、すいません」

先輩「いえいえ、見たことの無い顔が見れて満足です」

女「……あぅ」

先輩「それでは、また」

女「……はい、また」

友「……」

49 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/02(月) 19:56:13.24 ID:8tceBaYho [10/17]
友「そろそろ離してくれないか?」

女「……だめ」

友「本当に大丈夫だって」

女「……ほんとに、ほんと?」

友「ほんとにほんと」

女「……そっか」

友(……そんな顔、するなよ)

友(そんな顔、されると……)

女「……い、いたいよ」

友「っと……わ、悪い」

女「……じー」

友「あはは、は」

52 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/02(月) 21:07:19.92 ID:8tceBaYho [12/17]
先輩「……おや」

友「あ、先輩」

先輩「これまた珍しいですね、お一人ですか?」

友「……別にいつも一緒にいるわけじゃ、ありませんし」

先輩「確かに、それもそうですね」

友「先輩こそ、なんでこんな所に一人でいるんですか」

先輩「その理由はあなたにも分かっているのでは?」

友(……そういや、居残りさせられるとかなんとか言ってたっけ)

友「そういう事なら、ごゆっくり……」

先輩「あぁ、暇だ。待ってる間、凄く暇だなぁ」

友「……」

先輩「……」

53 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/02(月) 21:19:59.27 ID:8tceBaYho [13/17]
先輩「いやぁ、助かりました。優しい後輩を持って嬉しいです」

友(適当に切り上げて帰ろ……出来ればあいつが来る前に)

先輩「難しい顔をしてますね、あの人が心配していましたよ」

友(……そんな話までしてるのか、あいつ)

友「まぁ、色々と」

先輩「……色々と、ですか?」

友「そりゃまぁ、色々と」

先輩「ふむ、なるほど……」

54 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/02(月) 21:35:13.74 ID:8tceBaYho [14/17]
友「……なんかやたらと突っかかって来ません?先輩」

先輩「そうですか?こちらからすると、逆の意見ですが」

友「……そりゃすいませんでした」

先輩「いえいえ、お構いなく。あなたの事も好きですから」

友「……は?」

先輩「おっと、また語弊を生みそうな言い方をしてしまいました。これは人として、みたいな方の意味です」

友「いやまぁ、そりゃ……そうでしょ」

先輩「いやー、しかし寒いなぁ」

友(な、何を考えてるんだこの人は……)

55 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/02(月) 21:52:41.62 ID:8tceBaYho [15/17]
友「……先輩は、本当にあいつの事が好きなんですか?」

先輩「そうじゃなきゃ、こうして寒空の待ち合わせなんてしないと思いますけど」

友「……」

先輩「そう言えばこの前もそんな事を聞かれましたね、どうしてそんなに気になさるのでしょうか?」

友「そ、それは……」

先輩「……じー」

友「……ぐ」

先輩「答えにくいようなら質問を変えましょうか。もし仮に好きじゃない、と答えたら……」

先輩「あなたはどうするつもりなんですか?」

友「……」

56 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/02(月) 22:08:09.97 ID:8tceBaYho [16/17]
友「……別れさせます」

先輩「親友のために、ですか?」

友「……」

友(親友の、ために……そうだ、そう。親友、のため)

先輩「そうですか、それなら心配いりませんよ」

友(親友の、ため?)


友「……先輩」

先輩「はい、なんでしょうか」

友「失礼を承知で、申し上げます」

先輩「もったいぶらずどうぞ?」


友「あいつと、別れてください」

60 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/03(火) 14:41:48.18 ID:1yysNqJeo [1/11]
先輩「……」

友「突然おかしい事を言っている事は分かっています、ですが……」

先輩「いいですよ」

友「……え」

先輩「そこまで言われてしまっては仕方ありません。どうやら私はあなたの御眼鏡にかなう人間ではなかったようだ」

友「そんな、あっさりと……」

先輩「別れてくださいと言ったのはどこのどなたですか?」

友「え、その……」

先輩「じゃあ、やっぱりこのままで行きましょうか」

友(今ならまだ……)

友「……だ、ダメです……わ、私の方があいつの事、好きですからっ!」

友「……あ」

61 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/03(火) 14:43:12.18 ID:1yysNqJeo [2/11]
先輩「……」

友「……――」

先輩「だ、そうですよ?」

友「え……」

女「……ひょこ」

友「な……あ……?」

友「お、お前……ずっとそこに、いたのか?」

女「……ぶるぶる」

先輩「正確に言うと、私が言って待ってもらっていたんですが」

友「なんでそんなことを……」

先輩「そりゃもう、可愛い彼女から相談を受けて協力しない人間はいないでしょ」

友「相談って……うおっと」

女「……ぎゅー」

62 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/03(火) 14:44:26.18 ID:1yysNqJeo [3/11]
先輩「まぁ要は、そういう事ですよ」

友「……お前、恋がしてみたいって言ってたじゃんか」

女「……うん」

友「だから先輩と、だったんじゃないのか?私じゃ、ダメだから……」

女「……違った、みたい」

先輩「情けない話ですが、どうやらあなただけでなく両方の御眼鏡にかなわなかったようで」

友「ほんとにいいのか、私で」

女「……あなたが、いい」

友(……こんな簡単な事を、ずっと悩んでたのか私は)

63 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/03(火) 14:45:13.77 ID:1yysNqJeo [4/11]
友「……先輩は納得してるんですか、それで」

先輩「納得するもなにも、最初からそういう話でしたし」

女「……ごめんなさい、先輩」

先輩「謝らないでください。十分楽しみましたよ、私は」

先輩「まぁ、強いて言うなら……心変わりしないうちにもう少し進んでおくべきでしたか」

女「……す、進んで……」

友「なんかヤな言い方しますね……」

先輩「ははは、負け惜しみだと思ってください……さて」

先輩「そろそろ本格的に身体が冷えてきましたので私はこの辺で」

友「先輩」

先輩「はい、なんでしょうか」

友「ありがとうございました」

女「……ありがとう、ございました」

先輩「ははは、どうも」

64 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/03(火) 14:45:45.76 ID:1yysNqJeo [5/11]
先輩(……ありがとう、ですか)

先輩(嘘でもキスぐらいはしたと言っていた方が、面白い反応が見れたかもしれません)

先輩(この気持ちも恋……の一種なのでしょうか)

先輩「ははは、笑うしかありませんねこれは」

「せ、先輩っ!」

先輩「……?」

「ず、ずっと前から好きでした!付き合ってくださいっ!」

先輩「……ふむ」

先輩「では、キスから始めましょうか」

「え、えぇっ!?」

65 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/03(火) 14:46:15.05 ID:1yysNqJeo [6/11]
友(……結局、本心がよく分からない人だった)

女「……寒い」

友「ん、あぁ。私達も急いで帰るか」

女「……ぴと」

友「お、おい……そんなに引っ付くと歩きにくいだろ?」

女「……これからはもっと、引っ付く」

友「しょうがねぇな……」

女「……」

友(結局いつもとほとんど変わらねぇな……)

女「……?」

友(……いや、大きな一歩か)

66 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/03(火) 14:48:05.29 ID:1yysNqJeo [7/11]
女「……ねぇ」

友「んあ?」

女「……少し先に、進んでおく?」

友「へ……な、何言ってんだ?」

女「……心変わり、しちゃうかも」

友「な、何言ってんだ!」

女「……じー」

友「……お前、先輩の性格少し移ったか?」

女「……そう?」

友(やれやれ……)

67 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/03(火) 14:48:35.96 ID:1yysNqJeo [8/11]
友「むー……」

女「ぁ……ん……」

友「……」

女「……」

友「……こ、これでいいか?」

女「……これが、恋?」

友「ちょ、ちょっと違う気もする……」

68 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/03(火) 14:49:03.99 ID:1yysNqJeo [9/11]
友(その後、先輩がやたらとモテているという話題を聞いた)

友(なんだか色んな子に手を出しているとかなんとか……その方向に楽しみとやらを見出したのだろうか)

友(やっぱりあの人は、なんというか苦手だ」

女「……じー」

友「ん、どうした?」

女「……また何か、悩んでる?」

友「んー、悩みってほどではないんだが」

友(もう流石に狙ってくることは無いだろ……ないよな?)

女「……?」

友「なんでもねぇよ、なんでも」

友(まぁ、何度来ても渡さないけど)

女「……ぼー」

友(……少し心配な気がしてきた)

69 自分:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/11/03(火) 14:50:28.62 ID:1yysNqJeo [10/11]
友「な、なぁ……」

女「……?」

友「その……だな」

女「……」

友「……ん、んむ……」

女「……ぺろ」

友「や、やっぱり似てきてないか……?」

女「??」

友(だ、大分心配だ……)

ネクロくんとマンサちゃん

1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/11(金) 21:06:37.35 ID:7iy1jcu1o
雨は嫌いだ。あの日の事を思い出してしまうから。
キミがボクの腕の中で、冷たくなっていったあの日を。今でもずっと、忘れられないあの日を。

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/11(金) 21:07:06.17 ID:7iy1jcu1o
「……おはよう」
ボクはいつものように彼女に朝の挨拶をする。
彼女はボクの方を見てふわぁ、と大きな欠伸をすると、
「おはよう、今日も早いね」
右手をひらひらと振りながら、そう挨拶を返した。
ボサボサの髪を見た感じ、起きてきたのはついさっきだろうか?いや、ボクがいないといつでもボサボサの気もするけど。
ボクは荷物を玄関にどすんと降ろし、そのまま脱衣所へと向かう。自分でも分かるぐらいに臭っている服を乱暴に投げ、ボクは水を浴びる。
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/11(金) 21:07:52.14 ID:7iy1jcu1o
「……どう?」
よほどお腹が空いていたのだろう、彼女はボクの言葉にしばらく答えず器を貪っている。
やがて器の中身を空にしてからボクの方を見て、
「……おかわりは、ある?」
そう上目遣いに聞いてきた。
保存用に取っておいた分はあるのだが、保存用はあくまでも保存用だ。そう言葉を返したかったが、彼女の上目遣いを耐え続けられるボクではなく、冷蔵庫に入れていた残り半分を彼女に献上することとなった。
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/11(金) 21:08:42.74 ID:7iy1jcu1o
キミは食べないの?おいしいよ?」
流石の彼女もおかわりの時は周りを見る余裕があるのか、器から顔を上げてこちらを見ながらそんなことを言った。
「……大丈夫。お腹、減ってないから」
「ふーん……そっか」
結局おかわりも皿を舐めるまで堪能した彼女は、満足そうに満面の笑みを浮かべるとソファーで横になった。
ボクは器を片付けながら、明日のことについて思慮を巡らせる。流石に連日はマズい気がするが……かと言って代用品もそうそう見つかるものではない。色々と悩むボクの背中に、ふわっと柔らかな感触。
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/11(金) 21:09:15.00 ID:7iy1jcu1o
お腹いっぱいになったら、眠たくなっちゃった……」
もう既に半分寝入りそうな声で彼女が言う。
言葉に続きはないが、ボクを離そうとはしない彼女が続けようとしたであろう言葉は一つだろう。
彼女に引っ付かれたまま、さっきまで寝ていたソファーまで彼女と移動すると、ボクもそのまま横になった。
まだ臭わないか少し心配だったが、彼女はそんなこと気にしていないのかぐりぐりとボクの背中に頭を擦りつけて、
「んー……」
と、幸せそうに声をあげている。ボクはと言うと、そんな幸せそうな彼女を堪能しながら目を閉じた。
自分でも気づかないほど疲れていたのか、ゆっくりと睡魔が僕の体を這い上がり包み込む
その感覚に逆らわぬよう、僕はゆっくりと眠りに落ちて行った。
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/11(金) 21:09:50.58 ID:7iy1jcu1o
……ん」
体に重みを感じて、ボクは目を開ける。目の前に広がる白い布と、豊満な胸。彼女がボクの上に圧し掛かっている、と理解するのに数秒かかった。
「ご、ごめん。重かった?」
僕が目覚めたことに気付き、素早く飛びのく彼女。あまりにも勢いよく飛びのいたので、そのまま自分の服の裾を踏んでずでんと転ぶ。
噛まれた肩をぱんぱんと払い、僕は彼女に手を伸ばす。そのまま彼女の体を抱きかかえると、真っ直ぐ立たせた。
「えへへ、どじっ……」
彼女が頭を掻こうと上げた腕がふわりと宙を舞う。そのまま腕は壁まで綺麗な弧を描き、ごとんと音を立てて落ちた。
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/11(金) 21:10:22.46 ID:7iy1jcu1o
「……」
「……」
無言のままボクはその腕を拾うと、付いている方の彼女の手にそれをポンと渡す。
やはり先延ばしにするべきではなかったらしい。さっきまで表情豊かだった彼女が、虚ろな瞳でボクを見つめ返している。
「……少し出かけてくるね」
聞こえているかは分からないが、彼女にそれだけ言い残しボクは玄関へと急ぐ。
あの状態なら、まだ外へ出ていくことはないだろう。荷物を背中に背負ってからもう一度振り返り、ボクはそう確信して家を後にする。
昨日の今日なもので、あまり派手な行動をしたくないボクは悩んでいた。代用品だって簡単に見つかるものでは無いし、何より代用品の方が取るのに手間がかかる。
頭を捻らせながら森を歩いていると、普段は人気の無い花畑に一人の少年の姿が見えた。ボクはそこで立ち止まり、しばらく少年の姿を観察する。
お目当ての花でもあるのか、地面とにらめっこを続けている少年。周囲への警戒は一切なく、熊でも現れない限りは気付かないだろう。
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/11(金) 21:10:48.81 ID:7iy1jcu1o
「……」
ボクは荷物を降ろすと、中身を取り出す。子供は初めてだが、大人とそう勝手が違うという事は無いだろう。予想より早く済みそうで、ボクは小さくほくそ笑んだ。
家へ戻ると、彼女は朝に見た姿そのままで立っていた。虚ろな瞳は完全に何も映さなくなっており、ボクの事にもまったく気付いていないようだが、もちろん死んでいるわけではない。その証拠に、ボクの荷物から漂う臭いに反応して指先がピクピクと動いている。
「……待っていてね、今すぐ準備するよ」
彼女にひらひらと手を振って、ボクは厨房へ進む。今日はそこまで分解に手間取らないだろうと思っていたのだが、意外と肉が硬くなってやり辛い。大きさは関係なく時間経過に問題があるのだ、とボクは変に納得しながら器を運ぶ。
「……」
ボクは器に口を付け、それを一欠片口に含むと、そのまま虚ろな瞳であらぬ方向を向く彼女の口へと運んだ。
柔らかい彼女の唇の感触を楽しみながら、欠片を彼女の口へと流し込む。きちんと飲み込んでくれるか毎度不安なこの方法だが、今回もちゃんと喉が鳴った。
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/11(金) 21:11:48.88 ID:7iy1jcu1o
「……あ」
 ゆっくりと彼女の瞳に光が戻り、ボクの顔をしっかりと捉えると、
「……おかえり」
 優しい表情で、彼女が微笑んだ。ボクはそんな彼女の口元から垂れた血を袖で拭い、
「……ただいま」
 そう言葉を返して、小さく微笑み返す。彼女の視線は既にボクの元を離れて器の方へ向いていたので、あまり意味は無かったが。
 満足そうに眠る彼女を見ながら、ボクは壁にもたれて溜息を吐く。ここの所、彼女の食事のペースが速くなっている。いや、実はこれが普通の速度で、今まで彼女が我慢していただけかもしれないが。
「……むぅ」
 とりあえず彼女が寝ている間に、食料を確保してこなければ……寝起きの度に噛まれていてはたまらないし。
 ボクは彼女の寝顔に少し触れてから、また荷物を持って家を出た。
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/11(金) 21:12:52.86 ID:7iy1jcu1o
「今度は子供か……」
「獣の仕業にしちゃ連日過ぎるよな、やっぱ」
 近くから聞こえてきた声に、ボクは咄嗟に身を屈めた。幸いボクはあまり体格がいい方ではないので、二人の男はボクに気付かず通り過ぎる。
 先程の会話、昨日の事を言っているのは明らかだ。やはり間髪開けずにやってしまうとこうなることは分かっていた。分かってはいたが、こんなに早く足が付くなんて。
 荷物を木にもたれさせ、一息吐きながら今後について考える。このままでは、隠れ家が見つかるのも時間の問題だろう。となれば、転居も視野にいれないといけない。この辺りを気に入っていただけに、あまり気は進まないが。
「……移動するとなると、多目に保存食が必要だよね」
 先程の二人が行った方を見て、ボクは呟くように言う。二人相手は厳しいかもしれないけれど、今は四の五の言っていられない状況なわけで。ゆっくりと荷物を持ち上げ、とことことボクは歩を進めた。
 ボクは自分の貧弱さが気に入らないのだが、こういう時は本当に役立つから憎らしい。
いつもより二倍重い荷物を引きずりながら、ボクはそんなことを考えていた。
「……重い」
 最悪の場合、途中で解体して持って帰るのも視野に入れねばならないだろう。そんなことを思いながら帰路に付いたボクは、すぐに後悔することになる。
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/11(金) 21:13:34.43 ID:7iy1jcu1o
蹴破られたドアに慎重に近づき、ボクは荷物を玄関脇に降ろすと、出来るだけ物音を立てないように中へと進む。踏み荒らされた玄関、靴跡を見るに相手は一人だ。
(……無事でいて)
 リビングが見えたところで、誰かの気配にボクは身を隠す。ドアの端から部屋を覗くと彼女の足が見えてきた。少し視線を上にずらすと、真っ赤な水溜りの上に一人の男が立っていて。
「……っ!」
 頭に血が上ったボクは、武器を手に取るのも忘れてドアの端から飛び出すと、そのまま男に向って体当たりを食らわせた。
 ボクに気付いていなかったのだろう、もろに体当たりを受けた男はその場に倒れ込む。
そのままマウントを取って追撃しようとしたボクの腹部に思い切り衝撃が走り、そのままボクは壁に叩きつけられた。
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/11(金) 21:15:02.99 ID:7iy1jcu1o
「いってぇ……なんだこのガキ?」
 男は水溜りを踏みつけながら立ち上がると、そのままボクの方へと歩を進めた。受けた衝撃が大きかったのか、ボクの体は言う事をきかない。男に髪を乱暴に掴まれ、そのまま無理矢理立たされるボクの体。
「血の臭い……まさか、お前が……?」
 何とかボクの意思が体に伝わり、男の金的を狙って足を振り上げようとした。しかし、その足は男の体を捉える事はなく、ボクの体が再び宙を舞う。今度は彼女の近くにごろごろと転がり、血の水溜りの上で止まった。
「気持ち悪いガキだぜ……こんなガキが、連続殺人犯なのか?」
 男が銃口をボクに向けながら、独り言のように呟く。ボクはその言葉に何も返さず、銃口をじっと見つめ返した。
「まぁいいか。どうせ見られたからには生かして返さねぇんだし」
 男はそう言って、引金に指を掛ける。轟音が響いて、ボクの頭にかつてない衝撃が走った。ぐわんぐわんと視界が揺れて、彼女の血とボクの血が混ざりあう。もう一度轟音が響き、ボクの体が床にたたきつけられた。
 何度も見慣れていたはずの血の色が、今日はやたらと鮮やかに映えて見える。
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/11(金) 21:15:33.52 ID:7iy1jcu1o
「……気持ちわりぃガキだぜ、全く」
 男が銃を懐にしまい、ボクから視線を外す。外した視線が次に捉えたのは、もちろん彼女の方。
「連れていく前に少しぐらい楽しむのは役得だよな……身なりは悪いが上玉だぜ」
 男が伸ばした手に抵抗しようとするが、女の子の力ではどうしようも無く、そのまま彼女は組み伏せられた。カチャカチャと金属の擦れる音がする。
「……」
のんきに寝ている場合ではない。ボクは力の抜けた全身に、ゆっくりと力を込める。
「へへへ……」
 男は完全に彼女に夢中で、ボクの方を気にする様子は無い。そのままボクはゆっくりと立ち上がり、彼女が飲んでいたであろう牛乳の入っていたコップを握ると、そのまま叩きつける。ガシャン、と大きな音を立ててコップが割れた。
「……あ?」
 突然の音に振り返った男の首元に、ボクは思い切り割れたコップを突きたて、そのまま横へと振り抜く。真っ赤な血が弧を描いて噴き出した。
 さっき見た血よりも汚らしい、見るに堪えない血。
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/11(金) 21:17:59.37 ID:7iy1jcu1o
「か……は?」
何が起きたか分からない、と言った表情の男にボクは再度コップを突き刺す。何度も、何度も、何度も。やがてコップの中身がトマトジュースだったと思えるほどになってからボクはコップを脇へ投げた。
「ば……け、も……」
 まだ声が出ることに驚いたが、どうやら最後の断末魔だったらしく男はすぐに動かなくなった。男が動かなくなったのを確認して安堵したのか、彼女がボクの元へと駆け寄ってきた。不快な返り血がべったりと付いた服で彼女を受け止めるのは気が引けたが、今は彼女を安心させるのが最優先だ、とボクはそのまま彼女を抱きしめた。ふんわりと柔らかい彼女の髪が、ボクの頬に触れる。
「怖かった……怖かったよぉ……」
 ボクは彼女の頭をぽんぽん、と優しく撫でてあげる。しばらくボクの胸で縮こまっていた彼女だが、やがて落ち着いたのかボクの胸を離れて椅子に座った。ボクの方へ物欲しそうな視線を向けている所を見ると、そう言う事なのだろう。
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/11(金) 21:19:11.86 ID:7iy1jcu1o
 ボクは汚い血の付いた服を脱ぐと、そのままゴミ箱へ放った。本当は一風呂浴びてから着替えたかったが、彼女を待たせるわけにはいかないのでそのまま替えの服を着る。
 やはり硬さは鮮度に依存するらしく、今回は簡単に解体することが出来た。
「もぐもぐ……本当にキミは食べなくていいの?」
「……うん、お腹空いてないから」
 いつもの会話をしながら、ボクは天井を見ていた。考えている事は、今後どうするかについて。先程の男は、きっと近隣の村に雇われてきたのだろう。しばらくすれば今日よりもっと多くの人がここへ来ることになる。そうなると流石に面倒だ。
「……引っ越そうか?」
「……私のせい?」
 器から顔を上げた彼女の瞳が、ボクの方を見る。悪いことをした子供のような、不安そうな瞳。ボクはそんな彼女の頭をまたぽんぽんと撫でて
「……うぅん、ボクのせい」
 とだけ返して、微笑む。そう、彼女がこうなったのはボクのせいなのだから。だから全部、ボクのせい。
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/11(金) 21:19:59.50 ID:7iy1jcu1o
本日快晴、お日柄もよく。ボクと彼女は手を繋いで道を歩いていた。
 保存用に加工した食料はしばらく持つし、久しぶりに彼女と散歩気分で歩くのは気分がいい。彼女もそうなのか、ボクの方を見てニッコリ笑った。
「次はどんなところかな?」
「……うーん」
 どこまでも続いて見える道を見つめてから、ボクは彼女の方を見て笑う。
「キミと一緒なら、どこでもいいよ」

勇者「その武器重くねぇの?」

1 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 00:09:15.35 W2v8yDL40 1/407
魔法使い「ん?これのこと?」ブォンッ

勇者「うおっ!あぶねぇ!」ヒョイ

勇者「なんで魔法使いのくせにそんな大きな斧使ってんだよ」

魔法使い「最近は魔法使いもちからの時代なのさー」

勇者「いや、俺を回復役に使ってんのがさらに問題なんだよ」

勇者「戦わせろ、俺を」


2 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 00:11:36.90 W2v8yDL40 2/407
魔法使い「えー、だって勇者弱いじゃーん」

魔法使い「魔法の強さどころかちからもボクに負けてるしー」

勇者「ぐ、ぐぅ……」

魔法使い「ボクは回復魔法使えないんだし、適任だと思わない?」

勇者「くそぅ……どうしてこうなった」

4 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 00:14:41.69 W2v8yDL40 3/407
勇者「……!」ガサッ

魔法使い「……敵?」

勇者「ああ、そうみたいだな……結構多いな、こりゃ」

勇者「オークの群れか……10匹は軽く越えてるな」

魔法使い「んー……そのぐらいならっ!」ガサッ

勇者「お、おいっ!魔法使いっ!」

魔法使い「おおりゃぁっ!」ザシュオンッ

勇者「……やっぱでたらめに強いよなぁ、こいつ」

勇者「俺が勇者なのに……あ、補助呪文っと」

13 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 00:19:17.95 W2v8yDL40 4/407
魔法使い「ふぅ……片付いたね」ガシャン

勇者「毎度のことながら一瞬だな……魔物に同情するよ」

魔法使い「まーねー……でも、勇者の補助があるからだよ?」

勇者「無駄な慰めはいらねーっての……」スタスタ

魔法使い「……むぅ」

18 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 00:27:45.07 W2v8yDL40 5/407
魔法使い「ねぇ、これからどうするの?」

勇者「んー、最近魔王がどうこうとか騒がれてるしな、町で情報収集かな」

魔法使い「この近くっていったら……あの港町かな?」

勇者「そうだな」

魔法使い「うへー……ボクあの町好きじゃないんだよなぁ」

魔法使い「風がベタベタしてるし……」

勇者「……置いてくぞ」

魔法使い「あう、待ってよー」

20 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 00:30:56.77 W2v8yDL40 6/407
――港町
勇者「……なんか、活気が感じられないな」

魔法使い「前に来たときはもっと活き活きしてたのにね」

勇者「妙だな……船が一つも出てないじゃないか」

勇者「なぁ、あんた」

店主「ん?なんだ、あんたら。ここにはもう売るもんなんてねーよ」

勇者「……どういうことだ?」

店主「海で魔物が暴れてんだよ。おかげで漁は出来ないし、交易船も来ない!」

店主「この町は、終わりだよ……」

21 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 00:35:59.47 W2v8yDL40 7/407
魔法使い「ねぇ、勇者」

勇者「……はぁ。本当に魔王復活してるみたいだな」

勇者「これだから魔王は……何回復活すんだよ、マジで」

魔法使い「ボヤいてても仕方ないって!町長さんに話を聞きに行こう!」ガシッ

勇者「魔物が倒せるからってはしゃいでやがる……」

勇者「こいつが勇者でいいだろもう」ズルズル

23 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 00:41:14.71 W2v8yDL40 8/407
町長「あいつらには、言葉も何も通じません」

町長「ただ、破壊を楽しみ、わしらの町を壊していくだけ……」

町長「最初は傭兵を雇いなんとか防いでいましたが、その金も無くなり……」

町長「どうか旅の方!あの魔物達を退治してくだされ!」

魔法使い「だってさ、勇者!」ウズウズ

勇者「だー、ただ働きの臭いがプンプンするぜ……」

勇者「とか言っても、どうせ力ずくで行かせるんだろ?」

魔法使い「もちろん!」

勇者「……なら聞くなってーの」

町長「ありがとうございます!」

24 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 00:44:34.16 W2v8yDL40 9/407
勇者「さて、退治依頼を受けたわけだが」

勇者「なんだこの小船は。二人用っておい」ギコギコ

魔法使い「だってー。町長さんお金無いって言ってたしー」

勇者「お前これ……ひっくり返されたらどうすんだよ」

魔法使い「泳ぎながら戦う!」

勇者「……もう最初から泳いでこいよ」ハァ

26 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 00:49:10.50 W2v8yDL40 10/407
勇者「……っ!」ギコギコ

魔物「ギシャアアアアア!」

魔法使い「来たね……準備はバッチリだよ!」キュイーン

魔法使い「落ちろ、雷撃!」ドゴーン

魔法使い「燃えろ、火球!」ボゴワァ

勇者「……やっぱ、呪文の破壊力も凄いな……おっと、防壁っと」カキン

28 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 00:52:10.07 W2v8yDL40 11/407
魔物「フシュルルッルル!」

魔法使い「はぁ……はぁ……キリがないや」ボシュン

魔法使い「ま、魔力切れか……とおっ!」ザブーン

魔法使い「おりゃあああ!!」ブオン ブオン

魔物「ギャアアア!」

勇者「……こいつは、なぜに魔法使いなんだ?」ギコギコ

29 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 00:56:00.21 W2v8yDL40 12/407
魔法使い「……ふぅ、ふぅ」ガシャン

魔法使い「お前で終わり、だね」グシャッ

ボスみたいなの「ギャ、ギャギャギャ……」ブクブク

魔法使い「ふー……やっと終わったー!!」

勇者「予想以上に数多かったな。ボス的なのもいたし」ギコギコ

魔法使い「でも、これでこの海域も安全だね!」

勇者「まぁ、しばらくの間はそうだろうな」ギコギコ

魔法使い「さー、帰って町長さんに報告だーっ!」

勇者「ああ、そうだな」ギコギコ

30 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 01:00:12.26 W2v8yDL40 13/407
勇者「……そういや、魔法使い」

魔法使い「ん?なーに?」

勇者「無い胸が透けてんぞ」

魔法使い「……(チラッ」 「……」ボッ

魔法使い「……み、る、な、ぁっ!」ブオン

勇者「おいおい、シャレにならんぞ……って聞いちゃいねぇ」グシャッ

32 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 01:04:12.49 W2v8yDL40 14/407
魔法使い「これで、しばらくは安全なはずですよ」

町長「ありがとうございます!なんとお礼をすればいいか……」

魔法使い「いえいえ、困ってる人を助けるのは当然のことですから!」

町長「……しかし」

魔法使い「どうかしましたか?」

町長「……ご一緒だった方の姿が見えませんが、まさか魔物との戦いで……?」

34 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 01:07:58.10 W2v8yDL40 15/407
魔法使い「あー……いえ、勇者なら無事ですよ」

魔法使い「ただ、少し別の場所にいるだけです」

町長「そうでしたか……でしたらいいのですが」

町長「こんな村を守るために死人でも出たら、それこそ申し訳ない……」

魔法使い「いえ、勇者は世界を救うものですから!死んででも村を守るべきです!」

勇者(お前が殺しておいてよく言うな、おい)

36 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 01:12:44.53 W2v8yDL40 16/407
魔法使い「宴会なんて悪いっていったのに……」

勇者「いやまぁ、好意は素直に受けておこうぜ。金じゃないのが悔しいが」

魔法使い「あれ、勇者……今日は随分回復早いね」

勇者「お前が疲れてたから威力が弱かったんだろ。あー、体いてぇ」ズキズキ

魔法使い「しかし、勇者ってのは凄いよねぇ。ほぼ不死身だもん」

勇者「そりゃぁ、精霊の加護的なもんがあるからな。勇者だし」

勇者「死なないだけで力が無きゃなんの意味無いがな……」

魔法使い「……」

38 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 01:15:31.72 W2v8yDL40 17/407
魔法使い「なんかさ、ボクに突っかかってない?」

勇者「ん……そうか?」

魔法使い「文句があるならさ、はっきり言ってよ。気分悪いよ」ガシャッ

勇者「お前、武器の音鳴らされながら言われて本音が出るわけねぇだろ……」

魔法使い『……少しは、頼ってんだからさ(ボソ』

勇者「ん?なんか言ったか?」

魔法使い「……なんでもないよ!ふん!」ブン

勇者「ちょっ……治ったばっかで死ねるかぁ!」ガギィィン

41 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 01:27:31.07 W2v8yDL40 18/407
魔法使い「ふぅ……お腹いっぱいなんて久しぶりだよ……」

勇者「まぁな、旅してるとどうしても食事を軽視しがちだからな」

勇者「今度、料理人でも仲間にしてみるか?」

魔法使い「……なんで?」

勇者「ん?」

魔法使い「だって、ボクが作ってるじゃないか!」バタン

勇者「いや、お前のあれはメシって言わない。炭か毒のどっちかが正しい」

42 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 01:35:29.50 W2v8yDL40 19/407
魔法使い「勇者のだって食べ物としての見た目をしてないじゃないか!」

勇者「俺のは食べれるからいいんだよ。お前の食べ物ですらない」

魔法使い「……うー」ガシッ

勇者「おいおい……何する気……」メキメキ

魔法使い「勇者の……あほおおおおお!!!」ブン

勇者「……あー……れー」ピュー  ザブン

43 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 01:43:01.31 W2v8yDL40 20/407
勇者(昨日は酷い目にあった……半魚人どもがあんなに強いなんて……)

勇者(村まで帰ってくる間に大分時間がかかってしまった)

勇者(こんな変なところで魔法使いのありがたみを感じてしまうとは……)

魔法使い「……(むす」

勇者「……お、おい。魔法使い……」

魔法使い「……(ジトーッ」

勇者(あーあ……この目かー……)

48 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 01:58:49.12 W2v8yDL40 21/407
勇者(俺も弱いなー、この目に……)

勇者「……すまん、俺が悪かった」

勇者「料理人なんて、仲間にしないから……許してくれ」

魔法使い「……ボクも、悪かったよ」

魔法使い「料理下手なのは、絶対なんとかするから……」

勇者(試食につき合わすのは、勘弁してくれよ……)

50 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 02:11:23.97 W2v8yDL40 22/407
勇者「さて、とりあえず魔王が復活したことは分かったが」

勇者「次の行き先が思いうかばないな」

魔法使い「いつも通り、魔物倒しながら適当に旅すりゃいんじゃないの?」

勇者「いや、一応勇者だしさ」

勇者「魔王が復活したんだったら、やっぱ倒さないといけないかなぁと」

魔法使い「おー、勇者もちゃんと考えてるんだねー」

勇者「まぁ、実際に倒すのはお前なんだろうがな」

52 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 02:22:32.39 W2v8yDL40 23/407
勇者「しかしなー……港町じゃたいした情報は集まらなかったし」

勇者「どこから手を付けたもんか……ん?」

魔法使い「どしたの?勇者……あ」

魔物「ゲギャギャギャギャギャ!」

僧侶「……ぐ」カキン カキン

子供「うえーん……たすけてぇ……」

魔法使い「子供が襲われてる!」

勇者「可愛い僧侶がおそわれっ」グシャッ

54 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 02:39:52.51 W2v8yDL40 24/407
僧侶「……う、く」ガギ  ガギギン

子供「びええええん!」

僧侶(子供……だけでも……)

魔法使い(あの子、そろそろやばい……間に合えっ!)

魔法使い「うなれ……雷雲!」ピカッ  ドゴゴォーン!

魔物「グギャウアアアアアア!」ボシュッ

僧侶「……っ!?」バゴォッ ズザァ

僧侶「……」くたっ

子供「うわあああああん!!!」

魔法使い「……ありゃ?」

55 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 02:43:34.61 W2v8yDL40 25/407
僧侶「……う、く」

僧侶「……はっ!」ガバッ

勇者「おお、起きた起きた」

魔法使い「よ、よかったぁ……」

僧侶「……?」

勇者「とりあえず、意識ははっきりしてるか?大丈夫か?」ドクドク

僧侶「……あなたが……大丈夫?」

57 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 02:52:14.80 W2v8yDL40 26/407
勇者「とりあえず、子供は無事に送り届けといたよ」

僧侶「……よかった」

魔法使い「ほんっとうにごめんなさい!まさか、あんな風になるなんて……」

勇者「お前の力は強すぎんだよ、まったく……」

僧侶「……魔法、使い……なの?」

魔法使い「え?」

勇者「まぁ、その背中のそれを見りゃ疑問に思うだろうな」

58 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 02:57:21.01 W2v8yDL40 27/407
僧侶「……不思議」

魔法使い「あはは……そうかなぁ?自分ではわかんないや」ドスン

勇者「まぁ、その代わり防御低下呪文すら唱えられんがな」

魔法使い「それは……そうだ!僧侶ちゃん、一緒に行かない?」

僧侶「……え?」

勇者「お、おい……いきなりそんな……この子にも悪いだろ……」

勇者(実際は俺の立場が危うい……)

僧侶「……」コクリ

勇者「え、えぇっ!?」

59 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 03:11:15.50 W2v8yDL40 28/407
勇者「さっきのに恩義感じてるとかだったら気にしなくていいんだぞ?」

勇者「魔法使いはいつもおせっかいであんなことしてるし」

魔法使い「おせっかいってなんだよー」

勇者「だから、考え直したほうが……」

僧侶「……気になる」

僧侶「……魔法使いの、こと」

僧侶「……だから、着いてく」

60 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 03:22:45.31 W2v8yDL40 29/407
魔法使い「やったー!よろしくねー」

勇者(はぁ……また影が薄くなるな、俺。勇者なのに……)

僧侶「……よろしく」

勇者「さーて、僧侶が加わったが……結局、どうすっかね」

僧侶「……?」

魔法使い「あぁ、僧侶ちゃん分かんないか。それがねぇ……」

81 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 14:28:10.91 W2v8yDL40 30/407
僧侶「……魔王を、倒しに……」

勇者「まぁ、そういうこと。一応勇者なんだ、俺」

魔法使い「勇者とは言っても、戦うのは私だけどね」

勇者「それを言うなマジで……そういや僧侶」

僧侶「……?」

勇者「お前は、その手にした杖で魔物を撲殺したりしないよな?」

僧侶「……」コクコク

勇者(よかった……)


83 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 14:38:28.78 W2v8yDL40 31/407
勇者「さーて、だべってても仕方ないし、さっさと行き先考えるか」

魔法使い「そうだねー……こうしてる間にも魔王がいろいろしてそうだしねー」

僧侶「……」コク

勇者「とりあえず、情報を集めたいから……どこか大きな町へ行こう」

魔法使い「こっから大きな町って言ったら、どこ?」

勇者「……辺境の王宮、かな」

魔法使い「えぇ!?あのアホみたいに長い洞窟抜けたとこじゃん!」

勇者「しかたねぇだろ!この辺にあるでかい町はそこぐらいだろ?」

魔法使い「あーもう、分かったよ……ったく、移動呪文も使えないんだから……」

勇者「ぐっ……」

84 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 14:53:29.45 W2v8yDL40 32/407
勇者「……で、洞窟まで来たはいいが……」

僧侶「……魔物」

魔法使い「めちゃくちゃいるねー……」

勇者「辺境の王宮で、何かが起こってるのか?」

僧侶「……急がないと」

魔法使い「人の命がかかってるかもしれないから、のんびりしちゃいられんね」バッ

僧侶「……っ!」バッ

勇者「えっ」


85 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 15:01:34.29 W2v8yDL40 33/407
僧侶「……強化呪文っ」キュイーン

僧侶「……はっ!」ズバッ

魔法使い「おんどりゃああ!!」ズガーン

僧侶「……防御呪文っ」キーン

魔法使い「ありがとう、僧侶ちゃんっ!」ドゴーン

勇者「なにこれこわい」

86 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 15:03:21.98 W2v8yDL40 34/407
魔法使い「ふむ、あらかた片付いたね……」

僧侶「……進む」

勇者「あ、あぁ……そうだな……」

勇者「なぁ、僧侶」

僧侶「……?」

勇者「さっきの言葉、嘘だったのか?ほら、杖で……」

僧侶「……殴らない、切る」

勇者「……」

89 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 15:10:32.21 W2v8yDL40 35/407
勇者(強化呪文……昔どれだけ練習したことか)

勇者(転職も考えたが、神官に怒られちゃったからなぁ)

僧侶「……勇者?」

魔法使い「おーい、早く来ないとおいてっちゃうぞー」

勇者「ん、あ、あぁ……」

勇者(まぁ、これで魔法使いの負担も減るしいい、のかな……?)

勇者「あ、毒沼解除魔法」シュワー

90 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 15:24:33.26 W2v8yDL40 36/407
魔法使い「洞窟の中は意外と魔物が少ないね」

僧侶「……なぜ?」

勇者「まぁ、ここの洞窟はかなりトラップ多いからな」

勇者「大方飛べない魔物は外に配置されてんじゃないかな。解除魔法」シュー

勇者(つまり、頭のいいトップがいるってことか……ああ、めんどくさい)

93 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 15:29:55.71 W2v8yDL40 37/407
勇者「さて、ここを抜ければ王宮は目の前なのだが」

魔法使い「さっきより数がいるね……しかも魔術師も何体かいる」

僧侶「……苦戦」

勇者「まぁ、デカブツどもは魔法使いが吹き飛ばすとして」

勇者「魔術師を生かしたままだと、魔法跳ね返される危険があるなぁ」

魔法使い「昔それで死にかけたもんね、勇者が」

勇者「まぁ、お前に盾にされてなきゃ生きてたんだがな」

魔法使い「あ、あれはっ……ボクも咄嗟で悪気は……っ!」

95 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 15:38:46.01 W2v8yDL40 38/407
勇者「まぁ、同じようなバカは俺もやらんさ……沈黙魔法」ヒュイーン

僧侶(……!)

勇者「よし……これで、しばらく相手は呪文を唱えられんはずだ」

勇者「魔術師どもに異変を気付かれるとまずいから、さっさとやってくれ」

魔法使い「おーけー、勇者。……大地の怒りっ!」ドガガーン

魔術師「……!!!」パクパク

魔物「グゲゴアアアアアアアアア!!」グシャ グシャ

僧侶(……沈黙魔法……上級魔法のはず)

96 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 15:45:57.53 W2v8yDL40 39/407
勇者「相変わらず容赦ないな……っていうか」

勇者「敵がまだいるかもしれないのに、あんな大音量の魔法使うんじゃねぇ!」ポコ

魔法使い「あうう……だって、洞窟の中は大地の力を受けれるから、魔力消費が少なくて済むんだよー」

勇者「だからって……」 ガヤ ガヤ ガヤ

僧侶「……くる」

勇者「だぁ、くっそお……さっさと洞窟出るぞ!閉じ込められでもしたらシャレにならん」


97 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 15:53:32.98 W2v8yDL40 40/407
魔物ども「グゲギャゴゲホヒャフヒィィ」

勇者「うわぁ……」

勇者「洞窟を抜けたら、魔物でした」

魔法使い「入り口の三倍近くいる、かな?」

僧侶「……魔術師も、いる」

勇者「……こりゃまた大歓迎なこった」

102 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 16:09:37.40 W2v8yDL40 41/407
勇者「とりあえず、俺が魔法に対する防壁は張るから」

勇者「後は各自頑張ってくれ」

魔法使い「おーけーおーけー。まぁ、いつも通りだね」

僧侶「……勇者は、大丈夫?」

勇者「ん?俺の心配してくれてんの?」

勇者「魔法使いはしてくれないから、嬉しいねー」

魔法使い(ボクだって心配ぐらいしてるし……)

勇者「だいじょぶだいじょぶ。いつもこんなもんだから」

103 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 16:13:53.89 W2v8yDL40 42/407
魔術師「……ゲギャギャ」シュイーン

勇者「くるぞっ!防壁呪文っ!」キキューン

魔法使い「よし!暴れるぞぉっ!」ゴワァッ

僧侶「……倒す」キーン

ザシュッ ドゴッ ズガァン

勇者「おーおー、派手にやってるねぇ」

魔物「ゲヒャグギョホォ」

勇者「で、やっぱこっちに来ますよねー」

106 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 16:22:06.44 W2v8yDL40 43/407
勇者「よーし、かかってこいやー(棒)」

魔物「ギャギャァッ!」ビュゴ

勇者「……くぅっ!」ガギィン

勇者「なんとか受け止めっ……」

魔物「グゲゴヒャ!」ブオン

勇者「あらら、後ろいたの?」グチャッ

108 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 16:25:21.42 W2v8yDL40 44/407
僧侶「……勇者っ!」ダッ

魔物「グヒヒヒ」

僧侶「……どけっ!」ズバッ

魔法使い「あらー、やっぱやられたかー」カキン

魔法使い「まぁ、魔術師はもう全部倒したし、防壁はいいか」ブォン ザシュ

魔物「グギョォォ……」ドサ

109 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 16:41:45.71 W2v8yDL40 45/407
魔法使い「ふぅ、あらかた片付いてきたかな」ザグッ

ドズーン  ドズーン

魔法使い「なんだ、このデカイ足音……」

僧侶「……勇者っ!治癒呪文!」ポワアア

勇者「ふぅ……生き返るなぁ、まったく」

僧侶「……無事?」

勇者「あぁ、心配すんなって言ったろ?簡単に死にはしないさ」

魔法使い「おい、勇者っ!あうっ」ズザー

110 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 16:45:45.78 W2v8yDL40 46/407
勇者「魔法使いっ!って、なんだこいつ!?」

鳥人間「貴様が、勇者か……」

勇者「うぉ!しゃべりやがった!」

僧侶「……しゃべる、魔物」

鳥人間「ふん、我ぐらい高等な魔物なら当然のことだ」

鳥人間(これが勇者……?横の女よりもちからが弱いではないか)

鳥人間(こんな雑魚に負けるとは……やはり、あの魚人王が弱すぎただけか)

112 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 16:52:35.44 W2v8yDL40 47/407
鳥人間「さて、おしゃべりはこれぐらいにしておくか」

鳥人間「弱くても、勇者は勇者。魔王様に仇名す者を生かしておくわけにはいかん」バサッ

鳥人間「死ねぇっ!勇者!」ガッギィン

鳥人間「むぅ!?」

魔法使い「ボクを忘れちゃ困るなぁ……あれぐらいじゃ倒れないよ?」

鳥人間(バカな……相当なダメージだったはずだが)

114 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 16:56:28.73 W2v8yDL40 48/407
僧侶「……隙だらけ」ヒュバッ

鳥人間「ぐっ!小癪なっ!」バサッ

僧侶「……うっ」ズザッ

魔法使い「おっと、今度はこっちだよ!」ブオン

鳥人間「ぬぐぅっ!?」ズドン

鳥人間「効かぬわぁっ!」バシーン

魔法使い「あうぁっ」ドサッ

勇者「……攻撃強化かけても耐えるか。今までのと格が違うな、流石に」

115 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 17:01:53.93 W2v8yDL40 49/407
鳥人間「さて、次は貴様……はっ!」バッ

僧侶「……避けたか」キュイーン

鳥人間(な、なぜだ……なぜ立ち上がれる……)

魔法使い「空はボクに任せてっ!……うなれ、暴風!」ビュゴワアア

鳥人間「む、ぐおわああああ」バリバリ  ドサッ

鳥人間(く、羽がやられたか……)

鳥人間(しかし、なんだこいつら。不死身なのか……?)

116 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 17:07:35.43 W2v8yDL40 50/407
鳥人間「ぐっ……かくなる上は!」ダダダッ

魔法使い「あ、逃げたっ!」

勇者「まずいな、あっちは町のほうだ」

魔法使い「逃がすかっ!……からみつけ、木々よっ!」ポフ

勇者「……」

僧侶「……」

魔法使い「魔力切れ、みたい」

勇者「あー、追わないといけないのか……かったるいが急ぐぞ!」

122 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 19:40:19.49 W2v8yDL40 51/407
貴族「……化け物は引いたか?」

兵士A「はい、なにやら慌しく去っていきました」

貴族「ぐぐぐ……魔王が復活したというのは本当だったのか……」

兵士B「報告します!先ほどの化け物が戻ってきました!」

貴族「なんだと!?攻撃をやめたわけではなかったのか!?」

貴族「く……民衆の避難を最優先させろ!奴が戻ってくるまでに急ぐのだ!」

兵士全員「はっ!」

貴族「化け物め……ここに何があるというのだ……」

123 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 19:44:41.48 W2v8yDL40 52/407
鳥人間「この私がこのような姑息な手を使うことになるとはな……」

鳥人間「だが、ここで勇者をしとめねば……」ズズン

兵士A「とまれーっ!化け物め!」

鳥人間「ふん……寄せ集めどもめ」

魔法使い「まーーーてーーーー!!」ダダダダ

僧侶「……追いついた」

鳥人間「人間にしては早かったな」

鳥人間(勇者の姿がない……遠距離からの奇襲狙いか?)

勇者「……はぁ……はぁ……二人、とも、はや、す、ぎ……」

124 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 19:48:09.92 W2v8yDL40 53/407
鳥人間「……」ガシッ

兵士「ひ、いいぃ」ガクガク

魔法使い「あっ!」

僧侶「……く」

鳥人間「私が言いたいことは、伝わっているな?」ギリギリ

兵士「ぐ、ぐふぅぅ……」

魔法使い「……この、卑怯者っ!」ガシャン ガシッ

僧侶「……ダメ」

魔法使い「……ぐぅ」

勇者「……はぁ……あとどんぐらいだっけ……」

125 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 19:54:38.86 W2v8yDL40 54/407
鳥人間「さて……このままただお前達を捻り潰してもいいが」

鳥人間「それではいささかつまらないな……そうだ」

鳥人間「貴様ら、本気で殺しあえ」

魔法使い「な、なんだって!?」

僧侶「……!」

鳥人間「聞こえなかったか?殺しあえ、と言ったんだ」ギリギリギリ

兵士「あ……ぎゅぐげ……」ブクブク

魔法使い「そんな……ボク……」

僧侶「……」シャキン

魔法使い「そ、僧侶ちゃん……?」

僧侶「……」ダッ   シュバッ

勇者「まだ、つかねぇのかよ……こんな遠かったか?」

126 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 20:01:17.73 W2v8yDL40 55/407
僧侶「……はっ!」ビュン カキン

魔法使い「ちょ、ちょ、ちょっと!僧侶ちゃん!」ギャリリ

僧侶「……戦って、ください」ガギーン

魔法使い「ボクには……出来ないよ。人と殺し合いなんて……」ガシャン

鳥人間「ほぅ……この人間はどうなってもいいと?」

僧侶「……ダメ!」ビュゴッ ドス

魔法使い「……かふ……」ドサッ

127 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 20:06:30.16 W2v8yDL40 56/407
僧侶「……うく」ズブッ

鳥人間「躊躇いが無いな……仲間とは言え所詮は他人と言うわけか」

僧侶「……その人を、放せ」

鳥人間「んん?殺し合えばこいつを放すと言ったかな?」

鳥人間「実にいい余興だった。これだから人間は面白い」

鳥人間「自分の利害のためなら、平気で仲間を裏切れる」

鳥人間「さて……貴様にも後を追ってもらおうか」シャキン

132 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 20:54:25.69 W2v8yDL40 57/407
鳥人間「さぁ、地獄に落ちろっ!」ガギン

鳥人間「なっ……!?なんだと!?」

勇者「いやー、魔物ってのは実に愚かだねぇ」

鳥人間「!!!」

勇者「だらだらと長い口上並べてよ。そんなに自分が強いって思ってんの?」

鳥人間「き、貴様はっ!」

鳥人間(すっかり忘れていた……ぬかったか!)

勇者「今のあんたじゃ何にも傷つけられねーよ」

鳥人間「な、何を馬鹿な……フン!」グッ

兵士「……あ、あれ?なんともない……おりゃ!」ガスッ

鳥人間「ぐはぁっ!?」ズザァ

鳥人間「ば、ばかな……この私がこのような下等な人間に……」

135 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 21:12:06.81 W2v8yDL40 58/407
勇者「どう?下等生物の気持ち分かった?」

鳥人間「これが……これが勇者の力だと言うのか……」

鳥人間(危険だ、危険すぎる……!魔王様に伝えなければ!)

勇者「僧侶、遅れてすまなかったな」

僧侶「……いえ」

鳥人間「はぁっ!」バサッ

勇者「まだ羽ばたく力が残っていたのか。ご苦労なこった」

鳥人間「ははは、何を余裕ぶって!」ゴシュ

鳥人間「な……に……」ドサッ

魔法使い「よくもやってくれたね……これで終わりだよ!」ボゴシャ

136 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 21:20:55.27 W2v8yDL40 59/407
魔法使い「ふぅ……流石に今回は大変だったね」

勇者「まぁな。魔力がすっからかんなんていつぶりかな」ヘタン

僧侶「……勇者」

勇者「ん?」

僧侶「……さっきのは、何?」

勇者「あー、あれね……あれは、対象を極端に弱める魔法だよ」

勇者「俺に対して以外の」

僧侶(……聞いたこともない、呪文)

勇者「魔力大量に消費する上に、詠唱にも無駄に時間がかかるから」

勇者「仲間で対処できる相手には使う必要ないからほとんど意味ないけどな」

勇者「久しぶりに使ったけど、上手くいってよかったよほんと」

137 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 21:25:23.89 W2v8yDL40 60/407
魔法使い「しかし……これから先あんなんがいっぱい出てくるのかな?」

僧侶「……」ゾク

勇者「かもしれんなー。こりゃ相当ヤバイわ」

魔法使い「ボクたちの今の力じゃ、魔王の足元にも及ばなさそうだね……」

勇者「俺の魔法が当たればイチコロなんだがな……」

勇者「一体にしか使えないから、周り囲まれると意味ないからなー」

魔法使い「ほんと不便だね、その魔法」

勇者「うるせー、勇者専用なんだぞ?……多分」

138 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 21:31:39.60 W2v8yDL40 61/407
兵士「報告っ!先ほどの魔物ですが、撃破に成功しました!」

貴族「なんだとっ!それは本当か!」

貴族「倒したものは誰だ?褒美を取らせるぞ!」

兵士「それが……突然現れた旅の者らしいです」

貴族「ほう、旅の者か……随分と腕の立つ者がいたものだ」

貴族「その者たちを連れてまいれ!」

139 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 21:40:07.41 W2v8yDL40 62/407
貴族「ふむ……お前達があの魔物を……」

勇者「まぁ、そうなりますね」

魔法使い「うわー……屋根たかーい」

僧侶「……」キョロキョロ

貴族(なんだこの田舎者どもは……本当にこんな奴らが……?)

貴族(いや、見た目で力を図るのは愚か者のすることだな)

貴族「お前達には、感謝しよう。あの怪物達のせいでこの町は壊滅するところだった」

勇者「そりゃどうも」

魔法使い「うわー……おっきいカーテンだなー」

僧侶「……」ドキドキ

142 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 21:54:07.84 W2v8yDL40 63/407
貴族「お前達に褒美を取らせようではないか」

貴族「何か欲しいものはあるか?」

勇者「んー、とりあえず金をください、金を。10万Gぐらいで」

貴族(なんという不躾な奴だ……まぁ、恩人である以上断れんが)

貴族「ふむ、10万Gでいいのだな?すぐに用意させよう」

勇者「あと、今回の魔物がどこから来たか分かります?」

貴族「あの化け物は、北の山を越えたとこから来たが……それがどうかしたのか?」

勇者「いえ、少し気になっただけです。ありがとうございました」

勇者「さ、帰るぞ。お前ら」

魔法使い「……あんな可愛いドレス、ボクも欲しいな……」ボソ

僧侶「……強い、杖」ボソ

143 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 22:03:44.19 W2v8yDL40 64/407
勇者「さて、軍資金の調達も済んだし……今日は休むか」

魔法使い「わーい!やったー!」

僧侶「……疲れた」

勇者「適当な宿屋でも探すかな……っと」

魔法使い「どしたの?勇者」

僧侶「……?」

勇者「すまんな、先に二人で宿行っててくれ」

145 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 22:10:45.16 W2v8yDL40 65/407
魔法使い「とりあえず、言われるまま先に宿屋に来たけどさ……」

魔法使い「なーんか腑に落ちないけど……」

僧侶「……?」

魔法使い「まぁいいや。勇者のことだから特に変なことはしない、と思う」

僧侶「……そう」

魔法使い「さーて、今日は大分疲れたし、服もボロボロだから」

魔法使い「さっさとお風呂に、入っちゃおうか!」

僧侶「……!」アワアワ

魔法使い「?」

150 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 22:22:54.63 W2v8yDL40 66/407
魔法使い「どうかしたの?僧侶ちゃん」

魔法使い「ボクとお風呂、嫌だった?」

僧侶「……」フルフル

僧侶「……そうじゃない」

魔法使い「えーと、じゃぁ。お風呂入ろ?」

僧侶「……」コクコク

魔法使い(なーんか引っかかるなぁ……無口な子だからわかんないや)

157 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 22:55:15.53 W2v8yDL40 67/407
魔法使い「……久しぶりだなぁ、お風呂なんて」ぬぎぬぎ

僧侶「……そう、なの?」ぱさっ

魔法使い「旅をしてるとね、どうも水浴びぐらいしか……」

僧侶「……どうして、旅に?」

魔法使い「んー……それがね『旅に出たい』ってある日突然あいつがね」

魔法使い「あいつの家さ、本当に勇者の家系なんだよ」

魔法使い「まぁ、勇者自体が迷信みたいになってるけど……」

僧侶「……」

159 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 22:59:16.35 W2v8yDL40 68/407
魔法使い「あいつ、昔から弱いくせに大きな夢持っててさ」

魔法使い「剣も上手く使えないのに強がっちゃってさ」

魔法使い「危なっかしくて、見てられなくて……」

魔法使い「だから……一緒に旅に出たの」

僧侶「……好き、なの?」

魔法使い「え?」

僧侶「……勇者のこと」

魔法使い「んー……どうかな?よくわかんないや」

魔法使い「さ、こんな格好じゃ風邪ひいちゃうよ。早く入ろ?」

僧侶「……うん」

161 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 23:03:46.86 W2v8yDL40 69/407
魔法使い「ふーっ……きもちいいなぁー……」

魔法使い「広い町の宿屋だけあって、しっかりしてるなぁ」

僧侶「……きもち、いい」カポーン

魔法使い(……しかし、改めて見ると)ジー

魔法使い(ボクよりも、大きくないか……?いや、そんなはず……)

僧侶「……?」

162 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 23:06:36.70 W2v8yDL40 70/407
僧侶「……見て、ますね」

魔法使い「えっ!?い、いや、ボ、ボクはそんな!」アセアセ

僧侶「……はぁ」

魔法使い(もしかして、さっき嫌がってた理由って……)

魔法使い「胸のこと、気にしてた……?」

僧侶「……!」

164 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 23:09:48.37 W2v8yDL40 71/407
魔法使い(やっぱり気にしてたか……大きくて悩むなんて、贅沢な悩みだなぁ……)

僧侶「……大きいと、戦うとき、邪魔」

魔法使い「ぐふぅ!」

僧侶「……?」

魔法使い「いや、なんでもないよ……はは、ははは」

魔法使い(どうせボクは邪魔にならないよ!悪かったな!)

166 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 23:17:37.59 W2v8yDL40 72/407
魔法使い(っと、僧侶ちゃんは悩んでんだから。ちゃんと教えてあげなきゃな)

魔法使い「大きいことに、自信持っていいと思うけどなぁ」

僧侶「……なんで?」

魔法使い「いや、女の子なんだからさ。女の子っぽいのはいいことだと思うよ?」

魔法使い「ボクなんて、こんなナリだから……」ペタペタ

僧侶「……そう、かな?」

魔法使い「うん!戦うだけが女の子の仕事じゃないだから!」

僧侶「……そっか」プクプク

ーーーーーーーーーー

勇者「なんだろう凄く損している気がする」

店主「おい兄ちゃん、さっさと選んでくんな!」

169 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 23:24:08.33 W2v8yDL40 73/407
魔法使い「僧侶ちゃん、背中流したげるよ!」

僧侶「……ありがとう」

カポーン

魔法使い「僧侶ちゃん、肌綺麗なんだねー……うらやましいよ」ゴシゴシ

僧侶「……そんなこと、ない」

魔法使い(しかし、一番気になるのは胸の実寸……)

魔法使い(ええい!どうとでもなれい!)むにっ



ーーーーーーーーーーー
勇者「……早く……早くしてくれないか?」

鍛冶屋「まぁ、そう急かすなってあんちゃん!」カンカン

173 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 23:32:02.02 W2v8yDL40 74/407
僧侶「……あぅ」

魔法使い(こ、これはっ……!う、嘘だろ……?)

僧侶「……ま、ほう、つか、い?」ハァハア

魔法使い(まだだ……まだ認めんよ!)むにむに

僧侶「……あう、あ」ビク

魔法使い(……認めねばならぬ、ということか……ははは)

魔法使い「負けだ……… 完全 敗北だ………」もみもみ

僧侶「……は、はなし……あうっ」ビクビク


ーーーーーーーーーーーー

勇者「大分遅くなっちゃったなー……」

勇者「しかし重い……」ずっしり

176 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 23:39:12.28 W2v8yDL40 75/407
僧侶「……」ジトー

魔法使い「いやー……もうね、はい。ごめんなさいしか言えません」

僧侶「……もう、いい」

僧侶「……普通に、洗う」ゴシゴシ

魔法使い(あちゃー……やりすぎちゃったかな……反省しなきゃ)

僧侶(……変な、感じ)

ーーーーーーーーーーー
勇者「さーてと、そろそろ宿屋か……長く感じたな」

勇者「ちからが無いってのは、こういう面でも不便だよ、まったく……」

186 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/01 23:58:06.49 W2v8yDL40 76/407
勇者「……やっと着いた」ゼーゼー
   バタン

宿主「いらっしゃい」

勇者「えーと、女の2人組みが先に来て部屋を取ってるはずなんですが……」

宿主「えーと……はいはい、確かに」

勇者「二人は、今どこいます?」

宿主「確か、先に風呂に行くとかなんとか」

勇者「なんてこった」

宿主「え?」

勇者「いえ、こっちの話です」

187 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 00:06:14.23 /r0D6C4A0 77/407
僧侶「……きもちよかった」ツルツル

魔法使い「んぅー、そうだねー」ツヤツヤ

僧侶「……あ」フキフキ

魔法使い「ん?どしたの、僧侶ちゃん」ふきふき

僧侶「……服」

魔法使い「……あららー、すっかり考えてなかったねー」

188 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 00:09:48.92 /r0D6C4A0 78/407
魔法使い「流石に、こんなボロボロをまた着たくはないなー……」

僧侶「……でも」クシュン

魔法使い「しまったねー、宿主さんから服を借りとけば……」

コンコン

魔法使い「…だれっ!」
僧侶「……!」

勇者「俺だ、勇者だよ」

190 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 00:14:11.85 /r0D6C4A0 79/407
魔法使い「勇者……?って、こっちは女湯だよっ!」バゴン

勇者「お、おい!扉を殴って壊す気か!?バカやろう!」

勇者「大体、恥ずかしがるほどないだ(ドゴゴン うおっ!?」

魔法使い「バカはどっちだよ!ばーか!すけべー!へんたい!のぞきー!」

僧侶「……待って」

魔法使い「……僧侶ちゃん?」

僧侶「……勇者、用は?」

勇者「その声……僧侶か」

勇者「少しドアを、開けてもらえないか?変な意味じゃないぞもち「ちかん!えろがっぱ!」

193 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 00:20:10.51 /r0D6C4A0 80/407
僧侶「……」ギィ

魔法使い「ちょ、ちょっと!僧侶ちゃん!?」

勇者「……」スッ  バタン

魔法使い「……これは?」

僧侶「……服」ガサゴソ

魔法使い「……う」

僧侶「……ふ、く」

魔法使い「わ、分かってるよ!……後で謝ればいいんだろう?」むすっ

198 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 00:32:53.32 /r0D6C4A0 81/407
勇者「……さて、俺も風呂に入るかな」

勇者「しかし、この服改めて見ると……所々血が染み込んじゃってるな」

勇者「まぁ、仕方ないか。あんだけグシャグシャ潰れればな」パサッ

勇者「むしろ、服として機能してるだけでもこの素材を評価できるぜ」

勇者「さっさと入ってさっさとあがるか、腹も減ってるし」ザパーン

199 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 00:38:03.47 /r0D6C4A0 82/407
魔法使い「ゆ、う、しゃぁぁっ!」バタンッ

勇者「なんだよ、人が風呂から上がってすぐに」ホカホカ

魔法使い「なんだよ、このフリフリした服!」フリフリ

勇者「いや、魔法使いっぽくていいじゃないか」

魔法使い「そうじゃなくて……恥ずかしいじゃないか!」

魔法使い「こんなの……ボクには似合わないよ……」

勇者「んー……そんなことねーと思うけど?十分可愛いぞ?」

魔法使い「え……そんな、その……」カーッ

勇者「まぁ、そのまな板をなんとかすりゃ見栄えもかわっ」ゴシュ

魔法使い「……死んじゃえ!」

僧侶(……相変わらず)

200 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 00:41:46.53 /r0D6C4A0 83/407
勇者「そういや、僧侶」ダクダク

僧侶「……なに?」

勇者「ほい、これ」ポイ

僧侶「……杖?」

勇者「あれだ、特注品で持ち手のところを鍛えた鉄の棒にしてある」

勇者「今使ってる木の杖より、強化したときの威力があるはずだぜ」

僧侶「……あり、がとう」

勇者「なーに、金は余らしてても意味ねーからな。旅が楽になるならそっちのほうがいいさ」

僧侶(……大事に、使おう)ギュッ

魔法使い「……む」

201 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 00:51:45.01 /r0D6C4A0 84/407
勇者「んー……腹いっぱいになったのは久しぶりだなー」

魔法使い「やっぱり、しっかりした料理を食べるようにしたいね、旅してても」

勇者「そうだよなー……」

僧侶「……私、料理、出来る」

勇者「な、なに!?マジか!」

僧侶「……少しなら」

勇者「いいことを知ったぜ……これで上手い飯が食べれる!」

魔法使い「……むむ」

202 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 00:57:36.69 /r0D6C4A0 85/407
勇者「さて、そろそろ寝るかなー……って、あれ?魔法使いは」

僧侶「……外」

勇者「……こんな時間にか?」

僧侶「……」コクリ

勇者「……」



魔法使い「はぁー……なんだかな」

魔法使い「自分で誘ったからなんだけどさ……私って、必要なのかな?」

魔法使い「僧侶ちゃんは私と違って、回復も補助も多少は出来るし」

魔法使い「ただのちからバカの私とは違うんだよな……」

魔法使い「はぁー……どうしよう」ガシャン

204 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 01:03:09.99 /r0D6C4A0 86/407
勇者「どうしようって、どこか行くあてあんのか?」

魔法使い「!!」

魔法使い「……勇者」

勇者「ったく、せっかく人が服買ったってのに、こんなとこ座り込んじまって……」

魔法使い「ご、ごめん……」

勇者「……だー、もう!何悩んでんのかしらねーがな!」

勇者「お前を不必要だなんて思ってねぇよ!」

勇者「確かに、僧侶は万能型だから、そこに負い目を感じるのは分かる!」

勇者「だけど、それを言っちまったら、このパーティーで一番必要ないのは……」

勇者「俺だ!」

207 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 01:09:48.09 /r0D6C4A0 87/407
勇者「だから、俺が抜ける!」

魔法使い「そんな……ダメだよ!勇者が抜けるなんて!」

勇者「だろ?」ズィッ

魔法使い「!!!」

勇者「だーかーらー、お前もくだらんこと悩んでんじゃねぇよ」つねつね

魔法使い「い、いたふぃ……」

勇者「遊び人とか商人とか、戦いに向いてない職でも勇者の仲間として戦った記録が残ってんだ」

勇者「悩む前に、旅をしようぜ。魔王を倒してから、ゆっくりと悩めばいいさ、なっ」ニカッ

魔法使い「……うん」ぐすっ

210 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 01:18:49.37 /r0D6C4A0 88/407
僧侶「……」スー

勇者「寝ちまってるな、僧侶」

魔法使い「まぁ、色々大変だったしねー。ボクも凄く眠いや……」

勇者「俺も大分疲れてるわ……寝るとするか」

魔法使い「……でさ」

勇者「ん」

魔法使い「なんでベッドが一つしかないのかな?」

211 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 01:21:15.81 /r0D6C4A0 89/407
勇者「いや、別にいいだろ。俺床で寝るから」ゴロン

魔法使い「え……」

勇者「ん?まだなんか話があるのか?」

魔法使い「い、いや……なんでもないよ」パサッ

魔法使い(……昔はよく一緒に寝てたのにな)

男(自分で言って悲しくなったが、本当に俺必要ないよな……くそっ)

男(また、特訓しなおしてみるか……)スー スー

215 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 01:36:16.73 /r0D6C4A0 90/407
宿主「ゆうべは、おたのしみでしたか?」

勇者「あんただったのか、あれは……」

魔法使い「無駄な気遣いです!」

宿主「いやぁ、申し訳ありません……」

僧侶「……ねむ」くしくし

216 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 01:41:34.27 /r0D6C4A0 91/407
勇者「さて、腹ごしらえも済んだし出発するか」

魔法使い「そうだね、長くいても仕方ないし」

僧侶「……」コクリコクリ

勇者「とりあえず、情報があった北の山へ向かうかな」

魔法使い「あー、寒いことかー……寒いの苦手なんだよなー」

勇者「まぁ、ある程度の準備はしておいたが、寒さは慣れるしかないな」

僧侶「……」プクーッ

259 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 12:38:08.64 /r0D6C4A0 92/407
ビュゴー  ビュゴー

勇者「……こりゃ、予想以上の吹雪だな」

魔法使い「ううう……さ、むいよぅ……」ガチガチ

僧侶「……さむ」

勇者「とりあえず、ほい」ヒュ

魔法使い「これって……暖房の実?高いよね、確か」

勇者「金を抱えて凍え死ぬよりはマシだろ、ほら僧侶も」ヒュ

僧侶「……」パク 「……か、らい」

261 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 12:44:10.00 /r0D6C4A0 93/407
勇者「まぁ、このままボーっとしてても寒いだけだし、暖かいのが続く間に行っちまうか」

魔法使い「そうだねー……覚悟を決めるよ」

僧侶「……出発」

ザク  ザク

勇者「しかし、北の山なんて初めて来るな……地形が分からん」

魔法使い「ボクが寒いとこ苦手だからねー、暑いとこもだけど」

僧侶「……」ピク

魔法使い「むむっ」

勇者「ちっ、魔物の気配がするな……どんな奴がくるやら」

262 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 12:49:26.19 /r0D6C4A0 94/407
魔物「グギャギャギャ!ニンゲン!ニンゲン!」

勇者「うわぁ……めちゃくちゃ強そうじゃねぇか」

魔法使い「しかも若干言葉を話してるね」

僧侶「……強い?」

魔法使い「まぁ、話してても通じるかなんて知らないけどね」ズシャン

魔法使い「先手必勝!」ズゴン

魔物「ハハァッ!」ヒュッ

魔法使い「しまった、避けられたか!」ググ

魔法使い「……埋まって、抜けない」

264 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 12:56:20.99 /r0D6C4A0 95/407
勇者「何してんだバカ!得体の知れない相手に突っ込んでいくなんて!」

僧侶「……助ける」ザザッ

魔法使い「うぐ……落ちろ!稲妻!」ドゴーン

魔物「ギャギャギャギャッ」バッ

魔法使い「全然堪えてないっ!」カキィン

僧侶「……無事?」

魔法使い「ありがと、僧侶ちゃん……死ぬかと思ったよ」

266 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 13:04:13.85 /r0D6C4A0 96/407
僧侶「……くっ!」ギィン

魔法使い「とりゃっ!」ガィン

魔法使い(足場が不安定でいまいち戦いずらいや……)

僧侶(……硬い)

勇者「見た目的には炎に弱そうだが……この地形じゃ魔法使いに負担がなぁ」

勇者「魔法に期待はできず、物理戦は防御強化と攻撃強化をかけて互角ってところか」

勇者「いきなり強くなりすぎだろ、魔物……」

268 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 13:11:16.62 /r0D6C4A0 97/407
勇者「ま、炎をどんぐらい怖がるかだな。試してみるか」カチッ  ボッ

魔物「ギャギャッ!?」ザザッ

魔法使い「……?」

勇者「おっ?」ブンブン

魔物「ギャギャギャギャ」ズザザッ

僧侶「……炎」

勇者「やっぱり苦手だったか。これで、形勢ぎゃくて」ドグショッ

魔物「ギャギャギャギャ」キュイーン

勇者「魔法も使えんのかよ……油断した、な。ぐほぇ」ドサッ

270 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 13:18:40.23 /r0D6C4A0 98/407
魔法使い「魔法を使える魔物……嘘でしょ?」

僧侶「……まずい」

魔物「ゲギャギャギャギャギャハ」キィィィン

魔法使い「……多重詠唱、か」

僧侶「……」

魔法使い「僧侶ちゃん」

僧侶「……?」

魔法使い「ボクが合図したら、すぐに防御壁を全力で張ってね」

271 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 13:24:32.83 /r0D6C4A0 99/407
僧侶「……」コク

魔法使い「じゃぁいくよ。せーの!」

僧侶「……防御壁!」キュイーン

魔法使い「お願いだから、魔力よ尽きないで……舞い上がれ!業火!」ドゴゴゴゴ

魔物「グゲギャアアアア!!」ジュウウウウ

僧侶(……凄い)

273 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 13:30:47.30 /r0D6C4A0 100/407
魔法使い「……ふぅ」ドサ

僧侶「……!!」

僧侶「……気絶、してる」

魔法使い「すー……すー……」

僧侶「魔法使い!寝たら死ぬ、起きて!」
グラグラグラグラ 

ズザザザザザ

僧侶「……う、そ」

276 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 13:46:12.04 /r0D6C4A0 101/407
魔法使い「……ん、んん……はっ!」

僧侶「起きた!」

魔法使い「僧侶ちゃん……よかった、生きてたんだ……」

僧侶「……こっちの、台詞」

魔法使い「服、新しく買ったのにボロボロにしちゃったね……ごめん」

僧侶「……気に、してない」

魔法使い「……ありゃ?勇者は……?」

僧侶「……」

277 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 13:59:25.79 /r0D6C4A0 102/407
勇者「……ん……あれ?」バッ

勇者「……どこだ、ここ?」

勇者「確か、さっきまでは魔物と戦ってて……」

勇者「そうだ、魔法でやられちまったんだ、俺……いてて」ズキズキ

勇者「しかし、ここは一体山のどの辺りなんだ……?」

勇者「俺の死んでる間に何があったやら」

278 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 14:05:15.09 /r0D6C4A0 103/407
勇者「僧侶も魔法使いも見当たらん……」

勇者「どうやら、ここは洞窟のようだが……入り口が塞がってるな」

勇者「多分、雪崩か何かで運ばれた、のかな?」

勇者「雪崩が起こるぐらい強力な魔法を使ったのか……」

勇者「あいつら、無事だといいけど……」

280 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 14:18:47.49 /r0D6C4A0 104/407
魔法使い「……ボクの魔法で、そんなことが……」

魔法使い「これだから、力を調節できないバカ力なんだよ……」

僧侶「……」フルフル

僧侶「……ああしなきゃ、死んでた」

魔法使い「……そうだけど」

僧侶「……勇者は、強い。だから、大丈夫」

魔法使い「そう、だね。心配しててもことは始まらないや」

281 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 14:23:32.58 /r0D6C4A0 105/407
勇者「しっかし、寒いな……」ガチガチ

勇者「あの二人には暖房の実を持たせといたから、大丈夫だろうけど……」

勇者「魔物とかいなきゃいいけどなー、面倒なことなるし」

勇者「……っ!」サッ

魔物「ゴギャギャギャ!」ザッ ザッ

勇者(魔物から隠れる勇者、か……なんかマジで泣きたい)

327 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 22:50:48.33 /aMMFKe00 106/407
魔法使い「……とりあえず、闇雲に探してみたけどさ」

僧侶「……いない」

魔法使い「はぁー……流石に山で人探しなんて無謀だったかなぁ」

僧侶「……頑張る」

魔法使い「そうだね……勇者が一人なんて、心配すぎる……」

僧侶「……」コクコク



勇者「……へっくし!」ブルブル

勇者「急に寒気がしたな、一瞬……」

329 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 22:57:06.06 /aMMFKe00 107/407
勇者「そういや、こういう風に一人になるなんて久しぶりだなー」

勇者「旅に出てからというもの、いっつもあいつが一緒にいたし」

勇者「……結構、寂しくなるもんだな」カツン カツン

勇者(……また魔物か!?)サッ

魔物「クケケケケケ」ザッ ザッ

少女「……」

勇者(魔物が女の子を担いでいる……どういうことだ?)

330 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 23:01:18.11 /aMMFKe00 108/407
魔物「ウケケ ウケケ」ズッ ズッ

勇者(勢いで尾行をしてみたものの……)

勇者(後をつけて何が出来んの?って話なんだが……)

少女「……」

勇者(まぁ、どう考えても危険な状況の女の子をスルーってのも出来ないが)

魔物「ウクカケコ」

勇者(……ん、明かりか……?)

331 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 23:03:22.48 /aMMFKe00 109/407
氷女王「ほう、今回の生贄はそのものか……」

魔物「ウケキャキャ!ゴゲギャギャ!」

氷女王「うむ、ご苦労であった。早く失せるのだ下賎のものよ」

魔物「キャキャァ……」ザッ ザッ

氷女王「うむ、今回の生贄も若々しくいい肉体をしておる……」

勇者(あちゃー……なんかめっちゃボスみたいなのいるわー)

332 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 23:09:51.19 /aMMFKe00 110/407
勇者(しかも、なんかかなり危ない発言してるし……)

勇者(歳は僧侶よりも下かな、多分……そんな小さな子が生贄、か)

勇者(というか、この辺りに人がいることが驚きだ)

氷女王「さてと、それではさっそく……」スッ

勇者(移動する、みたいだな……っと)タタッ

333 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 23:18:51.28 /aMMFKe00 111/407
魔法使い「あうー……見つからないなー」

僧侶「……あそこ」

魔法使い「ん?僧侶ちゃん、何か見つけたの?」

僧侶「……洞窟」

魔法使い「洞窟、かぁ……まぁ、適当に探し回るよりはいいかな」モグモグ

僧侶「……から」モグモグ

335 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 23:22:56.89 /aMMFKe00 112/407
勇者(なんだか、大広間みたいな場所だな……)

氷女王「さーてと、久しぶりの生贄だからな……」

氷女王「ゆっくりと楽しんでやろう」

勇者(くっ……俺が出て行ってなんとかなるのか……?)

勇者(あの呪文を使ったとしても、女の子に意識が無いんじゃ無意味だ)

勇者(くぅ……一人だと果てしなく無能だな、俺は)

338 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 23:27:53.15 /aMMFKe00 113/407
勇者(……だけど)

勇者(時間稼ぎなら、最も得意だ!)

勇者「おい、お前!」

氷女王「っ!!何者だ!」バッ

勇者「……その子を、助けにきた」シャキン

氷女王「ふん……あの村のものか?片腹痛い……何度挑もうと無駄よ!」カキン カキン

勇者(一瞬で氷の壁が……)

氷女王「逃げられると興ざめなのでな……出入り口は塞がせてもらったぞ」

340 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 23:34:11.35 /aMMFKe00 114/407
勇者(さて、女の子だけを逃がすという策が儚く散ったわけだが)

氷女王「しかし、久しぶりだな……わらわに挑む人間などとは」

氷女王「どれ、遊んでやろうではないか」ヒュオーン

勇者「氷で出来た鎌……」

氷女王「そぉれっ!」ヒュザッ

勇者「くうっ!」ガキィン 「ぐはっ!」ズザッ

氷女王「……なんだと?」

343 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 23:38:03.33 /aMMFKe00 115/407
氷女王「貴様……ふざけているのか?」ブン

勇者「ぐ……う」

氷女王「弱い、弱いっ!弱すぎる!その実力ではこの山に入ることすらままならぬはず!」

氷女王「ここまで来るから歯ごたえがあるかと思えば……」

氷女王「実につまらん……もういい、死ね」ブオン

勇者「う……」グチャ ガシュッ

346 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 23:43:48.01 /aMMFKe00 116/407
氷女王「……ふん。あっさりと死におったわ」

氷女王「死にきただけの、ただのバカか?相手にしたのが間違いだった」

少女「……ん、んん……」

氷女王「む、生贄が目を覚ましてしまったか」ザッ

氷女王「まったく、面倒なことじゃ」

少女「ここ……どこ?」

氷女王「……まぁ、たまには泣き叫ぶ姿もよかろうて」ジャキン

347 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 23:46:23.52 /aMMFKe00 117/407
少女「ひ、ひぃ……」

氷女王「さぁ……もっと恐怖で顔を歪ませておくれ……」カツ カツ

少女「い、いやぁ」ダッ

氷女王「ほっほっほ、逃がさんよ……」

少女「あ……あ」

氷女王「さぁて、鬼ごっこは終わりじゃ」

氷女王「今日は機嫌が悪いのでなぁ……いつもより痛いかもしれん」

氷女王「恨むなら、そこのバカな男を恨むんじゃな!」ゴワッ  プニッ

351 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 23:53:21.21 /aMMFKe00 118/407
少女「……?」

氷女王「な、なんじゃ!?これは……」プニ プニ

氷女王「爪がささらん!ならば!」グオン ポキッ

氷女王「わらわの鎌までっ!なんじゃ、なんなんじゃこの子供は!」

少女「……?」

352 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/02 23:55:39.29 /aMMFKe00 119/407
氷女王「この子供……まさか、魔術師か!」

氷女王「それならば説明がいく……ふはは!これで終わりじゃ!」キーン

少女「きゃっ」

氷女王「魔族に伝わる魔法封印の杖じゃ……これで貴様も!」プニ

少女「……」

氷女王「……」

359 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 00:00:42.37 seaoDF220 120/407
氷女王「……まさか」クルリ

氷女王「貴様が、何かをしよったのか……?」カツ カツ

氷女王「……完全に、死んでおる。そんなわけはないか」

少女「……てやぁ!」タタタッ

氷女王「ははは、人間の苦し紛れというやっ」ドゴォ 「ぐはぁっ!?」

363 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 00:05:45.42 seaoDF220 121/407
氷女王「ば、ばかなっ!わらわは魔族の王であるぞ!」

氷女王「それをこんな人間の、しかも子供なぞにっ!」

少女「やあぁっ!」タタタ

氷女王「ふんっ!」ブオン ポコ  ドゴォ「うぐふっ!」

勇者「さて、完全に形成逆転なわけだが?」

氷女王「なっ……き、きさまっ!?」

365 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 00:09:46.55 seaoDF220 122/407
氷女王(バカな……完全に心臓は止まっておったぞ!?いや、それより……)

氷女王「貴様、わらわに何をしおった!」ズドン

勇者(うわー……すごい魔力だ……)

少女「ええいっ!」バシン

氷女王「い、いたいっ!や、やめろっ!」

369 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 00:18:24.74 seaoDF220 123/407
氷女王「この魔法、貴様がかっ!」ガシッ

勇者「あぁ、そうだ」

氷女王「貴様ぁ……解け!今すぐ解け!」シャキン

勇者「あぁ、俺を殺してもいいけどさ」

勇者「一生解けなくなるよ?それ」

氷女王「なん、じゃと……」

勇者(まぁ、実際は俺が死なないんだけどね)

373 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 00:24:49.80 seaoDF220 124/407
勇者「さて、ここで取引なわけだが」

氷女王「取引、じゃと……?」

勇者「その女の子を、村に帰してやってくれ」

氷女王「何をバカな……生贄をむざむざと返せるものか」

少女「わーいわーい」ゲシッ

氷女王「く、くぬぅっ……」ガクン

勇者「どうする?」

氷女王「ぐ、ぐぐぐ……」パチン パリーン

勇者(お、氷の壁を解除した。予想以上に上手くことがいってるな)

氷女王「おい、誰かおるか!その小娘を帰してこい!」

374 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 00:30:22.60 seaoDF220 125/407
魔法使い「……あーもー、長いよー暗いよー」

僧侶「……いない」

魔法使い「やっぱりここにはいないのかな?僧侶ちゃん、一旦出ようよ」

僧侶「……」フルフル

魔法使い「……え?」

僧侶「……」

魔法使い「えーと、これはボクたちも迷っちゃったかな?」

僧侶「……」コクコク

375 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 00:36:01.88 seaoDF220 126/407
魔法使い「そろそろ暖房の実も切れちゃうよ……寒いのやだなぁ」

コツン コツン

僧侶「……!」サッ

魔法使い「足音……何かいる」

魔物「ギャギャギャイ」ザッ ザッ

少女「……♪」

魔法使い「魔物っ!…って、なんであの女の子若干楽しそうなの?」ボソッ

僧侶「……謎」

376 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 00:42:51.60 seaoDF220 127/407
魔法使い「あの子、助けたほうがいいのかな……」

僧侶「……分からない」

魔法使い「少し、後をつけてみようか。どうせ勇者の居場所も分からないし」

僧侶「……ん」タッ

378 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 01:02:00.77 seaoDF220 128/407
氷女王「さぁ、あの小娘は村に帰してやったぞ」

氷女王「さぁ、わらわにかけた魔法を解け」

勇者「ん?確かに俺は村に帰してくれとは言ったが」

勇者「魔法を解いてやると約束した覚えは無いんだが?」

勇者(あの子の無事が分からない以上、時間稼ぎが必要だな)

氷女王「き、さ、ま、ぁっ……」ジャキン

勇者「いつかバレたら怖いよねー。女王様が実は人間の女の子以下なんて」

氷女王「ぬぬぬ……」スッ

勇者(なんか、言葉が話せるようになったほうが戦いやすいな)

勇者(しかし……どっちが悪者か分からんなこりゃ)

381 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 01:11:16.33 seaoDF220 129/407
氷女王「……わらわに、どうしろと言うのじゃ……」

勇者「んー……俺らの仲間にならない?」

氷女王「……はぁ?何をたわけたことを申しておるのじゃ」

氷女王「わらわは、魔族の王じゃぞ?それがなぜに人間と仲間などと……」

勇者「ふーん。ならそのままがいいのか?」

氷女王「き、貴様……わらわを誰だと思っておる……わらわは……」

勇者「人間の女の子にも勝てない貧弱女王様、だろ?」

氷女王「ぬううううう!言わせておれば!」ゴシャッ

勇者「ぐえへぁっ」ビチャッ

氷女王「はぁ……はぁ……」


383 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 01:17:45.05 seaoDF220 130/407
氷女王「やってしまった……」

氷女王「これでわらわは人間以下の存在……はぁ」

氷女王「どうしてこんなことになってしまったのだ……」

氷女王「こんなことなら、あの人間の申し出を……」

勇者「マジで!?」

氷女王「うおわあああっ!?」

385 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 01:21:41.56 seaoDF220 131/407
氷女王「き、きさまっ!さっきからなぜ死なん!」

氷女王(こやつ、本当に人間か……?本当はこちら側の存在なのでは?)

勇者「仲間になってくれんの?」

氷女王「いや、あ、あれは……」

勇者「仲間になったら、魔法解いてやるよ?」

氷女王「ほ、ほんとか!(よし、ここは仲間になるフリをして……)」

388 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 01:26:33.32 seaoDF220 132/407
魔法使い「おおっ!明かりが見えてきた……!」

僧侶「……町」

魔物「ギャギャギャイ」トス

子供「ありがとー!」

魔法使い「……え?何もせず降ろした?」

僧侶「……意味不明」

魔法使い「おっと、こっち来るね」サッ

魔法使い「とりあえず、町で情報でも集めようか」

僧侶「……了解」

389 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 01:32:46.50 seaoDF220 133/407
村長「なんじゃと……そんな……」

村長「少女が、帰ってきおったぞー!」

村人A「なんだって……」 村人B「生贄の子が……?」 村人C「前代未聞だ……」
ざわ ざわ ざわ

町長「あなた方が、救ってくださったのですか!?」

魔法使い「あ、あの、えーと……」

僧侶「……」

町長「まぁ、お疲れでしょう!ゆっくりと休んでいってください!」

魔法使い(……いいのかなぁ?これで)

391 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 01:36:05.53 seaoDF220 134/407
氷女王「……ふん!人間に従うことには納得せんが」

氷女王「よかろう、仲間になってやろうではないか!」

勇者「おー、やっと決心したか」

氷女王(ふふふ……魔法を解いたらすぐに)

勇者「あ、仲間と合流するまでは魔法解かないからな?グサッとやられても困るし」

氷女王「……ぐっ、よかろう」

氷女王(その仲間とやらもまとめて殺してやろうではないか……)

393 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 01:42:02.88 seaoDF220 135/407
村長「いやー、この村にもやっと平和が!」

村長「ついにあの氷の女王めを討ち果たす勇者様が現れてくださいましたか!」

魔法使い「いやー、その……ははは」

村長「魔王が復活してから間もなくして現れたあの忌々しい女王め……」

村長「村の者達が幾度と無く挑み、命を落としていった」

村長「しかし、それも今日で終わりです!ありがとう、勇者様!」

魔法使い(どんどん尾ひれがついていってるよ……なんか勇者様にされてるし)

魔法使い(僧侶ちゃん!なんで黙ってんのさ)ボソッ

僧侶(……都合が、いいから)ボソッ

魔法使い(意外と黒いね……まぁ、そうだけどさぁ)

394 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 01:46:26.12 seaoDF220 136/407
村長「さ、さ、ゆっくりしていってください!」

魔法使い「え、でも……ボクたちお金……」

町長「勇者様からお金なんてとんでもない!もちろん、ただでいいですよ」

僧侶「……」(……少し、心配)

魔法使い「……」(勇者探しにいきたいけど……体力限界だしなぁ……)

僧侶「……よろこんで」(……でも、休みたい)

魔法使い「感謝します、村長さん!」(ま、勇者なら大丈夫か……)

397 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 02:02:32.10 seaoDF220 137/407
勇者「……なんだか、もの凄い邪険にされたのを感じた」

氷女王「む、どうかしたのか?」

勇者「いや、なんでもない」

勇者「しかしなー……あんた本当に強いんだな」

魔物「ガガア」 「ギャギイ」 「グゲゴゴ」

勇者「みんなぴしーっと跪いてる……」

氷女王「誇り高き女王のわらわに、このような下賎の者は顔を向けるだけで許されん」

勇者「いやまぁ、今は……」ピシッ 「おうふ」

氷女王「だ、だまれい!そのことを知られては絶対にならんのだ……!」

氷女王「このものたちは、わらわの力で押さえつけておる」

氷女王「わらわが弱いとしれば……このものたちは暴れだすであろう」

勇者(……ん?なーんか引っかかる感じだな)


399 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 02:06:14.58 seaoDF220 138/407
勇者「なぁ、お前さ」

氷女王「なんだ?」

勇者「周りの魔物抑えるために女王やってんの?」

氷女王「……まぁ、そんなものだな」

勇者「いい奴じゃん」

氷女王「な、何を……っ!」

氷女王「この者達が暴れると、若い女が集まらなくなるのだ!だから……」

勇者「いや、理由はどうにせよさ。そのおかげでその村襲われてないんだろ?」

氷女王(こいつ……なんだと言うのだ、さっきから)

氷女王(わらわもわらわじゃ……さっきから、らしくない、らしくないぞ)

402 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 02:15:19.59 seaoDF220 139/407
魔法使い「……とは、言ったもののねぇ」

僧侶「……心配」

魔法使い「死なない、とは言ってもね……閉じ込められたりしたらアウトだしなぁ」

魔法使い「逆に死なないってことが、さらに悪い方向に思考を向けちゃうよ」

僧侶「……うん」

魔法使い「あーあ、こんなんだったらもっと修行しとくんだったなぁ……」

魔法使い(無事でいてね……勇者)

403 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 02:20:10.47 seaoDF220 140/407
勇者「なぁ、どんぐらいしたら着くんだ?」

氷女王「後もう少しだから辛抱しろ。まったく、人間という奴は……」

勇者(あいつらの手がかりが少しでも見つかればいいんだがな……)

勇者(ん?というか……こいつを連れて行って大丈夫なのだろうか?)

勇者「なぁ、あんたさ。村の人達に顔とか見られてる?」

氷女王「まぁ……数回は赴いたことがあるが」

氷女王「はっきりと見られてるかは知らん」

勇者(うーん、微妙だな……まぁいいか、その辺はおいおいな)

404 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 02:25:50.83 seaoDF220 141/407
魔法使い「……やっぱり、落ち着いてられない!」ダン

僧侶「……行く?」

魔法使い「心配、だしね……見当はついてないけど、探してればいつか見つかるさ!」

僧侶「……だね」スク

村人たち「わー わー わー」

魔法使い「ん……?なんか外が騒がしいね」

456 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 17:31:26.96 seaoDF220 142/407
村長「そんな……氷の女王め……生きておったのか!」

村人A「生贄を取り返しにきたのか!」

村人B「勇者様が倒してくださったのではなかったのか?」

村人C「終わりだ……報復に来たんだ……」


勇者「おいおい、随分な怖がられようだな」

氷女王「……まぁ、こんなものであろう」

460 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 17:37:21.49 seaoDF220 143/407
魔法使い「騒がしいから外に出てみれば……」

村人たち「わいわい がやがや」

僧侶「……勇者」

村長「隣の男は一体誰じゃ……人間に見えるが、女王の手下か?」

村人D「魔物に手を貸すとは、なんて奴だ!」

魔法使い「えーと……あれが女王なの?まさか」

魔法使い「なんで勇者と一緒にいるのさ……」

463 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 17:46:58.35 seaoDF220 144/407
村長「おお!勇者様!」

村人たち「そうだ、勇者様……今は勇者様がいるんだ!」

勇者「ん?勇者は俺のはずだが?」

魔法使い「あちゃー、見つかっちゃったかぁ……」

僧侶「……行こう」

勇者「おー、魔法使い!無事だったのか、お前ら。心配したぞ」

魔法使い「いや、それはこっちの台詞だよ……」

僧侶「……説明して」

465 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 17:54:20.94 seaoDF220 145/407
村人たち『勇者様が何か話しておられる……なぜお倒しになられぬのだ?』ヒソヒソ

勇者「とまぁ、そういうわけなんだ」

魔法使い「……なるほど、ね」

僧侶「……把握」

氷女王「これが貴様の仲間か?おなごばかりではないか」

魔法使い「……女の子だけど、今の君を潰すぐらいの力はあるよ?」ガシャン

氷女王「ひ、ひいぃっ!」

村人たち『さすが勇者さまだ……あの氷女王が恐れおののいている……』ヒソヒソ

467 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 17:58:42.98 seaoDF220 146/407
勇者「そう喧嘩腰になるなって……これから一緒に旅すんだから」

魔法使い「え?」 僧侶「……え?」

魔法使い「ここで退治しちゃうんじゃないの?」ジャキン

勇者「んー……正直、こいつそんな悪い奴じゃないんだよな」

氷女王(……何を言っておるか)

勇者「それに、今回の魔物との戦いで戦力不足が明らかになったわけだし」

魔法使い「だからって……魔物と一緒に旅なんて、聞いたことないよ!」

469 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 18:04:39.92 seaoDF220 147/407
村長「えーと、勇者様……?」

魔法使い「あ、は、はい!」

村長「先ほどから何を話しておるのですか?その者は一体……」

魔法使い「えーと、あの、その」

勇者「どうも、勇者です。氷の女王は無害にしたんで安心していいですよ」

村長「勇者……?無害にしたとは、一体……?」

470 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 18:09:12.82 seaoDF220 148/407
村長「失礼致しました!あなたが本当の勇者様でしたか」

勇者「あー、まぁ。その二人は俺の旅仲間です」

魔法使い「村長さん、ごめんなさい……」 僧侶「……」ペコッ

村長「いえいえ、そんなことはいいんですよ!」

氷女王「……くっ」ジャラ ジャラ

村長「こうも容易く捕らえられるとは……無害になったとは本当だったのですね」

472 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 18:15:03.00 seaoDF220 149/407
氷女王「下賎な人間どもめ……わらわにこのようなことをして許されるとでも思っているのか……」

村長「黙れ!貴様に今まで殺されたもの恨み……」シャキン

氷女王「……!!!」

勇者「あー、村長さん?ちょい待ちちょい待ち」

473 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 18:20:56.64 seaoDF220 150/407
勇者「お前さ、本当に村の人殺してたの?」

氷女王「……」

勇者「黙ってたらこのまま死ぬぞ?いいのか、それで」

氷女王「……村の者は、殺してなどおらん」

村長「な、なんじゃとっ!?」

氷女王「生贄の娘達は、洞窟のわらわの部屋におる」

氷女王「歯向かってきたものたちは、牢獄に幽閉しておるだけだ」

氷女王「……誰一人、死んでなどおらん」

村長「な……何をバカな!この期に及んでたばかりおる気か!」

勇者「まぁまぁ、村長さん落ち着いて……」

476 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 18:28:26.98 seaoDF220 151/407
勇者「……論より証拠だよな、やっぱ」

勇者「ここに全員連れてきてもらえるか?今までの人達全員」

氷女王「……ふん。後悔することになっても知らぬぞ?」

勇者「んー……後悔すんのは俺じゃないと思うから構わない」

魔法使い『ねぇ、勇者!どういうことなんだよ!』ボソボソ

僧侶『……』

勇者『まぁ、見てりゃ分かるんじゃないかね。後、戦う準備しとけ』

氷女王(こやつ……何を考えているのだ、まったく)

477 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 18:37:57.00 seaoDF220 152/407
少女達「……あれ?村だー」タタタッ

村人A「おお、無事だったか娘よ!」

村人B「本当に……本当に生きてたんだ!やったー!」

捕虜A「村だ……やっと帰ってこれたんだ……」

村人C「男達も無事だぞ!」

村長「ど、どういうことなんじゃ……」

氷女王「……ふん」

478 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 18:42:58.11 seaoDF220 153/407
魔物「ギャギャ……ゲギャギャギャ!」

村人「ひ、ひいっ!魔物だ!」

氷女王「く……貴様ら……待つのだ!」

魔物「ギャギャギャギィ!」バッ  ガッギィィン!

魔法使い「もう……なんなんだよ!もう!」

僧侶「……戦う」

氷女王(やはり……こうなってしまうか)

479 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 18:51:10.31 seaoDF220 154/407
勇者「なぁ、あんたさ。生贄とか言って連れてきてたのはこのためだろ?」

勇者「威厳保たないといけねぇもんな、偉い奴は」

氷女王「……わらわは、出来れば戦いたくはなかった」

氷女王「争いは好まぬ……行き着く先は破壊しかないからのう」

氷女王「しかし、低級な魔物どもにはそんな考えはない……」

勇者「だから、生贄って形で満足させてたんだなー……頭いいな、お前」

氷女王「……人間などに褒められても、嬉しくなどないわ」

勇者「でも、あの時少女襲ってたよな?」

氷女王「あ、あれは……たまには怖がらせて楽しもうかと思っただけじゃ!」

480 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 18:56:28.14 seaoDF220 155/407
勇者「……でもさ」

氷女王「なんじゃ」

勇者「争い好まぬとか言っといて、俺は思いっきりグシャッってやったよね?」

氷女王「あぁ……あれでもかなり威力を落としてたのじゃが……」

氷女王「あのぐらいの威力で死んだ村人はおらんかったからのう」

勇者「……マジかよ」

483 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 19:00:48.84 seaoDF220 156/407
魔物「グゲゲゲゲ!」ガギン ゴギン

魔法使い「ええぃやぁ!」ズガン

僧侶「……はっ!」ザシュ

魔物「グギャギャギャギャ!」ブゥン

魔法使い「……キリが、ないや」はぁ はぁ

魔法使い「こんなところでボクの魔法使うわけにもいかないしなぁ……」

僧侶「……まずい」

魔物「グゴゴゴゴ」キュイーン

魔法使い「多重詠唱、か……」ツゥ

487 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 19:08:51.39 seaoDF220 157/407
氷女王「おい、勇者よ。わらわにかけた魔法を解け」

勇者「……んー」

氷女王「悩んでおる場合か?この村が滅んでもいいと?」

勇者「しかたねぇか……頼むぞ」パシィン

氷女王「きさまらっ!やめんかぁ!」ヒュゴオオオオオオ

魔物「ゲ……ギャ、ギャ?」カチン コチン

魔法使い「す、すごい……氷に強い雪山の魔物が氷漬けに……」

僧侶「……さむ」

496 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 19:20:36.05 seaoDF220 158/407
氷女王「ふん……下衆どもが」

勇者「お前、どっちの味方なんだよ……」

氷女王「わらわは、わらわの生きたいように生きておるだけじゃ」

氷女王「誰かに味方せねば生きれぬのか?この世の中は」

魔法使い「すっごーい!今の魔法は君が?」

氷女王「う、うむ……」

魔法使い「すごいすごいすごーい!多重詠唱でもあんな威力でないよ!」

氷女王(な、なんだと言うのだこの小娘は……)

500 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 19:29:10.41 seaoDF220 159/407
村長「……氷の女王が、村を守ったというのか……?」

村人A「ど、どういうことなんだ……」

村人B「まさか、本当にいい奴……?」

氷女王「ふん、別に貴様らを助けたわけではない……勘違いをするでない」

勇者(……素直じゃねーのな)

519 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 20:06:46.69 seaoDF220 160/407
氷女王「さて、と……」ジャキン

勇者「おーおー、やっぱりそうなるか」

魔法使い「全然仲間じゃないじゃんか!勇者!」

僧侶「……戦う?」

氷女王「……はぁ……もうよい」パリン

氷女王「付いて行ってやろうではないか、勇者とやらよ」

氷女王「どうせお前を殺しても、また復活してしまうのであろう?」

氷女王「無駄な徒労はもうたくさんじゃからな……」

521 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 20:18:06.70 seaoDF220 161/407
魔法使い「でもさ、あなたが離れたら魔物たち暴れちゃうんじゃないの?」

氷女王「それなら、大丈夫じゃ。……ほれ」カキィーン

勇者「これは……氷の像か?」

氷女王「さっき釘を挿しておいたからの。わらわの姿があれば村を襲わんじゃろう」

僧侶「……大丈夫、なの?」

氷女王「お前らが思っておるほど低級魔物は賢くない。力に従順なだけじゃ」

524 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 20:28:52.81 seaoDF220 162/407
氷女王(わらわが人間と旅、か……)

氷女王(不思議な人間がいたもんじゃな……もう少し早く出会いたかったぞ)

勇者「あー……しかし、今日はマジで生きた心地がしなかったぜ……」

魔法使い「本当だよ……何があったのか全部話してもらうからね!」

勇者「分かった分かった。お前らが何してたのかも話してくれよ?」

僧侶「……」コクコク

勇者「さて、今日はもう遅いし宿に行くか」

528 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 20:33:57.15 seaoDF220 163/407
宿主「い、いらっしゃ、いませ、え……」

勇者「めちゃくちゃ警戒されてるな、こりゃ」

氷女王「まぁ、当然と言えば当然であろう……」

魔法使い「今まで恐れてた人が急にいい人って言われても、ねぇ」

僧侶「……仕方ない」

氷女王「……むぅ」

勇者(……) 「じゃ、4人でお願いします」

533 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 20:41:04.62 seaoDF220 164/407
魔法使い「さて……じゃぁ、お風呂に入ろうか」

僧侶「……」コク

氷女王「風呂……?」

勇者「なんだ、風呂を知らないのか?」

氷女王「聞いたこともないし見たこともないな」

魔法使い「だったら入ってみなよ!気持ちいいよ」

僧侶「……」コクコク

氷女王「む、そこまで言うのなら試してみるかのう」

536 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 20:48:09.67 seaoDF220 165/407
魔法使い「……」パサ パサ

僧侶「……」ヌギヌギ

氷女王「む、風呂とは服を脱いで入るものなのか」バサッ

魔法使い(サイズはなかなか……僧侶ちゃんよりもあるか)

僧侶(……大きい)

氷女王「な、なんじゃ!わらわの顔に何か付いておるか?」

魔法使い「……別に」

僧侶「……別に」

ーーーーーーーーーーーー
勇者「……寂しいな」クピ

村人「勇者様!どうぞどうぞ」

勇者「あ、どうも」

537 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 20:54:03.88 seaoDF220 166/407
氷女王「な、なんじゃこれは!」

魔法使い「え?なにって……お風呂?」

僧侶「……あ」

氷女王「おぬし、頭がおかしいのか!?わらわは氷女王であるぞ?」

魔法使い「あー……そういえばそうだっけ」

氷女王「あぅ……湯気が……あ、あつい……」クラクラ

魔法使い「あ……そっちは湯船……」  ザパーン

ーーーーーーーーーーー
勇者「あ、そういえば……あいつら服どうすんだろ」

勇者「……世話のかかる奴らだ、まったく」

542 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 21:01:40.04 seaoDF220 167/407
氷幼女「はうあうあー……」プカー

魔法使い「……えーと」

僧侶「……」ゆさゆさ

魔法使い「ちっちゃく、なっちゃったの?」

僧侶「……そう、みたい」

魔法使い(なーんだ、あの胸は氷か、ははは……)

魔法使い「じゃなくて!」

ーーーーーーーーーーーーー
勇者「あー……」パッサ パッサ

勇者「財布の中身が……雪崩の時か?」

勇者「あー、すいません。……服を、譲っていただけませんか?」

544 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 21:06:42.06 seaoDF220 168/407
氷幼女「ふぅ…ふぅ…」くてぇ

魔法使い「えーと……」

氷幼女「わらわを殺す気か、貴様ら……」

魔法使い(全然怖くない……僧侶ちゃんよりちっちゃいや)

僧侶「……水」バシャー

氷幼女「ふぅ……感謝する」

僧侶(……可愛い)

ーーーーーーーーーーーーー
勇者「譲ってもらえた……いい人達だ」

勇者「しかし、まだ半分は残ってたのにな……お金」

勇者「こっから先また貧乏旅かぁ……はぁ」

545 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 21:10:35.03 seaoDF220 169/407
氷幼女「ふむ……これなら風呂なら悪くないのぅ」カポーン

魔法使い(水風呂に氷を浮かべてる……見てるだけで寒いや)

僧侶(……)ブルッ

氷幼女「お前達、入らぬのか?なかなか気持ちいいぞ」

魔法使い「えっと……ボクは普通の湯船でいいよ!」ザプン

僧侶「……同意」ザプン

氷幼女「なんじゃ、つれないのう……」

魔法使い(あんなのに入ったら死んじゃうっての!)

548 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 21:19:41.94 seaoDF220 170/407
魔法使い「相変わらず肌綺麗だねー、僧侶ちゃん」ゴシゴシ

僧侶「……そんなこと、ない」

氷幼女「む、何をしておるのじゃ?」

魔法使い「体を洗ってるんだよ。お風呂に入ったら体を綺麗にしなきゃ」

氷幼女「ふむ……わらわもお願いできるだろうか?」

僧侶「……」ちょいちょい

氷幼女「ふむ、そこに座ればよいのじゃな?」

ーーーーーーーーーーー
勇者「そういや、氷女王って武器いらんのかな?」

勇者「……鎌を作れたよな、確か」

勇者「まぁ、何か一つぐらい持ってたほうがいいか、探してこよう」

553 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 21:24:50.22 seaoDF220 171/407
氷幼女「むむむ……くすぐったいのう」

僧侶「……冷たい」ゴシゴシ

氷幼女「わらわの体温は、おぬしらには冷たく感じるかもしれんのう」

魔法使い「えー、ほんと?うわっ、つめたっ!」ビク

氷幼女「わらわにとってはおぬしらの手が少し熱いぐらいじゃ」

僧侶「……白くて、綺麗」さわっ

氷幼女「べ、べたべた触るでない……熱いというておろう」カァ

魔法使い「ほんとだ、うらやましー……」ぺたぺた

氷幼女「や、やめろと言うとろうに!わ、わらわは出るっ!」タッ

僧侶「……あっ」

魔法使い「そんな勢いよく立ったら……!」

氷幼女「え?」ツルン

氷幼女「わ、わわわっ」ドパーン

魔法使い「あららー……言わんこっちゃない……」

554 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 21:34:33.63 seaoDF220 172/407
氷幼女「……」プカー

魔法使い「気絶しちゃった……」ザパァ

僧侶「……」さわさわ

魔法使い「ちょ、ちょっと!僧侶ちゃん!?」

氷幼女「……ん、あ」ピク

僧侶「……ひんやり」

魔法使い「……」さわさわ

氷幼女「……あっ、ん」ビクン

魔法使い「ほんとだ、ひんやりしててこれはこれで」

ーーーーーーーーーーーーーーー
勇者「え?貰っていいの?」

武器屋「おう!勇者様に使ってもらえるなんて光栄だぜ!」

勇者(まぁ、俺が使うんじゃないのだが……)

557 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 21:43:16.92 seaoDF220 173/407
氷幼女「あふ……あ?」パチ

僧侶「……あ」クリクリ

魔法使い「……あ」クチュクチュ

氷幼女「な、に、を、し、て、、る、の、だ……!」

氷幼女「きさまら、もうゆるさっ」

魔法使い「せーの」

僧侶「……えい」ポイ

氷幼女「あー……」ザパーン

魔法使い「そろそろあがろっか」

僧侶「……」コクコク

561 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 21:51:14.35 seaoDF220 174/407
氷幼女「はぅ…はひぃ……さっきまでの記憶がないぞよ……」

魔法使い「きっと気のせいだよ、それ」

僧侶「……気のせい」

氷幼女「気のせいなわけあるか!……もう風呂はこりごりじゃ」

魔法使い「えー、今度もみんなで入ろうよー……あ」

僧侶「……不覚」

氷幼女「ん?どうしたと言うのじゃ?」

魔法使い「服をまた忘れちゃってる……」

562 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 21:56:29.19 seaoDF220 175/407
氷幼女「こんな熱いところはもうこりごりじゃ……」ガチャ

魔法使い「ちょおっとまったぁ!」バタン

氷幼女「なんじゃ!わらわをここから出さぬ気か!」

僧侶「……違う」

魔法使い「もしかして、そのまま出る気なわけ!?」

氷幼女「ふん!わらわは魔力で服ぐらい作れるわ!」シューン

氷幼女「あ、あれ……?はっ!」シューン

氷幼女「そ、そんな……ばかな……」

569 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 22:02:58.46 seaoDF220 176/407
氷幼女「なんということじゃ……なんということなのじゃ……」

魔法使い「なんか凄いショック受けてるね」

氷幼女「魔法使いの貴様なら分かるだろ!魔力を失う気持ちが!」

魔法使い「いや、ボクは斧で戦えるから別に……」

氷幼女「おぬし、それは魔法使いと言えるのか……?」コンコン

僧侶「……来た」

勇者「おい、俺だ、勇者だ」

573 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 22:07:34.20 seaoDF220 177/407
魔法使い「……服、持って来たの?」

勇者「あぁ、その感じだとやっぱり忘れてたな」

氷幼女「ふむ、それでははやく差し出せい」ガチャリ

勇者「……!!!」

魔法使い「……!!!」

僧侶「……!!!!!」

勇者「……どちら様?」

574 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 22:10:39.60 seaoDF220 178/407
氷幼女「何をとぼけておる。さっさと服をわたさんか」

勇者「ええと……あ、はい」ばさ

魔法使い「……」プルプルプル

僧侶「……」カーッ

魔法使い「……とっとと、でていけぇっ!」ボゴーン

勇者「ぐぼふぉっ!」ビターン

勇者(僧侶のほうがやはり大きかった……か)ドサリ

584 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 22:25:24.77 seaoDF220 179/407
氷幼女「むぅ……?なんじゃこれは、ぶかぶかではないか」

魔法使い(勇者に見られた……って、まぁ初めてではないけどさ)

僧侶(……)プシュー

氷幼女「体を元にも戻せぬか……やはり魔力が尽きておるようじゃな……」

魔法使い「……今度はゴスロリか……まぁ、フリフリよりはマシか……」

僧侶「……新しい、帽子」もふっ

587 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 22:29:22.03 seaoDF220 180/407
氷幼女「大分腕が余ってしまっておるのう……後で直すとするか」

魔法使い「……出ようか」

魔法使い「もう絶対にああいうことしないでね!」

氷幼女「う、うむ……気をつけよう」

僧侶「……あったかい、服」
ガチャ

勇者「……」

氷幼女「いつまで寝ておる、さっさと起きんか」ぺちん

勇者「……」ジー

勇者「なんだ、夢か」 氷幼女「ばかもん、違うわ」ぺちぺちん

590 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 22:34:11.91 seaoDF220 181/407
勇者「……そういうことがあったのか」

魔法使い「ほんとにボクたちもびっくりしたんだよ!」

氷幼女「よし、これでぴったりじゃ!感謝するぞ」

僧侶「……構わない」

勇者「しかし、あの姿が擬態だったとはな……」

氷幼女「魔族の王はほとんど老いんからのう」

氷幼女「幼い外見に生まれてしまったら、ああする以外に方法がないのじゃ」

勇者(せっかくの胸要素が……)

魔法使い「……なんかよからぬこと考えてない?」

勇者「いんや、んなこたないな」

598 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 22:43:18.64 seaoDF220 182/407
魔法使い「しかし……勇者、きみのセンス疑うよ」くいくい

勇者「ん?その服のことか……それは貰い物なんだ、文句言うな」

魔法使い「え……?貰い物?」

氷幼女「おー、上手いものじゃのう」

少女「もっと出来るよー」ポン ポン

僧侶「……」パチパチ

宿主(あの女の子……誰だ?)

600 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 22:45:56.04 seaoDF220 183/407
魔法使い「お金落としちゃったの!?あの時」

勇者「あぁ、すまんな……」

魔法使い「いや、ボクが原因だし……はぁ、また貧乏生活かぁ」

勇者「ここの村長からいくらかもらえんかなぁ」

魔法使い「気は乗らないけど……明日試してみようか」

氷幼女「ほっ!ほっ!……あ」ポロ

少女「幼女ちゃんへたー」

氷幼女「う、うるさいわっ!」

僧侶(……か、かわいすぎる)

608 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 22:55:11.92 seaoDF220 184/407
氷幼女「ふわぁぁ……魔力がないせいかどうも眠いのう……」

魔法使い「あー、分かるそれ!なんか魔力無いと体重いよね」

僧侶「……」コクコク

勇者「じゃぁ寝るとするかな……おい、宿主」

宿主「はい、なんでしょうか?」

勇者「ベッド一つの部屋とかじゃ、ないよな」

宿主「え?はい、ベッド一つじゃありませんよ」

609 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 22:58:30.69 seaoDF220 185/407
勇者「で、部屋に来てみれば……」

魔法使い「布団が一つ、敷いてあるね……」

勇者(宿屋で流行ってんのか?これ)

僧侶「……ねむ」ころん

魔法使い「あ、僧侶ちゃん」

氷幼女「わらわも眠いの……ねさせてもらうぞよ」こてん

僧侶「……!」ビクッ

僧侶「……さ、さむい……」

氷幼女「む、む……す、すまんの……」

611 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 23:01:47.37 seaoDF220 186/407
魔法使い「……で、何でこうなるのかな?」

勇者「さぁ?俺にはわからんな」

僧侶「……あったかい」ギュー

氷幼女「わらわはぬくいぞ……服などいらぬ」バサッ

勇者「……っ!」

魔法使い「あ、ちょっ!勇者!あっち向いて!」

勇者「へいへい……(少し見えたが……完全なる絶壁!)」

616 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 23:06:52.87 seaoDF220 187/407
魔法使い「すー……すー」

僧侶「…くー…くー」

氷幼女「……」

勇者(……みんな寝たか)ガバ ガチャリ

宿主「おや、勇者様。どうなさいました?」

勇者「少し、外の空気を吸ってくる」バタン

宿主「今夜は冷え込みますから、ご注意くださいねー」

618 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 23:20:08.85 seaoDF220 188/407
勇者「さて、と……」シャキン

勇者「修練なんて、いつぶりかね……」ブン ブン

勇者(村にいるときは、毎日のようにしてたのになぁ)ブン

勇者(魔法使いと旅に出てから、めっきりしなくなっちまった)ブン

勇者「この剣も、魔物を倒せたのはスライムぐらいまでだったっけな」

勇者「はぁ、ほんとなさけねぇよなー」   パキ

勇者「……誰だ!」

621 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 23:24:05.48 seaoDF220 189/407
魔法使い「勇者……」

勇者「なんだ、魔法使いか……寝てなかったのか?」

魔法使い「なんか、胸騒ぎがして起きちゃった」

勇者「なんじゃそりゃ……」

魔法使い「勇者こそ、何してんのさ。夜中に物騒なもん振り回して」

勇者「お前のほどじゃねーよ……そうだ、魔法使い」

魔法使い「ん?なに」

勇者「その斧、貸してくれないか」

魔法使い「んー……いいよ、はい」ゴスン

622 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 23:30:02.69 seaoDF220 190/407
勇者「よっ……ふっ、くっ」グググ

勇者「やっぱ、無理か……」

魔法使い「……あんた、昔も同じこと言ったよね」

勇者「そうだったっけか?」

魔法使い「うん、言ってた。あの時はまだ武器がどうのつるぎだったっけな」

勇者「……思い出したよ。俺はひのきのぼうだったな」

魔法使い「……ごめん」

勇者「謝るなって、余計悲しくなる」

624 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 23:33:53.86 seaoDF220 191/407
魔法使い「で、でも……っ!」

魔法使い「勇者は、強いじゃん!補助や回復得意だし」

魔法使い「今回のだって、勇者の力がなきゃボクたち……死んでた」

魔法使い「だから、だから……」

魔法使い「無理は……しないで……心配、だから……」

勇者(……なんか、無駄な心配させちまってたみたいだな)

勇者(心配なんてしてないぞー!って顔して人一倍心配性だからなぁ、こいつは)

626 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/03 23:42:31.82 seaoDF220 192/407
勇者「……綺麗だな」

魔法使い「……え?」

勇者「……月」

魔法使い「あ……あぁ、ほんとだ。雲が晴れてる」

勇者(魔法使いの横顔……いつもとは違う弱弱しい表情)

勇者「魔法使い」

魔法使い「え?」ダキッ 「え、えぇっ!?」

勇者「心配すんな、お前を残して死んだりはしねーよ」

勇者「絶対に、守ってやるから。だから心配すんな」

魔法使い「……」ボーッ
ーーーーーーーーーーーーーーー
氷幼女「人が寝たフリをしておれば……」

氷幼女「これだから人間と言うのは、蒸し暑いのじゃ。見ておれん」「……む」

氷幼女「うぉわ!?なんじゃ、おぬしも起きとったのか!」

僧侶「……静かに」

氷幼女「す、すまん……」

631 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 00:00:57.69 GTsWQF1F0 193/407
魔法使い「ゆ、ゆ、ゆうしゃっ!」

勇者「……!」バッ

勇者「す、すまん……つい」

魔法使い「あ、あやまらないでよ!……なに言っていいか、分からないじゃんか……」

勇者「……」

魔法使い「……」

勇者「……戻るか」

魔法使い「……うん」
ーーーーーーーーーーーーー
氷幼女「かーっ、見ておられんのう……臆病者め」

僧侶「……」スタスタ

氷幼女「む、僧侶?どこへ行くのだ?」

僧侶「……トイレ」バタン

氷幼女(なんじゃ……なんなのじゃこの気まずさは……)

648 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 00:29:42.21 GTsWQF1F0 194/407
魔法使い「……どうする?」

勇者「いやー……流石に別々に寝る、よな?」

魔法使い「ボ、ボクに聞かないでよ!……ボクは別に、いいけど」

勇者「……そういうこと言っちゃうか……」

魔法使い「……むー」

氷幼女(……僧侶よ、そういうことか……)

氷幼女(そういうことなら、わらわも誘ってくれればよかったであろう……)

649 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 00:32:29.20 GTsWQF1F0 195/407
僧侶「……」コクリ コクリ

宿主「お譲ちゃん、もう寝なくて大丈夫なのかい?」

僧侶「……だい、じょうぶ」コクン コクン

宿主(全然大丈夫じゃない……)

僧侶「……」スー スー

宿主「ちょっと!ここで寝られたら困ります!」

僧侶「……おき、てる」スー スー

宿主(布団、もう一枚出すか……)

656 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 00:38:46.01 GTsWQF1F0 196/407
宿主「ほんと、申し訳ありませんでした……」

勇者「い、いえ、別に……」

魔法使い「……」カーッ

僧侶「……ねむ」バフッ

勇者「……じゃ、寝るか?」

魔法使い「……うん。変なこと、すんなよ?」

勇者「しねーよ。命がいくらあっても足りんわ」

氷幼女(さっさと寝てくれんかのう?熱すぎて眠れんわ……)


657 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 00:44:16.00 GTsWQF1F0 197/407
勇者「……ふわぁぁ」

魔法使い「お、おはよう……」

勇者「ん?あ、あぁ。おはよう」

魔法使い(昨日はほとんど眠れなかったや……)

勇者(昨日はかなり寝心地がよかったな、うん)

僧侶「……」ポケー

氷幼女「……む、わらわの服はどこじゃ?」キョロキョロ

勇者「!!!」

魔法使い「……反応するな!」ボゴォ

658 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 00:48:02.60 GTsWQF1F0 198/407
氷幼女「朝から流血とは、おぬしも大変じゃのう」

勇者「誰のせいだと思ってんだこら……」

魔法使い「自業自得だよ!」(昨日はかっこよく感じたのに……勇者のアホ!)

僧侶「……ねむい」フラー フラー
コン コン
宿主「みなさん、朝食の用意が出来ましたよ」

勇者「……ま、とりあえずは腹ごしらえかな」

661 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 00:50:22.47 GTsWQF1F0 199/407
氷幼女「……」
ほか ほか
勇者「……うん、美味いな」モグモグ

魔法使い「ほんとだねー、ただで貰っちゃうのが悪いぐらいだよ」マフマフ

僧侶「……」プクー

氷幼女「き、きさまら!分かっててやってるだろ!」ぐすん

勇者(あ、泣いた)

魔法使い(流石にやりすぎた?)

僧侶(…スー…スー)

663 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 00:53:34.89 GTsWQF1F0 200/407
氷幼女「……うむ、美味」ガリガリ

勇者(幼女の見た目で氷をかじっている……)

魔法使い(シュールすぎるよ、これは……)

僧侶「……」モグ スー モグ スー

勇者「……そういや、氷」

氷幼女「ん、なんじゃ?」

勇者「これからの行き先についてなんだが、お前魔王の居場所知ってる?」

魔法使い(こりゃまたずいぶんとどストレートだね……)

665 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 01:01:34.87 GTsWQF1F0 201/407
氷幼女「魔王の居場所、か……」

氷幼女「もちろん知っておるぞ。わらわは王族じゃからな」

勇者「本当か!意外とあっさり分かるもんだな」

氷幼女「しかし……場所は知っておるが行き方は知らん」

勇者「え?」

氷幼女「魔王の居城は、こことは別の次元じゃからのう」

氷幼女「向こうから呼ばれん限り、行ったこと無いわ」

勇者「……なんじゃそりゃ……」

667 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 01:08:07.14 GTsWQF1F0 202/407
勇者「そんなんどっから探せばいいんだよ……」

氷幼女「まぁ、行きかたに見当が無いわけではないぞ」

勇者「なに!それを先に言ってくれよ……」

氷幼女「うう……あそこは……しかしのう」

勇者「一体どこなんだ!教えてくれ!」

氷幼女「むぅ……それは、じゃのう」

氷幼女「……火山じゃ……ここから東へ行ったところにある」

668 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 01:11:15.15 GTsWQF1F0 203/407
氷幼女「あそこには、遠くと繋がる道があると伝え聞いておる」

氷幼女「……まぁ、わらわは一度も行ったこと無いがのう。部下を行かせたら溶けてしもうた」

勇者(さりげなく怖いこと言ったな、今……)

勇者「しかしよ、なんで俺達に簡単に教えてくれるんだ?」

氷幼女「……わらわは、魔王のやり方が嫌いじゃからの」

氷幼女「すべてを破壊し、支配する……おろかなことじゃ」

氷幼女「それに……」

氷幼女「わらわたちは、仲間であろう?」ニコ

670 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 01:15:22.07 GTsWQF1F0 204/407
勇者「ふーん……魔族もいろいろあるんだな」

氷幼女「……わらわのような考えのほうが珍しいがのう」

氷幼女「大体の魔物は、相手を支配したり、壊すことしか考えておらん」

魔法使い「……そっかー。てことは、他に協力者は期待できない、か」

氷幼女「そう考えておったほうがよいじゃろう」

僧侶「……うまい」モグモグ

674 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 01:19:37.71 GTsWQF1F0 205/407
勇者「あ、そうだ、氷」ヒョイ

氷幼女「なんじゃ、まだ何かあるのか?」パシッ「なんじゃ、これは」

勇者「見りゃ分かるだろ、鎖鎌だよ。お前、今魔法使えないんだろ?」

勇者「なんか武器持ってりゃ、俺よりはマシに戦えるだろ」

氷幼女「……余計なお世話じゃ!武器などなくともおぬしよりはマシじゃ」

氷幼女「まぁしかし……献上すると言うのなら貰っておいてやろう」

魔法使い「……あの女たらしめ」

僧侶「……クズ」

勇者「ん?なんか言ったか、二人とも」

676 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 01:23:22.64 GTsWQF1F0 206/407
勇者「さーてと、暖房の実の予備も貰ったし、食料も補充できた」

勇者「さっさと東の火山に向かおうかね」

魔法使い「おー!」

僧侶「……おー」

氷幼女「火山まではしばらく氷原を進んだ後森を越えねばならん」

氷幼女「覚悟しておくんじゃな」

魔法使い「お、おー……?」

678 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 01:26:45.15 GTsWQF1F0 207/407
勇者「んー、やっぱり暖房の実があると大分楽だな」

魔法使い「ほんとにねー……暖房の実様様だよ」

僧侶「……ほんと」

氷幼女「人間とは、貧弱じゃのう。このぐらいの寒さなどどうということないじゃろうて」

魔法使い(普通なら凍えそうな軽装で笑ってる……見てるだけで寒くなるよ、もう!)

僧侶「……からい」モグモグ

勇者「おい、僧侶……ちょっと食べすぎだっての」

679 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 01:32:55.87 GTsWQF1F0 208/407
勇者「全然森が見えてこないなー」

魔法使い「なんか辺り一面雪、雪、雪……おかしくなりそうだよ……」

僧侶「……」ザッ ザッ

氷幼女「むー……小さい体だとどうも歩きにくいのう」

氷幼女「おい、勇者!わらわをおんぶせよ!」

勇者「……マジか」

魔法使い「勇者は荷物持ってるから、私がおんぶしてあげるよ」ヒョイ

氷幼女「む?んん……」

僧侶「……勇者」

勇者「今度は僧侶か、なんだ?」

僧侶「……おんぶ」

魔法使い「……」 氷幼女「……」

680 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 01:35:50.76 GTsWQF1F0 209/407
勇者「あー……荷物も持ってんだぞ、俺は……」ザッ ザッ

僧侶「……♪」

魔法使い「うう……どうしてこうなった……」ズザ ズザ

氷幼女「まぁ、仕方ないであろう……というか、この斧邪魔じゃぞ」

魔法使い「乗ってて文句言うな!」

勇者(少し胸が当たってるな……やはり中ぐらいあったか)

684 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 01:44:40.87 GTsWQF1F0 210/407
勇者「おー……なんか緑が見えてきた……」

魔法使い「やったー!やっと雪ともおさらばだね!」

氷幼女「ふむ……名残惜しいが、この地を去るとするか」

僧侶「……敵」

勇者「……むっ!」

魔物「ギャギー!ギャギギー!」バサッ バサッ

魔法使い「空を飛んでるタイプの魔物……厄介だね」

氷幼女「ふむ……『なぜ、人間とともにいる?』か」

僧侶「……分かるの?」

氷幼女「わらわも魔族であるからな。山の魔物と少し発音が違うが理解ぐらいは出来る」

688 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 01:52:41.40 GTsWQF1F0 211/407
氷幼女「『人間に肩入れするとは、氷の女王も地に落ちたものだな』か。随分な言われようだな」

氷幼女「まぁ、貴様ら下級の魔物には分からんさ、理由など」

魔物「ゲギャギー」バサッ ヒュバッ

氷幼女「ふん、甘いわ!」クルン クルン ザシュ

魔物「グゲギャ……」ボトッ

氷幼女「ふん、次に頭を付けるならもっと大きな脳みそにするんじゃのう」

勇者(うわー……こっえー、この人……ほんと、味方にしててよかった)

魔物「グギギ……グガァ」ボバァ

氷幼女「こやつ、火を……使いおるか」ズザ

689 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 01:54:57.25 GTsWQF1F0 212/407
魔法使い「させないよっ!……巻き起これ!暴風!」ビュゴワワワワ

魔物「グギャッゴ……」バサ バサ

僧侶「……いまだ」シャキン

魔物「グ……ゲ」ドサッ

魔法使い「大丈夫だった?氷」

僧侶「……?」

氷幼女「……ふ、ふん」

氷幼女「……か、感謝はしておくぞ」

勇者(……なんか、補助呪文も必要なくなってるんですが……)

690 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 01:58:06.72 GTsWQF1F0 213/407
勇者「ここが、東の森か……初めて来た」

魔法使い「木の高さとか、故郷の森とは比べ物にならないねー」

僧侶「……暑い」ダラダラ

勇者「暖房の実食べ過ぎるからだろ……」

氷幼女「ぐ……ふぅ、ふぅ」ダラダラダラダラ

魔法使い(なんかこんまま溶けてもおかしくなさそう……)

693 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 02:04:33.49 GTsWQF1F0 214/407
氷幼女「く……氷を纏えればこんな暑さなど……」ダラダラ

勇者「ほいさ」ポイ

氷幼女「む、なんだこれは?」

勇者「冷房の実だよ。火山に行くなら必要なもんだしな」

勇者「少しは楽になるんじゃねぇかな、と」

氷幼女「ふむ……もぐもぐ」 「ほう、これは凄い……体がすっきりしよる」

魔法使い「……氷の魔族は貧弱だねぇ。このぐらいの暑さどうってことないでしょ?」

氷幼女「む、むむむむぅ……」

694 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 02:08:10.32 GTsWQF1F0 215/407
勇者「……」ポコ

魔法使い「い、いてっ」

勇者「……」ポコ

氷幼女「な、なにをするのじゃ!」

勇者「喧嘩両成敗、ってやつだ。くだらない争いしてんじゃねーよ」

勇者「それぞれ弱点があって、それを補うのがパーティーなんだから」

勇者「弱みほじくってうじうじ言わないこと」

魔法使い「……ごめん」

氷幼女「……わらわこそ、すまんかった」

僧侶「……あつ」ダラ ダラ


695 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 02:11:40.03 GTsWQF1F0 216/407
僧侶「……ひんやり」モグモグ

勇者「……人が話してるときに、勝手に実を取って食うんじゃねぇっつの」ポコ

僧侶「……いたい」

勇者「で、氷。こっから先はどう行けばいいんだ?火山まで」

氷幼女「……知らぬ」

勇者「え」

氷幼女「わらわは、ここを抜ければ火山があるということを知っているだけじゃ」

氷幼女「火山へいった部下は帰ってこなかったしのう」

勇者「そういうのは先に言ってくれよ……」

696 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 02:17:31.39 GTsWQF1F0 217/407
勇者「遠めに火山が見えてるとかだったらよかったんだけど……」ピギャー  ピギャー

魔法使い「見渡す限りの大森林だね……」

僧侶「……広い」

氷幼女「な、なんじゃ!わらわが悪いと言いたいのか!?」

氷幼女「どうせ、進まないことには話はすすまんじゃろうが!」

勇者「……まぁ、そうだよな。いっつも行き当たりばったりなんだし」

魔法使い「んー、とりあえずまっすぐ行ってみようか」

僧侶「……同意」

697 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 02:23:50.52 GTsWQF1F0 218/407
氷幼女「うう……さっきより軽くなったとはいえやはり暑いのう……」

勇者「そんなんで火山行って大丈夫なのか?」

氷幼女「……まぁ、その頃には魔力も戻ってるじゃろうて!ハハハ……」

勇者(魔力戻ってなかったらどうすんだろ……)

魔法使い「しっかし、なんか得体の知れないものがいっぱい生えてるねー」

勇者「魔物がまぎれてるかもしんないから気をつけろよー」

僧侶「……周辺警戒」

698 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 02:28:47.89 GTsWQF1F0 219/407
氷幼女「む……あれは……池か」

勇者「ん?池が珍しいのか、お前」

氷幼女「凍ってない状態の池を見るのは初めてじゃからのう。少々、物珍しい」ぴちゃ

氷幼女「……やはり、ぬくいのう」

勇者「ここらで、いっちょ休憩にするか。大分歩き疲れたし」

魔法使い「さんせー!むしむしして余計体力使うんだもん、ここ……」

僧侶「……疲れた」ぺたん

氷幼女「……なんだか、足止めしたようで悪いの」

勇者「んなこと気にするなって。疲れてたのはほんとなんだから」

704 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 02:35:15.31 GTsWQF1F0 220/407
氷幼女「もっと冷たかったら気持ちよかったのにのう……」ぱしゃぱしゃ

魔法使い「んー、結構冷たいと思うけどなー」ぴしゃぴしゃ

僧侶「……微妙?」ぱしぱし

勇者(なんかみんな水面叩いて遊んでるな……)

勇者(そこはかとなく男は混じりにくい雰囲気出てるよな、こういうのって)

勇者「……釣りでも、してみるか」ガサゴソ

706 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 02:40:50.82 GTsWQF1F0 221/407
勇者「……餌、どうしよう」

勇者「まぁいいか、餌なしで」ポイ

勇者「……魚がいるかも、知らないけどな」

勇者「…………」

勇者「……昔、村にいたときはよく釣りしてたなぁ」

勇者「そういや、そんときも餌無かった気がする」

勇者「一度も釣れなかったんだっけな、ははは……」くいくい

勇者「……え?」

707 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 02:44:24.17 GTsWQF1F0 222/407
勇者「嘘だろ……なんか引いてるぞ」くいくい

勇者「し、しかもめちゃくちゃ引き強いんだが……」

勇者「まずいな……竿ごと持っていかれそうだ……!」

勇者「う、うぉわぁっ!?」ドパーン

魔法使い「ん……?今の音……」

氷幼女「あちらのほうから聞こえてきおったな」

僧侶「……勇者、いない」

魔法使い「な、なんだって!急がなきゃ!」

711 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 02:52:10.05 GTsWQF1F0 223/407
勇者「……ガボ……ゴボボ」

勇者(やばいな、こりゃマジで死ぬかもしれん……)

勇者(しかし、なんだったんだ?さっきの引きは……って、なるほど)

魚魔物「ギャッギャギギィ」ザブ ザブ

勇者(あーあ、すげぇこっち見てるわ……竿あきらめてりゃよかったかなぁ)

魚魔物「ギャギャギャギャ!」ゴオッ

魔法使い「ゆ、う、しゃぁぁぁぁっ!」ザッパーン

勇者(魔法使いの声が聞こえたような……いや、きの、せ、い、か……)

712 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 03:00:16.99 GTsWQF1F0 224/407
魔法使い「ねー、ゆうしゃー」

勇者「ん?どうしたんだよ、まほうつかい」

魔法使い「これねー、プレゼント!」

勇者「なんだよこれ……きのぼう?」

魔法使い「あのねー、今日ゆうしゃ誕生日でしょ?だから、釣竿!」

勇者「うーん……ありがとうな!まほうつかい!」

魔法使い「わーい!よろこんでもらえたー!」

714 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 03:02:46.70 GTsWQF1F0 225/407
勇者(それは、釣竿なんて言えた代物じゃないただの木の棒だったけど)

勇者(魔法使いの傷だらけの手と、満面の笑みを見てたら)

勇者(あの釣竿は、世界で一番のものに見えたんだ)

勇者「……あれ、魔法使い」

魔法使い「……」カーッ

氷幼女「……ふむ、起きたか」

僧侶「……よかった」

勇者(なんで魔法使いは顔が赤いんだ……?)

715 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 03:10:39.95 GTsWQF1F0 226/407
勇者(服が濡れてる……ってことは、さっきのは夢じゃなかったのか)

魔法使い「……なにしてんのさ!心配かけないって言ったじゃん!」

勇者「す、すまん……」

魔法使い「なんでまた、池に飛び込んだりなんてしたの!」

勇者「釣りを、してたんだよ、久しぶりに」

勇者「そしたら、さっきの魔物がかかっちまってな、引きずり込まれた」

魔法使い「……なんで、竿を離さなかったの?」

勇者「……あれは、思い出の竿だからな……って、竿は無事か!?」

716 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 03:15:11.86 GTsWQF1F0 227/407
魔法使い「ちゃんと回収しといたよ」スッ

勇者「ふぅ、よかった……」

魔法使い「竿の心配より、自分の心配をしたらどうなの?」

勇者「俺は死なないからいいけど、竿は折れたら元に戻らないからな」

魔法使い「……ほんと、バカなんだから……」

氷幼女「……わらわは、溶けてしまいそうじゃ」

僧侶「……」ダラダラ

勇者「ところで、なんで魔法使いは顔が赤かったんだ?」

魔法使い「……!」ギク

魔法使い(よ、よかったぁ……見られては、いなかったみたいだね)

魔法使い「え、えーと……ひ、冷えて風邪でもひいちゃったかなぁ?」

勇者「……大丈夫なのか?体あっためたほうが……」スッ

魔法使い「だ、だいじょうぶだからっ!……くしゅ」

勇者「大丈夫じゃねぇだろ……どうせ俺も火に当たらんといけないし、ほら」

魔法使い「……ありがと」

720 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 03:36:32.15 GTsWQF1F0 228/407
パチ パチ
勇者「すっかり暗くなったなぁ……こういう場所は時間感覚が掴めなくて困るな」

魔法使い「うん、そうだね……」

勇者「寒く、ないか?」

魔法使い「ボクは大丈夫だよ……勇者こそ、寒くないの?コートをボクに貸してくれてるけどさ」

勇者「ん、心配すんな。俺は大丈夫だ」



氷幼女「わらわが、なぜテントなんぞを作らねばならんのじゃ……」カン カン

僧侶「……働く」カン カン

731 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 04:15:32.79 GTsWQF1F0 229/407
氷幼女「やっと、出来た、ぞよ……」カンカンカン

僧侶「……疲労」カンカンカン

氷幼女「疲れた……もうわらわは寝る……」バタ

僧侶「……きゅう」コテン

パチ パチ パチ
勇者「……」

魔法使い「……」

魔法使い(なんだろ……すっごく気まずい……)

魔法使い(あんなことしたから……あんなこ、と……)ボンッ

勇者「お、おい!大丈夫なのか?本当に……顔真っ赤だぞ」

魔法使い「だ、だいじょぶだいじょぶ!」

732 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 04:21:18.66 GTsWQF1F0 230/407
魔法使い「ね、ねぇ、勇者……」

勇者「なんだ?」

魔法使い「勇者はさ、魔王倒したらどうするつもりなの?」

パチ パチ パチッ

勇者「…………」

勇者「んー……そうだなー……魔法使いはどうなんだ?」

魔法使い「え?ボ、ボク?ボクは……って、質問してるのはボクだぞ!」

勇者「あらら、ダメか……俺は、旅を続けるつもりだよ」

魔法使い「なんで?魔王倒したら旅する必要なんてないじゃん」

734 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 04:24:40.57 GTsWQF1F0 231/407
勇者「もともと、魔王を倒すために旅してたわけじゃないからなー」

勇者「魔王倒したところで、旅する必要が無くなるわけじゃないさ」

魔法使い「ふーん……じゃぁ、なんで魔王倒すのさ」

勇者「……目標も無く旅するよりは、一つ一つ目標があったほうがいいだろ?」

勇者「魔王を倒したら、またなんか適当に新しい目標探すさ」

魔法使い「……そっかー」

勇者「で、お前はどうなんだよ」

魔法使い「え?」

勇者「魔王を倒したら、どうするかって」

735 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 04:29:43.72 GTsWQF1F0 232/407
魔法使い「え、えーと……ボ、ボクは……」

魔法使い「勇者と、旅を続けたい、かな」

勇者「……」

魔法使い「だって、勇者一人じゃ旅続けられないでしょ?」

魔法使い「一人じゃ戦えないんだから、お供はいたほうがいいよね」

魔法使い「……ダメ、かな?」

勇者「……別に。物好きもいたもんだねー、と思っただけだ」

魔法使い「も、物好きってなにさー!自分が一番物好きなくせに!」

勇者「……違いないな」

736 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 04:33:07.93 GTsWQF1F0 233/407
魔法使い「……ふわぁ」

勇者「眠いんだったら、寝ても大丈夫だぞ」

魔法使い「……勇者は?」

勇者「全員寝てどうすんだよ。俺は起きとく」

魔法使い「……戦えない、くせに」クス

勇者「うっせーよ……お前ら起こすぐらいは出来るっつの」

魔法使い「はいはい……じゃ、お休み」

魔法使い『頼りにしてるよ、ボクの勇者様』ボソ


勇者「……なんか言ってたみたいだが、なんだったんだ?」

737 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 04:38:17.16 GTsWQF1F0 234/407
魔物「ギャギ、ゲギャギャイイ」

森林王「ほう、氷の女王が……人間と……」

森林王「確かな情報か?それは」

魔物「ギャギョ、ギャギャギャギョイ」バサ バサ

森林王「あの小娘、やはり人間に肩入れしおったか……」ブワサッ

森林王「昔から、いけすかんと思っておった奴じゃ。丁度いい理由が出来たわい」ズーン ズーン

魔物「ギャイ!ギャギャイイイ!」

森林王「魔族とはなんなのか……教えてやるぞ、小娘が」

739 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 04:43:29.24 GTsWQF1F0 235/407
魔法使い「勇者、勇者!」

勇者「……ん、魔法使いか」

魔法使い「なに暢気なこと言ってるのさ!起きなって!」

勇者「やべ、俺寝てたのか……ってうおわ!?」

魔物ども「ギャギャギャギャギャギャイイ」

勇者「め、めっちゃ囲まれてる……」

僧侶「……勇者、起きた?……」キィィン

魔法使い「ぼさっとしてないで!防御壁早く重ねて!」

勇者「お、おう!」キィイイン (寝ちまうなんて……不覚にもほどがあるぜ)

勇者(しかし、なんで寝てる間に襲わなかったんだ?)

氷幼女(……同族の臭いを、感じるのお……)

741 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 04:48:02.29 GTsWQF1F0 236/407
ズーン ズーン
勇者「な……今度はなんだ?」

魔法使い「凄く大きな足音……」

僧侶「……くる」

バキ バキバキィ

森林王「……よう、氷の小娘。久しぶりじゃな」

勇者(なんじゃこいつ……鳥人間の3、4倍はあるぞ……でか……)

氷幼女「やはり貴様か、森林原人め。野蛮なやり方は変わらぬのう」

森林王「がーっはっはっは。口と姿が噛み合っておらんぞ?おチビさんよぉ」

勇者「……知り合いか?」

氷幼女「……やつも魔族の王の一人じゃ。こいつのことを忘れておるとは、わらわも耄碌したかのう」

742 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 04:50:53.78 GTsWQF1F0 237/407
森林王「どうやら、人間に味方したというのは本当だったようじゃな」

氷幼女「味方などしておらんわ……わらわは、わらわの考えどおりにやっておるだけじゃ」

森林王「がっはっは!相変わらず言い訳が達者な小娘だこと」ズシーン  バチチッ

森林王「むぅ?なんじゃこれは……邪魔じゃのう」ブン  バリーン

僧侶「なっ……!」

勇者(多重詠唱の防御壁を腕の一振りで……まじもんの化け物だな、こいつ)

743 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 05:00:44.65 GTsWQF1F0 238/407
森林王「貴様が氷の女王をなびかせた男か……どんな強者かと思えば」

森林王「ただの優男ではないか……さては、色で落としたのか?」

氷幼女「な、なにをバカなことをっ!」

森林王「……まぁ、そんなことはどうでもいいか」ガシ

氷幼女「ぐ、ぐうう」

魔法使い「お前っ!氷から手をはなせっ!」ジャキン

氷幼女「止めぬか、ばかものっ!」

魔法使い「っ!」ガシャン

僧侶「……」スッ

氷幼女「周りが見えんのか……この数は流石に辛かろう……うぐぅ」ミシミシ

森林王「健気だねぇ……氷の小娘よ」

氷幼女「貴様ほど野蛮ではないだけだ、森林猿め」

744 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 05:05:36.95 GTsWQF1F0 239/407
森林王「今の自分の状況が分かっているのか……?」ギリギリ

氷幼女「く……ふ、はぁ……」

森林王「哀れな女よ。魔族の王として生きればもっと栄華もあったものを」

氷幼女「く……ふは、ふはははは!」

森林王「ついに気が狂ったか?小娘」

氷幼女「気が狂っているのは貴様のほうだ、類人猿」

氷幼女「たとえ魔族で生まれても、人間に生まれてもっ……」

氷幼女「わらわはわらわとして生きるだけだ!貴様らには分かるまい!」

森林王「……あぁ、わかんねーな、そんなこと」

森林王「遺言はそれだけか?じゃぁ、死ね……っ!」ふに ふに

氷幼女「ふ……く、くすぐったいぞよ?」

755 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 07:33:22.81 GTsWQF1F0 240/407
森林王「な、なんだとっ……どういうことじゃ!」

氷幼女「……ふんっ!汚い手を離さんか!」バシィ

森林王「ぐ、うっ!?」ズザーッ

氷幼女「ていやぁ!」ジャララララ  ヒュパン

森林王「ぐぬ……俺様の体に、その程度の武器で傷を……」

森林王(何かがおかしい……ここは引くか)バッ

氷幼女「ま、まていっ!」 魔物「グゲゲゲ!」 「ちぃっ!」ズバン

魔法使い「にがすかっ!」 魔物「ウケケケケ!」 「く……どけぇ!」ズドン

僧侶「……追う」 魔物「ギギギギィ!」 「……邪魔」スパン

勇者(随分と統率された動きだな……こりゃ手ごわそうだ)

756 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 07:38:36.95 GTsWQF1F0 241/407
森林王「どういうことじゃ……急に氷の小娘が強くなりおったわ」

森林王「……ぬおりゃぁ!」ズドン

森林王「力が入らないわけではないようじゃが……分からぬ」


氷幼女「ぬぅん!」ジャラララ グルグル

氷幼女「まとめて吹きとべい!」ブオン

魔法使い「ナイストス!……押しつぶせ!水流!」ザパアアアン

魔物ども「グギョギョゲギャゴギョォ」プチッ

僧侶「……片付いた」

氷幼女「しかし、完全に見失ったのう……」

勇者「……困ったな」

勇者「俺のあの魔法、どのぐらいの距離まで有効なのか分からないんだ……」

勇者「もしかしたら、解けてしまっているかもしれない」

魔法使い「逃げたほうが、いい感じ?」

氷幼女「それは無理じゃろう……この森の全てが奴の目のようなものじゃ」

758 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 07:48:57.69 GTsWQF1F0 242/407
森林王「ふむ……全滅、か」

森林王「あれでも強い魔物を選んでいたんだがな……小娘が手を貸すのは伊達ではないと言うわけか」

森林王「探し出したら、その場で殺して構わんぞ」

魔物「ギャギャゲギャイ!」バサ バサ

森林王(この魔法……どうやったら解けるのだ……?)


魔法使い「じゃぁ……どうするの?」

氷幼女「……倒すしかなかろう、彼奴を」

僧侶「……出来る?」

魔法使い「勇者の魔法が解けてなければ、簡単なんだけどなぁ……」

氷幼女「無理でもやらんとならん。死にたくなければ、な」

760 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 07:53:37.35 GTsWQF1F0 243/407
魔物「ゲギャギャギャ」バサバサ

魔法使い「えいやっ!」グシャ

魔物「グゴゴゴゴ」バサバサ

僧侶「……ていっ」ザシュン

魔物「ウゲゴギャガギゴゴゴ」バサバサ

氷幼女「いねいっ!」ジャラララ  ゴシュ

魔物「ウゴギャギャギャ」バサバサ

勇者「……喰らえっ!」ゴシュ

魔法使い「ゆ、勇者っ!」

僧侶「……しまった」

氷幼女「何を無理しとるんじゃ、バカが……」

762 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 07:58:05.18 GTsWQF1F0 244/407
森林王「ふむ、男をしとめたか……」

森林王(あの男、そこまで弱かったのか……)

森林王「つまり、あの魔法をかけたのは、あの女のうちのどちらかか……」

森林王「……よし、やつらの場所を教えろ!俺様も行くぞ!」フアサッ

森林王(さっき、木を折ろうとしてみたが……まったくピクリともせんかった)

森林王(確かに力は込めていた……なのに、折れなかった)

森林王(周りへの力が弱まる魔法か……なんとしても解除しなければ……)

859 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 17:47:56.57 GTsWQF1F0 245/407
氷幼女「……この気配、奴か!」 ズドーン

魔法使い「わ、わぁっ!?」よろっ

僧侶「……すごい、煙」

森林王「きさまら……俺様に魔法をかけるたぁいい度胸じゃねぇか」

氷幼女(……勇者の魔法に気付きおったか。ただの脳筋かと思ったら意外とやるのう)

氷幼女「ふん……小娘一人倒せぬ王が何をほざくか」

森林王「き、さ、まぁ……」ブチブチ

864 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 17:52:30.78 GTsWQF1F0 246/407
森林王「……笑っておられるのも今のうちだぞ」

森林王「そこの女のどちらかがやったってこたぁ分かってんだ!」

魔法使い「……へ?」

僧侶「……む」

氷幼女(勇者がやられたことで、何だかようわからん勘違いをしておるようじゃのう)

森林王「やれっ!てめぇら!」

魔物「グフフフフ……」ズン ズン

魔法使い(今までの魔物と、大分違うやつだ……!)

僧侶(……でかい)

森林王「俺様が直接手を下せんのはちと悔しいが……しかたなかろう」

867 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 17:57:57.05 GTsWQF1F0 247/407
魔法使い「ていやぁ!」ズガン 「グハハ……」ガシッ

魔法使い「ボ、ボクの武器を離せっ!」

僧侶「……はっ!」ザク 「ゲフフフ……」ギリリ

僧侶「……抜けない」

氷幼女(やはり無能猿め……護衛が手薄ではないかっ!)ダダッ

森林王「……ぐはっははは!ここまで予想通りだと笑いが止まらんな」

氷幼女「な、なんだと……はっ!」 魔物「グゲギョギョギョ!」ボワァ ボゴン

氷幼女「しまっ……ぐ、ぐはぁっ!」ドサッ

869 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 18:05:24.84 GTsWQF1F0 248/407
森林王「さんざん人のことをバカにしてた割りに、ずいぶん簡単な手に引っかかるじゃねぇか?ええ?」

氷幼女(……なんたることじゃ……わらわが謀られるとは)

森林王「……そうだな、さきにてめぇからやらせてもらうか」

魔物「ゲギャ!ゲギャギャフゥ!」ザッ ザッ

魔法使い「くっ!やめろぉっ!巻き起これっ……」ポフ

魔法使い「こんな時に、魔力切れ……っ!?」

僧侶(……く、私も……か)

森林王「てめぇらは黙ってな……すぐに後を追わせてやるよ」

870 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 18:09:48.70 GTsWQF1F0 249/407
魔物「グゲギャギャギャ!」カキン 「ギャギャ!?」

森林王「これは……防御壁か?一体誰が……」

勇者「……間に合った、か」ズル ズル

氷幼女「勇者……!」

魔法使い(ボロボロだ……ぜんぜん治癒しきってないじゃないか……)

僧侶(……まずい)

勇者「流石に形勢逆転、とはいかないか……」

872 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 18:14:25.47 GTsWQF1F0 250/407
森林王「てめぇ……確かに息の根は止めていたと聞いていたが……生きてやがったのか」

勇者「……まぁ、おかげさまでな」

森林王「その姿を見る限り、まともに戦えそうもないみたいだが?」

勇者「……時間稼ぎぐらいは出来るさ」

氷幼女「勇者!逃げるんじゃ!そんな体では……今度こそ死んでしまうぞ!」

魔法使い「そうだよ!ボクたちのことはいいから!」

僧侶「……」コク

森林王「泣かせるねぇ……人間の馴れ合いってのは。おっと、一人魔族だったか」

876 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 18:28:16.15 GTsWQF1F0 251/407
勇者「まぁ、逃げても逃げ切れる気しないから逃げはしないがな」

氷幼女「……く」

森林王「さて……ではまずお前から殺すさせてもらおうか」

魔物「グフ……グフ」ズシン ズシン

勇者(……流石に今度ばかりはまずいかも……)

森林王「今度は……完全に消し炭になるまで燃やしてくれるわ!」

勇者(うわぁ……死んだか?俺)

877 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 18:32:08.34 GTsWQF1F0 252/407
魔法使い「勇者っ!くそっ!離せっ!はなせぇっ!」ジタバタ

僧侶「……く、ぅ!」ガン ガン

森林王「うるさい小娘どもめ……そんなに死にたいか?」

勇者「……魔法使い、僧侶。俺なら大丈夫だから、心配すんな」

魔法使い「勇者……」

僧侶「……勇者」

氷幼女(大丈夫なわけ、なかろう……死ぬ気か、勇者……)

森林王「ふむ……潔い態度は、嫌いではないぞ」

勇者「お前みたいなむさいゴリラに好かれてもうれしくもなんともないわい」

879 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 18:39:37.12 GTsWQF1F0 253/407
森林王「がっはっは!最後まで口が達者だな」

森林王「……殺せ」 魔物「ギャッギリィィ!」ボボボボボ

氷幼女(く……わらわは、なんと情けないのだ……)

氷幼女(王族でありながら、このような体たらく……人間に守られる始末だ)

氷幼女(こんなことでどうする……わらわは氷の女王であるぞ!)

氷幼女(あのような野蛮猿に負けることなど……あってはならん!)

魔物「ギャギャギャギィ!」 ボバァーッ

勇者(……くっ……万事休す、か)

884 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 18:45:02.04 GTsWQF1F0 254/407
魔物「ギャ……ギャィ……」カチン コチン

勇者「……ん?」

勇者「生きてる……?」

魔法使い「……あ」 魔物「……」カチン コチン

僧侶「……あれは」 魔物「……」カッキーン

森林王「吐いた炎ごと凍ってやがる……まさか!」

氷王女「ふむ……手加減してやったつもりだったのだが……」ヒュゴオオオ

森林王「ぐ……」

氷王女「形勢逆転、かのう?」ニヤリ

894 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 18:54:13.86 GTsWQF1F0 255/407
氷王女(まだ本調子ではないようじゃ……じゃが)ヒュゴゴゴゴ

魔物「ゲギャ、グ……」 「ギャギャ、ギ……」カチン コチン

氷王女「このぐらいで十分のようじゃな」パチン

魔物「グガァッ!」ブォン

氷王女「触れるなっ!下郎が!」ヒュン  スパッ

魔物「グ……ゴ……」ドサ

森林王(ぐ……余裕ぶっこいてた結果がこれか……人のこと笑ってる場合じゃなかったわけか)

899 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 19:05:27.23 GTsWQF1F0 256/407
魔法使い「すごい……力が戻ったんだね!」

僧侶「……さむ」

勇者「肝が冷えたぜ、今回ばかりは……」

氷王女「……感謝するぞ、勇者」

勇者「ん?」

氷王女(……気付かせてくれたのは、おぬしじゃからな)

氷王女「今度は、わらわが守る番じゃ!」ヒュウウウ  シパパパパン

森林王「……このまま、黙ってやられるわけにはいかん!」ゴワン

勇者「氷っ!俺の魔力はさっきので尽きちまった……あいつを弱くは出来ないぞ」

氷王女「弱く……?今のわらわに必要だとでも思っておるのか?」

勇者(ほんとうにあの幼女か……?性格まで変わってる気がするぜ)

902 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 19:12:20.78 GTsWQF1F0 257/407
森林王「ぐぬおわぁっ!」ボゴオン

魔法使い「わわっ!す、すごい振動……」グラグラグラ

氷王女「……どうした?わらわには傷一つ付いておらんぞ?」

僧侶「……無傷」

森林王(氷の壁すらもやぶれぬか……もはや勝負は決した、か)ズシン

氷王女「む、どうしたというのだ。武器を捨てるとは」

森林王「……もはや戦う意味はない」

森林王「自分の力を過信し、相手を見下しながら戦った」

森林王「その時点で俺様は負けていたのだ……殺すがいい」

909 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 19:22:12.83 GTsWQF1F0 258/407
氷王女「……くっくっく、あーっはっはっは!」

森林王「な、なにがおかしい!」

氷王女「くっく……いや、本当に頭の中まで筋肉が詰まってるのじゃな、貴様は」

森林王「ぐっ……今更俺を侮辱してなにがしたい……」

氷王女「殺せと言うものなど、死んでいるも同じ。それを改めて殺して何の意味がある?」

氷王女「死を認めたならば、無様に生きるがよい」

氷王女「それでも死にたくなったら、勝手に死ねい。わらわは知らん」

森林王「……がっはっはっはっは!実に面白い小娘じゃ」

氷王女「これでもまだ小娘と言うか?」

森林王「……感謝するぞ、氷の王よ」

氷王女「ふん……感謝される筋合いなどないわ、戯けが」



919 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 19:33:25.75 GTsWQF1F0 259/407
森林王「ふむ、火山へ向かっているのか……」

森林王「しかし、魔王を倒そうとはのう。つくづく面白い奴らじゃ」

勇者「魔王に報告とか、しないのか?」

森林王「……われら魔族の王全てを、魔王が統治しておるわけではない」

森林王「魔王は、魔族の王で最も強い存在であるだけだ」

森林王「むしろ、魔王に従順に従っておる王のほうが少ないはずだ」

森林王「魔王は、居城から出ることもなく、姿もほとんど見せん」

森林王「そんなものを崇拝しろというほうが難しい」

勇者(……魔族の複雑さは予想以上だったみたいだな)

5 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 21:00:23.83 GTsWQF1F0 260/407
勇者「そういえば、魔族の王ってどのぐらいいるんだ?」

森林王「むぅ、難しい質問じゃな……数え切れないぐらいおるのだ」

森林王「それこそ絶大な力を持つものから単なる自称の弱小まで、な」

勇者「でも、魔王の居城に呼ばれることがあるんだろ?」

森林王「……それがものすごい人数が集まるんじゃよ、魔王の居城に」

森林王「それだけ大きく、頑丈な城ということじゃ」

勇者(……王宮とかの城とは比べ物にならなそうだな)

6 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 21:04:49.58 GTsWQF1F0 261/407
魔法使い「てことは、魔王の城には普段誰もいないの?」

森林王「それは……分からんな。集会の時以外は入ることが出来んしのう」

僧侶「……残念」

氷幼女「まぁ、魔王の居城と言うぐらいだから、強い魔物を従えておるのじゃろう」

勇者「あぁ、おそらくそうだろうな……ん?」

魔法使い「……あれ?」

僧侶「……」ジー

氷幼女「な、なんじゃ?わらわの顔に……って、なんじゃと!?」

7 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 21:07:14.35 GTsWQF1F0 262/407
氷幼女「体が元に戻っておる……」わなわな

勇者(服がピチピチでいいスタイルしてたのにな……残念だ)

魔法使い「なんか、また変なこと考えてない?」

僧侶「……へんたい」

勇者「勝手に人の考え決めてものを語るなよ……」

森林王「がっはっは!仲がよいのか悪いのか、不思議なものよのう人間は!


12 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 21:16:33.99 GTsWQF1F0 263/407
森林王「さて、この辺で俺は分かれるぞ」ザッ

勇者「……感謝する」

森林王「勘違いするなよ?負けたから道案内しただけだ。善意でもなんでもない」

氷幼女「ふん、素直じゃない猿じゃ」

森林王「おぬしものう、氷の小娘」

森林王「……魔王は、かなり強いぞ。それこそ魔族の王とは桁違いに」

魔法使い「大丈夫だよ!勇者がついてるから!」

僧侶「……」こくこく

森林王「……勇者よ。弱いその身でなぜに戦う?」

勇者「んー……別に俺は戦ってねぇよ。周りに助けられてるだけだ」

森林王「くくく……違いないな……」ドス ドス

森林王「勇気ある弱者よ!その旅に暗き闇のかからんことを!」

15 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 21:22:12.87 GTsWQF1F0 264/407
勇者「行っちまったな……出来れば仲間になって欲しかったが」

魔法使い「……む、ボクたちじゃ頼りないっての?」

勇者「そうは言わねぇよ。ただ、戦力として優秀かなーと」

僧侶「……確かに」

氷幼女「貴様はあんなデカブツ連れて魔王の居城に乗り込む気だったのか?」

勇者「いや、実はあれも外見がデカイだけで……」パコン

氷幼女「バカなことを言うとらんでいくぞ!」

勇者「へいへい……」

18 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 21:25:55.68 GTsWQF1F0 265/407
氷幼女「……とは言ったものの……」 グツグツ

魔法使い「……うわー」 ボコン ボココン

僧侶「……あづー……」 ダラダラ

勇者「冷房の実を使ってもこの暑さか……少し舐めていたな」

氷幼女「……こんな所、入れるわけがない……絶対死ぬ……」ズザ ズザ

勇者「おい、さっきまでの威勢はどうした……」

20 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 21:31:29.65 GTsWQF1F0 266/407
魔法使い「でもさー、勇者。このまま火山入ったらボクたちもキツいと思うよ?」ツー

僧侶「……しぬー」ダラダラ

氷幼女「そ、そうじゃろう?死んでしまうぞ!」

勇者「いや、あんだけ森林王に見送られておいてここでしり込みとか……流石になぁ」

魔法使い「なんかいい方法ないのかな……」

僧侶「……一枚、脱ぐ」ぬぎぬぎ

勇者(おお、僧侶がシャツ一枚に……しかも、汗ですけっ)ゴシャ

魔法使い「なんかいい方法無いかなー」

21 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 21:39:27.94 GTsWQF1F0 267/407
魔法使い「……ダメだ、暑くてなんにも浮かばない……」

氷幼女「わらわはもう倒れそうぞよ……」

僧侶「……ふぅ」もぐもぐ

魔法使い「この辺に町とかないのかな?火山の近くの町なら何かあるかも!」

氷幼女「この辺の地理にはあいにく詳しくないのじゃ……困ったのう」

?「あの……旅の方ですか?」

氷幼女「むぅ?」

考古学者「私はこの辺の村の者で考古学者と言います。お困りのように見えましたが……?」

魔法使い「天の助けだぁ!」

氷幼女「はよう!はよう村の場所を教えるのじゃ!」

考古学者「あ、は、はい!こちらです」

26 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 21:47:56.01 GTsWQF1F0 268/407
考古学者「ここが私の住んでいる村です」

魔法使い「やったー……人がいるー」

僧侶「……久しぶりな、気がする」

勇者「確かになー、森では化けもんばっかだからな」

考古学者「え……あなた達、あの森を越えてきたのですか!?」

考古学者「あの森の魔物はかなり強いはず……かなり腕が立つのですね」

勇者「まぁ一応、魔王を退治しにきたからな」

考古学者「……え、冗談、ですよね……?」

30 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 21:54:26.63 GTsWQF1F0 269/407
考古学者「火山のゲートですか……確かに、この村に伝承が残っているようです」

考古学者「『かの勇あるもの、光る柱を登り、暗黒の王を討ち果たす』と」

考古学者「しかし……かなり古い文献ですし、信憑性もありません」

勇者「やっぱりだよなぁ……でも、今はそれしかないんだ」

魔法使い「行ける可能性があるなら、試してみなきゃね」

氷幼女「そうは言ってものう……あの火山があの調子じゃ……」

僧侶「……やだ」

考古学者「……」クイ

考古学者「……火山の暑さを防ぐ方法なら、ありますよ」

33 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 21:59:40.81 GTsWQF1F0 270/407
考古学者「あの山には、何日かごとに雪山からの冷風が流れ込んでいまして」

考古学者「その日は、火山の中が平温になるのです」

魔法使い「そんな日があったんだ……次はいつ?」

考古学者「ええと、前回が昨日だったので……二日後ですかね」

氷幼女「むぅ、意外と感覚が開くもんなのじゃな」

考古学者「二日ってのも、実は目安なんです。冷風は気まぐれですからね」

勇者「まぁ、とりあえず。火山の中へどう行くかは決まったわけだ」

僧侶「……だね」

35 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 22:05:04.67 GTsWQF1F0 271/407
考古学者「それまでは、この村でゆっくり休んでいってください」

考古学者「なにも無い村ですが、宿屋ぐらいならありますから」

魔法使い「やったー!宿屋だー!お風呂入りたいと思ってたんだー……」

僧侶「……べたべた」

氷幼女「わ、わらわは入らぬぞ!おぬしらだけで入ってまいれ!」


勇者「なぁ、考古学者さんよ」

考古学者「なんですか?勇者さん」

勇者「火山の魔物は、ここを襲ってこないのか?見たところ、火山に近いが」

考古学者「……この辺りの魔物は、あまり活発じゃないんです」

考古学者「私のように貧弱な学者が歩きまわれるのが、その証拠ですよ」ニヘラ

勇者「……そうか」

魔法使い「勇者ー、早く行くよー!」

36 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 22:09:51.09 GTsWQF1F0 272/407
宿主「いらっしゃい、ゆっくりしていってくださいね」

勇者「えっと、四人でお願いします」

魔法使い「おっふろ♪おっふろ♪」

僧侶「……楽しみ」

宿主「当宿は、火山の恩恵を受けた露天風呂を採用しております」

宿主「……と、いうか。温泉ぐらいしか誇れるところがありません故、お楽しみくださいませ」

魔法使い「露天風呂かー……楽しみだなぁ!」

僧侶「……わくわく」

氷幼女「……」げんなり

37 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 22:16:48.26 GTsWQF1F0 273/407
勇者「今回は、ちゃんと服買ってからいけよー」

魔法使い「……あ」

勇者「やっぱり、忘れてやがったな、こいつ」

僧侶「……勇者」

勇者「……ん?どした」

僧侶「……お金」

勇者「あー、そういえばそうだったな」

氷幼女「そのことなら、心配するな」ジャラ

勇者「う、うおっ!?氷、その金どっから……」

氷幼女「これは……」

ーーーーーーーーーーー
森林王(……)ドシャ

氷王女(……なんじゃ、これは。わらわにほどこしを与える気か?)

森林王(俺様の自己満足とでも思えばいい。黙って持っていけ)
ーーーーーーーーーーーーーー

氷幼女「……見ざる、言わざる、聞かざると言ったところかのう」

39 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 22:24:57.21 GTsWQF1F0 274/407
勇者「……ま、大体分かるというか、一匹しか該当しないがな」

氷幼女「これで、新しい武器や服を買うことにしようかの」

勇者「そうだな、宿主。また来るぞ」カラン カラン


魔法使い「そういえば、自分で服を選ぶなんて久しぶりかも……」

僧侶「……そうなの?」

魔法使い「貧乏旅が長かったからね……服の代えなんてほとんどなかったし」

魔法使い「今思うと、随分酷い生活してたなぁ、ボク」

魔法使い「……まぁ、楽しかったからいいけどさ」

僧侶「……ふぅん」

41 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 22:31:14.30 GTsWQF1F0 275/407
勇者「……」ジー

氷幼女「ほう、ゆうしゃよ。防具屋など眺めてどうしたのだ?」

勇者「……盾を、買おうかと思ってな」

氷幼女「盾、か……そういえば、何ゆえお主は盾を持っておらんのじゃ?」

勇者「……重くて、構えられないからだ。鎧も同じく動けん」

勇者「というか、すぐ死ぬからいらないと思ってたんだ」

勇者「だけど……何も出来ずに突っ立ってるのは嫌だからな、もう」

氷幼女(……ふん、十分がんばっておるよ、おぬしは。などとは言わんがな)

氷幼女「ふん、宝の持ち腐れになるだけじゃろ」

勇者「んー、やっぱそうかな……いや、買おう」チャリーン 「毎度ありー」

氷女王「皮の盾、とはのう……いまさらスライムの体当たりでも防ぐ気か?」

42 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 22:37:21.43 GTsWQF1F0 276/407
魔法使い「よーし、この服にしよう!」

僧侶「……魔法服?」

魔法使い「そ、魔法服!魔力を増幅させる文字が刻んであるんだよねー」スリスリ

魔法使い「滅多に置いてないんだけどね……ここには職人さんがいるのかな?」

僧侶「……私は、これでいい」スッ

魔法使い「へー、みかわしの服かー……それ胸元すーすーするから苦手なんだよね、ボク」

45 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 22:45:40.40 GTsWQF1F0 277/407
魔法使い「あ、勇者ー」タタッ

勇者「お前らも買い物終わったのか?」

魔法使い「うん……って、勇者。その盾……」

勇者「ん、あぁ……これか。まったく意味は無いぞ、自己満足だ」

勇者「それより、服は見つかったのか?」

魔法使い「それがねー魔法服あったんだよ、魔法服!」

勇者「へー……ここにも職人がいるのかね?故郷を思い出すな」

魔法使い「でしょー、でしょー!」

氷幼女「わらわにも荷物を持たせるとは……なんたる屈辱!」

僧侶「……持とうか?」

氷幼女「む、あぁ。すまんのう」

46 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 22:51:37.85 GTsWQF1F0 278/407
魔法使い「さーて、今日は何の心配も無くお風呂です!」ぬぎぬぎ

僧侶「……おー」ぱさ

氷幼女「……なんでわしまで……」

魔法使い「細かいことは言わない言わない、氷だって汗たくさんかいたでしょ?」

氷幼女「……まぁ、水風呂に期待するかのう」

ガララ

勇者「……あれ?」

魔法使い「……え?」

僧侶「……?」

氷幼女「なんじゃ、勇者。今日はおぬしも一緒なのか?」

48 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 22:57:11.89 GTsWQF1F0 279/407
勇者「……話聞く前に手を出すなっての……」ズキズキ

僧侶「……だいじょうぶ?」

魔法使い「ここ、混浴だったのか……露天風呂なんて言うから期待してみれば……」

勇者「……とりあえず、俺は先に入っておくぞ」

魔法使い「ボクは入らないぞ!勇者となんて……」

僧侶「……行こう」

氷幼女「そうじゃな、水風呂があるといいが……」スタスタ

魔法使い「……」

魔法使い「なんでこうなるんだよ、もう!」ぬぎぬぎ

50 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 23:02:54.85 GTsWQF1F0 280/407
勇者「いや、お前ら……」

僧侶「……ふー」

氷幼女「水風呂があるとは、分かっておるのう!」ザプン

魔法使い「……ふん」ツーン

勇者「おかしいだろ、どう考えても」

僧侶「……?」

氷幼女「今日は勇者も一緒に入る日なのであろう?何がおかしいのじゃ」

魔法使い「ボクはおかしいって分かってるよ!」ザプン!

51 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 23:06:45.04 GTsWQF1F0 281/407
勇者「……」ゴシゴシ

僧侶「……離れてる」

氷幼女「どうしたのじゃ?勇者ー」

魔法使い「ボクがおかしいのかなぁ……そんなはずは……」

勇者(ほんのラッキースケベを狙ったらこんなとこになるとは……)

勇者(ここまでいくと逆にたのしめねぇっつの)ゴシゴシ

僧侶「……体、洗おう」ザパァ

氷幼女「そうじゃなぁ、湯船にずっと浸かっていてもしかたない」ザバ

勇者「……っ!!」(精神統一だ……俺)

52 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 23:11:12.25 GTsWQF1F0 282/407
氷幼女「……僧侶の胸は、随分柔らかいのう」ふにふに

僧侶「……くす、ぐったい」

氷幼女「わらわはサイズは変えられるが柔らかくないからのー」

氷幼女「衝撃とか受けるとき便利そうじゃなー」もみもみ

僧侶「あ……う」カァ

魔法使い「ボクハオカシクナイボクハオカシクナイボクハオカシクナイ……」

勇者(……俺にどうしろって言うんだ……)

53 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 23:13:38.63 GTsWQF1F0 283/407
魔法使い「ボクハ……ボクハ……きゅぅ」ザパーン

勇者「……どうしたっ!」バッ

氷幼女「魔法使いが倒れたようじゃな……どうしたんじゃ?」

僧侶「……のぼせた?」

勇者「ぐぼっふぇはっ……」ガクン

氷幼女「なんじゃ、勇者も膝から崩れ落ちたぞ?」

僧侶「……バカ」

勇者「……ここで倒れてる場合じゃ……」

氷幼女「おお!立ち上がりおった!」

僧侶「……バカの、極み」

56 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 23:20:22.14 GTsWQF1F0 284/407
勇者「魔法使いっ!大丈夫か!」

魔法使い「……きゅぅぅ」

勇者(完全に気絶してるな……相変わらず絶壁なこった)

勇者「いや、違うだろ!」ザパン

勇者(……軽いな、こいつ。こんな軽い体であんな武器振り回してたのか……)

魔法使い「ん……んん。あれ?勇者……」パチリ

勇者「よかった、起き「きゃあああああああ!!!!!」

魔法使い「へんたい!へんたい!へんたい!へんたい!しんじゃえ!ばか!」

勇者「ち、ちがっ……誤解っ……」

魔法使い「うるさいっ!言い訳禁止!」バシッ バシッ


氷幼女「……見てられんわい」ザパ

氷幼女(魔法使いも、なれればよいものを……いつかは見せるもんなんじゃから)

僧侶「……同意」

63 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 23:46:42.22 GTsWQF1F0 285/407
魔法使い「……ふぅ……ふぅ」

勇者(やっと収まったか……?)

魔法使い「……ボクの裸、見たの……?」

勇者(どっち答えても地獄しか見えん……が、嘘をつくよりは……)

勇者「……あぁ、見た」

魔法使い「……どうせ、絶壁だったとか……思ってんでしょ?」

勇者「……あぁ」カッパーン

魔法使い「……ばかぁ!しね!」

勇者「……正直に、答えただけだろうが……」ズキズキ

魔法使い「……どうせ、ボクには魅力が無いよ……」

魔法使い「僧侶ちゃんみたいに、胸大きくないし……」

魔法使い「氷みたいに、綺麗な肌もしてないし……」

魔法使い「……期待はずれで、悪かったね……」

64 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/04 23:50:34.59 GTsWQF1F0 286/407
勇者「……別に、期待外れとか思ってねぇけど?」

勇者「いや、そりゃまぁ。僧侶の胸はなかなかだし、氷はすっげー白い肌してるけど」

魔法使い「……む」

勇者「お前にはお前のいいとこあるんだから、そう悲観的になんなって」

魔法使い「……なにさ」

勇者「え?」

魔法使い「ボクの女の子的にいい場所って、どこさ!」

勇者(そうきちゃいますか……って、大体予想は出来てたが)

72 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 00:04:13.58 mNbI7WlO0 287/407
勇者「お前さ、自分で自分のこと可愛くないとか思ってるだろ?」

魔法使い「……当たり前じゃないか」

勇者「何言ってんだよ。十分、可愛いっての」

魔法使い「……」

勇者「はしゃいでる姿とか、かなしそうな横顔とか、少し怒った表情とか」

勇者「ぜーんぶ含めて可愛いっての」

魔法使い「……」ポカーン 「……え?」

勇者「あの時、守ってやるって言ったのに通じてなかったのか?」

勇者「俺は……」   「こ、こら!押すでない……」 「……見えない」

勇者「……」 魔法使い「……」

73 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 00:12:53.30 mNbI7WlO0 288/407
勇者「……」ガララ

氷幼女「……」 僧侶「……」

勇者「あまりいい趣味とは、言えんな」

氷幼女「な、なんのことじゃ?わらわ達は着替えを……」

僧侶「……ごめん」

氷幼女(こ、こやつめ……そういう手を使いよるかぁっ!)

氷幼女「……すまん」

勇者「……まぁ、目くじら立てるほどの内容でもなかったんだがな」

魔法使い「ねぇ、勇者……」

勇者「さて、湯冷めしたらまずいし俺も上がるかー、ははは……」

魔法使い「……むぅ」

氷幼女「さて、わらわたちも……」ガシッ 僧侶「……うん」ガシッ

魔法使い「お、ま、え、ら……許さないぞ!」ドタン バタン

勇者(……まぁ、今伝える必要性もない、か)

75 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 00:22:46.67 mNbI7WlO0 289/407
氷幼女「……本当に、すまんかった」

僧侶「……ごめん、なさい」

魔法使い「……まぁ、別にいいけどさ……勇者の言葉が気になるんだ」

氷女王「あの感じ的に、どう考えてもす「わーわーわー!!!」

魔法使い「……やっぱり、そうなのかな……?」

僧侶「……十中八九」

魔法使い「……」ポー

氷幼女「よかったのう」

僧侶「……」コクコク

魔法使い「……え、よかったって……ボクが勇者を好きみたいじゃないか!」

氷幼女「ん?ちがうのかえ?」

僧侶「……ちがうの?」

魔法使い「…………好きか嫌いかで言えば、好きだと思うよ?」

82 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 00:30:10.22 mNbI7WlO0 290/407
氷幼女「なんじゃ、はっきりしないのー。好きなら好きと言えばよかろうに」

魔法使い「……ボ、ボクはあんな奴……」カー

僧侶「……嘘」ジトー

魔法使い「……なんだよ、その目……うぅ」

氷幼女(素直じゃないのう、人間というのは……)



勇者「こんな夜中に、なんの用だ」

考古学者「……なに、少しお話をと思いまして」

87 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 00:35:23.71 mNbI7WlO0 291/407
考古学者「……」

勇者「……何か用があったんじゃないのか?」

考古学者「あなたは、自分が魔王を倒すことがどういうことか分かっていますか?」

考古学者「正当な勇者の血を引く人間である、あなたが」

勇者「……どういう、意味だ」

考古学者「あなたは、勇者だ。ゆえに、あなたには死が無く戦える」

考古学者「……言いたい意味が、分かりますか?」

勇者「……あいにく、難しい話はあまり得意じゃないんだ」

考古学者「……そう、ですか。ではあっさり言いましょう」

考古学者「魔王を殺したら、あなたも死にます」

94 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 00:42:23.89 mNbI7WlO0 292/407
勇者「……なん、だと」

考古学者「勇者は、魔王を倒すために死なない肉体を持って生まれてくるのです」

考古学者「では、魔王がいないとどうなるか?そりゃぁ勇者も死ぬでしょう」

勇者「……マジ、なのか?」

考古学者「ギャグ言ってるように見えます?これでも今までの勇者みんなに言ってきた言葉ですから」

考古学者「もちろん、あなたの父親にもね」

勇者「……親父、か」

考古学者「その表情を見る限り、あなたの父親はちゃんと魔王を倒したようですね」

96 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 00:46:06.72 mNbI7WlO0 293/407
勇者「まぁ、『魔王を倒してくる』とか言って母さんと俺を置いて出て行ったクソ親父だ」

勇者「死んでても何とも思わん」

考古学者「おやおや、随分と厳しいのですねぇ……」

勇者「しかし……こんなこと知ってるって、あんた何者なんだ……?」

考古学者「私ですか?私はしがない考古学者ですよ……」

勇者「嘘付け、お前みたいな考古学者いねーよ」

考古学者「ははは……しかし、あなたには可能性を感じますよ」

勇者「どういうことだ?」

考古学者「今までの勇者は『力』が象徴でした。あなたの様な非力な勇者など存在しなかった」

勇者「……悪かったな」

98 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 00:48:47.44 mNbI7WlO0 294/407
考古学者「これでも、褒めているのですよ?」

考古学者「そのおかげで、あなたには何人も仲間がいるではないですか」

考古学者「勇者と言うのは、基本的に孤高の存在です」

考古学者「例外もあったりしますが、基本的に魔王に挑むときは一人」

考古学者「しかし、あなたはそうじゃない。なぜなら一人では戦えませんからね、あなた」

勇者「……バカにしてるだろ、やっぱり」

105 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 00:55:05.55 mNbI7WlO0 295/407
考古学者「くくく……まぁ、今日言いたいことはこのぐらいですね」

勇者「……親父も、一人だったのか?」

考古学者「はい、もちろん一人でしたよ。『わが子には、平和な世界を生きて欲しい』とかなんとか」

考古学者「しかしなんと因果な。その息子も魔王を退治に同じ地に立っているなんて」

勇者「……」

考古学者「……そろそろ、退散させていただきますかね……」

考古学者「では、勇者さんおやすみなさい。後何日あるかも分からぬ命、どうか大切に……」

考古学者(ふふ……期待していますよ、非力な勇者さん)

考古学者(あなたが、どういう結果を残してくれるのか。今までと同じか、それとも……)

108 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 00:58:08.59 mNbI7WlO0 296/407
勇者「……なぁ、親父」

勇者「あんたも、こんな気持ちだったのか……?」

勇者「毎日、心配してたんだぞ、母さんは!」

勇者「俺はあんたを恨んでた……それなのに、こんなの……」

勇者「……どうすりゃいいんだよ……俺は……」

109 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 01:02:59.52 mNbI7WlO0 297/407
魔法使い「……もういいだろ!ボクは出るよ!」バタン

氷幼女「おわっと」 僧侶「……怒った?」

氷幼女「ああいう娘はあのぐらいせんとダメじゃろうて」

僧侶「……そうなの?」

氷幼女「おぬしも、あと5年間齢を重ねれば分かることじゃ」

僧侶(……見た目は、小さいくせに)

魔法使い「もう、なんだんだよ!あの二人!」

魔法使い(ボクは……勇者が好き、なのかな?)

魔法使い(あ、勇者だ……って……何か様子が変だ)

110 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 01:05:30.94 mNbI7WlO0 298/407
魔法使い「勇者ー」タタ

勇者「……魔法、使いか」

魔法使い「……どうしたのさ、そんなくらい顔して」

勇者「……なんでも、ない」

魔法使い「何でも無いわけないだろー。そんな顔普段してないじゃないか」

勇者「……なんでもないって、言ってるだろ……」ギッ

魔法使い「……ご、ごめん……」

勇者「……すまん。今日は寝させてくれ……」

魔法使い「あ、勇者っ……おや、すみ」   バタン

150 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 10:38:43.68 mNbI7WlO0 299/407
魔法使い(……勇者……どうしたんだよ……)

氷幼女「……む、魔法使いではないか。どうしたのだ、部屋に入らんのか?」

僧侶「……顔、変」

魔法使い「え?あ、うん……なんか、勇者の様子が変なんだよ」

氷幼女「勇者が……?」

魔法使い「あんな怖い顔、初めて見た……ボク何かしちゃったのかな?」グスン

魔法使い「今までの不満が……」ポコン 氷幼女「勝手に深く考えるでない、アホ」

153 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 10:46:20.50 mNbI7WlO0 300/407
氷幼女「しかし、あの勇者がのう……何があったのじゃろうか」

魔法使い「分からないよ……宿に帰って来たと思ったらすぐ寝ちゃって」

僧侶「……外で、何かが」

氷幼女「むぅ……本人に聞いてみらんことにはなんとも言えんな」

氷幼女「空想で勝手に話を進めては、現実とかけ離れていくだけじゃ」

僧侶「……きっと、大丈夫」ポンポン

魔法使い「……ありがと、二人とも……」

155 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 10:51:52.60 mNbI7WlO0 301/407
氷幼女「しかし、勇者がそんな調子ならそっとしておくのがよかろうな」

僧侶「……部屋、変える?」

氷幼女「んー……そうじゃなぁ、もう一部屋借りるとするか」

魔法使い「……うん、そうしたほうがいいかも」

氷幼女「わらわはもう眠いからのう……ふわぁ……」

僧侶「……早く、寝たい」

魔法使い「じゃぁ、ボク宿主さんに言ってくるよ」タタタ

氷幼女「……表面は笑っておるが、相当堪えておるな」

僧侶「……」コクリ

157 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 10:56:41.35 mNbI7WlO0 302/407
魔法使い「ゆうしゃー、いきなりたびなんてどうしたの?」

勇者「……おやじが、かえってこないんだ」

勇者「かあさんまいにちないてばかり……おれがさがしにいくんだ!」

魔法使い「でもゆーしゃ、まものとたたかえるの?」

勇者「うぐ……だいじょうぶ……なはず」

魔法使い「もー、しかたないなー、ボクがいっしょにいってあげる!」

勇者「なんでおまえが……」

魔法使い「だって、ボクのほうがゆうしゃよりつよいもん!」



158 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 11:01:11.37 mNbI7WlO0 303/407
魔法使い「なんか、りょこうみたいでたのしいねー」

勇者「……」

魔法使い「さっきからなにさー、ぶすってしちゃってー」

勇者「なんでついてくんだよ……おれはひとりでもだいじょうぶなのに!」

魔法使い「……うそつき、ひとりじゃおおがらすもたおせないくせに」

勇者「……」

魔法使い「ボクがついてきたかったら、ついてきたの!」

魔法使い「かえれっていわれても、かえってやらないぞ!」

159 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 11:08:32.44 mNbI7WlO0 304/407
魔法使い「うう……いたいよう」

勇者「だいじょうぶか?まほうつかい」ポワァ

魔法使い「わぁ、あったかい……」

勇者「……やっぱり、おまえはかえれ」

魔法使い「だから、ボクは……」

勇者「しんぱいなんだ、おまえがしんだりしないか」

勇者「おれはしなないからだいじょうぶだけど……おまえは」

魔法使い「……ボクも、しんぱいだよ、ゆうしゃのこと」

魔法使い「しなないからって、いつもむちゃばっかじゃないか、ゆうしゃは」

魔法使い「まちにいたらしんぱいすぎてよるもねむれなくなっちゃうもん」

魔法使い「だから……かえれなんて、いわないでよ……」グスン

160 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 11:25:21.44 mNbI7WlO0 305/407
チュン  チュン

勇者「……ん、朝……結局寝ちまってたのか、俺」

勇者(なんで今頃昔の夢なんか見るんだ……?)

コン コン
魔法使い「……勇者、起きてる?」

勇者「……魔法使いか」

魔法使い「えと……朝ごはん出来てるみたいだけど……どうする?」

勇者「……あぁ、大丈夫だ。今いくよ」

162 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 11:33:26.53 mNbI7WlO0 306/407
勇者「……」モグモグ

魔法使い「……」モフモフ

勇者「……」

魔法使い「……」チラッ

勇者「……どうか、したか?」

魔法使い「い、いやっ……なんでも」

氷幼女(……な、なんという気まずい空気なんじゃ……)

僧侶(……ご飯が、おいしくない)

163 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 11:40:39.03 mNbI7WlO0 307/407
勇者「……昨日は、すまんかったな」

魔法使い「え?うん、ああ……別に、気にしてないからいいよ」

氷幼女(何を大嘘ついとるか……泣いておったではないか)

魔法使い「……何があったの?勇者」

勇者「……」

僧侶「……知りたい」

氷幼女「このままじゃ旅がぎこちなくなりそうじゃからのう。さっさと吐いたほうがよいぞ?」

勇者「……それがな」

165 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 11:47:50.95 mNbI7WlO0 308/407
勇者「……ってわけだったんだ」

勇者「昨日は黙っててすまんかったな、心の整理が上手くいかんかった」

魔法使い「……え、えと……」

氷幼女(……予想以上じゃったな、こりゃ)

僧侶(……聞かなきゃ、よかった)

魔法使い「それで……勇者は、どうするの?」

魔法使い「自分が死ぬのに、それでも魔王を倒すの?」

167 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 11:56:07.08 mNbI7WlO0 309/407
勇者「んー……そこだよな、やっぱり」

勇者「ちょっと先に聞きたいんだが、お前らはどうしたい?」

僧侶「……魔王は、困る……出来れば、倒したい」

僧侶「……だけど、勇者がいなくなるのは、もっと……いや」

氷幼女「わらわは……別にどっちでもよいわ」

氷幼女「もともと惰性でついて来たのだ。どちらでもついていくだけじゃ」

魔法使い「ボクは……絶対に、やだ」

魔法使い「勇者が死んじゃうなら……魔王なんて、倒したくない」

169 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 12:02:52.93 mNbI7WlO0 310/407
勇者「……そうか」

勇者「まぁ、俺の意見を言うと……俺は、魔王を倒しに行こうと思うんだよ」

魔法使い「……っ!」 

僧侶「……」 

氷幼女「……ほう」

勇者「俺は勇者だからな、魔王を放っておくことは出来ない」

勇者「……まぁ、これは俺の意見だ」

勇者「恥ずかしいが、俺は直接戦うことが出来ない……だから」

勇者「最終的な決定は、お前らに任せたい」

170 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 12:09:52.12 mNbI7WlO0 311/407
魔法使い「……えと」

僧侶「……考えさせて」

氷幼女「そうじゃな、ゆっくり考えるのがよかろう。決断を急ぐ必要はないじゃろう」

勇者「……まぁ、とりあえず朝食を食べてしまおう。作ってくれた人に失礼だ」

魔法使い「……うん」

僧侶「……」もぐもぐ

氷幼女「……」ごく ごく

171 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 12:19:32.97 mNbI7WlO0 312/407
勇者「ふぅ、ごちそうさま」

魔法使い「……ごちそうさま」

僧侶「……」カタン

氷幼女「む、僧侶。どうしたのじゃ」

僧侶「……少し、歩く」バタン

魔法使い「私も……ちょっと気持ちがまとまってないから……」バタン

勇者「……お前はいいのか?」

氷幼女「さっきも言ったであろう?わらわはどっちでもいいのじゃ」

氷幼女(……悩んでいるのも、事実じゃがのう)

172 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 12:33:35.92 mNbI7WlO0 313/407
僧侶「……」ボー

魔法使い「……僧侶、ちゃん」

僧侶「……魔法使い……」

魔法使い「横、いいかな?」

僧侶「……」コク

魔法使い「……僧侶ちゃんは……どうするの」

僧侶「……私は……」

僧侶「……勇者が行きたいなら、仕方ないと思う」

174 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 12:43:58.07 mNbI7WlO0 314/407
魔法使い「そっかー……僧侶ちゃんは凄いなー……」

魔法使い「ボクは、そんな風にあっさり決められないよ……」

僧侶「……魔法使いは、勇者が好き?」

魔法使い「……うん、大好きだよ。いなくなるなんて……考えられない」

僧侶「……なら」

僧侶「……そう、伝えればいい」

僧侶「……言葉にしないと、伝わらない」

魔法使い「……」

176 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 12:54:06.36 mNbI7WlO0 315/407
魔法使い「僧侶ちゃんは、どうなの?勇者のこと」

僧侶「……好き」

魔法使い「え、そうなの……?」

僧侶「……好き、だから」

僧侶「……勇者のしたいように、して欲しい」

魔法使い「……そんなもん、かなぁ。ボクにはわかんないよ」

僧侶「……人、それぞれ」

魔法使い「僧侶ちゃん、妙に達観してるよね……ボクがバカなだけかな?」

僧侶「……分からない」

181 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 13:25:02.67 mNbI7WlO0 316/407
氷幼女「しかし、おぬしも強情なやつじゃのう」

勇者「……何がだ」

氷幼女「魔法使いは、おぬしに惚れ込んでおる。まさか、気付いておらん、と言うつもりかえ?」

勇者「……そうは言ってもなぁ」

氷幼女「何をそんなに魔王を倒したいのじゃ?確かに奴は世界を荒らしておるが……」

氷幼女「別に奴を倒したから全てが解決するわけではなかろう。魔族の王はたくさんおるのじゃ」

勇者「……んー」

氷幼女「なんじゃ、煮え切らん男じゃのう!何をうじうじしとるのじゃ!」

184 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 13:43:47.57 mNbI7WlO0 317/407
勇者「……魔法使いは、普通の人間だ。もちろん僧侶も、な」

勇者「だが……俺は違う。不死身の化け物だ」

勇者「あいつらがおかしいだけだ。普通なら、気味悪がってもおかしくない」

勇者「多分、勇者ってのは魔王と戦って死ぬからこそ、英雄として称えられてるんだ」

勇者(親父……なんであんたが戦うことを選んだか……今なら、分かるような気がする)

勇者「だから、俺は魔王を倒しに行きたい……それが俺の使命だから」

氷幼女「……ほんっとーーーにバカじゃな、おぬし」はぁ

185 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 13:50:22.17 mNbI7WlO0 318/407
氷幼女「勇者だからだの化け物だの使命だのと……何を言い訳しとるんじゃ?」

勇者「……言い訳なんかじゃ」

氷幼女「いーや、言い訳じゃ」

氷幼女「わらわは、『勇者様』に聞いておるのでも、『使命を持った男』に聞いてるわけでもない」

氷幼女「『おぬし』が考えた言葉が聞きたいのじゃ」

勇者「俺の、考え……か」

氷幼女「ほれ、何も考えておらんではないか……だからバカじゃと言うのじゃ」

189 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 14:10:19.94 mNbI7WlO0 319/407
勇者「俺は……どうしたいんだろうな」

氷幼女「そこまではわらわも面倒見切らん……自分で考えるがよい」ガタン

氷幼女(わらわも外の風当たってくるとするかのう……)もぐもぐ

氷幼女(自分の考えを……か。人に言っておきながらわらわ自身もはっきり答えを出しておらんな)

氷幼女「……っと、わらわも随分人間のようにものを考えるようになってしまったものよのう……」くくく

勇者(俺自身が、どうしたいか……か)

勇者(僧侶……魔法使い……あいつらは、どう思ってんだろうか)

勇者(……なさけねぇな、また人に丸投げしようとしてる)

勇者(俺が考えて……決めるんだ)

191 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 14:16:51.45 mNbI7WlO0 320/407
考古学者「あ、あなたは勇者さんのお仲間の」

氷幼女「きさまは……」キッ

考古学者「おやおや……そんなに睨まないでいただけますか?」

考古学者「何も知らずに魔王を倒して、勇者が突然死ぬよりはマシだったでしょう?」

氷幼女「……ふん。何の用じゃ」

考古学者「あぁ、そうでしたね。予定通りに明日、雪山からの風が来るようです」

氷幼女「……そうか(ついに明日、なのか)」

考古学者「おや?嬉しくないのですか?暑さに弱いあなたには嬉しいことでしょう、氷の女王」

氷幼女「!?」

194 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 14:28:17.74 mNbI7WlO0 321/407
氷幼女「きさま……何者じゃ」

考古学者「自己紹介は済ませたはずでしたが……?私は、ただのしがない考古学者です」カチャ

氷幼女「その魔力……きさま、魔族であるな!(この魔力の強さ……あの眼鏡は魔力を隠すものであったのか)」

考古学者「私が魔族で何か問題がありますか?」

氷幼女「おおありじゃろうが!今までのはわらわたちをだます為に……」

考古学者「相変わらず知恵が回るのか回らないのか分からないお方ですねぇ、あなたは」

考古学者「騙すつもりなら、こんな回りくどいことせずに直接殺してますよ」

195 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 14:36:03.01 mNbI7WlO0 322/407
氷幼女(なんじゃこやつ……考えが読めん)

考古学者「そんなに警戒しないでください。戦うつもりはありませんよ」

氷幼女「……そんな言葉を信じれると思うかえ?」

考古学者「疑りぶかいですねぇ……だから、殺すつもりなら」ガシ

氷幼女「なっ!」ジュー 「あ、あぐぅっ」

考古学者「最初から殺してる、と言ってるでしょう?」パッ

氷幼女「はぁ……はぁ……」(この熱さ……こやつ、火山王か?)

考古学者「おっと、申し訳ない。どうも怒りっぽいものでしてね」シュワー

氷幼女「……」ふー ふー

196 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 14:50:43.10 mNbI7WlO0 323/407
考古学者「少し、話が逸れましたね。話を戻します」

考古学者「氷の女王よ、なぜにあなたは勇者と共にいる?」

氷幼女「……ふん、おぬしには関係ないであろう」

考古学者「魔族が勇者の仲間になるなど、前代未聞でしてね、少々興味があるのですよ」

氷幼女「別に、わらわはやりたいようにやっとるだけじゃ」

考古学者「つれないですねぇ……流石は氷の女王と言ったところですか」

考古学者「まぁ、ただ単に記録が欲しかっただけですから構いませんが」カキカキ

氷幼女「……変わっておるの、おぬし」(訳の分からんやつめ……)

考古学者「勇者と一緒に旅する魔物ほど変わっていないと思いますがね?」

198 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 15:04:26.85 mNbI7WlO0 324/407
考古学者「……さて、言いたいことは言ったので帰ります」スチャ

氷幼女「……最後に質問があるぞよ」

考古学者「なんですか?私に答えられる範囲で堪えましょう」

氷幼女「おぬしは、なぜここでそんなことをしておるのだ?」

考古学者「……ふん、お前には関係ないことだろう……とでも言っておきますよ」スタスタ

氷幼女「……最後の最後まで、いけ好かぬ奴じゃったな」

氷幼女「さて、そろそろ帰るとするかのう。変なとこで時間を食ってしまいおったわ」

200 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 15:18:45.35 mNbI7WlO0 325/407
魔法使い「……あ」

僧侶「……あ」

氷幼女「……なんじゃおぬしら、入り口にいると邪魔じゃぞ?」

魔法使い「いやー、これは、そのー……」

僧侶「……準備」

氷幼女「めんどくさい奴らじゃのー、さっさと入らんか!」どげしっ

魔法使い「あ、あわわわぁっ!」ドテーン

僧侶「……いたい」

勇者「お前ら……何やってんだ?」

魔法使い「あ……勇者……」

201 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 15:29:35.40 mNbI7WlO0 326/407
魔法使い「えと……あのね、その……」

勇者「魔法使い」

魔法使い「えと、は、はいっ!」ガタン

勇者「俺は……魔王のところに行くよ」

魔法使い「……そっか」

勇者「……何暗い顔してんだよ、魔法使い」

魔法使い「……だって……それって勇者が……」

勇者「いや、行くって言っただけだ。倒すとは言ってないだろ?」

魔法使い「……え?」

僧侶「……?」

氷幼女(ふむ……今度はちゃんと考えたようじゃな、勇者よ)


203 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 15:38:40.63 mNbI7WlO0 327/407
勇者「氷みたいに、話を聞いてくれる魔族もいるんだ。もしかしたら魔王も……ってな」

勇者「希望観測過ぎるかもしれないが、俺にはそれぐらいしか考えられんかった」

勇者「俺は……死にたくない」

勇者「出来るなら、お前と最後まで旅がしたい。気が済むまでずっと」

魔法使い「勇者……」

勇者「俺は……お前のことが……好きなんだ」

魔法使い「……っ!!」


氷幼女(さて……わらわたちは退くかのう)スタスタ 僧侶(……いいとこ)ガシッ(ええい、いくぞよ)ズルズル

206 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 15:52:10.59 mNbI7WlO0 328/407
魔法使い「……もう、バカっ!」バシ

勇者「な、なんだ!いてっ」

魔法使い「……ボクが、先に言おうと思ってたのにさ……」

勇者「え?」

魔法使い「ボクだって、全然旅したりないよ」

魔法使い「どこだって、一緒に行ってあげる。ずっとずっと、一緒にいてあげる」す

魔法使い「嫌だって言っても、ついていってやるぞ!」グスン

勇者「……魔法使い……」ギュッ

魔法使い「……ボクだって、勇者のこと、大好きなんだから……」ぎゅぅ




宿主「さて、そろそろ店に戻らないと……」ゴッ 「ぐはっ……」ドサ
僧侶「……空気、読む」
氷幼女「少し手荒じゃが、すまんのう……こればっかりは許してたもれ」

208 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 15:59:38.66 mNbI7WlO0 329/407

チュン  チュチュン

勇者「……朝、か」

魔法使い「……だね」

勇者「……朝飯、食うか」

魔法使い「……うん」


氷幼女「ゆうべはおたのしみじゃったか?」

勇者「……黙れ、コラ……」

魔法使い「……あう」カーッ

僧侶「……?」

宿主(なんでじゃ……昨晩の記憶がまったく無い……)

210 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 16:07:08.56 mNbI7WlO0 330/407
勇者「さて、腹ごしらえも済んだし出発するか」

魔法使い「そ、そうだねっ!早く行こう」

僧侶「……おー」

氷幼女「覚悟は、決まっておるか?」

勇者「……まぁ、な」

氷幼女「魔王と戦うことになったら、どうする気なのじゃ?」

勇者「そのときは……んー……倒すしかないんじゃないかね」

氷幼女「それで、魔法使いはよいのか?」

魔法使い「……うん。勇者が決めたなら、ボクは精一杯手助けするだけだよ」

僧侶「……」コクン

氷幼女「……そうか。覚悟が決まっておるならよいのじゃ」

211 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 16:19:36.64 mNbI7WlO0 331/407
勇者「さて、火山まで来たな……」

氷幼女「ほう、ほんとうに熱さがなくなっておるな」

魔法使い「これなら、簡単に登れそうだね」

僧侶「……楽」

考古学者「みなさん疑っていたのですか?心外ですねぇ……」

勇者「……おい」

考古学者「はい?」

213 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 16:28:08.97 mNbI7WlO0 332/407
勇者「なんでお前までいるんだ……」

考古学者「いえ、この辺一体の地理には詳しいのでお手伝いしようかと」

氷幼女「いらん、帰れっ!」

考古学者「おやおや、つれないお方だ……門への行き方、分かるのですか?

勇者「……知っているのか?」

考古学者「ええ。とは言っても、古文書の通りなら、ですが」

氷幼女(白々しい奴じゃのう……どうせ記録がうんぬんじゃろうて)

魔法使い「闇雲に歩くより、道案内があったほうがいいんじゃないかな?」

僧侶「……同意」

氷幼女「むぅ……」『変な気を、起こすでないぞ?』ボソ

考古学者『変な気、というのの意味が分かりかねますが、少なくともあなたたちを攻撃はしませんよ』

氷幼女『……ふん。まだ完全には信頼しておらんからな』

考古学者『どうぞご自由に。私はあなた達を信頼しているわけではありませんし』

219 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 18:04:28.01 mNbI7WlO0 333/407
考古学者「ではみなさん、行きましょうか」

考古学者「涼しくなっていますが、溶岩などは熱いままですから気をつけてくださいね」

勇者「分かった、気をつけよう」

魔法使い「溶岩なんて初めて見るね……こんな感じなんだー」

僧侶「……えい」ゲシッ  ヒュー  ジュッ

氷幼女「石が一瞬で消えおった……なんという火力じゃ」ブルブル

魔法使い(魔法に応用出来たら強そうだな……今度試してみよう)

220 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 18:10:12.15 mNbI7WlO0 334/407
魔法使い「ふぅ……ふぅ……結構歩いたね……」

僧侶「……疲れた」 

氷幼女「わらわにはまだ少々暑いのう……ふぅ」

考古学者「えっと、ここをこう行って……と」

考古学者「よし、目印通りですね。この崖です」

勇者「この崖がどうしたんだ?」

考古学者「この上に、魔王城への門があるはずです」

魔法使い「……ここ、登るの?」

僧侶「……上が、見えない」

222 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 18:21:38.07 mNbI7WlO0 335/407
考古学者「他に道は……無いようです」

勇者「……マジ、かよ」

魔法使い「こんなとこ、どうやって登るのさ……」

僧侶「……ムリ」

氷幼女「……むぅ」チラ

勇者「なぁ、考古学者。古文書に何か書いてないのか?」

考古学者「もう少し、詳しく探してみます……」ペラ ペラ

224 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 18:27:39.83 mNbI7WlO0 336/407
氷幼女『おい、きさま』ボソ

考古学者『はい、なんでしょうか?』

氷幼女『まさか、ここを素で登れなどとは言わぬよな?』

考古学者『おや、私に何を期待しているのですか?私は古文書の通りに来ただけですよ?』

氷幼女『……頼む』

考古学者『おや、どういう風の吹き回しですか?高飛車なあなたがお願いとは……』

氷幼女『……』

考古学者『……まぁ、最初から手助けするつもりでここまで来たんですが』

考古学者『あなたの困った表情を見ていたら、少しいじめてみたくなりまして』

氷幼女(こやつ……小ばかにしおって……)

225 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 18:42:20.04 mNbI7WlO0 337/407
考古学者「見つかりましたよ、登る方法が」

魔法使い「よかったー……さすがにここは登れないよ」

僧侶「……」コクコク

勇者「で、どうやって登るんだ?」

考古学者「溶岩を凍らせ、上までの道を作るのです」

勇者「溶岩を、凍らせる……?」

226 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 18:46:49.29 mNbI7WlO0 338/407
考古学者「はい、強い氷の魔法で溶岩を凍らせ、それを道にするらしいです」

勇者「魔法使い、出来るか?」

魔法使い「ボクの魔法は自然依存だからなぁ……火山で氷はちょっとムリかも」

僧侶「……」じー

氷幼女「な、なんじゃ……その目は」

僧侶「……はぁ」

氷幼女「な、なんなのじゃそのため息は!バカにしおって!」

氷幼女「このぐらいの溶岩、わらわの魔力にかかれば……」ヒュピー  じゅー

氷幼女「はぁっ!むぅん!てやぁっ!」じゅー ジュー ジュー

氷幼女「……」

魔法使い「む、ムリしなくていいんだよ……?」

氷幼女(くそ……魔力が、魔力が戻っておれば……)うるうる

227 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 18:54:59.60 mNbI7WlO0 339/407
考古学者「困りましたねぇ……」

魔法使い「やっぱり、登るしかないのかな?」

僧侶「……かな?」

勇者「まぁ、しかたねぇか……他に方法がないんじゃな」


氷幼女『ぐ、ぐぬぬ……おい』

考古学者『はい、なんでしょうか?』

氷幼女『……魔力を、くれないか』

考古学者『……構いませんが、分かっていますよね?私の魔力の属性を』

氷幼女『……分かっておる。それでも頼んでおるのだ』

考古学者『……そこまで人間のために尽くす理由が、よく分かりませんねぇ』

氷幼女『奇遇だのう、わらわ自身よう分かっておらんわ』

230 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 19:03:04.98 mNbI7WlO0 340/407
考古学者『……面白いな、やはり貴様は。ほれ、魔力だ』パシ

氷幼女『ぐ……ぬぐわ……がぁ……』ジュー


勇者「お、おい!氷の様子がっ!」

魔法使い「こ、氷っ!ど、どうしたのっ!?」

氷幼女「う、うろたえ、るで、ない……ぐ、うぐああっ!」ビタン 

僧侶「……あなたの、仕業?」シャキン (魔力は、感じない……)

考古学者「おっと……私よりそちらの方の心配をしたほうがよろしいのでは?」

氷幼女「うああ、ああああ……うぐぅ、はぁ、く」ガクガク

僧侶「……くっ……治癒呪文!」パアア

231 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 19:08:14.93 mNbI7WlO0 341/407
氷幼女(全身が熱い……体の内側から焼かれている……気さえしおる)

氷幼女(苦しい……体が、自分から離れていくようじゃ……)

氷幼女「うぐ、は、うぐふおっ」ズル ズル

勇者「くそっ……治癒呪文も全然効かない!」

僧侶「……なんで……」

魔法使い「……っ!」ジャギン

考古学者「おやおや……疑われまくりですね、私」

氷幼女「だ、だいじょうぶじゃ、ま、ほう、つかい……そやつ、はかんけい、ない」

考古学者「ね?その物騒なものをおろしてください」

魔法使い「……くっ」ガシャン

233 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 19:17:06.02 mNbI7WlO0 342/407
氷幼女「う……く」ぐたぁ

勇者「こ、氷っ!」パシ 「うおっ!なんじゃこの熱……」

考古学者(……やはり、ムリだったか?)

考古学者(まぁ、氷の山に引きこもっていたお嬢様じゃ仕方ないか)

考古学者「……っ!」バッ

魔法使い「やぁっ!」ズドン

考古学者「……穏やかじゃ、ありませんねぇ」

魔法使い「やっぱり、お前しかいない!氷に何をした!」

考古学者(ぴーちくうるさい女め……ここで殺してやるか?)


僧侶「……さむ、い?」キョロキョロ

234 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 19:20:44.01 mNbI7WlO0 343/407
考古学者「……武器をおろして、貰えませんか?」

魔法使い「うるさいっ!お前のせいで氷は……!」

「わらわが、どうかしたかのう?」

魔法使い「え……」バッ

勇者「氷……その姿……」

氷女王「勝手に殺してしまうとは、薄情なものよのう」

僧侶「……さむ」

考古学者(……ほう、耐えたか。楽しませてくれるな)

235 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 19:30:54.09 mNbI7WlO0 344/407
氷女王「……心配かけてしまったの。だがもう大丈夫じゃ」

魔法使い「えと……なんで……」

勇者「ずいぶんといきなりだな……」

氷女王「まぁ、理由は後で話すのじゃ……それよりまずは」
ヒュゴオオオ カキカキーン

僧侶「……溶岩が、一瞬で」

氷女王「さて、上へ参るかのう」

勇者(やっぱでたらめな強さだな……)

魔法使い(偽者とは分かっていても、あの胸は気になる……)

250 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 20:37:33.49 mNbI7WlO0 345/407
勇者「お前、魔物だったのか……」

火山王「そうですよ。気付きませんでしたか?」

魔法使い「眼鏡を外したとたんに魔力が……すごい」

僧侶「……隠してたの?」

火山王「流石に魔力ばりばり出して近づくわけには行きませんからね。無駄に警戒されたら困りますし」

氷女王「回りくどい奴じゃな……」

火山王「誰のおかげでその力戻ったと思ってんだ?」

氷女王「……ふん、その点には感謝しておるわ。……ありがとう」

火山王「おお、困った顔もいいが照れた顔もなかなかだな」

氷女王「ば、ばかもんが!」

253 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 20:44:58.63 mNbI7WlO0 346/407
勇者「これが……」

魔法使い「魔王城への門、か……」

僧侶「……で、かい」

氷女王「しかし、何だか門って感じじゃないのう」

火山王「まぁ、別にこれを開けたら一発で繋がってるわけじゃねぇからな」

氷女王「む、どういうことじゃ?」

火山王「魔族のものがこの上に乗ると、陣が反応して道が出来るんだ」

火山王「門というよりは、橋を作り出す装置って感じだな」

火山王「……む」

魔物「……シンニュウシャ、ハイジョ……」

氷女王「おぬしの部下か?」

火山王「喋る部下がいた覚えは無いな……」

254 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 20:52:34.63 mNbI7WlO0 347/407
魔物「……ハイジョスル!」ジャギン カシャン

魔法使い「とりあえず、敵ってことは分かるね……」ズドン

僧侶「……構える」シャキン

氷女王「ふむ、肩慣らしにはちょうどいい相手かのう?」ヒュウン ジャキン

勇者(……今までの魔物と、何かが違うな)

火山王(思わぬところでだったが、勇者様の仲間のお手並み拝見といくか)

257 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 21:00:45.96 mNbI7WlO0 348/407
魔法使い「うおりゃぁ!」ブゴワッ ギン

魔物「ギギギ……」ギリギリ 魔法使い「なかなかやるね……」

魔法使い「でも、そこおっ!」ガシャン 魔物「ピガー、ガー」プスプス

僧侶「……はっ!」カッキン ギュインギュイン

魔物「ハイジョ、ハイジョ……」 僧侶「……硬い」

魔物「ハイジョォ!」ブオン 僧侶「!!」ぽよん

魔物「……ギギ!?」 僧侶「……ありがと、勇者」ザクッ 

魔物「ピガ、ガ」プシュー

氷女王「ふん、凍りつけ!」ヒュゴオオ

魔物「ハ、イ、ジョ……」ゲシッ パリーン 氷女王「ふん、他愛もない」

火山王「ほお、なかなか強いな、お前さんの仲間は」

勇者「まぁ、ここまで来る間に大分経験地を積んだからな……って、お前は戦わないのか?」

火山王「俺は、記録を取りにきただけだ。協力する気はほとんどない」

259 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 21:06:06.02 mNbI7WlO0 349/407
魔法使い「ふぅ、結構手ごわかったね……」

僧侶「……確かに」

氷女王「ふん……わらわには他愛無かったぞよ」

勇者「大丈夫だったか?僧侶」

僧侶「……うん、ありがと」

魔法使い「……む」

氷女王(はぁ……かわらんのう、勇者よ)

火山王「さて、お嬢さんの心配もいいが早く向かっていったほうがいいと思うぞ」

勇者「ああ、そうだな……まだ奴らみたいのがいるとも限らんし」

261 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 21:18:34.02 mNbI7WlO0 350/407
氷女王「ここに乗ればよいのか?」

火山王「あぁ、そこに乗れば道が出来るはずだ」

氷女王「それならば、おぬしが乗ればよいのではないか?」

火山王「俺は……くくく、遠慮しとくぜ」

氷女王「……なんじゃ、怪しいのう。しかし、まごまごもしておれんか」トン

氷女王(……む……なんだか、変な感じじゃのう……魔力が吸い取られるような……)ふらー

勇者「お、おい……大丈夫なのか?」 ピカアアア

勇者「……これが、魔王城への道か……」

魔法使い「山の向こうに、進んでるね」

僧侶「……きれい」


氷幼女「……なるほど、のう。これが乗らなかった理由か」

火山王「ああ、くくく……ちっちゃいあんたが見たくなってな」

氷幼女「これから魔王と戦うと言うのに……たわけもの!」

火山王「くくく……お前のことぐらいは、カバーしてやるさ」

氷幼女「……バカものが」

267 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 21:28:13.62 mNbI7WlO0 351/407

ヒュウウウウ

勇者「これ……落ちないよな?」

僧侶「……高い」

魔法使い「ひい……ゆ、ゆうしゃぁ……」ぎゅ

勇者「あー……そういやこういうの苦手だったな、お前」

魔法使い「ぜ、ぜったいにはなさないでね……」

勇者「離さねぇっての」ぎゅ

氷幼女「……降ろさんか、バカもの」

火山王「お前の歩幅でちんたら歩かれると困るんだよ」

氷幼女「そんなこと言いおって……魔法使いの歩き方を見ておらんのか?」

魔法使い「あわわわ……」

氷幼女「おおかた、わらわに触れたいだけなのであろう?」

火山王「まぁ、そうとも言うな」

氷幼女「……この痴れ物めが」

285 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 22:12:47.60 mNbI7WlO0 352/407
勇者「しかし……なんかうまくいき過ぎてるよな」

僧侶「……確かに」

氷幼女「静かすぎるな……まぁ、魔族ようの道じゃから警戒しとらん可能性も無いとは言えんが」

火山王「出待ちがいたんだ、その可能性は薄いだろう」

魔法使い「てことは……なんでかな?」

勇者「まぁ、今更帰るわけにもいかんし進むしかないだろう」

魔法使い「暗いよ……高いよ……」

僧侶「……なにも、ない……ひま」

火山王「気楽なもんだな、お前ら。魔王と戦うってのに」

氷幼女「今更、気を張っても仕方あるまいて」

火山王(つくづく面白い奴らだ……ついて来て正解だったな)ククク

289 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 22:17:56.93 mNbI7WlO0 353/407
勇者「……見えて、きたな」

魔法使い「あれが魔王の城か……おっきーい……」

僧侶「……王宮が、比べ物にならない」

氷幼女「外からは初めて見たが、ずいぶんとでかい城じゃのう」

火山王「……お前ら、現実逃避はほどほどにな」

魔物の群れ「ハイジョ ハイジョ ハイジョ ハイジョ」ぞろぞろぞろ……

勇者「まぁ、うまくいきすぎてるとは思ってたが……いすぎだろ」

295 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 22:32:33.34 mNbI7WlO0 354/407
魔法使い「でも……登ってこないね」

魔物ども ぞろぞろぞろぞろ……

僧侶「……チャンス」

火山王「ふむ、どうやらそのようだな」ボワァ

火山王「消えろ、ザコどもが!」ドッゴオオオン

魔物たち「ピガガー ガガー……」ヒュー ゴロゴロ

僧侶「……掃討」

勇者「なんか……ずいぶんと拍子抜けだな」


氷幼女「力は貸さんのでは無かったのかえ?」

火山王「余計な手間をはぶいてやったんだ、ごちゃごちゃ言うな」

氷幼女「……ふん、せっかく褒めてやろうと思ったのに……バカものが」

299 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 22:39:04.56 mNbI7WlO0 355/407
勇者「これ、どっから入るんだ……?」

僧侶「……ドアが、ない」

氷幼女「わらわたちも中しか見たこと無いからのう、なんとも言えぬ」

魔法使い「……てぇいやぁっ!」ボゴーン

魔法使い「……いてて」ジーン

勇者「なにしてんだ?」

魔法使い「いや、ぶち破ってみようかなって……ダメ、硬すぎる」ヒリヒリ

火山王「ぬうん!」ボゴオ

火山王「……これも、ダメか」

勇者「やる前に言え!熱いだろうが!」

僧侶「……ひんやり」モグモグ

303 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 22:47:47.79 mNbI7WlO0 356/407
勇者「しかし、困ったな……」

魔法使い「ここまで来といて入り方が分からない、じゃ笑えないよね……」

僧侶「……あそこ」

氷幼女「む、どうしたのじゃ?僧侶」

魔物「ハイジョー!ハイジョー!」ガシャ ガシャ

火山王「魔物の出入り口、か……お譲ちゃん、ずいぶんといい目してんな」

僧侶「……それほどでもない」

勇者「よし、突っ込むぞ!」


307 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 22:56:02.19 mNbI7WlO0 357/407
魔法使い「くっ……やぁっ!」ドゴン

僧侶「……てあっ!」ガギィン

氷幼女「どけぇい!」ジャララララ ガン

火山王「一匹一匹はめんどくせぇな、さすがに」ドゴォ

勇者「さっきより数は少ない……隙を見て抜けるぞ!」ダッ ザシュ

魔法使い「勇者っ!」

僧侶「……あ」

氷幼女「あやつも学習しないのう……」

火山王「バカは死なんと治らんからな。一生治らんだろ」

310 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 23:01:14.53 mNbI7WlO0 358/407
魔法使い「なんだかんだで抜けたね……」

火山王「魔物が勇者に気を取られたのがありがたかったな」

勇者「まぁ、俺の作戦通りにことが運んだな」

僧侶「……ほんと?」

氷幼女「なわきゃなかろう。戯言を言いおって」

火山王「しかし、ゆったりもしてらいられんと思うが?」

魔物「テキ、カ……ココハトオサン」ガシン ガシン

勇者(ずいぶんと強そうなやつのおでましだな)

魔法使い「やっと魔王の城、って感じだねー」

312 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 23:06:34.04 mNbI7WlO0 359/407
魔物「フン!」ブゴォン

魔法使い「うぉわぁっ!」タァン  ドゴオオオン

魔法使い「ボクの斧の何倍あるかな……?」

僧侶「……でかぶつ」

氷幼女「まぁ、どんなに強かろうが……一体では相手にもならんザコじゃな」

勇者「……かわいそうだが、仕方ないな」

魔物「ヌガァッ!」ズオン  ガイン 魔法使い「おりゃぁ!」ガスン

318 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 23:18:16.30 mNbI7WlO0 360/407
魔物「ググ……」ピピー ピピー どさ

魔法使い「ふぅ、いっちょあがりだね」

勇者「なんか、魔物からすごい音が……」

僧侶「……音」 ズダダダダダ

遠くの音「ハイジョー……ハイジョー……」

氷幼女「こりゃ、マズいかもしれんのう」

火山王「面倒だな……おい」

氷幼女「なんじゃ?ん、んぐぅ!」

火山王「……よし、いくぞ」

氷女王「……乱暴な、やつめ……」

勇者「……」

魔法使い「……」

僧侶「……?」

326 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/05 23:30:14.82 mNbI7WlO0 361/407
氷女王「ふん!」ヒュゴオオオ

火山王「はぁっ!」ドッゴオオン

僧侶「……すごい」

氷女王「何をボーっとしておるか!はよう行かんか!」

勇者「お、おう!行くぞ、魔法使い、僧侶!」

魔法使い「う、うん……氷!無事でね!」タタッ

僧侶「……頑張って」ダッ


火山王「……なんか、死に役が残すような言葉だったな」

氷女王「ふん……わらわが死ぬわけなかろうぞ」

火山王「まぁ、俺がいるからな」ドゴオ

氷女王「……何を言っておるか、たわけもの」カッキィン

333 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 00:02:40.94 ma+wGsz90 362/407
魔法使い「氷……大丈夫かな?」

勇者「まぁ、あんだけ強い奴がいりゃ大丈夫だと思うがな」

僧侶「……敵、いない」

勇者「さっきの召集はむしろ好都合だったな。ゆっくりと探せる」

魔法使い「そうだね……急いで魔王を探さなきゃ!」



氷女王「ふぅ……ふぅ……」

火山王「どうした、もう息切れか?」

氷女王「ふん……横にむさくるしい男が、いるでの……」

火山王「褒め言葉として、受け取っておくぞ!」ボゴバアアア

336 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 00:12:00.72 ma+wGsz90 363/407
ダダダダッ

勇者「……ここは」

魔法使い「なんか、いかにもって感じの扉だね」

僧侶「……魔力、感じる」ブルブル

魔法使い「うん、ボクも……身震いが……」ガクガク

勇者(……何も感じないのだが……)

勇者「……入るぞ」  バアンッ


魔法使い「誰も、いない……?」

僧侶「……でも、玉座」

勇者「暗くて、よく見えんな……」

339 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 00:25:54.45 ma+wGsz90 364/407
魔法使い「おい!魔王!いるならでてこいっ!」

勇者「ば、おまえっ……!」

魔法使い「あれだけ派手に騒いでれば、どうせばれてるよもう」

勇者「まぁ、それもそうか」

僧侶「……出て、こない」

勇者「……部屋を、調べてみるか」

魔法使い「隠れてたら危ないから、一応警戒はしておこうか」




氷女王「ふぅ……これで全部、かの」

火山王「ふー……流石に疲れたな」ぺたん

氷女王「はよう、あやつらの元へ……あぐ」どさ

火山王「ムリすんなって、ほら」ひょい

氷女王「……むぅ」

火山王「……意外と重いな、お前」

氷女王「う、うるさいっ!それは氷の重さじゃ!」

341 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 00:31:55.49 ma+wGsz90 365/407
魔法使い「いないなー……逃げちゃったのかな?」

勇者「魔王が逃げる理由がどこにあるんだよ……」

僧侶「……ここ」

勇者「ん?どうした、僧侶。玉座の足なんて眺めて」

僧侶「……動かした、跡」

魔法使い「ほんとだー、よく気付いたね、僧侶ちゃん。えいっ!」バキィ

勇者「隠し扉、か……よほど用心深いやつみたいだな、魔王は」

魔法使い「なんでこんなのが必要なのかな?」

勇者「……罠、か?」

343 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 00:38:03.80 ma+wGsz90 366/407
僧侶「……気配」

勇者「なにっ!?」

魔法使い「危ない勇者っ!はぁっ!」ドゴォ

鎧騎士「ほう……我が攻撃を受けたか。人間にしてはやりおるの」グググ

魔法使い(凄い力……このままじゃ……)

僧侶「はぁっ!」キュイーン 魔法使い「僧侶ちゃん!」

鎧騎士「ほう、二人がかりか……我は一向に構わんぞ!ぬぇいっ!」ドォン

魔法使い「きゃぁっ!」  僧侶「……く」

勇者(今までの敵と格が違う……だが、一人が相手なら俺の魔法で……)

魔法使い「やぁっ!」 僧侶「……はっ!」 ガッキィン

鎧騎士「どうした、人間ども……この程度か!」ゴワァ


勇者「……なっ……俺の魔法が、効いてない……?」

344 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 00:45:27.56 ma+wGsz90 367/407
鎧騎士「ふん……なにやら魔法をかけようとしたようだな」

勇者「!!」

鎧騎士「だが、我が鎧に魔法は通じん!」ボゴォ

勇者「ぐはっ……!」ズザー

魔法使い「勇者っ!」

鎧騎士「ほう、貴様は勇者か……にしては、随分と弱いようだが……」

僧侶「……はっ!」ガィン  ガシッ 「あっ」

鎧騎士「強化魔法で包んだ杖、か……非力な人間がやりそうなことだ」ボキィ

鎧騎士「ふん、他愛もない」

僧侶「あ……あ……」

鎧騎士「そこまで殺して欲しいなら、貴様から殺してくれよう」ジャギン

魔法使い「僧侶ちゃんっ!」 (間に合わない……!)

ドゴォォォン

347 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 01:01:03.67 ma+wGsz90 368/407
鎧騎士「……む、これは……氷?」カキィィン

僧侶「……あ、あ」

氷女王「なんとか間に合ったようじゃな……」

火山王「状況は最悪みたいだがな」

鎧騎士「貴様ら……魔族がなぜ人間の味方をしている!」グワッ

氷女王「くっ!」ヒュゴオオオオ

鎧騎士「その程度の魔法は効かんっ!」ドゴォン

氷女王「!!」バッ

火山王「ぐっ……」ギギギ

鎧騎士「ほう、そのような細身の剣で我が斧を防いだか……」

鎧騎士「だが、いつまで持つかな……?」ギリギリ

353 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 01:12:19.95 ma+wGsz90 369/407
火山王「ぐ、ぬ……はぁっ!」ボゴオオ

鎧騎士「我に魔法は通じぬと言っておろう!」

火山王「確かに、魔法は通じないみてぇだな……ぐ」

火山王(……鎧の表面に水滴……まさか)

氷女王「はぁっ!」ガィン

鎧騎士「また二人がかりか……だが、なんど来ようと無駄だ!」

火山王『……俺に考えがある。奴に氷の魔法を思いっきりぶつけてくれ」

氷女王『……何か策が、あるのじゃな?』

火山王『ああ……成功するかはしらんが、いちかばちかだ」

氷女王『どうせこのままじゃ勝ち目はないのじゃ。賭けてみるのもまた一興ぞ』

358 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 01:20:50.03 ma+wGsz90 370/407
鎧騎士「別れの挨拶は済んだか?」

火山王「ああ、お前さんとの別れの挨拶が終わったところだ」

氷女王(かっこつけおって……いちかばちかのくせに)

鎧騎士「ふん!世迷言を!」

氷女王「……はぁっ!」ヒュゴワアアアア

火山王「……くらえっ!」ボゴオオオ

鎧騎士「なんど言えば……魔法は効かぬと」

火山王「あぁ、お前には魔法が効かないみてぇだな、よく分かる」

火山王「だがその鎧、魔法による温度変化までは無効に出来ないみてぇだな」

鎧騎士「な、なにっ!?」ピシ 「ぬぅ!?」

火山王「極限まで冷やされたものを、いきなり熱するとってな」

氷女王「どうなるのじゃ?」

火山王「知らんかったのか……」

パリィーン

362 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 01:27:04.01 ma+wGsz90 371/407
鎧騎士「ぐおっ……鎧が……」

火山王「……畳み掛けたいが、もう体が動かん」へたん

氷女王「……奇遇じゃな、わらわもじゃ」とす

鎧騎士「しかし、鎧が壊されただけならまだ戦える!」ブォン

氷女王「あー、残念じゃなぁ。鎧が壊れた時点で負けなのじゃよ、おぬし」

鎧騎士「何をふざけたことを!」ブゴワッ ツルン

鎧騎士「……っ!!」

魔法使い「ええいやぁぁ!!」 鎧騎士「ぬうっ!」ガギ  ズゴォン

鎧騎士「ぐぶほっ……がはっ」ズガン

371 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 01:41:54.83 ma+wGsz90 372/407
無鎧騎士「ぐ……バカ、な……」

無鎧騎士「魔王様から最強の鎧を与えられたこの我が……負けるだと……」

勇者「お前に仲間がいれば、分からなかったがな」

無鎧騎士「仲間、だと……そんなもの、我には必要ない」

魔法使い「ま、そんなこと言ってるから負けたんだよ」

氷女王「がちがちに頭の固い魔王信者じゃな……」

無鎧騎士「魔王様を侮辱するか……ゆるさっ……ぐぶ」

火山王「この様子だと、情報は得られそうにないな……殺すか」

僧侶「……待って」

373 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 01:50:46.89 ma+wGsz90 373/407
勇者「僧侶……?」

僧侶「……杖、折った」

僧侶「……謝って」

無鎧騎士「謝る?この我がか?」

僧侶「……」コクン

僧侶「……大事な杖、だった」

無鎧騎士「そんなもの、知るか……」ボゴ 「ぐふ……」

僧侶「謝って」

無鎧騎士「ぐ……す、すまんかった」

魔法使い(魔物に謝らせてる……)

勇者(知能のある魔物って、実はほとんど悪いやついないんじゃないか……?)

377 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 01:58:13.81 ma+wGsz90 374/407
『情けないな、鎧騎士よ。人間などに負けてしまうとは……』

無鎧騎士「こ、このお声は!」

魔法使い「……空気が、揺れてる……!」

僧侶「……奥から」

氷女王「間違いない、この声は……」

火山王「……魔王だな」

勇者「どこにいる、魔王!」

魔王『その扉の奥へ、来るがよい……』


魔法使い「……罠、かも知れないよ」

勇者「……まぁ、罠でも行くしかないだろ、ここまで来たら」

380 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 02:03:57.58 ma+wGsz90 375/407
ガチャリ

勇者「……お前が、魔王か」

魔王「いかにも……私が魔王だ」

魔法使い(すごい魔力……息苦しさを感じるよ……)

僧侶(……うぐ)

氷女王(相変わらず、バカみたいな魔力をしておるわい……)

火山王(さて、勇者よどうでる……)


勇者(あれ?森林王みたいなの想像してたけど、意外に普通だな)

381 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 02:13:16.78 ma+wGsz90 376/407
魔王「ほう……魔族が味方をしているというのは本当だったのか」

魔王「氷女王に……火山王か。なるほど、どちらも納得できる」

魔王「貴様ら……私に歯向かうということは、覚悟が出来ておるな?」スッ

魔王「ぬぅん!」ブオッ

火山王「ぐぬぁっ!」ビターン 氷女王「火山っ!ぬぐわっ!」バシーン

魔法使い「二人ともっ!……やぁっ!」ダダダッ  ブゴォ

僧侶「……でやぁっ!」ヒュゴッ
 ガイイン
魔王「ふむ、人間にしては悪くない攻撃だ……」

僧侶「……な」  魔法使い「止めてすら、いない……」

385 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 02:31:11.90 ma+wGsz90 377/407
勇者「……く」

魔王「ここまで来たことは、褒めてやろう勇者よ」

魔王「しかし、貴様もここまでと言うことだ……死ね、勇者よ!」シャキン

魔法使い「勇者っ!」

僧侶「……っ!」

魔王「はぁっ!」ズドッ

勇者「ぐはかっ……」バタン

魔王「……拍子抜け、だな。所詮勇者も人間ということか」

388 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 02:47:49.77 ma+wGsz90 378/407
魔王「さて、次は……貴様らにするか」

氷女王「く……な、なぜじゃ……」

火山王「ちぃ……体が、動かん……」

魔王「拘束魔法も一緒にかけたからな、貴様らは身動き一つとれん」

魔王「さて、と……どっちを先に殺してやろうか」

「待てよ……」

魔王「!!」

勇者「まずは、俺を殺してからにしてもらおうか……」フラ フラ

390 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 02:56:21.42 ma+wGsz90 379/407
魔王「驚いた……生きておったか」シャキン

魔王「私の剣は、確かに貴様の心臓を貫いたはず」

魔王「それがなぜ、生きている……?」

勇者「……俺は、死なん。お前を倒すまでは、な」

魔王「ほう、そうか……ならば、貴様以外から血祭りにあげてやろう」

魔王「どうせ死なぬなら……絶望を味あわせたほうが楽しそうだ」

勇者「……く」 (話合いでなんて、甘い考えだったのか……?)


392 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 03:07:40.06 ma+wGsz90 380/407
魔王「ふははは!いいぞ、絶望に歪む人間の顔というのは実にいい!」

魔王「さて、余興は終わりだ……一思いに、殺してやろう」

氷女王(ぬぅ……これまでか……)

魔王「魔族の力を持ちながら、人間に加担した愚か者よ。ここで死ぬがよい」ブォンッ ツルン

氷女王「!」

魔王「……なんだと……?とぁっ!」ヒュゴッ ツルン

魔王「なんだ……これは……」

勇者(……効かないかと思って焦ったぜ……効果が遅かったみたいだけみたいだな)

氷幼女(流石に、死を覚悟した……まったく、肝を冷やさせるのう)

428 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 15:53:18.67 ma+wGsz90 381/407
魔王「貴様……私に何かしたな?」

勇者「単純に……お前に魔法をかけただけだ……」

魔王「魔法……この私を弱くする魔法などが存在すると言うのか!」ダッ  ブォン

カッキィン

魔法使い「……勇者の魔法が効くなら……」ガシャン

僧侶「……戦える!」シュパッ

魔王「ぐ……」ズザ

434 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 16:05:56.57 ma+wGsz90 382/407
勇者(……チャンスは、今しかない!)

勇者「……魔王、話がある」

魔王「話だと?」

魔法使い(……勇者……)

勇者「もう止めにしないか、勇者と魔王が争うなんてことは」

魔王「……何を、バカなことを」

魔王「争いを止めるだと……そんなことは、出来ん」

勇者「……なぜだ」

魔王「……戦うことは、魔王として生まれた私の使命だからだ」

勇者「……!」

437 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 16:14:57.57 ma+wGsz90 383/407
勇者(……使命、か……まるで、前までの自分を見てるみたいだ)

勇者(こいつも、戦うしか道が無いと信じて、戦ってるんだな)

魔王「話はそれだけか?」ジャキン

勇者「……お前は、どうしたいんだ」

魔王「?」

勇者「使命とか、魔王だからとか、そういうのはどうでもいい」

勇者「お前自身がしたいことを、聞いてんだ」(誰かさんの受け売りだがな)

魔王「私が……したいこと……」

441 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 16:29:19.61 ma+wGsz90 384/407
魔王「……分からん」

魔王「そもそも、なぜ勇者を倒さねばいけないのか。理由など考えたことも無かった」

魔王「勇者は魔王を倒しに来る、その勇者を倒す……それが当然と思っていた」

魔王「しかし……そうではないのか……?」

氷幼女(……ふん、少しはものを考えるようになったではないか、勇者よ)

火山王(これは……分からん展開になってきたな)

443 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 16:38:44.10 ma+wGsz90 385/407
勇者「なぁ、魔王……俺の仲間になってみないか?」

魔法使い「……え?」

僧侶「……な」

魔王「なんだと……」

勇者「今なら、全財産の半分をやるぞ」

魔法使い(いや、そういう問題じゃ……)


氷幼女「な、なんとっ……!」

火山王「……くくく、魔王を仲間に、なぁ……面白い勇者様だ」

氷幼女「ただバカなだけじゃろうて……」

448 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 16:49:02.54 ma+wGsz90 386/407
魔法使い「ゆ、勇者!何考えてんのさ……」

勇者「いや、このまま放っておくってわけにもいかないし……」

僧侶「……だからって」

魔法使い「それに、全財産って言っても3000Gぐらいじゃないか!」

勇者「やっぱり、少なかったかな……?」

魔王(……こやつら……)



火山王「あーあー、始めやがった……くくく」

氷幼女「あやつら、事の重大さが分かっておるのか……?」

火山王「……しかし、今回は違った記録が取れそうだ……しかも、歴史が変わるようなやつをな」

450 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 17:05:22.02 ma+wGsz90 387/407
魔王「……よかろう」

魔王「貴様の口車に、乗ってやろうではないか」

勇者「……いいのか、1500Gだぞ」

魔王「貴様の全財産の半分などどうでもよいわ!」

魔王「ただ……少し興味が沸いたのだ、貴様に」

勇者「俺?」

魔王「貴様と共に世界を回れば、少しは分かるかも知れんと思ってな」

魔王「……自分の、やりたいこととやらが」

456 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 17:21:47.83 ma+wGsz90 388/407
氷幼女「驚いたのう……魔王よ、おぬしが仲間になるとは」

魔王「貴様らに言われる筋合いはないな」

火山王「くくく……違いないな」

魔法使い「……ほんとに、仲間になっちゃった」

僧侶「……信じ、られない」

勇者「まぁ、倒さないで済んでよかったよ……」

魔法使い「そう……だね」ニコ

458 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 17:34:07.88 ma+wGsz90 389/407
無鎧騎士「ま、魔王様っ!?」

魔王「鎧騎士よ……留守の間、この城を頼むぞ」

無鎧騎士「……はっ!」

無鎧騎士「……勇者。魔王様をくれぐれも頼むぞ」

勇者「くれぐれもって……あいつの力なら」

魔王「ほれさっさと行くぞ、勇者」

魔法使い「置いていっちゃうぞー!」

勇者「すっかり馴染みやがって……適応能力に驚かされるぜ」


無鎧騎士「……魔王様……どうかご無事で」

460 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 17:41:33.19 ma+wGsz90 390/407
火山王「さて……まずは村まで戻ってもらおうかね」

氷幼女「む、おぬし……」

火山王「俺は記録を取るためについてきてただけだからな」

勇者「……そうか、残念だ」

魔法使い「一緒に行きたかったのにねー」

氷幼女「……」

魔王「火山の村ぐらいまでなら、全員転移魔法で飛べるな」

勇者「そうか、なら頼む」

461 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 17:49:34.63 ma+wGsz90 391/407
シュイーン

火山王「さて、と……む」ぎゅ

氷幼女「……」

火山王「……おい」

氷幼女「……わらわも、残るぞ」ぎゅうう

火山王「なに言ってやがんだ、お前は……ほら、離せ」

氷幼女「……い、や、じゃ」

火山王「……おい勇者、お前からも言ってやれ」

勇者「いや、俺は別に構わんが……」

火山王「……魔法使い」

魔法使い「ボ、ボクは……氷が残りたいなら……」

火山王「……マジか」

463 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 17:56:13.97 ma+wGsz90 392/407
火山王「……火山の近くに氷の女王が住むなんて正気か?」

氷幼女「もっと熱い男が、近くにおるであろう?」

火山王「……バカが」

氷幼女「では、世話になったのう、勇者」

勇者「ん、あぁ……達者でな」

氷幼女「それを言うならおぬしらじゃろう」

魔法使い「お幸せにね、氷」

氷幼女「うむ、おぬしも勇者と幸せにのう」

467 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 18:14:40.70 ma+wGsz90 393/407
勇者「……さて、これからどうしようか?」

魔法使い「そうだね……今度はどこへ行こうか」

魔王「私はどこでもよいぞ」

僧侶「……どこでも」

勇者「どこでもって……一番困るな、それ」

魔法使い「まぁ、いいじゃないか勇者。もう倒すべき相手なんてものもいないんだし」

勇者「まぁ……それもそうか」

魔法使い「ボクはずっとついてってあげるよ、勇者の旅に」

勇者「……ありがとよ、魔法使い」

魔法使い「だって君は、ボクがいないとダメダメだからねっ!」

472 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 18:29:06.60 ma+wGsz90 394/407
――――――――――
――――――

魔法使い「もう、キリがないなぁ!」ズドゴン

僧侶「……む」ズバン

魔王「なかなかやりおるの……しかしまだ甘いわ!」ドゴォ

勇者「……ここも楽勝かな?……あ」グシャ

魔王「あのバカめ……油断したな」タンッ 「はぁぁっ!」ズバッ

魔物「ゴグガァ……」ドサ

僧侶「……これで、全部」

少女「お父さん!大丈夫?」

勇者「……ん、あぁ……一応、な」


475 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 18:35:32.09 ma+wGsz90 395/407
魔法使い「……もう、かっこ悪いとこ見せないでよー」

勇者「そうは言ってもなー」

少女「えい!治癒呪文!」

勇者「おう、ありがとう」なでなで


魔王「この辺も、これで大丈夫だな」

僧侶「……」コクン

魔王「人間を守るために戦う魔王、か……前代未聞であろうな」

僧侶「……多分ね」

482 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 18:47:51.95 ma+wGsz90 396/407
勇者「まぁ、そのおかげでこの世界も平和になりそうだ」

魔法使い「そうだねー、大分好戦的な魔族も減ってきてるみたいだし」

少女「魔王えらーい!」

魔王「ふん……お前の言葉に感化されただけだ」

魔王「魔族と人間は、戦わねばならぬ宿命にあるわけではない……とな」

僧侶「……えらい」

魔王「えらいえらいと言うな!私は子供か!」

僧侶「……見た目は、十分子供」

魔王「うるさい!城を出ると姿を維持できんと言っておろうが!」

勇者(だから城に篭ってたらしいな……十分子供だ)

486 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 18:55:33.19 ma+wGsz90 397/407
魔王「……なぁ、勇者」

勇者「どうした?魔王」

魔王「この先、もしも世界が平和になったら……私はどうすればいい」

勇者「どうすればいいって?」

魔王「私は魔族の王……この世界から排除されるべき存在だ」

魔王「世界が平和になれば、きっと邪魔になってしまう」

勇者「……そうでも、ないんじゃないか?」

魔王「……」


488 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 19:00:56.25 ma+wGsz90 398/407
勇者「平和的な魔族だっているんだ。魔族全てを排除しないといけないわけじゃない」

勇者「それを言えば、排除されるべき人間だっているさ」

勇者「平和のために確かに犠牲は必要だ。だけど、どちらかが一方的に犠牲になる必要は無い」

勇者「……って言うか、そこまで悩む必要もないと思うんだがな」

勇者「平然と人間の村に住んでる奴らだっているんだし」



氷幼女「……くしゅん」

火山王「なんだ、風邪か?季節の変わり目なんだから気を付けろ」

氷幼女「ふん、わらわが風邪などひくわけ……ん」

火山王「言うこと聞いて黙って寝てろ」

氷女王「ふん……相変わらず乱暴じゃのう」


491 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 19:10:30.74 ma+wGsz90 399/407
魔王「……しかし」

魔法使い「魔王は気にしすぎなんだよー、もっと気楽に考えればいいのに」

少女「そうだぞー、魔王のアホー」

魔王「な、なんじゃと!?」

少女「僧侶ちゃんがよく言ってるもん『魔王はアホだ』とか『魔王は心配性』とか」

魔王「なにをっ」

少女「『魔王が心配だ』とか『相談すればいいのに』とか」

僧侶「……そこまで」ガ

少女「むぐぐ」

魔王「……僧侶」

僧侶「……バカ」

499 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 19:25:44.93 ma+wGsz90 400/407
魔王「……そういえば、お前はどうするつもりなのだ、勇者」

勇者「え、俺?」

魔王「世界が平和になれば、旅をする意味も無かろう」

勇者「んー……俺は……旅を続けるよ」

勇者「旅をする意味は、旅をしながら探すもんだと思うからな」

魔法使い「えー!てっきり、ゆっくり暮らすのかと……」

勇者「あ、あれ……?」

魔法使い「もー、信じられないよ!」

魔王「くはは!世界を救った勇者も惚れた女には敵わぬか……」

僧侶「……みたい」

517 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 20:14:34.03 ma+wGsz90 401/407
魔法使い「もう……まぁ、いいよ。ずっとついてってあげるよ」

勇者「魔法使い……」

魔法使い「だって君は、ボクがいないと……」

少女「ダメダメだからね!」

魔法使い「あっ!ボクの台詞!」

少女「へへへ……」

勇者「……魔法使い、ありがとう」

魔法使い「礼はいいよ、その代わり……帰れって言われても、帰ってやらないからね?」

勇者「……帰りたいって言っても、帰してやるつもりはないぞ?」

魔法使い「え?ってきゃあっ!」だきっ

魔法使い「は、恥ずかしいから降ろしてよ……もう、ボクもう帰るー!」


ーーーいちおう、おわる

530 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 20:27:13.19 ma+wGsz90 402/407
~後日談~


少女「やあっ!」ズドン

勇者「あれ、その武器って……」

魔法使い「そ、ボクのお古だよ」

勇者「なんか、将来が見える気がするな……」

魔法使い「ボクみたいに強い女の子に……」

勇者「魔法使いみたいな絶壁に……」ゴシュ

少女「あ……ごめんなさい、お父さん」

536 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 20:42:22.25 ma+wGsz90 403/407
火山王「こいつは驚いたな……予想外の組み合わせだ」

魔王「……ふん」

火山王「しかし、魔王が幼児好きとはな、知らなかったぞ」

魔王「貴様に言われとう無いわ!」


僧侶「……何の、話?」

氷幼女「バカのバカ談義じゃ、気にするでない」

541 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 20:49:52.36 ma+wGsz90 404/407
ピギャー  ピギャー

森林王「……最近、魔物が静かだ」

森林王「……旅の者なども、めっきりおらん」

森林王「……たまに来るのは、むさ苦しい男ばかり」

森林王「……あいつらに、ついていけばよかった」ハァ

550 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 21:23:09.68 ma+wGsz90 405/407
魔法使い「ねぇ、勇者。もし、ボクが死んじゃったらどうする?」

勇者「なんだよ、唐突に」

魔法使い「だってさー、勇者は死なないけどボクはいつか死んじゃうでしょ?」

勇者「……そん時は…………俺も死んでやろうか?」

魔法使い「えー、いいよー……ボクのことを、忘れないでいてくれたらそれでいい」

勇者「……忘れねぇよ、絶対。忘れろって言われても、忘れてやらん」ぎゅ

魔法使い「えへへ……ありがと……勇者、大好き」ぎゅ



魔王「ふん……見てられんな」

僧侶「……ほんと」

氷幼女「見てるこっちが恥ずかしくなるぞよ……」

火山王「ふん、お盛んなこったな」

少女(どこから来たんだろ……?)

554 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 21:35:31.93 ma+wGsz90 406/407
鎧騎士「魔王様に任されたこの城!誰も通すわけにはいかぬ!」

僧侶「……どうも」

鎧騎士「む、貴様は……あの時は本当にすまなかったな」

僧侶「……気にしてない」

鎧騎士「しかし、魔王様の后に無礼を……」

僧侶「……后?」

魔王「……鎧騎士、ちょっとこい」ズルズル

鎧騎士「ま、魔王様っ!?も、もうしわけ……アッー」

562 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/07/06 22:05:01.98 ma+wGsz90 407/407
ピギャー  ピギャー
森林王「……暇、だな」

魔物「ギャギャギャギィ」

森林王「……お前ら、何か俺を楽しませろ」

魔物「ギャギャイ!?ギャギャ……」クネ クネ

森林王「いや、そんなムリしなくていい……俺が悪かった」
プロフィール

花見月

Author:花見月
主に2ch系掲示板で自分が書いたSSを纏めてます
思い出したものからかたっぱしに記事にするので順不同で

twitterでも更新報告したりしてます
@hanami2ki

検索フォーム
リンク
QRコード
QR
スポンサーズリンク
アクセス解析
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。